JPH0715186U - エンドキャップ溶接治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 角パイプにエンドキャップを仮付けするにつ
き、位置決めを容易にする。また、エンドキャップを角
パイプ内に若干入り込んだ位置に溶接することができ
て、溶接ビードのはみ出し防止を可能とする。 【構成】 この治具１は、角パイプ端面に当接させる治
具基盤２と、キャップ配置台部４と、ボス５と、複数の
パイプ用位置決め片６，７とで構成される。キャップ配
置台部４はエンドキャップ１３を載せるものであり、治
具基盤２に角パイプ当接面よりも若干突出させて設け
る。ボス５は、エンドキャップ１３の位置決め孔１４に
嵌合させるものである。パイプ用位置決め片６，７は、
角パイプ外面に接して治具１を位置決めするものであ
る。治具基盤２は、一対の角部を斜めカットした平面形
状とし、角パイプの端面のエンドキャップ配置箇所の一
部を露出可能とする。キャップ配置台部４およびパイプ
用位置決め片６には磁石を設ける。パイプ用位置決め片
６は治具基盤２に対して外側へ傾動可能に取付け、起立
方向へばね部材９で付勢する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、壁パネルの鉄骨フレーム等を構成する角パイプにエンドキャップ を溶接するのに使用するエンドキャップ溶接治具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、カーテンウォール等の壁パネルとして、図４に示すように鉄骨フレー ム２２の表裏面に壁板２３を組み付けたものがある。上記鉄骨フレーム２２は、 角パイプからなる左右一対の縦枠２２ａ，２２ａと、上下一対の横枠２２ｂ，２ ２ｂを方形に溶接して構成される。

【０００３】 このような構成の壁パネル２１を建物に取付ける場合、一例として同図に示す ような取付金具２４が使用される。この取付金具２４は、鉄骨柱２５の側面にボ ルト接合する取付縦片２６と、壁パネル２１の上部横枠２２ｂにボルト接合する 取付横片２７とを有し、取付横片２７の上面には上段に配置される壁パネル２１ の縦枠２２ａ下端に形成された位置決め孔に嵌合するダボ２８が突設されている 。この取付金具２４のダボ２８に上記縦枠２２ａの下端の位置決め孔を嵌合させ ることによって、上段の壁パネル２１が位置決めされる。さらに、取付金具２４ の取付横片２７を、上段壁パネル２１の下部横枠２２ｂと下段壁パネル２１の上 部横枠２２ｂとの間に介装させた状態で、下部横枠２２ｂと上部横枠２２ｂとが ボルト２９、ナット３０で締付け固定される。

【０００４】 縦枠２２ａを構成する角パイプ端面の位置決め孔は、図５（Ａ）に斜視図で示 すように、位置決め孔３１を形成したエンドキャップ３２を角パイプ３３の端面 に溶接することにより設けられる。この場合の溶接作業は、まず図５（Ｂ）のよ うに角パイプ３３の口縁に整合する方形板状のエンドキャップ３２を、図５（Ｃ ）のように手で角パイプ３３の口縁に押し付けて保持した状態で、エンドキャッ プ３２の周縁の一部を角パイプ３３の口縁にスポット溶接により仮付する。この 後、図５（Ｄ）に符号Ｅ，Ｆで示すようにエンドキャップ３２を全周にわたって 角パイプ３３の口縁に溶接する。 ついで、溶接部Ｆのはみ出した溶接ビードをグラインダ掛けで図５（Ｅ）のよ うに平坦化処理してから、この部分に下横枠２２ｂとなる溝形鋼を図５（Ｆ）の ように溶接する。この後、溶接部Ｅについてもグラインダ掛けを行って平坦化処 理する。これにより、溶接に左右されることなく、並設される壁パネル２１，２ １間を所定の狭い隙間に設定できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記のエンドキャップ３２の溶接方法では、最初のスポット溶接時に エンドキャップ３２の精度が出せず、エンドキャップ３２の取付位置に十分な精 度を得ることが難しい。また、はみ出した溶接ビードを平坦化するためにグライ ンダ掛けを数度にわたって行う必要があり、手間と時間がかかる。しかも、グラ インダ掛けによる溶接ビードの一部除去のために接合強度が低下し、強度不足に なる恐れがある。また、そのためにエンドキャップ３２の全周に溶接を行うこと が必要で、溶接距離も長くなる。

