JP4374212B2 - タイヤモールド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤの製造に関する。より詳細には、本発明はそれらのトレッドの成形に関する。
【0002】
【従来技術】
ヨーロッパ特許第0569909号は横方向に配列されたシートの形態の多数の成形要素によりタイヤトレッドを成形することができる種類のモールドを説明している。成形面は各シートの併置群の境界または縁部よりなる。シートが横方向に配向されているので、これらのシートはタイヤの一方の肩部から他方の肩部まで延びている。ヨーロッパ特許出願第0860260号は支持リングに切削されたスリットに係合され、従って精密に案内される中間シートによりシートの配向をできるだけ半径方向に完全に維持することを提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特に、或る種類のトレッドパターンの場合、このようなモールドのガス抜きは局部的に不適切であるとわかる。しかも、モールドのシートは一般にタイヤ製造サイクルが行われるほどに詰まってしまい、これによりモールドのガス抜き能を漸次低下させ、製造されたタイヤの外観の質を保証するためにモールドを規則正しく清浄することを必要としている。
【0004】
更に、この種類のモールドの開閉は積層周クラウンを構成するシートすべての半径方向の釣り合った変位を行うことを伴う。寄生的摩擦作用がモールドの開閉移動を妨げることがある。また、望むほどに一様であるシート間の隙間の分布を維持するのは困難であることがわかる。その結果、シート間の隙間が公称隙間より大きくなる箇所に成形バリが出現してしまう。追求する目的のうちの1つは正確にはモールドの閉鎖中のいずれのときにもゴムがシート間に流れるのを防ぐように、ヨーロッパ特許第0569909号に記載にように公称隙間を選択することである。
【0005】
本発明の目的は優れた外観、特に多数の成形サイクル後に一定のままである外観のタイヤを成形する種類のモールドの能力を向上させるために前記欠点のうちの少なくともいくつかを解消することである。
本発明の他の目的は設計が組立て誤差の恐れが付随する非常に多数のシートの扱いを伴う前記種類のモールドを組立て易くすることである。
本発明のなお一層の目的はシートの配向の再現性を向上させることである。これらのシートは例えば半径方向の平面において各成形サイクル毎に実質的に同じ位置に戻らなければならない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、タイヤトレッド用のモールドであって、該タイヤトレッド用のモールドは、
トレッドの外部を成形するための積層周クラウンを備えており、前記積層周クラウンの少なくとも一部が、複数の薄い成形要素の周方向の積重ね体を備えており、前記複数の薄い成形要素の各々は、半径方向内側縁部および半径方向外側縁部を有し、前記半径方向内側縁部は、前記タイヤトレッドにパターンを成形するための輪郭を有し、前記成形要素は実質的に半径方向に配向されており、
前記複数の薄い成形要素の中からグループ分けされた隣接成形要素の群について、該群の各成形要素は、部分切欠きを有し、該群の成形要素の少なくとも1つ成形要素の部分切欠きは、前記半径方向内側縁部に開口しており、かつ、該群の成形要素の少なくとも1つの成形要素の半径方向内側縁部と外側縁部との間の距離の一部のみに亘って延びており、
前記各成形要素は、該成形要素の半径方向内側縁部と半径方向外側縁部とを互いに接続するガス抜きチャンネルを有さず、
前記群のすべての成形要素の部分切欠きは、モールドの内側とモールドの外側とを接続するために、互いに連通し、互いに協働して、前記積層周クラウン全体を通って延びるガス抜きチャンネルを形成し、前記群の各成形要素の部分切欠きは、前記ガス抜きチャンネルの一部のみを構成することを特徴とするタイヤトレッド用のモールドを提案する。
特定の変更実施例では、本発明はまた、クラウンがセクタに分割されており、各セクタ毎に、そのセクタに属する要素が互いに取付けられて単一のブロックを構成し、モールドの開閉移動中、各セクタを移動させることができるようなこの種類のモールドを提案する。
【0007】
本明細書では、構成要素または表面を「内側の」であると言う場合、構成要素または表面がモールドの中心側に、すなわち、内側の成形キャビティの側に位置決めされていることを意味している。「外側の」の記載を使用する場合、表面または構成要素が前記成形キャビティから更に離れて位置決めされていることを意味している。例えば、タイヤトレッドを成形するシートを考慮すると、内側縁部は成形面を構成するシートの縁部であって、成形中、ゴムと接触しており、外側の側面、縁部または境界はシートを支持する要素と接触している表面である。
