JP4391085B2 - アルミニウムおよびアルミニウム合金のための耐食性コーティング - Google Patents
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Description
【０００１】
（発明の起源）
記載される本発明は米国政府職員によってなされたものであり、かかる発明についてまたはかかる発明のために、いかなる使用料も支払うことなく、政府の目的のために政府によってまたは政府のために、製造することおよび使用することが可能である。
【０００２】
（発明の背景）
（発明の分野）
本発明は、金属基板の、保護ならびに表面処理およびコーティングに関連し、溶液または分散剤として用いられる表面処理およびコーティング組成物に関し、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板の処理のためのこれらの組成物の使用方法に関する。かかる組成物を金属表面に被覆することによって、耐食性および、塗料などのコーティング層の付着性が向上され、腐食性環境における低い電気接触抵抗が維持される。さらに詳細には、本発明は、新しい耐食性組成物に関し、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板上に、効果的な量の、少なくとも１種の水溶性３価クロム塩、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、少なくとも１種の水溶性濃化剤および水溶性表面活性剤を含有する酸性水溶液を含む組成物を使用する方法に関する。
【０００３】
（従来技術の説明）
最初に金属表面を保護フィルムで金属表面をコーティングまたは処理することによって、金属表面に対する続くコーティングの耐食性と付着性を改善することが現在実施されている。コーティングは、塗装されていない金属表面の耐食性を高め、塗料のような最終コーティングのための表面を形成する。これらの化成皮膜は、６価のクロム含有溶液の使用によって最もよく応用される。これらのコーティングは、良い耐食性を提供するが、同時に、６価クロムの業務上の、安全上の、健康に関する、および環境に対する影響についての懸念が増大し、より良好な非クロム酸塩由来のコーティング剤を提供する試みがなされてきている。６価のクロムは、高い毒性があり、既知の発ガン性物質である。そのため、これらの保護フィルムを沈積させるために使用される溶液およびフィルム自体に毒性があり発ガン性を有する。しかしながら、クロム酸塩フィルムは、顕著な塗料付着力および耐食性を提供し、浸積、噴霧などの種々の方法、または拭取り技術によって利用することが容易である。環境に関する法律およびＯＳＨ（労働安全衛生）規制によって、軍用および民生用の使用者は非毒性非クロム酸塩前処理法を見出さざるを得なくなっている。さらに、規制が強化されてきているために、クロム酸塩化成皮膜を使用することはいっそう高額となり、費用はＥＰＡ（環境保護局）によって課せられる制限で非常に高くなってきている。さらに、クロム酸塩化成皮膜を噴霧するような方法は、労働安全衛生のために禁止されており、代替の方法としておよそ最適でない方法が強いられている。
【０００４】
さらに詳細には、水溶性のクロム酸塩溶液は、金属表面を部分的に溶解し、クロム酸塩化成皮膜として知られる不溶性フィルムを形成する化学薬品を含むことが知られている。これらのコーティング剤は、耐食性があり、腐食を引起こす様々な要因から金属を保護する。化成皮膜は、耐食性を高め、塗料の付着特性を向上するけれども、深刻な欠点、すなわちそれらを作る溶液の毒性および利用されたフィルムにおける６価のクロムの存在など、を有する。このことは、かかる溶液を扱う技師の観点から、たとえば使用されたクロム酸塩溶液、クロム酸塩で汚染された濯ぎ水およびクロム酸塩で汚染されたコーティングシステムを処理する技師の観点から見て深刻な問題である。しかしながら、これらの問題は、かかる方法から６価のクロムを排除することによって避けることができる。しかしながら、この方法は高価であり、全体的な金属処理の工程における大きなコスト要因となる可能性がある。そのため、６価のクロムを含まない、しかし同時に在来のクロム酸塩に基づいた化成皮膜の耐食性および塗料付着特性に匹敵する耐食性および塗料付着特性を得ることができる方法および保護コーティング剤が強く望まれている。とりわけ、関心がもたれているのは、アルミニウム合金上にクロム酸塩化成皮膜を使用することであり、たとえば、航空機などの大きな物にかかるコーティングを使用することである。毒性の６価クロムの代替物として役立ち得る相対的に非毒性の化学薬品を利用する、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムのための、保護コーティング剤を提供することが望まれる。
【０００５】
（発明の概要）
本発明は、酸性の水溶性３価クロム組成物、すなわち３価のクロム塩の溶液に関し、基板表面に耐食性コーティング剤またはフィルムを形成するため環境温度において有効な量の水溶液を用いたアルミニウム基板の処理またはコーティング工程を含むアルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板の耐食性コーティングの形成手順に関する。本発明の酸性の水溶液は、水１リットルあたり、約３〜２２グラム、好ましくは３〜１２グラム、たとえば５〜７グラムの水溶性塩基性３価クロム塩、約１．５〜１１．５グラム、好ましくは３〜９グラム、たとえば６〜８グラムのアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、約０〜１０グラム、たとえば０．５〜２．０グラムの水溶性濃化剤および約０〜１０グラムたとえば０．５〜２．０グラムの水溶性界面活性剤を含む。
【０００６】
そのため、本発明の目的は、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムの耐食性基板を形成するための３価のクロム塩およびアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩を含む溶液を提供することである。
