JP4387869B2 - 感光体及びプロセスカートリッジ並びに画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
従来より、このような因子に対する感光体の高耐久化技術として感光体表面層の耐摩耗性を向上させる手段が提案されてきた。例えば、感光体表面に滑性フィラーを含有させることにより、感光体表面の滑性を向上せしめ、その結果、感光体の長寿命化を図れることが提案されている(特許文献3及び4参照)。
また、特許文献5及び6には、像保持部材の絶縁層ないし光導電層中にフィラーを含ませることにより、感光体の機械的強度を向上させることが提案されている。
また、特許文献7及び8には、積層型電子写真感光体における感光体表面層又は電荷輸送層中にフィラーを含有させることにより、感光体表面硬度の強化、又は滑性を付与することが提案されている。
また、特許文献9には、電荷輸送媒質100質量部に対し、疎水性酸化チタン微粉末を1質量部から30質量部含有させることにより、感光体の機械的強度を向上させることが提案されている。
更に、フィラーを利用するものとして、例えば、特定範囲の粒径及び粒径分布を有する酸化スズや酸化アンチモンなどの金属又は金属酸化物を含有する保護層を設けることにより、感光体の機械的強度を向上させることが提案されている(特許文献10〜13参照)。
このような濃度ムラ、色ズレに関しては、特許文献14では、感光体の逆帯電特性に起因すると示されており、感光体の逆帯電繰り返し疲労における静電容量変化率を30%以下にすることが提案されている。しかし、この提案において、上述したような機械的強度を向上させるため最表層に無機微粒子を含有させた感光体を用いた場合、ポジ残像(前画像形成プロセスの露光部が次のプロセスで画像に現れる)などの異常画像が発生する場合があり、有用な手段とはならないと言える。
前記課題を解決するため、本発明者等が鋭意検討を進めた結果、残像、画像ボケ、及び画像流れを低減するためには、感光体の光減衰機能を低下させることなく電荷輸送剤の添加量を減量することが有効であり、電荷輸送剤と共存する無機微粒子はチャージ生成物の吸着サイトになるので、無機微粒子の添加量を少量に押さえることが有効なことを知見した。
<1> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有する感光体において、前記感光体における最表層が少なくとも無機微粒子、バインダー樹脂、及び電荷輸送剤を含有し、該バインダー樹脂の含有量が前記最表層の全固形分に対し50質量%以上であり、かつ前記感光体における下記数式1で表される静電容量変化率が30%以下であるとともに、露光−現像間時間が120msec以下である画像形成装置に用いられ、露光−現像間時間の1/3における露光後電位(V1)と、露光−現像間時間における露光後電位(V2)の差(V1−V2)が、絶対値で60V以下であり、前記電荷輸送剤の含有量が最表層の全固形分に対し2〜25質量%であり、前記無機微粒子の含有量が最表層の全固形分に対し5〜25質量%であり、前記無機微粒子が酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種であり、前記感光体の最表層がスプレー塗工法により形成されることを特徴とする感光体である。該<1>に記載の感光体においては、最表層が無機微粒子、電荷0輸送剤を含有する感光体において、感光体の帯電極性と逆極性の帯電と露光の繰り返しを受けた後の静電容量が初期に対し30%以下であり、前記最表層に含まれるバインダー樹脂を最表層の全固形分に対して50質量%以上とすることで、長期間繰り返し使用しても、画像ボケ、画像流れ及びポジ残像を発生することなく、良好な画像が出力できる。
<数式1>
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
ただし、前記数式1中、C0は、感光体の初期静電容量を表し、C1は、感光体に逆帯電疲労をかけた後の静電容量を表す。
<2> 無機微粒子の平均一次粒径が0.05〜1.0μmである前記<1>に記載の感光体である。
前記<1>から<2>のいずれかに記載の感光体においては、耐摩耗性の向上のため最表層に含有される無機微粒子として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムの中から選ばれる少なくと1種であることが感光体の機械的強度を向上させる上で好ましく、さらには、酸化アルミニウムであるα−アルミナが好適である。また、無機微粒子の平均1次粒径は、0.05〜1.0μmが好ましく、無機微粒子量を少なくする場合には、機械的強度を維持するため無機微粒子の1次粒径を大きくすることが有効であり、0.2μm以上が好適である。無機微粒子の粒径が大きくなると、最表層の成膜性(均一性、表面粗さ)が悪くなり、クリーニング不良、解像度低下を引き起こしやすくなるため、無機微粒子の粒径は1.0μm以下が好ましい。
<4> 感光層が、単層型及び積層型のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光体である。
<5> 感光体の最表層が、表面保護層である前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光体である。
前記<4>から<5>のいずれかに記載の感光体においては、積層型及び単層型感光体に表面保護層を設けた場合には最表層が表面保護層となるが、該表面保護層より下の感光層で感光体に必要な基本的な電気特性を有するため、表面保護層の構成材料種、材料構成比の自由度が大きくなる。この場合、例えば、表面保護層の電荷輸送剤量を極端に低減することが可能になる。従って、本発明の感光体の層構成は、最表層が表面保護層になる場合が好適である。
<6> 感光体と、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有する画像形成装置において、
