JP6741907B1 - 下水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】下水の脱リン、有機物の処理量の増大ができるとともに、フロックの沈殿性を良好にした下水処理システムの提供。【解決手段】生物処理槽54、最終沈殿池56を備え、家庭や工場・企業などから排出される下水を受け入れ、生物処理により所定含水率まで低下させた水分調整汚泥を、温度60℃〜110℃で酸素を供給し好気性発酵させ、微生物資材を製造し、水温10度〜40度、酸素濃度1〜10mg/Lに維持して芽胞を発芽させた活性微生物資材を生物処理槽に供給し、生物処理槽は脱リン反応を行うための嫌気槽54Aと好気槽54Bを備え、嫌気槽と最終沈殿池の間には返送汚泥供給経路が設けられ、最終沈殿池から好気槽へ汚泥の一部を返送し、活性微生物資材供給装置76は微生物資材を嫌気槽と好気槽のうち少なくとも好気槽に供給し、好気槽内の下水の少なくとも一部のMLSSを2000mg/L〜4000mg/Lに維持する。【選択図】図1

Description

本発明は、下水処理システムに関し、さらに詳細には、生物処理槽、および最終沈殿池を少なくとも備え、家庭や工場・企業などから排出される下水を受け、これを処理して、下水中の有機性物質の低減を図りつつ、脱リンを効率よく行うことのできる下水処理設備を備えた下水処理システムに関する。
排水や汚水等の被処理液を処理する方法として、活性汚泥により被処理液を処理する活性汚泥法が広く行われている。
例えば、特開2013−233482号公報等に広く開示されているように、活性汚泥法を適用する廃水処理システムは、基本的には最初沈殿池(なお小規模下水処理システムでは省略する場合がある)と、反応槽と、最終沈殿池とから構成される。そして、活性汚泥法に従って、供給された廃水から最初沈殿池で生汚泥が分離された後、流路を通って供給された廃水に対して反応槽の中で曝気・エアレーションによって酸素を溶解させると同時に攪拌混合し、その中に主に好気性微生物からなる活性汚泥を浮遊滞留させた後、流路を通って供給された最終沈殿池で活性汚泥を沈殿させて、上澄みの水を放流水として流出させる。反応槽は、曝気槽、反応タンク、エアレーションタンク、生物処理槽などと呼ばれることもあり、曝気時間は6〜14時間である。最終沈殿池で沈殿した活性汚泥の一部は、返送汚泥として再び反応槽に戻されて、残りは余剰汚泥として機械濃縮設備で濃縮される。
以上のようにして、最終沈殿池で沈殿した活性汚泥の一部を有効利用しているが、これに留まるものである。
ところで、上記した活性汚泥法の中には、嫌気好気法による生物学的リン除去法(AO法)や、嫌気・無酸素・好気法による窒素およびリン同時除去法(A2O法)を用いた活性汚泥法が知られている。
これらの活性汚泥法においては、前記生物処理槽の上流側を嫌気槽(および嫌気槽)とし、下流側を好気槽とし、上流側の嫌気槽で、リンの放出を行い、下流側の好気槽でリンの蓄積を行っている。
特開2013−233482号公報
そこで本発明は、前記AO法またはA2O法を組込み、返送汚泥等を処理して、生物反応槽で更に有効に作用する微生物資材を製造する微生物資材製造装置を備え、脱リン(および脱窒)を有効に行うことができ、さらに、下水中の有機物の処理量を増大させることができるとともに、フロックの沈殿性を良好にした下水処理システムを提供することを目的とする。
上記課題は、下記(1)〜(16)の構成の本発明の下水処理システムによって達成される。
(1)
生物処理槽、および最終沈殿池を少なくとも備え、家庭や工場・企業などから排出される下水を受け、これを処理して、下水中の有機性物質の低減を図りつつ、脱リンを効率よく行うことのできる下水処理設備を備えた下水処理システムにおいて、
少なくとも前記最終沈殿池からの汚泥を受け、その含水率を所定含水率まで低下させ、水分調整汚泥を作る水分調整手段、
この水分調整手段からの水分調整汚泥を、温度を60℃〜110℃に保った状態で、酸素を供給して、前記水分調整汚泥中のグラム陽性の好気性微生物により好気性発酵させ、これにより、前記水分調整汚泥中のグラム陰性の嫌気性および通性嫌気性微生物を分解死滅させるとともに、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、およびクロロフレクサス門のグラム陽性菌のうち少なくとも1種の好気性微生物の芽胞を含有する微生物資材を製造する微生物資材製造装置、
後述する微生物活性化装置に、該下水処理システムの系のいずれかからの水を給送するための水給送手段、
後述する微生物活性化装置に、酸素を供給するための酸素供給手段、
