JPH0959081A - 汚泥処理法 - Google Patents
汚泥処理法Info
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- JPH0959081A JPH0959081A JP23469095A JP23469095A JPH0959081A JP H0959081 A JPH0959081 A JP H0959081A JP 23469095 A JP23469095 A JP 23469095A JP 23469095 A JP23469095 A JP 23469095A JP H0959081 A JPH0959081 A JP H0959081A
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- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/10—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
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- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W10/00—Technologies for wastewater treatment
- Y02W10/20—Sludge processing
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- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
- Treatment Of Sludge (AREA)
- Fertilizers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 生汚泥の雑菌を死滅させ、肥料成分として有
用な菌のみを残存させ、発酵産物を肥料成分に好適なも
のとするよう、生汚泥を有機肥料化する。 【解決手段】 生汚泥を火山地帯の土壌から得られ、85
℃以上の温度で生育するバチルス属に属する好気性菌の
菌体培養物と混合し、85℃以上の温度で好気性条件下で
発酵させて生汚泥を有機肥料化することよりなる汚泥処
理法。バチルス属に属する好気性菌として、FERM P-150
85, FERM P-15086, 及びFERMP-15087が用いられる。 【効果】 雑菌で死滅し、肥料成分として有用な菌のみ
が多数残存する。また、発酵産物が肥料成分に好適なも
のとなり、滅菌もされるので有用な有機肥料として用い
られる。
用な菌のみを残存させ、発酵産物を肥料成分に好適なも
のとするよう、生汚泥を有機肥料化する。 【解決手段】 生汚泥を火山地帯の土壌から得られ、85
℃以上の温度で生育するバチルス属に属する好気性菌の
菌体培養物と混合し、85℃以上の温度で好気性条件下で
発酵させて生汚泥を有機肥料化することよりなる汚泥処
理法。バチルス属に属する好気性菌として、FERM P-150
85, FERM P-15086, 及びFERMP-15087が用いられる。 【効果】 雑菌で死滅し、肥料成分として有用な菌のみ
が多数残存する。また、発酵産物が肥料成分に好適なも
のとなり、滅菌もされるので有用な有機肥料として用い
られる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、生汚泥、動物糞
等、特に都市廃水から得られた汚泥に85℃以上の温度で
生育する菌体培養物を作用させて発酵処理する方法に関
する。また、本発明は、この処理方法に用いられて好適
な好気性菌またはこれらの混合菌体に関する。本発明の
方法で処理された発酵汚泥は、有機肥料として有用に利
用される。
等、特に都市廃水から得られた汚泥に85℃以上の温度で
生育する菌体培養物を作用させて発酵処理する方法に関
する。また、本発明は、この処理方法に用いられて好適
な好気性菌またはこれらの混合菌体に関する。本発明の
方法で処理された発酵汚泥は、有機肥料として有用に利
用される。
【０００２】
【従来の技術】従来、家畜糞、し尿、汚泥、都市ごみ等
の有機質廃棄物から肥料を製造する方法はよく知られて
いる。例えばこれらの廃棄物に好熱性微生物を作用させ
