JP4393998B2 - 配糖体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配糖体の製造方法に関する。詳しくはポリフェノール化合物と糖がグリコシド結合で結合した配糖体の製造方法に関し、特に没食子酸誘導体と糖がグリコシド結合で結合した配糖体の製造方法に関する。
近年、美白作用および抗酸化作用を有するポリフェノール化合物が注目され、例えば、没食子酸およびそのエステル類は、肌の美白剤または抗酸化剤としてクリームや乳液などの皮膚用外用剤、ヘアメイク剤、ジェルなどの毛髪処理剤など多くの分野への応用が期待されている。また、毛髪に弾力を付与し、改質するという特異的な作用効果も見出されている(特開2000−314084号公報)。
しかしながら、これらポリフェノール類は刺激性、感さ性といった不都合な性状を示したり、着色しやすい等の問題がある。例えば没食子酸誘導体は製剤化の際に着色や沈殿が生じるなどの問題があり、充分に美白作用および抗酸化作用を発現させる事は困難であった。このようなポリフェノール類の着色や沈殿を防止する方法として、ポルフィリン金属錯体と有機還元剤を添加する方法(特開昭63−145213号公報)、ある種のポリオールを単独またはアスコルビン酸等の抗酸化剤と共に添加する方法(特開平6−239716号公報)が知られているが、未だ満足すべき方法とはいえない。
上記のポリフェノール化合物が有する問題点を解決する方法として、いわゆる配糖体を用いる考え方が古くから知られている。例えば、毒性の高いハイドロキノンにグルコースを結合させることにより美白作用を有する「アルブチン」へと変換することができる。同様に没食子酸に存在する3つの水酸基の内少なくとも1つに糖誘導体を結合させたいわゆる配糖体を用いる発明も開示されている(特開2000−319116号公報)。この公報には、配糖体の製造方法として、没食子酸またはそのエステル体等と、水酸基が一部または完全にアセチル化された糖類もしくはアノマー位がハロゲン化された糖類を、例えばBF3・Et2O、SnCl4、ZnCl2等の酸触媒の存在下、溶媒中で反応させてグルコシル化物を得、これを必要であれば酸若しくはアルカリ触媒の存在下、脱保護反応を行い、抽出、カラムクロマトグラフィーにより精製する方法が開示されている。
しかしながら、上記の特開2000−319116号公報に開示されている方法で得られるグルコシル化物の収率は低く、満足すべきものとはいえない。
一方、特開昭62−263194号公報、特開昭62−263195号公報および特開平1−249796号公報さらに特開平5−51394号公報には、分子内に1つまたは2つのフェノール性水酸基を有する化合物とグルコースなどの糖のパーアセチル誘導体との反応で副生する酢酸を反応系外へ留去させながら反応させて分子内にフェノール性水酸基を有する化合物の1つのフェノール性水酸基と糖のパーアセチル誘導体のアノマー炭素原子上のアセチル基とから酢酸がとれてできたグリコシド結合を有する化合物が得られることが記載されている。しかしながら、これまで、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とグルコースなどの糖のパーアセチル誘導体との反応により、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物中の少なくとも2つのフェノール性水酸基と糖のアノマー炭素原子上のアセチル基とから酢酸がとれてできた(グリコシド)結合を少なくとも2つ有する化合物の製造方法およびこの化合物からの配糖体の製造方法は報告されていない。
本発明は、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖から分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物中の少なくとも2つのフェノール性水酸基に少なくとも2つの糖がグリコシド結合した配糖体を製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、没食子酸メチルエステルとペンタアセチルグルコースとを有機溶媒およびルイス酸の存在下で反応させて、没食子酸メチルエステルのグリコシル化物を得る方法を検討している過程で、反応で生成する酢酸が反応系内に存在すると、反応基質と反応生成物とが平衡状態にあること、没食子酸メチルエステルのフェノール性水酸基にペンタアセチルグルコースが1つグリコシド結合した化合物と没食子酸メチルエステルのフェノール性水酸基にペンタアセチルグルコースが2つグリコシド結合した化合物とが平衡状態にあること、反応系内に酢酸が存在すると没食子酸メチルエステルおよび没食子酸メチルエステルのフェノール性水酸基にペンタアセチルグルコースが1つグリコシド結合した化合物の一部は、分子内のフェノール性水酸基がアセチル化を受け、もはやペンタアセチルグルコースとは反応不可能な骨格へと変化する事を見出した。
本発明者らは、この知見を基に鋭意検討した結果、上記の反応で生成する酢酸を反応系外に除去しつつ反応を行うことにより没食子酸メチルエステルおよび没食子酸メチルエステルのフェノール性水酸基にペンタアセチルグルコースが2つグリコシド結合した化合物の収率が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、分子内に少なくとも2つ以上のフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアシル化された糖とを、有機溶媒および酸触媒の存在下で反応させるに際し、生成する酢酸を反応系内から除去しつつ該反応を行う工程を含むことを特徴とする分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物における少なくとも2つのフェノール性水酸基と少なくとも2つの糖の各アノマー炭素原子とがグリコシド結合で結合している配糖体の製造方法に関する。
本発明に用いられる分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物としては、特に制限はないが、具体的には、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物が例示される。
Figure 0004393998