【０００７】
本発明の他の目的は、耐食性、塗料付着性を向上するために３価のクロム塩を含む、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムを処理するための水溶液または分散液を提供すること、および腐食性環境において低い電気的接触耐性を有するアルミニウム基板を提供することである。
【０００８】
本発明のさらなる目的は、アルミニウムおよびアルミニウム合金基板に対する耐食性コーティングを形成するため、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、水溶性濃化剤および水溶性界面活性剤を組合わせて水溶性の３価のクロム塩を含む水溶液を提供することである。
【０００９】
これらのおよび他の目的は、以下のような発明のさらなる詳細な説明から技術に熟練した者に対して明らかとなるであろう。
【００１０】
（発明の詳細な説明）
さらに明確には、本発明は、ｐＨ範囲が約２〜６、たとえば４〜５を有する３価クロム塩の酸性水溶液、およびアルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板における耐食性コーティングまたはフィルムを形成するためのその使用に関連する。その水溶液は、水溶液１リットルあたり約３．０〜２２グラム、好ましくは約３〜１２グラム、たとえば５〜７グラムの少なくとも１種の水溶性３価クロム塩、水溶液１リットルあたり約１．５〜１１．５グラム、好ましくは３〜９グラム、たとえば６〜８グラムの少なくとも１種のアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、水溶液１リットルあたり０．０〜１０グラム、好ましくは０．５〜２．０グラムの少なくとも１種の水溶性または分散性濃化剤、たとえば水溶性有機濃化剤および水溶液１リットルあたり０．０〜１０グラム、好ましくは０．５〜２．０グラムの非イオン性、カチオン性およびアニオン性界面活性剤からなるグループから選択される少なくとも１種の水溶性界面活性剤または湿潤剤を含む。３価のクロムは、水溶性３価クロム化合物のいずれか、好ましくは３価のクロム塩として添加されるであろう。結果として生じるコーティングは、水で濯がれるけれども、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩および酢酸塩からなるグループから選択されたアニオンを含む塩化物と同様に腐食性でないアニオンを提供する塩の使用が望まれる。
【００１１】
明確には、本発明の水性コーティング剤の処方において、クロムは、その水溶性型で溶液に簡便に添加することができる。このときのクロムの原子価は、プラス３である。好ましいクロム化合物は、Ｃｒ2（ＳＯ4）3、（ＮＨ4）Ｃｒ（ＳＯ4）2またはＫＣｒ（ＳＯ4）2およびこれらの化合物の混合物の形で溶液中に結合している。アルミニウム表面は、純粋なアルミニウム、アルミニウム合金または６０％を超えるアルミニウムを含む被覆されたアルミニウム基板のいずれかである。最も好ましい３価のクロム濃度は、水溶液１リットルあたり約５〜７グラムの範囲内にある。とくに良い結果は、クロムがこの好ましい範囲内に存在する場合に経済的に得られる。溶液に対する最も好ましい金属フルオロジルコニウム酸塩の添加は、１リットルあたり約６〜８グラムの範囲である。アルミニウム表面の処理またはコーティングは、環境温度、たとえば室温から華氏２００度までの範囲にある溶液の温度を含む様々な温度で行うことができる。室温処理は、加熱設備の必要性を排除する点で好ましい。コーティングは、たとえば窯炉乾燥、強制空気乾燥、赤外線ランプ暴露などの既知の技術のいかなる方法によっても乾燥される。本発明の目的のために、アルミニウムおよびアルミニウム合金という用語は、イオン真空蒸着（ion vacuum deposition；略称：ＩＶＤ）として知られる工程を含むアルミニウムおよびその合金の前処理されたまたは被覆された基板を含む。ここでアルミニウム合金基板は、基板が本発明の３価のクロム塩溶液で被覆される前にたとえばアルミニウムで前処理または被覆される。
【００１２】
以下の実施例１〜３は、本発明の溶液および耐食性アルミニウムおよびアルミニウム合金基板の形成における溶液の使用方法を説明する。
【００１３】
（実施例１）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり約６．０グラムの硫酸クロム（ＩＩＩ）、溶液１リットルあたり約８．０グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウム、溶液１リットルあたり約１．０グラムのセルロース濃化剤および溶液１リットルあたり約１．０グラムの水溶性非イオン性界面活性剤を含む。
【００１４】
（実施例２）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり、約３．０〜１２グラムの硫酸クロム（ＩＩＩ）、約３〜９グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウムおよび約０．５〜２．０グラムのメチルセルロース濃化剤を含む。
【００１５】
（実施例３）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり、約５．０〜７．０グラムの３価の硫酸クロムカリウム（ＫＣｒ（ＳＯ4）2）、約６〜８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムおよび約０．５〜２．０グラムのメチルセルロース濃化剤を含む。
【００１６】