前記感光体が、前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置である。該<6>に記載の画像形成装置においては、長期間繰り返し使用によっても、短波長レーザを用いて高解像度としても、異常画像が発生しにくく、長期間良好な画像を得ることができる。
<7> 露光−現像間に感光体の表面電位を計測するセンサを有し、該センサのデータに基づいて感光体の現像部電位を推定し、帯電器、露光器、現像手段、及び転写手段の少なくとも1つ以上の調整を行い、前記露光−現像間時間が120msec以下であり、かつ前記センサを露光−現像間時間の1/2以下の位置に設置する前記<6>に記載の画像形成装置である。
<8> センサからのデータに基づいて現像部電位を推定する際に、予め記憶装置に記憶させておいた感光体のセンサと現像部との電位の関係式に基づいて現像部電位を算出する前記<6>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> 感光体と、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段を少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなるタンデム型である前記<6>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。該<9>に記載の画像形成装置においては、1ドラム型画像形成装置にくらべて、非常に高速で良好なフルカラー画像を得ることができる。
前記感光体が、前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成方法である。
<12> 感光体、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなり、前記感光体が前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。該<12>に記載のプロセスカートリッジにおいては、感光体や、その他プロセス部材の交換を短時間に、容易に行うことができるので、メンテナンスに要する時間が短縮でき、コストダウンにつながる。また、プロセス部材と電子写真感光体が一体となっているので、取り付け位置の精度が向上するという利点もある。
従って、本発明によれば、チャージ生成物の吸着サイトになると考えられる無機微粒子の添加量低減でなく、電荷輸送剤の添加量低減により、長期間繰り返し使用しても、画像ボケ、画像流れ及びポジ残像を発生することなく、良好な画像が出力できる。
本発明の感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、表面保護層、下引き層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
ここで、図1は、本発明の感光体の模式断面図を示し、支持体301上に感光層302を設けた構成の感光体を示している。図2、図3、及び図4は各々本発明における感光体の他の構成例を示すものである。図2は、感光層302が電荷発生層(CGL)303と電荷輸送層(CTL)304より構成される機能分離型タイプの感光体を示す。図3は、支持体301と、機能分離型タイプの感光層との間に下引き層305を入れた感光体を示す。図4は、図3の感光層302の上にさらに表面保護層306を形成した感光体を示す。なお、本発明に係る感光体としては、支持体上に少なくとも感光層を有していれば、上記以外のその他の層が形成されていてもよく、また、該感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
ただし、前記数式1中、C0は、感光体の初期静電容量を表し、C1は、感光体に逆帯電疲労をかけた後の静電容量を表す。
ここで、前記感光体における最表層とは、感光体の最表面に位置する層であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単層型の感光層では、最表層は感光層自体又は表面保護層を意味する。積層型の感光層では、最表層は、電荷輸送層、又は表面保護層を意味する。
前記バインダー樹脂は、小粒径であり、したがって単位質量当たりの吸着サイトの割合がより高くなる無機微粒子と共に用い、繰り返し使用により形成画像の画質が低下せず高耐久性の感光体を提供するのに特に適している。このため、小粒径の無機微粒子は、高解像力の感光体にするためは不可欠である。
また、前記感光体の最表層には、前記無機微粒子以外にも、無機フィラー及び有機フィラーのいずれかのフィラーを含有することが好ましい。
前記無機フィラーの材料としては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等の無機材料などが挙げられる。
これらフィラーは少なくとも1種の表面処理剤で表面処理することが分散性の面から好ましい。前記フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久性化又は高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
前記表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、又はこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
前記シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、前記表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。前記表面処理剤の含有量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、前記フィラーに対し3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られないことがあり、多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