てこれを好気的に発酵させ、無臭化乾燥させ堆肥に変成
させる方法がある。そして、このような好熱性微生物と
してサーモアクチノミセス属またはサーモモノスポラ属
に属する好熱性放射菌を用いる方法（特開昭55-121992
号公報) 、バチルス菌、乳酸生成菌等の好熱好気性芽胞
形成菌混合物を用いる方法 (特開昭51-129759 号公報)
、リグニン可溶化能を有するサーマスアクティクス属
(Thermusaguaticusbiovar) を用いる方法 (特開平6-105
679号公報) あるいはさらに好気性繊維分解菌クロスト
リジュウム サーモセルム(Clostridium thermocellu
m) を用いる方法 (特開平6-191977号公報) 等が知られ
ている。また、上記のような有機質廃棄物を好熱菌によ
って発酵させ、これに甲殻類、昆虫類、軟体動物の生
体、皮殻、加工残滓などを混合し、これにヘテロトロフ
属の土壌細菌を作用させて空気を吹き込みながら発酵処
理することよりなるキトサンを豊富に富む有機質発酵肥
料の製造法も知られている (特開平3-228888号公報参
照) 。しかし、これらの方法では発酵時には発酵熱によ
り発酵温度が70℃以上に上昇するものの、その温度はせ
いぜい80℃にとどまり、雑菌、特に芽胞形成性雑菌を死
滅させることはできなかった。また得られる肥料中の有
用な菌体数もせいぜい1g当り (肥料乾物) １億前後であ
って肥料として使用したときに肥効作用を充分発揮させ
ることができないものであった。また、牛糞等動物の糞
を発酵原料に使用したときはそのなかに混在する草の種
子等を完全に死滅させることができず、肥料として用い
たとき雑草を生じさせる原因となっていた。
の有機質廃棄物から肥料を製造する方法はよく知られて
いる。例えばこれらの廃棄物に好熱性微生物を作用させ
てこれを好気的に発酵させ、無臭化乾燥させ堆肥に変成
させる方法がある。そして、このような好熱性微生物と
してサーモアクチノミセス属またはサーモモノスポラ属
に属する好熱性放射菌を用いる方法（特開昭55-121992
号公報) 、バチルス菌、乳酸生成菌等の好熱好気性芽胞
形成菌混合物を用いる方法 (特開昭51-129759 号公報)
、リグニン可溶化能を有するサーマスアクティクス属
(Thermusaguaticusbiovar) を用いる方法 (特開平6-105
679号公報) あるいはさらに好気性繊維分解菌クロスト
リジュウム サーモセルム(Clostridium thermocellu
m) を用いる方法 (特開平6-191977号公報) 等が知られ
ている。また、上記のような有機質廃棄物を好熱菌によ
って発酵させ、これに甲殻類、昆虫類、軟体動物の生
体、皮殻、加工残滓などを混合し、これにヘテロトロフ
属の土壌細菌を作用させて空気を吹き込みながら発酵処
理することよりなるキトサンを豊富に富む有機質発酵肥
料の製造法も知られている (特開平3-228888号公報参
照) 。しかし、これらの方法では発酵時には発酵熱によ
り発酵温度が70℃以上に上昇するものの、その温度はせ
いぜい80℃にとどまり、雑菌、特に芽胞形成性雑菌を死
滅させることはできなかった。また得られる肥料中の有
用な菌体数もせいぜい1g当り (肥料乾物) １億前後であ
って肥料として使用したときに肥効作用を充分発揮させ
ることができないものであった。また、牛糞等動物の糞
を発酵原料に使用したときはそのなかに混在する草の種
子等を完全に死滅させることができず、肥料として用い
たとき雑草を生じさせる原因となっていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は汚泥処理
におけるこれらの問題に着目し、85℃以上、好ましく
は、95℃以上の高温で汚泥を発酵処理して雑菌や草種子
等を死滅させ、汚泥を殺菌して清浄化し、しかも有用な
生菌体を多数含む発酵物を得るべき検討を行なった。特
に、このような85℃以上の高温で汚泥を発酵させ、しか
も肥料中で有用に作用する微生物を見出すべく微生物源
の探索を行なった。その結果、霧島火山帯の土壌とその
付近の水田の土壌から、このような菌体を見出しこれを
汚泥に加えて発酵処理させると85℃以上の高温で発酵さ
せることができ、汚泥を品質の高い有機質発酵肥料に変
換できることを見出して本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、汚泥を特定の好熱菌の培養物を用い
