JP4381061B2 - 製本装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固形の接着剤を熱溶融させて用紙束の一側縁に塗布し、接着剤の固化によって製本する製本装置に関し、詳しくは回転するローラを用紙束の背面長手方向に移動させながら熱溶融させた接着剤をローラを介して塗布し、用紙束の背面に表紙を圧着する技術に関するものである。
この種の装置では、固定保持した用紙束の背面に接着剤を塗布し、接着剤の冷却固化によって製本を行うことが一般的である。例えば特許文献1に記載するものでは、熱溶解させた接着剤を接着剤溜(容器)に貯留し、一部を接着剤に浸してローラを配置し、ローラおよび接着剤溜(容器)を用紙束の一側縁に沿って移動させて回転するローラで接着剤を用紙束の背面に塗布している。
特許文献2に記載するものでは、用紙束の背面に沿って移動する糊タンクに糊付けローラとスクレープローラを配置し、糊タンク内に貯留する糊を糊付けローラで用紙束の背面に塗布し、塗布した糊の余剰分をスクレープローラでそぎ取っており、スクレープローラの回転面の高さを基準位置から変化させて用紙束の背面に塗布する糊量を調整している。
しかし、この構成では用紙束の背面に必要以上に接着剤を一旦塗布した後に、余剰分の糊をスクレープローラでそぎ取るので、作業としては非効率な塗布方法である。また、糊厚を調整するためには回転駆動するスクレープローラの位置を接着剤容器と共に調整する必要があり、接着剤容器を駆動するための構造が複雑となる。
特許文献3に記載するものでは、容器内に配置するローラの回転方向の設定を変更可能とし、ローラの軸方向に沿って配置する第1、第2の糊厚調整部材をローラに近接また離間する方向に移動可能に配置し、ローラと第1、第2の糊厚調整部材との距離を調整することで用紙束に塗布する糊の厚さを調節している。
しかし、この構成では、ローラに付着する糊の厚さを調整するために糊厚調整部材を駆動する必要があり、糊厚調整部材を保持する接着剤容器の構造が複雑となる。また、複数のローラを配置し、各ローラの回転方向を組み合わせることにより糊厚を調整する構成では糊の塗布量を正確に調整することは困難であり、その制御は複雑となる。
特開2003−10748公報 特開2000−168265公報 特開平11−11043号公報
ところで、特許文献1に開示する製本装置では、用紙束をクランパで挟持固定しておき、容器内の溶融接着剤に一部を浸したローラを回転させながら容器とローラを一体に移動させて用紙束の背面に接着剤(背糊)を塗布しているが、このような装置おいて用紙束の背面の各位置に塗布される接着剤(背糊)の塗布量はローラと用紙束の背面との間隙量等によって決まる。
この用紙束に塗布する接着剤の量は、製本品質に影響を与え、特に用紙束に表紙を装丁する場合にその品質に大きな影響を与える。用紙束の背面に接着剤を塗布した状態で表紙を用紙束に圧着すると、用紙束の背面に塗布した接着剤は用紙束の背面において表紙を接着する背糊と用紙束の側面において表紙を接着するノド糊となる。背糊量とノド糊量はローラによって用紙束の背面に塗布する塗布量および、用紙束の背面と表紙との間隙量によって変化する。
図11の(a)に示すように背糊量およびノド糊量が少ない場合には製本された用紙束は、図11の(b)に示すように見開きの角度が広い製本品質となる。図12の(a)に示すように背糊量およびノド糊量が多い場合には製本された用紙束は、背糊量およびノド糊量が少ない場合に比べて、図12の(b)に示すように見開きの角度は狭くなるが、耐久性に優れた強い製本品質となる。