前記電荷輸送剤の含有量は最表層の全固形分に対し2〜25質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。前記含有量が2質量%未満であると、感光体光感度、光応答性が著しく低下してしまうことがあり、25質量%を超えると、感光体帯電性の繰り返し安定性が低下したり、ポジ残像が発生してしまうことがある。
前記スプレー塗工では、まず、塗工液の条件として、固形分濃度、混合溶媒の場合はその種類と混合比などがあり、スプレー装置の条件としては、塗工液の吐出量、霧化エア圧力、スプレー先端と被塗布部表面との距離、被塗布物表面の移動速度、重ね塗りの回数などが上げられる。例えば、塗工液の吐出量を小さくして、重ね塗り回数を増やすことで所望の膜厚の表面保護層を形成する場合は、よりドライな状態で塗膜が形成され、逆に吐出量を大きくして、重ね塗り回数を減らすと、よりウェットな状態で塗膜が形成されることになる。各種塗工条件を検討し、好適な範囲を把握する必要がある。
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
ただし、前記数式1中、C0は、感光体の初期静電容量を表し、C1は、感光体に逆帯電疲労をかけた後の静電容量を表す。
<数式2>
C0=Q/V
ただし、Qは電荷量を表す。Vは感光体表面電位を表す。
次いで、逆帯電疲労をかける。逆帯電疲労特性は感光体を回転させ、図12における(DC1)、(LD1)、(DC2)、及び(LD2)をそれぞれONし、感光体に帯電露光を行う。その後、(DC1)、(LD1)、(DC2)、及び(LD2)をOFFし、直ちに(DC1)で感光体を800Vに帯電し、(EX1)で露光し、光減衰させる。上記と同様に帯電に必要な電荷量Qを求め、感光体表面電位の関係を上記数式2に代入して感光体の静電容量(逆帯電疲労後)C1を求める。得られた静電容量C0(初期)と、静電容量C1(逆帯電疲労後)とから、下記数式1により静電容量変化率を求めることができる。
<数式1>
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
〔測定条件〕
ドラム径(mm):30
線速(mm/s):262
副走査方向解像度(dpi):400
露光量(μJ/cm2):0〜1.0
除電装置:作動
帯電器:感光体の帯電電位が−600Vとなるように調整した。
ΔVLs=| VL(40msec)−VL(120msec) |
ΔVLf=| VL(20msec)−VL(60msec) |
前記支持体としては、導電体又は導電処理をした絶縁体、例えば、Al、Ni、Fe、Cu、Au等の金属、又はこれらの合金の他、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属又はIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙等が使用できる。
前記支持体の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、板状、ドラム状、又はベルト状のいずれのものも使用できるが、ベルト状の支持体を用いると、内部に駆動ローラ、従動ローラを設ける必要があるなど装置が複雑化したり、大型化する反面、レイアウトの自由度が増すなどのメリットがある。しかし、表面保護層を形成する場合は、該表面保護層の可撓性が不足して、表面にクラックとよばれる亀裂が入る可能性があり、それが原因で粒状の地肌汚れが発生することが考えられる。このようなことから、支持体としては剛性の高いドラム状のものが好ましく用いられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
更に、前記下引き層として、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けてもよい。
前記下引き層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5μmが好ましい。
本発明の感光体に用いられる感光層の種類は、その材質としては、例えば結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、特に、環境に対して優しくかつ安価なOPCが良好である。
<積層型の感光層>
前記積層型の感光層では、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、表面保護層、その他の層を有してなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料及び有機系材料のいずれかを用いることができる。
前記無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
前記電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−オキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54
−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特
開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示さ
れる。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−5055平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
前記単層型の感光層では、支持体上に単層の感光層を設けてなり、更に必要に応じて、中間層、表面保護層、その他の層を有してなる。
また、前記単層型の感光層には、更に必要に応じて、可塑剤、バインダー樹脂を添加することができる。
前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いることができる。その他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
