JP4374332B2 - 薄膜作製装置及び薄膜作製方法 - Google Patents

薄膜作製装置及び薄膜作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属乃至これを含む複合金属で形成した被エッチング部材にハロゲンガスを作用させてそのハロゲン化物である前駆体を形成し、この前駆体を基板上に吸着させて所定の金属薄膜を形成する薄膜作製装置及び薄膜作製方法に関する。
現在、半導体等の製造においては、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いた成膜が知られている。プラズマCVD装置とは、チャンバ内に導入した膜の材料となる有機金属錯体等のガスを、高周波アンテナから入射する高周波によりプラズマ状態にし、プラズマ中の活性な励起原子によって基板表面の化学的な反応を促進して金属薄膜等を成膜する装置である。
これに対し、本発明者等は、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属成分であって、成膜を望む金属成分からなる被エッチング部材をチャンバ内に設置し、前記被エッチング部材をハロゲンガスのプラズマによりエッチングすることで金属成分のハロゲン化物である前駆体を生成させるとともに、前駆体の金属成分のみを基板上に成膜するプラズマCVD装置(以下、新方式のプラズマCVD装置という)および成膜方法を開発した(例えば、下記特許文献1参照)。
上記新方式のプラズマCVD装置では、成膜される金属源となる被エッチング部材の温度に対して基板の温度が低くなるように制御して基板に当該金属膜を成膜している。例えば、被エッチング部材をCu、ハロゲンガスをClとした場合、被エッチング部材を高温(例えば300°C〜700°C)に制御し、また基板を低温(例えば200°C程度)に制御することにより、基板にCu薄膜を形成することができる。
また、上記新方式のプラズマCVD装置において、被エッチング部材をエッチングして形成していた前駆体は、必ずしもハロゲンガスのプラズマを形成しなくても得ることができることが分かってきた。即ち、ハロゲンガスを高温の被エッチング部材に作用させるだけでもこの被エッチング部材がサーマルエッチングされる結果、所望の前駆体を得ることができる。そして、この前駆体を基板上に吸着させた後、ハロゲンを引き抜くことにより所望の金属の薄膜を基板上に析出させることができる。
特開2003−147534号公報
上記新方式のプラズマCVD装置において、ハロゲンガスのプラズマを形成して被エッチング部材をエッチングする場合、及び、高温の被エッチング部材にハロゲンガスを作用させる場合のいずれにおいても、安定した成膜を行うためにはハロゲンガスを均一に供給する必要がある。一般的にプラズマCVD装置においては、チャンバの天井部分にプラズマ源となるアンテナ等が設置されているため、チャンバの側部からハロゲンの供給を行っているのが現状である。このため、供給ノズルをチャンバの中央部まで延設する等してハロゲンガスの供給の均一化を図っているが、均一化には限度がありハロゲンガスの供給の更なる均一化が臨まれているのが実情である。
本発明は、上述の如き新方式のプラズマCVD装置において、ハロゲンガスの供給を均一にして均等な薄膜を作成することができる薄膜作製装置及び薄膜作製方法を提供することを目的とする。

上記目的を達成するための第1の態様の薄膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバの上面部に設けられ、ハロゲンガスが供給される流体室を有すると共に供給されたハロゲンガスをチャンバ内に向けて噴出させる多数の噴出孔が前記流体室の下面に形成されたシャワーヘッドと、高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材と、前記被エッチング部材を所定の温度に加熱することで加熱された前記被エッチング部材に前記シャワーヘッドから噴出されたハロゲンガスが接触した際に前記元素とハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成させる加熱手段と、前記チャンバの内部にハロゲンラジカルを供給するハロゲンラジカル供給手段と、前記基板の温度を相対的に低温の所定温度に制御して前記加熱手段により形成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行う温度制御手段とを備えたことを特徴とする。
第1の態様では、加熱手段で加熱された被エッチング部材に対し、ハロゲンガスをシャワーヘッドから供給するので、ハロゲンガスの供給を均一にして前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。

上記目的を達成するための第2の態様の薄膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバの上面部に設けられ、ハロゲンガスが供給される流体室を有すると共に供給されたハロゲンガスをチャンバ内に向けて噴出させる多数の噴出孔が前記流体室の下面に形成されたシャワーヘッドと、高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材と、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記被エッチング部材を前記ハロゲンラジカルでエッチングすることにより、前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成するプラズマ発生手段と、前記基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に前記プラズマ発生手段により生成された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行う温度制御手段とを備えたことを特徴とする。
第2の態様では、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給するので、均一な分布でハロゲンラジカルが生成されて前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。
