JP3801595B2 - 薄膜作製方法及び薄膜作製装置 - Google Patents

薄膜作製方法及び薄膜作製装置 Download PDF

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Description

本発明は薄膜作製方法及び薄膜作製装置に関し、特に高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属の複数種類を所定割合で混合した複合金属の薄膜を形成する場合に適用して有用なものである。
現在、半導体等の製造においては、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition) 装置を用いた成膜が知られている。プラズマCVD装置とは、チャンバ内に導入した膜の材料となる有機金属錯体等のガスを、高周波アンテナから入射する高周波によりプラズマ状態にし、プラズマ中の活性な励起原子によって基板表面の化学的な反応を促進して金属薄膜等を成膜する装置である。
これに対し、本発明者等は、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属成分であって、成膜を望む金属成分からなる被エッチング部材をチャンバ内に設置し、前記被エッチング部材をハロゲンガスのプラズマによりエッチングすることで金属成分のハロゲン化物である前駆体を生成させるとともに、前駆体の金属成分のみを基板上に成膜するプラズマCVD装置(以下、新方式のプラズマCVD装置という。)及び成膜方法を開発した(例えば、下記、特許文献1参照。)。
特開2003−147534号公報
上記新方式のプラズマCVD装置では、成膜される金属源となる被エッチング部材の温度に対して基板の温度が低くなるように制御して基板に当該金属膜を成膜している。例えば、被エッチング部材をCu、ハロゲンガスをCl2とした場合、被エッチング部材を高温(例えば300°C〜700°C)に、また基板を低温(例えば200°C程度)に制御することにより、前記基板にCu薄膜を形成することができる。
ここで、被エッチング部材としては、Cuの他に、例えば、Ta、Ti、W、Zn、In、Cd等、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属であれば一般に用いることができる。また、ハロゲンガスであれば、特にCl2に限る必要はない。
上記新方式のプラズマCVD装置において、被エッチング部材をCuで形成した場合には、次の様な反応が起こっていると考えられる。
1)プラズマの解離反応;Cl2 →2Cl*
2)エッチング反応;Cu+Cl* →CuCl(g)
3)基板への吸着反応;CuCl(g)→CuCl(ad)
4)成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑ ・・・(1)
ここで、Cl* はClのラジカルであることを、(g)はガス状態であることを、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
ところで、従来技術に係る新方式のプラズマCVD装置では、被エッチング部材を、例えばCu等の単一金属で形成していた。形成する金属薄膜がCu薄膜等の単一金属膜である場合には勿論、従来技術に係る新方式のプラズマCVD装置で対処し得るが、最近では複数種類の金属を所定割合で混合する複合金属薄膜を形成し得る装置の出現が待望されている。
本発明は、上述の如き要望に鑑み、組成比及び組み合わせを任意且つ容易に選択し得る薄膜作製方法及び薄膜作製装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る薄膜作製方法は、次の点を特徴とする。
1) 高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を少なくとも一種類含む複数種類の材料でそれぞれ形成した被エッチング部材の温度をそれぞれ独立に制御しつつ各被エッチング部材にハロゲンラジカル又はハロゲンガスを作用させてこれらをエッチングすることにより各エッチング量を独立に制御して所定割合で混在するハロゲン化物である複数種類の前駆体を形成し、
これら各前記躯体を相対的に低温に保持した基板上に吸着させた後、ハロゲンを引き抜き、前記各材料成分が所定割合で混在する複合金属膜を析出させて成膜を行うこと。
2) 上記1)に記載する薄膜作製方法において、
各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材にそれぞれ取り付けたヒータで調節して制御し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うこと。
3) 上記1)に記載する薄膜作製方法において、
各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の前記プラズマ対する距離を調節して制御し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うこと。
4) 上記1)に記載する薄膜作製方法において、
各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調節して制御し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うこと。
5) 上記2)乃至4)の何れか一つに記載する薄膜作製方法おいて、
基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うとともに、前記チャンバ外で形成した後、このチャンバ内における前記基板の近傍部分に別途供給するハロゲンラジカルの還元作用も利用すること。
6) 上記1)に記載する薄膜作製方法において、
各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内に通じる複数の通路内にそれぞれ配設した複数種類の被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うとともに、