[式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜18のアシル基または置換基を有していても良いベンジル基を表し、R2は、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基、−(C=O)−R3−R4(ただし、R3は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキレン基またはアルケニル基を表し、R4は置換されていても良いフェニル基を表す。)、−R3−(C=O)R4(ただし、R3は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキレン基またはアルケニル基を表し、R4は置換されていても良いフェニル基を表す。)、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いフェニル基、−O−R5、−S−R5、−S−S−R5、−NH−R5、−SO2−R5、−CONH−R5、−NHCO−R5、−COO−R5、−OCO−R5、−OCONH−R5、−NHCOO−R5、−NHCONH−R5、−OCOO−R5、−SO2NH−R5、−NHSO2−R5(但し、R5は置換されていても良いフェニル基を示す。)を表し、nは2〜5の整数、mは1〜3の整数を示す。]
Figure 0004393998
[式(2)中、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表す。]
式(1)において、R1は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜18のアシル基または置換基を有していても良いベンジル基を表す。
式(1)において、R2は、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基、−(C=O)−R3−R4(ただし、R3は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキレン基またはアルケニル基を表し、R4は置換されていても良いフェニル基を表す。)、−R3−(C=O)R4(ただし、R3は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキレン基またはアルケニル基を表し、R4は置換されていても良いフェニル基を表す。)、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いフェニル基、−O−R5、−S−R5、−S−S−R5、−NH−R5、−SO2−R5、−CONH−R5、−NHCO−R5、−COO−R5、−OCO−R5、−OCONH−R5、−NHCOO−R5、−NHCONH−R5、−OCOO−R5、−SO2NH−R5、−NHSO2−R5(但し、R5は置換されていても良いフェニル基を示す。)を表し、nは2〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。
式(1)において、置換基を有していてもよいベンジル基としてはメチルベンジル基、メトキシベンジル基等が挙げられ、置換されていてもよいフェニル基としては炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、ベンジルオキシカルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基などにより置換されたフェニル基が挙げられる。また、式(1)において、置換基を有していてもよいアミノ基としてはN,N‘−ジメチルアミノ基、N,N‘−ジエチルアミノ基、N,N‘−ジブチルアミノ基等が挙げられる。
式(2)において、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表す。
上記の分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物として、代表的な化合物を例示するとすれば、例えば、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2.4−ジヒドロキシアセトフェノン、3.4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン等に代表されるフェノール性水酸基を2つ有する化合物、没食子酸、没食子酸メチルに代表されるフェノール性水酸基を3つ有する化合物、1,3−ビス(2,4,−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(2、4,−ジヒドロキシフェニル)−1−プロパノン、1,3−ビス(2,4,−ジヒドロキシフェニル)−1−プロペン−3−オン、1,3−ビス(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1−プロペン−3−オン、1−(2,4,−ジヒドロキシフェニル)−3−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−1−プロペン−1−オン、2,2‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル]ベンゼン、N,S−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンアミド、N,C−ビス(4−ヒドロキシフェニル)カルボキシアミドに代表される、フェノール性水酸基を有する芳香環がアルキル基、アルケニル基、スルホン基、アミド基等により連結した化合物、カテキン、エピカテキン、ルチン、クレセチン、シアニジン等に代表されるフラボノイド等が挙げられる。これらの中でも没食子酸誘導体は好ましい。没食子酸誘導体としては特に制限はなく、例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソプロピル等の没食子酸アルキルエステル類が挙げられ、これらのなかでも入手の容易な没食子酸メチル、没食子酸エチルは好ましい化合物である。
本発明に用いられるアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖としては、特に制限はなく、糖のアノマー炭素原子以外の炭素原子に結合している水酸基の一部またはすべてがアセチル化されていてもよい。このようなアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖としては、例えば、1,2,3,4,6−ペンタ−o−アセチルグルコピラノース(ペンタアセチルグルコース)、1,2,3,4,6,2’,3’,4‘,6’−ノナ−o−アセチルマルトピラノース(ノナアセチルマルトース)、1,2,3,4,6−ペンタ−o−アセチルガラクトピラノース(ペンタアセチルガラクトース)等の1−o−アシル化糖、フェニル−2,3,4,6−テトラ−o−アセチル−チオ−グルコピラノシド等のチオグリコシド等が挙げられる。これらの中でも保存安定性が高く、酸で容易に活性化される1−o−アシル化糖が好ましく、ペンタアセチルグルコースが最も好ましい。これらのアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖は、市販品として購入することができるが、ペンタアセチルグルコース等、合成の容易なものは合成することもできる(実施例5を参照)。合成したアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖は、一旦、粉体として単離して用いることもできるが、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖を含有する反応液を用いることもできる。但し、ペンタアセチルグルコース等の1−o−アシル化糖をグルコース等の糖と無水酢酸を用いて合成した場合、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖を含有する反応液中には酢酸が存在するため、この酢酸を留去または水洗により除去した後に用いる必要がある。