前記単層型の感光層が感光体の最表層となる場合には、酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選択される少なくと1種の無機微粒子を含有する。
また、前記単層型の感光層は、前記電荷輸送層の場合と同様の製造方法により形成することができる。
前記単層型の感光層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜100μm程度が適当である。
前記表面保護層に使用される材料としては、例えば、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、表面保護層に電荷輸送物質を含有させることも感光体の電気特性、特に繰り返し使用時の光感度劣化、残留電位の上昇を抑制するのに非常に有用である。これは、表面保護層にも電荷輸送性を持たせることで、感光体表面までスムーズに電荷が移動できるようになるためだと考えられる。かかる電荷輸送性物質としては、前記電荷輸送層で用いられる電荷輸送性物質を用いることができる。
更に、本発明に係る感光体の表面保護層には、接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を加えてもかまわない。
前記表面保護層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜15μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
本発明のプロセスカートリッジは、感光体、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなり、前記感光体として本発明の前記感光体を用いる。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
前記感光体101は、例えば、支持体と、該支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を少なくともこの順に含む感光層を有する。
露光手段103には、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。帯電手段102には、任意の帯電部材が用いられる。
本発明の画像形成装置は、感光体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
前記静電潜像形成工程は、感光体上に静電潜像を形成する工程である。
前記感光体としては、上記本発明の感光体を用いる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記感光体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像をトナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
そして、前記センサからのデータに基づいて現像部電位を推定する際に、予め記憶装置に記憶させておいた感光体のセンサと現像部との電位の関係式に基づいて現像部電位を算出することができる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、
該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図6は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。
図6に示すように、本発明に係る感光体を用いた画像形成装置は、本発明に係るドラム状の感光体1と、帯電チャージャ3と、転写前チャージャ7と、転写チャージャ10と、分離チャージャ11と、クリーニング前チャージャ13などから構成されている。なお、感光体1の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。また、各種チャージャーとしては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。なお、感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図示するような転写チャージャと分離チャージャとを併用したものが効果的である。
かかる光源等は、図6に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光を照射することができる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段としては、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図7中、感光体22は、本発明の前記感光体であり、駆動ローラ23により駆動され、帯電チャージャ20による帯電、光源21による像露光、現像(不図示)、帯電器25を用いる転写、ブラシ26によるクリーニング、光源27による除電が繰返し行われる。
図8は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図8において、静電潜像担持体である感光体56は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロンやスコロトロンなどを用いる帯電チャージャ53によって一様帯電せしめられた後、図示しないレーザ光学装置から発せられるレーザ光(L)の走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム56上にはイエロー、マゼンタ、シアン又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。感光体ドラム56の図中左側には、リボルバ現像ユニット50が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム56に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、ブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを付着せしめて静電潜像を現像するものである。感光体ドラム56上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成され、これらはリボルバ現像ユニット50の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