て85℃以上の温度で発酵処理して汚泥を分解するととも
にそのなかに生育している雑菌、種子等を死滅させて殺
菌し、有用な細菌を多数生育せしめる汚泥処理方法を提
供することを目的とする。また、本発明は、このような
方法で発酵処理された有用な菌体を多数含有する清浄な
汚泥を有機肥料とする方法を提供することを目的とす
る。さらに、本発明は、このような発酵に関与する有用
な菌体を提供することを目的とする。
におけるこれらの問題に着目し、85℃以上、好ましく
は、95℃以上の高温で汚泥を発酵処理して雑菌や草種子
等を死滅させ、汚泥を殺菌して清浄化し、しかも有用な
生菌体を多数含む発酵物を得るべき検討を行なった。特
に、このような85℃以上の高温で汚泥を発酵させ、しか
も肥料中で有用に作用する微生物を見出すべく微生物源
の探索を行なった。その結果、霧島火山帯の土壌とその
付近の水田の土壌から、このような菌体を見出しこれを
汚泥に加えて発酵処理させると85℃以上の高温で発酵さ
せることができ、汚泥を品質の高い有機質発酵肥料に変
換できることを見出して本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、汚泥を特定の好熱菌の培養物を用い
て85℃以上の温度で発酵処理して汚泥を分解するととも
にそのなかに生育している雑菌、種子等を死滅させて殺
菌し、有用な細菌を多数生育せしめる汚泥処理方法を提
供することを目的とする。また、本発明は、このような
方法で発酵処理された有用な菌体を多数含有する清浄な
汚泥を有機肥料とする方法を提供することを目的とす
る。さらに、本発明は、このような発酵に関与する有用
な菌体を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するためになされたものであって、生汚泥に、
火山地帯の土壌から得られた85℃以上の温度が生育する
バチルス属(Bacillus)に属する細菌培養物を加えて混合
し、通気発酵させて発酵温度を85℃以上に高め、汚泥中
に含有される雑菌、種子を死滅させて汚泥を清浄化し、
有用な菌体のみを多数含有する汚泥処理物を得る方法に
関する。また、本発明はこのようにして得られた汚泥処
理物を有機肥料として用いる方法に関する。さらに、本
発明は、このような処理に用いられる有用な細菌に関す
る。本発明におけるバチルス属に属し、85℃以上の温度
で生育する好気性菌培養物は、鹿児島県姶良郡牧園町の
霧島火山帯の37〜40℃の硫黄地帯の土壌と同郡の青苔の
生育している水田の土壌とを混合し、この混合物に蔗糖
水溶液を加えて40〜60℃で３〜１５日間発酵させる。次
に、このようにして発酵させたものを生汚泥と混合して
好気的に発酵させる。そして85℃以上の温度で発酵する
培養物を選択的に採取することによって得ることができ
る。本発明における汚泥は、いわゆる都市廃水 (下水)
のスラッジばかりではなく、家畜糞、家禽糞、し尿、都
市ゴミ等をも包含する。本発明ではこれらのものを汚泥
という。
題を解決するためになされたものであって、生汚泥に、
火山地帯の土壌から得られた85℃以上の温度が生育する
バチルス属(Bacillus)に属する細菌培養物を加えて混合
し、通気発酵させて発酵温度を85℃以上に高め、汚泥中
に含有される雑菌、種子を死滅させて汚泥を清浄化し、
有用な菌体のみを多数含有する汚泥処理物を得る方法に
関する。また、本発明はこのようにして得られた汚泥処
理物を有機肥料として用いる方法に関する。さらに、本
発明は、このような処理に用いられる有用な細菌に関す
る。本発明におけるバチルス属に属し、85℃以上の温度
で生育する好気性菌培養物は、鹿児島県姶良郡牧園町の
霧島火山帯の37〜40℃の硫黄地帯の土壌と同郡の青苔の
生育している水田の土壌とを混合し、この混合物に蔗糖
水溶液を加えて40〜60℃で３〜１５日間発酵させる。次
に、このようにして発酵させたものを生汚泥と混合して
好気的に発酵させる。そして85℃以上の温度で発酵する
培養物を選択的に採取することによって得ることができ
る。本発明における汚泥は、いわゆる都市廃水 (下水)
のスラッジばかりではなく、家畜糞、家禽糞、し尿、都
市ゴミ等をも包含する。本発明ではこれらのものを汚泥
という。
【０００５】このようにして得られるバチルス属菌体培
養物からは、中温性好気性芽胞菌、高温性好気性芽胞菌
