JP4378981B2 - 有機性排水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物処理槽を用いた有機性排水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、微生物を利用する排水処理法が広く普及している。しかし、排水の処理に伴って発生する余剰汚泥の発生量が多いことや、また有機性排水の処理工程で悪臭が発生するなどの問題が生じていた。
しかしながら、近年、バチルス・ズブチルス(略称バチルス菌、以下バチルス菌と記載する)を用いて排水処理を行うことにより、処理水質の向上、余剰汚泥発生量の減少、悪臭の抑制が期待できるという報告が増えている(特許文献1〜3)。
【0003】
バチルス菌を用いた排水処理法には、バチルス菌を排水処理装置の生物処理槽へ添加または移送し、生物処理を行う方法が主であるが、大容量の生物処理槽へ添加すると菌濃度が低下することによって菌の活力も低下し、バチルス菌本来の性能を発揮することが難しい。
また、微生物は水温や溶存酸素などの適した環境、好む餌などが満たされないと増殖・優占化しない為、バチルス菌が優占化していない条件の生物処理槽に菌を添加しても、増殖・優占化させることは難しい。
【0004】
このことから、生物処理槽内にバチルス菌を継続的に添加し続けなければならない。しかし、高価(商品1kgの値が5000円以上するといわれている)であるバチルス菌を継続的に添加し続けることはランニングコストが嵩み、運転維持することが困難である。このことから、バチルス菌を培養する為の槽を新しく設置し、定期的に生物処理槽へ移送する方法が提案されている(特許文献4)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−995号公報(第2頁〜第6頁)
【特許文献2】
特開2001−224365号公報(第2頁〜第4頁)
【特許文献3】
特開2002−18469号公報(第2頁〜第4頁、第1図)
【特許文献4】
特開2002−126786号公報(第2頁〜第5頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、新設した槽内でバチルス菌を培養する為には、バチルス菌の増殖に適した環境を作り、好む餌を与え続けなければならず、槽内の運転管理に手間がかかり、バチルス菌用の餌を購入または運搬しなければならないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その課題とするところは、生物処理槽内にバチルス菌又は外部から購入または運搬したバチルス菌を活性化させる餌(栄養源)を添加せず、また培養槽を新設し外部から購入または運搬したバチルス菌用の餌を用いて培養し生物処理槽へ移送しなくても生物処理槽内にバチルス菌を増殖・優占化させ、処理水質の向上、余剰汚泥の減少、悪臭の抑制を行うとともに、維持管理を容易にしコストの低減を行うことができる有機性排水の処理方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、死滅手段として超音波を用いることにより、汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させた後に、生物処理槽で生物処理を行うことにより、前記生物処理槽内に前記バチルス・ズブチルスを増殖・優占化させることを特徴とする。
上記発明によれば、前記汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させたものを前記生物処理槽で生物処理することにより、微生物の死骸である細胞壁や細胞膜が前記生物処理槽内に蓄積し、バチルス菌がこれを餌とすることによって、前記生物処理槽内にバチルス菌を増殖・優占化させることができる。
【0009】
また、前記有機性排水処理装置内に有している汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させることで汚泥中のバチルス菌の割合を増加させ、前記生物処理槽内にバチルス菌を優占化させることができる。その結果、処理水質の向上、余剰汚泥の減少、悪臭の抑制を行うとともに、維持管理を容易にしコストの低減を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、死滅手段として超音波を用いることにより、汚泥中のバチルス・ズブチルス以外の微生物群を選択的に死滅させた後に、生物処理槽とは異なる第二の生物処理槽で生物処理を行うことにより、前記第二の生物処理槽内に前記バチルス・ズブチルスを増殖・優占化させることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、前記汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させたものを生物処理槽とは異なる第二の生物処理槽で生物処理することにより、微生物の死骸である細胞壁や細胞膜が前記第二の生物処理槽内に蓄積し、バチルス菌がこれを餌とすることによって、前記第二の生物処理槽内にバチルス菌を増殖・優占化させることができる。