各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の加熱温度を独立に調節して制御し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ内に発生させるハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うこと。
7) 上記1)に記載する薄膜作製方法において、
各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内に通じる複数の通路内にそれぞれ配設した複数種類の被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うとともに、
各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の加熱温度を独立に調節して制御し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ外で形成したハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルを前記チャンバ内に供給することにより、このハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うこと。
また、上記目的を達成する本発明に係る薄膜作製装置は、次の点を特徴とする。
8) 表面温度を制御可能に形成した基板を収納して真空雰囲気を形成するチャンバと、
少なくとも一種類の高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を含む複数種類の材料でそれぞれ形成した複数種類の被エッチング部材と、
各被エッチング部材の温度を独立に制御し得るように構成した温度制御手段と、
前記チャンバ内に収納してその表面温度を制御可能に形成した基板とを有し、
前記各被エッチング部材の温度をそれぞれ独立に制御しつつ各被エッチング部材にハロゲンラジカル又はハロゲンガスを作用させてこれをエッチングすることにより各エッチング量を独立に制御して所定割合で混在するハロゲン化物である複数種類の前駆体を形成し、
これら各前記躯体を相対的に低温に保持した基板上に吸着させた後、ハロゲンを引き抜き、前記各材料が所定割合で混在する複合金属膜を析出させて成膜を行うように構成したこと。
9) 上記8)に記載する薄膜作製装置において、
各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材にそれぞれ取り付けたヒータで調節して制御するものとして構成し、
さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したこと。
10) 上記8)に記載する薄膜作製装置において、
各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材の前記プラズマに対する距離を調節してプラズマ加熱による熱量を制御するものとして構成し、
さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したこと。
11) 上記8)に記載する薄膜作製装置において、
各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調節して各被エッチング部材のプラズマ加熱による熱量を制御するものとして構成し、
さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したこと。
12) 上記9)乃至11)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成するとともに、前記チャンバ外で形成した後、このチャンバ内に連通するラジカル通路を介してチャンバ内の前記基板の近傍部分に別途供給するハロゲンラジカルを利用した還元作用によっても前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したこと。
13) 上記8)に記載する薄膜作製装置において、
各被エッチング部材は、チャンバ内に連通する複数の通路に別々に配設するとともに、
各被エッチング部材のエッチングは、各被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うように構成する一方、
各被エッチング部材の温度制御手段は、前記各通路において各被エッチング部材が存在する近傍部分に配設したヒータで構成し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成したこと。
14) 上記8)に記載する薄膜作製装置において、
各被エッチング部材は、チャンバ内に連通する複数の通路に別々に配設するとともに、
各被エッチング部材のエッチングは、各被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うように構成する一方、
各被エッチング部材の温度制御手段は、前記各通路において各被エッチング部材が存在する近傍部分に配設したヒータで構成し、
さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ外で形成したハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルを前記チャンバに連通するラジカル供給通路を介して行うように構成したこと。
又、上記目的を達成する本発明に係る薄膜作製方法又は装置は、次の点を特徴とする。
15)
上記1)乃至7)の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
前記高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を、銅、タンタル、チタン、タングステン、亜鉛、インジウム、若しくは、カドミウムとすること。
16)
上記8)乃至14)の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
前記高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を、銅、タンタル、チタン、タングステン、亜鉛、インジウム、若しくは、カドミウムとすること。
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、