（実施例１によれば）３価のクロムコーティングを形成する前に、アルミニウム基板は、約華氏１００度から１４０度の範囲の温度で１５分間アルカリリン酸クリーナーで基板を磨くことによって処理され、水道水で濯がれ、続いて環境条件下で約１５〜２０分間非クロム酸塩脱酸素剤に浸され、周囲の水道水で再び濯がれた。磨かれた基板は、それから約３０秒〜６０分間環境条件下で酸性の硫酸クロム（ＩＩＩ）溶液に浸され、続いて周囲の水道水で濯がれ、乾燥するまで放置される。代替の工程において、アルミニウム基板は、約１５分間華氏１２０度でのクリーナー（Ｔｕｒｃｏ ４２１５）への浸積によって脱脂され、それから暖かい水道水で濯がれ、再び約１５分間環境条件下でクリーナー（Ｔｕｒｃｏ Ｓｍｕｔ Ｇｏ ＮＣ）に浸積された。更に水で濯いだ後、磨かれた基板は、効果的な量のカリウムヘキサフルオロジルコニウム酸塩を含む硫酸クロム（ＩＩＩ）の酸性水溶液に環境温度下で浸積され、濯がれた。
【００１７】
本発明の３価のクロム溶液での基板のコーティングは、基板への噴霧、拭取りまたは浸積によって成遂げることができる。接触継続時間は、約５〜３０秒の範囲であるが、より長いたとえば５分までの接触継続時間は、溶液の３価のクロム濃度または温度が相対的に低い場合に必要となるであろう。水溶液温度は通常１００℃以下、たとえば４０〜７５℃の範囲である。コーティング処理前の金属温度は４０〜６０℃の範囲であり、しばしば５０℃付近である。コーティングは水で濯がれ、乾燥され、それからたとえばエポキシプライマおよび／または塗料で塗装される。
【００１８】
以下の実施例Ｉ〜Ｖは、本発明の３価のクロム前処理溶液および表Ｃ、Ｄ、ＥおよびＦに示される被覆されたアルミニウム合金におけるその使用を説明する。
【００１９】
（実施例（ＴＣＰ１）Ｉ）
３価のクロムの前処理（trivalent chromium pretreatment；略称：ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約０．６グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）および溶液１リットルあたり約０．８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムで形成される。
【００２０】
（実施例（ＴＣＰ１０）ＩＩ）
３価クロムの前処理（ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約６．０グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）および溶液１リットルあたり約８．０グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムで調製される。
【００２１】
（実施例（ＴＣＰ１Ｍ４）ＩＩＩ）
３価クロムの前処理（ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約０．６グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）、溶液１リットルあたり約０．８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムおよび溶液重量の約０．４％のセルロール化合物（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）で調製される。
【００２２】
（実施例（ＴＣＰ２Ｍ４およびＴＣＰ１０Ｍ４）ＩＶおよびＶ）
実施例ＩＶおよびＶ（ＴＣＰ２Ｍ４およびＴＣＰ１０Ｍ４）は、溶液が濃化剤として水溶液重量の約０．４％のヒドロキシメチルセルロース（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）を含む以外は、それぞれ水溶液ＴＣＰ１およびＴＣＰ１０と同じである。
【００２３】
時間経過による様々な３価クロムの前処理（ＴＣＰ）溶液のｐＨを、表Ｅに示す。
【００２４】
【表Ｅ】
【００２５】
３価のクロム前処理法の露出腐食試験を、表Ｆに示す。
【００２６】
【表Ｆ】
【００２７】
被覆されたアルミニウム合金（２０２４−Ｔ３）検体（表Ｆ）は、（ＡＳＴＭ−Ｂ−１１７による）中性の塩水噴霧中に６℃で約３３６時間置かれる。被覆された検体の腐食評価は、ＡＳＴＭ−Ｄ１６５４試験に基づき、被覆された検体は最も良い性能を１０で示し、０〜１０で評価された。
【００２８】
本発明の３価クロムの前処理液における濃化剤使用の必要性は、表Ｃおよび表Ｄに示される実施例において説明される。表Ｃでは、アルミニウム合金小片は、濃化剤を含まない実施例Ｉの溶液（ＴＣＰ−１）で処理された。表Ｃは、平均付着量が約２４．６５ｍｇ／ｆｔ2であることを示す。比較してみると、表Ｄにおけるデータは、濃化剤（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）が溶液において使用され（実施例ＩＩＩのＴＣＰ１Ｍ４）、平均付着量は、２８．５６ｍｇ／ｆｔ2であった。このように表Ｄと表Ｃのデータの比較では、濃化剤を含む（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）クロム前処理溶液（実施例ＩＩＩのＴＣＰ１Ｍ４）は、約１６％重くなるようにアルミニウム合金にコーティングされた。
【００２９】
【表Ｃ】
【００３０】
【表Ｄ】
【００３１】
表Ｇにおけるアルミニウム板の番号７−１〜７−１０８は、Ｍｉｌｓｐｅｃ塗料を用いた様々なアルミニウム基板に関する塗料付着性データを提供するために水性の３価クロム溶液（ＴＣＰ−１０／Ｍ２）で処理されたアルミニウム小片（７０７５−Ｔ６）を示す。塗料付着性データは、改良試験（ＡＳＴ Ｄ−３３５９ 方法Ａ）を利用することによって得られた。表Ｇの２〜５の列は、自己プライミングトップコート（ＴＴ−Ｐ−２７５６１）であるＳＰＴを、クロム酸塩ハイソリッドエポキシプライマである２３３７７を、クロム酸塩水媒介エポキシプライマである８５５８２を、非クロム酸塩水媒介エポキシプライマである８５５８２Ｎを含む様々な塗料についてのものである。
【００３２】