一般に、糖にはα体およびβ体の異性体が存在するが、本発明には、α体、β体の糖をそれぞれ単独で用いることができるが、α体とβ体の混合物を用いることもできる。β体は反応性が高い点で好ましい。上記の反応においては、一部β体からα体への異性化が観察されるが、α体とβ体の混合物を用いた場合には、β体からα体への異性化は若干抑制される傾向にある。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物との反応に用いるアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖の使用量は、反応が充分進行する量であれば特に制限はないが、通常、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物に存在するフェノール性水酸基に対して等モル〜10倍モル、好ましくは1.1倍モル〜5倍モルが用いられる。この範囲より少ない量では化学量論的に不足するだけでなく反応速度が低下し、反応収率が低下する傾向にあり好ましくない。また、この範囲より多い場合、反応収率の向上が観られないばかりでなく、反応混合物の粘度が上がり、濾過性が悪化する等その後の単離操作が困難になる傾向があり好ましくない。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖との反応に用いられる有機溶媒としては、酢酸以外の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖およびこれらを反応させて得られる目的生成物に対して不活性であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、(混合)キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、トリメチルベンゼン、スチレン等に代表される芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、α−ピネン等に代表される脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、ジブロモメタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモエタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、モノブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼンに代表されるハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンに代表されるニトロ化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチルに代表されるエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェネトールに代表されるエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンに代表されるケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンに代表される含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランに代表される含硫極性溶媒、ピリジン、N−メチルモルホリン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン等の環状3級アミン等が挙げられる。これらの中でも、酢酸と共沸組成を有するトルエン、(混合)キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、α−ピネン、ニトロエタン、ジオキサン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン等が好ましい。これらのなかでも、酢酸との共沸組成が高く、ハンドリングの容易さ、価格等を考慮した場合には、キシレン、オクタン、エチルベンゼン等が特に好ましい。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で用いることができるが、2種以上を併用することもできる。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖の反応に用いる有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、通常、基質濃度が2wt%〜70wt%、好ましくは5wt%〜50wt%となる量を用いる。50wt%より多い量では容積効率が悪く経済的でない。また、5wt%より少ない量ではスラリー粘度が高くなり、攪拌への負荷が大きくなる。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖の反応に用いられる酸触媒としては、特に制限はなく、例えば、有機合成反応に一般的に使用されるプロトン酸、ルイス酸が挙げられる。プロトン酸としては、例えば、塩酸、臭化水素、フッ化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、BF3、ZnCl2、ZnCl4、FeCl3、SnCl2、SnCl4、TiCl4、SnCl4、MgCl2等のルイス酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。酸触媒のなかでも、温和な条件で反応が可能なルイス酸が好ましく、BF3が溶解性、活性の面で特に好ましい。BF3にはエーテル錯体、酢酸錯体、メタノール錯体またはフェノール錯体等の錯体が存在するが、これらの錯体を使用することもできる。
酸触媒の使用量は、該反応に用いる触媒に応じて適宜その量を決定することができるが、通常は、分子内に少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物に存在するフェノール性水酸基に対して2モル%〜50モル%、好ましくは5モル%〜40モル%、さらに好ましくは10モル%〜30モル%が設定される。この範囲より少ない量では触媒効果が充分に発揮されず反応速度が遅く、転化率も低くなる傾向がある。一方、この範囲より多い量では、反応速度の向上が観られないばかりか、配糖体の収率が低下する傾向にある。