請求項1に記載する発明は、上記1)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材の材料を適宜選択し、また各被エッチング部材の温度を所定温度に調節するだけで、所定の混合比の成膜前躯体を得、これを基板上に吸着後、析出させることにより所望の混合比の複合金属膜を形成することができる。すなわち、任意の組み合わせの、任意の混合比の複合金属膜を容易、且つ迅速に得ることができる。
請求項2に記載する発明は、上記2)に記載する通りの構成を有するので、
被エッチング部材のプラズマエッチングにより所定の前躯体を得るとともに、ヒータの温度調節により被エッチング部材の温度を制御して請求項1に記載する効果を得る。この結果、温度制御を最も安価に実現できる。
請求項3に記載する発明は、上記3)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材迄の距離を設定することによりプラズマ加熱による入熱量を調整して被エッチング部材の温度を制御することにより請求項1に記載する効果を得る。この結果、被エッチング部材に関する距離を一度設定してしまえば後はプラズマ条件の制御だけで安定的に再現性よく所望の複合金属膜を得ることができる。また、プラズマ条件の制御だけでは賄えない成膜条件を設定できる。
請求項4に記載する発明は、上記4)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調整することによりプラズマの引き込み量の調整により被エッチング部材の温度を制御することにより請求項1に記載する効果を得る。この結果、混合比の制御を迅速且つ容易に行うことができる。つまり、成膜シーケンスを時間的に細かく調整できる。
請求項5に記載する発明は、上記5)に記載する通りの構成を有するので、
成膜反応に必要なハロゲンラジカルを適切且つ十分に供給することができるので、請求項2乃至4における最終製品である複合金属膜の膜質の向上に資することができる。
請求項6に記載する発明は、上記6)に記載する通りの構成を有するので、
被エッチング部材のサーマルエッチングにより所定の前躯体を得るとともに、各被エッチング部材の温度調節により被エッチング部材の温度を制御して請求項1に記載する効果を得る。
請求項7に記載する発明は、上記7)に記載する通りの構成を有するので、
成膜反応に必要なハロゲンラジカルを適切且つ十分に供給することができるので、請求項6における最終製品である複合金属膜の膜質の向上に資することができる。
請求項8に記載する発明は、上記8)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材の材料を適宜選択し、また各被エッチング部材の温度を所定温度に調節するだけで、所定の混合比の成膜前躯体を得、これを基板上に吸着後、析出させることにより所望の混合比の複合金属膜を形成することができる。すなわち、任意の組み合わせの、任意の混合比の複合金属膜を容易、且つ迅速に得ることができる。
請求項9に記載する発明は、上記9)に記載する通りの構成を有するので、
被エッチング部材のプラズマエッチングにより所定の前躯体を得るとともに、ヒータの温度調節により被エッチング部材の温度を制御して請求項8に記載する効果を得る。この結果、温度制御を最も安価に実現できる。
請求項10に記載する発明は、上記10)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材迄の距離を設定することによりプラズマ加熱による入熱量を調整して被エッチング部材の温度を制御することにより請求項8に記載する効果を得る。この結果、被エッチング部材に関する距離を一度設定してしまえば後はプラズマ条件の制御だけで安定的に再現性よく所望の複合金属膜を得ることができる。また、プラズマ条件の制御だけでは賄えない成膜条件を設定できる。
請求項11に記載する発明は、上記11)に記載する通りの構成を有するので、
各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調整することによりプラズマの引き込み量の調整により被エッチング部材の温度を制御することにより請求項8に記載する効果を得る。この結果、混合比の制御を迅速且つ容易に行うことができる。つまり、成膜シーケンスを時間的に細かく調整できる。
請求項12に記載する発明は、上記12)に記載する通りの構成を有するので、
成膜反応に必要なハロゲンラジカルを適切且つ十分に供給することができるので、請求項9乃至11における最終製品である複合金属膜の膜質の向上に資することができる。
請求項13に記載する発明は、上記13)に記載する通りの構成を有するので、
被エッチング部材のサーマルエッチングにより所定の前躯体を得るとともに、各被エッチング部材の温度調節により被エッチング部材の温度を制御して請求項8に記載する効果を得る。
請求項14に記載する発明は、上記14)に記載する通りの構成を有するので、
成膜反応に必要なハロゲンラジカルを適切且つ十分に供給することができるので、請求項13における最終製品である複合金属膜の膜質の向上に資することができる。
熱力学平衡計算によれば各種元素の塩素共存下の気相組成を算出することができる。この計算結果を基に気相中に存在するFe及びNiの総量の温度による変化の一例を図1及び図2に示す(系の全圧=13Pa、系中の金属(Fe又はNi)の量=2mol、系中のClの量=5mol、系中のHeの量=1molの場合)。図1はFe−Cl系の気相中に存在するFe化合物の分圧の総和、図2はNi−Cl系の気相中に存在するNi化合物の分圧の総和である。
両図から気相の平衡組成は、例えばFeを760K、Niを820Kとすると、Fe:Ni=8:2、Feを550K、Niを846KとすればFe:Ni=4:6となることが分かる。このことは、Fe及びNiの温度を適切に制御しつつ塩素でエッチングすれば、このエッチングによって供給される成膜前躯体の混合組成を制御でき、これによって成膜される複合金属膜の膜組成を制御し得ることを意味する。
Fe/Niの合金膜を考える場合、両者の組成比と各ターゲットの温度との理論的な関係を例示したものが表1である。
Figure 0003801595
なお、実際に生成される合金膜の組成比は他の成膜条件でも変化するため、同表の比率には必ずしもならないが、同表はFe/Niからなる各ターゲットの温度を独立に適宜制御することにより所望の組成比のFe/Niからなる複合金属膜を形成し得ることを示唆している。
