JP4222258B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Description
図5は、係るショートアーク型放電ランプの管軸方向断面図である。
放電ランプにおけるバルブ50は、発光管部51の両端に外方に伸びる封止管部52が連設されている。発光管部51の内部には、一対の電極61,62が、各々電極棒71,72に固定され所定の間隔を隔てて互いに対向するよう配置されている。
一対の電極61,62はタングステンよりなり、例えば、全体が略円柱状であって先端部および後端部に各々外方に向かって先細りするよう曲面ないしは斜面が形成された陽極61と、先端が尖塔状に成形された陰極62と、から構成されている。
このようなショートアーク型放電ランプは、上記用途においては通常、陽極61が上、陰極62が下というバルブの管軸が垂直に位置される姿勢に保持されて、適宜の光学系と共に使用される。
しかして、一般的な光学系においてはアークの中心から上下45°程度の角度範囲(以下「有効利用範囲」という。)から放射する光を利用することが多い。従って、上記黒化物がこの範囲内に付着しない間は光放射の低下に関して影響を生じるものではない。
まず、対流は、アークと共に発光管部51の中心部近傍において陰極62から陽極61に向かって、矢印X1のように下方から上方に向かって流れる。そして、陽極61の中央部で、電極棒71に沿って垂直下向きに流れる比較的低温の気流Y1と衝突した後、矢印X2で示すように発光管部51の管壁に向かって広がって、発光管部51の内壁にあたって折り返され、矢印X3のように内壁に沿って下方に向かって流れる。
また、前記環状部材はタングステン(W),モリブデン(Mo),タンタル(Ta)あるいはこれらを主成分とした高融点材料,またはセラミックスのいずれかよりなるのがよい。
また、前記環状部材は円板形状,あるいは金属素線を渦巻状に巻回して略円板形状とした構造を有するのがよい。
この放電ランプにおいて、バルブ10は、石英ガラスにより形成され、発光空間Sを囲繞する楕円球形の発光管部11と、この発光管部11の両端から外方に伸びるよう連設された筒状の封止管部12とにより構成されており、それぞれ当該発光管部11に続く封止管部12の発光管部11に接近した個所に、封止管部12の一部が縮径された状態の絞り込み部12aが形成されている。
このショートアーク型放電ランプにおいては、例えば、陽極が上、陰極が下となるようにバルブの管軸が垂直に位置される姿勢に保持され、アークの中心から概略上下45°程度の角度範囲(有効利用範囲)から放射する光が利用されることになる。
環状部材30は薄い板状で、その中心孔に電極棒15が挿通されて、溶接などの手段によって固定されている。この環状部材30は、陽極13の後端面13dと電極棒保持用筒体16の一端面16aとの間において、両方の部材に接触しないように間隙を有して配置されている。
環状部材30の材質としては、耐熱性に富むものであればよく、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などの高融点金属、あるいはこれらのうちのいずれかを主成分とした高融点材料を好適に使用することができる。特にタンタルを用いるとゲッターとしての効果も期待できる。また、アルミナ(Al2O3)やシリカガラス(SiO2)などのセラミックスを用いることもできる。
同図において、環状部材30と陽極13の後端面13dとの間に形成される間隙d(mm)は、例えば、陽極13の後端面13dと電極棒保持用筒体16の一端面16aの間の距離をD(mm)とすると0.2D〜0.8D(mm)である。
また、環状部材30の電極棒15外周面からの半径方向の突出長e(mm)は、例えば上側に配置された電極(ここでは陽極13)の最大径E(mm)(図示省略)とすると、2〜E/2(mm)、好ましくは0.2E〜0.4E(mm)である。このように、間隙d(mm)と突出長e(mm)を設定することで、矢印B1の流れを捕捉し易くなり対流の規制に効果的に作用する。
図2のように、電極棒保持用筒体の一端面16a近傍からの比較的低温の気流B1は、電極棒15に沿って下降すると環状部材30に衝突して半径方向外方に流れ、バルブ10の内壁に衝突して多数の小さい渦流を形成し、バルブ10上部の管壁、電極棒15、環状部材30に衝突する。その一部の気流が環状部材30とバルブ10の間隙を通過して、発光管部11側に流入する。
矢印A1で示すアーク近傍よりの上昇する気流は、陽極13の胴部13bの側面に沿って流れると、該陽極13の後端部13cに差し掛かったところで、矢印A2で示すように半径方向外方に広がるように流れ、バルブ10の管壁付近で環状部材30とバルブ10の間から流入したB2の気流と合流する。この矢印B2の気流は、環状部材30の上方において十分循環してから降下するため勢力が小さく、矢印A2の流れを下方に押し下げるには至らない。