酸触媒の添加方法としては、特に制限はなく、例えば、反応開始時に所定量を一括して供給する方法、所定量を反応途中で分割供給する方法等が挙げられる。また、酸触媒は上記の有機溶媒を用いて溶解または希釈した後、連続的に滴下しながら供給しても構わない。ペンタアセチルグルコース等の1−o−アシル化糖の一部が溶解している懸濁液、例えば、ペンタアセチルグルコースの合成液を使用する場合、反応初期の酢酸の生成速度を制御するために反応開始前の反応系内の触媒量は少量に抑えるのが好ましい。通常、その量はフェノール性水酸基に対して2〜10mol%である。その後、所定の触媒量まで分割または一括で添加すれば良い。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖とを反応させる際の反応温度は、目的生成物が得られる温度であれば特に制限はないが、目的生成物の出発化合物、使用する触媒および有機溶媒の種類に応じて適宜その条件を決定することができる。通常、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、さらに好ましくは30℃〜60℃である。0℃より低い温度では反応が著しく遅く経済的でなく、一方、100℃より高い温度では、反応速度は向上するものの目的物である配糖体の収率が低下する傾向にある。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖とを反応させる際の圧力は、目的生成物が得られる圧力であれば特に制限はないが、反応温度の場合と同様に適宜その条件を決定することができる。通常、常圧〜133.3Pa(常圧〜1mmHg)の間で設定される。上記反応温度に制御するため、使用溶媒によっては反応系を減圧に保持する必要がある場合がある。
本発明の配糖体の製造方法においては、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖とを、有機溶媒および酸触媒の存在下で反応させるに際し、生成する酢酸を反応系内から除去しつつ反応させる工程を含む。この工程を採用することにより、配糖体の収率が顕著に向上する。
生成する酢酸を反応系内から除去する方法としては、特に制限はないが、例えば、所定の温度で、使用した有機溶媒と共に酢酸を抜き出しながら、抜き出した溶媒に相当する量の溶媒を適宜追加し、反応基質の濃度を所定の範囲に調整する方法が挙げられる。溶媒の反応系内からの抜き出しおよび反応系内への追加は、連続的に行うこともできるし、一定量を抜き出した後に一定量を追加する断続的な方法を採用することもできる。酢酸の反応系内からの除去は早いほうが好ましく、酢酸を有機溶媒とともに反応系内から留去する場合、留出液の留出速度が速いと共沸組成が崩れやすいため、充填剤を詰めた塔を付帯した反応機を用いるのが好ましい。留出液の留出速度は、有機溶媒の種類にも依るが、通常、使用する分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物1molあたり、10g/hr〜1000g/hr、好ましくは20g/hr〜500g/hrである。
上記操作を行った場合、反応中の系内酢酸濃度は1.0wt%以下に維持される。
ペンタアセチルグルコース等の1−o−アシル化糖の一部が溶解している懸濁液、例えば、ペンタアセチルグルコースの合成液を使用する場合、反応初期(反応開始から3hr程度)の留出速度を早くする必要がある。通常、その留出速度は上記の留出速度の2〜4倍である。
上記の反応により、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物に存在する2つのフェノール性水酸基の2つの酸素原子とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖のアノマー炭素原子との間で2つのグリコシド結合を形成した化合物が得られる。
分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖の組み合わせにより、フェノール性水酸基の酸素原子と、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖のアノマー炭素原子とが結合した種々の化合物が得られる。具体的には式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004393998
[式(3)中、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表し、R2〜R4は、そのうちの2つはアセチル化されていてもよい水酸基を有していても良い単糖、二糖またはオリゴ糖残基、またはアセチル保護基を有していても良い単糖、二糖もしくはオリゴ糖残基であり、残りの基は水酸基を表す。]
式(3)において、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表し、R2〜R4は、そのうちの2つはアセチル化されていてもよい水酸基を有していても良い単糖、二糖またはオリゴ糖残基、またはアセチル保護基を有していても良い単糖、二糖もしくはオリゴ糖残基であり、残りの基は水酸基を表す。
このような分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物の少なくとも2つのフェノール性水酸基と、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖のアノマー炭素原子のアセチル基とから酢酸がとれてできたグリコシド結合を少なくとも2つ有する化合物を具体的に示すとすれば、例えば、ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシル)ハイドロキノン、ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシル)レゾルシン、ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシル)カテコール、2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシル)−γ−レゾルシン酸、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド−2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン−2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、1,3−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル)]プロパン、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ヒドロキシフェニル]−1−プロパノン、1,3−