JP4391120B2 - トラクタのキャビン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタ等の作業車両のキャビンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来キャビンのリヤサイドパネルを開閉自在としたトラクタが公知となっている(例えば特許文献1参照)。このタイプのトラクタは、リヤサイドパネルを開くことによってキャビン内に外気を導入し、居住環境や換気効率等が向上する。またキャビンのルーフ内に設けたエアコンの本体内にルーフ内の空気を導入する空気導入ダクトを設け、該空気導入ダクトへの外気導入口をルーフの後部左右両側に設けたトラクタも公知となっている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
このとき上記ルーフの後部左右両側は左右方向外方に突出しており、左右の各突出部分に上記外気導入口が配置されている。そして空気導入ダクトの後端部にはブロアが設けられており、ブロアによって空気が強制導入される構造となっている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3333088号公報
【特許文献2】
特開2000−219029号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしリヤサイドパネルが開閉自在なトラクタは、リヤサイドパネルを開くことによって雨等がキャビン内に入り込む場合があるという欠点があった。また上記外気導入口はキャビンの後方側に配置されるが故に、ブロアによる強制吸気時に、キャビンの後方に多く発生する塵埃を吸込むという欠点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のトラクタのキャビンは、キャビン4における座席8の側方に位置するリヤサイドパネル11を前開きの開状態となるように開閉自在に設けてなるトラクタにおいて、上記キャビン4のルーフ13の後部左右の一方又は両方を外側に突出させ、リヤサイドパネル11上方の庇部14を構成させるにあたり、最大開状態のリヤサイドパネル11全体が平面視ルーフ13によって覆われるように該庇部14を、最大開状態のリヤサイドパネル11の外端部よりも外側位置まで突出させたことを第1の特徴としている。
【0007】
また前記ルーフ13内にエアコン装置を設け、該エアコン装置に導入する外気をルーフ13内に取り入れる外気導入口21を、前記庇部14に設け、上記外気導入口21をリヤサイドパネル11側となる機体3の内側に向けて開口させたことを第2の特徴としている。
【0008】
さらに外気導入口21を平面視で進行方向に向かって開くように傾斜させたことを第3の特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明のキャビンを備えた作業車両であるトラクタの側面図,正面図,平面図,背面図であり、前後輪1,2を備えた機体3の後方側にキャビン4が設けられている。そして該キャビン4内に運転席6が設けられており、該運転席6内、すなわちキャビン4内には、エンジン7の上方に位置するように座席8が設けられている。
【0010】
そして上記キャビン4は、左側方に前開きの開状態となるドア9を備えており、これにより操縦者はドア9を開けてキャビン4内に乗り込み、運転席6内に入り、座席8に座り、トラクタの運転等を行うことができる。
【0011】
キャビン4における座席8の左右両側方は、リヤサイドパネルとなっており、本実施形態のキャビン4の場合、上記リヤサイドパネルはガラスからなるリヤサイドガラス11となっている。このときリヤサイドガラス11は、リヤステー12にヒンジ15を介して取り付けられており、前開きの開状態となるように開閉自在に支持されている。
【0012】
そして図1,図3に示されるように、リヤサイドガラス11とキャビン4のフレームとの間にはガススプリング12が介設されており、該ガススプリング12によってリヤサイドガラス11の開状態と閉状態とを位置決めする構成となっている。
【0013】
一方上記キャビン4の上方には、ルーフ13が設けられており、運転席6の上方はルーフ13によって覆われている。このとき該ルーフ13は、キャビン4の室内側のインナールーフの上方にアウタールーフ10が配置された中空状をなしている。そして上記アウタールーフ10の後部左右は、前述の左右のリヤサイドガラス11の上方位置において外側に突出しており、リヤサイドガラス11上方の庇部14を構成している。
【0014】
このとき上記庇部14は、リヤサイドガラス11の最大開状態において、庇部14の外側端がリヤサイドガラス11の外端部より外側に位置するように突出せしめられており、リヤサイドガラス11を閉じた状態から最大開状態の間でどのように開いた場合でも、リヤサイドガラス11は機体3の最外側位置となる庇部14の外端部より内側に位置する。
