JP5557967B1 - シーディング剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

有用微生物を多種類かつ多量に含むシーディング剤を、有機性廃棄物を含む原材料から低コストで製造する方法を提供する。本方法は、発酵工程と、第1の乾燥工程と、第2の乾燥工程とを含むことを特徴とする。発酵工程は、有機性廃棄物と補助材料とを含む原材料を好気発酵させる工程である。第1の乾燥工程は、発酵工程後の発酵された原材料を、含水率が発酵直後の含水率より低い第1の範囲になるまで乾燥させる工程である。第2の乾燥工程は、第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、含水率が第1の範囲の下限より低い第2の範囲になるまで、第1の乾燥工程に要した時間より短い時間でさらに乾燥させる工程である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排水処理の分野に関し、より具体的には、排水処理施設の機能の効果的な立ち上げ又は調整のためのシーディング剤の製造方法に関する。
浄化槽、下水道、農業集落排水処理施設などといった、微生物を利用して排水処理を行う施設においては、機能立ち上げ時又は機能調整時の運転の適切さに応じて、その後の排水処理性能に大きな差が表れる。排水処理性能を向上させるためには、機能立ち上げ時又は機能調整時における「微生物の種付け」(以下「シーディング」ともいう)が重要である。シーディングは、従来、一定量の汚泥をし尿処理施設や下水処理施設などの既存施設から引き抜いて、機能の立ち上げ又は調整を行う施設の処理槽に種汚泥として投入したり、土壌を水で懸濁することによって得られる土壌菌を含む上澄みを処理槽に投入したりすることによって行われてきた。こうした種汚泥を利用しないと、機能が立ち上がるまで又は調整されるまでに数週間〜数ヶ月を要する場合も多く、必要な処理性能が達成できない又は改善できないという問題がある。
しかし、シーディングを行う従来の方法において、様々な状態で運転されている既存施設の中から、機能立ち上げ又は機能調整を行う対象施設に用いるのに適した汚泥を得られる施設を選択し、それらの施設から適切なタイミングで汚泥を引き抜いて、対象施設に種汚泥として投入することは、その作業に必要な労力やコストの負担が極めて大きいものとなる。また、上澄みを処理槽に投入する方法においては、シーディングの効果が不安定となるおそれがある。
こうした問題を解決することを目的として、シーディングのための剤(以下、「シーディング剤」という)が市販されており、早期の処理性能確立及び処理性能向上を目的として、こうしたシーディング剤を機能立ち上げ時又は機能調整時に浄化槽等に投入することが行われるようになってきている。市販のシーディング剤として、純粋培養された特定の微生物を単独で、又は純粋培養された数種類の微生物を混合して、製剤化したものが知られている。
本発明の発明者も、以下の特許文献1及び特許文献2に開示されるシーディング剤の製造方法を、すでに提案している。
特許文献1は、家畜糞尿を原料としたシーディング剤の製造方法を提案するものである。特許文献1の技術は、下水汚泥、家畜糞尿、種菌、雑魚、及び水分調整剤を所定の割合で含む原材料を混合し、原材料への空気供給量を2段階にわたって調整しながら原材料を発酵させ、空気供給を完全に停止して原材料を熟成させることによって、家畜糞尿を原材料としたシーディング剤を製造する方法を提供する。
特許文献2は、家畜糞尿と水分調整剤とを混合して好気発酵させることによって作られるシーディング剤を固形化する方法を提案するものである。特許文献2に記載の技術は、例えば特許文献1に記載の技術で製造されたシーディング剤を固形化することによって、排水処理施設における滞留時間を長くして、効果的にシーディング剤を使用できるようにするものである。
特許文献3は、下水汚泥や動植物性残渣を含むシーディング剤原料と木材チップとを混合して発酵させることによって、シーディング剤を製造する方法を提案するものである。特許文献3に記載の技術は、発酵後の混合物を篩い分けし、フルイ通過部の堆積物の断面を観察して発酵の進行を判定することにより、品質のばらつきを抑制する方法である。
一方で、最近は、排水処理系内にはできるだけ多様な微生物を導入することが理想的なシーディング方法であると考えられるようになっており、こうした方法を実現するために、多様な種類の土壌微生物を含む複合微生物系を利用した人工湿地排水処理システムなどが提案されている。
土壌には、環境浄化に有用な微生物が多く含まれており、中でもグラム陽性菌が多く含まれる。グラム陽性菌としては、納豆菌が属するバチルス属菌、クロストリジウム属菌、乳酸菌、放線菌などが挙げられる。これらの菌は、排水処理においても有効に機能することが知られており、効果として、汚濁有機物の高分解能、窒素除去の促進、悪臭改善効果、処理効率の向上、余剰汚泥の発生抑制効果などが挙げられる。また、これらの菌は、環境ストレスへの耐性が高いため、簡単には死滅しないという利点もある。