このため、本発明はローラと用紙束の背面との間隙量を調整することにより接着剤(背糊)の塗布量を制御するとともに、表紙と用紙束の背面との間隙を調製することで背糊量およびノド糊量を制御する製本装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の製本装置は、用紙束を挟持する挟持手段と、熱溶融させた溶融接着剤を貯留する容器と、容器内の接着剤に一部を浸して配置され、回転して容器内の溶融接着剤を用紙束の背面に塗布するローラと、容器とローラを一体的に用紙束の背面の長手方向に沿って移動させる移動手段と、用紙束および表紙を載置するテーブルを有し、接着剤を塗布した用紙束に表紙を圧着する圧着手段と、テーブルを位置決めするテーブル駆動手段とを備え、テーブル駆動手段によって、用紙束の背面を位置決めすると共に用紙束の背面とローラの間隙量を設定変更し、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じて用紙束の背面に対する表紙の位置を設定変更するものである。
上記した構成により、ローラの回転によってローラの外周面は容器内の接着剤中に没する位置から用紙束の背面に対向する位置に回転移動し、容器内で外周面に付着した溶融接着剤を用紙束の背面に塗布し、接着剤を塗布した用紙束の背面に圧着手段により表紙を圧着する。
表紙の圧着により用紙束の背面に塗布した接着剤は一部が用紙束の背面からはみ出し、用紙束の背面において表紙を接着する背糊と用紙束の側面において表紙を接着するノド糊とになる。
用紙束の背面に塗布する接着剤量はローラと用紙束の背面との間隙量によって変化し、背糊量とノド糊量は用紙束の背面に塗布した接着剤量および用紙束の背面と表紙との間隙量によって変化する。ローラによる溶融接着剤の供給量に対してローラと用紙束の背面との間隙量が小さいと溶融接着剤の塗布量が少なくなり、ローラによる溶融接着剤の供給量に対してローラと用紙束の背面との間隙量が大きいと溶融接着剤の塗布量が多くなる。
よって、テーブル駆動手段によって挟持操作時のローラと用紙束の背面との間隙量を変更することで、容易に接着剤の塗布量を増減して所望の製本品質を得るために必要な塗布量を確保できるとともに、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じてテーブル駆動手段によって用紙束の背面と表紙との間隙量を塗布した塗布量に見合ったものに変更することで、所望のノド糊量と背糊量を有する製本品質を実現できる。
請求項2に係る本発明の製本装置は、用紙束を挟持する挟持手段と、熱溶融させた溶融接着剤を貯留する容器と、容器内の接着剤に一部を浸して配置され、回転して容器内の溶融接着剤を用紙束の背面に塗布するローラと、容器とローラを一体的に用紙束の背面の長手方向に沿って移動させる移動手段と、用紙束および表紙を載置するテーブルを有し、接着剤を塗布した用紙束に表紙を圧着する圧着手段と、テーブルを位置決めするテーブル駆動手段と、用紙束の背面に対するローラを位置決めする塗布ユニット駆動手段とを備え、テーブル駆動手段によって用紙束の背面を位置決めし、塗布ユニット駆動手段によって用紙束の背面とローラの間隙量を設定変更し、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じてテーブル駆動手段により用紙束の背面に対する表紙の位置を設定変更するものである。
上記した構成により、塗布ユニット駆動手段によってローラと用紙束の背面との間隙量を変更することで、容易に接着剤の塗布量を増減して所望の製本品質を得るために必要な塗布量を確保できるとともに、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じてテーブル駆動手段によって用紙束の背面と表紙との間隙量を塗布した塗布量に見合ったものに変更することで、所望のノド糊量と背糊量を有する製本品質を実現できる。
本発明によれば、所望のノド糊量と背糊量を有する製本品質を得るために必要な接着剤の塗布量と、塗布量に見合った表紙と用紙束の背面との間隙量とを、用紙束の背面とテーブルとの間隙量の変更によって確保することができ、背糊量およびノド糊量を少なくして見開きの角度が広い製本品質と、背糊量およびノド糊量を多くして耐久性に優れた強い製本品質とを選択設定できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、製本装置(接着剤塗布装置)1は、本体ケーシング2の内部に塗布ユニット3、脱臭ユニット4、表紙圧着手段をなす圧着ユニット5を配置しており、本体ケーシング2の上部に用紙束6(図8〜図9参照)を挟持する挟持手段をなすクランプ部7と、熱可塑性樹脂からなる粒状のホットメルト接着剤8を貯留する接着剤供給ユニット9のホッパー10とを配置している。
