JP4373596B2 - プリント基板の加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の加工方法に係り、特にレーザ光を用いて上層と下層の導体層を接続するための底付穴(ブラインドホール)を加工するのに好適なプリント基板の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16は、従来のレーザ加工装置の構成図である。
【0003】
このレーザ加工装置では、レーザ発振器1から出力されたレーザ光2は、コリメータ3により直径をN倍に拡大あるいは縮小され、アパーチャ4により加工に適した直径に整形される。整形されたレーザ光はコーナーミラー5および加工ヘッドZ内のミラー14、第1および第2の2つのガルバノミラー15a,15bを介してfθレンズ16に入射し、ガルバノミラー15aおよびガルバノミラー15bにより位置決めされ、fθレンズ16から加工面の所定の位置に垂直に入射する。加工は、fθレンズ16に対応する加工領域18毎に行われ,図示を省略するXYワークテーブルにより、図中の181 …18Nの順に移動する。なお、レーザ光がUVレーザ光である場合とCO2レーザ光である場合とでは、それぞれの機器の材質等が異なるが、機能は同じである。
【0004】
図17は、コリメータ3の作用を示す図であり、(a)はUVレーザ光の場合、(b)はCO2レーザ光の場合である。いずれのレーザ光も、コリメータ3の拡大率Nを変えることにより、エネルギ空間分布を変えることができる。すなわち、たとえば拡大率Nを小さくすると、上段に示すように、ビーム径が小さく、高エネルギ密度、高出力密度のエネルギ空間分布(以下、「分布A」という)が、また、拡大率Nを大きくすると、下段に示すように、ビーム径が大きくなり、低エネルギ密度、低出力密度のエネルギ空間分布(以下、「分布B」という)が得られる。
【0005】
アパーチャ4の機能は、以下の通りである。アパーチャ4を光軸から外すと、フル出力のガウス分布のエネルギ空間(以下、「分布C」という)が得られる。しかし、いずれの場合も、エネルギ空間分布はガウス分布であるため、アパーチャ4の直径をビーム径に対して大きくするとエネルギが中央部に集中し、加工した穴底(すなわち、内層の導体層)が損傷することがある。そこで、アパーチャ4によりビーム中央部のエネルギ分布が比較的均一な部分を切り取ることにより、加工部におけるエネルギの大きさがほぼ均一(トップハット形状)になるようにして、ブラインドホールの穴底を損傷しないようにしている。
【0006】
図18は、プリント基板の構成を示す図である。プリント基板には、同図(a)に示すように、表面が導体層21で、導体層21とガラス繊維24を含む絶縁層22とが交互に配置されたFR−4ガラス繊維入り基板(以下、「ガラス入り基板」という)、同図(b)に示す表面の導体層21に絶縁層22を張り付けた樹脂付きの銅箔(以下、「RCC基板」という)、同図(c)に示す導体層21の表面に樹脂フィルムまたは樹脂コーティングされた基板(以下、「樹脂ダイレクト基板」という)などがある。絶縁層は、主としてエポキシ系、ポリイミド系樹脂の有機材料が使用される。絶縁層の強化材としてガラス繊維24の代わりにセラミックスなどの無機材料がフィラとして使用されることもある。
【0007】
CO2レーザを用いて、樹脂ダイレクト基板の絶縁層にブラインドホールを加工する方法(以下、「CO2樹脂ダイレクト法」という。)は、1982年に米国IPCレビューにより紹介され、実用化されている(以下、「従来技術A」という)。
【0008】
UVレーザの1つであるエキシマレーザを用いて樹脂ダイレクト基板にブラインドホール加工する方法は、1987年に米国IPCレビューにより紹介され、UV樹脂ダイレクト法として実用化されている(以下、「従来技術B」という)。
【0009】
ガラス入基板にブラインドホール穴明けする方法として、穴径に相当する導体層21を予め除去した後、CO2レーザにより絶縁層22を加工する方法がある。この方法では、例えば、特開昭58−64097号公報ではケミカルエッチングにより(以下、「従来技術C」という)、また、米国特許第5,010,232号ではドリル加工(以下、「従来技術D」という)により、穴径に相当する導体層21を予め除去してから、レーザ光により絶縁層を除去している。
【0010】
導体層と絶縁層を同時に加工する方法として、UVレーザ光を円周動作させて導体層のウインド加工とCO2レーザによる絶縁層の除去を繰り返してブラインドホールあるいはスルーホールを加工するUV+CO2レーザ法が、特開平1−266983号公報に開示されている(以下、「従来技術E」という)。また、米国特許第5,593,606号には、UVレーザだけで導体層と絶縁層を加工するUVダイレクト法が開示されている(以下、「従来技術F」という)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図19は、前記従来技術A(CO2樹脂ダイレクト法)による穴明け例を示す図であり、(a)はエネルギ分布と穴の形状を、(b)は加工のタイミングチャートを示している。同図(a)におけるEPJ19はパルスエネルギ、ETJ19はトータルエネルギ、ESCJ19は絶縁層分解しきい値エネルギ、EEPJ19は有効加工エネルギ、VJ19は材料除去量をそれぞれ示す。また同図(b)における、TPJ19はパルス巾、TPPJ19はパルス周期、TGCはガルバノミラーの位置決め時間、WPJ19はパルス出力である。
【0012】
従来技術Aでは、パルスエネルギEPJ19、パルス巾TPJ19のパルスをパルス周期TPPJ19で連続出力し、ショット数NJ19で絶縁層をVJ19除去してブラインドホールを加工するが、穴底に厚さtC(0.2〜3μm)の膜が残る。その際、エネルギ密度とショット数を増しても残膜厚tCの厚さはほとんど変わらない。
【0013】
このように膜が残る理由は、以下の通りである。すなわち、CO2レーザ加工は、絶縁層がレーザ光を吸収することにより樹脂の温度を上昇させて熱分解させる方法である。内層導体である銅の熱伝導率は樹脂に比べて約3桁大きいため、絶縁層が薄くなると、熱が内層導体に流れる結果、樹脂の温度が分解温度に達することができず、その結果、穴底に厚さ0.2〜3μmの残膜が存在することになる。
【0014】
このように膜が残ると、穴底に残った膜を除去するためのケミカルデスミア工程(コンディショニング、水洗、煮沸、冷却、水洗、膨潤、水洗、酸化デスミア、水洗、中和、水洗、乾燥等の工程からなる)が必要である。また、穴径が100μm以下になると、処理液の濡れ性が低下するため(処理液が加工した穴に入りにくくなる)、デスミアプロセスの信頼性が低下する。