そこで、処理施設の立ち上げ時又は機能調整時に簡便にシーディングを行うことができるように、多様な種類のグラム陽性菌等の有用微生物を含むシーディング剤が求められている。
特許第4325980号明細書 特許第4627718号明細書 特開2007−209933号公報 特許第4627718号明細書
上述の観点を考慮すると、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の市販のシーディング剤は、含まれる有用微生物の種類が少ないため、多様性が低く、処理環境が様々な個々の排水処理施設に汎用的に利用することができない。また、純粋培養された有用微生物を含むシーディング剤は、コストが高く、限られた用途でのみ用いられることが多いのが現状である。
特許文献1に記載の技術は、シーディング剤を製造する方法ではあるものの、出願当時の目的は、従来膨大な費用をかけて産業廃棄物として処理していた家畜糞尿を再利用することに主眼がおかれていた。したがって、特許文献1においては、シーディング剤に含まれる菌の種類やその多様性については何ら言及されておらず、特許文献1に記載の技術は、様々な処理環境を有する排水処理施設において有効に機能する有用微生物を多種類かつ多量に含むシーディング剤を得るための製造工程が十分に検討されたものではない。この点は、特許文献2及び特許文献3に記載の技術も同様である。
したがって、本発明は、様々な処理環境を伴う排水処理施設の立ち上げ時又は機能調整時において、短期間で必要な処理能力を発揮させることを目的として、こうした排水処理施設に簡便に投入することができる、有用微生物、特にグラム陽性菌を多種類かつ多量に含むシーディング剤を、有機性廃棄物を含む原材料から低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、有機性廃棄物を含む原材料を発酵させた後、発酵後の原材料の乾燥工程を工夫することによって、排水処理施設において有効に機能する有用微生物であるグラム陽性菌を多種類かつ多量に含むシーディング剤を得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様は、シーディング剤を製造する方法を提供する。本方法は、発酵工程と、第1の乾燥工程と、第2の乾燥工程とを含むことを特徴とする。発酵工程は、有機性廃棄物と補助材料とを含む原材料を好気発酵させる工程である。有機性廃棄物は、下水汚泥、家畜糞尿、及び食品系廃棄物のうちのいずれか又はこれらの組み合わせとすることができる。第1の乾燥工程は、発酵工程後の発酵された原材料を、含水率が発酵直後の含水率より低い第1の範囲になるまで乾燥させる工程である。第1の範囲は、40%〜55%であることが好ましく、第1の乾燥工程後における含水率は50%以下であることがより好ましい。第2の乾燥工程は、第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、含水率が第1の範囲の下限より低い第2の範囲になるまで、第1の乾燥工程に要した時間より短い時間でさらに乾燥させる工程である。第2の範囲は、10%〜30%であることが好ましく、第2の乾燥工程後における含水率は20%以下であることがより好ましい。
このように、乾燥工程を、発酵後の原材料を時間をかけて徐々に乾燥させる第1の乾燥工程と、第1の乾燥工程後の原材料をより短い時間で急速に乾燥させる第2の乾燥工程との2段階とすることによって、第1の乾燥工程において発酵された原材料に含まれる微生物の胞子形成が行われ、第2の乾燥工程において第1の乾燥工程で胞子形成された微生物以外の微生物が分解されることになるため、結果として、排水処理施設において有効に機能する微生物であるバチルス属菌を初めとする有用微生物を多種類かつ多量に含むシーディング剤を製造することができる。
一実施形態においては、第2の乾燥工程前に、第1の乾燥工程後の原材料から補助材料を除去する工程をさらに含むことが好ましい。
一実施形態においては、発酵工程は、第1の発酵工程と、第2の発酵工程とを含むことが好ましい。第1の発酵工程は、原材料の発酵温度を、70℃以上の温度まで、少なくとも2回上昇させる工程である。第2の発酵工程は、第1の発酵工程後の原材料の発酵温度を、50℃以上の温度まで、少なくとも1回上昇させる工程である。
一実施形態においては、第2の発酵工程は、原材料を切り返す工程を含み、切り返し工程において原材料の温度が50℃以上にならなくなったときに、発酵工程を終えることが好ましい。
本発明の第2の態様は、請求項1〜請求項9までに記載のいずれかの方法によって製造されたシーディング剤を固形化した固形シーディング剤を提供する。
