JP6295776B2 - 放電ランプ、および放電ランプの製造方法 - Google Patents
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電極と金属箔は、例えば、レーザ溶接法を用いて溶接されている。
レーザ溶接法を用いて電極と金属箔を溶接すれば、抵抗溶接法を用いて電極と金属箔を溶接する場合に比べて、電極の組み立て精度を向上させることができる。
ところが、レーザ溶接法を用いて電極と金属箔を溶接すれば、金属箔の端部を起点としたクラックリークが発生したり、金属箔に穴があいたりするおそれがある。
前記電極の直径寸法は、0.2mm以上0.4mm以下であり、
前記電極の材料は、トリエーテッドタングステン、純タングステン、ドープタングステン、およびレニウムタングステンのいずれかであり、
前記金属箔の材料は、モリブデンであり、
前記封止部の材料は、石英ガラスであり、
前記溶融部は、中央部分が前記電極側にへこんだ形状を有し、
前記溶融部の周縁近傍と、前記電極との間の領域には、少なくとも前記溶接の際に溶融した前記電極の材料を含む埋め込み部が設けられ、
前記埋め込み部には、前記封止部が密着し、
前記電極の直径寸法をR、前記溶融部の前記電極の軸方向と直交する方向の長さをWとした場合に、以下の式を満足する。
R−0.02mm≦W≦R+0.10mm
前記電極の直径寸法は、0.2mm以上0.4mm以下であり、
前記電極の材料は、トリエーテッドタングステン、純タングステン、ドープタングステン、およびレニウムタングステンのいずれかであり、
前記金属箔の材料は、モリブデンであり、
前記封止部の材料は、石英ガラスであり、
前記溶融部は、中央部分が前記電極側にへこんだ形状を有し、
前記溶融部の周縁近傍と、前記電極との間の領域には、少なくとも前記溶接の際に溶融した前記電極の材料を含む埋め込み部が設けられ、
前記埋め込み部には、前記封止部が密着し、
前記電極の直径寸法をR、前記溶融部の前記電極の軸方向と直交する方向の長さをWとした場合に、以下の式を満足する放電ランプである。
R−0.02mm≦W≦R+0.10mm
この放電ランプによれば、金属箔の端部を起点としたクラックリークの発生と、金属箔に穴があくこととを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る放電ランプは、例えば、自動車の前照灯に用いられるHID(High Intensity Discharge)ランプとすることができる。また、自動車の前照灯に用いられるHIDランプとする場合には、いわゆる水平点灯を行うものとすることができる。
なお、図1においては、放電ランプ100を自動車に取り付けた場合に、前方となる方向を前端側、その反対方向を後端側、上方となる方向を上端側、下方となる方向を下端側としている。
図1に示すように、放電ランプ100には、バーナー101とソケット102が設けられている。
内管1は、円筒状を呈し、透光性と耐熱性を有した材料から形成されている。内管1は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。
外管5は、内管1の外側に内管1と同芯に設けられている。すなわち、二重管構造となっている。
発光部11は、断面形状がほぼ楕円形を呈し、内管1の中央付近に設けられている。発光部11の内部には、中央部分がほぼ円柱状で、両端がテーパ状にすぼまっている放電空間111が設けられている。
金属ハロゲン化物2は、例えば、インジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物、スカンジウムのハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物などを含むものとすることができる。ハロゲンとしては、例えば、ヨウ素を例示することができる。ただし、ヨウ素の代わりに臭素や塩素などを用いることもできる。
なお、金属ハロゲン化物2の組成は、例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
封止部12は、例えば、ピンチシール法を用いて形成することができる。なお、封止部12は、シュリンクシール法により形成され、円柱状を呈したものであってもよい。
一方の封止部12の発光部11側とは反対側の端部には、境界部13を介して円筒部14が連続的に形成されている。
電極マウント3には、金属箔31、電極32、コイル33、リード線34が設けられている。
金属箔31は、薄板状を呈し、例えば、モリブデンから形成されている。
なお、電極32と金属箔31を溶接した際に形成される溶融部(溶接痕)36に関する詳細は後述する。
すなわち、一対の電極32は、放電空間111の内部にそれぞれ突出し、所定の距離を置いて対向配置されている。
電極32の先端同士の間の距離は、例えば、3.4mm以上4.4mm以下とすることができる。
電極32の直径寸法が、0.2mm未満となると、点灯時に電極32の温度が高くなりすぎて、放電空間111内への電極材料の飛散(スパッタリング)が増加するおそれがある。放電空間111内への電極材料の飛散が増加すると、点灯中の光束維持率が低下するとともに、寿命が短くなる。
電極32の直径寸法が、0.4mmを超えると、封止部12における歪みが増加するおそれがある。封止部12における歪みが増加すると、放電ランプ100の製造時や点灯時に封止部12に割れなどが発生するおそれがある。
スリーブ4は、サポートワイヤ35の内管1と平行に延びる部分を覆っている。スリーブ4は、例えば、円筒状を呈し、セラミックから形成されたものとすることができる。
金属バンド71は、外管5の後端側の外周面に固定されている。
