JPH0689015B2 - テトラアセチルアルブチンの製造法 - Google Patents

テトラアセチルアルブチンの製造法

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JPH0689015B2
JPH0689015B2 JP10746586A JP10746586A JPH0689015B2 JP H0689015 B2 JPH0689015 B2 JP H0689015B2 JP 10746586 A JP10746586 A JP 10746586A JP 10746586 A JP10746586 A JP 10746586A JP H0689015 B2 JPH0689015 B2 JP H0689015B2
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tetraacetylarbutin
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圭右 木野村
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Nippon Fine Chemical Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、テトラアセチルアルブチンの新規な製造法に
関する。
テトラアセチルアルブチンは、アルブチンの製造時の重
要な中間体であるばかりでなく、それ自体でも抗酸化作
用などの有用な性質を有している。
アルブチン(Arbutin)は天然植物“ウワウルシ”に含
まれる化合物として古くから知られており、その殺菌能
力から日本薬局方にも収録されている化合物である。ま
た、最近では写真用途に使用されたり、漂白作用を利用
して化粧品分野に応用されたりしている。
従来の技術 下記反応式の如く、β−ペンタアセチルグルコースにハ
イドロキノンを反応させてテトラアセチルアルブチンを
得ることは、公知である。
<反応式> [式中、Acはアセチル基を示す。] 例えば、パラトルエンスルホン酸等の触媒の存在下、13
0〜140℃の温度、減圧下に熔融して上記反応を行なう方
法[宍戸圭一、工業化学雑誌、39,456(1936)]、触媒
存在下に溶媒としてベンゼンを用い還流下に反応を行な
う方法[Doklady Akad. Nauk,S.S.S.R.,86,333(195
2)]等が開示されているが、これらの方法には種々の
欠点がある。即ち、前者の方法には反応のコントロール
が困難で後記比較例に示されるように収率が30%程度と
低く更に糖誘導体の反応に特有の副生物である褐変物質
が生成して精製が容易でないという欠点があり、又後者
の方法には収率が僅かに20%以下程度に過ぎないという
欠点がある。
また、ウオルフロムらは、上記後者の方法において、溶
媒としてキシレンを用いることを提案している(M.L.Wo
lfrom,A.Thompson,“Methods in Carbohydrate Chem.",
Vol.II,p211,1963)。しかし、これらの溶媒を用いた場
合にも後記比較例に示されるように収率は50%以下程度
と低いという欠点がある。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、上記従来方法の欠点が解消された、テ
トラアセチルアルブチンの新規にして好適な製造法を提
供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、前記反応において
特に溶媒としてモノ又は/及びポリエチレングリコール
ジアルキルエーテルを用いるときにはテトラアセチルア
ルブチンが通常少なくとも70%以上の高収率で得られ、
上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成する
に至つた。
即ち本発明は、β−ペンタアセチルグルコースにハイド
ロキノンを反応させてテトラアセチルアルブチンを製造
するに当り、反応溶媒としてモノ又は/及びポリエチレ
ングリコールジアルキルエーテルを用いることを特徴と
するテトラアセチルアルブチンの製造法に係る。
本発明においては、反応溶媒としてモノ又は/及びポリ
エチレングリコールジアルキルエーテルを用いることを
必須とする。モノ又は/及びポリエチレングリコールジ
アルキルエーテルとしては、 一般式 R1-O(CH2CH2O)n-R2 [式中、R1及びR2は同一又は異なつて炭素数1〜4のア
ルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す。]で表わさ
れるものが好ましく使用できる。
また、モノ又は/及びポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテルとしては、反応時に副生する酢酸を留去しつ
つ反応を進行させることを可能にするため、酢酸の沸点
(118℃/760mmHg)よりも20℃程度以上高い沸点を有す
るものであるのが好ましい。即ち、沸点が140℃/760mmH
g程度以上のものが好ましい。
特に好適なモノ又は/及びポリエチレングリコールジア
ルキルエーテルとしては、例えば エチレングリコールジブチルエーテル (C4H9OCH2CH2OC4H9、 bp.203.6℃/760mmHg)、 ジエチレングリコールジメチルエーテル (CH3-O(CH2CH2O)2-CH3、 bp.161℃/760mmHg)、 ジエチレングリコールジエチルエーテル (C2H5-O(CH2CH2O)2-C2H5、 bp.190℃/760mmHg)、 ジエチレングリコールジプロピルエーテル (C3H7-O(CH2CH2O)2-C3H7、 bp.219℃/760mmHg)、 ジエチレングリコールジブチルエーテル (C4H9-O(CH2CH2O)2-C4H9、 bp.254℃/760mmHg)、 テトラエチレングリコールジメチルエーテル (CH3-O(CH2CH2O)4-CH3、 bp.276℃/760mmHg)、 テトラエチレングリコールジブチルエーテル (C4H9-O(CH2CH2O)4-C4H9、 bp.330℃/760mmHg)等を挙げることができる。本発明に