本発明によれば、条件がそれぞれ異なる排水処理施設の立ち上げ時又は機能調整時に処理槽内に投入することによって、条件の違いにかかわらず処理機能の立ち上げ又は調整を短期間で行うことができるとともに、必要かつ安定的な処理性能を達成することができるシーディング剤を製造することが可能である。
本発明の実施形態に係るシーディング剤の製造方法の工程を示すフロー図である。 本発明の実施形態に係るシーディング剤の製造方法における発酵温度の推移を示す。 本発明の実施形態に係るシーディング剤の製造方法よって製造されたシーティング剤に含まれる微生物の種類を分析した結果を示す。 乾燥工程の違いによってシーディング剤として用いたときに出現する菌種が異なることを示す分析結果であり、発酵終了時点のサンプルをシーディング剤として用いたときに出現する菌種を示す。 乾燥工程の違いによってシーディング剤として用いたときに出現する菌種が異なることを示す分析結果であり、発酵終了時点のサンプルAを約2週間かけて含水率50%以下になるまで乾燥させたものをシーディング剤として用いたときに出現する菌種を示す。 乾燥工程の違いによってシーディング剤として用いたときに出現する菌種が異なることを示す分析結果であり、発酵終了時点のサンプルAを、50℃、24時間で含水率20%以下になるまで乾燥させたものをシーディング剤として用いたときに出現する菌種を示す。 乾燥工程の違いによってシーディング剤として用いたときに出現する菌種が異なることを示す分析結果であり、サンプルBを、50℃、24時間で含水率20%以下になるまで乾燥させたものをシーディング剤として用いたときに出現する菌種を示す。 本発明の実施形態に係るシーディング剤の製造方法によって製造されたシーディング剤の微生物多様性を示す写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る製造方法によって製造されるシーディング剤は、発酵後の原材料を乾燥させる工程を、原材料を徐々に乾燥させる第1の乾燥工程と、原材料を急速に乾燥させる第2の乾燥工程との2段階で行うことによって、従来の方法で製造されるシーディング剤と比較して、有用微生物である、バチルス属細菌、クロストリジウム属細菌、乳酸菌、放線菌などをはじめとする多様な種類のグラム陽性菌を多量に含むようになることを特徴とする。本発明の一実施形態に係る方法によって製造されるシーディング剤は、グラム陽性菌が、含まれる細菌のうちの少なくとも70%以上を占めるものとすることができる。本方法によって製造されるシーディング剤は、一実施形態においては含水率が約10重量%〜約30重量%の乾燥した粒状物であるが、別の実施形態においては、この粒状物を固形化したもの、クリーム状若しくはゼリー状などの半固形状態としたもの、又は何らかの液体に混合した液状としたものも含むことができる。
以下に、本発明に係るシーディング剤の製造方法を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシーディング剤の製造方法の工程を示すフロー図である。
[原材料]
本発明に係る製造方法においては、原材料として有機性廃棄物と補助材料とが用いられる。有機性廃棄物として、例えば、下水汚泥、家畜糞尿、食品系廃棄物などを用いることができる。家畜糞尿は、わらが混入した牛糞を用いることが好ましい。こうした牛糞を用いることによって、製造されるシーディング剤にバチルス属細菌を多く混入させることができる。
補助材料は、母材、水分調整材及び密度調整材として用いられる材料であり、例えば、木材チップ、稲わら、おがくずなどを用いることができる。木材チップは、針葉樹の木材チップであることが好ましい。針葉樹の木材チップは、容易に分解しないため繰り返し使用に耐えるとともに、樹脂成分を多く含み、発酵工程における微生物による代謝によって、病原菌を殺菌する効果を有する代謝産物を多く産出するため、補助材料として特に好ましい。
シーディング剤の製造を加速し、最終的に得られるシーディング剤をより均質なものとするために、堆肥を発酵させた種堆肥や市販の微生物製剤などを種資材として原材料に加えてもよい。また、最終的に得られるシーディング剤に特定の機能を付加することが求められる場合には、その機能に応じて、特定の細菌や、そうした細菌を含む土壌を、原材料に加えてもよい。
[混合工程]
有機性廃棄物及び補助材料と、必要に応じて加えられる種資材、細菌及び/又は土壌とを含む原材料は、均一に混合される。原材料に含まれる成分の量は、有機性廃棄物が20重量%〜80重量%、補助材料が20重量%〜45重量%とすることが好ましい。その他の種資材、種菌及び/又は種菌を含む土壌などは、10重量%を上限として混合することが好ましい。原材料の含水率は、一定の範囲となるように調整されることが好ましい。原材料の含水率は、原材料に含まれる補助材料の混合量を変えることによって調整することができ、約60重量%〜約70重量%であることが好ましく、約65重量%〜約68重量%であることがより好ましい。原材料の含水率は、冬季に用いる原材料と夏季に用いる原材料とで変えることが好ましく、夏季には含水率高いことが好ましい。混合物の嵩比重は、補助材料の量によって調整することができ、0.5〜0.6程度であることが好ましく、冬季に用いる原材料においては高めにすることが好ましい。