【0008】
本発明はまた、前記のようなモールドを使用するタイヤの製造方法、およびこのような方法により得られるタイヤにも及ぶ。この場合、前記モールドを使用する利点はガス抜きチャンネルおよびシート間の隙間により成形方法中、優れたガス抜きに寄与すると言う点である。このようなモールドの作動の全般の説明については、読者は先に述べたヨーロッパ特許第0569909号、特に図5に関するその特許の部分を見ることを勧める。
【0009】
【実施例】
モールドの一実施例において、タイヤトレッドを成形するのに役立つ積層周クラウンの成形要素が隣接したシートであり、それらの厚さは0.1mm(好ましくは0.5mm)と5mmとの間である。図1はこのようなシート1を示している。積層クラウンは最大数千の隣接シートよりなる。これらをシートから得るのはこのタイヤのモールドを特徴付ける薄い成形要素を製造する非常に有利な方法である。ソートの厚さはトレッドパターンを形成するモールドの分解能に対応する。使用シートは例えば鋼製でもよく、有利には、すべて、製造すべきパターン要素により決定される輪郭に沿ってそれらの平面と直角に切り出す。シートを常に直角に切ることによって、トレッドパターンの幾つかの面が星形トレッドの外観を有し、これによりこの技術の特徴である外観を成形タイヤトレッドに与える。
【0010】
図1ないし図4を検討することにより分かるように、シート1は部分切欠き(102、103、104、105、106、107)を備えることができる。これらの切欠きは、シートが互いに対して適所にあるとき、モールドの内部を(または少なくとも成形面に近い帯域)をモールドの外側に連結するベントチャンネルを形成するようになっている。幾つかのシートは協働してチャンネルを形成することは各シートがそれ自身一体に完全のままであることが望まれるときに有利である。しかも、この協働は他の利点を有する。切欠きを幾つかのシートの間で分布することによって、いずれの1つのシートを他のシートに対して過剰に弱くするのを回避する。また、シートの単位厚さに制限されることなしに大きい横断面を有するチャンネルまたはそれらの一部を作ることが可能である。この場合、ガス抜きはシート間に起こるもの(その原理がヨーロッパ特許第0569909号および0860260号に記載されている)とは異なる。
【0011】
図1、図2、図3および図4をともに考慮すると、部分切欠きの協働が明示されている。図1には、記号103はシートの内縁部に、すなわち、モールドの成形面に開口する切欠きの例に相当する。図1の例における開口切欠き103はタイヤのパターン要素101の縁部のガス抜き許容している。図2に示す隣接シートは開口切欠き103を切欠き102に連結する切欠き104を有している。連結切欠き104はこれらを得る方法と適合する任意の適当な形状のものであることができる。切欠き102は同様に所定群の各シートに設けられている。これらの共通の切欠き102は互いに反対側に配置されていて、ガス抜き回路網を相互連結するために周方向にシート群を通るダクトの形成を可能にしている。ガス抜き回路網は、例えば共通の切欠き102と、必要なら圧力を減じることができるモールドの中央帯域との間で隣接シートに配置された抜取り切欠き105(図3の右側に見える)によってモールドの外側に連結されている。わかるように、共通の切欠き102は一群の種々のシート間の連結をもたらし、換言すると、抜取り切欠き105は、これとともにガス抜きダクトを構成する他のシートと直接隣接する必要はない。抜取り切欠き105はまた例えば、対応する共通の切欠き102と反対側のシートの軸方向外側部分に配置されてもよい(図3の左側部分を参照)。
【0012】
従って、モールドを閉じると、すなわち、シートをきつく押し合わせると、図1、図2および図3に示すシートの積重ね体が切欠き103、103、102、105のこの順序の連結により形成される追加のガス抜きを生じるということはわかる。本発明の利点は各個々のシートが1つの部分切欠きを有するだけであり、その一体性またはその強さを妥協しない。
【0013】
図4は本発明による他のガス抜き回路網を生じることができる切欠き106、107を連結する他の例を示している。例えば、これらの切欠きと、各々が図1に示す原理による1つまたはそれ以上の開放切欠き103を備えた1つまたはそれ以上の隣接シートとを関連させることができる。
【0014】