また、バチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させることによって、汚泥中のバチルス菌の割合を増加させ、前記第二の生物処理槽内にバチルス菌を優占化させることができる。その結果、短期間で余剰汚泥の減少、悪臭の抑制を行うとともに、維持管理を容易にしコストの低減を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態を示す工程図である。
【0014】
図1において、有機性排水1は生物処理槽2Aへ送られ生物処理される。
ここで、生物処理槽2Aの処理方式は、特に限定するものではなく、好気性処理または嫌気性処理のどちらでもよい。また、1槽式、多槽式でもよく、浮遊式活性汚泥、接触濾床、流動担体を用いた処理法など有機性排水1を生物処理する方式であれば特に限定するものではない。
【0015】
図1において、生物処理槽2Aで処理された有機性排水1は、固液分離装置3へ送られ重力沈降によって固液分離され、上澄水と沈降した汚泥とに分けられる。
図1では、固液分離装置3は、重力沈降を用いたものであるが、特に限定するものではなく、例えば、膜分離、加圧浮上、遠心分離などを用いてもよい。
図1において、固液分離された上澄水は、処理水4として系外へ排出される。また、固液分離され沈降した汚泥は、返送汚泥5と余剰汚泥6とに分岐され、返送汚泥5は生物処理槽2Aへ返送され、余剰汚泥6は系外へ排出される。
【0016】
余剰汚泥6は、系外へ排出された後、濃縮、脱水、乾燥などを行い、廃棄物として処理してもよいし、堆肥化処理などを行い土壌改良材などとして有効利用してもよい。
図1において、返送汚泥5は、さらに分岐し、その一部を死滅手段7へ移送する。ここでいう死滅手段7とは、汚泥中の微生物群を物理的手段及び化学的手段を用いて汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させることにより、バチルス菌を増殖・優占化させるものである。これは、バチルス菌が芽胞を形成することによって他の微生物では死滅してしまうような温度変化、衝撃に耐えることができるという特徴を利用したものである。
【0017】
死滅手段7において、物理的手段は、特に限定するものではなく、例えば、超音波、ホモジナイザー、ミル破砕、回転ディスク、ジェット噴流などを用いてもよい。また、化学的手段も特に限定するものではなく、例えば、酸、アルカリ、オゾン、酸化剤、還元剤を用いることができる。本発明では、物理的手段および化学的手段の両方または少なくとも一方を用いればよいが、化学的手段である酸、アルカリを用いた場合は、処理後にpHが6〜8程度になるように中和処理を行わなければならず、また、オゾンを用いた場合についても、排オゾン処理を行い、排オゾン濃度を0.01mg/L以下にする必要がある。
【0018】
本発明では一実施の形態として物理的手段を用いた有機性排水の処理方法について説明する。
物理的手段としてホモジナイザー、ミル破砕、回転ディスクなどを用いた場合、有機性排水1が生活系の排水である時は特に、汚泥中に毛髪などの固形物が多く含まれており、装置内に閉塞を生じやすい。また、ジェット噴流を用いた場合、口径の小さな穴に汚泥を通すため固形物が穴に詰まり閉塞しやすく、頻繁な維持管理作業が必要となる。これに対し、超音波を用いた場合は、装置内に固形物が閉塞することが少なく、また、微生物を外部からのみ破壊するのではなく、内部からも死滅させるため殺傷効率がよく、死滅手段7に超音波を用いることが特に望ましい。
【0019】
死滅手段7に超音波を用いる場合には、超音波を照射する容器の大きさ・形状などは特に限定するものではなく、例えば、円筒形、立方体、配管などどんな形でもよい。
また、超音波振動子の設置場所についても特に限定するものではなく、装置の上からでも下からでも横からでもよく、また、直接振動子を容器内に設置してもよい。その他、実施形態によって最も効率のよい方法を選択することができる。