表Ｇの６の列は、１、４、７日目に水に浸積し、その後切込みを入れ、テープを剥離する、濡れテープ付着（wet tape adhesion；略称：ＷＴＡ）試験を示す。表Ｇの７の列は、アルミニウム小片の噴霧用の「Ｓ」、拭取り用の「Ｗ」および浸積用の「Ｉ」を含む本発明のクロム前処理溶液（ＡｃｃｅｌａｇｏｌｄおよびＡｌｏｄｉｎｅ）の利用方法を示す。表Ｇの８列目は、最も良い評価を５Ａとして各小片（ＡＳＴＭＤ−３３）に対する塗料付着評価を示し、９列目は、塗料システム（ＡＳＴＭＤ−７１４）に対する膨れ評価を示す。
【００３３】
【表Ｇ】
実施例７−１〜７−５３ ２〜９列目
【００３４】
【表Ｇ】
実施例７−５４〜７−１０８ ２〜９列目
【００３５】
表Ｈのデータは、本発明の３価クロムの前処理（ＴＣＰ−１０Ｍ２）で処理されたアルミニウム小片（７０７５−Ｔ６）を示す。
【００３６】
【表Ｈ】
実施例７−１〜７−３７
【００３７】
【表Ｈ】
実施例７−３８〜７−８０
【００３８】
表Ｈの実施例（７−１〜７−８０）において、１〜４列目は、自己プライミングトップコートとしてＳＰＴを、クロム酸塩ハイソリッドエポキシプライマとして２３３７７を、クロム酸塩水媒介エポキシプライマとして８５５８２を、非クロム酸塩水媒介エポキシプライマとして８５５８２Ｎを含む塗料を示す。５列目は、本発明のクロム前処理（６列目のＡｃｃｅｌａｇｏｌｄおよびＴＣＰ１０Ｍ２−Ｓ）での中性塩水噴霧における５００および２０００時間試験を示す。７列目は、腐食試験の結果を示す。第１評価は切込みの入れられた部分であり、第２評価は切込みの入れられていない部分であり、第３評価は膨れである。すべての評価は、腐食に関して最も高いまたは最も良い性能を１０で示し、１〜１０の範囲で評価される。表Ｈでは、Ｎ．Ｅ．Ｃという用語が、まったく腐食の形跡がないことを示し、Ｓ．Ｃ．という用語が切込み内での表面腐食があるが表面は削られていないことを示す。
【００３９】
本発明の目的のために、水溶性界面活性剤が３価のクロム溶液１リットルあたり約０．０〜約１０グラム、好ましくは約０．５〜２．０グラムの範囲の量で使用される。界面活性剤は、表面張力を低くすることによってより良い湿潤特性を与え、それによって基板の完全な範囲およびより均一なコーティングを保証するために水性組成物に添加される。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤のグループから選択される少なくとも１種の水溶性化合物を含む。水溶性界面活性剤は、モノカルボキシイミドアゾリン、アルカリ硫酸ナトリウム塩（ＤＵＰＯＮＯＬ（登録商標））、トリデシルオキシポリ（アルキルエネオキシエタノール）、エトキシルまたはプロポキシルアルキルフェノール（ＩＧＥＰＡＬ（登録商標））、アルキルスルフォアミド、アルカリスルホン酸、パルミチンアルカノールアミド（ＣＥＮＴＲＯＬ（登録商標））、オクチルフェニルポリエトキシエタノール（ＴＲＩＴＯＮ（登録商標））、ソルビタンモノパルミチン酸塩（ＳＰＡＮ（登録商標））、ドデシルフェニルポリエチレングリコールエーテル（たとえばＴＥＲＧＩＴＲＯＬ（登録商標））、アルキルピロリドン、ポリアルコキシド化脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルフォン酸塩およびその混合物を含む。他の既知の水溶性界面活性剤は、Kirk-Othmer's Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd Ed. においてJohn WileyおよびSonsによって出版された「Surfactants and Detersive Systems」に発表されている。
【００４０】
大きな表面または基板が、浸積できないかまたは、縦の表面が噴霧されるような場合、濃化剤は十分な接触時間で表面に水性組成物を保持するために使用される。使用される濃化剤は、クロム塩溶液１リットルあたり約０．０〜約１０グラム、好ましくは約０．５〜２．０グラムの範囲の量で本発明の３価のクロム溶液に添加することができる既知の水溶性または分散性濃化剤である。これらの添加剤の特定の例は、たとえばヒドロキシプロピルセルロース（たとえばＫｌｕｃｅｌ）、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース濃化剤、コロイド状シリカなどのいくつかの水溶性無機濃化剤、ベントナイトなどの粘土、デンプン、コロイド状アルミナ、アラビアゴム、トラガカントゴム、寒天およびそのいずれかの組合せを含む。
【００４１】
本発明は、多くの特定の実施例によって記述されていると同時に、追加されたクレームに記載された特徴のように本発明の精神および領域から逸脱することなく成すことができる他の多様化および改良があることは明らかである。
（発明の起源）
記載される本発明は米国政府職員によってなされたものであり、かかる発明についてまたはかかる発明のために、いかなる使用料も支払うことなく、政府の目的のために政府によってまたは政府のために、製造することおよび使用することが可能である。
【０００２】
（発明の背景）
（発明の分野）
本発明は、金属基板の、保護ならびに表面処理およびコーティングに関連し、溶液または分散剤として用いられる表面処理およびコーティング組成物に関し、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板の処理のためのこれらの組成物の使用方法に関する。かかる組成物を金属表面に被覆することによって、耐食性および、塗料などのコーティング層の付着性が向上され、腐食性環境における低い電気接触抵抗が維持される。さらに詳細には、本発明は、新しい耐食性組成物に関し、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板上に、効果的な量の、少なくとも１種の水溶性３価クロム塩、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、少なくとも１種の水溶性濃化剤および水溶性表面活性剤を含有する酸性水溶液を含む組成物を使用する方法に関する。
【０００３】
（従来技術の説明）