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロパノン、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ヒドロキシフェニル]−1−プロペン−3−オン、1,3−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロペン−3−オン、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ベンジルオキシフェニル]プロパン、1,3−ビス[2−ベンジルオキシ4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ベンジルオキシフェニル]−1−プロパノン、1,3−ビス[2−ベンジルオキシ4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロパノン、1,3−ビス[2−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)−4−ベンジルオキシフェニル]−1−プロペン−3−オン、1,3−ビス[2−ベンジルオキシ4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロペン−3−オン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル)−3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−3−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)プロパン、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]プロパン、1−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]プロパン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1−プロパノン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−3−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−1−プロパノン、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロパノン、1−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロパノン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1−プロペン−3−オン、1−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−3−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−1−プロペン−3−オン、1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロペン−3−オン、1−(2,4−ジベンジルオキシフェニル)−3−[2,4−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−1−プロペン−3−オン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2‘−[4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]プロパン、2−[4−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)フェニル]−2‘−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4‘−ジ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシロキシ)ジフェニルスルホン、没食子酸−3.5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸メチル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸エチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸エチル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸プロピル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸プロピル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)、没食子酸−3.5−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸−3,4−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸メチル−3,4−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸エチル−3,5−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸エチル−3,4−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸プロピル−3,5−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸プロピル−3,4−ビス(2,3,4,6,2’,3’,4’,6’−オクタ−o−アセチルマルトシド)、没食子酸−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸メチル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸エチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸エチル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸プロピル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)、没食子酸プロピル−3,4−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルガラクトシド)等が挙げられる。
