JP2008189820A - 土壌改良材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】キノコ産業の廃棄物であるキノコ廃菌床を利用でき、し尿汚泥又は下水汚泥や上水汚泥を混合発酵させることで、バチルス菌の多い特殊な土壌改良材の製造方法を提供すること、更に大量・安価に製造し得て、連作障害を解決する土壌改良材の製造方法を提供すること。
【構成】バチルス菌が優占化されたし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床とを混合し、20℃〜50℃で中温発酵させることによりバチルス菌の優占化を図ることを特徴とする土壌改良材の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、土壌改良材の製造方法に関し、詳しくは微生物殺菌剤効果が強く、連作障害防止に効果的な土壌改良材の製造方法に関する。
従来、代表的な土壌細菌であるバチルス菌を優占化させて、下水やし尿などを生物処理する手法は知られており(非特許文献1)、群馬県の嬬恋村、長野原町、草津町、六合村が共同で運営するし尿処理施設「西吾妻衛生センター」では、バチルス菌を優占とする運転技術をほぼ確立している。この手法では、臭気発生を抑制したり、余剰汚泥の発生量が低下するなどの効果が認められる。
最近ではバチルス菌は、連作障害(同じ農作物を毎年作り続けることで、土壌中の微生物が偏り、土壌生態系が悪化し、これにより農作物の健全な育成が阻害されたりすること)を発生させる病原菌に対する拮抗菌としても利用されはじめている。具体的な例では、出光石油や明治製菓などで、バチルス菌を純粋培養した商品を微生物農薬として販売しているが(非特許文献2)、1kg10万円と高価なのが難点である。
連作障害の被害が多い地域(群馬県内では嬬恋村のキャベツ畑や赤城北西麓のこんにゃく畑及び太田市のヤマトイモ)では、化学肥料や農薬、ボルドー液(硫酸銅・石灰の混合液)などを大量に使用することで連作障害を防いでいるが、これは土壌中の微生物を消毒することにより土壌生態系を壊滅的に破壊すると思われ、残留農薬や河川への流出による被害も懸念される。また農作業当事者自身の健康被害も心配されている。
上記のし尿処理施設「西吾妻衛生センター」から廃棄物として排出される余剰汚泥にはバチルス菌が多く含まれ、胞子化するため、乾燥の後も生き延びることができる。また県内で大量に発生する上水汚泥はシリカ(Si)を含むシルト・粘土質が主成分だが、凝集剤由来のアルミ(Al)が多く含まれているため、土壌中の植物の成長に必要なリンと結合して、リン飢餓を起こし、畑地への有効利用ができない。
一方、キノコ産業の廃棄物であるキノコ廃菌床(例えば、オガ屑90%、フスマ5%、コーン・大豆かす5%)には、セルロースが多く含まれており、昆虫の成育に適した商品(カブト虫のマット)として販売されていたが、他の業者も参入してきて売り上げも近年減少傾向にあり、付加価値のある利用方法が無いのが現状である。
第28回日本水環境学会年会講演集、社団法人日本水環境学会、平成6年3月16日、p100〜101 ホームページ:微生物殺菌剤「ボトキラ−水和剤」: 特徴と使用法:川根太:トーメン農薬ガイドNo.91/F (1999.4.1)
そこで、本発明は、キノコ産業の廃棄物であるキノコ廃菌床を利用でき、し尿汚泥又は下水汚泥や上水汚泥を混合発酵させることで、バチルス菌の多い特殊な土壌改良材の製造方法を提供すること、更に大量・安価に製造し得て、連作障害を解決する土壌改良材の製造方法を提供することを課題とする。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
本発明者は、土壌改良材の原料として大量に用いる上水汚泥に含まれるアルミニウムが、土壌中のリンと結合して不溶化し農地でリン飢餓を起こす問題に対し、キノコの栄養として廃菌床中に大量に含まれるリンとアルミニウムとを製造過程で結合させることにより、常に利用可能なリン(ク溶性)を改良材中に残存させることで解決できることを見出し、本発明に至ったものであり、かかる本発明は以下の構成を有する。
(請求項1)
バチルス菌が優占化されたし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床とを混合し、20℃〜50℃で中温発酵させることによりバチルス菌の優占化を図ることを特徴とする土壌改良材の製造方法。
(請求項2)
