JP4388671B2 - ガゼット溶接用治具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、H型鋼やI型鋼やチャンネル型鋼等、ウェブの上下縁にフランジが形成されている型鋼に対してガゼットを仮付け溶接する際に使用するガゼット溶接用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
型鋼を用いた鉄骨構造では、例えば、H型鋼を大梁とし、チャンネル型鋼を小梁として、この大梁に対して小梁を直角に連結させるといった連結部を多く形成することになる。
このような連結部では、大梁にガゼット(一般にはGプレート)を溶接し、このガゼットを介して大梁に小梁を連結させるようになっている。
【0003】
そして、型鋼に対するガゼットの溶接に際しては、ガゼットを型鋼の延長方向に対して直交させると共に、型鋼のウェブ面に対して直角にセットして、この直交直角状態でガゼットの奥縁とウェブ面との入り隅部、及びガゼットの上下縁とフランジ内面との入り隅部をそれぞれ隅肉溶接するようになっている。
【0004】
このようなガゼットの仮付け溶接に際しては、型鋼のフランジにガゼット取付け位置をケガキ線で描き、そのケガキ線に合わせてガゼットをセットし、この状態でガゼットと型鋼を溶接するものであるが、従来では、ガゼットを片方の手で支えながらし、他方の手に溶接具を持って溶接するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように、片方の手でガゼットを支えながら溶接するものでは、ガゼットを正確な直交直角状態にセットするのが難しく、このため、ケガキ線を上下両方のフランジ共に描いて位置合わせする必要があった。
また、ガゼットの支えが不安定であるため、まず、ガゼットを数ヶ所で仮止め溶接し、次に、ガゼットをハンマ等で叩いて位置修正させながら直交直角状態に位置合わせし、この状態で溶接を行うようにしていた。
【0006】
このように、従来では、溶接作業に手間がかかるし、また、ガゼットを正確な直交直角状態に溶接するのが難しく、又、片方の手でガゼットを支え、他方の手で溶接具を持つ必要があるため、両手が塞がれ、溶接用保護面(以下「保護面」という)を持つことができないなど、作業能率、正確性、安全性の面で難があるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、ガゼットを簡単かつ正確に、しかも直交直角状態に安定してセットできると共に、保護面を持って溶接できるようにすることで、作業能率を向上させると共に、安全性を確保しながら正確にガゼットを仮付け溶接することができるようにしたガゼット溶接用治具を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のガゼット溶接用治具(請求項1)は、ウェブの上下縁にフランジが形成されている型鋼に対してガゼットを溶接する際に使用するガゼット溶接用治具であって、
ウェブ面に対して磁石の吸着により面合状態に取り付けられるウェブ取付け面と、フランジ内面に対して当接させるフランジ当接縁と、磁石の吸着によりガゼットを取付けるガゼットセット面とを備え、
ガゼットセット面がウェブ取付け面に対して直角に形成され、
フランジ当接縁が、ガゼットセット面に対して直角で、ウェブ取付け面に対して平行に延長して形成されている構成とした。
【0009】
本発明のガゼット溶接用治具を使用するには、まず、型鋼のフランジに予めガゼット取付け位置をケガキ線で描いておく。
次に、前記ケガキ線に合せる状態で、型鋼のウェブ面にガゼット溶接用治具のウェブ取付け面を磁石の吸着により、面合状態に取付けると共に、上側フランジ当接縁を上側フランジ内面に対して当接させる。そして、ガゼット溶接用治具ガゼットセット面にガゼットを磁石の吸着により取付ける。
【0010】
このとき、ガゼットセット面がウェブ取付け面に対して直角に形成され、又、フランジ当接縁が、ガゼットセット面に対して直角で、ウェブ取付け面に対して平行に延長して形成されているため、ガゼットは、ガゼット溶接用治具を介して、型鋼の延長方向に対して直交すると共に、ウェブ面に対して直角にセットされることになる。