【0015】
次に、UVレーザを用いる方法について説明する。
【0016】
図20は、UV樹脂ダイレクト法による穴明け例を示す図であり、(a)は第1の条件で加工したときのエネルギ分布と穴の形状を、(b)はこのときの加工のタイミングチャートを示し、(c)は第2の条件で加工したときのエネルギ分布と穴の形状を、(d)はこのときの加工のタイミングチャートを示している。同図(a)および(c)におけるEPI20、EPI201はパルスエネルギ、ETI20、ETI201はトータルエネルギ、ESCI20、ESCI201は絶縁層分解しきい値エネルギ、EEPi20、EEPI201は有効加工エネルギ、VI20、VI201は材料除去量をそれぞれ示す。また同図(b)および(d)におけるTTPI20、TTPI201は1穴当たりの加工時間、TPI20、TPI201はパルス巾、TPPI2、T0PPI201はパルス周期、TGCはガルバノミラーの位置決め時間、WPI20、WPI201はパルス出力である。
【0017】
従来技術Bでは、パルスエネルギEPI20あるいはEPI201、パルス巾TPI20あるいはTPI201のパルスをパルス周期TPPI2あるいはT0PPI201で連続出力し、ショット数NI20あるいはNI201で絶縁層VI20あるいはVI201を除去してブラインドホールを加工する。
【0018】
ここで、第1の加工条件は、穴径100μm、絶縁層厚50μmの条件で下記の通りである。
【0019】
エネルギ密度EDI20:2〜4J/cm2
パルスエネルギEPI20:0.04〜0.08mJ
パルスショット数NI20:50
トータルエネルギEPI20×NI20=2.0〜4.0mJ
パルス周期TPPI20:0.04ms(25KHz)
パルス巾TPI20:約30ns
ガルバノミラー位置決め時間TGC:1ms
なお、このとき1穴あたりの穴明け時間TPTI20は0.003秒/穴である。 また第2の加工条件は、第1の加工条件におけるパルスエネルギEPI20 、EPI201を0.01〜0.02mJに下げ、パルスショット数NI20を100ショット、エネルギ密度EDI201を0.5〜1.0J/cm2に減らして加工したものである。なお、この場合の1穴当たりの穴明け時間TTPI201は0.005秒/穴である。
【0020】
従来技術Bの場合、前記従来技術Aのように、穴底に絶縁層が残ることはない。しかし、図20(a)に示すようにエネルギ過多により、穴底の導体層が深さdだけ除去される。このため、めっき強度を確保するために設けられている導体層表面の凹凸が溶融分解してなくなってしまう。すなわち、波長変換方式のUVレーザはCO2レーザのようにパルス巾やパルス周波数によりパルスエネルギを加工途中で変えることができないため、樹脂と内層導体層の分解エネルギ密度しきい値の差が小さく(UVレーザの場合、導体層は0.8〜1.0J/cm2以上で除去され始め、絶縁層は0.3〜0.5J/cm2以上で除去され始める)、かつ、絶縁層材料の厚さが65μmに対して厚さのばらつきが約20μmであり、大きい。そのため、加工深さを正確に指定することが難しく、結果として穴底導体層が損傷する。また、絶縁層のエネルギ吸収率が低いと、穴底に到達するエネルギ量が増加し、これによって穴底導体層のエネルギ蓄積が増加する。このため、導体層上面の樹脂が分解気化することがあり、この際、気化エネルギにより絶縁層が引き剥がされて、穴底コーナー周辺の絶縁層がリング状に剥離することがある。一方、パルスエネルギを小さくすると、穴底の損傷を軽減することはできるが、パルスショット数が増えるため、第2の加工条件は、第1の加工条件に対して加工速度が40%低下する。
【0021】
図21、図22および図23は、従来技術C、Dを説明するための図である。従来技術C、Dでは、図21に示すように、表面の導体層21に予めウインドウWEを形成しておく(コンフォ−マルマスク法という)。ウインドウWEを形成する方法として、特開昭58−64097号公報ではケミカルエッチングを、米国特許第5,010,232号ではドリル加工を採用している。
【0022】
図22は、ウインドウWEを形成したガラス入基板の絶縁層22をCO2レーザで穴明けするときの例であり、同図におけるEPJ22はパルスエネルギ、ETJ22はトータルエネルギ、ESCJ22は絶縁層分解しきい値エネルギ、EEPJ22は有効加工エネルギ、VJ22は材料除去量である。
【0023】
図23は、従来技術C、Dによるサイクル加工の場合におけるタイミングチャートである。サイクル加工の場合、同一箇所に対してレーザ光を連続して照射せず、必要ショット数になるまで、加工領域内の加工箇所にパルス巾TPJI22のレーザ光を1ショットずつ照射する工程を繰り返す。このようにすると、次の加工までに加工によって発生した絶縁物のガスが穴の内部から除去されて、品質および精度に優れた穴形状とすることができる。
【0024】
図24は、従来技術Eを説明するための図であり、(a)はUV(エキシマ)レーザによりガラス入り基板を加工したときのエネルギ分布と穴の形状を、(b)はこのときの加工のタイミングチャートを示している。また、(c)はCO2レーザで加工したときのエネルギ分布と穴の形状を、(d)はこのときの加工のタイミングチャートを示している。同図(a)および(c)におけるEPI24、EPJ24はパルスエネルギ、ETI24、ETJ24はトータルエネルギ、ESCI24、ESCJ22は絶縁層分解しきい値エネルギ、VI24、VJ24は材料除去量である。また、同図(b)および(d)におけるTTPI20、TTPI201は1穴当たりの加工時間、TPI20、TPI201はパルス巾、TGCはガルバノミラーの位置決め時間、WPI24、WPJ24はエネルギ出力である。従来技術Eでは、UVレーザ光を円周動作させて導体層のウインドウWEの加工と、CO2レーザによる絶縁層の除去を繰り返してブラインドホールあるいはスルーホールを加工する。
【0025】
しかし、従来技術C、D、Eは、いずれもCO2レーザ仕上げになるので、従来技術Aの場合と同様に、穴底に絶縁層の膜が残る。このため、いずれもデスミア処理を必要とする。
【0026】