本体ケーシング2の前部にはクランプ部7の操作ノブ11と、用紙束6の表紙12(図8〜図9参照)を配置する表紙台13と、製本操作の操作部14とを配置し、側部にメインスイッチ15を配置している。前部下方には前扉16を揺動開閉自在に配置し、前扉16の内側に製本した用紙束6を排出するシューター17(図8〜図9参照)を設けている。
操作部14には各種の情報を表示する液晶表示部18と、製本操作の開始を指示するスタートボタン19と、製本操作の終了を指示するストップ/電源切ボタン20と、天糊製本とくるみ製本を選択指示する選択ボタン21、22と、天糊製本とくるみ製本のどちらを初期設定とするかを切り替え指示する設定ボタン23を配置している。
図4〜図5に示すように、クランプ部7は前後一対の平行な前フレーム24、後フレーム25で支持して配置しており、本体ケーシング2の上部開口26から一部が外部へ突出する固定クランプ27と可動クランプ28を備え、固定クランプ27および可動クランプ28のそれぞれに用紙束保持部材29を取外し可能に設けている。
可動クランプ28を挟持開放する操作機構は、固定クランプ27に対して可動クランプ28を接近離間自在に保持するガイドシャフト30を可動クランプ28の両側位置に配置し、ガイドシャフト30の両端を前後のフレーム24、25に固定してしている。各ガイドシャフト30の側部にはそれぞれネジシャフト31を配置し、ネジシャフト31の両端を前後のフレーム24、25に軸心回りに回転自在に保持しており、ネジシャフト31に螺合してネジシャフト31の軸心方向に移動する保持部32を可動クランプ28に固定している。
双方のネジシャフト31には同期ベルト33を掛け渡しており、操作ノブ11のシャフト34と一方のネジシャフト31の間には伝達ベルト35を掛け渡している。操作機構は固定クランプ27と可動クランプ28の間に用紙束6を挟持した状態で固定クランプ27と可動クランプ28の相対位置(距離)に基づいて用紙束厚を検知する手段をなす用紙束厚センサ36を有しており、用紙束厚センサ36はネジシャフト31に装着したポテンショメータからなる。用紙束厚の検出は操作ノブ11の回転角度(量)、伝達ベルト35の移動量、可動クランプ28の移動量などをポテンショメータで測定することでも実現できる。
本実施の形態では可動クランプ28を挟持開放する操作機構を手動操作する構造で開示したが、操作ノブ11による駆動に代えて挟持駆動手段としてモーター等の駆動装置を有するクランプ駆動装置37(詳細省略図8参照)によって可動クランプ28を駆動することも可能である。
図6に示すように、塗布ユニット3は本体ケーシング2の前側に設けた走行ローラ38が前フレーム24のレール39を走行し、本体ケーシング2の後側に設けた案内部40が後フレーム25に設けたレールシャフト41を摺動するもので、走行ローラ38、レール39、案内部40、レールシャフト41で移動手段を構成しており、ステッピングモーター等の駆動装置を有した移動駆動手段をなす塗布ユニット駆動装置42(詳細省略図8参照)によってレール39およびレールシャフト41に案内されながら前後フレーム24、25の軸心方向に往復駆動される。塗布ユニット3は待機位置ではクランプ部7の側端よりも外側に位置しており、最大移動位置において接着剤供給ユニット9に対応する。接着剤供給ユニット9はホッパー10に貯留する粒状の接着剤8の所定量を塗布ユニット3に排出する。
塗布ユニット3は接着剤供給ユニット9から供給するホットメルト接着剤8を貯留する接着剤溜(容器)43と、溶融した接着剤8に一部が浸漬するように配置する塗布ローラ44と、塗布ローラ44を支持する回転軸45と、回転軸45を駆動する回転駆動手段をなすDCモータからなる塗布ローラ回転モータ46と、固定部材47に装着した加熱手段としての電磁誘導コイル48とを有している。接着剤溜(容器)43は容器本体49が熱伝導性に優れた非強磁性体であるアルミニウムからなり、底面に強磁性体の加熱板50を設けている。