前記し尿乾燥汚泥又は前記下水乾燥汚泥と、前記上水汚泥と、前記キノコ廃菌床とを、乾燥質量で、し尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥0.5〜2:上水汚泥2〜6:キノコ廃菌床3〜6の混合比で混合発酵させることを特徴とする請求項1記載の土壌改良材の製造方法。
(請求項3)
前記し尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床との混合物を、放熱性を有する有孔鋼板製箱に収容し、該有孔鋼板製箱を上昇及び反転させて他の空の有孔鋼板製箱内に落下させ、前記混合物の切り返しを行うことによって過度の昇温を抑えながら前記中温発酵させることを特徴とする請求項1又は2記載の土壌改良材の製造方法。
本発明によれば、キノコ産業の廃棄物であるキノコ廃菌床を利用でき、し尿汚泥又は下水汚泥や上水汚泥を混合発酵させることで、バチルス菌の多い特殊な土壌改良材の製造方法を提供すること、更に大量・安価に製造して、連作障害を解決する土壌改良材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の土壌改良材の製造方法は、バチルス菌が優占化されたし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床とを混合し、20℃〜50℃で中温発酵させることによりバチルス菌の優占化を図ることを特徴とするものであり、好ましくは、前記し尿乾燥汚泥又は前記下水乾燥汚泥と、前記上水汚泥と、前記キノコ廃菌床とを、乾燥質量で、し尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥0.5〜2:上水汚泥2〜6:キノコ廃菌床3〜6の混合比で混合発酵させることである。
本発明に用いるキノコ廃菌床は、キノコの菌床栽培から出た廃菌床すべてを利用することができる。キノコの人工栽培における栽培方法は原木栽培、菌床栽培、堆肥栽培の3種類に大別できる。
原木栽培は主にシイタケ栽培が代表的で、ナメコ、ヒラタケなどでも一部で行われている。樹種はナラ、クヌギが一般的で、ナメコではサクラも使用できる。
菌床栽培は現在のキノコ栽培での主流を占める。シイタケ、ナメコ、マイタケ、ブナシメジ、エノキ、エリンギなど、ほとんどのキノコで栽培されている。栽培形態は袋栽培とビン栽培に分かれ、シイタケ、マイタケは袋栽培、ナメコ、ブナシメジ、エノキ、エリンギなどはビン栽培が主流である。使用する原材料はオガ屑が主原料で、シイタケ、ナメコ、マイタケなどは広葉樹(ブナ、ナラ、クヌギ、エノキなど)を使用し、ブナシメジ、エノキ、エリンギなどは針葉樹(スギ、一部でマツも使用する)が一般的である。最近ではコーンコブ(とうもろこしの豆を取った残りの芯を粉砕したもの)をオガ屑の代用として主原料にする栽培方法も広まっている。その他の添加物としては、畜産用に出回っている飼料が安価で使いやすいので広く使用されている。内容としてはフスマ、米糠、トウモロコシ糠、大豆粕、オカラ、ビール粕、ウイスキー粕、焼酎粕、綿花粕、ダンボールの粉砕などである。混合比はキノコの種類によって異なるが、主原料のオガ屑、コーンコブ:フスマ、米糠などの栄養添加物の比は10:1〜7:3位である。
堆肥栽培ではマッシュルームが代表的で、最近では、アガリクスなども人工栽培されるようになってきている。主原料は馬糞と藁を混合させ発酵した堆肥を使用する。
本発明は、大量に発生するこのキノコ廃菌床を廃物利用し、土壌改良材を得るものであり、このキノコ廃菌床に代えて、発熱量の高い焼酎糟を用いたり、スクープ式やサイロ式などの蓄熱する発酵条件のように、高温環境が継続することは、畜糞や下水汚泥など水分の多い原料の堆肥化には、水分調整(乾燥)と消毒のために不可欠であるが、この場合には中温性細菌であるバチルス菌は優占化できず、本発明のようなバチルス菌が優占化した土壌改良材を製造することはできない。
本発明の特徴は、予め水分の比較的少ない3種類の廃棄物を原料に使用し、十分な温度管理を行って20℃〜50℃で中温発酵させることによって、必ずバチルス菌が優占化する環境を保持することにより、安定した性状の土壌改良材を製造することにある。発酵温度が20℃を下回ったり50℃を超えたりしても、いずれもバチルス菌が優占化した安定した性状の土壌改良材は得られない。
後述の実施例で明らかなように、キノコ廃菌床に含まれる繊維質が繁殖環境に適していると考えられ、土壌改良材の配合原料に用いる有効性が高いことが分かった。