図25は、従来技術F(UVダイレクト法)による、ガラス入り基板の円周加工法による加工例を示す図である。なお、この場合のUVレーザは、固体レーザを基本波にした波長変換方式のUVレーザであり、(a)はエネルギ分布と穴の形状を、(b)はこのときの加工のタイミングチャートを示している。同図(a)におけるEPI25はパルスエネルギ、ETI25はトータルエネルギ、ESCI25は絶縁層分解しきい値エネルギ、EEPi25は有効加工エネルギ、VI251、VI252、VI253は材料除去量である。また、同図(b)におけるTTPI25は1穴当たりの加工時間、TPI25はパルス巾、TPPI25はパルス周期、TTPI25は1穴当たりの加工時間、TGCはガルバノミラーの位置決め時間、WPI25はエネルギ出力である。
【0027】
円周加工法では、ガルバノミラーの位置決めと同期して、パルス巾TPI25、パルス周期TPPI25のレーザパルスが必要なパルス数NI25ショットされ、第1回目の円周加工によりVI251が除去されてウインドウが加工される。さらに第2回目の円周加工によりVI252が、第3回目の円周加工によりVI253が除去される。
【0028】
たとえば、穴径100μm、絶縁層厚50μmを下記の条件で加工したとき、エネルギ過多により、導体層が深さdだけ除去されるだけでなく、穴の側壁にガラスが突き出し、絶縁層がバレル状にえぐられる。
【0029】
エネルギ密度EDI25:4.8〜8.0J/cm2
パルスエネルギEPI25:0.06〜0.10mJ
トータルエネルギEPI25×NI25=18〜30mJ
パルスショット数NI25:100
円周加工回数nI25:3
総パルスショット数NI25×nI25:300
パルス周期TPPI25:0.33ms(3KHz)
パルス巾TPI25:約30ns
ガルバノミラー位置決め時間TGC:1ms
なお、このとき穴明け時間TPTI25は0.1秒/穴(10穴/秒)であり、実用穴明け速度(1000穴/秒程度)の1/10〜1/100である。
【0030】
絶縁層がエネルギ過多になる理由は、以下の通りである。UVレーザ光に関するエネルギ吸収率は、たとえば波長355nmの場合、エポキシ系材約30〜80%、銅約70〜75%以上、ガラス約20%(80%透過、10%反射)であり、差が大きい。また、分解エネルギのしきい値は、例えばエポキシ系材約0.3〜0.5J/cm2以上、銅0.8〜1.0J/cm2以上、ガラス5〜6J/cm2以上であり差が大きい。また熱伝導率の差、すなわちエポキシ系材0.8〜.085KW/m・K、銅386KW/m/K、ガラス1.04〜1.09KW/m・Kであり、差が大きい。
【0031】
例えば、ガラス入り基板の場合、ガラス繊維により、約80%のエネルギが穴内部に反射拡散されて蓄積されるため、パルス周期を0.0033ms以下(パルス周波数3KHz以上)にすると穴側壁の樹脂がバレル状にえぐられ、ガラス繊維の突き出しが大きくなり穴品質が低下する。したがって、加工速度が著しく低下する。
【0032】
また、この加工法では、絶縁層にガラス繊維が入っていない場合でも、導体層を除去するため、エネルギ密度3J/cm2以上で加工をする。このため、UV光に対する前記材料物性値の違いにより、熱の制御が困難であるため、穴底の導体層を損傷してしまう。したがって、実用可能な穴品質を得ることは困難である。
【0033】
図26は、従来技術F(UVダイレクト法)による導体層の厚さが9μmのRCC基板の円周加工法による加工例を示す図であり、(a)はエネルギ分布と穴の形状を、(b)はこのときの加工のタイミングチャートを示している。同図(a)におけるEPI26はパルスエネルギ、ETI26はトータルエネルギ、ESCI26は絶縁層分解しきい値エネルギ、EEPi26は有効加工エネルギ、VI261、VI262、VI263は材料除去量である。また、同図(b)におけるTTPI26は1穴当たりの加工時間、TPI26はパルス巾、TPPI26はパルス周期、TTPI26は1穴当たりの加工時間、TGCはガルバノミラーの位置決め時間、WPI26はエネルギ出力である。
【0034】
円周加工法では、ガルバノミラーの位置決めと同期して、パルス巾TPI25、パルス周期TPPI25のレーザパルスが必要なパルス数NI25出力され、第1回目の円周加工によりVI251が除去されてウインドウWEが加工される。さらに第2回目の円周加工によりVI252が、第3回目の円周加工によりVI253が除去される。
【0035】
RCC基板の場合、ガラス繊維がないので穴内部のエネルギの拡散蓄積が少なく壁面の仕上がりは良い。しかし、前記と同様に、穴底の導体層は損傷を受ける。なお、加工時間としては、パルス周期PPI26を0.33ms(25KHz)にすることができるので、1穴当たりの加工時間TTPI26は0.015秒/穴(67穴/秒)であり穴明け速度は改善されるが、実用速度には達しない。
【0036】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、前記した課題を解決し、加工の信頼性および穴の品質を向上させると共に、加工時間の短縮化を図ることができる基板の穴明け方法を提供するにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、第1層が導体層、第2層が絶縁層であって、前記導体層と絶縁層が交互に積層されたプリント基板の加工方法において、エネルギ空間分布がガウス分布のUVレーザのレーザ光により加工する第1の加工ヘッドと、エネルギ空間分布がトップハット分布のCO2レーザのレーザ光により加工する第2の加工ヘッドと、エネルギ空間分布がトップハット分布のUVレーザのレーザ光により加工する第3の加工ヘッドと、を有し、前記第1ないし第3の加工ヘッドは、プリント基板を載置する加工テーブルの移動距離が最小かつ前記各加工ヘッド間の軸間距離が最小となるように直線的に配置され、前記第1の加工ヘッドは前記第1層の導体層を加工し、前記第2の加工ヘッドは前記第2層の絶縁層を加工し、前記第3の加工ヘッドは前記第2層の絶縁層の残膜を除去することにより、その下層の導体層を露出させ、これらの加工ヘッドにより前記プリント基板を加工する際、前記プリント基板と前記各加工ヘッドとを当該加工ヘッドの並び方向と直交する方向に相対的に往復動させ、一回往復する毎に前記加工ヘッドの並び方向の次の加工位置に移動して加工する工程が、前記プリント基板を前記第1の加工ヘッドに対して加工開始位置に位置決めする第1の工程と、前記第1の加工ヘッドが前記加工開始位置に位置から加工を開始する第2の工程と、前記第1の加工ヘッドによる加工が進行して前記第2の加工ヘッドが前記加工開始位置に位置すると、前記第1に加えて前記第2の加工ヘッドによる加工を開始する第3の工程と、前記第1及び第2の加工ヘッドによる加工が進行して前記第3の加工ヘッドが前記加工開始位置すると、前記第1、第2の加工ヘッドに加えて前記第3の加工ヘッドによる加工を開始する第4の工程と、前記第1の加工ヘッドが加工終了位置に達すると、前記第1の加工ヘッドによる加工を終了し、前記第2及び第3の加工ヘッドによって加工する第5の工程と、前記第2の加工ヘッドが前記加工終了位置に達すると、前記第2の加工ヘッドによる加工を終了し、前記第3の加工ヘッドによって加工する第6の工程と、前記第3の加工ヘッドが前記加工終了位置に達すると、第3の加工ヘッドによる加工を終了し、この時点で第1ないし第3の加工ヘッドによる加工を終える第7の工程と、を備え、同一の穴を前記第1、第2及び第3の加工ヘッドで加工することを特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0046】