最初に金属表面を保護フィルムで金属表面をコーティングまたは処理することによって、金属表面に対する続くコーティングの耐食性と付着性を改善することが現在実施されている。コーティングは、塗装されていない金属表面の耐食性を高め、塗料のような最終コーティングのための表面を形成する。これらの化成皮膜は、６価のクロム含有溶液の使用によって最もよく応用される。これらのコーティングは、良い耐食性を提供するが、同時に、６価クロムの業務上の、安全上の、健康に関する、および環境に対する影響についての懸念が増大し、より良好な非クロム酸塩由来のコーティング剤を提供する試みがなされてきている。６価のクロムは、高い毒性があり、既知の発ガン性物質である。そのため、これらの保護フィルムを沈積させるために使用される溶液およびフィルム自体に毒性があり発ガン性を有する。しかしながら、クロム酸塩フィルムは、顕著な塗料付着力および耐食性を提供し、浸積、噴霧などの種々の方法、または拭取り技術によって利用することが容易である。環境に関する法律およびＯＳＨ（労働安全衛生）規制によって、軍用および民生用の使用者は非毒性非クロム酸塩前処理法を見出さざるを得なくなっている。さらに、規制が強化されてきているために、クロム酸塩化成皮膜を使用することはいっそう高額となり、費用はＥＰＡ（環境保護局）によって課せられる制限で非常に高くなってきている。さらに、クロム酸塩化成皮膜を噴霧するような方法は、労働安全衛生のために禁止されており、代替の方法としておよそ最適でない方法が強いられている。
【０００４】
さらに詳細には、水溶性のクロム酸塩溶液は、金属表面を部分的に溶解し、クロム酸塩化成皮膜として知られる不溶性フィルムを形成する化学薬品を含むことが知られている。これらのコーティング剤は、耐食性があり、腐食を引起こす様々な要因から金属を保護する。化成皮膜は、耐食性を高め、塗料の付着特性を向上するけれども、深刻な欠点、すなわちそれらを作る溶液の毒性および利用されたフィルムにおける６価のクロムの存在など、を有する。このことは、かかる溶液を扱う技師の観点から、たとえば使用されたクロム酸塩溶液、クロム酸塩で汚染された濯ぎ水およびクロム酸塩で汚染されたコーティングシステムを処理する技師の観点から見て深刻な問題である。しかしながら、これらの問題は、かかる方法から６価のクロムを排除することによって避けることができる。しかしながら、この方法は高価であり、全体的な金属処理の工程における大きなコスト要因となる可能性がある。そのため、６価のクロムを含まない、しかし同時に在来のクロム酸塩に基づいた化成皮膜の耐食性および塗料付着特性に匹敵する耐食性および塗料付着特性を得ることができる方法および保護コーティング剤が強く望まれている。とりわけ、関心がもたれているのは、アルミニウム合金上にクロム酸塩化成皮膜を使用することであり、たとえば、航空機などの大きな物にかかるコーティングを使用することである。毒性の６価クロムの代替物として役立ち得る相対的に非毒性の化学薬品を利用する、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムのための、保護コーティング剤を提供することが望まれる。
【０００５】
（発明の概要）
本発明は、酸性の水溶性３価クロム組成物、すなわち３価のクロム塩の溶液に関し、基板表面に耐食性コーティング剤またはフィルムを形成するため環境温度において有効な量の水溶液を用いたアルミニウム基板の処理またはコーティング工程を含むアルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板の耐食性コーティングの形成手順に関する。本発明の酸性の水溶液は、水１リットルあたり、約３〜２２グラム、好ましくは３〜１２グラム、たとえば５〜７グラムの水溶性塩基性３価クロム塩、約１．５〜１１．５グラム、好ましくは３〜９グラム、たとえば６〜８グラムのアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、約０〜１０グラム、たとえば０．５〜２．０グラムの水溶性濃化剤および約０〜１０グラムたとえば０．５〜２．０グラムの水溶性界面活性剤を含む。
【０００６】
そのため、本発明の目的は、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムの耐食性基板を形成するための３価のクロム塩およびアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩を含む溶液を提供することである。
【０００７】
本発明の他の目的は、耐食性、塗料付着性を向上するために３価のクロム塩を含む、アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウムを処理するための水溶液または分散液を提供すること、および腐食性環境において低い電気的接触耐性を有するアルミニウム基板を提供することである。
【０００８】
本発明のさらなる目的は、アルミニウムおよびアルミニウム合金基板に対する耐食性コーティングを形成するため、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、水溶性濃化剤および水溶性界面活性剤を組合わせて水溶性の３価のクロム塩を含む水溶液を提供することである。
【０００９】
これらのおよび他の目的は、以下のような発明のさらなる詳細な説明から技術に熟練した者に対して明らかとなるであろう。
【００１０】
（発明の詳細な説明）
さらに明確には、本発明は、ｐＨ範囲が約２〜６、たとえば４〜５を有する３価クロム塩の酸性水溶液、およびアルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板における耐食性コーティングまたはフィルムを形成するためのその使用に関連する。その水溶液は、水溶液１リットルあたり約３．０〜２２グラム、好ましくは約３〜１２グラム、たとえば５〜７グラムの少なくとも１種の水溶性３価クロム塩、水溶液１リットルあたり約１．５〜１１．５グラム、好ましくは３〜９グラム、たとえば６〜８グラムの少なくとも１種のアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、水溶液１リットルあたり０．０〜１０グラム、好ましくは０．５〜２．０グラムの少なくとも１種の水溶性または分散性濃化剤、たとえば水溶性有機濃化剤および水溶液１リットルあたり０．０〜１０グラム、好ましくは０．５〜２．０グラムの非イオン性、カチオン性およびアニオン性界面活性剤からなるグループから選択される少なくとも１種の水溶性界面活性剤または湿潤剤を含む。３価のクロムは、水溶性３価クロム化合物のいずれか、好ましくは３価のクロム塩として添加されるであろう。結果として生じるコーティングは、水で濯がれるけれども、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩および酢酸塩からなるグループから選択されたアニオンを含む塩化物と同様に腐食性でないアニオンを提供する塩の使用が望まれる。