バチルス菌が優占化されたし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥は、し尿又は下水を微生物処理した際に発生する余剰汚泥であることが好ましい。微生物処理法はバチルス菌が優占化される手法であれば格別限定されない。余剰汚泥は生物処理系で有機物が汚泥転換した比率に応じて発生するもので、従来廃棄物とされていたものである。
また、上水汚泥は、上水対象となる水をアルミ系凝集剤で凝集沈降した汚泥であることが好ましい。上水汚泥は、通常シルトや粘土粒子を多く含んでいる。
かかる上水処理は、これらのシルトや粘土粒子を分離除去するために、硫酸バンドやPAC(商品名)などのアルミ系凝集剤を添加して凝集沈降処理を行っており、この凝集沈降汚泥を上水汚泥として利用する。かかる上水汚泥は有効な利用方法がなく廃棄物となっているが、その理由は上水汚泥中のアルミニウムが土壌中のリンと結合して不溶化し、リン飢餓を引き起こすために農地に利用することができないためである。
本発明では、バチルス菌が胞子化するときに必要なシリカ分を上水汚泥から供給するが、上水汚泥に含まれるアルミニウムは廃菌床から供給されるリンと製造工程で結合するとともに余剰なリンが残存するために、本土壌改良材を農地に供給する場合にリン飢餓が発生しないのが大きな特徴である。
発酵手段として、含水率の高い下水汚泥や畜糞等の堆肥発酵に用いられる発酵方法は、発酵温度を50℃を越える温度に上昇させる高温発酵により発酵促進と乾燥を行う方法なので、バチルス菌の優占化が進行しないために、本発明土壌改良材の製造には適用できない。
本発明土壌改良材では、3種類の各原料はそれぞれ乾燥が進行しているので、土壌改良材の製造過程で乾燥は必要がなく、むしろ加水により水分調整を実施する必要があり、温度を上昇させすぎないための温度管理が重要であるので、独自の発酵方法が必要である。
バチルス菌の増加には、発酵段階において20℃〜50℃で中温発酵させることが重要であり、50℃を超えて昇温した場合には切り返しを実施することによって十分な温度管理を行う。従って、発酵過程では切り返し作業が重要であり、また量産するためには切り返し装置が必要になる。
以下、本発明において好ましく採用できる切り返し装置の一例を図1に基づいて説明する。図1は、切り返し装置の側面図である。
図中、1は土壌改良材を収容したバケットAを載置する一対の載置レールである。載置レール1は一対が平行に並設されるが、図1ではそのうちの手前側だけが示されている。載置レール1には、バケットAを転動可能に載置して支持するための多数のローラ2が設けられている。
載置レール1を間に挟むように、基礎100から一対の第1ガイドレール3が垂直に立設されている。第1ガイドレール3は一対が平行に立設されるが、図1ではそのうちの奥側だけが示されている。また、各第1ガイドレール3には、該各第1ガイドレール3の載置レール1とは反対側面に沿って、基礎100から垂直に立ち上がる一対の第2ガイドレール4が設けられている。この第2ガイドレール4も一対が平行に立設されるが、図1ではそのうちの奥側だけが示されている。各第2ガイドレール4の先端は、第1ガイドレール3を挟んで載置レール1とは反対側に向けて湾曲した後、下方を向いており、逆U字部4aを形成している。
各第1ガイドレール3の上端及び下端には、それぞれスプロケット5、5が設けられ、それらスプロケット5、5間にチェーン6が掛け渡されている。下端のスプロケット5の回転軸5aには歯車7が取り付けられており、駆動モータ8によって回転するウォーム9と噛合している。
チェーン6には、上下に配列されたガイドローラ10、10によって第1ガイドレール3に案内されて上下に移動可能となるように設けられたスライダー11が取り付けられている。従って、このスライダー11は、駆動モータ8の回転によってチェーン6が回転することにより、第1ガイドレール3に沿って上下に移動するようになっている。
一方、第2ガイドレール4には、バケットAの下面に設けられた一対の挿入口A1に挿入して該バケットAを保持するための一対のフォーク12を有するバケット保持フレーム13が、上下に配列されたガイドローラ14、14によって該第2ガイドレール4に案内されて移動可能となるように取り付けられている。上下に配列されたガイドローラ14、14のうちの上側のガイドローラ14の回転軸には、アーム15の一端が回転可能に取り付けられると共に、そのアーム15の他端にはガイドローラ16が回転可能に取り付けられ、第2ガイドレール4に沿って移動可能とされている。