本発明者らは、分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物である没食子酸メチルエステルと、アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖であるペンタアセチルグルコースを用いて上記の反応を行うと、没食子酸メチルエステル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラアセチルグルコシド)が主生成物として得られることを見出した。すなわち、本発明の製造方法は、式(2)で表される化合物から該式(2)で表される化合物の3位および5位の水酸基と、グルコースまたはガラクトースなどの単糖、マルトースなどの二糖もしくはオリゴ糖などの糖のアノマー炭素原子とがグリコシド結合で結合している配糖体を得る方法として有用である。
上記の反応により得られる、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖のアノマー炭素原子上のアセチル基とから酢酸がとれたグリコシド結合を少なくとも2つ有する化合物は、通常、反応混合液を冷却する事で結晶が析出するので、濾過、遠心分離等の固液分離操作により回収することが出来る。冷却のみでは結晶が析出しない場合があるが、その場合は溶解しにくい溶媒(いわゆる貧溶媒)を添加することにより結晶を析出させることができる。
上記の反応により得られる、分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物に存在するフェノール性水酸基とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖のアノマー炭素原子上のアセチル基とから酢酸がとれたグリコシド結合を少なくとも2つ有する化合物において、該化合物の糖部分に水酸基を保護するための保護基としてアセチル基またはベンゾイル基が存在する場合、これらの保護基を脱離させることによりいわゆる配糖体を得ることができる。該化合物に存在するアセチル基またはベンゾイル基は塩基性条件下で容易に脱離させることができる。通常、これらの基の脱離にはナトリウムメチラート/メタノール、ナトリウムエチラート/エタノール、水酸化ナトリウム/水、水酸化カリウム/水、水酸化ナトリウム/メタノール水、水酸化カリウム/メタノール水等が用いられる。これらのなかでも配糖体の溶解度および経済性の点で、水酸化ナトリウム/メタノール水を用いるのが好ましい。メタノール水としては、メタノールが20重量%〜90重量%のメタノール水が用いられる。
本発明の製造方法で得られる配糖体は、通常、上記の保護基の脱離反応を行って得られる反応混合物を冷却することにより配糖体の結晶が析出してくるので、濾過、遠心分離等の固液分離操作により配糖体を回収することが出来る。冷却のみでは配糖体の結晶が析出しない場合があるが、その場合は配糖体を溶解しにくい溶媒を添加することにより配糖体の結晶を析出させることができる。
本発明の製造方法により得られる配糖体のなかでも、没食子酸−3,5−ジグルコシド、没食子酸メチル−3,5−ジグルコシド、没食子酸エチル−3,5−ジグルコシド、没食子酸プロピル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジマルトシド、没食子酸メチル−3,5−ジマルトシド、没食子酸エチル−3,5−ジマルトシド、没食子酸プロピル−3,5−ジマルトシド、没食子酸−3,5−ジガラクトシド、没食子酸メチル−3,5−ジガラクトシド、没食子酸エチル−3,5−ジガラクトシド、没食子酸プロピル−3,5−ジガラクトシド等は美白作用および抗酸化作用を有する有用な化合物である。
さらに、没食子酸−3,5−ジグルコシド、没食子酸メチル−3,5−ジグルコシド、没食子酸エチル−3,5−ジグルコシド、没食子酸プロピル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジマルトシド、没食子酸メチル−3,5−ジマルトシド、没食子酸エチル−3,5−ジマルトシド、没食子酸プロピル−3,5−ジマルトシド、没食子酸−3,5−ジガラクトシド、没食子酸メチル−3,5−ジガラクトシド、没食子酸エチル−3,5−ジガラクトシド、没食子酸プロピル−3,5−ジガラクトシド等は化粧品やヘアートリートメントに有用な化合物である。
これらの化合物にはα体およびβ体が存在するが、いずれもこれらの用途に用いることができる。
本発明の製造方法により得られる配糖体はそのまま乾燥しても良いし、必要であればさらに脱保護あるいは誘導体化しても良い。
本発明の製造方法により得られる配糖体において、例えば没食子酸骨格のアルキルエステルは塩基性あるいは酸性条件に供する事で脱保護可能である。通常、ナトリウムメチラート/メタノール、ナトリウムエチラート/エタノール、水酸化ナトリウム/水、水酸化カリウム/水、水酸化ナトリウム/メタノール水、水酸化カリウム/メタノール水、硫酸/水、塩酸/水等が用いられる。
本発明の配糖化により得られる配糖体を脱保護した後は、濃縮、冷却などにより晶析させた後、固液分離操作により単離する事が出来る。脱保護で副生した無機物は、再結晶、イオン交換等の操作により除去できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中の各化合物の収率は高速液体クロマトグラフィー分析を用いた検量線法によった。各化合物の分析条件は以下のとおりである。
(1)没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6,−テトラ−o−アセチルグルコシド)の分析条件
カラム :ODS(YMC A−312)
検出 :UV(240nm)
溶離液 :メタノール/水/オクタンスルホン酸Na=2000ml/1000ml/1.0g
試料の調製:反応マスを10mlメスフラスコにサンプリングし、無水酢酸0.3mlおよびピリジン0.2mlを添加し40℃で5分間加熱した後に10mlに調整する。
(2)没食子酸−3,5−ジグルコシドの分析条件
カラム :ODS(YMC A−312)
検出 :UV(240nm)
溶離液 :メタノール/水/オクタンスルホン酸Na=20ml/980ml/0.8g
試料の調製:秤量(約50mg)した試料を水に溶解し10mlにメスアップする。
(3)ハイドロキノン−1−(2,3,4,5−o−テトラアセチルグルコシド)およびハイドロキノン−1,4−ビス(2,3,4,5−o−テトラアセチルグルコシド)の分析条件
カラム :ODS(YMC A−312)
検出 :UV(230nm)
溶離液 :アセトニトリル/水=500ml/500ml(酢酸でpH=4に調整)
試料の調製:反応マスを10mlメスフラスコにサンプリングし、無水酢酸0.3mlおよびピリジン0.2mlを添加し40℃で5分間加熱した後に10mlに調整する。