上記目的を達成するための第3の態様の薄膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバの上面部に設けられ、ハロゲンガスが供給される流体室を有すると共に供給されたハロゲンガスをチャンバ内に向けて噴出させる多数の噴出孔が前記流体室の下面に形成されたシャワーヘッドと、高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材と、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記ハロゲンラジカルにより前記温度維持手段により所定温度に維持された前記被エッチング部材をエッチングすることにより、前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成するプラズマ発生手段と、前記チャンバの内部にハロゲンラジカルを供給するハロゲンラジカル供給手段と、前記基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行う温度制御手段とを備えたことを特徴とする。
第3の態様では、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給するので、均一な分布でハロゲンラジカルが生成されて前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。

そして、第4の態様の薄膜作製装置は、第2の態様もしくは第3の態様のいずれかに記載の薄膜作製装置において、前記基板側にバイアス電圧を印加するバイアス手段を前記流体室と前記基板側との間に備えたことを特徴とする。
第4の態様では、バイアス手段により基板側にバイアス電圧を印加するので、前駆体やハロゲンラジカルが基板に引き込まれて、例えば、狭いホールなどに対しても効率的に薄膜を作成することができる。
また、第5の態様の薄膜作製装置は、第2の態様乃至第4の態様のいずれかに記載の薄膜作製装置において、前記被エッチング部材を所定の温度に加温する温度維持手段を備えたことを特徴とする。
第5の態様では、温度維持手段により被エッチング部材を加温することで、被エッチング部材を材料に応じた最適な温度に維持することができる。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の薄膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバの上面部に設けられ、ハロゲンガスが供給される流体室を有すると共に供給されたハロゲンガスをチャンバ内に向けて噴出させる多数の噴出孔が前記流体室の下面に形成されたシャワーヘッドと、高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材と、前記被エッチング部材を所定の温度に加熱することで加熱された前記被エッチング部材に前記シャワーヘッドから噴出されたハロゲンガスが接触した際に前記元素とハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成させる加熱手段と、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記ハロゲンラジカルで前記被エッチング部材をエッチングすることにより、前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成するプラズマ発生手段と、前記チャンバの内部にハロゲンラジカルを供給するハロゲンラジカル供給手段と、前記基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして、前記加熱手段により形成された前記前駆体のガスもしくは前記プラズマ発生手段により生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に、前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に、前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルもしくは前記プラズマ発生手段により生成された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行う温度制御手段と、前記加熱手段により形成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させて前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元する熱励起状態、もしくは、前記プラズマ発生手段により生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させて前記プラズマ発生手段により生成された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元するプラズマ励起状態を選択する選択手段とを備えたことを特徴とする。
請求項に係る本発明では、加熱手段で加熱された被エッチング部材に対し、ハロゲンガスをシャワーヘッドから供給してハロゲンガスの供給を均一にして前駆体のガスを均一に形成する状態と、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給して均一な分布でハロゲンラジカルが生成されて前駆体のガスを均一に形成する状態とを、選択手段により選択することができるので、被エッチング部材の材料や処理時間の状況等に応じて熱励起状態での薄膜作製とプラズマ励起による薄膜作製とを使い分けることが可能になる。
そして、本発明の請求項に係る薄膜作製装置は、請求項に記載の薄膜作製装置において、前記選択手段は、プラズマ発生手段により発生するプラズマ領域の位置と前記プラズマ領域を外れた位置との間で前記被エッチング部材を相対的に移動させる移動手段であることを特徴とする。
