JP6346982B1 - ラウルテラ属の微生物の単離方法及び植物性廃棄物処理剤の製造方法並びに植物性廃棄物処理方法 - Google Patents
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以下、本発明の植物性廃棄物処理剤(以下、単に「植物性廃棄物処理剤」ということがある)について説明する。植物性廃棄物処理剤は、ラウルテラ(Raoultella)属の微生物を含有している。
ラウルテラ属の微生物は、抵抗性減弱による易感染性宿主などでは日和見感染が見られることもあるが、重篤な病原性については報告がないことから、植物性廃棄物処理剤として安全に使用することができる。
ラウルテラ属の微生物は、土壌から単離することができるが、土壌中に生息するミミズの体内から無菌的に単離することも可能である。
じゃがいも(原料):100〜150g
L−グルタミン酸−5リボヌクレオチド:1g
グルコース:10g
寒天(平板培地のみ):15〜18g
H1ポリペプトン:10g
カサミノ酸又はL−グルタミン酸−5リボヌクレオチド:1g
グルコース:5g
寒天(平板培地のみ):15〜18g
トリフェニールテトラゾウリウムクロライド(TTC)1%溶液(凍結保存可能):0.5ml/100ml
<凍結保存液>
グリセリン:10%
ペプトン:3%
水:残部
上記のラウルテラ属の微生物は、植物性廃棄物処理剤として植物性廃棄物の処理に有効である。以下、植物性廃棄物処理方法について説明する。まず、植物性廃棄物処理剤を植物性廃棄物に投与する(投与工程)。植物性廃棄物処理剤は、植物性廃棄物に散布などの方法で投与することができる。投与後は適宜撹拌などを行ってもよい。
土面に穴を作り野菜やその他の屑を山盛りに入れ、ミミズを乗せて遮光した。この状態で14日ミミズを飼育したのち、ミミズを採取した。次に、採取したミミズの表面をアクリノール液P殺菌消毒剤使用の方法で充分に滅菌し、頭部、上部、下部及び尻部を無菌的にメスで切断し、各部位内容物は、滅菌白金耳で取得し、平板培地で培養した。
よく水洗いしたじゃがいも100gを細切し、少量の水を加えてミキサーで処理し、ネットでろ過しよく絞り静置してデンプンを沈降させた。その上澄みを取得し、5質量%のこはく酸でpH6.0に補正し、グルコース10g、L−グルタミン酸1g、5’−リボヌクレオチド1gを添加して培養液とした。さらに、この培養液に寒天15gを加え、pH5.5とした。得られた培地を120℃で15分滅菌し、プレートに分注し、冷却固化して平板培地を作成した。
H1ポリペプトン10g、カサミノ酸1g(Difco社)、グルコース5g、水1000gを混合し、pH5.5とした培養液を得た。液体培地の場合は、この培養液を120℃で15分滅菌した。平板培地の場合は、この培養液に寒天15gを加え、得られた培地を120℃で15分滅菌した。トリフェニールテトラゾウリウムクロライド(TTC)は、別途フィルター除菌した1%TTC溶液を用意しておき、平板培地・液体培地とも、滅菌後の培養液に、100mlあたり0.5mlとなるように加えた。平板培地の場合、TTC添加後の培地をプレートに分注し、冷却固化した。
TTC液体培地2mlの滅菌試験管に、3種の野菜の葉(キャベツ、レタス2種類)をオキシドールでよく洗浄したのち水洗いしたものを入れ、分離菌株を液層に接種した。各菌株接種し室温4日間で野菜の分解が確認された(図2)。図中、1は対照(コントロール)、2、3、4、5はそれぞれミミズの頭部、中部、下部、尻部から抽出した細菌叢を使用した試験結果である。それぞれを平板培地に培養して各集落を確認したところ、いずれのサンプルからもラウルテラ属の微生物の集落が形成された。
ラウルテラ属の微生物の集落の1つを白金耳で取得してTTC培地(液体)で30度、2日間培養した。同様に他の集落も培養し、3種類のサンプル(3/4TTC1、3/4TTC2、3/4TTC3)を取得した。
<菌株の凍結保存液>
グリセリン:10%(10g)
ペプトン:3%(3g)
水:90ml
上記凍結保存液内にて本菌の保存を行った。
分離集落及び培養液をスライドガラスに塗株し、乾燥したのち火焔固定し染色液(メチレンブルー)を滴下、乾燥し水洗いするとねばねばした菌株のためか定着せずに流出した。1枚のスライドガラス2か所に菌株を塗株し、乾燥したものを、一方は水洗いしたがやはり流出したので、一方は染色そのままで観察した(図3)。この図において、(a)は実施例においてラウルテラ属の微生物を染色した状態を示す写真、(b)は(a)の一部の拡大写真である。その結果、菌株がメチレンブルーで染色され、桿状細胞が確認された。なお、培養液をそのままスライドガラスに塗株して染色しても同様の染色像が観察された。
発育した集落及び菌糸状容態を染色するために、ホルムアルデヒドを注入して固定化を行ったが固定できなかった。そこで、平板培地に染色液を注入して培地全体を染色し、のち水洗いして染色液を除き乾燥すると、全面に菌糸状容態が発育していることが確認された。