【００１１】
明確には、本発明の水性コーティング剤の処方において、クロムは、その水溶性型で溶液に簡便に添加することができる。このときのクロムの原子価は、プラス３である。好ましいクロム化合物は、Ｃｒ2（ＳＯ4）3、（ＮＨ4）Ｃｒ（ＳＯ4）2またはＫＣｒ（ＳＯ4）2およびこれらの化合物の混合物の形で溶液中に結合している。アルミニウム表面は、純粋なアルミニウム、アルミニウム合金または６０％を超えるアルミニウムを含む被覆されたアルミニウム基板のいずれかである。最も好ましい３価のクロム濃度は、水溶液１リットルあたり約５〜７グラムの範囲内にある。とくに良い結果は、クロムがこの好ましい範囲内に存在する場合に経済的に得られる。溶液に対する最も好ましい金属フルオロジルコニウム酸塩の添加は、１リットルあたり約６〜８グラムの範囲である。アルミニウム表面の処理またはコーティングは、環境温度、たとえば室温から華氏２００度までの範囲にある溶液の温度を含む様々な温度で行うことができる。室温処理は、加熱設備の必要性を排除する点で好ましい。コーティングは、たとえば窯炉乾燥、強制空気乾燥、赤外線ランプ暴露などの既知の技術のいかなる方法によっても乾燥される。本発明の目的のために、アルミニウムおよびアルミニウム合金という用語は、イオン真空蒸着（ion vacuum deposition；略称：ＩＶＤ）として知られる工程を含むアルミニウムおよびその合金の前処理されたまたは被覆された基板を含む。ここでアルミニウム合金基板は、基板が本発明の３価のクロム塩溶液で被覆される前にたとえばアルミニウムで前処理または被覆される。
【００１２】
以下の実施例１〜３は、本発明の溶液および耐食性アルミニウムおよびアルミニウム合金基板の形成における溶液の使用方法を説明する。
【００１３】
（実施例１）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり約６．０グラムの硫酸クロム（ＩＩＩ）、溶液１リットルあたり約８．０グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウム、溶液１リットルあたり約１．０グラムのセルロース濃化剤および溶液１リットルあたり約１．０グラムの水溶性非イオン性界面活性剤を含む。
【００１４】
（実施例２）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり、約３．０〜１２グラムの硫酸クロム（ＩＩＩ）、約３〜９グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウムおよび約０．５〜２．０グラムのメチルセルロース濃化剤を含む。
【００１５】
（実施例３）
耐食性コーティングを形成するためのアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する酸性の水溶液は、溶液１リットルあたり、約５．０〜７．０グラムの３価の硫酸クロムカリウム（ＫＣｒ（ＳＯ4）2）、約６〜８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムおよび約０．５〜２．０グラムのメチルセルロース濃化剤を含む。
【００１６】
（実施例１によれば）３価のクロムコーティングを形成する前に、アルミニウム基板は、約華氏１００度から１４０度の範囲の温度で１５分間アルカリリン酸クリーナーで基板を磨くことによって処理され、水道水で濯がれ、続いて環境条件下で約１５〜２０分間非クロム酸塩脱酸素剤に浸され、周囲の水道水で再び濯がれた。磨かれた基板は、それから約３０秒〜６０分間環境条件下で酸性の硫酸クロム（ＩＩＩ）溶液に浸され、続いて周囲の水道水で濯がれ、乾燥するまで放置される。代替の工程において、アルミニウム基板は、約１５分間華氏１２０度でのクリーナー（Ｔｕｒｃｏ ４２１５）への浸積によって脱脂され、それから暖かい水道水で濯がれ、再び約１５分間環境条件下でクリーナー（Ｔｕｒｃｏ Ｓｍｕｔ Ｇｏ ＮＣ）に浸積された。更に水で濯いだ後、磨かれた基板は、効果的な量のカリウムヘキサフルオロジルコニウム酸塩を含む硫酸クロム（ＩＩＩ）の酸性水溶液に環境温度下で浸積され、濯がれた。
【００１７】
本発明の３価のクロム溶液での基板のコーティングは、基板への噴霧、拭取りまたは浸積によって成遂げることができる。接触継続時間は、約５〜３０秒の範囲であるが、より長いたとえば５分までの接触継続時間は、溶液の３価のクロム濃度または温度が相対的に低い場合に必要となるであろう。水溶液温度は通常１００℃以下、たとえば４０〜７５℃の範囲である。コーティング処理前の金属温度は４０〜６０℃の範囲であり、しばしば５０℃付近である。コーティングは水で濯がれ、乾燥され、それからたとえばエポキシプライマおよび／または塗料で塗装される。
【００１８】
以下の実施例Ｉ〜Ｖは、本発明の３価のクロム前処理溶液および表Ｃ、Ｄ、ＥおよびＦに示される被覆されたアルミニウム合金におけるその使用を説明する。
【００１９】
（実施例（ＴＣＰ１）Ｉ）
３価のクロムの前処理（trivalent chromium pretreatment；略称：ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約０．６グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）および溶液１リットルあたり約０．８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムで形成される。