前記微生物資材製造装置からの微生物資材を受け、かつ前記酸素供給手段からの酸素、および水給送手段からの水の供給を受けると共に、この水の温度を10度〜40度に、酸素濃度を1〜10mg/Lに維持して、前記微生物資材中の前記芽胞を発芽させて、活性化された前記好気性微生物を含有する活性微生物資材とする微生物資材活性化装置、および
この微生物活性化装置からの活性微生物資材を、前記生物処理槽に供給する活性微生物資材供給装置
を備え、
前記生物処理槽が、上流側に設けられ、リン蓄積菌によるリン放出反応を行うための嫌気槽と、この嫌気槽の下流側に設けられ、有機物の処理と、前記リン蓄積菌によるリン蓄積を行うための好気槽を備え、
前記嫌気槽と最終沈殿池の間には返送汚泥供給経路が設けられ、最終沈殿池から嫌気槽へ汚泥の一部を返送するようになっており、
前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記嫌気槽と、好気槽のうち少なくとも好気槽に供給するようになっており、これにより、該好気槽内の下水のMLSSを、2000mg/L〜4000mg/Lに維持する
ことを特徴とする下水処理システム。
(2)
前記水給送手段からの水の温度を15度〜40度に維持する前記(1)の下水処理システム。
(3)
前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記嫌気槽にも供給するようになっており、これにより、該嫌気槽内のリン蓄積菌のリン放出の働きを増大する前記(1)または(2)の下水処理システム。
(4)
前記生物処理槽が、前記嫌気槽と好気槽の間に、脱窒菌による脱窒を行う無酸素槽を更に備えており、前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記無酸素槽にも供給するようになっており、これにより、該無酸素槽内の脱窒菌の脱窒の働きを増大する前記(1)〜(3)のいずれかの下水処理システム。
(5)
前記微生物資材中の微生物のうち、前記好気性微生物の量が、50%以上である前記(1)〜(4)のいずれかの下水処理システム。
(6)
前記水分調整手段が、脱水機である前記(1)〜(5)のいずれかの下水処理システム。
(7)
前記水分調整手段が、前記汚泥に、水分調整のための乾燥資材を添加して水分調整を行う水分調整器である前記(1)〜(5)のいずれかの下水処理システム。
(8)
前記所定含水率が、85%以下である前記(1)〜(7)のいずれかの下水処理システム。
(9)
前記活性微生物資材の前記生物処理槽の好気槽への供給が、連続的に行われる前記(1)〜(8)のいずれかの下水処理システム。
(10)
前記下水処理設備が、最初沈殿池を更に有し、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、該最初沈殿池からの溢水である前記(1)〜(9)のいずれかの下水処理システム。
(11)
前記下水処理設備が、最初沈殿池を更に有し、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記最初沈殿池に入る前の下水である前記(1)〜(9)のいずれかの下水処理システム。
(12)
前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記下水処理設備により処理済みの水である前記(1)〜(9)のいずれかの下水処理システム。
(13)
前記下水処理設備が、前記最終沈殿池からの水を消毒するための消毒槽を備え、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、この消毒槽における消毒前の水である前記(1)〜(9)のいずれかの下水処理システム。
(14)
前記水給送手段からの水が、前記芽胞の発芽に必要な栄養素を備えている前記(1)〜(13)のいずれかの下水処理システム。
(15)
前記嫌気性および通性嫌気性微生物が、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものである前記(1)〜(14)のいずれかの下水処理システム。
(16)
前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記好気槽の前半部に供給する前記(1)〜(15)のいずれかの下水処理システム。
本発明の下水処理システムにおいては、微生物資材製造装置を設けて、下水処理に有用な微生物を主として芽胞の形で存在させ、この微生物資材製造装置によって製造された微生物資材を、前記微生物活性化装置によって、前記芽胞を発芽させ、下水中の有機物の分解に有用な微生物であるフィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、および/または放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、および/またはクロロフレクサス門のグラム陽性菌がリッチな状態とする。以上により、生物処理槽における有機物の処理を、活性汚泥および微生物活性化装置からの微生物により行うようにしたもので、生物処理槽中のMLSS濃度を従来のものより大幅に増大させることができ、その有機物の処理を迅速・大量に行うことができるようになった。