かかる組成比の制御は被エッチング部材を他の金属乃至非金属で形成した場合にも同様に成立する。すなわち、例えばInとCuとの合金のように高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る複数種類の金属を複合したもの、又は例えばCuInSe2 、CdS、ZnSe等の合金のように前記金属にS、Se等の非金属元素を含むものであっても良い。生成したい薄膜の種類に応じ、前述の如き材料の複数種類を適宜選択して用いることができる。この場合材料の種類は複数種類であれば2種に限定するものでもなく、また少なくとも高蒸気圧ハロゲン化物を生成し得る元素を含んでいれば良い。さらに、原料ガスとしてはCl2ガスに限らず、ハロゲンガスであれば一般に用いることができる。
ここで、被エッチング部材を、例えばInとCuとからなる複合金属としてこの複合金属の薄膜を作製する場合について説明しておく。
各被エッチング部材の温度をそれぞれ独立に所定温度に制御しつつCl2ガスを作用させることにより次の様な反応が起こると考えられる。
1) エッチング反応;2nCu+nCl2 →2CunCln(g)
2In+Cl2 →2InCl(g)
2) 基板への吸着反応;CunCln(g)→nCuCl(ad)
InCl(g)→InCl(ad)
3) 成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑・・・(1)
InCl(ad)+Cl* →In+Cl2 ↑・・・(2)
ここで、nは自然数、Cl* はClのラジカル、(g)はガス状態、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
ここで、非金属元素を含有するCuInSe2 、CdS、ZnSe等の複合金属の場合も、複合金属中の非金属元素はCl2ガスによりハロゲン化されると考えられる。すなわち、Cl2ガスによるサーマルエッチングの結果、Se、S等の非金属元素はハロゲン化物を形成し前駆体となり、基板へ搬送されて薄膜の構成元素となる。
このように、本形態によれば被エッチング部材の材質を適宜選択するとともに、各被エッチング部材の温度を適切に制御することにより成膜前躯体の混合比を制御して所望の混合比の複合金属薄膜を形成することができる。
本発明は、ターゲットとなる各被エッチング部材の温度を独立に制御して各成膜前躯体の混合組成を任意に制御することにより、基板上に形成される複合金属膜の組成比を制御するものである。この場合、温度制御の方法、エッチング方法、基板に吸着された前躯体からハロゲンを引き抜く還元方法に基づく多くの実施例が考えられる。以下、各実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図3は本発明の実施例1に係る薄膜作製装置の概要を示す概略側面図である。同図に示すように、チャンバ1は、金属(例えばアルミニュウム)で形成した円筒状の筒部とこの筒部の上端開口部を閉塞する絶縁部材(例えばセラミックス)で形成した天井板2とを有するとともに、真空ポンプ(図示せず。)によりその内部が真空引きされて真空雰囲気となっている。このチャンバ1の内部には、支持台3を収納してあり、この支持台3に基板4を載置するようになっている。ここで、支持台3には、ヒータ6及び冷媒流通7を備えた温度制御手段が埋設してあり、その表面温度を適宜制御し得るようになっている。この支持台3の温度制御により基板4の温度も、例えば100°C乃至200°Cに制御される。
上記天井板2の上面には、本実施例における原料ガスであるCl2ガスのプラズマ8を形成するためのプラズマアンテナ9が載置してある。このプラズマアンテナ9には高周波電源10及び整合器11を介して高周波電力が供給される。この高周波電力のエネルギでチャンバ1内に供給されるCl2ガスのプラズマ8を形成する。
Cl2ガスは流量制御器12でその流量を制御しつつノズル13を介してチャンバ1内に供給する。ここで、ノズル13はCl2ガスをプラズマアンテナ9による高密度の電磁界が形成されている天井板2の直下の空間に供給するようチャンバ1の筒部の上部に配設してある。
本実施例の場合、2種類の金属で形成する被エッチング部材14、15はチャンバ1内においてプラズマ8の下方近傍に位置するようチャンバ1の筒部の壁面から径方向に沿い中心部に向かって突出させて配設してある。さらに詳言すると、チャンバ1に固着したリング状の部材であるリング部16にそれぞれの基端部を固着してチャンバ1の中心に向けて突出させてあり、またヒータ17、18を埋設してある。このヒータ17、18により各被エッチング部材17、18の温度を独立に制御し得る。ここで、被エッチング部材14、15の材料は、例えばCu及びInが考えられるが、所望の複合金属薄膜に対応させて適宜その材料を選択すれば良い。
図4は図1のI−I線矢視図で、被エッチング部材14、15を平面的に見た場合を示している。同図に示すように、被エッチング部材14、15はリング部16の周方向に亘り交互に配設してあり、ヒータ17又はヒータ18のグループ毎にそれぞれのグループの温度制御により各被エッチング部材14、15のグループ毎の温度を制御し得るようになっている。かかる温度制御はヒータ17、18に供給する電力を制御することにより容易に実現し得る。
さらに、本実施例においては、図3に示すように、チャンバ1の筒部における基板4の斜め上方の位置には、スリット状の開口部20が形成され、この開口部20には筒状の通路21の一端がそれぞれ固定してある。通路21の途中には絶縁体で形成した筒状の励起室22が設けられ、この励起室22の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ23が巻回してある。このプラズマアンテナ23には高周波電源24及び整合器25を介して高周波電力を供給するようになっている。ここで、開口部20、これに伴う通路21及び励起室22等はチャンバ1の同一高さ位置で、このチャンバ1の周囲4箇所(図には2箇所のみを示す。)に配設してある。通路21の他端側には流量制御器26が接続され、この流量制御器26を介して通路21内にCl* を得るためのCl2 ガスを供給する。これら、開口部20、通路21、励起室22、プラズマアンテナ23、高周波電源24、整合器25及び流量制御器26で還元用のラジカル供給手段を形成している。