【００２０】
（実施例（ＴＣＰ１０）ＩＩ）
３価クロムの前処理（ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約６．０グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）および溶液１リットルあたり約８．０グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムで調製される。
【００２１】
（実施例（ＴＣＰ１Ｍ４）ＩＩＩ）
３価クロムの前処理（ＴＣＰ）酸性水溶液は、溶液１リットルあたり約０．６グラムの塩基性硫酸クロム（ＩＩＩ）、溶液１リットルあたり約０．８グラムのヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムおよび溶液重量の約０．４％のセルロール化合物（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）で調製される。
【００２２】
（実施例（ＴＣＰ２Ｍ４およびＴＣＰ１０Ｍ４）ＩＶおよびＶ）
実施例ＩＶおよびＶ（ＴＣＰ２Ｍ４およびＴＣＰ１０Ｍ４）は、溶液が濃化剤として水溶液重量の約０．４％のヒドロキシメチルセルロース（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）を含む以外は、それぞれ水溶液ＴＣＰ１およびＴＣＰ１０と同じである。
【００２３】
時間経過による様々な３価クロムの前処理（ＴＣＰ）溶液のｐＨを、表Ｅに示す。
【００２４】
【表Ｅ】
３価のクロム前処理法の露出腐食試験を、表Ｆに示す。
【００２６】
【表Ｆ】
被覆されたアルミニウム合金（２０２４−Ｔ３）検体（表Ｆ）は、（ＡＳＴＭ−Ｂ−１１７による）中性の塩水噴霧中に６℃で約３３６時間置かれる。被覆された検体の腐食評価は、ＡＳＴＭ−Ｄ１６５４試験に基づき、被覆された検体は最も良い性能を１０で示し、０〜１０で評価された。
【００２８】
本発明の３価クロムの前処理液における濃化剤使用の必要性は、表Ｃおよび表Ｄに示される実施例において説明される。表Ｃでは、アルミニウム合金小片は、濃化剤を含まない実施例Ｉの溶液（ＴＣＰ−１）で処理された。表Ｃは、平均付着量が約２４．６５ｍｇ／ｆｔ2であることを示す。比較してみると、表Ｄにおけるデータは、濃化剤（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）が溶液において使用され（実施例ＩＩＩのＴＣＰ１Ｍ４）、平均付着量は、２８．５６ｍｇ／ｆｔ2であった。このように表Ｄと表Ｃのデータの比較では、濃化剤を含む（Ｍｅｔｈｏｃｅｌ Ｆ４Ｍ）クロム前処理溶液（実施例ＩＩＩのＴＣＰ１Ｍ４）は、約１６％重くなるようにアルミニウム合金にコーティングされた。
【００２９】
【表Ｃ】
【表Ｄ】
表Ｇにおけるアルミニウム板の番号７−１〜７−１０８は、Ｍｉｌｓｐｅｃ塗料を用いた様々なアルミニウム基板に関する塗料付着性データを提供するために水性の３価クロム溶液（ＴＣＰ−１０／Ｍ２）で処理されたアルミニウム小片（７０７５−Ｔ６）を示す。塗料付着性データは、改良試験（ＡＳＴ Ｄ−３３５９ 方法Ａ）を利用することによって得られた。表Ｇの２〜５の列は、自己プライミングトップコート（ＴＴ−Ｐ−２７５６１）であるＳＰＴを、クロム酸塩ハイソリッドエポキシプライマである２３３７７を、クロム酸塩水媒介エポキシプライマである８５５８２を、非クロム酸塩水媒介エポキシプライマである８５５８２Ｎを含む様々な塗料についてのものである。
【００３２】
表Ｇの６の列は、１、４、７日目に水に浸積し、その後切込みを入れ、テープを剥離する、濡れテープ付着（wet tape adhesion；略称：ＷＴＡ）試験を示す。表Ｇの７の列は、アルミニウム小片の噴霧用の「Ｓ」、拭取り用の「Ｗ」および浸積用の「Ｉ」を含む本発明のクロム前処理溶液（ＡｃｃｅｌａｇｏｌｄおよびＡｌｏｄｉｎｅ）の利用方法を示す。表Ｇの８列目は、最も良い評価を５Ａとして各小片（ＡＳＴＭＤ−３３）に対する塗料付着評価を示し、９列目は、塗料システム（ＡＳＴＭＤ−７１４）に対する膨れ評価を示す。
【００３３】
【表Ｇ】
実施例７−１〜７−５３ ２〜９列目
【表Ｇ】
実施例７−５４〜７−１０８ ２〜９列目
表Ｈのデータは、本発明の３価クロムの前処理（ＴＣＰ−１０Ｍ２）で処理されたアルミニウム小片（７０７５−Ｔ６）を示す。
【００３６】
【表Ｈ】
実施例７−１〜７−３７
【表Ｈ】
実施例７−３８〜７−８０
表Ｈの実施例（７−１〜７−８０）において、１〜４列目は、自己プライミングトップコートとしてＳＰＴを、クロム酸塩ハイソリッドエポキシプライマとして２３３７７を、クロム酸塩水媒介エポキシプライマとして８５５８２を、非クロム酸塩水媒介エポキシプライマとして８５５８２Ｎを含む塗料を示す。５列目は、本発明のクロム前処理（６列目のＡｃｃｅｌａｇｏｌｄおよびＴＣＰ１０Ｍ２−Ｓ）での中性塩水噴霧における５００および２０００時間試験を示す。７列目は、腐食試験の結果を示す。第１評価は切込みの入れられた部分であり、第２評価は切込みの入れられていない部分であり、第３評価は膨れである。すべての評価は、腐食に関して最も高いまたは最も良い性能を１０で示し、１〜１０の範囲で評価される。表Ｈでは、Ｎ．Ｅ．Ｃという用語が、まったく腐食の形跡がないことを示し、Ｓ．Ｃ．という用語が切込み内での表面腐食があるが表面は削られていないことを示す。
【００３９】