この第2ガイドレール4に沿って移動可能に設けられるバケット保持フレーム13と、第1ガイドレール3に沿って上下に移動可能に設けられるスライダー11とは、連結アーム17によって連結されている。連結アーム17は、一端がスライダー11に回転可能に取り付けられていると共に、他端が上記アーム15の回転軸に回転可能に取り付けられている。これにより、駆動モータ8の回転によってスライダー11が第1ガイドレール3に沿って例えば上方向に移動すると、それに伴って、連結アーム17がアーム15を介してバケット保持フレーム13を上方向に押し上げ、ガイドローラ14、14及び15が第2ガイドレール4に案内されることにより、該バケット保持フレーム13は上に向けて移動する。
第1ガイドレール3及び第2ガイドレール4の上部であって第2ガイドレール4の逆U字部4aの下部には、載置レール1とは反対側に延びる支持アーム18にポッパ19が設けられており、その下方は空のバケットBの配置スペースとなっている。
なお、本発明においてバケットA、Bは、内部にし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床との混合物を収容することにより中温発酵を行って土壌改良材を製造するための容器である。本発明において、このバケットA、Bは、側面に多数の孔aが開穿された鋼板製箱からなり、この多数の孔aによって放熱性を有しているものが、中温発酵を好適に行い得ることから好ましい。
孔aの径は、内部の混合物が漏出しない程度に適宜設定することができる。また、孔aの間隔又は密度は、混合物を20℃〜50℃の中温発酵条件を好適に維持し得る程度に適宜設定することができる。
次に、この切り返し装置の動作について説明する。
図示しないフォークリフト等の移送手段によって、この切り返し装置の載置レール1上に載置された土壌改良材(混合物)を収容したバケットAは、載置レール1に設けられたローラ2に沿って第1ガイドレール3側に移動され、その下面の挿入口A1にバケット保持フレーム13から突出する一対のフォーク12が挿入することにより、載置レール1上でほぼ水平に保持される。
ここで駆動モータ8を回転駆動させると、ウォーム9、歯車7及びスプロケット5を介してチェーン6が、図1における反時計方向に回転し、これによってチェーン6に取り付けられているスライダー11が、ガイドローラ10、10によって第1ガイドレール3に案内されながら上方向に移動する。このスライダー11の移動によって、連結アーム17によって連結されたバケット保持フレーム13が、ガイドローラ14、14及び15によって第2ガイドレール4に案内されながら押し上げられ、スライダー11と同じく上方向に移動する。これによりバケットAは、ほぼ水平に保持されながら上方向に移動する。
スライダー11が第1ガイドレール3の上端に近づくにつれて、バケット保持フレーム13は、そのガイドローラ14、14及び15が第2ガイドレール4の逆U字部4aに差し掛かり、該逆U字部4aに沿って移動するようになる。このとき、バケット保持フレーム13は、逆U字部4aに案内されることにより、保持しているバケットAをほぼ水平の状態から、ホッパ19の下方に配置された空のバケットB側に向けて傾倒させるように徐々に移動させる。そして、スライダー11が第1ガイドレール3の上側の移動端まで移動すると、図1中の一点鎖線で示すように、バケット保持フレーム13は、バケットA内に収容されている土壌改良材を完全にホッパ19に排出させることができる程度の角度までバケットAを反転させる。
このバケットAの反転により、内部の土壌改良材はバケットAからホッパ19に空けられ、該ホッパ19によって集められてその下方に配置された空のバケットBに移し変えられる。このとき、土壌改良材は、反転されたバケットAからホッパ19に落下すると共に、更にホッパ19から空のバケットBに落下することにより、十分な攪拌と空気との接触が行われる。
この切り返し装置によれば、土壌改良材を収容したバケットAを1つの駆動モータ8を駆動源とする上下方向の移動機構だけで昇降動作及び反転動作させることができる。また、バケットAの反転によって内部の土壌改良材を落下させることにより空のバケットBに移し変えるので、土壌改良材を十分に空気と接触させながら効率良く攪拌させることができ、また、土壌改良材の過度の昇温を抑えることができる。
上記の装置を用いると、土壌改良材が大量生産可能となり、大量生産を行っても、バチルス菌の優占化が見られ、実用化への可能性が高い。