及び好熱菌が多数分離され、これらが本発明の生汚泥を
高温度で発熱発酵させ肥料化させる作用を奏するものと
判断される。すなわち、本発明における前記汚泥発酵物
中に介在する主な微生物について検索を行なった。ま
ず、各種培地を用いて検体の生菌数を測定した。その結
果を表１に示す。
養物からは、中温性好気性芽胞菌、高温性好気性芽胞菌
及び好熱菌が多数分離され、これらが本発明の生汚泥を
高温度で発熱発酵させ肥料化させる作用を奏するものと
判断される。すなわち、本発明における前記汚泥発酵物
中に介在する主な微生物について検索を行なった。ま
ず、各種培地を用いて検体の生菌数を測定した。その結
果を表１に示す。
【０００６】
【表１】 汚泥発酵物１ｇ当りの生菌数 ─────────────────────────────────── 寒 天 培 地 培 養 対 象 菌 1g当りの 生菌数 ──────────────────────────────────── 抗真菌剤加 SCD 30℃ 3日間 好気 好気性細菌 9.9×108 抗真菌剤加 SCD 55℃ 3日間 好気 高温性細菌 8.4×107 抗真菌剤加 SCD 30℃ 3日間 好気 耐熱性芽胞* 2.8×107 D H L 35℃ 1日間 好気 腸内細菌 100以下 抗真菌剤加 CVT 30℃ 3日間 好気 グラム陰性菌 100以下 抗真菌剤加 コロンビア CNA 30℃ 3日間 好気 グラム陽性菌 2.8×106 抗真菌剤加 MRS 30℃ 3日間 嫌気 乳 酸 菌 100以下 抗真菌剤加 ゲンタマイシン加 GAM 35℃ 3日間 嫌気 嫌気性細菌 100以下 抗真菌剤加アルブミン 30℃ 14日間 好気 中温性放射菌 1.1×103 抗真菌剤加アルブミン 55℃ 14日間 好気 高温性放射菌 6.0×102 糸 状 菌 100以下 クロラム 25℃ 7日間 好気 ───────────── フェニコール加 PD 酵 母 100以下 ──────────────────────────────────── * ただし、80℃、10分間の加熱処理を行った後、試験した。
【０００７】表１に示すように汚泥発酵物には、好気性
細菌をはじめ、高温性細菌、耐熱性芽胞を中心として汚
泥発酵物グラム当り約10億の細菌を含んでいた。次に、
前記培養において培養平板上に優勢に生育した集落を鈎
菌して分離菌とし、その分離菌について形態観察などを
行なった。その性状から介在微生物を判定した。その結
果を表２に示す。
細菌をはじめ、高温性細菌、耐熱性芽胞を中心として汚
泥発酵物グラム当り約10億の細菌を含んでいた。次に、
前記培養において培養平板上に優勢に生育した集落を鈎
菌して分離菌とし、その分離菌について形態観察などを
行なった。その性状から介在微生物を判定した。その結
果を表２に示す。
【０００８】
【表２】 汚泥発酵物中の主な介在微生物 ────────────────────────────── 分 離 菌 群 １ｇ当たりの概数 ────────────────────────────── 多形性、無芽胞グラム陽性桿菌 7×108 好気性芽胞菌 中温性 3×108 高温性 8×107 カタラーゼ陽性のグラム陽性球菌 1×107 放線菌 中温性 1×103 高温性 6×102 ──────────────────────────────
【０００９】この表に示されるように多形性、無芽胞グ
ラム陽性桿菌、好気性芽胞菌 (中温性及び高温性) が主
に介在していることが判明した。また、一方、Ｒ＆Ｄプ
ランニング発行 山里一英他３名編「微生物の分離法」
の記載を参考にして好熱菌の測定を行なった。その結果
を表３に示す。なお、好熱菌の優勢菌は好気性芽胞菌
（高温性）であった。
ラム陽性桿菌、好気性芽胞菌 (中温性及び高温性) が主
に介在していることが判明した。また、一方、Ｒ＆Ｄプ
ランニング発行 山里一英他３名編「微生物の分離法」
の記載を参考にして好熱菌の測定を行なった。その結果
を表３に示す。なお、好熱菌の優勢菌は好気性芽胞菌
（高温性）であった。
【００１０】
【表３】 好熱菌の測定結果 ───────────────────────── 液体培地 培 養 結 果 ───────────────────────── Ａ培地 70℃、3 日間 陽性／0.1 g Ｂ培地 70℃、3 日間 陽性／0.01g ─────────────────────────
【００１１】Ａ培地は、基礎塩溶液にペプトン 0.1％及