しかも、従来は、MLSS濃度を高くすると、今度は、フロックのバルキング問題が発生するという問題があったが、前記微生物資材の働きにより、フロックの凝集性、圧密性が向上し、バルキングが改善され、沈殿性が良好となり、処理時間が短縮できるようになった。
図1は、本発明の実施の形態による下水処理システムの構成を示す概念図である。 図2は、本発明の別の実施の形態による下水処理システムの主要部の構成を示す概念図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態による下水処理システム10について説明する。
下水処理システム10は、家庭や工場・企業などから排出される下水のための中継ポンプ場20、および下水道管渠100を介して、前記中継ポンプ場20からの下水を受け、これを処理する下水処理設備50を備えている。この下水処理設備50は、通常の活性汚泥法によるものと同様、最初沈殿池52、生物処理槽54、最終沈殿池56および消毒槽58を備えており、下水は、以上を経て、浄化され、消毒され、下水管渠を介して放流される。
前記生物処理槽54は、上流側に設けられ、リン蓄積菌によるリン放出を行うための嫌気槽54Aと、この嫌気槽54Aの下流側に設けられ、有機物の処理と、リン蓄積菌によるリンの蓄積を行うための好気槽54Bを備えている。通常の生物処理槽は、曝気槽とも呼ばれているが、本実施の形態では、曝気は主に、好気槽において行われる。
前記嫌気槽54Aと好気槽54Bの間には、図2に示したように、脱窒菌による脱窒を行う無酸素槽54Cが設けられていても良い。この場合、前記好気槽54Bは、硝化菌によるアンモニアの硝化反応が行われる槽としても働く。
前記嫌気槽54Aと好気槽54Bの間には消化液循環経路59が設けられ、好気槽から無酸素槽へ硝化液を循環するようになっている。
下水処理設備50の上記した構成以外の構成については、この種下水処理システム10においては、通常のものであるので、これ以上の詳細は省略する。なお、小規模な下水処理設備においては、前記最初沈殿池52が省略されることがある。また、中継ポンプ場20は、各家庭や工場等から延びる下水管渠に接続されたポンプPを備えている。
前記下水処理システム10は、さらに前記最初沈殿池52および最終沈殿池56のうち少なくとも最終沈殿池56に接続され、最初沈殿池からの余剰汚泥および最終沈殿池からの返送汚泥のうち少なくとも返送汚泥を受け、その含水率を所定含水率まで低下させ、水分調整汚泥(以下、脱水汚泥を作る水分調整手段を備えている。この水分調整手段としては、脱水装置や前記汚泥に、水分調整のための乾燥資材を添加して水分調整を行う水分調整器等が挙げられる。また、脱水装置としては、遠心分離型、フィルタープレス型や機械濃縮型等のいずれの形式の脱水方法を行うものであってもよい。図には、この脱水装置60として示した。前記所定含水率は、85%以下、特に65〜85%であることが好ましい。
前記脱水装置60には、微生物資材製造装置62が接続されている。この微生物資材製造装置62は、前記脱水装置60からの脱水汚泥を、温度を60℃〜110℃に保った状態で、酸素を供給して、前記脱水汚泥中のグラム陽性の好気性微生物により好気性発酵させる。この好気性発酵で費やした脱水汚泥中の水分および栄養分の枯渇、また、高温により、グラム陰性の嫌気性および通性嫌気性微生物を分解死滅、あるいは少なくとも一部死滅をさせるとともに、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、およびクロロフレクサス門のグラム陽性菌のうち少なくとも1種の好気性微生物の芽胞を含有する微生物資材を製造する。
前記微生物資材中の微生物のうち、前記好気性微生物の量が、50%以上であることが好ましい。
前記好気性微生物の量は、非培養法であるメタゲノム解析法により測定した。この方法では、前記微生物資材から直接DNAを抽出し、バクテリア16S rRNA遺伝子アンプリコンのメタゲノム解析により細菌群を門レベルで判定し、前記好気性微生物の量(%)を測定した。
なお、実際の測定においては、微生物活性化装置62から排出された微生物資材を0.5g採取し、それをDNA抽出キット使用して微生物のDNAを抽出した。その結果、前記好気性微生物中、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するものの割合が50%強、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するものの割合が20%弱であった。