請求項に係る本発明では、被エッチング部材を相対的に移動させることにより熱励起状態での薄膜作製とプラズマ励起による薄膜作製とを使い分けることができる。
上記目的を達成するための第8の態様の薄膜作製方法は、チャンバ内で高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材を加熱し、加熱された前記被エッチング部材にシャワーヘッドから噴出されたハロゲンガスを接触させて前記元素とハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成し、チャンバの外部からハロゲンラジカルを供給し、基板の温度を相対的に低温の所定温度に制御して前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に外部から供給された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行うことを特徴とする。
第8の態様では、加熱された被エッチング部材に対し、ハロゲンガスをシャワーヘッドから供給するので、ハロゲンガスの供給を均一にして前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。
上記目的を達成するための第9の態様の薄膜作製方法は、チャンバ内にシャワーヘッドからハロゲンガスを供給し、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記温度維持手段で所定温度に維持された前記被エッチング部材をプラズマ励起による前記ハロゲンラジカルでエッチングすることにより前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成し、基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体にプラズマ励起による前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行うことを特徴とする。
第9の態様では、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給するので、均一な分布でハロゲンラジカルが生成されて前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。
上記目的を達成するための第10の態様の薄膜作製方法は、チャンバ内にシャワーヘッドからハロゲンガスを供給し、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記温度維持手段で所定温度に維持された前記被エッチング部材をプラズマ励起による前記ハロゲンラジカルでエッチングすることにより前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成する一方、チャンバの外部からハロゲンラジカルを供給し、基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に外部から供給された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行うことを特徴とする。

第10の態様では、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給するので、均一な分布でハロゲンラジカルが生成されて前駆体のガスを均一に形成することができる。このため、均等な薄膜を作成することが可能になる。
そして、第11の態様の薄膜作製方法は、第9の態様もしくは第10の態様のいずれかの薄膜作製方法において、前記基板側にバイアス電圧を印加して前記前駆体のガス及び前記ハロゲンラジカルを前記基板に引き込むことを特徴とする。
第11の態様では、基板側にバイアス電圧を印加するので、前駆体やハロゲンラジカルが基板に引き込まれて、例えば、狭いホールなどに対しても効率的に薄膜を作成することができる。
また、第12の態様の薄膜作製方法は、第9の態様乃至第11の態様のいずれかの薄膜作製方法において、前記被エッチング部材を所定の温度に加温することを特徴とする。
第12の態様では、被エッチング部材を加温することで、被エッチング部材を材料に応じた最適な温度に維持することができる。
上記目的を達成するための第13の態様の薄膜作製方法は、チャンバ内で高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材を加熱し、加熱された前記被エッチング部材にシャワーヘッドから噴出されたハロゲンガスを接触させて熱励起で前記元素とハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成し、もしくは、チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記ハロゲンラジカルにより前記温度維持手段により所定温度に維持された前記被エッチング部材をエッチングすることにより、プラズマ励起で前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成する一方、チャンバの外部からハロゲンラジカルを供給し、前記基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして、前記熱励起で形成された前記前駆体のガス、もしくは、前記プラズマ励起で生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に、前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に、外部から供給された前記ハロゲンラジカル、もしくは、プラズマ励起で生成された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行うようにし、前記熱励起で形成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させて外部から供給された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元する熱励起状態、もしくは、前記プラズマ励起で生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させてプラズマ励起で生成された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元するプラズマ励起状態を選択し、熱励起による成膜もしくはプラズマ励起による成膜を選択的に行うことを特徴とする。