【0011】
このように、本発明のガゼット溶接用治具を用いると、ガゼットを簡単かつ正確に、しかも直交直角状態に安定してセットできると共に、ガゼットを片手で支えておく必要がないため、その手に保護面を持つことができ、作業能率を向上させると共に、安全性を確保しながら正確にガゼットを仮付け溶接することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により詳述する。
図1は本発明の実施の1形態であるガゼット溶接用治具Aの使用状態を示すもので、側面方向から見た斜視図、図2はそのガゼット溶接用治具Aを正面方向から見た斜視図、図3はそのガゼット溶接用治具Aを背面方向から見た斜視図である。
【0013】
この実施の形態では、図1に示すように、ウェブ90の上縁及び下縁にそれぞれ上側フランジ91及び下側フランジ92が形成されているH型鋼9を大梁とし、このH型鋼9に対してガゼット8を溶接し、このガゼット8を介して、小梁となる型鋼(図示せず)を大梁としてのH型鋼9に直角に連結する場合を例としている。
この場合、ガゼット8をH型鋼9の延長方向に対して直交させると共に、H型鋼9のウェブ面93に対して直角にセットして、この直交直角状態でガゼット8の奥縁81とウェブ面93との入り隅部、及びガゼット8の上縁82と上側フランジ内面94との入り隅部、及びガゼット8の下縁83と下側フランジ内面95との入り隅部をそれぞれ隅肉溶接させることになる。
尚、ガゼット8には、H型鋼9のR隅部96,96を避けるように面取り部84,84が形成され、又、小梁となる型鋼(図示せず)をガゼット8に結合するためのボルト締結孔85,85が形成されている。
【0014】
前記ガゼット溶接用治具Aは、ウェブ面93に対して磁石10aの吸着により面合状態に取り付けられるウェブ取付け面10と、上側フランジ内面94に対して当接させる上側フランジ当接縁11と、下側フランジ内面95に対して当接させる下側フランジ当接縁12と、磁石13aの吸着によりガゼット8を取付けるガゼットセット面13とを備えている。
【0015】
この場合、外面が直角に形成されたアングル板材2の一方の板片20の外面がウェブ取付け面10に形成され、他方の板片21の外面がガゼットセット面13に形成されて、このガゼットセット面13がウェブ取付け面10に対して直角に形成されている。
尚、前記アングル板材2には、角部上端部及び角部下端部から一方の板片20の上端部及び下端部にかけて切欠部22,22が形成され、この切欠部22,22によってH型鋼9のR隅部96,96を避けるようになっている。
【0016】
又、他方の板片21の内面には、コ状板材3が溶接により一体に連結され、このコ状板材3の上縁が上側フランジ当接縁11に形成され、下縁が下側フランジ当接縁12に形成され、この上側フランジ当接縁11及び下側フランジ当接縁12は、ガゼットセット面13に対して直角で、ウェブ取付け面10に対して平行に延長して形成されている。
【0017】
又、一方の板片20の内面には、コ字状枠4が溶接により一体に連結され、このコ字状枠4の中程部が手持ち用の把持部40に形成されている。
【0018】
本実施の形態に係るガゼット溶接用治具を使用して、大梁としてのH型鋼9にガゼットを溶接する際の手順を説明する。
まず、H型鋼9の上側フランジ91の外縁に予めガゼット取付け位置をケガキ線5で描いておく。
次に、前記ケガキ線5に合せる状態で、H型鋼9のウェブ面93にガゼット溶接用治具Aのウェブ取付け面10を磁石10aの吸着により、面合状態に取付けると共に、上側フランジ当接縁11を上側フランジ内面94に対して当接させる。そして、ガゼット溶接用治具Aのガゼットセット面13にガゼット8を磁石13aの吸着により取付ける。
【0019】
これにより、ガゼット溶接用治具Aは、ガゼット8をガゼットセット面13に取り付けた状態で、H型鋼9のウェブ面93にウェブ取付け面10を面合させて取り付けられる。
【0020】
