JP4383016B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリシリコン抵抗を有する半導体装置、特に大入力信号が入力された際の歪率低減を目的とし、ポリシリコン抵抗の抵抗値を安定させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者がスイッチドキャパシタフィルタ(SCF)を作製した際、その歪率が0.01%程度となり、悪化した数値結果が得られた。この歪率の向上を目指し、スイッチドキャパシタフィルタ(SCF)に内蔵されたポリシリコン抵抗を外付けの抵抗に変更して歪率を評価した場合、0.003%程度まで向上が見られた。この結果より、歪率悪化の1つの要因として、内蔵されたポリシリコン抵抗が影響していることが推測される。
【0003】
これまで抵抗素子としては、拡散によって形成された拡散抵抗が用いられてきた。しかしながら、拡散抵抗はその電圧依存性によって空乏層の広がり方が不均一となり、抵抗値が安定しないという欠点を有していた。その結果、歪率が悪化した。
【0004】
従って、これら拡散抵抗の代替物として、空乏層が生じないポリシリコン抵抗が抵抗素子として広く用いられることとなった。
【0005】
しかし、上述したように、ポリシリコン抵抗であっても歪率が悪化することがあり、本発明はポリシリコン抵抗と電圧依存性との関係を明らかにし、電圧依存性が影響しない、内蔵型のポリシリコン抵抗を実現するものである。
【0006】
ポリシリコン抵抗はポリシリコン材でできた抵抗素子であり、主に半導体基板上に形成されたLOCOS酸化膜の表面上に形成される。このポリシリコン抵抗には電気的に導通する2箇所の電極が形成される。そして、一方の電極に高電位を、他方の電極に低電位を印加することで、ポリシリコン抵抗に電流を流し、抵抗素子としての機能を果たすものである。
【0007】
図5は従来のポリシリコン抵抗を有する抵抗素子の断面図である。
【0008】
このポリシリコン抵抗はバイポーラトランジスタと同一基板に形成されたものを示している。
【0009】
GND(グランド)に接地されたP型の半導体基板101上に、エピタキシャル成長法などによって低濃度のN-型のエピタキシャル層102が形成され、半導体基板101とエピタキシャル層102との境界面には、P+型の埋込層103が形成されている。エピタキシャル層102の表面から埋込層103の上方に隣接するようにP+型のウェル領域104が形成されている。また、LOCOS酸化膜105はエピタキシャル層102及びウェル領域104の表面上に形成されたシリコン酸化膜である。ポリシリコン抵抗106は、LOCOS酸化膜105を介してウェル領域104の上方に形成された抵抗素子である。層間絶縁膜107は、LOCOS酸化膜105及びポリシリコン抵抗106の表面上を被覆するシリコン酸化膜である。電極H,Iはポリシリコン抵抗106の表面上の所望位置に開孔し、アルミニウム等により形成した各電極である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図5において電極Hに高電位を、電極Iに低電位を印加した場合を想定する。このとき、電極Hから電極Iに向けてポリシリコン抵抗106には電流が流れる。
【0011】
しかし、高電位を印加した電極H側においては、GNDに接続された半導体基板101とポリシリコン抵抗106とは、埋込層103、ウェル領域104、LOCOS酸化膜105を介して接続されているため、電極H・I間にかけた電圧(例えば3V印加)と半導体基板101(0V)との間に電位差(約3V)が生じる。当該電位差(約3V)により、図5に示すような+の電荷(正電荷)が、ポリシリコン抵抗106のうちLOCOS酸化膜105と接する付近(半導体基板101側)で生じ、ポリシリコン抵抗106の内部では電荷の偏りが存在する。これはポリシリコン抵抗106の電圧依存性が起きてポリシリコン抵抗106の表面電位の変化を招くことが原因であると推測される。
【0012】
この結果、ポリシリコン抵抗106の表面電位が不安定となり、ポリシリコン抵抗106の抵抗値自体が安定しなくなる。
【0013】
本発明は上記欠点に鑑みなされたものであり、抵抗値が安定したポリシリコン抵抗106を提供し、歪率の向上を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に記載の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたエピタキシャル層と、前記エピタキシャル層の表面から形成された環状の素子分離領域と、前記エピタキシャル層、前記素子分離領域の表面に形成された酸化膜と、前記酸化膜上に形成されたポリシリコン抵抗と、前記酸化膜、前記ポリシリコン抵抗の表面に形成された層間絶縁膜と、前記ポリシリコン抵抗の表面の前記層間絶縁膜の所望位置に形成された第1の電極、第2の電極と、を有する半導体装置において、前記素子分離領域の環状の内部に不純物層を形成し、前記第1の電極と前記不純物層とを電気的に導通することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0015】
また、請求項2に記載の半導体装置は、前記第1の電極に高電位を、前記第2の電極に低電位を印加したことを特徴とする請求項1記載の半導体装置を提供する。
【0016】
また、請求項3に記載の半導体装置は、前記第1の電極に低電位を、前記第2の電極に高電位を印加したことを特徴とする請求項1記載の半導体装置を提供する。
【0017】