この微生物資材製造装置62は、上記の温度管理のため、ヒータを備えており、また必要により酸素(空気)供給装置を備える。この微生物資材製造装置62により、比較的乾燥したサラサラの粒子上微生物資材が製造される。
前記下水処理システム10は、前記下水処理設備50に設置され、あるいは接続された微生物活性化装置70を備えている。この微生物活性化装置70には、該下水処理システムの系のいずれかからの水を該微生物活性化装置70に給送するための水給送手段72が接続されている。この微生物活性化装置70には、必要に応じて、および酸素を該微生物活性化装置70に給送するための酸素供給手段74が接続されている。前記水給送手段72が供給する水としては、処理を受ける前の下水(例えば、前記中継ポンプ場20のポンプPより上流の下水)や、消毒槽58前の最終沈殿池56から流れ出る水であることが好ましい。これらの水は、前記芽胞を発芽させるために必要な栄養素を含有しており、芽胞の発芽に必要な水分と栄養素を同時に提供できる。
水給送手段72からの水中の溶存酸素量が不足している場合には、酸素供給手段74から酸素を供給する。この供給される酸素は、空気の形で供給されても良い。この場合、酸素発生装置や酸素タンクを特別に設ける必要はない
なお、従来技術(特開2001−271510号公報参照)において、本発明の微生物資材にほぼ相当する発酵物(肥料のための)を下水汚泥に直接添加するものがあるが、その目的は、活性汚泥の沈殿の促進であり、その目的が本発明の目的とは異なっている。また、前記従来技術からは、当該発酵物を前記生物反応槽に直接添加することも考えられるが、前記生物反応槽には、栄養素を優先して消費する他の微生物(グラム陰性菌等)が多く存在し、芽胞の発芽のための栄養素等が枯渇し、あるいは少なくなっているため、生物反応槽に直接添加された芽胞は、発芽することなく、あるいは発芽に長時間を必要とする。したがって、有用微生物の下水処理の機能の発揮は限定的であると思われる。
前記微生物活性化装置70は、前記微生物資材製造装置62からの微生物資材を受け、該微生物資材に、前記水給送手段72からの水を供給すると共に、この水の温度を10度〜40度の範囲、特に15度〜40度の範囲、酸素濃度を1〜10mg/Lに維持して、前記微生物資材の前記胞子を発芽させて、活性化させ、活性微生物資材を作る。前記水温を前記の範囲に維持するため、冷暖設備を備えていても良い。また、酸素濃度を前記の範囲に維持するため、前記酸素供給手段74からの酸素(空気)の供給を受けるようにする。なお、この微生物活性化装置70において、芽胞が発芽するには、発芽の環境が整ってから、5分以上掛かるため、微生物資材が競合するグラム陰性菌を極力含まないこの微生物活性化装置70に5分以上滞留させる手段を設けることが好ましい。
前記微生物活性化装置70には、活性微生物資材供給装置76が設置されており、この活性微生物資材供給装置76により、発芽した前記好気性微生物を含有する活性微生物資材を生物処理槽54の嫌気槽54A、好気槽54Bおよび無酸素槽54Cのうち少なくとも好気槽54Bに投入する。好気槽54Bへの投入は、その前半部、特に最上流部分に行うことが望ましい。発芽した前記好気性微生物の生物処理槽54への投入は、間欠的に行っても良いが、なるべく連続的に行うことが望ましい。この生物処理槽54には、新規の下水が絶え間なく流入してくるので、それに合わせるためである。
以上の構成により、本下水処理システム10においては、生物処理槽54中に微生物資材製造装置62からの微生物資材中の芽胞が発芽した微生物(好気性)が、通常の活性汚泥に追加されて供給され、活性汚泥中の有用微生物とともに、下水の有機物の分解処理を効率よく行う。
なお、本発明において、前記好気性微生物としては、場合により酵母菌も含まれていてもよい。
一方、前記嫌気性および通性嫌気性微生物としては、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものを挙げることができる。
以上の構成により、本下水処理システム10においては、処理すべき下水の流入量、返送汚泥の供給量、前記活性微生物資材供給装置76を用いての活性化装置微生物活性化装置70からの活性微生物資材の供給量を調節して、生物処理槽54中、少なくとも好気槽54BのMLSSを2000mg/L〜4000mg/Lに調整して、下水処理の運転を行う。
これにより、有機物の処理を迅速・大量に行うことができるようになったとともに、前記活性化された微生物資材の働きにより、フロックの凝集性、圧密性が向上し、バルキングが改善され、沈殿性が良好となり、処理時間が短縮できるようになった。