前フレーム24もしくは後フレーム25には接着剤溜(容器)43の各停止位置を検知する接着剤溜位置センサ51(詳細省略図8参照)を設けている。
図7に示すように、圧着ユニット5はモーター等の駆動装置を有する圧着ユニット駆動装置52(詳細省略図8参照)によって上下、前後に移動する基部53と、基部53に固定した固定板54を有しており、固定板54は用紙束6の挟持操作時に用紙束6の背面を位置決めして塗布ローラ44と用紙束6の背面との間隙量を設定する手段と表紙を載置するテーブルの一部をなし、圧着ユニット駆動装置52がテーブルを駆動するテーブル駆動手段をなす。
さらに、圧着ユニット5は、固定板54に固定配置した押え部55と、固定板54の上で押え部55に対して接近離間する可動板56と、可動板56を駆動するモーター等の駆動装置を有する可動板駆動装置57(詳細省略図8参照)との間に介装する圧着力制御装置58とを有しており、図10に示すように、表紙台13および可動シューター59が一体的に移動する。本体ケーシング2の内部には圧着ユニット5の各停止位置を検知する圧着ユニット位置センサ60(詳細省略図8参照)を設けている。
圧着力制御装置58は可動板56の一端に固定した固定ブロック61と、固定ブロック61で一端を支持する連結シャフト62と、連結シャフト62に軸心方向へ移動自在に装着し、固定ブロック61に対して接近離間する可動ブロック63と、固定ブロック61と可動ブロック63の間に介装して連結シャフト62に装着し、両者を離間する方向に付勢するスプリング64とを有する。脱臭ユニット4は塗布ユニット3の接着剤溜(容器)43や塗布ローラ44から揮発する接着剤8を吸引してフィルターで吸着するものである。
図8に示すように、製本装置1は、製本操作を制御する制御部65を本体ケーシング2の内部に配置しており、制御部65に用紙束厚センサ36、接着剤溜(容器)位置センサ51、圧着ユニット位置センサ60、操作部14、塗布ユニット駆動装置42、圧着ユニット駆動装置52、可動板駆動装置57、クランプ駆動装置37を接続している。
以下、上記した構成における作用を説明する。図9の(a)に示すように、初期状態において塗布ユニット3は待機位置にあり、電磁誘導コイル48の上方に接着剤溜(容器)43が対応している。次に、デフォルト値において天糊製本とくるみ製本の何れかに設定されている製本モードを、希望の製本モードに選択ボタン21、22の何れかをON操作することで切り替える。製本モードのデフォルト値は設定ボタン23の操作によって切り替える。
この状態でメインスイッチ15のON操作を受けると制御部65は、製本操作に先立って塗布ユニット3の電磁誘導コイル48に通電し、加熱板50を発熱させて接着剤溜(容器)43に貯留した接着剤8を加熱して熱溶解させ、塗布ローラ回転モータ46で塗布ローラ44を回転させて待機状態となる。
次に、図9の(b)に示すように、スタートボタン19のON操作を受けると制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5をクランプ部7の下方の上位の所定位置にまで上昇させ、圧着ユニット5の固定板54をクランプ部7の固定クランプ27および可動クランプ28の下端との間に所定間隙をあけて配置する。
この状態で、用紙束6を双方の用紙束保持部材29の間および固定クランプ27と可動クランプ28の間に挿入し、用紙束6の一側辺を固定板54で揃える。この固定板54によって用紙束6の背面を位置決めすることで用紙束背面と塗布ローラ44の間隙量(初期設定値0.6mm)が決まる。
塗布ローラ44による接着剤8の供給量に対して塗布ローラ44と用紙束6の背面との間隙量が小さいと接着剤8の塗布量が少なくなり、塗布ローラ44による接着剤8の供給量に対して塗布ローラ44と用紙束背面との間隙量が大きいと接着剤8の塗布量が多くなる。
この用紙束背面と塗布ローラ44の間隙量は最小0(当接する状態)〜最大(本実施の形態において)2.6mmであり、0.2mm間隔で13段階に区切っており、各間隙量毎に設定コードを付与している。