かかる金属膜作製装置における成膜時の態様は次の通りである。
先ず、流量制御器12を介して流量調整したCl2ガスをチャンバ1内に供給しつつプラズマアンテナ9に高周波電力を供給することによりCl2ガスをイオン化してCl2ガスのプラズマ8を発生させる。この結果、Cl2ガスプラズマの下方近傍に位置する被エッチング部材14、15がエッチングされてそれぞれの前躯体27、28が形成される。ここで、被エッチング部材14、15はヒータ17、18により個別に所定の温度に調節しておく。このときの所定温度とは、基板4の温度よりも高温で、且つ被エッチング部材14、15のエッチング反応により得る前躯体27、28の混合比が所定の割合になるような温度である。これは、前述の如く被エッチング部材14、15の材料毎に熱力学平衡計算により得る塩素共存下の気相組成に基づき算出するとともに最終製品である複合金属膜5における両成分の混合割合を考慮して決定する。
上述の如き適切なヒータ温度の制御の下で混合比が調整された各前躯体27、28は相対的な低温部分である基板4上に吸着され、その後上式(1)及び(2)に示す成膜反応によりClが引き抜かれて所定の混合比の複合金属膜5を得る。
かかる成膜反応において十分にCl*が存在すれば同式の右側への反応が進み、良好に所望の複合金属膜5を析出させることができる。しかし、Clガスのプラズマ8の中にはCl2、Cl+等が混在し、Cl*が優先的に発生する訳ではない。
そして、CuCl(ad)からCl2を十分引き抜けなくて次の反応が発生することがある。
CuCl(ad)→CuCl(s)
InCl(ad)→InCl(s)
すなわち、CuCl、InClの固体を形成してしまう。これらCuCl(s)、InCl(s)は絶縁体である。したがって本実施例における複合金属膜5におけるCuCl(s)、InCl(s)の存在は、生成した複合金属膜5の導電率を低下させる原因となり、膜質を悪化させてしまう。かかる問題を解決するためにはチャンバ1内に還元用のCl*が十分存在するようにこのCl*を別途供給してやれば良い。このためには、チャンバ1よりも容積が小さい別の空間で高密度のCl*を発生させてこれをチャンバ1内に供給するのがより望ましい。容積が小さい空間の方が、Cl*が発生するようプラズマ条件を調整することか容易であるからである。
本実施例では、励起室22、プラズマアンテナ23、高周波電源24等からなる還元用のラジカル供給手段でチャンバ1内に別途還元用のCl*を供給する。すなわち、かかるラジカル供給手段において、流量制御器26を介して励起室22内にCl2 ガスを供給しつつ、プラズマアンテナ23から電磁波を励起室22の内部に入射することで、プラズマを生成してCl* を形成する。このとき、励起室22内ではCl* を高密度で形成することができるようプラズマ条件を調整してある。このようにして形成したCl* は、成膜時に通路21を介してチャンバ1内に供給される。このCl* は、基板4上に吸着状態となっているCuCl(ad)、InCl(ad)からCl2 ガスを解離して当該成膜反応を促進させる。すなわち、上式(1)、(2)に示す成膜反応を促進させる。
なお、プラズマアンテナ9で形成するプラズマ8中のCl*により成膜反応に必要且つ十分なCl*が得られる場合には上述の如きラジカル供給手段を設ける必要はない。
図5は本発明の実施例2に係る薄膜作製装置の概要を示す概略側面図である。同図において、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。なお、本実施例においてもラジカル供給手段は必要に応じて設ければ良い。
図3に示す実施例1では各被エッチング部材14、15の温度の独立制御はヒータ17、18の温度制御により実現していたが、本実施例2ではかかる温度制御を被エッチング部材34、35のプラズマ8に対する距離を調節することにより実現している。すなわち、プラズマからの入熱量を調節するようになっている。このため、形状自体は図1に示す被エッチング部材14、15と同一(ただし、ヒータ17、18は具備していない。)であるが、上下方向で異なる位置に配設してある。すなわち、異なる位置に固着した2つのリング部16に基端部を固着されてチャンバ1の径方向に沿い水平に中心に向けて突出させてある。このときの被エッチング部材34、35間の距離及びプラズマ8に対する距離は、最終製品である複合金属膜5における両材料成分の混合比を考慮して、この混合比を実現する所定温度となるような距離とする。
かかる金属膜作製装置における成膜時の態様は、基本的には図1に示す実施例1と同様であるが、被エッチング部材34、35の加熱方法が異なる。すなわち、被エッチング部材34、35の加熱はプラズマ加熱であり、プラズマ8により近接している被エッチング部材34が高温になり、そうでない被エッチング部材35が低温になる。この結果、被エッチング部材34、35は所定の温度となり、プラズマ8のエッチング作用により前記温度により一義的に定まる量の前躯体27、28を形成する。かくして、前躯体27、28の混合比が決定され、延いては複合金属膜5における各成分の混合比が決定される。
図6は本発明の実施例3に係る薄膜作製装置の被エッチング部材を示す図で、図3のI−I線矢視図に対応する図である。同図に示すように、本実施例に係る被エッチング部材44、45の基本的な構造は図2に示す実施例1の被エッチング部材14、15と同様であるが、ヒータ17、18は具備していない。すなわち、チャンバ1に固着されるリング部16にそれぞれの基端部を固着してチャンバ1の中心に向かって水平に突出させてあり、ヒータ17、18による加熱の代わりに、プラズマ8を各被エッチング部材44、45に積極的に衝突させて、これら被エッチング部材44、45を加熱することにより各被エッチング部材44、45の温度を独立に制御するように構成してある。具体的には、各被エッチング部材44、45には可変電圧電源47、48によりバイアス電圧を印加するように構成してあり、このバイアス電圧を独立に適宜調節し得るようになっている。バイアス電圧を変化させることにより被エッチング部材47、48に衝突させるプラズマ8の量を調節することができ、このことにより被エッチング部材47、48の温度も制御し得る。その他の構成は、図1に示す実施例1と全く同様である。