しかしながら、本発明によれば、このタイヤの切欠き106、107は図1に示す種類の開放切欠き103が隣接シートに存在せずにしようすることができる。この場合、切欠き106または107の機能はシート間に生じるガス抜きを改良することである。シート間のガス抜きはヨーロッパ特許第0569909号に記載されている。この種類のガス抜きは本発明によれば切欠き106または107からモールドの内部を分離する距離がシートの外縁部から内縁部を分離する距離と比較して短いという点で改良されている。切欠き106、107は成形面から、すなわち、縁部の最も近い部分からdの距離で本質的に内縁部10に沿って延びており、距離dは好ましくはヨーロッパ特許第0569909号におけるように数センチではなく多くとも2、3ミリである。従って、同等な流量の場合、ガス抜きに必要とされる圧力は著しく低下される。逆に、同等な圧力の場合、ガス抜き流量はより高い。従って、本発明の目的の1つ、すなわち、成形品質を向上させる目的はこの構成により達成される。例えば、成形時間を短縮するために同じ効果を使用してより剛性な成形材料の成形を可能にするか、或いはより深いトレッドパターンの成形を許容する。
【0015】
図5Aおよび図5Bは薄い要素1が変形部108を有する本発明の好適な変更例を示している。これらの変形部108はシートの場合には型押しにより簡単に得ることができる。変形部は、その機能が、モールドを開放すると、すなわち、各成形サイクル中、シートを押し離すことであるばね要素を構成する。この効果は、いくつかのシートがモールドを開放するときに合わさったままであることに起因して、成形サイクルを繰り返すにつれてモールドのいくつかの部分がそれらのガス抜き能を失うのを防ぐことである。好ましくは、変形部108は、分離移動がモールドの周囲に沿って実質的に一様であるようにモールドの周囲を構成するシート全体にわたって分能されている。その目的で、各2つのシートのうちの一方をそのように配置することができる。弾性変形部108の高さは好ましくは0.01mmと0.1mmとの間である。
【0016】
当然、本発明はこれらの特定の例に限定されない。トレッドパターンの種類によっては、当業者は例えば複数のシートの間で分布された複数の切欠きの協同により積重ねシートよりなるモールドにガス抜き回路網を構成する本発明の原理を多くの異なる方法に適用することができる。
【0017】
図6は本発明によるモールドの子午線断面を示している。クラウンは2つの部分(G、D)に分割されており、各々がこれらの部分に属する2つの別個の且つ隣接したシートを備えている。シートまたは成形要素は全体として記号1で示してある。部分Gに属する要素またはその一部をより明確に示そうとする場合、記号1Gを使用する。本発明が部分Dに属する要素またはその一部を明確に示そうとする場合、記号1Dを使用する。このモールドは先に述べたもののような多数のシートによりおよびタイヤの側壁部を成形するシェル111G、111Dにより形成される。これらのシートはシェルにもたれ、そしてベルト112および円錐形フープ113G、113Dにより案内される。2つのシート1G、1Dの代わりに、トレッドの全幅を成形する単一のシートを使用することもできる。これらの異なる種類のモールドの作動はヨーロッパ特許第0569909号に記載されている。
【0018】
図7ないし図12はシートを副組立体にクループ化することを特徴とする好適な実施例を示している。これらの図では、先に説明した切欠きは図示していない。各副組立体(または限定数の副組立体)は先に説明したような、すなわち、ガス抜き用の部分切欠きを備えた1つまたはそれ以上のシートを含んでいる。
【0019】
図7は本発明のこの原理を示しておりこの原理によれば、積層クラウンの薄い要素すべてが一体の副組立体構成セクタ11にクループ分けされる。
【0020】
図8はクラウンが2つの部分(G、D)に分割され、クラウンが、各々がこれらの部分のうちの一方に属する2つの別個の且つ隣接したシートを横方向に備えていることを示している。成形シートまたは要素は全体として記号1で示してある。
【0021】
好ましくは、成形部分の側、すなわち、シートの縁部10の側のシート1の少なくとも端部はモールドの軸線に向かって半径方向に漸次減少する厚さを有している。かくして、各シートは、角度が本質的に周成形クラウンの一回路のまわりにシートの数だけ360°を分割することによって得られる値に対応する僅かなテーパを構成する。このようにして、シートは組付けると当然扇形状に配列し、それらの間に本質的に一定の隙間を有する。この課題については、ヨーロッパ特許第0916419号および第0916421号を参照されたい。
【0022】
積層周クラウンを形成するには、特に図7、図9および図10で非常にはっきり分かるようにシート1をセクタ11にグループ分けする。この目的で、1つのセクタのシート1を2つの突出ヘッドを備えた固定装置、例えば、ボルト2(そのヘッドは第1ヘッド21を構成する)およびナット22(第2ヘッドを構成する)により締め付ける。各ボルト2のヘッド21は各セクタ11を境界決めするシートの各々の自由側面にもたれる。固定装置(ボルト2およびナット22の組み合わせ)は1つのセクタから他のセクタまで交互に配置され(図7および図10参照)、各セクタは隣接セクタの固定装置のヘッドを受入れるために凹部12を有している。凹部12は十分な数のシートを切り取るときにこれらのシートに穴をあけることによって得られる。これにより、セクタを接触させて(図9参照)タイヤトレッドを成形することを可能にする連続クラウンを構成する。