TTC培養液の3つのサンプル(3/4TTC1、3/4TTC2、3/4TTC3)に対して、0.45μmのミニザルトフィルター(Minisart Filter)を使用し、それぞれ2回ろ過したが、いずれも集落が形成された。これは、一般に、細菌は、0.45μmフィルターを通過しないのが常識であるが、この細菌は様々な状態の菌糸状容態となることから、フィルターを通過できたと考えられる。また、平板培地内部についてカットして取り出して染色像を確認したところ、菌糸状容態が培地内部にも発育増殖していることがわかった。
TTC培養液の3つのサンプル(3/4TTC1、3/4TTC2、3/4TTC3)について微生物種の特定を行った。それぞれのサンプルよりPrepMan(登録商標) Ultra Reagent (Life Technologies社製)を用いてDNAを抽出し、PCR反応用DNAテンプレートとした。FAST MicroSeqR 500 16S rDNA PCR Kit(Life Technologies社製)により、16S rDNAの5’末端領域500bpをPCR反応で増幅させた。得られたPCR反応産物は、FastGene(登録商標) Gel/PCR Extraction Kit(日本ジェネティックス社製)を用いて精製したのち、NanoDrop ND−1000 Spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて濃度を測定した。
得られた塩基配列(配列番号1)を用いて、データベース(MMIDDB)及びMicroSEQ(登録商標)データベースを用いた相同性検索を行い、表1の結果が得られた。
3種の葉(キャベツ、レタス2種類)50gに試験群にTTC培養液(3/4TTC1)1mlを入れ、よく混合した。この状態で4日保管したところ、葉がある程度分解したことが確認された(図4)。分解物のにおいを確認したところ、臭気はほとんどなかった。これは、ラウルテラ属の微生物が発育して葉の分解を行う一方で、本微生物が圧倒的に発育しており腐敗性の細菌などよりも優位となっているためと推測される。
多孔質担体として無菌パーライトを使用し、これにTTC培養液(3/4TTC1)を混合し、植物性廃棄物処理剤を得た。生菌数1gあたり含有菌数10万以上となるようにTTC培養液の濃度を調整した。混合後は、湿度30%となるように調整して保存した。
野菜屑を厚さ15〜20cmくらいに広げ、その上に植物性廃棄物処理剤を散布した。この上に野菜屑を広げて再度植物性廃棄物処理剤を散布した。これを交互に繰り返して野菜屑を積み重ね、最後に植物性廃棄物処理剤と少量の水とを散布し、シートで覆った。
総合多糖体 23
チッソ 5
リン 4
カリ 5
Claims (7)
- ラウルテラ属の微生物を単離する方法であって、
植物性廃棄物を食料とするミミズの体内から細菌叢を取得する細菌叢取得工程と、
野菜を入れた液体培地に前記細菌叢を接種して培養する野菜培養工程と、
前記培養した後の前記液体培地を平板培地上で培養して集落を形成させる集落形成工程と、
前記集落から分離菌株を取得する分離菌株取得工程と、を備えることを特徴とするラウルテラ属の微生物の単離方法。 - 前記細菌叢取得工程における前記ミミズは、植物性廃棄物処理剤による処理対象となる植物性廃棄物に生息するミミズであることを特徴とする請求項1に記載のラウルテラ属の微生物の単離方法。
- ラウルテラ(Raoultella)属の微生物を含有する植物性廃棄物処理剤の製造方法であって、請求項1又は2に記載のラウルテラ属の微生物の単離方法を含むことを特徴とする植物性廃棄物処理剤の製造方法。
- 前記ラウルテラ属の微生物が、配列番号1に記載された塩基配列と97%以上の相同性を有する塩基配列を含む16S rDNAを有する微生物であることを特徴とする請求項3に記載の植物性廃棄物処理剤の製造方法。
- 前記ラウルテラ属の微生物が、ラウルテラ オルニチノリティカ(Raoultella ornithinolytica)、ラウルテラ プランティコラ(Raoultella planticola)から選択されることを特徴とする請求項4に記載の植物性廃棄物処理剤の製造方法。
- 前記ラウルテラ属の微生物と、パーライト、シラス、シラスバルーン、バーミキュライト、軽石及び植物炭化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の多孔質担体と、を混合することを特徴とする請求項3に記載の植物性廃棄物処理剤の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のラウルテラ属の微生物の単離方法で単離したラウルテラ属の微生物を植物性廃棄物に投与する投与工程と、
前記投与した後の植物性廃棄物を前記ラウルテラ属の微生物で分解させる分解工程と、を備えることを特徴とする植物性廃棄物処理方法。
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