本体部6は、樹脂などの絶縁性材料から形成されている。本体部6の内部には、リード線34、サポートワイヤ35、およびスリーブ4の後端側が設けられている。
側部端子82は、本体部6の後端部側の側壁に設けられている。側部端子82は、導電性材料から形成され、サポートワイヤ35と電気的に接続されている。
図2は、電極32と金属箔31を溶接した際に形成される溶融部36について例示をするための模式図である。
なお、図2においては、溶融部36の電極32の軸方向と直交する方向の長さ(以下、溶融部36の幅寸法と称する)をWとしている。
また、電極32の直径寸法をRとしている。
図4は、図3におけるA−A線断面図である。
図6は、溶融部36の断面を表す顕微鏡写真である。
なお、図2および図5に例示をしたものの場合には、2箇所溶接されている。
また、図6に示すように、溶融部36は中央部分がへこんだ形状をしている。
また、溶融部36の周縁近傍と、電極32との間の領域37は、溶接時に溶融した金属により埋められている。
レーザ溶接法を用いた溶接を行うことで、この様な形態を有する溶融部36を形成することができる。
図7は、領域37に生じる空間38を例示するための模式断面図である。
溶融部36の幅寸法Wを小さくしすぎると、領域37に埋め込まれる金属の量が少なくなる。
ここで、前述したように、封止部12は、ピンチシール法やシュリンクシール法を用いて形成される。
そのため、領域37に埋め込まれる金属の量がある程度少なくなっても、軟化したガラスが埋め込まれることになる。
空間38が生じると、放電ランプ100の点灯により蒸発した金属ハロゲン化物2が、電極32を介して金属箔31の放電空間111側の端部まで侵入し、形成された空間38を介して、金属箔31の広い範囲に広がりやすくなる。そして、金属ハロゲン化物2と金属箔31との化学反応が進むと、金属箔31の端部を起点として封止部12にクラックが生じやすくなる。さらに、クラックを介したリーク(クラックリーク)が起こり、不灯に至るおそれがある。その結果、空間38を有する放電ランプ100は、空間38を生じない放電ランプ100に比べて、点灯してから早い時間で不点灯になる。
図8中のRは、電極32の直径寸法であり、前述した0.2mm以上0.4mm以下の範囲としている。
クラックリークの発生率は、2500時間以内にクラックリークが発生した確率である。
図8から分かるように、R−0.02mm≦W≦R+0.10mmとすれば、金属箔31の端部を起点としたクラックリークの発生と、金属箔31に穴があくこととを抑制することができる。
溶融部36の幅寸法Wの制御は、レーザ照射装置の出力を制御したり、スポット径を制御したりすることで行うことができる。
図9は、金属箔31の放電空間111側の端部の上に、溶融部36の中心がある場合を例示するための模式図である。
図9に例示をする溶融部36の配置とし、空間38を有しない箇所が金属箔31の放電空間111側の端部であれば、金属箔31の端部を起点としたクラックリークが発生しにくくなると考えられる。
なお、金属箔31の放電空間111側の端部の上に設けられた溶融部36の幅寸法(溶融部36の電極32の軸方向と直交する方向の長さ)は、Lとしている。
図10は、溶融部36の幅寸法Lとクラックリークの発生率の関係を例示するためのグラフ図である。
なお、図10は、図9に例示をした溶融部36の配置の場合である。
図10中のRは、電極32の直径寸法であり、前述した0.2mm以上0.4mm以下の範囲としている。
クラックリークの発生率は、2500時間以内にクラックリークが発生した確率である。
図10から分かるように、R−0.02mm≦L≦R+0.10mmとすれば、金属箔31の端部を起点としたクラックリークの発生と、金属箔31に穴があくこととを抑制することができる。
すなわち、溶融部36の幅寸法をR−0.02mm以上、R+0.10mm以下とすれば、溶融部36の配設位置にかかわらず、金属箔31の端部を起点としたクラックリークの発生と、金属箔31に穴があくこととを抑制することができる。
Claims (4)
- 放電空間を内部に有する発光部と;
前記発光部の端部に設けられた封止部と;
一端が前記放電空間の内部に設けられ、他端が前記封止部の内部に設けられた電極と;
前記封止部の内部に設けられ、溶融部において、前記電極と溶接された金属箔と;
を具備し、
前記電極の直径寸法は、0.2mm以上0.4mm以下であり、
前記電極の材料は、トリエーテッドタングステン、純タングステン、ドープタングステン、およびレニウムタングステンのいずれかであり、
前記金属箔の材料は、モリブデンであり、
前記封止部の材料は、石英ガラスであり、
前記溶融部は、中央部分が前記電極側にへこんだ形状を有し、
前記溶融部の周縁近傍と、前記電極との間の領域には、少なくとも前記溶接の際に溶融した前記電極の材料を含む埋め込み部が設けられ、
前記埋め込み部には、前記封止部が密着し、
前記電極の直径寸法をR、前記溶融部の前記電極の軸方向と直交する方向の長さをWとした場合に、以下の式を満足する放電ランプ。
R−0.02mm≦W≦R+0.10mm - 以下の式を満足する請求項1記載の放電ランプ。
R+0.02mm≦W≦R+0.08mm - 請求項1または2に記載の放電ランプを製造する方法であって、
金属箔と電極とを重ね、前記金属箔と前記電極が重ね合わされた部分にレーザ光を照射して、中央部分が前記電極側にへこんだ形状を有する溶融部を形成する放電ランプの製造方法。 - 請求項1または2に記載の放電ランプを製造する方法であって、
ピンチシール法またはシュリンクシール法を用いて封止部を形成することで、溶融部の周縁近傍と電極との間の領域に設けられた埋め込み部と前記封止部を密着させる放電ランプの製造方法。
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