び酵母エキス 0.1％を加え、pH7.5に調整した培地であ
り、またＢ培地は、基礎塩溶液にペプトン 0.8％、酵母
エキス 0.4％及びNaCl 0.3％を加え、pH7.5 に調整した
培地である。
び酵母エキス 0.1％を加え、pH7.5に調整した培地であ
り、またＢ培地は、基礎塩溶液にペプトン 0.8％、酵母
エキス 0.4％及びNaCl 0.3％を加え、pH7.5 に調整した
培地である。
【００１２】さらに、上記微生物の検索において優勢に
分離された中温性好気性芽胞菌（分離菌a)（表２参
照）、高温性好気性芽胞菌 (分離菌b)（表２参照）及び
好熱菌 (分離菌c)（表３参照）について形態観察、生理
学的性状試験及び菌体内のＤＮＡのＧＣ含量の測定を行
なった。その結果を表４及び表５に示す。
分離された中温性好気性芽胞菌（分離菌a)（表２参
照）、高温性好気性芽胞菌 (分離菌b)（表２参照）及び
好熱菌 (分離菌c)（表３参照）について形態観察、生理
学的性状試験及び菌体内のＤＮＡのＧＣ含量の測定を行
なった。その結果を表４及び表５に示す。
【００１３】
【表４】
【００１４】
【表５】
【００１５】この結果に基づいて"Bergey's Manual of
Systematic Bacteriology" 第２巻(1986年) 及び U.S.
Department of Agriculture 発行 R.E. Gordon他著 "T
heGenus Bacillus"(1973年) を参考にして同定を行なっ
た。分離菌a は、上記文献に記載されているいずれの種
とも性状が一致せず、種の確定には至らなかった。分離
菌b は、ややアルカリ性(pH8.0〜8.5)の培地で良好な生
育を示し、pH7.0では生育しないが、その他の性状試験
結果からBacillus badius や B.brevis に近い種と思わ
れた。しかし、どちらとも非典型となる性状があり種の
確定には至らなかった。上記 Bergey's Manualに記載さ
れている B.badius 及びB.brevisの性状を表５に併せて
示した。また、分離菌ｃは、バチルス ステロサーモフ
ィルスと (Bacillus stearothermophilus) と菌学的性
状が一致し同種であると同定された。これらの分離菌
は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されてお
り、分離菌ａは、YM-01 受託番号 FERM P-15085,分離菌
ｂはYM-02 受託番号 FERM P-15086,分離菌ｃはYM-03 受
託番号FERM P-15087とそれぞれ受託番号が付されてい
る。
Systematic Bacteriology" 第２巻(1986年) 及び U.S.
Department of Agriculture 発行 R.E. Gordon他著 "T
heGenus Bacillus"(1973年) を参考にして同定を行なっ
た。分離菌a は、上記文献に記載されているいずれの種
とも性状が一致せず、種の確定には至らなかった。分離
菌b は、ややアルカリ性(pH8.0〜8.5)の培地で良好な生
育を示し、pH7.0では生育しないが、その他の性状試験
結果からBacillus badius や B.brevis に近い種と思わ
れた。しかし、どちらとも非典型となる性状があり種の
確定には至らなかった。上記 Bergey's Manualに記載さ
れている B.badius 及びB.brevisの性状を表５に併せて
示した。また、分離菌ｃは、バチルス ステロサーモフ
ィルスと (Bacillus stearothermophilus) と菌学的性
状が一致し同種であると同定された。これらの分離菌
は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されてお
り、分離菌ａは、YM-01 受託番号 FERM P-15085,分離菌
ｂはYM-02 受託番号 FERM P-15086,分離菌ｃはYM-03 受
託番号FERM P-15087とそれぞれ受託番号が付されてい
る。
【００１６】本発明の汚泥処理法は、先ず前記のような
生汚泥を菌体培養物と混合する、混合比率は、生汚泥70
〜80重合部に対し菌体培養物30〜20重量部が望ましい。
この混合物を発酵ヤードに入れて空気を吹き込みながら