1.第1の実施形態
1.1 レーザ加工装置の構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。同図において、加工系UiのUVレーザ発振器1iから出力された波長λ1が400nm以下のレーザ光Biは、非球面レンズを組み合わせ、または回折形光学素子を組み合わせたビーム整形ユニット30iを通り、コリメータ3iにより直径をNi倍に拡大あるいは縮小され、アパーチャ4iにより加工に適した直径に整形される。そして、コーナーミラー5iを介して加工ヘッドZiに入射し、ヘッド部Zi(2個のガルバノミラーとfθレンズとから構成されている−図16参照)により集光されて加工面に垂直に入射する。なお、レーザ光Biは、導体層と絶縁層の除去に適した(両方の材料に対して吸収率が高く除去しやすい)レーザ光であればよく、波長λ1が400nm以下のUVレーザに限らず、波長600nm以下の可視光レーザであってもよい。
【0047】
加工系Ujのレーザ発振器1jから出力された波長λ2が9200〜111000nmのCO2レーザ光Bjはビーム整形ユニット30jを通り、コリメータ3jにより直径をNj倍に拡大あるいは縮小され、アパーチャ4jにより加工に適した直径に整形される。そして、コーナーミラー5jを介して加工ヘッドZjに入射し、ヘッド部Zj(2個のガルバノミラーとfθレンズとから構成されている)により集光されて加工面に垂直に入射する。ここで、レーザ光Bjは、導体層の除去に適さない(吸収率が低く除去されにくい)が、絶縁層の除去に適した(吸収率はそれほどでもないが、単位時間当たりの除去量が多い)レーザ光である。
【0048】
加工系Ukのレーザ発振器1kから出力された波長λ3が400nm以下のUVレーザ光Bkは、ビーム整形ユニット30kを通り、コリメータ3kにより直径をNk倍に拡大あるいは縮小され、アパーチャ4kにより加工に適した直径に整形される。そして、コーナーミラー5kを介して加工ヘッドZkに入射し、ヘッド部Zk(2個のガルバノミラーとfθレンズとから構成されている)により集光されて加工面に垂直に入射する。ここで、レーザ光Bkは、導体層の除去には適さない(吸収率は高いがエネルギ密度が低く除去されにくい)が、絶縁層の除去に適した(吸収率が高く除去しやすい)レーザ光である。
【0049】
加工系Ui、Uj、Ukのいずれもビーム整形ユニット30i、30j、30kを制御することにより、レーザ光Bi、Bj、Bkのエネルギ空間分布をガウス分布からトップハット形状に整形することができる。したがって、従来のビーム整形ユニット30i、30j、30kを使用しない場合に比べて、加工有効エネルギを増すことができる。
【0050】
また、アパーチャ径dAi、dAj、dAkを変更することにより、加工面の加工位置(図中のi、j、k。以下、加工位置という。)において、エネルギ密度一定のまま加工ビーム径dSi、dSj、dSkの調整が可能である。
【0051】
また、アパーチャ径dAi、dAj、dAkを一定にしたまま、コリメ−タ3i、3j、3kの拡大率Ni、Nj、Nkを変えることによって異なるエネルギ空間分布モード(以下、「モード」という。)Ai1、Bi1、Aj1、Bj1、Ak1、Bk1とすることができる。また、アパーチャを光路から外すと、エネルギ空間分布をフル出力のモードCi1、Cj1、Ck1とすることができる。
【0052】
すなわち、例えば拡大率Niを小さくするとビーム径dSiが縮小され導体層やガラス繊維の分解除去が可能な、高エネルギ密度、高出力密度のモードAi1にすることができる。また、拡大率Niを大きくするとビーム径dSiが拡大され、導体層を損傷することなく絶縁層加工を行うことができる低エネルギ密度、低出力密度のモードBi1にすることができる。また、アパーチャを光軸から外してフル出力のモードCi1にすると、導体層加工をさらに効率よく加工することができる。
【0053】
また、ヘッドZi、ヘッドZj、ヘッドZkはそれぞれ連続的に加工を行うことができ、それぞれプリント基板の全域を加工できる移動量をもっている。そして、XYワークテーブルの移動距離が最小となるように、軸間距離Lij、Ljkが最小となるように、かつそれぞれがワークテーブル上の同一のプリント基板を加工できるようにして、レーザ加工装置上に直線的に配置されている(詳細は後述する。)。
【0054】
1.2 加工位置i、j、kにおけるエネルギ密度
加工位置iにおいて導体層の除去に必要な実用有効エネルギ密度EdSiは約3J/cm2以上であるため、できるだけ大きな有効スポット径が得られるようにレーザ光BiはモードモードCi1を適用する。また、絶縁層の除去に必要な有効エネルギ密度は約1J/cm2以上でありモードAi1を適用する。
【0055】
また、加工位置jにおいてRCC材および樹脂ダイレクト基板の絶縁層を除去するために必要な実用有効エネルギ密度EdSjは約10J/cm2以上、またFR−4ガラス入り基板の絶縁層を除去するために必要な実用有効エネルギ密度EdSjは約30J/cm2以上であるため、絶縁層の厚さや材質に応じてモードAj1、モードBj1、モードCj1を適用する。たとえば、モードAj1は1パルス当たりの除去量が多いので、絶縁層の加工を最も効率よく行うことができる。また、ピ−ク出力が高いので穴底の残膜が少なく、ガラス繊維をよりスム−ズに分解除去できる。
【0056】
また、加工位置kにおいて穴底の絶縁層を除去するのに必要なUVレーザのエネルギ密度EdSkは0.3〜0.5J/cm2以上(実用的には0.5J/cm2以上)である。このため、絶縁層を均一に除去でき、かつ樹脂の引き剥がし強度を向上するために設けられている内層導体表面の酸化物層を除去でき、かつ導体層素材にほとんど損傷を与えないトップハット形状のモードBk1(またはモードAk1)を適用する。これにより、穴明け後に穴底の導体層上にわずかな分解飛散物が残っても、レーザ加工の後工程のメッキ処理の最初の工程であるソフトエッチング工程で内層の導体表面の酸化物層と共に除去できるのでデスミア工程を省略できる。