原材料は、例えばマニュアルスプレッダなどを用いて、均一に攪拌されて混合される。混合の際には、補助材料と有機性廃棄物とを順に積み上げた上で攪拌することが好ましい。こうして均一に混合された原材料は、発酵槽に投入される。
[発酵工程]
次に、均一に混合された原材料を発酵槽に堆積して発酵させる。本発明においては、原材料の温度が約70℃以上になる回数が2回以上、約50℃以上になる回数が1回以上になるように、原材料に対する空気供給量を管理しながら、原材料を好気発酵させる。原材料の温度については、堆積させた原材料の表面から1m以内の部分の温度を、堆積させた原材料の数カ所にわたって測定し、それらのうち最も高い温度を発酵工程における原材料の温度とすることができる。
具体的には、発酵槽に原材料を堆積させ、原材料に供給される空気の供給量を管理しながら、温度が約70℃以上になるまで原材料を発酵させる。空気供給量の管理、すなわち空気供給量の増加/減少は、単位時間あたりの空気供給量を増加/減少させることによって行っても、単位時間あたりの空気供給量は維持したまま供給時間を増加/減少させることによって行ってもよい。次いで、原材料の温度が約70℃を下回ったとき、又は、約70℃以上の温度が維持された状態で所定の期間(例えば、気温、湿度などの条件に応じて3〜14日程度)が経過したときに、切り返しを行うことができる。切り返しとは、原材料全体に酸素を供給して発酵を均一に進行させるとともに、過剰な団粒構造の形成を抑制し、過度の温度上昇を抑制して原材料の炭化を防止する目的で、原材料を攪拌することをいう。切り返しを行った後、空気供給量を管理しながら、再び、原材料の温度が約70℃以上になるまで発酵させ、上記と同様のタイミングで、次の切り返しを行う。このように、空気供給量を管理し、切り返しを行うことによって、少なくとも2回以上、原材料の温度を約70℃以上にした状態で原材料を発酵させる工程が、第1の発酵工程である。
第1の発酵工程において、原材料の温度を約70℃以上まで上昇させる回数は、最終的なシーディング剤の品質と許容される製造期間とを勘案して適宜決定される。第1の発酵工程は、原材料の温度が約70℃以上にならなくなったとき、又は、約70℃以上の温度が維持された状態で所定の期間(3〜14日程度)が経過し、切り返しを行ったときに、終了する。
第1の発酵工程後、空気供給量を管理する(具体的には空気供給量を減少させる)ことによって、温度を低下させ、原材料の温度が約50℃を下回ったとき、又は、温度が70℃以上まで上がらなくなって所定の期間(例えば、気温、湿度などの条件に応じて5〜14日程度)が経過したときに、切り返しを行う。切り返しを行った後、空気供給量を管理しながら、温度を約50℃以上にした状態で所定の期間(例えば、気温、湿度などの条件に応じて5〜14日程度)、原材料をさらに発酵させる。この工程が第2の発酵工程である。第2の発酵工程は、原材料の温度が少なくとも1回、約50℃以上になり、その状態で所定の期間(5〜10日程度)が経過するか、又は切り返しを繰り返しても原材料の温度が約50℃以上にならなくなったときに、終了する。発酵工程終了後における原材料の含水率は、通常、約55%〜約60%である。
第2の発酵工程において、原材料の温度を約50℃以上まで上昇させる回数は、最終的なシーディング剤の品質と許容される製造期間とを勘案して適宜決定される。約50℃以上まで温度を上昇させる回数が多いほど、最終的に得られるシーディング剤を用いたときに常温域で生育できる細菌がより優勢になる。
このように、発酵時の温度とその温度に達する回数とを管理しながら発酵工程を行うことによって、以下のような効果がもたらされる。
(1)易分解性の余分な有機物の分解除去
過剰な有機物を分解除去することによってシーディング剤の安定化を図り、排水処理施設にシーティング剤を投入しても過剰な環境負荷が生じないようにすることができる。
(2)有機物分解に関わる様々な微生物の増殖
発酵中の環境条件の変化に対応して様々な種類の微生物が増殖することによって、シーディング剤に微生物多様性を付加し、幅広い排水処理条件に対応した機能性を付加することができる。
(3)温度上昇による不要物質の除去
発酵温度を適切に上昇させることにより、大腸菌等の雑菌、植物の種子、ハエなどの害虫の死滅といった、シーディング剤として不要な物質を除去し、安定化させることができる。