【0020】
超音波の照射条件は、特に限定するものではないが、周波数は20kHz〜10MHzが望ましい。また、超音波強度は、汚泥量、接触時間、出力によって決定されるが、選択的にバチルス菌を死滅させないためは、出力を500〜5000Wの間で調節し、1日当たりの余剰汚泥6の発生量の2〜8倍量の汚泥を処理するのが望ましい。
また、超音波の振動エネルギーによって汚泥の温度が上昇する。この温度は、特に限定するものではないが、60〜80℃にするのが望ましい。これは、通常、40〜50℃以上で大半の微生物が死滅するが、バチルス菌は芽胞を形成することによって80℃でも生息することができるため、効率的にバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させることができる。
【0021】
図1において、死滅手段7で処理された死滅処理汚泥8は、生物処理槽2Aへ返送され、生物処理される。ここで、死滅処理汚泥8とは、死滅手段7により汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を死滅させたときの、死骸である細胞壁や細胞膜などを含む汚泥である。
【0022】
バチルス菌には、微生物には分解しにくいといわれる細胞壁や細胞膜を自身の持つ細胞壁分解酵素やタンパク質分解酵素によって分解し、餌とする性質がある。したがって、死滅処理汚泥8を生物処理槽2Aに返送することにより、バチルス菌が増殖するのに必要な餌が豊富な状態となり、生物処理槽2A内にバチルス菌が増殖し、優占化する。
【0023】
また、芽胞となったバチルス菌は、生息に適した環境(pH5〜8、水温5〜40℃、DO0.1〜8.0mg/L)になると発芽し活動を開始する。このことから、死滅手段7により芽胞化したバチルス菌を生物処理槽2Aで発芽させるために、生物処理槽2Aをバチルス菌の生息に適した環境にしておくのが望ましい。
【0024】
以上の様に、生物処理槽2A内にバチルス菌を増殖・優占化させることによって、バチルス菌が死滅処理汚泥8を分解・除去することから余剰汚泥6の発生量を低減することができる。
【0025】
また、バチルス菌は、臭気成分を分解する能力を有しており、排水処理工程時のDO(溶存酸素)が低い条件のときに発生するアンモニア、硫化水素などの悪臭の原因となる成分を分解するため、有機性排水処理工程時に発生する悪臭を抑制することができる。
【0026】
さらに、有機性排水1にでん粉および脂肪などが多く含まれている場合、通常の生物処理槽2A内にはこれらを分解・除去する微生物が少なく未処理のまま処理水4に含まれることが多いが、バチルス菌は、これらを分解・除去する性能を有しているため処理水4の水質を向上させることができる。
【0027】
図2は、本発明の第二の実施の形態を示す工程図である。図2において、有機性排水1は、生物処理槽2Aへ送られ生物処理された後、固液分離装置3へ送られ重力沈降によって固液分離され、上澄水と沈降した汚泥とに分けられる。その後、固液分離された上澄水は、処理水4として系外に排出され、また、固液分離され沈降した汚泥は、返送汚泥5と余剰汚泥6とに分岐し、返送汚泥5は全量を死滅手段7へ移送され、余剰汚泥6は系外に排出される。
【0028】
図1との相違点は、返送汚泥5の全量を死滅手段7へ移送するようにした点である。これによって、死滅手段7を設置するための配管の分岐による配管材量、工事の手間が軽減され、また、死滅手段7の設置スペースを少なくすることができる。
【0029】
図2において、死滅手段7に移送された返送汚泥5は、図1の場合と同様に、死滅処理され、死滅処理汚泥8として生物処理槽2Aへ返送され、生物処理される。返送汚泥5の全量を死滅手段7へ移送するため、死滅手段7によって、返送汚泥5内の微生物群を過剰に死滅させてしまうと、生物処理槽2内の微生物群の数が減少し、有機性排水1、死滅処理汚泥8の処理能力を低下させてしまう恐れがある。
【0030】
このため、死滅手段7の運転方法として、図示しないがタイマー制御などを用いて間欠運転を行い、生物処理槽2A内の微生物群の数が減少しすぎない様に操作することが望ましい。
また、生物処理槽2A内は、図1の場合と同様に、バチルス菌の生息に適した環境しておくことが望ましい。
【0031】
以上の様に、生物処理槽2A内にバチルス菌を増殖・優占化させることによって、図1の場合と同様に、余剰汚泥6の発生量を減少、悪臭を抑制、処理水4の水質を向上させる効果が得られる。
【0032】