【0057】
なお、加工部i、j、kにおける加工スポット径、ピ−ク出力密度、エネルギ密度は、アパーチャ径と、アパーチャからfθレンズまでの光軸長と、fθレンズの焦点距離と、ピ−ク出力と、パルスエネルギと、コリメ−タの拡大率Nとから算出できる。そして、加工部i、j、kにおいて必要な加工有効スポット径、加工部出力密度、加工部エネルギ密度を得られるように、これらのパラメ−タを設定する。
【0058】
ここで、レーザ光i、j、kの諸元を以下のように表示する。なお、添字のaはレーザ光i、j、kの区分を、添字のbは図面番号である。
【0059】
EdSab(=EPab/[π(dSab/2)2]):エネルギ密度
WdSab:ピ−ク出力密度
WdSab=EdSab/TPab=EPab/[TPab・π(dSab/2)2]
EEPab=αEPAB−ESAB: 有効パルスエネルギ
ただし、αR:絶縁層のエネルギ吸収率
αCu:導体層のエネルギ吸収率
αG :ガラスのエネルギ吸収率
EPab:パルスエネルギ
WPab:ピ−ク出力(=EPab/TPab)
ESab:分解エネルギしきい値
Nab:パルスショット数
ETab:トータルエネルギ(=EPab×Nab)
Vab:材料除去量
TTPab:穴明け周期
TPab:パルス巾
TPPab:パルス周期
TGC:ガルバノミラー位置決め周期
dSab:加工スポット径(=dAab×[(fab/Lab)−1])
dAab:アパーチャ径
Lab:アパーチャからfθレンズまでの距離
fab:レンズ焦点距離
EPabN:第N番目のパルスエネルギ
VabN:第N番目のパルスによる材料除去量
ETab:トータルエネルギ(=ETPab1+ETPab2+ETPab3)
Vab:材料除去量(=Vab1+Vab2+Vab3)
たとえば、レーザ光Bjにおいて異なるパルスエネルギを3ショットして仕上げる場合、Vj61はパルスエネルギEPj61の第1パルスによる材料除去量、Vj62はパルスエネルギEPj62の第2パルスによる材料除去量、Vj63はパルスエネルギEPj63の第3パルスによる材料除去量を表す。したがって、トータルエネルギETj6は、
ETj6=ETPj61+ETPj62+ETPj63
そのときの材料除去量Vj6は、
Vj6=Vj61+Vj62+Vj63
である。
【0060】
1.3 加工例
1.3.1 ガラス入り基板の加工例
図2はガラス入り基板の加工を行う場合のエネルギ分布と穴の形状を加工順に示す図であり、図3はこのときの加工のタイミングを示すタイミングチャートである。これらの図において、図2における(a)〜(c)と図3における(a)〜(c)はそれぞれ対応している。
【0061】
図2(a)において、外層導体層21は、レーザ光BiのパルスエネルギEPi2が分解エネルギしきい値ESi2よりも高い範囲のエネルギ、すなわち有効パルスエネルギEEPi2によって除去される。したがって、穴入口径はパルスエネルギEPi2と分解エネルギしきい値ESi2の交点で決まることになる。そこで、パルス巾TPi2を30ns、パルス周期TPPi2を0.04ms(周波数25kHz)、ピ−ク出力をWPi24000W、パルスエネルギEPi2を0.12mJのモードCi2を適用すると、パルスエネルギ密度EdSi2を4J/cm2を確保可能なレーザ光Biの加工スポット径dSi6は60μm以下である。この条件は、実用的に必要なエネルギ密度3J/cm2以上(実験値である)を満足するので導体層を除去することができる。しかし、厚さ9μmの導体層に穴径100μmのウインドを加工するには、ビームスポットを円周運動(図中矢印)させる必要がある。この場合、パルス数Ni2を80ショットにすると加工ができ、このときのトータルエネルギETi2は9.6mJである。
【0062】
図2(b)において、絶縁層22はレーザ光BjのパルスエネルギEPj2が分解エネルギしきい値ESj2よりも高い範囲のエネルギ、つまり有効パルスエネルギEEPj2によってほとんど除去される。したがって、パルス巾TPj2を10μs、ピ−ク出力WPj2を800W、パルスエネルギEPj2を8mJのモードBj2(またはモードCj2)、パルス数Nj2を3ショットのサイクル加工を行う場合、パルスエネルギ密度EdSj2を45J/cm2にすると、加工スポット径dSj2をウインド径100μmよりも大きい150μmにすることができる。この条件は、実用的に必要なパルスエネルギ密度30J/cm2以上(実験値である)を満足するため、ほとんどの絶縁層を除去できるが、穴底に厚さtcが0.1〜3μmの膜が残る。そして、このときのトータルエネルギEPj2は24mJである。
【0063】
図2(c)において、絶縁層22はレーザ光BkのパルスエネルギEPk2が分解エネルギしきい値ESk2よりも高い範囲のエネルギ、つまり有効パルスエネルギEEPk2によって除去されるが、外層導体層21の分解エネルギしきい値ESi2よりも低ければ内層の導体層24に損傷を与えることはない。したがって、パルス巾TPk2を30ns、パルス周期TPPk2を0.04ms(波数25kHz)、ピ−ク出力WPk2を4000W、パルスエネルギEPk2を0.12mJのモードBk2を適用すると、加工スポット径dSk2をウインド径100μmよりも大きい150μmにしても、パルスエネルギ密度EdSk2を0.7J/cm2が確保できる。この条件は、実用的に必要なエネルギ密度0.3〜0.8J/cm2以上を満足するため、絶縁層の残膜を除去することができる。そして、このときの、絶縁層除去速度は約0.5μm/パルスであり、パルス数Nk2は10〜15ショットである。
【0064】
そして、以上の方法によれば、導体層の加工とガラス繊維を含む絶縁層の加工を最も効率よく行うことができる。また、UVレーザ光の穴底に到達するトータルエネルギは約0.55mJ(≒0.12mJ×10パルス×(φ100/φ150)2)であり、絶縁層を直接加工する場合のトータルエネルギ6mJ(0.12mJ×50パルス)の約10%以下である。したがって、UVレーザ光の吸収率が低い材料であっても、穴底が損傷することはない。また、穴底コーナー周辺部で導体層と絶縁層との間にクラックが生じることはない。さらに、絶縁層の厚さがばらついても、レーザ光Bi加工後の残膜厚は変わらないので、加工の信頼性が向上する。なお、穴明け後に穴底の導体層上にわずかな分解飛散物が残っていたとしても、レーザ加工の後工程のメッキ処理の最初の工程であるソフトエッチング工程において、内層導体表面の酸化物層等と共に除去することができるので、デスミア工程を省略できる。また、デスミア工程を設けるとしても、デスミア処理時間を大巾に短縮することができる。