本発明の下水処理システムにおいては、以上の有機物の処理に加えて、特に、嫌気槽−好気槽でのリンの除去、無酸素槽−好気槽でのアンモニアの除去を高率良く行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
装置(設備)としては、実施例1では図1に示したものを、実施例2では図2に示した構造のものを用いた。比較例としては、図1の嫌気槽54A部分を無酸素槽とし、好気槽における硝化液を無酸素槽に供給するようにした。
実施例1および2では、活性微生物資材を、それぞれ好気槽54BにおけるMLSS濃度が、2、500mg/L(実施例1)、3、000mg/L(実施例2)になるまで投入し、その後、このMLSS濃度がこの2、500mg/L、3、000mg/Lを維持されるように間欠的に投入した。なお、比較例においては、活性微生物資材の投入を行わなかった。用いた微生物資材は、試験を通して同じ構成のものを用いた。MLSS濃度は、光学型連続MLSS計を用いて測定した。
前記実施例において、投入された微生物資材の微生物の構成を調べたところ、微生物資材中の微生物のうち、前記好気性微生物(フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、およびクロロフレクサス門のグラム陽性菌で構成される)の量が、60%強であった。また、その構成比は、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するものの割合が50%強、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するものの割合が20%弱、残部がクロロフレクサス門のグラム陽性菌であった。
上で説明したように、前記好気性微生物の量は、非培養法であるメタゲノム解析法により測定した。この方法では、前記微生物資材から直接DNAを抽出し、バクテリア16S rRNA遺伝子アンプリコンのメタゲノム解析により細菌群を門レベルで判定し、前記好気性微生物の量(%)を測定した。 なお、実際の測定においては、微生物活性化装置62から排出された微生物資材を0.5g採取し、それをDNA抽出キット使用して微生物のDNAを抽出して、測定した。
また、実施例および比較例において、4000mの下水を24時間掛けて処理し、それを30日間続けた。
試験では、MLSS、処理前後のBOD、全窒素濃度、全リン濃度を測定した。その結果を表1に示した。なお、数値は、処理前のものは一日の変動幅をもって、処理後のものは1日の平均である。

<表1>

表1から分かるように、処理後のBOD値が、比較例では6.0mg/Lであったが、実施例1では、5.0mg/L、実施例では、4.0mg/Lと、着実な有機物処理の効果が確認できた。また、実施例1および2では、上記したように、MLSS濃度を上げたにもかかわらず、フロックの沈殿性(沈降性)は、比較例のものと同等であった。
脱リンに関しては、表に示したように、実施例1および2において、比較例のものに比較して、三分の一以下となった。
また、脱窒に関しては意図していなかったものの、表に示したように、実施例1および2において、比較例のものに比較して、半分以下となった。これは、微生物資材を投入した好気槽内において、大きなフロックが形成され、その内部において無酸素状態が形成され、好気槽内において硝化菌、脱窒菌が共に活動し、好気槽内で硝化、脱窒が行われた結果であると考えられる。
10 下水処理システム
20 中継ポンプ場
50 下水処理設備
52 最初沈殿池
54 生物処理槽
54A 嫌気槽
54B 好気槽
56 最終沈殿池
58 消毒槽
59 硝化液循環経路
60 脱水装置
62 微生物資材製造装置
70 微生物活性化装置
72 水給送手段
74 酸素供給手段
76 活性微生物資材供給装置
100 下水管渠
P ポンプ

Claims (16)

  1. 生物処理槽、および最終沈殿池を少なくとも備え、家庭や工場・企業などから排出される下水を受け、これを処理して、下水中の有機性物質の低減を図りつつ、脱リンを効率よく行うことのできる下水処理設備を備えた下水処理システムにおいて、
    少なくとも前記最終沈殿池からの汚泥を受け、その含水率を所定含水率まで低下させ、水分調整汚泥を作る水分調整手段、
    この水分調整手段からの水分調整汚泥を、温度を60℃〜110℃に保った状態で、酸素を供給して、前記水分調整汚泥中のグラム陽性の好気性微生物により好気性発酵させ、これにより、前記水分調整汚泥中のグラム陰性の嫌気性および通性嫌気性微生物を分解死滅させるとともに、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、およびクロロフレクサス門のグラム陽性菌のうち少なくとも1種の好気性微生物の芽胞を含有する微生物資材を製造する微生物資材製造装置、