上記の装置では切り返しの回数を、これまでの2日に1回から、毎日に変えることが可能となり、バチルス菌を多量に存在させることができる。
また、土壌中に窒素が過剰に含まれていると、作物の葉だけが大きくなってしまうなどの障害がある。し尿汚泥に窒素分が多く含まれていることからも、し尿汚泥の配合量を最小限に抑えることが効果的である。窒素分が減ることにより、農地への大量投入も可能になる。
市販の純粋培養されたバチルス菌は、シリカや繊維質が農地に十分に含まれていない場合に、優占化するのかどうかは未知である。しかし、本発明により製造された土壌改良材は、それらの成分が混合発酵後も充分に含まれており、農地導入後も土壌生態系のベースが、バチルス菌となる可能性が高い。
以下、実施例により、本発明の効果を例証する。
実施例1
1.土壌改良材の試作
上水汚泥中のAl(アルミニウム)を予め、し尿汚泥やキノコ廃菌床に含まれるリンと結合させ、リン酸が余剰となる配合で安定化を進め、不足しているシリカなどの芽胞形成に必要な鉱物質を、上水汚泥で補って、バチルス菌の増殖しやすい環境を整える。
さらに、これに繊維質のセルロースが多く含まれているキノコ廃菌床(横堀キノコ社)を配合することにより、バチルス菌の良好な増殖を目指した。
<キノコ廃菌床の組成>
オガ屑 90%
フスマ 5%
コーン・大豆かす 5%
東京工業大学の資源化学研究室の正田誠教授は、土壌中のバチルス菌の菌数を1g当たり10以上に高めれば、多くの植物病菌を抑止出来るとしている。そのため、バチルス菌が10程度生育する試料を製造し、表土の1割程度を農地に使用出来る土壌改良材を目標とした。
まず、配合に用いる材料の含水率を測定し、乾燥重量に換算して、表1の比率で配合を行った。
これを生ゴミ処理機で混合発酵させた。発酵期間は、表1に示した通りである。
2.培養方法
蒸留水にニュートリエントブロス(Oxid−CM−1)を0.8%、グルコースを0.8%、塩化ナトリウムを0.6%、寒天を1.7%、水溶性デンプンを1.0%溶解・加熱することで平面培地を作成した。
この培地を滅菌済みのシャーレに約20mLずつ分注し、これを2日間冷蔵庫で固化・保存して平板培地を準備した。
各試料において、代表的な部分の乾燥質量1.0gの試料を100mlの精製水で希釈した。この後、ホモジナイザーで2分間攪拌した。
このようにして得られた試料を10倍の希釈試料とする。これを9mlの精製水に1ml滴下して10の希釈試料を作る。この作業を繰り返して10、10、10の希釈試料を作る。
固まった平面培地に希釈試料を0.1mL滴下し、コンラージ棒で平面培地の表面に均等に塗り広げる。1つの希釈試料に対して2枚ずつ平面培地を作成した。こうして出来上がった平面培地を恒温槽で32℃前後に保ち培養した。
培養後のバチルスコロニーは形状が独特であり、他の菌と容易に見分けることができる。
東京農工大学工学部細見研究室のDNA解析により、バチルス菌のうち、6種類のコロニーの形状が判明している。この写真を図2に示す。
これに基づき、バチルス菌のコロニー数とその他の菌のコロニー数を測定した。
この作業をコンポスト作成開始から、約1週間おきに4回程度行った。その結果を表1に示す。
表1のように、様々な配合で土壌改良材を試作した結果、土壌改良材製造開始から1ケ月後のバチルスコロニー数を比較すると、乾燥質量で、し尿汚泥2kgと上水汚泥3kgと廃菌床5kgとを混合発酵させたものが最も多くのバチルスコロニー数が計測された。
また、バチルス菌優占化の推移を調べたところ、優占種となったバチルス菌は、図2の写真に示しているB.thuringiensisであることがわかった。
実施例2(実機での土壌改良材試作)
図1に示す切り返し装置を用いて、土壌改良材をトン単位で2日に1回程切り返して製造した。
かなり大量の土壌改良材を製造しているので、菌の分布の偏りが考えられたため、複数の試料(側面2箇所、上面、中心の4箇所)を採取し、土壌改良材の両側面を試料A、B、上側を試料C、中心を試料Dとして、バチルス菌コロニー数のカウントを2週間後に行った。また、昆虫マットに使用されているキノコ廃菌床だけを発酵させた商品も、比較のため試料Eとしてカウントした。
結果を表2に示す。
実機試験のバチルスコロニーをカウントしたところ、表2に示す通り、バチルス菌の発生が認められ、中央部の温度が最も上昇する試料Dでは、バチルス菌が多く存在していることが分かった。
実施例3(発酵温度変化とコロニー数との関係)