また、請求項4に記載の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたエピタキシャル層と、前記エピタキシャル層の表面から形成された環状の素子分離領域と、前記エピタキシャル層、前記素子分離領域の表面に形成された酸化膜と、前記酸化膜上に形成されたポリシリコン抵抗と、前記酸化膜、前記ポリシリコン抵抗の表面に形成された層間絶縁膜と、前記ポリシリコン抵抗の表面の前記層間絶縁膜の所望位置に形成された第1の電極、第2の電極と、を有する半導体装置において、前記素子分離領域の環状の内部に不純物層を形成し、前記第1の電極と第2の電極との間の略中間位置に第3の電極を形成し、前記第3の電極と前記不純物層とを電気的に導通することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0018】
また、請求項5に記載の半導体装置は、前記ポリシリコン抵抗と同一の前記半導体基板上に、他の素子として、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタ、ダイオードを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置を提供する。
【0019】
また、請求項6に記載の半導体装置は、前記不純物層が、前記バイポーラトランジスタ、前記MOSトランジスタ、前記ダイオードのいずれかの素子の拡散層と同時に形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。図2は図1の平面図である。
【0022】
本発明では、一例としてバイポーラトランジスタと同一基板内にあるポリシリコン抵抗素子について説明する。
【0023】
GND(グランド)に接地されたP型の半導体基板1上に、エピタキシャル成長法などによって低濃度のN-型のエピタキシャル層2が形成される。半導体基板1とエピタキシャル層2の境界面にP+型の埋込層3が形成される。エピタキシャル層2の表面から埋込層3と同じ深さとなるように、また埋込層3と離間する環状の素子分離領域4が形成される。この素子分離領域4は同一基板内のバイポーラトランジスタを形成する際のP+型の埋込層やP+型のウェル領域で形成してもよく、また別工程のISO(アイソレーション)、例えばLOCOS酸化法によって形成されたものでもよい。
【0024】
N+型層5はエピタキシャル層2の表面から、素子分離領域4が形成する環状内の所望位置に、N+型の不純物をイオン注入し、熱拡散によって形成される。例えば、同一基板上の他のバイポーラトランジスタのエミッタと同時形成するものでもよい。
【0025】
LOCOS酸化膜6は、エピタキシャル層2、素子分離領域4、N+型層5の各表面にLOCOS酸化法によって形成される。ポリシリコン抵抗7は、N+型層5の真上からやや離間した位置で、素子分離領域4が形成する環状内のLOCOS酸化膜6上に形成される。このポリシリコン抵抗7の抵抗値は、その面積や厚みによって所望の抵抗値を有するように設定され、抵抗素子として機能するように施されたものである。
【0026】
層間絶縁膜8は、LOCOS酸化膜6及びポリシリコン抵抗7の表面上を被覆するシリコン酸化膜で形成する。電極A,Bはポリシリコン抵抗7上方の層間絶縁膜8の所望位置に開孔し、スパッタリング等によってアルミニウム等で形成した各電極である。電極CはN+型層5の上方のLOCOS酸化膜6及び層間絶縁膜8を開孔して形成した電極であり、N+型層5と電気的に導通するように形成する。本実施形態では、電極Aに高電位を、電極Bに低電位を印加する場合、及び電極Aに低電位を、電極Bに高電位を印加する場合の両方を想定している。
【0027】
このとき、高電位を印加する電極Aと、N+型層5と直接導通する電極Cとは、電気的に導通するように配線9を施す。
【0028】
本実施形態では、N+型層5を電極Aの外側に1箇所だけ形成するものを開示したが、電極Bの外側にも形成して、N+型層5を2箇所形成する場合も本発明に含まれる。この場合、電極Bの外側のN+型層5の上方にも別の電極C´(不図示)を設ける。そして、電極Aと電極Cとを配線9で接続する、または電極Bと電極C´とを配線9で接続する。
つまり、配線状況や種々のニーズによってどちらの配線を選択しても良いように汎用性をもたせたものである。
【0029】
図2は当該配線9の一例を示した図1の平面図である。ポリシリコン抵抗7の両端部に電極A、Bが配置されている。ここで、本発明の第1の実施形態に係る発明の特徴は、ポリシリコン抵抗7に形成した2箇所の電極のうち高電位を印加する電極Aと、素子分離領域4が形成する環状の領域内に形成したN+型層5と電気的に導通している電極Cとを、配線9を介して接続することである。即ち、これらの構造は電極AとN+型層5とを電気的に接続し、同電位となるようにするためのものである。
【0030】
次に本実施形態の作用について説明する。ポリシリコン抵抗7を通常の抵抗素子として利用する場合、電極Aに高電位、電極Bに低電位を印加して電流を流す。従来例と同様にポリシリコン抵抗7のLOCOS酸化膜6側の表面に生じた正電荷は、電極A、配線9、電極C、N+型層5を経由して、素子分離領域4が形成する環状の領域内のエピタキシャル層2に到る。つまり、配線9によって電極Aと電極Cとを接続し、これらすべてを同電位に維持することで、ポリシリコン抵抗7内に生じた正電荷を、ポリシリコン抵抗7内部から除去でき、その結果ポリシリコン抵抗7の抵抗値が安定する。また、エピタキシャル層2内では素子分離領域4があるため、他の素子から影響をなんら受けることはなく、また当該正電荷による他の素子への影響を防止する。
【0031】