放置して好気的発酵を行なう。このようにすると、最初
常温であった混合物が１日乃至数日後には85℃以上の温
度となる。この温度に２〜５日間程度放置して発酵さ
せ、切り返しを行なう。この放置発酵及び切り返しの操
作を３〜５回行ない、約20〜50日間発酵を行なうと汚泥
がさらさらした乾燥状態のものとなる。この乾燥物を場
合によって篩別して包装する。このものは有機肥料とし
て有用である。また、上記のようにして得られた乾燥物
中には、前記したバチルス属に属する分離菌a, b及びc
が生育しているので、これを菌体培養物として循環使用
することができる。
生汚泥を菌体培養物と混合する、混合比率は、生汚泥70
〜80重合部に対し菌体培養物30〜20重量部が望ましい。
この混合物を発酵ヤードに入れて空気を吹き込みながら
放置して好気的発酵を行なう。このようにすると、最初
常温であった混合物が１日乃至数日後には85℃以上の温
度となる。この温度に２〜５日間程度放置して発酵さ
せ、切り返しを行なう。この放置発酵及び切り返しの操
作を３〜５回行ない、約20〜50日間発酵を行なうと汚泥
がさらさらした乾燥状態のものとなる。この乾燥物を場
合によって篩別して包装する。このものは有機肥料とし
て有用である。また、上記のようにして得られた乾燥物
中には、前記したバチルス属に属する分離菌a, b及びc
が生育しているので、これを菌体培養物として循環使用
することができる。
【００１７】
【発明の実施の形態】次に、本発明について実施例を挙
げて具体的に説明する。
げて具体的に説明する。
【実施例１】 (1) 菌体培養物の調製 鹿児島県姶良郡牧園町の霧島火山帯の硫黄地帯の37〜40
℃の土壌とその付近の水田の青苔の生育している土壌と
を混合し、これに蔗糖を 500〜1000倍量の水に溶解した
蔗糖水溶液を土壌混合物１m3当り３〜４L 加え、40〜60
℃で30〜50日間放置して培養する。この培養物をいくつ
かのロットに分け生汚泥と混合し、空気を吹き込みなが
ら好気的条件下で発酵させ、85℃以上の発酵温度が得ら
れるロットを菌体培養物とした。
℃の土壌とその付近の水田の青苔の生育している土壌と
を混合し、これに蔗糖を 500〜1000倍量の水に溶解した
蔗糖水溶液を土壌混合物１m3当り３〜４L 加え、40〜60
℃で30〜50日間放置して培養する。この培養物をいくつ
かのロットに分け生汚泥と混合し、空気を吹き込みなが
ら好気的条件下で発酵させ、85℃以上の発酵温度が得ら
れるロットを菌体培養物とした。
【００１８】(2) 生汚泥の処理 動物糞、下水の汚泥、澱粉カス及び生ゴミの混合物に消
石灰を加えて消臭処理し、その80重量部に前記(1) で得
られた菌体培養物20重量部を混合し、発酵槽内で通気条
件下で発酵を行なう。このようにすると発酵物が約１日
のうちに常温から85℃〜95℃に上昇する。この温度で発
酵を３日間維持し、発酵開始後５日目に切り返し（攪
拌）を行なう。切り返しにより発酵物の温度は60℃前後
に低下するが約１日のうちに温度85〜95℃に上昇する。
この温度に５日間維持して発酵を行なう。この発酵及び
切り返しの操作を数回繰り返すと切り返しのさいの温度
及び発酵温度が次第に低下する。４回この操作を繰り返
し、切り返しのさいの発酵物の温度が35℃程度に低下し
たときを最終発酵日とする。得られた発酵物は乾燥され
て茶色の顆粒状となっておりこれをそのまま有機肥料と
して用いられる。このようにして得られたものは、前記
したバチルス属の属する分離菌a, b及びc を約10億含ん
でおり、菌体培養物として本発明において反復使用する
ことができる。
石灰を加えて消臭処理し、その80重量部に前記(1) で得
られた菌体培養物20重量部を混合し、発酵槽内で通気条
件下で発酵を行なう。このようにすると発酵物が約１日
のうちに常温から85℃〜95℃に上昇する。この温度で発
酵を３日間維持し、発酵開始後５日目に切り返し（攪
拌）を行なう。切り返しにより発酵物の温度は60℃前後
に低下するが約１日のうちに温度85〜95℃に上昇する。
この温度に５日間維持して発酵を行なう。この発酵及び
切り返しの操作を数回繰り返すと切り返しのさいの温度
及び発酵温度が次第に低下する。４回この操作を繰り返
し、切り返しのさいの発酵物の温度が35℃程度に低下し
たときを最終発酵日とする。得られた発酵物は乾燥され
て茶色の顆粒状となっておりこれをそのまま有機肥料と