第13の態様では、加熱された被エッチング部材に対しハロゲンガスをシャワーヘッドから供給してハロゲンガスの供給を均一にして前駆体のガスを均一に形成する状態と、ハロゲンガスをシャワーヘッドから被エッチング部材に対して供給して均一な分布でハロゲンラジカルを生成して前駆体のガスを均一に形成した状態とを、選択することができるので、被エッチング部材の材料や処理時間の状況等に応じて熱励起状態での薄膜作製とプラズマ励起による薄膜作製とを使い分けることが可能になる。
そして、第14の態様の薄膜作製方法は、第13の態様の薄膜作製方法において、プラズマ励起時のプラズマ領域の位置と前記プラズマ領域を外れた位置との間で前記被エッチング部材を相対的に移動させて熱励起による成膜もしくはプラズマ励起による成膜を選択することを特徴とする。
第14の態様では、被エッチング部材を相対的に移動させることにより熱励起状態での薄膜作製とプラズマ励起による薄膜作製とを使い分けることができる。
本発明の薄膜作製装置は、前述した新方式のプラズマCVD装置において、ハロゲンガスの供給を均一にして均等な薄膜を作成することができる薄膜作製装置となる。
また、本発明の薄膜作製方法は、前述した新方式のプラズマCVD装置において、ハロゲンガスの供給を均一にして均等な薄膜を作成することができる薄膜作製方法となる。
以下本発明の実施の形態に係る薄膜作製装置及び薄膜作製方法を図面に基づき詳細に説明する。
(第1実施形態例)
図1には本発明の第1実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面、図2には被エッチング部材の全体の斜視状態、図3には被エッチング部材の要部断面を示してある。
図1に示すように、円筒状に形成されたチャンバ1(例えば、アルミニウム製)の下部には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置されている。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5からなる温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃から300℃に維持される温度)に制御される。尚、チャンバの形状は円筒状に限らず、例えば、矩形状のチャンバを適用することも可能である。
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材料製(例えば、セラミックス製)の板状の天井板7によって塞がれている。天井板7の中央部にはシャワーヘッド11が設けられている。シャワーヘッド11はハロゲンガスとしての塩素ガス(Clガス)が供給される金属製(アルミニウム等)の流体室12を有し、流体室12の底面にはチャンバ1内を臨む多数の噴射孔13が形成された噴射板14が設けられている。流体室12に供給されたClガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。流体室12の上部にはノズル10が接続され、ノズル10を介してClガスが流体室12内に供給される。
シャワーヘッド11からClガスをチャンバ1内に供給することで、Clガスの供給を均一に行うことができ、後述する前駆体を均一に生成して均等な薄膜を作成することが可能になる。
シャワーヘッド11の下部におけるチャンバ1には高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料である銅(Cu)製の被エッチング部材15が備えられ、被エッチング部材15の上側(シャワーヘッド側)には加熱手段としてのヒータ手段16が設けられている。被エッチング部材15とヒータ手段16は一体に構成されて材料供給手段17とされ、被エッチング部材15を所定の温度で加熱することにより、加熱された被エッチング部材15と噴射孔13から噴射されたClガスが接触してCuと塩素との化合物である前駆体のガス(CuCl)が形成される。
尚、チャンバ1には高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材としては、ハロゲン化物形成金属、好ましくは、塩化物形成金属であるAg、Au、Ta、Ti、W等を適用することが可能である。
図2、図3に基づいて材料供給手段17の構成を説明する。
図2、図3に示すように、材料供給手段17は、チャンバ1に固定されるリング部18を備え、リング部18の内周側に被エッチング部材15及びヒータ手段16からなる長尺部材19が備えられている。長尺部材19はチャンバ1の中心部から放射状に半径方向に、例えば、8本形成されている。ヒータ手段16には枠部材31(例えば、絶縁体製)が備えられ、枠部材31は下部が開放された状態の断面コ字型に形成されている。枠部材31にはヒータ枠33(例えば、石英製)が備えられ、枠部材31とヒータ枠33との間にヒータ棒34が収められている。ヒータ枠33の下面に長尺板状の被エッチング部材15が取り付けられている。全てのヒータ棒34は電気的に接続された状態にあり、電源35を介して通電されることにより発熱して(抵抗加熱手段)被エッチング部材15が加熱される。
尚、8本の長尺部材19の少なくとも一箇所に異なる金属の被エッチング部材を配設し、その部位のヒータを独立に制御して被エッチング部材を加熱することも可能である。このようにすることで、異種の金属の前駆体のガスをチャンバ1内に供給することができる。被エッチング部材の種類を適宜選定し、加熱を独立して制御することで、合金を成膜したり、複数種の金属を積層して成膜することが可能になる。
また、材料供給手段17に塩素ガスが流通する流路を設けて加熱された被エッチング部材15に塩素ガスを接触させるようにし、塩素ガスの流路にチャンバ1内に開口する噴射孔13を設け、材料供給手段とシャワーヘッドを一体にした構成にすることも可能である。