一方、図示を省略している給紙カセットから送られてきた転写紙60を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対61は、転写紙60を中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像は、2次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ63からの2次転写バイアスの影響を受けて転写紙P上に一括して2次転写される。この2次転写により、転写紙60上にはフルカラー画像が形成される。
搬送ベルト64は、転写ユニットから受け取った転写紙60を定着装置65内に送り込む。
定着装置65は、送り込まれた転写紙60を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。
転写紙60上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて転写紙60上に定着せしめられる。
図9中95は、露光−現像間に感光体の表面電位を計測する電位センサであり、該センサのデータを基に感光体の現像部電位を推定し、帯電器、露光器、現像手段、及び転写手段の少なくとも1つ以上の調整を行い、前記露光−現像間時間が120msec以下であり、かつ前記センサの位置を露光−現像間時間の1/2以下に設定することができる。
タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
複写装置本体250には、無端ベルト状の中間転写体150が中央部に設けられている。そして、中間転写体150は、支持ローラ114、115及び116に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ115の近傍には、中間転写体150上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置117が配置されている。支持ローラ114と支持ローラ115とにより張架された中間転写体150には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段118が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置121が配置されている。中間転写体150における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置122が配置されている。二次転写装置122においては、無端ベルトである二次転写ベルト124が一対のローラ123に張架されており、二次転写ベルト124上を搬送される転写紙と中間転写体150とは互いに接触可能である。二次転写装置122の近傍には定着装置125が配置されている。定着装置125は、無端ベルトである定着ベルト126と、これに押圧されて配置された加圧ローラ127とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置122及び定着装置125の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置128が配置されている。
そして、中間転写体150上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ149を回転させ、中間転写体150と二次転写装置122との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置122により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体150上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置117によりクリーニングされる。
−感光体の作製−
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業株式会社製)15質量部、及びメラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)10質量部をメチルエチルケトン150質量部に溶解した。この溶液に、ルチル型酸化チタン粉末(タイペークCR−EL、石原産業株式会社製)80質量部、及びアルミナで表面処理された酸化チタン(タイペークCR−67、石原産業株式会社製)10質量部を加え、ボールミルで24時間分散し、下引き層用塗工液を調製した。
得られた下引き層用塗工液を直径30mm、厚さ0.8mmのアルミニウム基体に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み3μmの下引き層を形成した。
得られた電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、130℃にて20分間乾燥して、厚み20μmの電荷輸送層を形成した。