本発明の実施形態においては用いられる発酵槽は、例えば、槽の底面から原材料に向けて空気の供給が行われるような構造のもの、例えば底壁に送風管を埋設したものなどを用いることが好ましい。このような構造の発酵槽を用いることによって、原材料の内部にまでに適切に空気を送り込むことができる。発酵槽からの空気の供給は、例えば底壁に設けられた送風管に、公知の送風機を用いて空気を送ることによって行うことができる。また、このような発酵槽を複数準備し、切り返しは、1つの発酵槽から別の発酵槽に原材料を移動させることによって行うことが好ましい。
発酵工程が終了した発酵された原材料は、次に、最終的に約10%〜約30%の含水率になるまで乾燥させる。本発明においては、原材料を乾燥させる乾燥工程が、第1の乾燥工程と第2の乾燥工程の2段階で行われることを特徴とする。第1の乾燥工程は、原材料の含水率が発酵直後の含水率より低い所定の範囲の含水率になるまで徐々に乾燥させる工程であり、第2の乾燥工程は、第1の乾燥工程後の原材料を、含水率が第1の乾燥工程後の含水率より低い所定の範囲の含水率になるまで急速に乾燥させる工程である。
[第1の乾燥工程]
第1の乾燥工程は、発酵後の発酵された原材料を、含水率が発酵直後より低い第1の範囲に入るまである程度の時間をかけて徐々に乾燥させる工程である。ここで含水率の第1の範囲は、約40%〜約55%であることが好ましく、約40%〜50%であることがより好ましい。また、「徐々に」とは、発酵後の原材料を含水率が第1の範囲に入るまで乾燥させるのに要する時間が、後述する第2の乾燥工程、すなわち第1の乾燥工程後の原材料を含水率が第1の範囲の下限より低い第2の範囲に入るまで乾燥させるのに要する時間より、長いことを意味する。
第1の乾燥工程においては、切り返しを行いながら常温の空気を供給することによって、原材料を乾燥させることが好ましい。第1の発酵工程の間の切り返しの回数は、発酵工程において行われる回数より多いことが好ましく、一実施形態においては、1週間に1回以上の切り返しを2週間にわたって行い、その後、1日1回以上の切り返しを10〜14日間にわたって続けることが好ましい。空気供給量は、原材料の状態によって適宜設定することができる。第1の乾燥工程は、2〜4週間にわたって行うことが好ましい。
第1の乾燥工程においては、必要に応じて、天日などによる自然乾燥工程を含んでもよい。自然乾燥工程は、例えば、原材料の切り返しを行う毎に、原材料の一部を取り出して天日にさらし、乾燥後に原材料に戻すことによって、行うことができる。
このように、発酵工程終了後の原材料の含水率を、時間をかけて低下させることによって、以下のような効果がもたらされる。
(1)胞子形成の促進
時間をかけて乾燥させることによって、胞子形成菌に徐々にストレスを与え、胞子形成を促すことができるため、シーディング剤に胞子状態で微生物を安定的に存在させることができる。
(2)微生物多様性の付与
徐々に反応速度を低下させることで、特定の菌のみが増殖することを防止し、シーディング剤における微生物の多様性が達成される。
[第2の乾燥工程]
第2の乾燥工程は、第1の乾燥工程が終了した後の乾燥された原材料、すなわち含水率が第1の範囲の原材料を、含水率が第1の範囲の下限より低い第2の範囲に入るまで急速に乾燥させる工程である。ここで、含水率の第2の範囲は、約10%〜約30%であることが好ましく、約10%〜約20%であることがより好ましい。また、「急速に」とは、第1の乾燥工程後の原材料を含水率が第2の範囲に入るまで乾燥させるのに要する時間が、前述の第1の乾燥工程、すなわち発酵後の原材料を含水率が第1の範囲に入るまで乾燥させるのに要する時間より、短いことを意味する。前者の時間は、後者の時間の半分より短いことが好ましく、1〜7日であることがより好ましく、2日以下であることが最も好ましい。
第2の乾燥工程においては、原材料を急速に乾燥させるために、第1の乾燥工程が終了した後の原材料を、例えば乾燥装置からの温風を用いて強制的に乾燥させる。第2の乾燥工程においては、原材料をより低温で乾燥させることが好ましく、空気供給量を調整して、原材料の温度が60℃より低い温度に維持しながら乾燥させることが好ましい。
このように、第1の乾燥工程終了後の原材料の含水率を、早い時間で低下させることによって、以下のような効果がもたらされる。
(1)シーディング剤としての保存性の向上
微生物反応を停止させ、第1の乾燥工程で胞子が形成された微生物以外の過剰な有機物を分解して劣化させるとともに、更なる微生物叢の遷移変化を防止することによって、シーディング剤の保存性を高めることができる。
(2)スタータ機能の付加
排水処理に有用な微生物を優勢化させるとともに、微生物の代謝産物を残して反応性の高い状態にすることによって、シーディング剤としての使用時に微生物が増殖しやすいようにスタータ機能を付与することができる。