一方、材料供給手段17の下側におけるチャンバ1の周囲(例えば、4箇所)には開口部21が設けられ、開口部21には筒状のラジカル通路22の一端が固定されている。ラジカル通路22の途中部には絶縁体製の筒状の励起室23が設けられ、励起室23の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ24が設けられている。プラズマアンテナ24には整合器25及び電源26が接続され、電源26から給電が行われる。ラジカル通路22にはハロゲンとしての塩素ガス(Clガス)が供給され、プラズマアンテナ24から電磁波を励起室23の内部に入射することでClガスが励起されてハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClが形成される。励起室23で形成された塩素ラジカルClは開口部21からチャンバ1内に供給される(ハロゲンラジカル供給手段)。
チャンバ1内に前駆体CuClが形成されるとともに塩素ラジカルClが供給されることにより、相対的に低温(例えば、100℃から300℃)に維持された基板3にCuClが吸着し、基板3に吸着状態となっているCuClにClが作用してCuClが還元され、基板3にCu成分を析出させて成膜が行なわれる。尚、成膜に寄与しないガス等は排気口27から真空装置28を介して排気される。
上述した薄膜作製装置では、電源35の電力を調整してヒータ棒34の発熱量を制御し(例えば、1500℃)、被エッチング部材15を所望の温度(例えば、800℃〜1000℃)に加熱する。ノズル10から流体室12にClガスを供給することにより、Clガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。チャンバ1内にClガスが均一に供給され、加熱された被エッチング部材15にClガスが接触してサーマルエッチングが行われる。所望温度を例えば、800℃〜1000℃としたことにより、成膜に必要な十分な量の前駆体CuClが生成される。噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射されたClガスと接触して生成された前駆体CuClは均一な流れにより基板3側に供給される。
同時に、ラジカル通路22に塩素ガス(Clガス)が供給され、プラズマアンテナ24から電磁波が励起室23の内部に入射されてClが形成される。励起室23で形成されたClは開口部21からチャンバ1内に供給される。
温度制御手段6により基板3の温度が被エッチング部材15の温度よりも低い温度(例えば、100℃〜300℃)に設定され、前駆体CuClが基板3に吸着(堆積)される。この時の反応は、例えば、次式で表される。
CuCl(g)→CuCl(ad)
基板3に吸着したCuClは、開口部21からチャンバ1内に供給された塩素ラジカルClにより還元されてCu成分となる。この時の反応は、例えば、次式で表される。
CuCl(ad)+Cl→Cu(s)+Cl
更に、ガス化したCuCl(g)の一部は、基板3に吸着する前に、塩素ラジカルClにより還元されてガス状態のCuとなる場合もあり、ガス状態のCu成分が基板3に吸着される。これにより、基板3にCuの薄膜が作製される。
上述した薄膜作製装置では、噴射孔13からチャンバ1内に向けてClガスを均一に噴射し、ヒータ棒34の発熱量を制御して所望の温度に維持された被エッチング部材15にClガスを接触させて前駆体CuClを均一な流れで生成して基板3に吸着させ、別途供給した塩素ラジカルClにより還元して基板3にCuの薄膜を作製している。このため、被エッチング部材15の温度制御が容易になり、前駆体CuClの流れが良好にされて、均等なCu薄膜を作成することができる。
(第2実施形態例)
図4には本発明の第2実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面を示してある。第2実施形態例は、ハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClをプラズマ発生手段によりチャンバ内で形成するようにしたものである。このため、図1に示した第1実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
図4に示すように、チャンバ1の下部には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置されている。支持台2には温度制御手段6が設けられ、温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃から300℃に維持される温度)に制御される。チャンバ1の上面の天井板7にはシャワーヘッド11が設けられ、ノズル10からシャワーヘッド11の流体室12に供給されたClガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。
シャワーヘッド11からClガスをチャンバ1内に供給することで、第1実施形態例と同様に、Clガスの供給を均一に行うことができ、後述する前駆体を均一に生成して均等な薄膜を作成することが可能になる。
シャワーヘッド11の下部におけるチャンバ1には高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料である銅(Cu)製の被エッチング部材15が備えられ、被エッチング部材15の上側(シャワーヘッド側)には温度維持手段としてのヒータ37が設けられ、被エッチング部材15はヒータ37により所定の温度に維持される。
ヒータ37を設けたことにより、材料に応じて被エッチング部材15を最適な温度に維持することができる。特に、異種の材料からなる被エッチング部材を適用した場合、材料に応じてヒータを個別に制御することで材料に応じた温度制御が容易に行える。尚、ヒータ37を省略することも可能である。