このため、接着剤8の塗布量を初期設定の値より多くしたり、少なくしたりする場合には、操作部14において新たな設定コードを入力して制御部65の設定を変更することで圧着ユニット5を接着剤8の塗布量に見合う位置に移動させる。
次に操作ノブ11を回転操作し、シャフト34の回転力を伝達ベルト35介してネジシャフト31に伝達し、同期ベルト33を介して双方のネジシャフト31を同期駆動し、ネジシャフト31に螺合する保持部32を移動させる。保持部32の移動に伴って可動クランプ28が固定クランプ27に接近し、用紙束6を可動クランプ28と固定クランプ27の間に挟持する。
次に、図9の(c)に示すように、用紙束6の挟持が完了した後に、再度のスタートボタン19のON操作を受けると制御部65は圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を下位の所定位置まで降下させる。
くるみ製本を行う場合に制御部65は、表紙台13に表紙12を載置して再度のスタートボタン19のON操作を受けるまで待機して後に糊付け操作に入り、天糊製本を行う場合には再度のスタートボタン19のON操作を受けずに糊付け操作に入る。
糊付け操作において制御部65は、塗布ユニット駆動装置42を駆動して塗布ユニット3をレール39およびレールシャフト41に沿って往復移動させながら、塗布ローラ44の回転によって接着剤溜(容器)43の接着剤8を用紙束6の背面に往路と復路の両方で塗布する。このとき、塗布ローラ44の回転方向は表1に示すようになる。
Figure 0004381061
天糊製本を行う場合には、制御部65は、図9の(d)に示すように塗布ユニット3が待機位置に戻った状態で、タイマー回路67で用紙束6に対する接着剤8の塗布を完了した後の経過時間を計測する。このとき、図10の(c)に示すように、可動シューター59がシューター17に対応する位置まで圧着ユニット5が表紙台13および可動シューター59と一体的に後退している。
挟持必要時間は用紙束6に塗布する接着剤8の総量が多いほどに長く設定し、挟持時間変更手段をなす操作部14において各ボタンの組み合わせ操作等により、+1〜+10、−1〜−10程度の比例数値範囲を入力して変更を行う。
また、用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量の設定値に応じて自動的に挟持必要時間を変更設定することもできる。
制御部65は経過時間が挟持必要時間に達すると、信号出力回路68から操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」等の製本完了を通知する文言の表示を指示する信号を出力する。操作者は液晶表示部18に表示された製本完了の文言を確認後に、操作ノブ11を操作して可動クランプ28を固定クランプ27から離間させる。
この操作によって図10の(c)に示すように、製本された表紙12を伴う用紙束6がクランプ部7から落下し、可動シューター59およびシューター17を通して排出される。クランプ駆動装置37を設ける場合には、信号出力回路68の信号を受けてクランプ駆動装置37が可動クランプ28を移動させてクランプ部7を開放することで製本を排出する。
くるみ製本を行う場合には、図9の(d)に示すように塗布ユニット3が待機位置に戻ると、制御部65は図9の(e)に示すように、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を上位の所定位置まで上昇させ、表紙台13に載せた表紙12を固定板54で用紙束6の背面に押し圧する。表紙12の圧着により用紙束6の背面に塗布した接着剤8は一部が用紙束6の背面からはみ出す。圧着ユニット5の上位の所定位置は、挟持操作時に用紙束6の背面を固定板54で位置決めした位置に対し、用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量の設定値に応じた位置に位置決めされ、接着剤の塗布量に対応した位置で圧着ユニット5が駆動される。