得られた表面保護層用塗工液を前記電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、150℃にて20分間乾燥して、厚み5μmの表面保護層を形成した。以上により、実施例1の感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例1において、表面保護層のバインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例1において、表面保護層に下記構造式(C)で表される酸化防止剤を表1及び表2に示すように添加し、バインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例2において、表面保護層のバインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の無機微粒子をα−アルミナ(スミコランダムAA−09:住友化学工業株式会社製、平均1次粒子径0.9μm)に変更し、表面保護層のバインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例1において、表面保護層のジメチルポリシロキサンを不飽和カルボン酸ポリマー(BYK−P104、ビックケミー社製)0.006質量部に変更し、上記構造式(B)の酸化防止剤を4質量部添加し、また、バインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の無機微粒子としてのアルミナで表面処理された酸化チタンを酸化チタン(平均1次粒子径0.07μm)に変更し、表面保護層のバインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。
−感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の無機微粒子としてのアルミナで表面処理された酸化チタンを酸化珪素(KE−P30、日本触媒製、平均1次粒子径0.3μm)に変更し、表面保護層のバインダー樹脂量、無機微粒子量、及び電荷輸送剤量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。
図12に示す測定装置を用いて、以下のようにして、逆帯電疲労特性を評価した。図12において、帯電用チャージャー(DC1)、イレース用LED(LD1)、像露光手段(EX1)、逆帯電チャージャー(DC2)、クエンチング用LED(LD2)が感光体1の周りに設置されている。まず、帯電用チャージャー(DC1)で感光体1を800Vに帯電し、像露光手段(EX1)で露光し、光減衰させる。帯電に必要な電荷量Qを求め、感光体表面電位の関係を下記数式2に代入して、感光体の静電容量(初期)C0を求める。
C0=Q/V
ただし、Qは電荷量を表す。Vは感光体表面電位を表す。
<数式1>
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
実施例1〜10及び比較例1〜7の各感光体を、NOx暴露(50ppm、5日間)した後、株式会社リコー製のIPSiO Color 8100に搭載して画像を出力し、NOxボケ評価を行った。NOxボケは目視による5ランク評価で行い、ランク数が小さいほど画像ボケが著しくなる。
実施例1〜10及び比較例1〜7の各感光体を、株式会社リコー製のIPSiO Color 8100に搭載し、連続してトータル10万枚の印刷を行った。その際、初期における帯電電位(VD)、露光部電位(VL)と10万枚ラン後のVD、VLを測定し、電位安定性を評価した。
また、5000枚印刷毎に目視によるポジ残像の確認を行い、目視でポジ残像が認識され始めた枚数で評価を行った。
更に、感光体の最表層の初期の膜厚と、10万枚印刷後の膜厚との膜厚差(初期膜厚−10万枚印刷後の膜厚)より摩耗量の評価を行った。
これに対し、比較例1〜7の感光体は、NOxによる画像ボケがひどく、また、ポジ残像が繰り返し印刷の早い段階で発生していた。
特開2000−275872号公報に記載の感光体の特性評価装置を使用し、光源として655nm半導体レーザを用い、この装置における露光−現像間時間に対する露光部電位(VL)を、以下のようにして求めた。
測定条件は以下の条件で行った。
ドラム径(mm):30
線速(mm/s):262
副走査方向解像度(dpi):400
露光量(μJ/cm2):0〜1.0
除電装置:作動
帯電器:感光体の帯電電位が−600Vとなるように調整した。
ΔVLs=| VL(40msec)−VL(120msec) |
ΔVLf=| VL(20msec)−VL(60msec) |
実施例1〜10及び比較例1〜7の各感光体について、それぞれ初期と耐久評価後のものを、株式会社リコー製のIPSiO Color 8100改造機1(露光−現像間時間120msecに設定。電位センサを露光後40msecの位置に設置)に搭載し、電位センサ制御の有り無しで画像階調性を評価した。電位センサ制御は、画像出し前に帯電電位を−600Vに設定し、露光強度を振って電位センサで露光後電位を読み取り、その値に基づき露光強度を最適化する制御である。階調性は、画像濃度を10段階に振り、目視で階調性のつぶれた方をランク評価した。ランクは5段階で、数値が大きいほうが、階調性が良く、小さくなると階調性は悪くなる。評価結果を表5に示す。
実施例1〜3、5〜6,8〜10及び比較例1〜5,7の各感光体について、それぞれ初期と耐久評価後のものを、株式会社リコー製のIPSiO Color 8100改造機2(露光−現像間時間60msecに設定。電位センサを露光後20msecの位置に設置)に搭載し、電位センサ制御の有り無しで画像階調性を評価した。電位センサ制御は、画像出し前に帯電電位を−600Vに設定し、露光強度を振って電位センサで露光後電位を読み取り、上記光応答性の評価で得られた初期感光体サンプルにおけるセンサ位置の電位の関係によりセンサ電位から現像部電位を推定し、その推定値に基づき露光強度を最適化する制御である。
階調性は、画像濃度を10段階に振り、目視で階調性のつぶれた方をランク評価した。ランクは5段階で、数値が大きいほうが、階調性が良く、小さくなると階調性は悪くなる。結果を表6に示す。
したがって表3,4の結果と合わせて、実施例1〜10の感光体、及びこれを用いた画像形成装置は、NOxボケやポジ残像が発生せず、階調性に優れ、長期間に亘って鮮明な高画質画像が効率よく得られる。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 クリーニングブラシ
15 クリーニングブレード