一方、ヒータ37を備えた被エッチング部材15の下側のチャンバ1の外周にはチャンバ1の内部をプラズマ化するコイルアンテナ38が設けられ、コイルアンテナ38には整合器39及び電源40が接続されて高周波電流が供給される(プラズマ発生手段)。コイルアンテナ38に対応する部位のチャンバ1内には絶縁板41(例えば、SiO)が設けられている。
第2実施形態例では、ノズル10から流体室12にClガスを供給することにより、Clガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。コイルアンテナ38から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Clガスをイオン化してClガスプラズマ42を発生させる。Clガスプラズマ42を発生させて塩素ラジカルClを生じさせ、塩素ラジカルClにより被エッチング部材15にエッチング反応を生じさせることでチャンバ1内に前駆体CuClが生成される。また、チャンバ1内にはエッチング反応に用いられない塩素ラジカルClが形成される。
チャンバ1内にCuClとClが生成されることにより、相対的に低温(例えば、100℃から300℃)に維持された基板3にCuClが吸着(堆積)し、基板3に吸着状態となっているCuClにClが作用してCuClが還元され、基板3にCu成分を析出させて成膜が行なわれる。尚、成膜に寄与しないガス等は排気口27から真空装置28を介して排気される。
上述した薄膜作製装置では、噴射孔13からチャンバ1内に向けてClガスを均一に噴射し、プラズマ発生手段により塩素ラジカルClを形成して被エッチング部材15をエッチングすることにより前駆体CuClを均一な流れで生成して基板3に吸着させ、プラズマ発生手段により形成した塩素ラジカルClにより還元して基板3にCuの薄膜を作製している。このため、成膜速度を速くした状態で前駆体CuClの流れが良好にされて、均等なCu薄膜を作成することができる。
(第3実施形態例)
図5には本発明の第3実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面を示してある。第3実施形態例は、ハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClをプラズマ発生手段によりチャンバ内で形成するようにした第2実施形態例に加え、基板側にバイアス電圧を印加するようにしたものである。このため、図4に示した第2実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
図に示すように、金属製の流体室12と支持台2との間にはバイアス電源45が設けられ、成膜時にバイアス電源45により基板3側にバイアス電圧が印加される。このため、前駆体CuClや塩素ラジカルClが基板3側に引き込まれ、例えば、狭いホールなどに対しても効率的に薄膜を作成することができる。
(第4実施形態例)
図6には本発明の第4実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面を示してある。第4実施形態例は、ハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClをプラズマ発生手段によりチャンバ内で形成し、塩素ラジカルClにより被エッチング部材をエッチングすると共に、還元用の塩素ラジカルClを別途供給するようにしたものである。このため、図4に示した第2実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。本実施形態例において、第3実施形態例と同様にバイアス電源45を設けることも可能である。
第4実施形態例では、ノズル10から流体室12にClガスを供給することにより、Clガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。コイルアンテナ38から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Clガスをイオン化してClガスプラズマ42を発生させる。Clガスプラズマ42を発生させて塩素ラジカルClを生じさせ、塩素ラジカルClにより被エッチング部材15にエッチング反応を生じさせることでチャンバ1内に前駆体CuClが生成される。
一方、被エッチング部材15の下側におけるチャンバ1の周囲(例えば、4箇所)には開口部21が設けられ、開口部21には筒状のラジカル通路22の一端が固定されている。ラジカル通路22の途中部には絶縁体製の筒状の励起室23が設けられ、励起室23の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ24が設けられている。プラズマアンテナ24には整合器25及び電源26が接続され、電源26から給電が行われる。ラジカル通路22にはハロゲンとしての塩素ガス(Clガス)が供給され、プラズマアンテナ24から電磁波を励起室23の内部に入射することでClガスが励起されてハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClが形成される。励起室23で形成された塩素ラジカルClは開口部21からチャンバ1内に供給される(ハロゲンラジカル供給手段)。
チャンバ1内に前駆体CuClが生成されると共に塩素ラジカルClが供給されることにより、相対的に低温(例えば、100℃から300℃)に維持された基板3にCuClが吸着(堆積)し、基板3に吸着状態となっているCuClにClが作用してCuClが還元され、基板3にCu成分を析出させて成膜が行なわれる。尚、成膜に寄与しないガス等は排気口27から真空装置28を介して排気される。
還元用の塩素ラジカルClを別途供給するようにしたので、基板3に対するダメージを抑制してCu成分を析出させて成膜を行うことができる。また、塩素ラジカルClによる還元を確実に実施することができる。
(第5実施形態例)