そして、矢印A2、矢印B2の流れが合流して矢印C1の流れを形成し、そこから陽極13後端面13dと環状部材30との間に小さな渦流を形成する。しかる後、矢印C2のように環状部材30よりも上方に上昇して、そこでもバルブ10上部の管壁、電極棒15、環状部材30に衝突するような小さい渦流を形成する。これらの渦流は、アーク近傍からの上昇気流を巻き込んでおり、すなわち蒸発物を含んでおり、係る電極材の蒸発物のほとんどをバルブ10上部管壁、電極棒15、環状部材30などに付着せしめる。その結果、バルブ10の有効利用範囲近傍に下降する気流A3には蒸発物がほとんど含まれなくなる。
図3(a)は、内径が電極棒の外径とほぼ同じ中心孔30aを有し、円盤状に成形して製作された環状部材30である。厚みは例えば、0.1〜5mmである。電極棒との固定は、係る環状部材の中心孔近傍30aにおいて溶接、ロウ付けなどの手段によっても良いし、金属線などを電極棒に巻きつけて環状部材を係止させて固定してもよい。
図3(b)は、金属の線材を渦巻型に巻回して製作したものである。このように、環状部材30は板材に限定されず適宜変更が可能である。この環状部材30の中心部には電極棒取り付け用の取付け部30bが具備されており、係る取付け部30bにおいて電極棒に溶接等の手段で固定する。
図3(c)は、上記(a)と同様、円盤型に成形したもので、中心孔30a近傍に前記取付け部30bを形成したものである。
例えば、上記の例においては、陽極が上側に位置された姿勢で点灯するランプの例で説明したが、陰極を上側に位置させた姿勢で点灯するランプにも適用できる。その場合、環状部材は上側に位置された電極棒に装着される。
定格消費電力:3.5kW
発光管部寸法:直径70mm、発光管部長さ100mm
封入ガス:アルゴン40kPa(25℃)
封入水銀:5.5g
陽極:直径20mm、長さ30mm
環状部材:厚さ0.5mm、外径22mm、材質モリブデン、環状部材の両側において電極棒に直径0.8mmのタンタル線を巻きつけ固定した。
なお、環状部材(30)と陽極後端面(13d)との間に形成される間隙(d(mm))は12mm、半径方向の突出長(e(mm))は5mmであった。
定格消費電力:5kW
発光管部寸法:直径80mm、発光管部長さ110mm
封入ガス:アルゴン65kPa(25℃)
封入水銀:8.5g
陽極:直径25mm、長さ35mm
環状部材:厚さ5mm、外径22mm、材質モリブデン、環状部材の両側において電極棒に直径0.8mmのタンタル線を巻きつけ固定した。
なお、環状部材(30)と陽極後端面(13d)との間に形成される間隙(d(mm))は15mm、半径方向の突出長(e(mm))は7mmであった。
このため、ランプ中央領域のランプ内壁面に向かう流れは、蒸発物の濃度が低くなり、には含まれる蒸発物がほとんどなくなるので、有効利用範囲における蒸発物の付着量が著しく減少し、有効利用範囲内において黒化の発生を抑制することができるようになる。
その結果、光透過率が維持され、照度を高く維持することができ、使用寿命の長いショートアーク型放電ランプを提供できるようになる。
11 発光管部
12 封止管部
13 陽極
14 陰極
15 電極棒
16 電極棒保持用筒体
17 封止用ガラス部材
18 外部リード棒
19 リード棒保持用筒体
20 金属箔
30 環状部材
30a 中心孔
30b 取付け部
31 溝
S 発光空間
P,Q バルブ上部
Claims (3)
- 発光管部およびこの発光管部の両端から外方に伸びるよう設けられた封止管部よりなるバルブと、このバルブの発光管部の内部に対向配置された一対の電極と、該電極をそれぞれ先端に有する一組の電極棒とを具備してなるショートアーク型放電ランプにおいて、
前記一組の電極棒のうち他方の電極棒よりも上側に位置される電極棒に、半径方向に突出する環状部材が設けられてなり、
前記環状部材の外周面と前記バルブの管壁との間に、気流が通過可能な間隙が形成されている
ことを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記環状部材がタングステン(W),モリブデン(Mo),タンタル(Ta)またはセラミックスのいずれかよりなる
ことを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記環状部材が円板形状あるいは金属素線を渦巻状に巻回して略円板形状とした構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
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