【０００６】 この考案の目的は、エンドキャップを簡単に、かつ精度良く角パイプに溶接で き、しかも十分な接合強度を確保できるエンドキャップ溶接治具を提供すること である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案のエンドキャップ溶接治具は、角パイプの端部に嵌り込むエンドキャ ップの仮付け溶接に使用する治具であって、前記角パイプの端面に当接させる治 具基盤と、エンドキャップを配置するキャップ配置台部と、エンドキャップの位 置決め孔に嵌合するボスと、角パイプの外面に接する複数のパイプ用位置決め片 とを備える。 前記治具基盤は、前記角パイプの端面のエンドキャップ配置箇所の一部が露出 する平面形状とする。キャップ配置台部は、治具基盤に角パイプ当接面よりも若 干突出して設けられ、前記ボスはキャップ配置台部に設けられる。パイプ用位置 決め片は前記治具基盤に突設される。

【０００８】 前記キャップ配置台部およびパイプ用位置決め片には磁石を設けても良い。

【０００９】 また、前記パイプ用位置決め片を治具基盤に対して外側へ傾動可能に取付け、 かつパイプ用位置決め片を起立方向へ付勢するばね部材を設けても良い。

【００１０】

【作用】

仮付け溶接に際しては、まずこの溶接治具のキャップ配置台部に、エンドキャ ップをその位置決め孔がボスに嵌合するように配置する。この状態で、パイプ用 位置決め片を角パイプの対応する外面に接面させ、かつ治具基盤を角パイプ端面 に当接させる。これにより、キャップ配置台部に配置させたエンドキャップが、 角パイプ内に治具基盤からキャップ配置台部が突出する高さ分だけ入り込だ状態 に位置決めされる。 この状態で、角パイプ端面のエンドキャップ配置箇所の一部が治具基盤に隠さ れることなく露出するので、この露出部においてエンドキャップの周縁の一部を 角パイプの内面にスポット溶接等で仮付け溶接する。この後、角パイプからエン ドキャップ溶接治具を外し、エンドキャップの残る周縁部を溶接する。 このように溶接すると、エンドキャップは角パイプの口縁より若干入り込んだ 位置で溶接されることになる。そのため、溶接ビードが角パイプの口縁からはみ 出すことがなく、グラインダ掛けが不要となる。また、エンドキャップは治具基 盤のボスに位置決めされ、治具基盤はパイプ用位置決め片で角パイプの２面に位 置決めされるため、エンドキャップが角パイプに対して精度良く位置決めされ、 したがって溶接精度も向上する。

【００１１】 キャップ配置台部に磁石を設けた場合は、キャップ配置台部からエンドキャッ プが脱落せず、作業が容易となる。パイプ用位置決め片に磁石を設けた場合は、 角パイプに対してエンドキャップ溶接治具が吸着されるので、仮付け溶接に際し てこのエンドキャップ溶接治具を作業者が保持する必要がなく、仮付け溶接を容 易に行うことができる。

【００１２】 また、パイプ用位置決め片を治具基盤に対して外側へ傾動可能に取付け、かつ パイプ用位置決め片を起立方向に付勢するばね部材を設けた場合は、仮付け溶接 後にエンドキャップ溶接治具を角パイプから取り外す作業が容易に行える。

【００１３】

【実施例】

この考案の一実施例を図１および図２に基づいて説明する。図１はこの実施例 のエンドキャップ溶接治具１を示す外観斜視図である。この治具１は、図２（Ａ ）に示す角パイプ１２の端面に、位置決め孔１４を有する断面コ字状のエンドキ ャップ１３を溶接するのに使用する治具であって、角パイプ１２の端面に当接さ せる治具基盤２を有し、この治具基盤２の下面には軸状の把手３が突設されてい る。