【0065】
1.3.2 RCC基板の加工例
図4はRCC基板の加工を行う場合のエネルギ分布と穴の形状を加工手順に示す図であり、図5はこのときの加工のタイミングを示すタイミングチャートある。図4における(a)〜(c)と図5における(a)〜(c)はそれぞれ対応している。
【0066】
RCC基板では、導体層21の加工は、図4(a)に示すように、前記図2(a)と同様に行われる。図4(b)のCO2レーザによる絶縁層22の除去加工はガラス入り基板に比べて分解エネルギ密度しきい値が低いので、たとえば、モードBj4(またはモードCj4)のパルス巾TPj4が10ms、ピ−ク出力WPj4が500W、パルスエネルギEPj4が5mJのCO2レーザ光Bjが適用される。そして、加工スポット径dSj4を150μmにしても、3.0MW/cm2のピーク出力密度WdSj4、30J/cm2のパルスエネルギ密度EdSj4が得られ、実用パルスエネルギ密度10J/cm2以上を満足する。この条件によれば、1〜2ショットでほとんどの絶縁層を除去できるが、穴底に厚さtcが0.1〜3μmの残膜が残る。しかし、図2(c)の場合と同様にして、残膜を除去することができる。したがって、デスミア工程の負荷を軽減できるためデスミア処理時間を大巾に短縮でき、材料によってはデスミア工程を省略できる。
【0067】
1.3.3 表面に導体層のないFR−4基板の加工例
図6において、(a)、(c)は、表面に導体層のないFR−4基板の加工を行う場合のエネルギ分布と穴の形状を示す図であり、(b)、(d)はそのときのタイミングを示すタイミングチャートである。表面に導体層のないFR-4基板加工では、同図(a)に示すように、穴入口径が、絶縁層を除去するためのレーザ光BjのパルスエネルギEPi6と絶縁層の分解エネルギしきい値ESi6により決まることを除いて、図2(b)の絶縁層の除去加工と同様に行われる。また、同図(b)の絶縁層22のレーザ光Bkによる穴底の絶縁層残膜の除去は図2(c)の穴底の残膜除去と同様に行われる。したがって、前記と同様な効果を得ることができ、デスミア工程を省略できる。また、デスミア工程の負荷を軽減できるためデスミア処理時間を大巾に短縮できる。
【0068】
1.3.4 表面に導体層のない樹脂基板の加工例
図7において、(a)、(c)は、表面に導体層のない樹脂基板の加工を行う場合のエネルギ分布と穴の形状を示す図であり、(b)、(d)はそのときのタイミングを示すタイミングチャートである。表面に導体層のない樹脂基板では同図(a)に示すように、穴入口径が絶縁層を除去するためのレーザ光BjのパルスエネルギEPi7と絶縁層の分解エネルギしきい値ESi7で決まることを除いて、図4(b)の絶縁層の加工と同様に行われる。また、同図(c)の絶縁層22のレーザ光Bkによる穴底の絶縁層の残膜除去は、図4(c)の穴底の残膜除去と同様に行われる。したがって、前記の場合と同様の効果を得ることができ、デスミア工程を省略できる。また、デスミア工程の負荷を軽減できるためデスミア処理時間を大巾に短縮できる。
【0069】
1.3.5 表面に導体層のない樹脂基板(あるいは導体層のないFR−4基板)の加工例
図8において、(a)、(c)は、表面に導体層のない樹脂基板(あるいは導体層のないFR−4基板)の加工を行う場合のエネルギ分布と穴の形状を示す図であり、(b)、(d)はそのときのタイミングを示すタイミングチャートである。表面に導体層のない樹脂基板では、同図(a)に示すように、レーザ光Bjの代わりにUVレーザ光BiのモードBi8を適用し、パルスエネルギEPi8と絶縁層の材質により、絶縁層を絶縁層の厚さのばらつき分、例えばtcが5〜10μm残るように加工する。また、同図(c)に示すように、レーザ光Bkにより穴底の残膜厚tcを除去することもできる。したがって、絶縁層の厚さにばらつきがあっても、レーザ光Bjが穴底を損傷することはない。したがって、前記の場合と同様の効果を得ることができ、デスミア工程を省略できる。
【0070】
ところで、デスミア処理は本来穴底の樹脂残膜の除去を目的とする処理であるが、穴底の残膜を除去する際に、穴壁が3〜5mm除去されてしまい、通常、穴径が直径で最大10mm大きくなってしまう。しかし、本発明によれば、デスミア工程が不要あるいは処理時間を大巾に短縮できるため、穴径はほとんど変化せず、精度に優れる小径穴を加工することができる。
【0071】
1.4 加工時間の短縮効果
図1の装置を適用した場合、加工時間は以下のようにして短縮される。なお、加工法と加工領域および加工順序により加工速度が異なるため、加工法毎の穴明け周期を以下のように定める。すなわち、
導体層除去に適用されるレーザ光Biの円周加工穴明け周期TTPRabを、
TTPRab=TGC+TPPab×(Nab−1)・・・ 式1
絶縁層加工に適用されるレーザ光Bjのサイクル加工穴明け周期TTPRab、を、
TTPRab=(TGC+TPab)×Nab ・・・ 式2
絶縁層加工に適用されるレーザ光Bjのバ−スト加工穴明け周期TTPRabを、
TTPRab=TGC+TPPab×(Nab−1)・ 式3
穴底の残膜除去に適用されるレーザ光Bkのバ−スト加工穴明け周期TTPRabを、
TTPRab=TGC+TPPab×Nab−1)]・ 式4
ただし、Rは加工領域の番号、aはレーザ光の種類を、bは図の番号である。
【0072】
図9は、図2にで説明したガラス入り基板を加工する場合の加工ヘッドの位置および加工順序を示す図である。同図において、(b)はヘッドZiのみの加工領域1、(c)はヘッドZi、ヘッドZjの同時加工領域2、(d)はヘッドZi、ヘッドZj、ヘッドZkの同時加工領域3、(e)はヘッドZj、ヘッドZkの同時加工領域4、(f)はヘッドZkのみの加工領域5を示している。図中、Sはプリント基板上の加工開始位置、Fは加工終了位置である。すなわち、プリント基板がヘッドZiに対して加工開始位置Sに位置決めされるとヘッドZiの加工が開始され表面導体層にウインドウWEが加工される。加工が進み、ヘッドZjが位置Sに達すると、ヘッドZjにより絶縁層除去加工が開始される。さらに加工が進み、ヘッドZkが位置Sに達すると、ヘッドZkにより穴底の絶縁層残膜除去加工が開始され、以後、ヘッドZiが位置Fに達するまで3ヘッドによる同時加工が続行される。そして、ヘッドZiが位置Fに達すると、ヘッドZiの加工が停止される。次に、ヘッドZjが位置Fに達するとヘッドZjの加工が停止される。そして、ヘッドZkが位置Fに達するとヘッドZkの加工が停止され、加工が終了する。
【0073】