【0023】
好ましくは、固定手段は共通の切欠きに配列される(図1ないし図5を参照)。この場合、共通の切欠きの輪郭にスロット110(図1ないし図5A参照)の存在により、ガス抜きガスの循環がシートパックの固定手段により制限されない。また、固定手段の片寄り、および1つの副組立体から次の副組立体まで切欠き102が整合されないと言う結果にもかかわらず、凹部12を切欠き102に連結してガス抜きガスを1つのブロックから次のブロックへ循環することができる。この連結は少なくとも1つの凹部12と、この凹部12に貢献するシートのうちの少なくとも1つにおける1つの切欠き102とを繋ぐ追加の切欠き(図示せず)により達成することができる。なお、ここに表す保持手段の種類の結果、2つの軸方向部分G、Dがあってもなくても、トレッドを全体として成形するのに偶数のセクタが必ずなければならないということを指摘しておくが、これはすべての種類の保持手段の場合に必ずしもそうとは限らない(図12参照)。
【0024】
1セクタあたりの要素の数は代表的には10と1000との間である。要素の数はセクタ毎において同じであっても、1つのセクタと他のセクタとでは異なってもよい。組付けられてセクタに保持されるシートの群を操るのに種々の手段を使用することができる。これはモールドを開閉するのに必要な場合にセクタの移動を体系ずることを必要とする。例えば、1つのセクタに属するシートをケーシングに固定することができ、モールドの開閉移動中、各ケーシングを移動させることができる。
【0025】
図8は各セクタ11が多数の異なるトレッドパターンに共通な標準構成要素であることができる一体の支持体を構成するケーシング4に設けられていることを示している。当然、これは単に例として実施例である。ケーシング4がもちろん一般にタイヤのサイズに適合しても、それ自身成形構成要素ではないので、いくつかの異なるパターンに使用することができ、従って、たった1つのタイヤに特定されない。この固定をもたらすには、ケーシング4の一方の側に形成された突起14と係合する溝14を得るようにシートを切断し、次いでセクタをストラップ40により不動化し、各シートの他の溝14に固定しケーシング4にねじ付ける。かくして、1つのセクタ11に属するシートを1つのケーシング4に固定し、それで各ケーシング4をモールドの開閉移動中に移動させることができる。シートの数はすべてのセクタに対して同じであることができるか、或いはセクタは異なる数のシートを備えることができる。
【0026】
突起41のほかに、各ケーシングは横縁部46、背面43および中央縁部48を有しており、この中央縁部48は他の部分の隣接ケーシングの対応する中央縁部48と接触するようになっている。なお、とりわけ閉鎖の最終段階中、ケーシング4従ってシート1をモールド閉鎖段階全体にわたって同じ半径方向の高さに非常に正確に位置決めすることができるように、部分Gのケーシング4の各々に形成された切欠き49bに係合するピン49aが部分Dのケーシング4の各々に存在する。
【0027】
ケーシング4の各々はその背面に描かれた矢印により示す相対移動を許容するように横路(図示せず)により斜面3に設けられている。この例では、モールドの部分G、Dの各々は斜面3が設けられる高台を有する。斜面3は前記ケーシング4と接触する角度αの截頭円錐形支持面30を半径方向内側に有している。この斜面により、2つの軸方向部分にセクタを有するモールドについて知られているように、図8に示すようにケーシング4をそれらの閉位置に移すように、或いはケーシング4をそれらの開位置(図8には図示しないが、図10のシートの群に対応する)に移すようにケーシング4の移動を制御することができる。
【0028】
各セクタにおいて、シート1はすべて半径方向に対して同じ角度で配列されてケーシングに設けられている。この例では、シートは子午線方向の配向で配列されている。換言すると、積層周クラウンをモールドの幾何学的軸線と直角な平面に沿って横断面で見たとき(図9参照)、シートは半径に沿って配列されており、それらの事実上の延長はモールドの幾何学的軸線を含む。これは何ら限定するものではなく、シートがいくらか傾斜されてもよい。
【0029】