このとき、ガゼットセット面13がウェブ取付け面10に対して直角に形成され、又、上側フランジ当接縁11が、ガゼットセット面13に対して直角で、ウェブ取付け面10に対して平行に延長して形成されているため、ガゼット8は、ガゼット溶接用治具Aを介して、H型鋼9の延長方向に対して直交すると共に、ウェブ面93に対して直角にセットされることになる。
【0021】
そして、このようにしてガゼット溶接用治具Aによりガゼット8をH型鋼9にセットした状態のまま、ガゼット溶接用治具Aに吸着していない側において、ガゼット8とH型鋼9との各入り隅部をそれぞれ仮付け溶接し、次に、ガゼット溶接用治具Aを取り外して、そのガゼット溶接用治具Aを取り外した側において、上記と同様に各入り隅部をそれぞれ仮付け溶接するものである。
【0022】
このように、ガゼット溶接用治具Aを用いると、ガゼット8を簡単かつ正確に、しかも直交直角状態に安定してH型鋼9にセットできると共に、ガゼット8を片手で支えておく必要がないため、その手に保護面を持つことができ、作業能率を向上させると共に、安全性を確保しながら正確にガゼット8を溶接することができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれに限定されることはない。
例えば、ガゼットの溶接対象となる型鋼としては、H型鋼に限らず、I型鋼やチャンネル型鋼等、ウェブの上下縁にフランジが形成されている型鋼であれば、本発明のガゼット溶接用治具を用いることができる。
また、ガゼットの形状及びサイズについても、このガゼットを型鋼の延長方向に対して直交させると共に、ウェブ面に対して直角に取り付けるようにしたものであれば、本発明のガゼット溶接用治具を用いることができる。
また、実施の形態では、上側フランジにケガキ線を描いたが、下側フランジにケガキ線を描き、そのケガキ線にガゼットの下縁を合わせる状態にセットするようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のガゼット溶接用治具にあっては、ガゼットを、ガゼット溶接用治具を介して型鋼の延長方向に対して直交すると共に、ウェブ面に対して直角にセットすることができる。
【0025】
従って、ガゼットを簡単かつ正確に、しかも直交直角状態に安定してセットできると共に、ガゼットを片手で支えておく必要がないため、その手に保護面を持つことができ、作業能率を向上させると共に、安全性を確保しながら正確にガゼットを仮付け溶接することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の1形態であるガゼット溶接用治具の使用状態を示もので、側面方向から見た斜視図である。
【図2】そのガゼット溶接用治具を正面方向から見た斜視図である。
【図3】そのガゼット溶接用治具を背面方向から見た斜視図である。
【符号の説明】
A ガゼット溶接用治具
10 ウェブ取付け面
10a 磁石
11 上側フランジ当接縁
12 下側フランジ当接縁
13 ガゼットセット面
13a 磁石
2 アングル板材
20 板片
21 板片
22 切欠部
3 コ状板材
4 コ字状枠
40 把持部
5 ケガキ線
8 ガゼット
81 奥縁
82 上縁
83 下縁
84 面取り部
85 ボルト締結孔
9 H型鋼(型鋼)
90 ウェブ
91 上側フランジ
92 下側フランジ
93 ウェブ面
94 上側フランジ内面
95 下側フランジ内面
96 R隅部

Claims (1)

  1. ウェブの上下縁にフランジが形成されている型鋼に対してガゼットを仮付け溶接する際に使用するガゼット溶接用治具であって、
    ウェブ面に対して磁石の吸着により面合状態に取り付けられるウェブ取付け面と、フランジ内面に対して当接させるフランジ当接縁と、磁石の吸着によりガゼットを取付けるガゼットセット面とを備え、
    ガゼットセット面がウェブ取付け面に対して直角に形成され、
    フランジ当接縁が、ガゼットセット面に対して直角で、ウェブ取付け面に対して平行に延長して形成されていることを特徴としたガゼット溶接用治具。
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