したがって、Lij=Ljk、また穴が一定ピッチで穴数Mが格子状に分布する基板を穴明けする場合、前記各加工領域の加工時間およびトータル穴明け時間TPTについて、
ヘッドZiのみの加工領域1(穴数M1)の加工時間TPT1は、
TPT1=TTP1i2・M1 ・・・・・ 式5
ヘッドZi、ヘッドZjの同時加工領域2(穴数M2=M1)の加工時間TPT2は、
TPT2=Max〔TTP2i2・M2、TTP2j2・M2〕・・・式6
ヘッドZi、ヘッドZj、ヘッドZkの同時加工領域3(穴数M3)の加工時間TPT3は、
TPT3=Max〔TTP3i2・M3、TTP2j2・M3、TTP3k2・M3〕 ・・・ 式7
ヘッドZj、ヘッドZkの同時加工領域4(穴数M4=M1)の加工時間TPT4は、
TPT4=Max〔TTP4j2・M4、TTPk2・M4〕 ・・ 式8
ヘッドZkのみの加工領域5(穴数M5=M1)の加工時間TPT5は、
TPT5=TTP5k2・M5 ・・・・・・ 式9
ただし、M=M1+M2+M3=M3+M4+M5 ・・・・・・・・ 式10
トータル穴あけ加工時間TPTは
TPT=TPT1+TPT2+TPT3+TPT4+TPT5 ・式11
テ−ブル移動を含めたトータル加工時間は、
T=TPT+TTT ・・・・・・・ 式12
ただし、TTTはトータルテ−ブル移動時間であり、
TTT=Roundup (LX+2LijX)/L S)・Roundup (LY/L S)・TT ・・・・・ 式13
また、
LX、LY:基板加工エリアX、Y寸法
LS:スキャンエリアX、Y寸法
TT:テ−ブル移動時間(秒/回)
である。
したがって、
表面導体層厚:9μm
絶縁層厚:65μm
基板加工エリア400mm×500mm
スキャンエリア寸法LS:50×50mm
穴数M:50000穴
軸間距離Lij=Ljk:100mm
穴径100μm
2mm等ピッチ分布
の基板を下記パラメータで図6の手順で加工すると、
パルス周期TPPi2:0.00004秒
パルスショット数Ni2:80
パルス周期TPPj2:0.001秒
パルスショット数Nj2:3(サイクル加工)
パルス周期TPk2:0.00004秒
パルスショット数Nk2:15
ガルバノ位置決め時間TGC:0.001秒
テ−ブル位置決め時間TTT:0.2秒
テ−ブル移動を含めたトータル加工時間TPTは、
TPT=257.5+24.0=297.5秒
となる。ただし、
TPT1=0.0042・12500=52.5秒
TPT2=Max〔0.0042・12500、0.003・12500〕=52.5秒
TPT3=Max〔0.0042・25000、0.003・25000、0.0016・25000〕=105秒
TPT4=Max〔0.003・12500、0.0016・12500〕=37.5秒
TPT5=0.0016・12500=20秒
TTT=Roundup (400+2・100)/50)・Roundup (500/50)・0.002=24秒
なお 、サイクル加工のパルス巾はガルバノ位置決め時間に対して十分短いので無視している。
【0074】
図10は、ヘッドZi、ヘッドZjだけを使用し、ヘッドZiのアパーチャと光路長を切換え、ヘッドZiをヘッドZkと同様のモードBkで加工するようにした場合の加工ヘッドの位置および加工順序を示す図である。
【0075】
同図において、(b)はヘッドZiのみの加工領域、(c)はヘッドZi、ヘッドZjの同時加工領域、(d)はヘッドZiの加工領域、(f)はヘッドZiだけの加工領域を示している。
【0076】
加工領域1、加工領域2、加工領域4は前記図9の場合と同様に行われ、加工領域3は加工領域2の延長であるが、加工領域5は加工領域4の加工終了後に加工が行われるため、加工時間TPTは以下のようになる。
【0077】
したがって、
TPT=327.5+38.0=363.5秒
TPT1=0.0042・12500=52.5秒
TPT2=Max〔0.0042・12500、0.003・12500〕=52.5秒
TPT3=Max〔0.0042・25000、0.003・25000〕=105秒
TPT4=Max〔0.003・12500〕=37.5秒
TPT5=0.0016・50000=80秒
TTT=Roundup (400+100)/50)・Roundup (500/50)・0.002+Roundup (400)/50)・Roundup (500/50)・0.002=36秒
すなわち、図2に示す手順で加工を行う場合、図1のヘッドZi、ヘッドZj、ヘッドZkで構成される装置は、ヘッドZi、ヘッドZjのみで構成される装置に比べて約20%加工時間を短縮できる。
【0078】
2.第2の実施形態
2.1 レーザ加工装置の構成
図11は、本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図であり、図1と同じものまたは同一機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
同図において、10はレーザ光Biの光軸上に設置されたP波を透過させ、S波を反射するビームスプリッタ、11はレーザ光Bkの光軸上に設置されたP波を透過させ、S波を反射するλi/2偏光子、12は全反射コーナーミラーである。全反射コーナーミラー12はレーザ光Bkがビームスプリッタ(偏光ビームコンバイナ)10を透過したレーザ光Biと同軸になるように配置されている。また、レーザ発振器1iとレーザ発振器1kは偏光方向と光軸が互いに平行となるように配置されている。
【0080】
2.2 動作
レーザ光BiのP波成分Pi2はビームスプリッタ10を直進するが、S波成分Si2は、ビームスプリッタ10に反射され、ビームダンパ(図示せず)に吸収される。一方、レーザ光BkのP波成分Pk2はλi/2偏光子11によりS波成分Sk2に変換される。S波成分Sk2は全反射コーナーミラー12で反射してもS波成分Sk2のままである。この結果、レーザ光BkのP波成分Pk2とS波成分Sk2を同軸化することができるので、加工位置iにおいてモードBi1のP波成分Pi2と、モードBi2のP波成分Pi2およびモードBk2のレーザ光BkのS波成分Sk2を同軸化したレーザ光が時間軸で同時および直列的に加算される。すなわち、ヘッドZiの出力を一定にした状態で加工部に、異なるエネルギ密度、出力密度、スポット径のビームを供給することができる。また、λi/2偏光子11、全反射コーナーミラー12を光軸から外すことにより、図の場合と同様に、加工位置iおよび加工位置kにおいてレーザ光Bi、レーザ光Bkにより同時および個別加工を行うこともできる。
【0081】