して用いられる。このようにして得られたものは、前記
したバチルス属の属する分離菌a, b及びc を約10億含ん
でおり、菌体培養物として本発明において反復使用する
ことができる。
【００１９】
【実施例２】牛糞30トンに実施例１(2) で得られた菌体
培養物約６トンを混合し、この混合物を発酵槽に入れ、
その底部から空気をブロアーした。発酵当初温度が30〜
35℃であったが、発酵開始後２日間は、75〜80℃、３日
間は85〜90℃に上昇した。この温度で２日間維持し発酵
温度が低下する傾向を示した時点で切り返しを行い、同
様に４日間発酵を行い、再度切り返しを行なって同様に
発酵させて黒褐色の乾燥粉体を得た。この乾燥粉体は、
有機肥料として好適であった。
培養物約６トンを混合し、この混合物を発酵槽に入れ、
その底部から空気をブロアーした。発酵当初温度が30〜
35℃であったが、発酵開始後２日間は、75〜80℃、３日
間は85〜90℃に上昇した。この温度で２日間維持し発酵
温度が低下する傾向を示した時点で切り返しを行い、同
様に４日間発酵を行い、再度切り返しを行なって同様に
発酵させて黒褐色の乾燥粉体を得た。この乾燥粉体は、
有機肥料として好適であった。
【００２０】
【実施例３】鹿児島市の公共下水道汚泥を圧搾脱水し、
水分68％となった生汚泥80重量部に対し、実施例１(2)
で得られた菌体培養物20重量部を混合し、発酵ヤードに
入れ、下から空気を吹き込みながら発酵を行なった。発
酵開始後７日で温度98℃に達した。10日間発酵を行なっ
て、発酵温度が98℃から低下し初めた時点で、切り返し
を行なって再度発酵させた。最高99℃の温度に達した
後、すなわち切り返し後10日目に温度が急速に60〜70℃
に低下した。この時点で、発酵ヤードに発酵生成物を拡
げ急速に温度を常温まで低下させ、茶色の汚泥発酵粉末
を得た。発酵ヤードのなかで図４に示すような３点で発
酵期間中の温度測定を行なった。その結果を図５に示
す。この生汚泥と汚泥発酵粉末との分析結果を表６に示
す。
水分68％となった生汚泥80重量部に対し、実施例１(2)
で得られた菌体培養物20重量部を混合し、発酵ヤードに
入れ、下から空気を吹き込みながら発酵を行なった。発
酵開始後７日で温度98℃に達した。10日間発酵を行なっ
て、発酵温度が98℃から低下し初めた時点で、切り返し
を行なって再度発酵させた。最高99℃の温度に達した
後、すなわち切り返し後10日目に温度が急速に60〜70℃
に低下した。この時点で、発酵ヤードに発酵生成物を拡
げ急速に温度を常温まで低下させ、茶色の汚泥発酵粉末
を得た。発酵ヤードのなかで図４に示すような３点で発
酵期間中の温度測定を行なった。その結果を図５に示
す。この生汚泥と汚泥発酵粉末との分析結果を表６に示
す。
【００２１】
【表６】 1) 測定条件: 温度、100 ℃; 時間、5 時間 2) 農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法」によった。ただし、乾燥 試料に対する値。 3) 測定条件: 温度、550 ℃; 恒量 4) 測定機器: CHN コーダ-MT-5 [柳本製作所（株) 製] 。ただし、70℃で 15時間乾燥したものについて試験した。 5) 乾燥試料に対する値。 この表にみられるように、生汚泥発酵粉末は、100 ℃近
くの発酵温度で処理されているにもかかわらず、一般細
菌数が16億/gに増加し、この細菌の作用により肥料とし
て有用に利用されるものと判断される。
くの発酵温度で処理されているにもかかわらず、一般細
菌数が16億/gに増加し、この細菌の作用により肥料とし
て有用に利用されるものと判断される。
【００２２】
【発明の効果】本発明の方法によると汚泥を特定の好熱
性細胞を用いて85℃以上の温度で発酵を行なうので、発
酵物が肥料成分として好適になるように発酵される。ま
た、このような高温によって雑菌、種子等が死滅し、肥
料として有用な細菌のみが多数存在し、肥料として好適
なものになる。
性細胞を用いて85℃以上の温度で発酵を行なうので、発
酵物が肥料成分として好適になるように発酵される。ま
た、このような高温によって雑菌、種子等が死滅し、肥
料として有用な細菌のみが多数存在し、肥料として好適
なものになる。
【図１】分離菌ａの顕微鏡写真を示す。
【図２】分離菌ｂの顕微鏡写真を示す。
【図３】分離菌ｃの顕微鏡写真を示す。いずれも胞子染