本発明の目的のために、水溶性界面活性剤が３価のクロム溶液１リットルあたり約０．０〜約１０グラム、好ましくは約０．５〜２．０グラムの範囲の量で使用される。界面活性剤は、表面張力を低くすることによってより良い湿潤特性を与え、それによって基板の完全な範囲およびより均一なコーティングを保証するために水性組成物に添加される。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤のグループから選択される少なくとも１種の水溶性化合物を含む。水溶性界面活性剤は、モノカルボキシイミドアゾリン、アルカリ硫酸ナトリウム塩（ＤＵＰＯＮＯＬ（登録商標））、トリデシルオキシポリ（アルキルエネオキシエタノール）、エトキシルまたはプロポキシルアルキルフェノール（ＩＧＥＰＡＬ（登録商標））、アルキルスルフォアミド、アルカリスルホン酸、パルミチンアルカノールアミド（ＣＥＮＴＲＯＬ（登録商標））、オクチルフェニルポリエトキシエタノール（ＴＲＩＴＯＮ（登録商標））、ソルビタンモノパルミチン酸塩（ＳＰＡＮ（登録商標））、ドデシルフェニルポリエチレングリコールエーテル（たとえばＴＥＲＧＩＴＲＯＬ（登録商標））、アルキルピロリドン、ポリアルコキシド化脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルフォン酸塩およびその混合物を含む。他の既知の水溶性界面活性剤は、Kirk-Othmer's Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd Ed. においてJohn WileyおよびSonsによって出版された「Surfactants and Detersive Systems」に発表されている。
【００４０】
大きな表面または基板が、浸積できないかまたは、縦の表面が噴霧されるような場合、濃化剤は十分な接触時間で表面に水性組成物を保持するために使用される。使用される濃化剤は、クロム塩溶液１リットルあたり約０．０〜約１０グラム、好ましくは約０．５〜２．０グラムの範囲の量で本発明の３価のクロム溶液に添加することができる既知の水溶性または分散性濃化剤である。これらの添加剤の特定の例は、たとえばヒドロキシプロピルセルロース（たとえばＫｌｕｃｅｌ）、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース濃化剤、コロイド状シリカなどのいくつかの水溶性無機濃化剤、ベントナイトなどの粘土、デンプン、コロイド状アルミナ、アラビアゴム、トラガカントゴム、寒天およびそのいずれかの組合せを含む。
【００４１】
本発明は、多くの特定の実施例によって記述されていると同時に、追加されたクレームに記載された特徴のように本発明の精神および領域から逸脱することなく成すことができる他の多様化および改良があることは明らかである。
Claims (15)
- アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板上に耐食性コーティングを形成するための酸性水溶液であって、溶液１リットルあたり、３．０〜２２グラムの水溶性３価クロム塩、１．５〜１１．５グラムのアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、０〜１０グラムの少なくとも１種の水溶性濃化剤および０〜１０グラムの少なくとも１種の水溶性界面活性剤を含み、ｐＨが２〜６の範囲であり、６価クロムを含まないことを特徴とする酸性水溶液。
- アルカリ金属ジルコニウム酸塩は、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムであることを特徴とする請求項１記載の酸性水溶液。
- アルカリ金属ジルコニウム酸塩は、ヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウムであることを特徴とする請求項１記載の酸性水溶液。
- 水溶性濃化剤は、セルロース化合物であることを特徴とする請求項１記載の酸性水溶液。
- 水溶性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項１記載の酸性水溶液。
- 濃化剤は、該溶液１リットルあたり、０．５〜２．０グラムの範囲であり、界面活性剤は、該溶液１リットルあたり０．５〜２．０グラムの範囲であることを特徴とする請求項１記載の酸性水溶液。
- ３価クロム塩は、硫酸クロム（ＩＩＩ）であることを特徴とする請求項２記載の酸性水溶液。
- 硫酸クロム（ＩＩＩ）は、該水溶液１リットルあたり３．０〜１２グラムの範囲であり、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムは、該溶液１リットルあたり３．０〜９グラムの範囲であることを特徴とする請求項７記載の酸性水溶液。
- アルミニウム、アルミニウム合金および被覆されたアルミニウム基板上に耐食性コーティングを形成する方法であって、水１リットルあたり、３．０〜２２グラムの水溶性３価クロム塩、１．５〜１１．５グラムのアルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩、０〜１０グラムの少なくとも１種の水溶性濃化剤および０〜１０グラムの少なくとも１種の水溶性界面活性剤を含み、ｐＨが２〜６の範囲であり、６価クロムを含まない酸性水溶液で、環境温度下にて前記基板を処理する工程を含む方法。
- ３価クロム塩は、硫酸クロム（ＩＩＩ）であることを特徴とする請求項９記載の方法。
- アルカリ金属ジルコニウム酸塩は、ヘキサフルオロジルコン塩カリウムであることを特徴とする請求項１０記載の方法。
- 濃化剤は、該水溶液１リットルあたり０．５〜２．０グラムの範囲であり、界面活性剤は、該水溶液１リットルあたり０．５〜２．０グラムの範囲にあることを特徴とする請求項１１記載の方法。
- 硫酸クロム（ＩＩＩ）は、水溶液１リットルあたり３．０〜１２グラムの範囲にあり、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコニウム酸塩は該水溶液１リットルあたり３．０〜９グラムの範囲にあることを特徴とする請求項１０記載の方法。
- アルカリ金属ジルコニウム酸塩は、ヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウムであることを特徴とする請求項１０記載の方法。
- 酸性水溶液は、ｐＨが３〜４の範囲であることを特徴とする請求項１１記載の方法。
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