図11は本発明が2つの部分(G、D)を軸方向に備えるモールドの種類に限定されないことを示しているが、たった1つの部分で軸方向に形成されたモールドの他の種類にも有利に適応し得る。この場合、使用する要素は幅がタイヤトレッドの幅に本質的に対応するシート1Lである。各セクタは適切な幅の多くの異なるトレッドパターンに共通な標準構成要素であることができる一体の支持体を構成するケーシング4Lに設けられている。セクタ11に組入れられたシートをともに保持するのに多くの変更実施例を予測することができる。かくして、ヘッド21およびナット22が突出していることがわかる図7ないし図10に示すボルト2の代わりに、例えば、ヘッド21bおよび対応するナット22bが截頭円錐形形状を有し且つ各セクタの厚さ内に入る込むねじ2bを使用することができ(図12参照)、ヘッド21bおよびナット22bは各セクタの境界に嵌合されるシート1bに形成された截頭円錐形支持面15bと協働する。なお、この文書を示す実施例では、セクタを境界きめするシート1bにすぐ隣接した2つのシート1bbが大きい孔を有しており、この孔は、モールドを組み立てるとき、締付力を取り、且つセクタにおけるシートの整合を確保するワッシャ7bを受入れることができる。
【0030】
もちろん、本主題の知識のある人は、本発明の範囲を超えることなしに1つのセクタのシートをともに保持する機能のある多くの他の変更実施例を想像することができることをわかるであろう。
【0031】
本発明によれば、コンピュータ付き設計および製造によく適している方法で非常に短い製造時間で非常に良好なガス抜き能を有するモールドを製造することができる。そのように製造されたモールドは非常に強靭であり、且つ多数の開閉サイクルに非常によく耐えることができる。何故なら、特に、(成形要素間に起こるガス抜きのほかに)ガス抜きが少なくとも一部ガス抜きチャンネルを通して起こるからである。
【0032】
本発明によるモールドはガス抜き能を維持するのに必要とされるメンテナンスを減少させながら、良好な外観質を有するタイヤを製造することができる。しかも、これらのモールドはベント型跡がさほど見えないタイヤを成形することができる。実際、ベントが成形要素を通る孔として設けられる従来の(非積層)モールドの場合が一般にそうであるように、開放切欠き103(図1参照)により生じられる成形ニップルは必ずしも成形面と直角ではない。反対に、本発明によれば、開放切欠き103は自由に配向することができ、例えば、タイヤのトレッド表面に近づく方向に配向することができる。このような場合、仕上げ済み製品に存在するいずれのニップル(バリとも呼ばれる)もさほど目立たない。トレッドの表面に対して60°未満の角度例えば45°でのこれらのニップルの配向は外観の基準とモールド取出し力との有利な妥協を表している。
【0033】
一般に、この文献に使用するような語「タイヤ」は当然、空気式であろうとなかろうと任意の種類の弾性カバーに当てはまる。本発明は本質的にタイヤの成形に関しており、その作動に関するわけではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による薄い成形要素の平面図である。
【図2】図1の成形要素と本発明により協働し得る2番目の薄い成形要素の平面図である。
【図3】図1および図2の成形要素と本発明により協働し得る3番目の薄い成形要素の平面図である。
【図4】図2のものに匹敵する4番目の成形要素の平面図である。
【図5A】本発明による薄い要素の変更例を示す図である。
【図5B】図5Aの要素の輪郭の概略図である。
【図6】第1モールド種類への適用における本発明によるモールドの子午線方向断面図である。
【図7】本発明の第2変更実施例を示す、第2モールド種類への適用における本発明による、モールドが開いているときに可能であるような離れている2つのセクタを示す斜視図である。
【図8】成形位置における、すなわち、閉じている状態で本発明の第2変更例によるモールドの子午線方向平面を通る断面図である。
【図9】本発明の第2変更例を示すモールドが閉じている状態での軸線と直角な平面を通る断面図である。
【図10】本発明の第2変更例を示すモールドが開いている状態での軸線と直角な平面を通る断面図である。
【図11】成形位置における、閉じている状態で第3モールド種類への適応における本発明によるモールドの子午線方向平面を通る断面図である。
【図12】本発明によるセクタの追加の変更実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 シート
4 ケーシング
11 セクタ
14 溝
102 切欠き
103 切欠き
104 切欠き
105 切欠き
106 切欠き
107 切欠き
D モールドの部分
G モールドの部分

Claims (12)

  1. タイヤトレッド用のモールドであって、該タイヤトレッド用のモールドは、
    トレッドの外部を成形するための積層周クラウンを備えており、前記積層周クラウンの少なくとも一部が、複数の薄い成形要素の周方向の積重ね体を備えており、前記複数の薄い成形要素の各々は、半径方向内側縁部および半径方向外側縁部を有し、前記半径方向内側縁部は、前記タイヤトレッドにパターンを成形するための輪郭を有し、前記成形要素は実質的に半径方向に配向されており、