図7には本発明の第5実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面を示してある。第5実施形態例は、塩素ガスを加熱された被エッチング部材に接触させて前駆体CuClを生成すると共にハロゲンラジカルとしての塩素ラジカルClをプラズマ発生手段によりチャンバ内で形成するようにしたものである(熱励起状態)。また、加熱せずに塩素ラジカルClをプラズマ発生手段によりチャンバ内で形成し、塩素ラジカルClにより被エッチング部材をエッチングするようにしたものである(プラズマ励起状態)。そして、被エッチング部材の位置を変えて、熱励起状態とプラズマ励起状態を選択することができるようにしてある。このため、図1、図4に示した第1実施形態例、第2実施形態例と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。本実施形態例において、第3実施形態例と同様にバイアス電源45を設けることも可能である。
図7に示すように、チャンバ1の下部には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置されている。支持台2には温度制御手段6が設けられ、温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃から300℃に維持される温度)に制御される。チャンバ1の上面の天井板7にはシャワーヘッド11が設けられ、ノズル10からシャワーヘッド11の流体室12に供給されたClガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。
シャワーヘッド11からClガスをチャンバ1内に供給することで、第1実施形態例と同様に、Clガスの供給を均一に行うことができ、後述する前駆体を均一に生成して均等な薄膜を作成することが可能になる。
また、シャワーヘッド11の下部におけるチャンバ1には高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料である銅(Cu)製の被エッチング部材51が備えられ、被エッチング部材51の上側(シャワーヘッド側)には加熱手段としてのヒータ手段52が設けられている。被エッチング部材51とヒータ手段52は一体に構成されて材料供給手段53とされ、被エッチング部材15を所定の温度で加熱することにより、加熱された被エッチング部材15と噴射孔13から噴射されたClガスが接触してCuと塩素との化合物である前駆体のガス(CuCl)が形成される(熱励起状態)。
一方、チャンバ1の外周にはチャンバ1の内部をプラズマ化するコイルアンテナ38が設けられ、コイルアンテナ38には整合器39及び電源40が接続されて高周波電流が供給される(プラズマ発生手段)。コイルアンテナ38に対応する部位のチャンバ1内には絶縁板41(例えば、SiO)が設けられている。コイルアンテナ38から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Clガスをイオン化してClガスプラズマ42を発生させる。Clガスプラズマ42を発生させて塩素ラジカルClを生じさせ、塩素ラジカルClにより被エッチング部材51にエッチング反応を生じさせることでチャンバ1内に前駆体CuClが生成される(プラズマ励起状態)。
被エッチング部材51とヒータ手段52が一体に構成された材料供給手段53は、選択手段としての昇降手段54により、コイルアンテナ38の上側の位置、即ち、プラズマ領域から外れた位置(図中実線で示してある)と、コイルアンテナ38に対応する位置、即ち、プラズマ領域(Clガスプラズマ42の領域)とに位置決め昇降される。材料供給手段53の具体的な構成は、第1実施形態例における材料供給手段17のリング部18を除いた構成と基本的に同一である。昇降手段としては、天井側から昇降装置を設けたりチャンバ1の下部から昇降装置を設けたりする構成を適用することができる。また、場合によってはコイルアンテナ38側の部材を昇降させる構成とすることも可能である。
尚、材料供給手段53に塩素ガスが流通する流路を設けて加熱された被エッチング部材51に塩素ガスを接触させるようにし、塩素ガスの流路にチャンバ1内に向けて開口する噴射孔を設け、材料供給手段とシャワーヘッドを一体にした構成にすることも可能である。
上述した薄膜作製装置では、熱励起状態とプラズマ励起状態が被エッチング部材51(材料供給手段53)の昇降により適宜選択される。熱励起状態は、温度制御が良好に行われるため、成膜状態の制御が容易となる。プラズマ励起状態は、成膜速度を速くして成膜を行うことができる。特に、複数種類の金属の被エッチング部材を用いて合金を作製する場合に制御性の良い熱励起を適することが好適であり、単一金属の被エッチング部材の場合に高速で成膜ができるプラズマ励起を適用することが好適である。このため、一つの装置で形態が異なる成膜を実施することが可能になる。
熱励起状態の場合を説明する。
昇降手段により材料供給手段53を図中実線に示す位置に位置決めし、被エッチング部材51を所望の温度(例えば、800℃〜1000℃)に加熱する。ノズル10から流体室12にClガスを供給することにより、Clガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。チャンバ1内にClガスが均一に供給され、加熱された被エッチング部材51にClガスが接触してサーマルエッチングが行われる。所望温度を例えば、800℃〜1000℃としたことにより、成膜に必要な十分な量の前駆体CuClが生成される。噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射されたClガスと接触して生成された前駆体CuClは均一な流れにより基板3側に供給される。また、コイルアンテナ38から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Clガスをイオン化してClガスプラズマ42を発生させ、塩素ラジカルClを形成する。
温度制御手段6により基板3の温度が被エッチング部材51の温度よりも低い温度(例えば、100℃〜300℃)に設定され、前駆体CuClが基板3に吸着(堆積)される。基板3に吸着したCuClは、塩素ラジカルClにより還元されてCu成分となる。これにより、制御性が良好にされた温度制御により基板3にCuの薄膜が作製される。
熱励起の場合、被エッチング部材51の温度を任意に制御することができるので、複数種類の金属で被エッチング部材を構成し、金属の種類毎に温度制御を独立して行うことで、合金や積層金属膜の成膜が可能になる。