図3は、本発明の第三の実施の形態を示す工程図である。図3において、図1および図2との相違点は、死滅手段7を生物処理槽2A内に設置した点である。生物処理槽2A内に死滅手段7を設置し、死滅処理を行うことによって、死滅手段7を設置するために配管を切断および分岐させる必要がなく、また、設置スペースを確保する必要がなくなる。
【0033】
しかし、死滅手段7として、超音波を用いる場合、超音波を照射する容器を用いず超音波振動子のみを生物処理槽2A内へ設置した時は、生物処理槽2A内の温度を5〜40℃に設定することが望ましい。これは、生物処理槽2A内の温度を40℃以上にした場合、バチルス菌以外の微生物群がほとんど死滅し、生物処理槽2A内の微生物の数が減少してしまうため、有機性排水1、および死滅処理汚泥8を十分処理できなくなり、処理水4が悪化し、余剰汚泥6が減少しないなどの影響がでる可能性があるためである。
【0034】
また、生物処理槽2A内は、図1の場合と同様に、バチルス菌の生息に適した環境にしておくことが望ましい。
【0035】
以上の様に、生物処理槽2A内にバチルス菌を増殖・優占化させることによって、図1の場合と同様に、余剰汚泥6の発生量を低減、悪臭を抑制、処理水4の水質を向上させる効果が得られる。
なお、図示していないが、死滅手段7を生物処理槽2A内に設置せずとも、生物処理槽2A内の汚泥を死滅手段7に送り、死滅処理後の死滅処理汚泥8を生物処理槽2へ返送してもよい。
【0036】
図4は、本発明の第四の実施の形態を示す工程図である。図4において、有機性排水1は生物処理槽2Bへ送られ生物処理される。
ここで、生物処理槽2Bの処理方式は、特に限定するものではなく、有機性排水1を生物処理する方式であればよい。
【0037】
図4において、生物処理槽2Bで処理された有機性排水1は、固液分離装置3へ送られ、重力沈降によって固液分離され、上澄水と沈降した汚泥とに分けられる。
図4では、固液分離装置3に重力沈降を用いたものであるが、特に限定するものではなく、例えば、膜分離、加圧浮上、遠心分離などを用いてもよい。
【0038】
図4において、固液分離された上澄水は処理水4として系外へ排出される。また、固液分離され沈降した汚泥は、返送汚泥5として生物処理槽2Bへ返送される。また、返送汚泥5はさらに分岐し、その一部を第二の生物処理槽9へ移送される。
【0039】
第二の生物処理槽9の、処理方式は、特に限定するものではなく、1槽式、多槽式でもよく、浮遊式活性汚泥、接触濾床、流動担体を用いた処理法など生物生物処理する方式であればよい。
【0040】
第二の生物処理槽9の容量は、特に限定するものではないが、生物処理槽2Bに対して1/20〜1/2にするのが望ましい。これは、第二の生物処理槽9を生物処理槽2Bより小さくすることによって、死滅手段7の死滅効率がよくなり、菌濃度の低下を抑えることにより、生物処理槽2B内でのバチルス菌を増殖・優占化より短期間で行えるためである。
【0041】
図4において、第二の生物処理槽9内の汚泥は、死滅手段7へ移送される。
ここでいう死滅手段7とは、図1の場合と同様に、汚泥中の微生物群を物理的手段および化学的手段を用いてバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させるものであり、第二の生物処理槽9内に、バチルス菌を増殖・優占化させるものである。また、死滅手段7は、物理的手段および化学的手段の両方または少なくとも一方を用いればよいが、特に超音波を用いることが特に望ましい。
【0042】
本発明で死滅手段7に、超音波を用いる場合には、超音波を照射する容器の大きさ・形状などは特に限定するものはでなく、また、超音波振動子の設置場所においても特に限定するものではない。その他、実施形態によって最も効率のよい方法を選択することができる。
【0043】
超音波の照射条件は、特に限定するものではないが、周波数は20kHz〜10MHzが望ましく、超音波強度は、出力を500〜5000Wの間で調節し、1日当たりの第二の生物処理槽9への返送汚泥5の流入量の2〜8倍量の汚泥を処理するのが望ましい。また、温度も特に限定するものではないが、60〜80℃にするのが望ましい。
【0044】
図4において、死滅手段7で処理された汚泥は、死滅処理汚泥8として再び第二の生物処理槽9へ返送される。
ここで、死滅処理汚泥8とは、死滅処理7により汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を死滅させたときの、死骸である細胞壁や細胞膜などを含む汚泥であり、これをバチルス菌の餌とすることによって、第二の生物処理槽内にバチルス菌を増殖・優占化させることができる。