【００１４】 治具基盤２は、矩形の対向する角部を斜めカットした平面形状であり、角パイ プ１２の端面のエンドキャップ配置箇所の一部が露出する平面形状とされる。治 具基盤２の上面には角パイプ当接面よりも若干（３mm程度）突出させてエンドキ ャップ１３を配置させるキャップ配置台部４が設けられている。キャップ配置台 部４は磁石からなり、その上に配置されたエンドキャップ１３を吸着により保持 可能としてある。なお、キャップ配置台部４は、全体を磁石としても良く、また 一部を磁石としてもよい。キャップ配置台部４の上面には、エンドキャップ１３ の位置決め孔１４に嵌合するボス５が設けられている。

【００１５】 また、治具基盤２の端縁のうち、角パイプ１２の口縁に整合する２箇所、つま り角パイプ１２の隣合う２辺に対応する部分には、角パイプ１２の外面に各々接 するパイプ用位置決め片６，７が設けられている。そのうち、一方の位置決め片 ６は、治具基盤２の端縁から横向きに突設した２本の取付軸８，８と、その外周 に設けた２個のばね部材９，９とで傾動可能に取付けてある。すなわち、位置決 め片６の基端に設けた２個の孔にボルトからなる取付軸８，８を各々挿通し、そ の先端のねじ部を治具基盤２の端面のねじ孔に螺着すると共に、取付軸８のボル ト頭と位置決め片６との間に、コイルばねからなるばね部材９を介在させてある 。また、この位置決め片６には磁石１０が設けてある。磁石１０は、角パイプ１ ２の対応する外面に位置決め片６を接面状態に保持させるためのものである。 なお、他の位置決め片７についても傾動可能に設け、ばね部材で起立方向に付 勢させてもよく、さらには磁石を設けてもよい。位置決め片６，７の治具基盤２ に対する大きさも、作業者の好みに応じて種々の大きさに形成し、使い勝手の向 上を図ることができる。

【００１６】 次に、このエンドキャップ溶接治具１を使用して、図２（Ａ）のように角パイ プ１２の端面にエンドキャップ１３を溶接する場合の作業手順を説明する。角パ イプ１２は壁パネルの鉄骨フレームの縦枠とされるものである。エンドキャップ １３は、位置決め孔１４を中央に有する断面コ字状のものである。 先ず、図１に鎖線で示すようにエンドキャップ溶接治具１のキャップ配置台部 ４上に、エンドキャップ１３をその位置決め孔１２がボス５に嵌合するように配 置する。キャップ配置台部４は磁石からなるので、どのような姿勢となってもエ ンドキャップ１３はキャップ配置台部４上に吸着状態に保持される。

【００１７】 このようにエンドキャップ１３を載せたエンドキャップ溶接治具１を、その把 手３を持って図２（Ｂ）のように角パイプ１２の端面に装着する。すなわち、２ 個のパイプ用位置決め片６，７が角パイプ１２の隣合う２辺の外面にそれぞれ接 面し、また治具基盤２の上面が角パイプ１２の端面に当接するように、エンドキ ャップ溶接治具１を配置する。 この装着状態で、エンドキャップ１３は、治具基盤２上からキャップ配置台部 ４が突出する分だけ、角パイプ１２の口縁から内方に押し込まれた位置に配置さ れることになる。

【００１８】 またこの状態で、図２（Ｃ）に示すように治具基盤２の斜めカットされた形状 のために、角パイプ１２の端面のエンドキャップ配設箇所の一部が露出する。こ の露出箇所において、符号Ａ，Ａで示すようにエンドキャップ１３の周縁の一部 を角パイプ１２の内側面にスポット溶接する。 次いで、角パイプ１２の端面からエンドキャップ溶接治具１を取り外し、図２ （Ｄ）に示すようにエンドキャップ１３の周縁の残る部分を符号Ｂで示すように 角パイプ１２の内側面に溶接する。治具１の取り外しは、エンドキャップ１３が 角パイプ１２に仮付け溶接されていても、パイプ用位置決め片６が弾性的に傾動 可能であるため、容易に取り外すことができる。