【0015】
これにより上記ルーフ13の左右後方の庇部14によって、リヤサイドガラス11を開いた場合に、リヤサイドガラス11の開口部分からのキャビン4内への雨等の浸入が防止され、雨等の場合にもリヤサイドガラス11を開き、新鮮な空気をキャビン4内に取り込むことが可能となる。
【0016】
特に庇部14が、リヤサイドガラス11の最大開状態において、リヤサイドガラス11の外端部より外側に位置するため、リヤサイドガラス11を最大に開いたとしても、リヤサイドガラス11が庇部14の外側に突出せず、すなわちリヤサイドガラス11の開口部分は常に庇部14の下方に位置し、開状態のリヤサイドガラス11の上方からの雨等の浸入はより確実に防止される。
【0017】
なお庇部14の最外側端が、常にリヤサイドガラス11の外側に位置するため、トラクタの周辺に位置する障害物等が開状態のリヤサイドガラス11側に接衝すること等を庇部14が防止し、庇部14はリヤサイドガラス11の破損等の防止効果も有する。
【0018】
一方上記キャビン4にはエアコン装置が設けられており、キャビン4内の環境が向上せしめられている。上記エアコン装置は、従来公知の構成であり、エバポレータを備えたエアコン本体がルーフ13の内部空間に収容されている。そして前述の庇部14の下面には、ルーフ13内に外気を導入する外気導入部16が設けられており、該外気導入部16を介して外気がルーフ13内に導入され、このルーフ13内に導入される外気が空気導入ダクト等を介して上記エアコン本体に導入されるように構成されている。
【0019】
上記外気導入部16は、図5に示されるように、庇部14の下面に取り付けられる開口したフレーム17と、該フレーム17の開口部分の上面に取り付けられるフィルタ(エアフィルタ)18と、上記フレーム17の下面に取り付けられるカバー19とから構成されている。
【0020】
このときカバー19は、フレーム17の開口部分を下方から覆い、且つ該カバー19には、リヤサイドガラス11側となる機体3の内側に向けて外気導入口21が開口せしめられている。なおカバー19の前端は、前述のリヤサイドガラス11の前端より前方に位置し、これによりフィルタ18の前端もリヤサイドガラス11の前端より前方に位置している。
【0021】
そして庇部14の下面には、上記外気導入部16を庇部14に取り付けた際にフィルタ18が挿入される外気の流通口22が開口せしめられており、外気導入部16を庇部14に取り付けることによって、機体3側に向かって開口した外気導入口21から外気がカバー19内に導入され、このカバー19内に導入された外気がフィルタ18を介してルーフ13内に導入され、その後空気導入ダクト等を介して上記エアコン本体に導入される。
【0022】
このときアウタールーフ10の上面は、外側端側が低位置となるように左右両側が傾斜しており、これにより図5に示されるように、庇部14の上面14aも外側端側が低位置となるように水平面に対してθ1傾斜している。
【0023】
そして庇部14における外気導入部16の取り付け部分は、上記庇部14の上面に略平行に沿い外側端側が低位置となるように背面視で水平面に対してθ2傾斜しており、且つ平面視(図3)において外気導入部16の中心線がキャビンの中心線に対して前方側が開くようにθ3傾斜した傾斜状態で外気導入部16を取り付けるように構成されている。
【0024】
これにより外気導入部16は、背面視で内側(機体3側)が高位置となり、ルーフ13の上面(庇部14の上面14a)に沿うようにθ4傾斜し、且つ平面視で前方がθ3開いて傾斜した状態で取り付けられる。なお本実施形態においてθ1とθ2とθ4は略同一の値となっている。
【0025】
また外気導入部16のカバー19の下面は、内側(外気導入口21側)が低位置となるように下方に向かって傾斜せしめられている。そして上記カバー19の機体3側の側面は背面視において下端縁が上端縁より外側に位置するようにθ5傾斜した形状となっており、該カバー19の機体3側の側面が開口して形成されている前記外気導入口21も、背面視において下端縁が上端縁より外側に位置するようにθ5傾斜している。
【0026】
上記外気導入部16の構成及び外気導入部16の取り付け構造によって、外気導入口21の縦方向の幅L及び前後方向の長さL2を大きく採ることができ、外気導入口21の間口を大きくして、外気導入口21からより多くの外気を取り入れることが可能となっている。また外気導入部16自体が前方側が開いた状態で傾斜して取り付けられているため、外気導入部16の機体3内側に位置する左右それぞれの外気導入口21がトラクタの進行方向に向かって開き、トラクタの走行に伴い前方側から新鮮な外気を円滑に導入することができる。
【0027】