【0045】
また、第二の生物処理槽9は、芽胞となったバチルス菌が生息に適した環境(pH5〜8、水温5〜40℃、DO0.1〜8.0mg/L)になり、発芽し活動を開始するように調整することが望ましい。
【0046】
図4において、第二の生物処理槽9内の汚泥は、一部余剰汚泥6として系外に排出され、図1の場合と同様に、処理される。また、第二の生物処理槽9内に膜分離装置10を設置し、膜透過水11として生物処理槽2へ移送される。
【0047】
膜透過水11を生物処理槽2へ移送することによって、第二の生物処理槽9内の水量を一定に保つことができ、また、第二の生物処理槽9内の汚泥濃度を高濃度に保持することができるため、死滅手段7による死滅効率がよくなり、生物処理槽2Bでバチルス菌の増殖・優占化させるよりも短期間で行うことができる。なお、図示していないが、膜透過水11の移送先は、特に限定するものではなく、例えば、有機性排水1と混合させてもよいし、処理水4と混合して系外に排出してもよい。
【0048】
以上の様に、生物処理槽2内にバチルス菌を増殖・優占化させることによって、バチルス菌が死滅処理汚泥8を分解・除去することから余剰汚泥6の発生量を減少させることができる。
【0049】
また、バチルス菌は臭気成分を分解する能力を有しており、排水処理工程時のDO(溶存酸素)が低い条件のときに発生するアンモニア、硫化水素などの悪臭の原因となる成分を分解するため、有機性排水処理工程時に発生する悪臭を抑制することができる。
【0050】
図5は、本発明の第五の実施の形態を示す工程図である。図5において、図4との相違点は、死滅手段7を第二の生物処理槽9内に設置した点である。
これによって、死滅手段7を設置するために新たに配管を引かなくてもよく、また、設置スペースを確保する必要がない。
【0051】
しかし、死滅手段7として、超音波を用いる場合、超音波を照射する容器を用いず超音波振動子のみを第二の生物処理槽9へ設置した時は、槽内の温度を5〜40℃に設定することが望ましい。これは、第二の生物処理槽9内の温度を40℃以上にすることによって、バチルス菌以外の微生物群を過剰に死滅させてしまうため、第二の生物処理槽9内の微生物群が減少し、第二の生物処理槽9内で死滅処理汚泥8を十分処理できなくなり、余剰汚泥6が減少しない可能性があるためである。
【0052】
また、第二の生物処理槽9内は、図4の場合と同様に、バチルス菌の生息に適した環境しておくことが望ましい。
以上のように、生物処理槽2内にバチルス菌を増殖・優占化させることによって、余剰汚泥6の発生量を減少することができ、悪臭を抑制する効果が得られる。
【0053】
(実施例1)
以下に、本発明の実施例1を具体的に説明する。
【0054】
(表1)は、死滅手段7に超音波を用いて、図1に示した工程を実施した時の生物処理槽2A内の優占菌を示したものである。超音波装置の運転を行わない場合をRun1、超音波装置の運転を行った場合をRun2とし、生物処理槽2Aにおけるバチルス菌の優占化の比較を行った。Run2においては、超音波周波数を26kHz、出力を1200W、接触時間を77分とし、1日の処理量を余剰汚泥6の発生量の3倍量として、約2ヶ月間の運転を行った。
【0055】
(表1)の結果より、Run1では優占種としてバチルス菌が存在していないが、Run2では優占種としてバチルス菌が確認された。このことより、本発明が生物処理槽2A内にバチルス菌を増殖・優占化させることが明らかとなった。
【0056】
【表1】
(表2)は、実施例1の各Runの処理水4の水質の平均値を示したものである。(表2)の結果より、Run1運転時の処理水4よりもRun2運転時の処理水4の方がSS、BOD、CODにおいてすべて濃度が下回っていた。
【0057】
【表2】
図6は、実施例1の各Runの余剰汚泥6の発生量を示したものである。図6の結果より、Run2の余剰汚泥6の発生量は、Run1の約30%となり、約70%の余剰汚泥6の発生量が減少していることが確認された。
【0058】
また、Run1運転時の生物処理槽2A内からは若干悪臭が感じられたが、Run2運転時に生物処理槽2Aから悪臭は全く感じられなかったことから、明らかにバチルス菌による臭気分解が行われていて、臭気が抑制されていた。
また、約2ヶ月間運転を行った時の各Run1運転時のランニングコストを算出し比較したところ、Run2の方が約40%低減されていた。
【0059】
(実施例2)
以下に、本発明の実施例2を具体的に説明する。
【0060】
(表3)は、死滅手段7に超音波を用いて、図4に示した工程を実施した時の第二の生物処理槽9内の優占菌を示したものである。