第1の乾燥工程が終了した後の原材料は、第2の乾燥工程前に、篩い工程にかけることが好ましい。第1の乾燥工程が終了したときには、通常、原材料のうち補助材料は、完全に分解されている。しかし、補助材料の種類又は状態によっては、この時点で補助材料が分解されていない場合もあり、補助材料が、最終的な製品としてのシーディング剤に残存することがある。このようなシーディング剤は、排水処理施設に投入されたときに、施設の装置に悪影響を及ぼす可能性がある。また、再利用を目的として、あえて容易に分解しない補助材料を用いる場合もある。したがって、第1の乾燥工程が終了した後の原材料を篩いにかけて、残存する補助材料を除去することが好ましい。
[破砕工程]
第2の乾燥工程を終了し、含水率が第2の範囲になった乾燥された原材料は、粒度が不均一な場合がある。このような場合には、必要に応じて、原材料を任意の粒度になるように破砕することが好ましい。原材料を破砕することによって粒度が均一になるため、その後の工程において必要に応じて行われるシーディング剤の加工が容易になる。
[固形化工程]
以上のようにして、乾燥工程を終了し、必要に応じて破砕工程を経ることによって、粒状のシーディング剤を得ることができる。このままの状態でもシーディング剤として十分に利用可能であるが、粒状のシーディング剤には、以下のような欠点が問題となる場合もある。すなわち、粒状のシーディング剤を排水処理施設の処理槽内にそのまま投入しても、処理槽内に短時間に多量の被処理水が流入した場合には、粒状のシーディング剤が槽内の被処理水と十分に接触しないまま槽外に流出し、シーディング剤の効果が低減する場合がある。したがって、粒状のシーディング剤は、何らかの方法を用いて固形化することが好ましい。
本発明に係るシーディング剤を固形化する方法は、例えば本出願の発明者らによる特許文献4に記載の技術を用いることができる。特許文献4に記載の技術は、以下の工程を含む。まず、本発明に係る粒状のシーディング剤に所定量の結着剤を添加する。結着剤として、例えば、米ぬか、米粉、でんぷん、小麦粉などを用いることができる。次に、結着剤を添加して混練したシーディング剤に水を加える。結着剤及び水の添加量は、粒状のシーディング剤の水分量に応じて適宜選択されるが、例えば、結着剤は、シーディング剤に対して約5重量%〜約10重量%を加えることが好ましく、水は、シーディング剤に結着剤を加えたものに対して約25重量%〜27.5重量%を加えることが好ましい。水を添加する際には、複数回例えば15〜30回に分けて添加することが好ましく、水を添加する毎にシーディング剤と水とが均一になるように混練することが好ましい。
次に、添加剤及び水が添加されたシーディング剤は、型枠に入れられ、所定の圧力で加圧される。加圧の際の圧力は、約15kg/cm〜約50kg/cmであることが好ましい。こうして、崩れにくく、硬さが均一で、カビが発生しにくく、さらに処理槽への投入後120〜170時間程度で溶解する程度の硬度を有する、固形化されたシーディング剤を得ることができる。
(シーディング剤の製造)
原材料として、標準活性汚泥方式を採用した下水道終末処施設から排出された脱水汚泥に、牛糞、種資材、木材チップを加えたものを用いた。それぞれの混合量は、脱水汚泥50重量%、牛糞20重量%、種資材10重量%、木材チップ20重量%とした。原材料の含水率は65重量%であった。種資材は、有機性廃棄物を発酵させた堆肥を用いた。種資材には、複数種類のバクテリア、放線菌類が混入していたが、これらは、何らかの特定の特徴をもつ微生物群として意図的に管理したものではない。原材料を、マニュアルスプレッダを用いて混合し、混合した原材料を、発酵槽に投入した。発酵槽は、大きさが縦4.9m×横3.8m×高さ3.0m、原材料に空気を供給するための送風管が底壁に5本埋設されたものを用い、この発酵槽に、15tの原材料を堆積させた。
上述の原材料の温度を、送風管からの空気供給量を調整しながら、70℃を超えるまで上昇させた。温度が70℃を超えた後、空気供給量を減少させて発酵を維持した。その後、夏季においては、原材料の温度が70℃を下回るか、又は温度が70℃に維持されたまま約1週間が経過した後、冬季においては、原材料の温度が70℃を下回るか、又は温度が70℃に維持されたまま10〜14日程度が経過した後、原材料を同様の大きさ及び構造の別の発酵槽に移すことによって、切り返しを行った。切り返し後、空気供給量を調整しながら、再び原材料の温度を70℃を超えるまで上昇させ、上記と同様のタイミングで、2度目の切り返しを行った。ここまでが、第1の発酵工程に相当する。
第1の発酵工程後、すなわち2度目の切り返し後、空気供給量を調整しながら、原材料の温度を50℃を超える温度まで上昇させ、その状態で発酵を維持した。夏季においては、原材料の温度が50℃を下回るか、又は温度が50℃に維持されたまま約1週間が経過した時点で、冬季においては、原材料の温度が50℃を下回るか、又は温度が50℃に維持されたまま10〜14日程度が経過した時点で、発酵工程を終了した。ここまでが、第2の発酵工程に相当する。この時点で、原材料の重量は、約9tとなった。