かかる金属膜作製装置における成膜時の態様は、基本的には図1に示す実施例1と同様であるが、被エッチング部材44、45の加熱方法が異なる。すなわち、被エッチング部材44、45の加熱はプラズマ加熱であり、各被エッチング部材44、45に印加するバイアス電圧を独立に調節することによりプラズマ8の引き込み量を調節してそれぞれの温度を制御している。この結果、被エッチング部材44、45は所定の温度となり、プラズマ8のエッチング作用により前記温度により一義的に定まる量の前躯体27、28を形成する。かくして、前躯体27、28の混合比が決定され、延いては複合金属膜5における各成分の混合比が決定される。
図7は本発明の実施例4に係る薄膜作製装置の概要を示す概略側面図である。
ある種の金属を所定の高温に加熱した状態でこの金属にCl2等のハロゲンガスを作用させると、この金属はサーマルエッチングされ、そのハロゲン化物である成膜前躯体を形成する。かかる成膜前駆体を基板に吸着させた後、ハロゲンを引き抜くことによっても前記金属の薄膜を析出させることができる。金属をCu、ハロゲンガスをCl2とした場合、かかる一連の反応は次式で表される。
1) エッチング反応;2nCu+nCl2 →2CunCln(g)
2) 基板への吸着反応;CunCln(g)→nCuCl(ad)
3) 成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑・・・(1)
ここで、nは自然数、Cl* はClのラジカル、(g)はガス状態、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
この際、前述の熱力学平衡計算により同様に塩素共存下の気相組成を算出することができる。すなわち、同様に特定の金属の温度を制御することにより形成される前記前躯体の量を調節することができ、また同一温度であっても金属の種類によって形成される前躯体の量が異なる点は前記実施例1、2、3と同様である。したがって、複合金属膜を形成する材料からなる各被エッチング部材の温度を独立に所定の値に制御しつつハロゲンガスを作用させれば、プラズマエッチングによることなく所定の組成比の成膜前躯体を形成することができる。
本実施例4はかかる原理に基づくものである。ただ、多くの点で図1に示す装置と同様の構成となっている。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図7に示すように、チャンバ1内に連通する通路51、52の途中に複合金属膜5の材料となる異なる種類の被エッチング部材53、54が収納してある。各被エッチング部材53、54は、ヒータ55、56でそれぞれ独立に各温度を制御するようになっている。具体的には、可変電圧電源57、58を介してヒータ55、56に供給する電流を制御することにより各ヒータ55、56の温度を制御して各被エッチング部材53、54の温度を制御する。前記通路51、52には、ハロゲンガスであるCl2ガスが供給される。かくして、各被エッチング部材53、54は所定の高温下でCl2ガスの作用によりサーマルエッチングされ、この結果固有の前躯体27、28が形成される。
通路51、52の下方でチャンバ1内に連通するノズル59は流量制御器60を介して流量を調節したCl2ガスをチャンバ1内に供給する。このCl2ガスは成膜反応(前記式(1)、(2))における還元用のCl*を形成するためのものである。すなわち、前記実施例1の場合と同様に、ノズル59を介してチャンバ1内に供給されるCl2ガスはプラズマアンテナ9に供給される高周波電力のエネルギーを吸収してプラズマ化される。したがって、プラズマ8中に存在するCl*を還元用のラジカルとして利用することができる。
かかる金属膜作製装置における成膜時の態様は、複合金属膜5の各前躯体27、28を得る方法が異なるが、基本的には図1に示す実施例1と同様である。すなわち被エッチング部材53、54のCl2ガスによるサーマルエッチングによって前躯体27、28を得ているが、その組成比は被エッチング部材53、54の温度をヒータ55、56で独立に調整して制御している。
したがって、被エッチング部材53、54の材料を適宜選択するとともに、各被エッチング部材53、54の温度を独立に制御することにより任意の材料を組み合わせた任意の組成比の複合金属膜5を得ることができる。
上述の如き実施例1、2、3において、還元用のラジカル供給手段には、他にも次のような種種の変形例が考えられる。
1) チャンバ内に連通してハロゲンガスを流通させる筒状の通路にマイクロ波の供給手段を有し、このマイクロ波供給手段が発生するマイクロ波により前記ハロゲンガスをプラズマ化するもの。これは、例えばマグネトロンを利用することにより容易に構成することができる。この場合、周波数は2.45(GHz)程度のものを好適に使用することができる。
2) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通するハロゲンガスを加熱してこのハロゲンガスを熱的に解離する加熱手段を有するもの。かかる加熱手段としては、フィラメントで形成したヒータが考えられるが、かかるヒータで熱解離に必要な1500度以上の温度は容易に得られる。したがって、最も安価にラジカル供給手段を構成することができる。
3) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通する原料ガスであるハロゲンガスにレーザ光又は電子線等の電磁波を供給してこのハロゲンガスを解離させる電磁波発生手段を有するもの。これは、レーザ光又は電子線の波長を特定のものに固定することにより、所望のラジカル(例えばCl* )を高効率で発生させることができる。すなわち、所望のラジカルを選択的に高効率で発生させることができる。
4) チャンバ内に連通する筒状の通路を流通する原料ガスであるハロゲンガスを、触媒作用を有する触媒金属に接触させてその触媒作用によりラジカルを得るもの。すなわち、触媒金属で形成したフィラメントを前記筒状の通路に配設するとともに所定の高温に加熱し、ハロゲンガスをチャンバ内に供給するに際し、前記フィラメントにハロゲンガスを接触させるように構成する。
図7に示す実施例4においてはプラズマアンテナ9で成膜時の還元用のCl*を得るようにしたが、これは実施例1乃至3におけるラジカル供給手段及び上記1)乃至4)に示すラジカル供給手段を用いて得るようにしても勿論良い。