    前記複数の薄い成形要素の中からグループ分けされた隣接成形要素の群について、該群の各成形要素は、部分切欠きを有し、該群の成形要素の少なくとも1つの成形要素の部分切欠きは、前記半径方向内側縁部に開口しており、かつ、該群の成形要素の少なくとも1つの成形要素の半径方向内側縁部と外側縁部との間の距離の一部のみに亘って延びており、
    前記各成形要素は、該成形要素の半径方向内側縁部と半径方向外側縁部とを互いに接続するガス抜きチャンネルを有さず、
    前記群のすべての成形要素の部分切欠きは、モールドの内側とモールドの外側とを接続するために、互いに連通し、互いに協働して、前記積層周クラウン全体を通って延びるガス抜きチャンネルを形成し、前記群の各成形要素の部分切欠きは、前記ガス抜きチャンネルの一部のみを構成することを特徴とするタイヤトレッド用のモールド。
  2. 前記群の実質的にすべての成形要素は、本質的に周方向のダクトを生じるように互いに周方向に整合された部分切欠きを備えており、前記ダクトは、前記群の少なくとも1つの成形要素に形成され、該成形要素の半径方向内側縁部に開口する少なくとも1つの取出し切欠きに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  3. 前記群の成形要素の少なくとも一部が、該成形要素の半径方向内側縁部から多くとも10mmの距離のところで該成形要素の半径方向内側縁部に実質的に沿って延びる部分切欠きを備えていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  4. 前記成形要素は、モールドが開放するときに成形要素を押し離す傾向があるばね要素として作用することが可能な型押しされた変形部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  5. 前記積層周クラウンは、セクタに分割されており、保持されて単一のブロックを構成、各セクタは、互いに保持されて単一のブロックを形成する成形要素を備えており、モールドの開閉移動中、各セクタを移動させることができることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  6. 各セクタに属する成形要素は、ケーシングに固定されており、モールドの開閉移動中、前記ケーシングを移動させることができることを特徴とする請求項5に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  7. 前記積層周クラウンは、複数の第1の周方向に並置された成形要素を備えた第1の部分と、複数の第2の周方向に並置された成形要素を備えた第2の部分とを備えており、前記複数の第1の周方向に並置された成形要素は、前記複数の第2の周方向に並置された成形要素に横方向に隣接していることを特徴とする請求項5に記載のモールド。
  8. 前記複数の成形要素の各々の厚さは、0.1mmと5mmとの間であり、該厚さは、前記複数の成形要素の各々の半径方向外側縁部からモールドの軸線に半径方向に向かうにつれて漸次減少していることを特徴とする請求項5に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  9. 前記各セクタの成形要素は、セクタを境界決めする成形要素の各々の自由表面にもたれている2つの突出ヘッドを備えた固定装置により互いに締付らており、固定装置は1つのセクタから次のセクタまで交互に配置されており、各セクタはこれらがタイヤトレッドを成形する前記積層周クラウンを形成するために接触しているとき、隣接セクタの固定装置のヘッドを受け入れる周方向に間隔を隔てて配置された凹部を備えていることを特徴とする請求項5に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  10. 偶数の前記セクタを備えていることを特徴とする請求項5に記載のタイヤトレッド用のモールド。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤトレッド用のモールドを使用して、タイヤを製造する方法において、該方法は、モールドを少なくとも部分的に前記ガス抜きチャンネルを通してガス抜きする工程を含むことを特徴とするタイヤを製造する方法。
  12. タイヤトレッドの表面に対して60°より小さい角度で配向されている型跡ニップルを有することを特徴とする、請求項11の方法により得られるタイヤ。
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