なお外気導入部16が、アウタールーフ10(庇部14)の傾斜に沿って取り付けられているため、庇部14(ルーフ13)内のフィルタ18を収容する空間Sを小さく(高さ方向に薄く)することができ、ルーフ13を薄くすることができる他、後ろヒンジのリヤサイドガラス11を大きくすることができる。
【0028】
一方通常機体3の後方はロータリ作業機等により塵埃の発生が多いが、外気導入部16(外気導入口21)をキャビン4の前方側に位置させると、キャビン4からの前方視界が悪化し、操縦性が低下する場合があるという問題点があった。しかし本外気導入部16は、上記のように外気導入口21が機体3側となる内側に向かって開口しているため、キャビン4の後方に多く発生する塵埃の吸込みが防止され、外気導入口21から導入される外気への塵埃の混入が少なくなる。
【0029】
なお外気導入口21は側方に向かって開口しているが、前述のように外気導入部16自体が前方側が開いた状態に傾斜して取り付けられているため、吸気効率は高い。また外気導入口21は機体3側、すなわち閉じた状態のリヤサイドガラス11に向かって開口しているため、リヤサイドガラス11を開くことによって、座席8に座った状態で、目視によるフィルタ18の詰まりチェックや、外気導入口21の清掃等を容易に行うことができる。
【0030】
さらに外気導入部16は、カバー19によって下方側が覆われているため、洗車時等において庇部14の下方から水がかかった場合に、フィルタ18を濡らしたり、ルーフ13内に水が浸入する等の不都合が防止される。特にカバー19の下面は、機体3側が低位置となるように傾斜しているため、水を機体3の外側に向かって跳ね返し、効率よく水の浸入を防止する。
【0031】
なお前述のようにカバー19及びフィルタ18の前端が、リヤサイドガラス11の前端より前方に位置しているため、外気導入部16もリヤサイドガラス11を開いた場合の庇として機能する。
【0032】
【発明の効果】
以上のように構成される本発明の構造によると、キャビンのルーフの後方が庇となり、リヤサイドパネルを開いた場合に、リヤサイドパネルの開口部分からのキャビン内への雨等の浸入を防止することができるという効果がある。またルーフの庇部を、リヤサイドパネルの最大開状態において、リヤサイドパネルの外端部より外側に位置するように突出させることによって、リヤサイドパネルを最大に開いたとしても、リヤサイドパネルが庇部の外側に突出しないため、開状態のリヤサイドパネルの上方からの雨等の浸入をより確実に防止することができるという利点もある。
【0033】
なお上記構成によって作業車両の周辺に位置する障害物等が開状態のリヤサイドパネル側に接衝すること等を庇部が防止することもできる。一方キャビンのルーフ内のエアコン装置に導入する外気をルーフ内に取り入れる外気導入口を庇部に設け、該外気導入口を機体の内側に向けて開口させることによって、機体後方に多く発生する塵埃がルーフ内に導入される外気に混入することが防止され、このとき外気導入口を平面視で進行方向に向かって開くように傾斜させることにより、上記塵埃の混入が防止されることに加え、進行方向から流れる新鮮な空気(外気)を容易に且つ円滑に取り入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のキャビンを備えたトラクタの正面図である。
【図2】 本発明のキャビンを備えたトラクタの左側面図である。
【図3】 本発明のキャビンを備えたトラクタの平面図である。
【図4】 本発明のキャビンを備えたトラクタの背面要部断面図である。
【図5】 図4のA部部分図である。
【符号の説明】
4 キャビン
8 座席
11 リヤサイドガラス(リヤサイドパネル)
13 ルーフ
14 庇部
21 外気導入口
Claims (3)
- キャビン(4)における座席(8)の側方に位置するリヤサイドパネル(11)を前開きの開状態となるように開閉自在に設けてなるトラクタにおいて、上記キャビン(4)のルーフ(13)の後部左右の一方又は両方を外側に突出させ、リヤサイドパネル(11)上方の庇部(14)を構成させるにあたり、最大開状態のリヤサイドパネル(11)全体が平面視ルーフ(13)によって覆われるように該庇部(14)を、最大開状態のリヤサイドパネル(11)の外端部よりも外側位置まで突出させたトラクタのキャビン。
- 前記ルーフ(13)内にエアコン装置を設け、該エアコン装置に導入する外気をルーフ(13)内に取り入れる外気導入口(21)を、前記庇部(14)に設け、上記外気導入口(21)をリヤサイドパネル(11)側となる機体(3)の内側に向けて開口させた請求項1のトラクタのキャビン。
- 外気導入口(21)を平面視で進行方向に向かって開くように傾斜させた請求項2のトラクタのキャビン。
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