    後述する微生物活性化装置に、該下水処理システムの系のいずれかからの水を給送するための水給送手段、
    後述する微生物活性化装置に、酸素を供給するための酸素供給手段、
    前記微生物資材製造装置からの微生物資材を受け、かつ前記酸素供給手段からの酸素、および水給送手段からの水の供給を受けると共に、この水の温度を10度〜40度に、酸素濃度を1〜10mg/Lに維持して、前記微生物資材中の前記芽胞を発芽させて、活性化された前記好気性微生物を含有する活性微生物資材とする微生物資材活性化装置、および
    この微生物活性化装置からの活性微生物資材を、前記生物処理槽に供給する活性微生物資材供給装置
    を備え、
    前記生物処理槽が、上流側に設けられ、リン蓄積菌によるリン放出反応を行うための嫌気槽と、この嫌気槽の下流側に設けられ、有機物の処理と、前記リン蓄積菌によるリン蓄積を行うための好気槽を備え、
    前記嫌気槽と最終沈殿池の間には返送汚泥供給経路が設けられ、最終沈殿池から嫌気槽へ汚泥の一部を返送するようになっており、
    前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記嫌気槽と、好気槽のうち少なくとも好気槽に供給するようになっており、これにより、該好気槽内の下水のMLSSを、2000mg/L〜4000mg/Lに維持する
    ことを特徴とする下水処理システム。
  2. 前記水給送手段からの水の温度を15度〜40度に維持する請求項1の下水処理システム。
  3. 前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記嫌気槽にも供給するようになっており、これにより、該嫌気槽内のリン蓄積菌のリン放出の働きを増大する請求項1または2の下水処理システム。
  4. 前記生物処理槽が、前記嫌気槽と好気槽の間に、脱窒菌による脱窒を行う無酸素槽を更に備えており、前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記無酸素槽にも供給するようになっており、これにより、該無酸素槽内の脱窒菌の脱窒の働きを増大する請求項1〜3のいずれかの下水処理システム。
  5. 前記微生物資材中の微生物のうち、前記好気性微生物の量が、50%以上である請求項1〜4のいずれかの下水処理システム。
  6. 前記水分調整手段が、脱水機である請求項1〜5のいずれかの下水処理システム。
  7. 前記水分調整手段が、前記汚泥に、水分調整のための乾燥資材を添加して水分調整を行う水分調整器である請求項1〜5のいずれかの下水処理システム。
  8. 前記所定含水率が、85%以下である請求項1〜7のいずれかの下水処理システム。
  9. 前記活性微生物資材の前記生物処理槽の好気槽への供給が、連続的に行われる請求項1〜8のいずれかの下水処理システム。
  10. 前記下水処理設備が、最初沈殿池を更に有し、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、該最初沈殿池からの溢水である請求項1〜9のいずれかの下水処理システム。
  11. 前記下水処理設備が、最初沈殿池を更に有し、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記最初沈殿池に入る前の下水である請求項1〜9のいずれかの下水処理システム。
  12. 前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記下水処理設備により処理済みの水である請求項1〜9のいずれかの下水処理システム。
  13. 前記下水処理設備が、前記最終沈殿池からの水を消毒するための消毒槽を備え、前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、この消毒槽における消毒前の水である請求項1〜9のいずれかの下水処理システム。
  14. 前記水給送手段からの水が、前記芽胞の発芽に必要な栄養素を備えている請求項1〜13のいずれかの下水処理システム。
  15. 前記嫌気性および通性嫌気性微生物が、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものである請求項1〜14のいずれかの下水処理システム。
  16. 前記活性微生物資材供給装置は、前記微生物活性化装置からの、活性化された微生物資材を、前記好気槽の前半部に供給する請求項1〜15のいずれかの下水処理システム。
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