次に、図9の(f)、図7の(a)、(b)に示すように、制御部65は可動板駆動装置57を駆動して可動板56を押え部55に向けて押圧し、可動板56と押え部55の間で表紙12および用紙束6を圧着して、図9の(g)に示すように製本する。このとき、圧着ユニット駆動装置52の押圧力は可動ブロック63からスプリング64を介して固定ブロック61に伝わり、用紙束6の厚みにかかわらず可動板56の押圧力が等しくなる。
図11、図12に示すように、接着剤8は用紙束6の背面において表紙12を接着する背糊8aと用紙束6の側面において表紙12を接着するノド糊8bとになる。背糊量とノド糊量は用紙束6の背面に塗布した接着剤量および用紙束6の背面と表紙12との間隙量によって変化し、用紙束6の背面に塗布する接着剤量は塗布ローラ44と用紙束6の背面との間隙量によって変化する。
よって、圧着ユニット駆動装置52によって固定板54の位置を変更し、挟持操作時の塗布ローラ44と用紙束6の背面との間隙量を変更することで、容易に接着剤8の塗布量を増減して所望の製本品質を得るために必要な塗布量を確保できるとともに、表紙12の圧着操作時に用紙束6の背面と表紙12との間隙量が塗布した塗布量に見合ったものとなり、所望のノド糊量と背糊量を有する製本品質を実現できる。
図10の(a)に示すように、制御部65は固定板54で用紙束6の背面に表紙12を押圧し、可動板56と押え部55の間で表紙12および用紙束6を圧着する状態を継続し、タイマー回路67で用紙束6に対する接着剤8の塗布を完了した後の経過時間を計測する。
この圧着必要時間はくるみ製本における表紙12の圧着時間であるが、前述した挟持必要時間を含む時間として設定し、塗布した接着剤8の総量が多いほどに長く設定し、圧着時間変更手段をなす操作部14において各ボタンの組み合わせ操作等により、+1〜+10、−1〜−10程度の比例数値範囲を入力して変更を行う。
また、前記天糊製本の場合と同様に、用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量の設定値に応じて自動的に圧着必要時間を変更設定することもできる。
制御部65は経過時間が圧着必要時間に達すると、図10の(b)に示すように、可動板駆動装置57を駆動して可動板56を後退させて圧着状態を開放し、圧着ユニット駆動装置52を駆動させて圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に下位の所定位置まで降下させ、続いて図10の(c)に示すように、圧着ユニット5を表紙台13および可動シューター59と一体的に所定位置まで後退させて可動シューター59をシューター17に対応させる。
次に、制御部65は信号出力回路68から操作部14の液晶表示部18に「取出して下さい」等の製本完了を通知する文言の表示を指示する信号を出力する。操作者は液晶表示部18に表示された製本完了の文言を確認後に、操作ノブ11を操作して可動クランプ28を固定クランプ27から離間させる。
この操作によって図10の(c)に示すように、製本された表紙12を伴う用紙束6がクランプ部7から落下し、可動シューター59およびシューター17を通して排出される。クランプ駆動装置37を設ける場合には、信号出力回路68の信号を受けてクランプ駆動装置37が可動クランプ28を移動させてクランプ部7を開放することで製本を排出する。
本実施の形態では、用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量の変更において、圧着ユニット5の位置を変更することによって間隙量を変更するようにしたが、これは用紙束背面の位置決めを圧着ユニット5の固定板(テーブル)54の位置決めによって行っており、用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量の変更が圧着ユニット5のテーブルの位置変更によって容易に行えるからである。