超音波装置の運転を行わない場合をRun1、超音波装置の運転を行った場合をRun2とし、第二の生物処理槽9におけるバチルス菌の優占化の比較を行った。Run2においては、超音波周波数26kHz、出力1200W、接触時間77分とし、1日の処理量を第二の生物処理槽9に移送する返送汚泥5の3倍量として、約2ヶ月間の運転を行った。
【0061】
(表3)の結果より、Run1では優占種としてバチルス菌が存在していないが、Run2では優占菌としてバチルス菌が確認された。このことより、本発明が第二の生物処理槽9内にバチルス菌を増殖・優占化させることが明らかとなった。
【0062】
【表3】
図7は、実施例2の各Runにおける余剰汚泥6の発生量を示したものである。図7の結果より、Run2の余剰汚泥発生量は、Run1の約20%となり、約80%の余剰汚泥6の発生量が減少していることが確認された。
【0063】
また、Run1運転時の第二の生物処理槽9内からは若干悪臭が感じられたが、Run2運転時の第二の生物処理槽9内からは悪臭は全く感じられなかったことから、明らかにバチルス菌による臭気分解が行われていて、臭気が抑制されていた。
約2ヶ月間運転を行った時の各Run1運転時のランニングコストを算出し比較したとこ ろ、Run2運転時の方が約30%低減されていた。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明は、死滅手段として超音波を用いた処理によって、有機性排水処理装置内に有している汚泥中のバチルス菌以外の微生物群を選択的に死滅させた後、生物処理槽または第二の生物処理槽へ送ることによって、生物処理槽または第二の生物処理槽内にバチルス菌が増殖するのに必要な餌を蓄積させることができる。その結果、生物処理槽内にバチルス菌または外部から購入または運搬したバチルス菌を活性化する餌(栄養源)を添加せず、また培養槽を新設し外部から購入または運搬したバチルス菌用の餌を用いて培養し生物処理槽へ移送しなくても、生物処理槽内または第二の生物処理槽にバチルス菌を増殖・優占化させることができ、その結果として、処理水質の向上、余剰汚泥の減少、悪臭の抑制を行うとともに、維持管理を容易にしてコストの低減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す工程図
【図2】本発明の第二の実施の形態を示す工程図
【図3】本発明の第三の実施の形態を示す工程図
【図4】本発明の第四の実施の形態を示す工程図
【図5】本発明の第五の実施の形態を示す工程図
【図6】本発明の実施例1の余剰汚泥発生量を示すグラフ
【図7】本発明の実施例2の余剰汚泥発生量を示すグラフ
【符号の説明】
1 有機性排水
2A、2B 生物処理槽
3 固液分離装置
4 処理水
5 返送汚泥
6 余剰汚泥
7 死滅手段
8 死滅処理汚泥
9 第二の生物処理槽
10 膜分離装置
11 膜透過水
Claims (4)
- 生物処理槽を用いた有機性排水を処理する方法であって、死滅手段として超音波を用いることにより、汚泥中のバチルス・ズブチルス以外の微生物群を選択的に死滅させた後に、前記生物処理槽で生物処理を行うことにより、前記生物処理槽内に前記バチルス・ズブチルスを増殖・優占化させることを特徴とする有機性排水の処理方法。
- 生物処理槽を用いた有機性排水を処理する方法であって、死滅手段として超音波を用いることにより、汚泥中のバチルス・ズブチルス以外の微生物群を選択的に死滅させた後に、前記生物処理槽とは異なる第二の生物処理槽で生物処理を行うことにより、前記第二の生物処理槽内に前記バチルス・ズブチルスを増殖・優占化させることを特徴とする有機性排水の処理方法。
- 超音波の照射条件として、超音波振動子の振動周波数を20kHz〜10MHz、出力を500〜5000Wの間で調節することを特徴とする請求項1または2記載の有機性排水の処理方法。
- 超音波の振動エネルギーにより、汚泥の温度を60〜80℃に上昇することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機性排水の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003073870A JP4378981B2 (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 有機性排水の処理方法 |
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