また、実施例2又は実施例3に実施例1のヒータ17、18を組み合わせても勿論良く、この場合には、プラズマ加熱にヒータ加熱を加重して速やかに被エッチング部材34、35乃至44、45を所定の温度に制御することができる。
さらに、実施例4において被エッチング部材53、54はヒータ55、56で加熱するようにしたが、加熱手段をこれに限るものではない。例えばプラズマ加熱でも勿論良い。プラズマ加熱の場合、所定温度迄の昇温を速やかに行い得るというメリットがある。また、被エッチング部材53、54の温度とともに、これに作用させるCl2ガスの流量も併せて調整することによっても前躯体27、28の量を制御することができる。
本発明は半導体薄膜を製造する産業分野で利用することができる。
本発明の基礎となる特性を示すグラフで、塩素共存下の気相中に存在するFeの総量の温度による変化の一例を示す特性図である。 本発明の基礎となる特性を示すグラフで、塩素共存下の気相中に存在するNiの総量の温度による変化の一例を示す特性図である。 本発明の実施例1に係る薄膜作製装置を示す概略側面図である。 図3のI−I線矢視図である。 本発明の実施例2に係る薄膜作製装置を示す概略側面図である。 図3に示す部分の構成のみが異なる本発明の実施例3に係る薄膜作製装置を示す図3のI−I線矢視図である。 本発明の実施例4に係る薄膜作製装置を示す概略側面図である。
符号の説明
1 チャンバ
4 基板
5 複合金属膜
8 プラズマ
9 プラズマアンテナ
10 高周波電源
13 ノズル
14 被エッチング部材
15 被エッチング部材
17 ヒータ
18 ヒータ
21 通路
22 励起室
23 プラズマアンテナ
24 高周波電源
27 前躯体
28 前躯体
34 被エッチング部材
35 被エッチング部材
44 被エッチング部材
45 被エッチング部材
46 可変電圧電源
47 可変電圧電源
53 被エッチング部材
54 被エッチング部材
55 ヒータ
56 ヒータ

Claims (16)

  1. 高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を少なくとも一種類含む複数種類の材料でそれぞれ形成した被エッチング部材の温度をそれぞれ独立に制御しつつ各被エッチング部材にハロゲンラジカル又はハロゲンガスを作用させてこれらをエッチングすることにより各エッチング量を独立に制御して所定割合で混在するハロゲン化物である複数種類の前駆体を形成し、
    これら各前記躯体を相対的に低温に保持した基板上に吸着させた後、ハロゲンを引き抜き、前記各材料成分が所定割合で混在する複合金属膜を析出させて成膜を行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  2. 請求項1に記載する薄膜作製方法において、
    各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
    各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材にそれぞれ取り付けたヒータで調節して制御し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  3. 請求項1に記載する薄膜作製方法において、
    各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
    各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の前記プラズマ対する距離を調節して制御し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  4. 請求項1に記載する薄膜作製方法において、
    各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内にハロゲンガスを供給してそのプラズマを形成するとともに、前記チャンバ内に配設する各被エッチング部材に前記プラズマで解離したハロゲンラジカルを作用させることにより行なうとともに、
    各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調節して制御し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  5. 請求項2乃至請求項4の何れか一つに記載する薄膜作製方法おいて、
    基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、前記ハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うとともに、前記チャンバ外で形成した後、このチャンバ内における前記基板の近傍部分に別途供給するハロゲンラジカルの還元作用も利用することを特徴とする薄膜作製方法。
  6. 請求項1に記載する薄膜作製方法において、
    各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内に通じる複数の通路内にそれぞれ配設した複数種類の被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うとともに、
    各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の加熱温度を独立に調節して制御し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ内に発生させるハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  7. 請求項1に記載する薄膜作製方法において、
    各被エッチング部材のエッチングは、基板を収納するチャンバ内に通じる複数の通路内にそれぞれ配設した複数種類の被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うとともに、
    各被エッチング部材の温度は、各被エッチング部材の加熱温度を独立に調節して制御し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ外で形成したハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルを前記チャンバ内に供給することにより、このハロゲンラジカルの還元作用を利用して行うことを特徴とする薄膜作製方法。