図2は、こうした発酵管理を行って実際に原材料を発酵させたときの夏季及び冬季の代表的な温度プロフィールを示す。
次に、発酵工程が終了した原材料を徐々に乾燥させた。このときの含水率は、57〜59重量%であった。切り返しを行いながら、1.0〜5.0m/秒程度の供給率で6〜9時間/日、約4週間にわたって常温の空気を原材料に供給することによって、原材料の含水率を約50%以下まで低下させた。この間、必要に応じて、原材料の一部を天日によって自然乾燥させ、それを原材料に戻すことによって、水分の蒸発を促した。ここまでが、第1の乾燥工程に相当する。
次いで、含水率が50%以下まで低下した原材料を10mmの篩いにかけて、完全には分解していない木材チップを除去した。木材チップ除去後の原材料の重量は、約5tとなった。
篩い後の原材料(すなわち、残存していた木材チップを除去したもの)を、平型乾燥機からの50℃の温風によって、含水率が20%以下になるまで乾燥させた。乾燥に要した時間は、24時間〜72時間であった。
(シーディング剤に含まれる微生物の分析結果)
図3には、こうして製造されたシーディング剤に含まれる微生物の種類を分析した結果を示す。微生物の種類の分析は、含まれる細菌類に着目し、16SrDNAクローンライブラリ法を用いて行った。クローンライブラリは、大腸菌の16SrDNAの9F−1541R(PCRプライマー9F:GAGTTTGATCCTGGCTCAG、及び、1541R:AAGGAGGTGATCCAGC)に相当する領域をプラスミドベクターに組み込むことより構築した。微生物の種類は、該当16SrDNA断片の9Fから約300−500bpの塩基配列の情報を元に、DDBJにより提供されているBLAST検索システム(DDBJ:http://blast.ddbj.nig.ac.jp/blast/blastn?lang=ja)を利用して見積もった。図3から、本発明に係るシーディング剤には、4つの属のグラム陽性菌が、併せて71.8%含まれていることがわかる。
(乾燥工程の違いによる微生物種の相違の分析結果)
本発明の特徴は、発酵工程終了後に原材料を乾燥する工程を2段階に分け、原材料を、時間をかけて所定の範囲の含水率まで徐々に乾燥させ、次いでより短い時間で所定の範囲の含水率まで急速に乾燥させることである。そこで、本発明の特徴による効果を実証することを目的として、乾燥工程の違いによって含まれる細菌種にどのような違いが現れるか分析を行った。発酵後の以下の各々の時点(A〜D)における4つのサンプルについて、各々を人工汚水培地で20℃、24時間、震盪培養し、細菌の種類を分析した。すなわち、4つのサンプルをシーディング剤として用いたときに出現する細菌種の差を確認した。細菌の種類の分析方法は、図3の場合と同様である。下記サンプル(D)が、本発明に係る製造方法によって製造されたシーディング剤に相当する。
(A)発酵終了時点のサンプル(含水率59%)
(B)発酵終了時点のサンプル(A)を約2週間かけて含水率50%以下になるまで乾燥させたもの
(C)発酵終了時点のサンプル(A)を、50℃、24時間で含水率20%以下になるまで乾燥させたもの
(D)上記サンプル(B)を、50℃、24時間で含水率20%以下になるまで乾燥させたもの
図4は、それぞれのサンプルをシーディング剤として用いたときに出現した菌種の分析結果を示す。サンプル(A)は、グラム陰性菌が全体の84%を占めており、グラム陽性菌はわずか12%であった。サンプル(A)を徐々に乾燥させたものに相当するサンプル(B)では、グラム陽性菌が優位に発生し、全体の43%を占めている。サンプル(D)、すなわち、発酵終了後、約2週間かけて含水率を50%以下になるまで低下させ(本発明に係る第1の乾燥工程に相当)、その後24時間で含水率20%以下になるまで低下させた(本発明に係る第2の乾燥工程に相当)ものは、グラム陽性菌が優先的に発生し、グラム陰性菌は発生しなかった。これは、第2の乾燥工程において、第1の工程で胞子形成された菌以外の不要な菌が分解された結果と考えることができる。一方、サンプル(C)、すなわち、発酵終了後、24時間で含水率20%以下になるまで急速に低下させたものは、本発明に係る第1の乾燥工程を経ておらず、バチルス属菌の発生が極めて少ない(6%)だけでなく、シュードモナス属菌が極めて多く発生(69%)した。これらの結果から、排水処理施設において有効に機能する有用微生物であるグラム陽性菌を多種類かつ多量に含むシーディング剤を製造するためには、発酵後の原材料を時間をかけて徐々に乾燥させる第1の乾燥工程と、さらに急速に乾燥させる第2の乾燥工程とをいずれも含む製造方法が極めて有効であることが分かる。
(微生物群の多様性の分析結果)