し尿汚泥1:上水汚泥4:キノコ廃菌床5を混合した土壌改良材を、実施例2と同様に図1に示す切り返し装置を用いてトン単位で2日に1回程切り返して製造した。
このときの発酵槽内の温度変化とバチルスコロニー数との関係を図3に示す。
同図に示すように、発酵温度が20℃〜50℃の中温発酵時にバチルスコロニー数が格段に増大することが分かった。
実施例4(バチルス菌の保存性テスト)
バチルス菌には、環境が悪化しても胞子化して生き延びることができる特性がある。この特性により、秋季に大量製造した土壌改良材を、特別な管理をせずに作りおいたとしても、春季に農地に投入するときまで、バチルス菌が充分に含まれた土壌改良材であり続けると推定される。
そこで、実施例1の試料No.1〜8を室内放置し、長期保存後(2〜6ヵ月後)のバチルス菌のカウントを行った。
土壌改良材の保管期間は最大で約半年間であったが、表3からわかるように、長期保存後でもバチルス菌数は10個以上のバチルスコロニーを確認できた。これから胞子化したバチルス菌は、長期間安定して生存できることが分かった。
実施例5(成分分析)
作物が育つためには、土壌中に利用可能なリン(ク溶性リン)が含まれていることが不可欠である。仮に、今回試作した土壌改良材にアルミなどが過剰に含まれていた場合には、土壌中のリンとアルミが結合してしまい、かえって植物の健全な育成を阻害してしまう。
そこで、まず試作試料の溶出試験を行った。試験方法は、乾燥試料6gを蒸留水300mlに入れ、ジャーテスターに24時間かける。次にその試料を遠心分離機(3000回転/分)に15分かけ、上澄み液を試験試料水とした。そして、その試料水において電気伝導度EC、pH、塩素イオン、リン等を測定した。
また、土壌改良材として用いる際に、重金属類の有無の問題が挙げられる。もし多量の重金属類が試料に含まれていると、作物の育成に問題が発生し、作物を食べる人にも害が及ぶ。そのため、原料と試作試料において、さらに詳しい成分分析を行うために環境計量事務所に分析を依頼した。
実施例1の試料No.5−8の分析結果を表4に示す。
表4より、バチルス菌を最も多く含んでいた試料6および試料6と同時に製造、試験を行った試料5、7、8の溶出試験の結果は、リン酸態リンPO−Pおよび全リンT−Pはともに正の値を示しており、植物の生育を阻害することは無いことが分かった。
また、重金属類のヒ素、カドミウム、水銀、鉛についても分析したところ、原料や製造した試料は全て基準値を下回っており、安全であることを確認した。
切り返し装置の側面図 バチルスコロニーの写真 発酵温度とバチルスコロニー数との関係を示すグラフ
符号の説明
1:載置レール
2:ローラ
3:第1ガイドレール
4:第2ガイドレール
4a:逆U字部
5:スプロケット
5a:回転軸
6:チェーン
7:歯車
8:駆動モータ
9:ウォーム
10:ガイドローラ
11:スライダー
12:フォーク
13:バケット保持フレーム
14:ガイドローラ
15:アーム
16:ガイドローラ
17:連結アーム
18:支持アーム
19:ホッパ
A:土壌改良材を収容したバケット
A1:挿入口
B:空のバケット

Claims (3)

  1. バチルス菌が優占化されたし尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床とを混合し、20℃〜50℃で中温発酵させることによりバチルス菌の優占化を図ることを特徴とする土壌改良材の製造方法。
  2. 前記し尿乾燥汚泥又は前記下水乾燥汚泥と、前記上水汚泥と、前記キノコ廃菌床とを、乾燥質量で、し尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥0.5〜2:上水汚泥2〜6:キノコ廃菌床3〜6の混合比で混合発酵させることを特徴とする請求項1記載の土壌改良材の製造方法。
  3. 前記し尿乾燥汚泥又は下水乾燥汚泥と、上水汚泥と、キノコ廃菌床との混合物を、放熱性を有する有孔鋼板製箱に収容し、該有孔鋼板製箱を上昇及び反転させて他の空の有孔鋼板製箱内に落下させ、前記混合物の切り返しを行うことによって過度の昇温を抑えながら前記中温発酵させることを特徴とする請求項1又は2記載の土壌改良材の製造方法。
JP2007026064A 2007-02-05 2007-02-05 土壌改良材の製造方法 Pending JP2008189820A (ja)

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