没食子酸メチル(以下、「GM」と略記する。)36.8g(0.2mol)、ペンタアセチル−β−D−グルコース(以下、「β─PAG」と略記する。)226.4g(0.58mol)、混合キシレン530gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体4.4g(15mol%/GM)を添加し、43〜47℃/4.0〜3.6KPa(30〜27mmHg)で反応を16hr行った。途中、BF3・ジエチルエーテル錯体2.0gを追加した。留出液は連続的に抜き出し、16hr後の総量は440gであった。この内、酢酸は20.8gであった。一方、追加キシレンは6hr目に150g、12hr目に73gを追加した。反応終了後のマスを分析した結果、没食子酸メチル−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は91.5%/GMであった。得られた反応マスを室温まで冷却し、大気圧に戻した後、析出した結晶を濾過して回収し、回収した結晶をキシレン56gで2回洗浄した後、乾燥し、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の結晶155.6gを得た。純度=94.5%、純度換算収率=87.1%であった。なお、上記反応中の反応系内の酢酸濃度は0.32〜0.38wt%であった。
GM110.5g(0.6mol)、β─PAG679.2g(1.74mol)、混合キシレン1800gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体12.77g(15mol%/GM)を添加し、43〜47℃/4.0〜3.6KPa(30〜27mmHg)で反応を16hr行い、BF3・ジエチルエーテル錯体7.45gを追加した後、さらに2hr反応を行った。留出液は連続的に抜き出し、18hr後の総量は1500gであった。一方、追加キシレンは6hr目に509.4g、12hr目に247.9gを追加した。反応終了後のマスを分析した結果、没食子酸メチル−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は87.1%/GMであった。得られた反応マスを室温まで冷却し、大気圧に戻した後、、析出した結晶を濾過して回収し、回収した結晶をキシレン165gで2回洗浄した後、乾燥を行い、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の結晶を得た。471.7gを得た。純度=92.5%、純度換算収率=86.1%であった。なお、上記反応中の反応系内の酢酸濃度は0.48〜0.50wt%であった。
次に、メタノール/水=490g/311.5gを敷いたフラスコに204.1g(2.5mol)の49%NaOH水を4hrかけて滴下装入すると同時に、5分遅れで、得られた没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の結晶228.3g(0.25mol)を490gのメタノールに懸濁したスラリー液を同じく4hrかけて滴下装入しながら10〜15℃でアセチル保護基の加水分解を行った。同温度で1hr熟成した後、選られた結晶を濾過して回収し、回収した結晶を70重量%のメタノール水228gで2回洗浄し、没食子酸メチル−ジグルコシド・Na塩の湿体343.7gを得た。該湿体を水215gに溶解し、60℃に昇温した後に21.3gの49%NaOH(0.26mol)を2hrかけて滴下装入しながらメチルエステルの加水分解を行い、さらに昇温しながらメタノールを留去し、没食子酸−3,5−ジグルコシド・2Na塩の水溶液570.0gを得た。没食子酸−3,5−ジグルコシド・2Na濃度は22.2wt%であった。該溶液に水を添加して没食子酸−3,5−ジグルコシド・2Na濃度を5.4wt%とし、Naイオンを水素イオンに交換した強酸性イオン交換樹脂(レバチットtype−S)を充填したカラムで処理し、得られた処理液を減圧下60℃で濃縮し没食子酸−3,5−ジグルコシド濃度35%とした後、5℃まで冷却し、同温度で2hr保持した。析出した結晶を濾過し、水洗し、乾燥(75℃)して、没食子酸−3,5−ジグルコシドの白色結晶を92.8g得た。純度96.2%、純度換算収率=72.2%/GMであった。
没食子酸エチル(以下、「GE」と略記する。)39.6g(0.2mol)、β─PAG226.4g(0.58mol)、混合キシレン530gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体4.4g(15mol%/GM)を添加し、43〜47℃/4.0〜3.6KPa(30〜27mmHg)で反応を行った。10hr後に反応マスの分析を行った結果、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の収率は80.5%/GEであった。なお、反応中の反応系内の酢酸濃度は0.70〜0.74wt%であった。
GM18.42g(0.10mol)、PAG(α体/β体=2/8の混合品粉末)141.7g(0.363mol)、キシレン300gを仕込み、BF3・酢酸錯体(BF3含量36%)2.83g(15mol%/GM)を添加し、43〜47℃/4.0〜3.6KPa(30〜27mmHg)で反応を16hr行なった。途中12hr後にBF3・酢酸錯体を1.32g追加した。一方キシレンは16hrトータルで317g抜き出し、6hr目と12hr目に各々85g、41gを追加装入して反応を行った。没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は89.3%/GMであった。なお、反応中の反応系の酢酸濃度は0.73〜0.75wt%であった。その後、実施例2と同様の操作を行い、没食子酸−3,5−ジグルコシドの白色結晶36.2gを得た。純度96.2%、純度換算収率70.5%/GMであった。
グルコース(以下、「GLC」と略記する。)153.0g(0.849mol)、キシレン459g、触媒として酢酸ナトリウム1.53g(1重量%/GLC)を仕込み、無水酢酸520.3g(5.09mol)を90℃〜95℃で3hrかけて滴下装入しながら反応を行い、その後105℃で14hr反応を継続した。反応は定量的に進行しGLC転化率は100%であった。また、目的のPAGはα体/β体=2/8の比率であった。その後、3段〜5段相当の蒸留塔付帯の反応機にて、アセチル化での副生酢酸をキシレンとの共沸により留去した。実際にはアセチル化マスにキシレンを1071g装入した後に、減圧下45℃〜55℃でキシレン/酢酸を1546g留去した。留出液中の酢酸は260.7であり、合成PAGマスには副生酢酸量の0.1%相当の酢酸しか残存していなかった。