本発明に係る製造方法によって製造されたシーディング剤を汚水に投入したときに、汚水に含まれる成分によって、出現する細菌群にどのような違いが現れるか分析を行った。図5に示されるA〜Jまでの11種類の人工汚水の各々に、本発明に係る製造方法によって製造されたシーディング剤の1%懸濁液(滅菌蒸留水に対して)を、汚水量の100分の1の量を投入し、三角フラスコにて27℃、120rpmで5日間震盪培養した。培養後、培養液から細菌群の分析試料を採取した。
出現する微生物の種類の分析は、試料中の細菌類に着目し、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(PCR−DGGE法:アクリルアミドゲル勾配:8→10%、変性剤濃度勾配:20→50%、泳動:0.5×TAE、200V、3.5h)により、細菌の16SrDNAのV3領域をターゲットとして行われた。PCRプライマーは、GC−341f(5’− GC clamp−CCTACGGGAGGCAGCAG−3’)及び517r(5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’)を用いた。
分析の結果、図5に示されるように、汚水の種類に応じて出現する細菌群が異なることが観察された。このことから、本発明に係るシーディング剤は、微生物多様性が高く、様々な排水条件の処理施設に適用可能であることがわかる。

Claims (10)

  1. シーディング剤を製造するための方法であって、
    有機性廃棄物と補助材料とを含む原材料を、少なくとも1回50℃以上の温度にした後に少なくとも5日が経過するか又は切り返しを行っても温度が50℃以上にならなくなるまで、好気発酵させる、発酵工程と、
    前記発酵工程後の発酵された原材料を、切り返しを行いながら空気を供給することによって、含水率が発酵直後の含水率より低い値から40%までの範囲に入るまで、少なくとも2週間にわたって乾燥させる、第1の乾燥工程と、
    前記第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、含水率が40%より低くなるまで、前記第1の乾燥工程に要した時間より短い時間でさらに乾燥させる、第2の乾燥工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記第2の乾燥工程において、前記第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、前記第1の乾燥工程に要した時間の半分より短い時間で乾燥させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の乾燥工程において、前記第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、温風を用いて乾燥させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の乾燥工程において、前記発酵工程後の発酵された原材料を、含水率が50%以下になるまで乾燥させ、前記第2の乾燥工程において、前記第1の乾燥工程後の乾燥された原材料を、含水率が20%以下になるまでさらに乾燥させることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記第1の乾燥工程において、発酵された原材料に含まれる微生物の胞子形成が行われることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記第2の乾燥工程において、前記第1の乾燥工程で胞子形成された微生物以外の微生物が分解されることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記発酵工程は、
    原材料の発酵温度を、70℃以上の温度まで、少なくとも2回上昇させる第1の発酵工程と、
    前記第1の発酵工程後の原材料の発酵温度を、50℃以上の温度まで、少なくとも1回上昇させる第2の発酵工程と、
    を含むことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記第2の乾燥工程前に、前記第1の乾燥工程後の原材料から残存する補助材料を除去する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記有機性廃棄物は、下水汚泥、家畜糞尿、及び食品系廃棄物のうちのいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の方法によって製造されたシーディング剤を型に入れて押し固めることによって得られたことを特徴とする固形シーディング剤。

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