次に本発明の第2の実施形態について説明する(図3,4参照)。本実施形態は、上述した第1の実施形態を更に改善したものである。第1の実施形態では、高電位を印加した電極A直下のポリシリコン抵抗7の表面電荷のみを除去することに主眼を置いた。この高電位側だけの対応だけでも、ある程度のポリシリコン抵抗7の抵抗値安定という効果を望むことは可能ではある。しかし、更なる抵抗値安定という今後のニーズに応えるためには、低電位側にも生じる電荷を考慮し、厳密に対応する必要がある。本実施形態は、高電位側と低電位側の両方のポリシリコン抵抗7の表面に生じた電荷の除去について対処したものである。
【0032】
図3は本発明の第2の実施形態に係る発明を示す断面図であり、図4はその平面図である。図3、4において、図1,2と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0033】
図3では本実施形態の構成において、第1の実施形態と相違する点はポリシリコン抵抗7の上方に形成した電極が、3箇所有るところである。3箇所の各電極を電極D,E,Fとし、電極D、Eは第1の実施形態の電極A,Bと同様にポリシリコン抵抗7の両端付近に配置する。電極Fは電極Dと電極Eの中間位置となるように配置する。そして、電極Gは第1の実施形態と同様にN+型層5の上方にあり、N+型層5と電気的に導通するように施す。ここで、本実施形態の特徴は、電極Fをポリシリコン抵抗7の略中央(中間)位置に配置し、電極Fと電極Gとを配線9を介して接続させることである(図4参照)。同図では、ポリシリコン抵抗7の両端付近に電極D、Eが配置し、両電極D,Eの最外の端部から等距離dの位置に電極Fの両端部を配置した。これにより、電極Fはポリシリコン抵抗7の略中央に配置することとなる。
【0034】
次に本実施形態の作用について述べる。電極Dには高電位を、電極Eには低電位を印加すると、図3中に見られるような+・−の電荷が生じる。ポリシリコン抵抗7の端部に生じた表面の電荷(電極Gの高電位側には正電荷、電極Eの低電位側には負電荷)に対して、電極Fはポリシリコン抵抗7の略中央(中間)位置にコンタクトをとるように配置し、且つ電極Fはエピタキシャル層2内のN+型層5と導通しているため、ポリシリコン抵抗7とエピタキシャル層2との電位差による影響を打ち消す(キャンセルする)ことができる。この結果、ポリシリコン抵抗7の電圧依存性を完全になくすことができ、抵抗値が安定する。
【0035】
また、本発明の各実施形態ではN+型層5は、同一半導体基板1内の他のトランジスタ等を形成する際に同時に形成したものであるため、N+型層5を形成する工程を、マスク変更のみで実現可能である。したがって、別段に定める工程を必要としない。
【0036】
尚、上述した内容には、一例として同一基板内にバイポーラトランジスタを形成する場合について開示したものであるが、MOSトランジスタやダイオード等についても本発明は適用するものである。
【0037】
【発明の効果】
以上より、本発明では、ポリシリコン抵抗の表面に半導体基板との電位差により生じた電荷を除去するために、第1の実施形態では高電位側だけを半導体基板と同電位に維持することで実現する。また、第2の実施形態では高電位側と低電位側の略中央に電極Fを形成して、電極Fの電位を半導体基板と同電位に維持することで、ポリシリコン抵抗7の両端の電極D,E直下のポリシリコン抵抗の内部に生じる正又は負の電荷を互いにキャンセルし、ポリシリコン抵抗の電圧依存性を低減または、完全になくすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【図5】従来の半導体装置を示す断面図である。

Claims (3)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板上に形成された第2導電型のエピタキシャル層と、
    前記エピタキシャル層の表面から前記半導体基板に到達するように形成された環状の素子分離領域と、
    前記エピタキシャル層及び前記素子分離領域の表面に形成された酸化膜と、
    前記酸化膜上に形成されたポリシリコン抵抗と、
    前記ポリシリコン抵抗上に形成された層間絶縁膜と、
    前記ポリシリコン抵抗の所望位置に形成された第1の電極、第2の電極と、を有する半導体装置において、
    前記素子分離領域の環状の内部に前記エピタキシャル層より高濃度の第2導電型の不純物層が形成され、
    前記第1の電極と第2の電極との間において、前記層間絶縁膜には開口部が形成され、
    前記開口部において、前記ポリシリコン抵抗と接続する第3の電極が形成され、
    前記第3の電極と前記不純物層とは、前記層間絶縁膜上に形成された配線により同電位となるように電気的に導通し、
    前記第3の電極は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の略中間位置に形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記ポリシリコン抵抗と同一の前記半導体基板上に、他の素子として、バイポ−ラトランジスタ、MOSトランジスタ、ダイオ−ドが形成されることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  3. 前記不純物層が、前記バイポ−ラトランジスタ、前記MOSトランジスタ、前記ダイオ−ドのいずれかの素子の拡散層と同時に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
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