得られた合成PAGマスに触媒であるBF3・酢酸錯体8.0g(15mol%/GM)を添加し、触媒由来の酢酸を45℃/22〜24mmHgでキシレンと共に留出速度51g/hrの速度で留去した。その後、上記条件(45℃/22〜24mmHg)を維持したまま、GM52.1g(0.283mol)およびキシレン52,2gからなるスラリー液をすばやく装入し、反応を開始した。反応開始3hrまでは102g/hrの速度でキシレン/酢酸を留去し、それ以降は51g/hrの速度で留去した。一方追加キシレンは、反応3hrまで1hr毎に112gを追加し、それ以降は同量を2hr毎に追加した。また、BF3・酢酸錯体は、反応6hr目に2.7g(5mol%/GM)、反応12目に2.7g(5mol%/GM)を追加しながら反応を行った。反応液を分析した結果、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は90.5%/GMであった。なお、この反応中の反応系内の酢酸濃度は0.41から0.49wt%であった。その後減圧を維持したまま冷却し、20℃で大気圧に戻し2hr熟成した後に、析出した結晶を濾過して回収し、回収した結晶をキシレン78gで2回洗浄し、乾燥(60℃/12hr)を行い、没食子酸メチル−3,5−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の結晶211.8gを得た。純度95.4%、純度換算収率84.5%/GMであった。
その後、実施例2と同様の操作を行い、最終的に没食子酸−3,5,−ジグルコシドの白色結晶100gを得た。純度96.9%、純度換算収率69.2%であった。
ハイドロキノン(以下HQと略)11.03g(0.1mol)、β−PAG117.1g(0.3mol)、混合キシレン150gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体2.1g(15mol%/HQ)を添加し、43〜47℃/4.0〜3.6KPa(30〜27mmHg)で反応を12hr行った。反応液を分析した結果、ハイドロキノン−1,4−ビス(2,3,4,5−テトラ−o−アセチルグルコシド)の収率は89.0%/HQであり、ハイドロキノン−モノ(2,3,4,5−テトラ−o−アセチルグルコシド)は10.0%/HQ、原料HQは1.0%であった。なお、反応中の反応系内の酢酸濃度は0.45〜0.50wt%であった。
比較例1
GM36.8g(0.2mol)、β─PAG226.4g(0.58mol)、1,2−ジクロロエタン600gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体4.4g(15mol%/GM)を添加し、50℃で反応を行った。4hrで反応が頭打ちとなったため、触媒であるBF3・ジエチルエーテル錯体2.0gを追加して反応を継続したが、反応は進行せず、没食子酸メチル−3,5,−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は32.7%であった。なお、反応混合物中には、GMが7.1%/仕込み量、没食子酸メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)45%/GMが含まれていた。なお、反応中の反応系内の酢酸濃度は1.2〜1.5wt%であった。
比較例2
留出液の抜き出し速度を約半分とした(即ち16hrで総量240g)以外は実施例と同様の操作を行った。反応液を分析した結果、没食子酸メチル−ビス(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)の反応収率は61.5%/GMであり、没食子酸メチル−モノ(2,3,4,6−テトラ−o−アセチルグルコシド)が35%/GMであった。なお、反応中の反応系内の酢酸濃度は1.21〜1.25wt%であった。
比較例3
HQ11.03g(0.1mol)、β−PAG117.1g(0.3mol)、混合キシレン180gを仕込み、BF3・ジエチルエーテル錯体2.1g(15mol%/POB−Et)を添加し、43〜47℃/常圧で反応を20hr行った。反応液を分析した結果、ハイドロキノン−1,4−ビス(2,3,4,5−テトラ−o−アセチルグルコシド)の収率は38.5%/HQであり、ハイドロキノン−モノ(2,3,4,5−テトラ−o−アセチルグルコシド)が46.3%/HQであった。原料HQは4%/HQしか残存していなかった。なお、反応中の反応系内の酢酸濃度は1.6〜1.8wt%であった。
本発明によれば、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物における少なくとも2つのフェノール性水酸基と少なくとも2つの糖の各アノマー炭素原子とがグリコシド結合で結合している配糖体を高収率で得る方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖とを、有機溶媒および酸触媒の存在下で反応させるに際し、生成する酢酸を反応系内から除去しつつ該反応を行う工程を含み、
    分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物が式(2)
    Figure 0004393998
    [式(2)中、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表す。]で表される化合物であり、酢酸を有機溶媒とともに留出することにより、上記反応系内における酢酸濃度が、1.0wt%以下に維持されることを特徴とする、分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物における少なくとも2つのフェノール性水酸基と少なくとも2つの糖の各アノマー炭素原子とがグリコシド結合で結合している配糖体の製造方法。
  2. アノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖がペンタアセチルグルコースである請求の範囲第1項に記載の製造方法。
  3. 分子内に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物とアノマー炭素原子上の水酸基がアセチル化された糖とを反応させて得られる化合物が式(3)
    Figure 0004393998
    (式(3)中、R1は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基のいずれかを表し、R2〜R4は、そのうちの2つはアセチル化されていてもよい水酸基を有していても良い単糖、二糖またはオリゴ糖残基、またはアセチル保護基を有していても良い単糖、二糖もしくはオリゴ糖残基であり、残りの基は水酸基を表す。)で表される化合物である請求の範囲第1項または2項に記載の製造方法。
  4. 酸触媒がルイス酸触媒である請求の範囲第1項〜第項のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 酸触媒が三フッ化ホウ素である請求の範囲第1項〜第項のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 有機溶媒がキシレンである請求の範囲第1項〜第項のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 生成する酢酸の反応系内からの除去を30〜60℃で行う請求の範囲第1項〜第項のいずれか一項に記載の製造方法。
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