プラズマ励起状態の場合を説明する。
昇降手段により材料供給手段53を図中点線に示す位置に位置決めし、ヒータ手段52による加熱を停止する(所定の温度維持に使用することは可能)。ノズル10から流体室12にClガスを供給することにより、Clガスは噴射板14の噴射孔13からチャンバ1内に向けて噴射される。コイルアンテナ38から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Clガスをイオン化してClガスプラズマ42を発生させる。Clガスプラズマ42を発生させて塩素ラジカルClを生じさせ、塩素ラジカルClにより被エッチング部材51にエッチング反応を生じさせることでチャンバ1内に前駆体CuClを生成する。また、チャンバ1内にはエッチング反応に用いられない塩素ラジカルClが形成される。
温度制御手段6により基板3の温度が被エッチング部材51の温度よりも低い温度(例えば、100℃〜300℃)に設定され、前駆体CuClが基板3に吸着(堆積)される。基板3に吸着したCuClは、塩素ラジカルClにより還元されてCu成分となる。これにより、プラズマにより発生した塩素ラジカルClを用いて基板3にCuの薄膜が効率よく作製される。
本発明は、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属乃至これを含む複合金属で形成した被エッチング部材にハロゲンガスを作用させてそのハロゲン化物である前駆体を形成し、この前駆体を基板上に吸着させて所定の金属薄膜を形成する薄膜作製装置及び薄膜作製方法の産業分野で利用することができる。
本発明の第1実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面図である。 被エッチング部材の全体の斜視図である。 被エッチング部材の要部断面図である。 本発明の第2実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面図である。 本発明の第3実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面図である。 本発明の第4実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面図である。 本発明の第5実施形態例に係る薄膜作製装置の概略側面図である。
符号の説明
1 チャンバ
2 支持台
3 基板
4 ヒータ
5 冷媒流通手段
6 温度制御手段
7 天井板
10 ノズル
11 シャワーヘッド
12 流体室
13 噴出孔
14 噴射板
15 被エッチング部材
16 ヒータ手段
17 材料供給装置
18 リング部
19 長尺部材
21 開口部
22 ラジカル通路
23 励起室
24 プラズマアンテナ
25 整合器
26 電源
27 排気口
28 真空装置
31 枠部材
33 ヒータ枠
34 ヒータ棒
35 電源
37 ヒータ
38 コイルアンテナ
39 整合器
40 電源
41 絶縁板
42 Clガスプラズマ
45 バイアス電源
51 被エッチング部材
52 ヒータ手段
53 材料供給手段
54 昇降手段

Claims (2)

  1. 基板が収容されるチャンバと、
    前記チャンバの上面部に設けられ、ハロゲンガスが供給される流体室を有すると共に供給されたハロゲンガスをチャンバ内に向けて噴出させる多数の噴出孔が前記流体室の下面に形成されたシャワーヘッドと、
    高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含む材料で形成される被エッチング部材と、
    前記被エッチング部材を所定の温度に加熱することで加熱された前記被エッチング部材に前記シャワーヘッドから噴出されたハロゲンガスが接触した際に前記元素とハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成させる加熱手段と、
    チャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させてハロゲンラジカルを生成し、前記ハロゲンラジカルで前記被エッチング部材をエッチングすることにより、前記元素と前記ハロゲンとの化合物である前駆体のガスを形成するプラズマ発生手段と、
    前記チャンバの内部にハロゲンラジカルを供給するハロゲンラジカル供給手段と、
    前記基板の温度を前記被エッチング部材側の温度よりも低くして、前記加熱手段により形成された前記前駆体のガスもしくは前記プラズマ発生手段により生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させると共に、前記基板に吸着状態となっている前記前駆体に、前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルもしくは前記プラズマ発生手段により生成された前記ハロゲンラジカルを作用させて前記前駆体を還元することで前記前駆体の前記元素成分を析出させて所定の成膜を行う温度制御手段と、
    前記加熱手段により形成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させて前記ハロゲンラジカル供給手段から供給された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元する熱励起状態、もしくは、前記プラズマ発生手段により生成された前記前駆体のガスを前記基板に吸着させて前記プラズマ発生手段により生成された前記ハロゲンラジカルにより前記前駆体を還元するプラズマ励起状態を選択する選択手段と
    を備えたことを特徴とする薄膜作製装置。
  2. 前記選択手段は、プラズマ発生手段により発生するプラズマ領域の位置と前記プラズマ領域を外れた位置との間で前記被エッチング部材を相対的に移動させる移動手段であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜作製装置。
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