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 帯電チャージャ
21 像露光光源
22 感光体
23 駆動ローラ
24 テンションローラ
25 転写チャージャ
26 クリーニングブラシ
27 除電光源
50 現像ユニット
53 帯電チャージャ
54 除電ランプ
55 ドラムクリーニングユニット
56 感光体
57 バイアスローラ
58 中間転写ベルト
59a 張架ローラ
59b バックアッローラ
59c ベルト駆動ローラ
60 転写紙(像担持体)
61 レジストローラ
62 転写ベルト
63 紙転写バイアスローラ
64 搬送ベルト
65 定着ユニット
L 露光
80 感光体
81 露光光源
82 現像ユニット
83 除電ランプ
84 帯電ローラ
85 クリーニングユニット
86 バイアスローラ
87 中間転写ベルト
88 レジストローラ
89 紙(像担持体)
90 紙転写バイアスローラ
91 転写ベルト
92 搬送ベルト
93 定着ユニット
94 ファーブラシ
101 感光体
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
301 支持体
302 感光層
303 電荷発生層
304 電荷輸送層
305 下引き層
306 表面保護層
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
DC1 帯電用チャージャ
LD1 イレース用LED
EX1 像露光手段
DC2 逆帯電チャージャ
LD2 クエンチング用LED
Claims (12)
- 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有する感光体において、前記感光体における最表層が少なくとも無機微粒子、バインダー樹脂、及び電荷輸送剤を含有し、該バインダー樹脂の含有量が前記最表層の全固形分に対し50質量%以上であり、かつ前記感光体における下記数式1で表される静電容量変化率が30%以下であるとともに、
露光−現像間時間が120msec以下である画像形成装置に用いられ、露光−現像間時間の1/3における露光後電位(V1)と、露光−現像間時間における露光後電位(V2)の差(V1−V2)が、絶対値で60V以下であり、
前記電荷輸送剤の含有量が最表層の全固形分に対し2〜25質量%であり、
前記無機微粒子の含有量が最表層の全固形分に対し5〜25質量%であり、
前記無機微粒子が酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種であり、
前記感光体の最表層がスプレー塗工法により形成されることを特徴とする感光体。
<数式1>
静電容量変化率=(C1−C0)/C0×100%
ただし、前記数式1中、C0は、感光体の初期静電容量を表し、C1は、感光体に逆帯電疲労をかけた後の静電容量を表す。 - 無機微粒子の平均一次粒径が0.05〜1.0μmである請求項1に記載の感光体。
- 感光体の最表層が、更に酸化防止剤を含有し、該酸化防止剤がヒンダードアミン構造及びヒンダードフェノール構造の少なくともいずれかを有する請求項1から2のいずれかに記載の感光体。
- 感光層が、単層型及び積層型のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の感光体。
- 感光体の最表層が、表面保護層である請求項1から4のいずれかに記載の感光体。
- 感光体と、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有する画像形成装置において、
前記感光体が、請求項1から5のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 露光−現像間に感光体の表面電位を計測するセンサを有し、該センサのデータに基づいて感光体の現像部電位を推定し、帯電器、露光器、現像手段、及び転写手段の少なくとも1つ以上の調整を行い、前記露光−現像間時間が120msec以下であり、かつ前記センサを露光−現像間時間の1/2以下の位置に設置する請求項6に記載の画像形成装置。
- センサからのデータに基づいて現像部電位を推定する際に、予め記憶装置に記憶させておいた感光体のセンサと現像部との電位の関係式に基づいて現像部電位を算出する請求項6から7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 感光体と、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段を少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなるタンデム型である請求項6から8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上のトナー画像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色のトナー画像を前記中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写する請求項6から9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を有する画像形成方法において、
前記感光体が、請求項1から5のいずれかに記載の感光体であることを特徴とする画像形成方法。 - 感光体、該感光体表面を一様に帯電させる帯電器と該帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光器とを有する静電潜像形成手段、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有してなり、前記感光体が請求項1から5のいずれかに記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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