しかし、他の実施の形態として、モータ等によって塗布ユニット3を上下動させる塗布ユニット駆動手段を設けることで、圧着ユニット5による用紙束背面の位置決めは変更させないで、塗布ユニット駆動手段によって用紙束背面と塗布ローラ44との間隙量を変更設定することもできる。
本発明の実施の形態における製本装置を示す斜視図である。 同製本装置の正面図である。 同製本装置の側面図である。 同製本装置のクランプ部を示す平面図である。 同製本装置のクランプ部を示す正面図である。 同製本装置の塗布ユニットを示す側面図である。 同製本装置の圧着ユニットの側面図である。 同製本装置の構成を示すブロック図である。 同製本装置の製本動作を説明する模式図である。 同製本装置の製本を排出する動作を説明する模式図である。 (a)(b)は製本状態の一例を示す説明図である。 (a)(b)は製本状態の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1 製本装置
2 本体ケーシング
3 塗布ユニット
4 脱臭ユニット
5 圧着ユニット
6 用紙束
7 クランプ部
8 ホットメルト接着剤
9 接着剤供給ユニット
10 ホッパー
11 操作ノブ
12 表紙
13 表紙台
14 操作部
15 メインスイッチ
16 前扉
17 シューター
18 液晶表示部
19 スタートボタン
20 ストップ/電源切ボタン
21、22 選択ボタン
23 設定ボタン
24 前フレーム
25 後フレーム
26 上部開口
27 固定クランプ
28 可動クランプ
29 用紙束保持部材
30 ガイドシャフト
31 ネジシャフト
32 保持部
33 同期ベルト
34 シャフト
35 伝達ベルト
36 用紙束厚センサ
37 クランプ駆動装置
38 走行ローラ
39 レール
40 案内部
41 レールシャフト
42 塗布ユニット駆動装置
43 接着剤溜(容器)
44 塗布ローラ
45 回転軸
46 塗布ローラ回転モータ
47 固定部材
48 電磁誘導コイル
49 容器本体
50 加熱板
51 接着剤溜(容器)位置センサ
52 圧着ユニット駆動装置
53 基部
54 固定板
55 押え部
56 可動板
57 可動板駆動装置
58 圧着力制御装置
59 可動シューター
60 圧着ユニット位置センサ
61 固定ブロック
62 連結シャフト
63 可動ブロック
64 スプリング
65 制御部
67 タイマー回路
68 信号出力回路

Claims (2)

  1. 用紙束を挟持する挟持手段と、熱溶融させた溶融接着剤を貯留する容器と、容器内の接着剤に一部を浸して配置され、回転して容器内の溶融接着剤を用紙束の背面に塗布するローラと、容器とローラを一体的に用紙束の背面の長手方向に沿って移動させる移動手段と、用紙束および表紙を載置するテーブルを有し、接着剤を塗布した用紙束に表紙を圧着する圧着手段と、テーブルを位置決めするテーブル駆動手段とを備え、テーブル駆動手段によって、用紙束の背面を位置決めすると共に用紙束の背面とローラの間隙量を設定変更し、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じて用紙束の背面に対する表紙の位置を設定変更することを特徴とする製本装置。
  2. 用紙束を挟持する挟持手段と、熱溶融させた溶融接着剤を貯留する容器と、容器内の接着剤に一部を浸して配置され、回転して容器内の溶融接着剤を用紙束の背面に塗布するローラと、容器とローラを一体的に用紙束の背面の長手方向に沿って移動させる移動手段と、用紙束および表紙を載置するテーブルを有し、接着剤を塗布した用紙束に表紙を圧着する圧着手段と、テーブルを位置決めするテーブル駆動手段と、用紙束の背面に対するローラを位置決めする塗布ユニット駆動手段とを備え、テーブル駆動手段によって用紙束の背面を位置決めし、塗布ユニット駆動手段によって用紙束の背面とローラの間隙量を設定変更し、用紙束の背面とローラの間隙量の設定量に応じてテーブル駆動手段により用紙束の背面に対する表紙の位置を設定変更することを特徴とする製本装置。
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