【００１９】 このようにしてこの治具１を用いて溶接することにより、エンドキャップ１３ の溶接箇所Ａ，Ｂは図２（Ｅ）に示すように角パイプ１２の端面から若干内方に 後退した位置となるので、溶接ビードが角パイプ１２の口縁から外部にはみ出す ことがない。そのため、グラインダ掛けによって溶接箇所Ａ，Ｂの一部を削り落 とすといった作業は不要となる。また、グラインダ掛けに伴う溶接箇所の強度低 下の問題がなくて、図２（Ｄ）に示すように２辺の溶接だけで十分な接合強度が 得られ、溶接長が短くて済む。 また、エンドキャップ１３は治具１にボス５で精度良く位置決めされ、かつ治 具１はパイプ用位置決め片６，７で角パイプ１２に対して精度良く決めされるの で、エンドキャップ１３を高精度に角パイプ１２に溶接することができる。

【００２０】 図３は、この考案のエンドキャップ溶接治具１の他の実施例を示す外観斜視図 である。このエンドキャップ溶接治具１では、前記実施例におけるパイプ用位置 決め片６，７に加えて、その位置決め片６に対面するパイプ用位置決め片１１が 設けられている。その他の構成は先の実施例と同様である。この実施例では、角 パイプ１２の方形口縁の３辺に対応する各分部にそれぞれパイプ用位置決め片６ ，７，１１が設けられているので、角パイプ１２の端面へのエンドキャップ１３ の位置決めをより精度良く行うことができる。

【００２１】

【考案の効果】 この考案のエンドキャップ溶接治具は、角パイプ端面のエンドキャップ配置箇 所の一部が露出する平面形状を有し前記角パイプ端面に当接させる治具基盤と、 この治具基盤に角パイプ当接面よりも若干突出して設けられてエンドキャップを 配置するキャップ配置台部と、このキャップ配置台部に設けられてエンドキャッ プの位置決め孔に嵌合するボスと、前記治具基盤に突設されて各々角パイプの外 面に接する複数のパイプ用位置決め片とを設けたため、エンドキャップを簡単に 、かつ精度良く角パイプに溶接することができる。しかも、エンドキャップを角 パイプに若干入り込んだ状態に位置決めできて、溶接ビードのはみ出しが防げ、 グラインダ掛けの不要化、および溶接長の短縮が図れる。

【００２２】 また、キャップ配置台部やパイプ用位置決め片に磁石を設けた場合は、エンド キャップの脱落防止や、仮付け溶接時の治具把持の不要化が図れ、より作業性の 向上が得られる。 パイプ用位置決め片を弾性的に傾動可能とした場合は、エンドキャップを仮付 け溶接した後の治具の取り外し作業が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例であるエンドキャップ溶接
治具の外観斜視図である。

【図２】同治具を使用したエンドキャップ溶接手順を示
す説明図である。

【図３】この考案の他の実施例であるエンドキャップ溶
接治具の外観斜視図である。

【図４】壁パネルの取付け状態を示す分解斜視図であ
る。

【図５】角パネルへのエンドキャップの溶接手順の従来
例を示す説明図である。

【符号の説明】

１…エンドキャップ溶接治具、２…治具基盤、４…キャ
ップ配置台部、５…ボス、６，７，１１…パイプ用位置
決め片、８…取付軸、９…ばね部材、１０…磁石、１３
…エンドキャップ、１４…位置決め孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中村 明 大阪府東大阪市御厨中１丁目12番11号 株 式会社石川製作所内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 角パイプの端部に嵌り込むエンドキャッ
   プの仮付け溶接に使用する治具であって、前記角パイプ
   の端面のエンドキャップ配置箇所の一部が露出する平面
   形状を有し前記角パイプ端面に当接させる治具基盤と、
   この治具基盤に角パイプ当接面よりも若干突出して設け
   られてエンドキャップを配置するキャップ配置台部と、
   このキャップ配置台部に設けられてエンドキャップの位
   置決め孔に嵌合するボスと、前記治具基盤に突設されて
   各々角パイプの外面に接する複数のパイプ用位置決め片
   とを備えたエンドキャップ溶接治具。
2. 【請求項２】 キャップ配置台部に磁石を設けた請求項
   １記載のエンドキャップ溶接治具。
3. 【請求項３】 パイプ用位置決め片に磁石を設けた請求
   項１または請求項２記載のエンドキャップ溶接治具。
4. 【請求項４】 パイプ用位置決め片を治具基盤に対して
   外側へ傾動可能に取付け、かつパイプ用位置決め片を起
   立方向へ付勢するばね部材を設けた請求項１記載のエン
   ドキャップ溶接治具。