色したものであって、倍率が2,000 倍である。
色したものであって、倍率が2,000 倍である。
【図４】実施例３の発酵ヤードの中の汚泥発酵物の温度
測定点（，及び）を示す。１は汚泥発酵物であ
る。
測定点（，及び）を示す。１は汚泥発酵物であ
る。
【図５】実施例３の温度測定結果を示す。
Claims (6)
- 【請求項１】 生汚泥を、火山地帯の土壌から得られ85
℃以上の温度で生育する好気性菌の菌体培養物と混合
し、85℃以上の温度で好気性条件下で発酵させて生汚泥
を有機肥料化することを特徴とする汚泥処理法。 - 【請求項２】 生汚泥が都市廃水から得られる汚泥また
は動物糞である請求項１記載の処理法。 - 【請求項３】 85℃以上の温度で生育する好気性菌が、
バチルス属に属する菌体である請求項１または２記載の
処理法。 - 【請求項４】 バチルス属の属する菌体が工業技術院生
命工学工業技術研究所 受託番号 FERM P-15085, FERM
P-15086,及びFERM P-15087よりなる群から選択された少
なくとも１種またはこれらの混合菌体である請求項１〜
３のいずれかに記載の処理法。 - 【請求項５】 請求項１で処理された汚泥を有機肥料と
して用いる汚泥処理法。 - 【請求項６】 バチルス属に属する、工業技術院生命工
学工業技術研究所受託番号FERM P-15085, FERM P-15086
及びFERM P-15087よりなる群から選択された少なくとも
１種の好気性菌またはこれらの混合菌体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23469095A JP3064221B2 (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 好気性菌及びそれを用いる汚泥処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23469095A JP3064221B2 (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 好気性菌及びそれを用いる汚泥処理法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0959081A true JPH0959081A (ja) | 1997-03-04 |
| JP3064221B2 JP3064221B2 (ja) | 2000-07-12 |
Family
ID=16974905
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23469095A Expired - Lifetime JP3064221B2 (ja) | 1995-08-21 | 1995-08-21 | 好気性菌及びそれを用いる汚泥処理法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3064221B2 (ja) |
Cited By (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11319789A (ja) * | 1998-03-13 | 1999-11-24 | Denichiro Katayama | 植物性有機物の発酵乾燥／予備炭化／焼成方法、植物性有機物の発酵乾燥／予備炭化／焼成装置、高温発酵菌群及び発酵乾燥材 |
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| CN1303019C (zh) * | 2003-12-24 | 2007-03-07 | 同济大学 | 城市污水厂污泥中病原体灭活的处理方法 |
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-
1995
- 1995-08-21 JP JP23469095A patent/JP3064221B2/ja not_active Expired - Lifetime
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|---|---|
| JP3064221B2 (ja) | 2000-07-12 |
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