  8. 表面温度を制御可能に形成した基板を収納して真空雰囲気を形成するチャンバと、
    高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を少なくとも一種類含む複数種類の材料でそれぞれ形成した複数種類の被エッチング部材と、
    各被エッチング部材の温度を独立に制御し得るように構成した温度制御手段と、
    前記チャンバ内に収納してその表面温度を制御可能に形成した基板とを有し、
    前記各被エッチング部材の温度をそれぞれ独立に制御しつつ各被エッチング部材にハロゲンラジカル又はハロゲンガスを作用させてこれをエッチングすることにより各エッチング量を独立に制御して所定割合で混在するハロゲン化物である複数種類の前駆体を形成し、
    これら各前記躯体を相対的に低温に保持した基板上に吸着させた後、ハロゲンを引き抜き、前記各材料成分が所定割合で混在する複合金属膜を析出させて成膜を行うように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  9. 請求項8に記載する薄膜作製装置において、
    各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
    各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
    各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材にそれぞれ取り付けたヒータで調節して制御するものとして構成し、
    さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  10. 請求項8に記載する薄膜作製装置において、
    各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
    各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
    各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材の前記プラズマに対する距離を調節してプラズマ加熱による熱量を制御するものとして構成し、
    さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  11. 請求項8に記載する薄膜作製装置において、
    各被エッチング部材は、チャンバ内に配設するとともに、
    各被エッチング部材のエッチングは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成する一方、
    各被エッチング部材の温度制御手段は、各被エッチング部材に印加するバイアス電圧を調節して各被エッチング部材のプラズマ加熱による熱量を制御するものとして構成し、
    さらに前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  12. 請求項9乃至請求項11の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    前記ハロゲンラジカルを基板に吸着された前躯体に作用させてその還元作用により前記前躯体からハロゲンを抜くように構成するとともに、前記チャンバ外で形成した後、このチャンバ内に連通するラジカル通路を介してチャンバ内の前記基板の近傍部分に別途供給するハロゲンラジカルを利用した還元作用によっても前記前躯体からハロゲンを抜くように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  13. 請求項8に記載する薄膜作製装置において、
    各被エッチング部材は、チャンバ内に連通する複数の通路に別々に配設するとともに、
    各被エッチング部材のエッチングは、各被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うように構成する一方、
    各被エッチング部材の温度制御手段は、前記各通路において各被エッチング部材が存在する近傍部分に配設したヒータで構成し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、給電アンテナに供給する高周波電力で前記チャンバ内に供給するハロゲンガスをプラズマ化して得るハロゲンラジカルを利用して行うように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  14. 請求項8に記載する薄膜作製装置において、
    各被エッチング部材は、チャンバ内に連通する複数の通路に別々に配設するとともに、
    各被エッチング部材のエッチングは、各被エッチング部材をそれぞれ所定の温度に加熱した状態でハロゲンガスを作用させることによるサーマルエッチングで行うように構成する一方、
    各被エッチング部材の温度制御手段は、前記各通路において各被エッチング部材が存在する近傍部分に配設したヒータで構成し、
    さらに基板に吸着された各前躯体からハロゲンを引き抜くのは、チャンバ外で形成したハロゲンガスのプラズマの解離によるハロゲンラジカルを前記チャンバに連通するラジカル供給通路を介して行うように構成したことを特徴とする薄膜作製装置。
  15. 請求項1乃至請求項7の何れか一つに記載する薄膜作製方法において、
    前記高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を、銅、タンタル、チタン、タングステン、亜鉛、インジウム、若しくは、カドミウムとすることを特徴とする薄膜作製方法。
  16. 請求項8乃至請求項14の何れか一つに記載する薄膜作製装置において、
    前記高蒸気圧ハロゲン化物を形成し得る元素を、銅、タンタル、チタン、タングステン、亜鉛、インジウム、若しくは、カドミウムとすることを特徴とする薄膜作製装置。
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