おいては、モノ又は/及びポリエチレングリコールジア
ルキルエーテルの少なくとも1種を用いる。
本発明製造法は、上記特定の反応溶媒を用いる以外は、
従来方法とほぼ同様に行なうことができる。即ち、β−
ペンタアセチルグルコースとハイドロキノンとを、上記
特定の反応溶媒中で反応させることにより、目的のテト
ラアセチルアルブチンを得ることができる。ハイドロキ
ノンの使用量は、β−ペンタアセチルグルコースに対し
て通常1倍モル量以上、好ましくは1.1〜2.0倍モル量程
度、特に好ましくは、1.2〜1.7倍モル量程度とするのが
良い。上記特定の反応溶媒の使用量は、広い範囲から選
択できるが、β−ペンタアセチルグルコースに対して通
常0.2〜10重量倍程度、好ましくは0.5〜5重量倍程度と
するのが良い。反応温度及び圧力は、通常90〜120℃程
度の温度下、3〜150mmHg程度の減圧下であるのが好ま
しい。このような反応温度及び圧力とすることにより、
反応副生物である酢酸を反応系から除去でき、反応が促
進される。また、反応は触媒の存在下で行なうことが好
ましい。使用し得る触媒としては、例えばパラトルエン
スルホン酸、塩化亜鉛、オキシ塩化リン、硫酸、カチオ
ン交換樹脂、四塩化スズ等を挙げることができ、その使
用量は通常β−ペンタアセチルグルコースの0.05〜5重
量%程度であるのが適当である。また、反応時間は、通
常0.5〜10時間程度とするのが適当である。
かくして得られる目的化合物であるテトラアセチルアル
ブチンは、再結晶、各種クロマトグラフイー等により精
製することができる。テトラアセチルアルブチンは、常
法通り加水分解することにより、容易にアルブチンに導
くことができる。
発明の効果 本発明製造法によれば、目的化合物であるテトラアセチ
ルアルブチンを通常少なくとも70%以上という高収率で
得られるという格別顕著な効果が奏される。また、糖誘
導体の反応に特有の副生物である褐変物質の生成が殆ん
どないため、精製が容易であるという効果も得られる。
その理由は、前記特定の反応溶媒を用いたことにより、
反応物、生成物の溶解性が良く反応が均一系であるこ
と、副生する酢酸を反応系から容易に除去できること、
生成物の異性体転位(β−体からα−体への転位)が著
しく少ないこと等によるものと考えられる。
実施例 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的
に説明する。
実施例1 β−ペンタアセチルグルコース39g(0.1mol)にハイド
ロキノン16.5g(0.15mol)とジエチレングリコールジブ
チルエーテル70g及びパラトルエンスルホン酸0.5gを加
え、15mmHg減圧下110℃にて4時間又は8時間反応させ
た。常温にて水洗後ヘプタン140gを加えて結晶を析出さ
せた。その結晶をエチルアルコール溶媒にて再結晶を行
なうといずれの反応時間の場合もテトラアセチルアルブ
チン31.7g(収率72%)を得た。得られたテトラアセチ
ルアルブチンは、▲[α]25 D▼=−31.0°(ベンゼ
ン)であつた。
比較例1 β−ペンタアセチルグルコース39g(0.1mol)にハイド
ロキノン16.5g(0.15mol)とパラトルエンスルホン酸0.
5gを加え、15mmHg減圧下135℃にて30分間反応させた。
冷却後クロロホルム150mlにて抽出し、クロロホルム層
を水洗した後、クロロホルムを蒸留除去した。残渣を少
量のエチルアルコールに溶解させ、多量の水中に添加し
た。沈澱物を再びエチルアルコールに溶かし、再結晶を
行つたところ、テトラアセチルアルブチン13.6g(収率3
1%)を得た。このものは、▲[α]25 D▼=−32.5°
(ベンゼン)であつた。生成物は、糖の褐変物を含むた
めに褐色を呈していた。
比較例2 β−ペンタアセチルグルコース39g(0.1mol)にハイド
ロキノン16.5g(0.15mol)とキシレン(bp.138℃/760mm
Hg)120g及びパラトルエンスルホン酸0.5gを加え、150m
mHg減圧下105℃にて4時間又は8時間反応させた。常温
で水洗後、キシレン80gを蒸留除去し、そこにヘプタン
を加えて結晶を析出させた。その結晶をエチルアルコー
ル溶媒にて再結晶を行つたところテトラアセチルアルブ
チンを得た。収量は、反応時間の延長により低下し、4
時間で22.0g(収率50%)、8時間で20.7g(収率47%)
であつた。4時間で得たものは▲[α]25 D▼=−35.0
°(ベンゼン)で、8時間で得たものは▲[α]25 D
=−34.5°(ベンゼン)であつた。収量の低下は、反応
時間の経過と共に異性体転位が起きるためと推定でき
る。
比較例3 比較例2のキシレンの代りにベンゼンを溶媒に用いて反
応を行つた。ベンゼンは沸点が80℃/760mmHgで、酢酸の
沸点118℃/760mmHgより低いため減圧下の反応ができな
いので、常圧下にて反応を行つた。生成する酢酸の除去
ができないため、キシレンの場合より反応が進まず、最
適反応時間である2時間反応させてもテトラアセチルア
ルブチンの収率は47%であつた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】β−ペンタアセチルグルコースにハイドロ
    キノンを反応させてテトラアセチルアルブチンを製造す
    るに当り、反応溶媒としてモノ又は/及びポリエチレン
    グリコールジアルキルエーテルを用いることを特徴とす
    るテトラアセチルアルブチンの製造法。
JP10746586A 1986-05-09 1986-05-09 テトラアセチルアルブチンの製造法 Expired - Lifetime JPH0689015B2 (ja)

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