なお、たとえばレーザ光Biの磁界が紙面垂直方向、レーザ光Bkの磁界が紙面平行方向となるようにレーザ発振器1iとレーザ発振器1kを設置すると、レーザ光BkのP波成分Pk2はS波成分Sk2と等価であるので、ビームスプリッタ10と全反射コーナーミラー12を図1におけるそれぞれの光軸に設置するだけで同軸化することができる。
【0082】
なお、レーザ光Bi、レーザ光Bkを同軸化する際に、ビームスプリッタ10、の反射によるエネルギロス、P波成分Pk2からS波成分Sk2変換によるエネルギロスが発生するが、エネルギ空間分布などの特性はそのまま引き継がれる。そして、加工に必要なS波成分Sk4の出力密度はP波成分Pk4の1/4以下であり損失が加工上問題になることはない。
【0083】
2.3 加工例
2.3.1 RCC基板の加工例
図12は、図11に示した構成の装置によるRCC基板の加工例を示す図である。
【0084】
同図において、導体層加工と絶縁層加工とを導体層除去エネルギ密度に設定したモードCi2(またはモードAi2)のレーザ光BiおよびモードBk2の穴底の樹脂残厚は除去できるが導体層に損傷を与えないエネルギ密度のレーザ光Bkにより、所定の絶縁層厚に対して10μmを残し、途中まで同時に加工を行う。引き続きヘッドZkによりモードBk2のレーザ光Bkで樹脂残厚を連続的にショットして穴明けする。これにより、製造工程における絶縁層厚誤差の影響を受けることなく導体層と絶縁層の除去が可能になり、穴底を損傷することなくブラインドホールを加工できるため穴品質が向上する。また、ガルバノミラーの位置決め後のトータルパルスショット時間0.012秒(25KHz、300ショット)は同時加工により変わらない。しかも、軸間距離Lij、Ljkの影響がなくなり、テ−ブル移動回数が25%減るので加工時間を短縮することができる。
【0085】
2.3.2 樹脂基板(層厚40μm)の加工例
図13は、図11に示した構成の装置による樹脂基板(層厚40μm)の加工例を示す図である。
【0086】
同図において、絶縁層除去エネルギ密度に設定したモードAi2(またはモードBi2)のレーザ光Bi、およびモードBk2の絶縁層は除去できるが導体層に損傷を与えないエネルギ密度のレーザ光Bkにより、所定の絶縁層厚に対して10μmを残し途中まで同時に加工を行い、引き続きヘッドZkでモードBk2のレーザ光Bkにより連続的にショットして穴明けする。これにより、製造工程における絶縁層厚誤差の影響を受けることなく導体層と絶縁層の除去が可能になり、穴底を損傷することなくブラインドホールを加工できるため穴品質が向上する。また、ガルバノミラーの位置決め後のトータルパルスショット時間0.001秒(40KHz、40ショト)は同時加工により従来の0.002秒(40KHz、80ショット)から大巾に低減できる。しかも、軸間距離Lij、Ljkの影響がなくなり、テ−ブル移動回数が25%減るので加工時間を短縮することができる。
【0087】
3.第3の実施形態
3.1 レーザ加工装置の構成
図14は、本発明に係る第3の実施形態に係るレーザ加工装置の構成を示す図であり、図1、11と同じものまたは同一機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。なお、レーザ源1iは、磁界が直線偏光であるレーザ光Biの磁界方向が紙面垂直方向のP波成分になるように設置されている。同図において、6a、6bは音響光学装置であり、磁界が垂直偏光のレーザ光Biの光軸上に設置されている。7、8は0次回折光用のビームダンパである。
【0088】
3.2 音響光学装置の動作
音響光学装置6a、6bは、動作電圧(RF電圧)が印加されない場合、図14の右方から入射する入射光を直進させる。また、動作電圧が印加されると、入射光はブラグ効果により形成される超音波面で回折し、出射光の出射角が変化する。そこで、レーザ源1iを動作させると共に音響光学装置6aにRF電圧VRFiをパルス巾時間印加すると、出射角θBのP波の1次回折光レーザ光Biが得られる。また、音響光学装置6aにRF電圧VRFiを印加しない状態で、レーザ源1iを動作させると共に音響光学装置6bにパルス巾時間RF電圧VRFjを印加すると、出射角θBのP波の1次回折光レーザ光Bkが得られる。すなわち、RF電圧VRFiとRF電圧VRFjを直列的に出力することにより、レーザ光Biとレーザ光Bkを直列的に得ることができる。なお、S波成分は、超音波面による回折が起きないので、音響光学装置6a、6bの内部を直進してビームダンパ7、8に吸収される。
【0089】
なお、レーザ光Biおよびレーザ光Bkは、音響光学装置6a、6bによるエネルギロスが発生するため、エネルギ密度、出力密度は図1におけるレーザ光Bi、レーザ光Bkに対し、それぞれ約15%低下する。しかし、エネルギ空間分布などの特性は変化しないので、出力を調整することにより、図1に示した第1の実施形態と実質的に同じ加工を行うことができる。
【0090】
3.3 加工例
3.3.1 ガラス入り基板の加工例
ガラス入り基板を加工する場合には、次のような手順で行う。先ず、エネルギ密度を導体層除去エネルギ密度に設定したモ−ドCi2(またはモ−ドAi2)のレーザ光Biにより導体層を除去した後、モ−ドAj2(またはモ−ドBj2)のレーザ光Bjにより絶縁層を除去し、さらに、モ−ドBk2(絶縁層は除去できるが導体層に損傷を与えないエネルギ密度)のレーザ光Bkにより穴底の残膜を除去して、ブラインドホールを形成する。この場合、ガルバノミラーを位置決めしてから、ショット時間が最も長いのは導体層除去時の0.0012秒である。また、絶縁層除去では0.003秒、穴底の残膜除去は0.0004秒である。したがって、穴底の残膜除去を導体層除去のガルバノミラー移動中に行うことができるため、実質的な加工速度は図1に示した第1の実施形態と変わらない。この結果、1個のレーザ源1iで図1におけるレーザ源1iとレーザ源1kの動作を兼用することができるので、装置のコストを低減することができる。
【0091】
4.第4の実施形態
4.1 レーザ加工装置の構成
図15は、本発明に係る第4の実施形態に係るレーザ加工装置の構成を示す図であり、第1ないし第3の実施形態における前述の図1、11、14と同じものまたは同一機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
この実施形態は、前記第3の実施形態の加工系Uiの光軸上に音響光学装置6a、6bを配置し、加工系Ukの光軸上にλi/2偏光子11と全反射コーナーミラー12およびビームスプリッタ10を配置することにより、1台のレーザ源1iからレーザ光Bi、レーザ光Bkを分離あるいは同軸化するようにしたものである。
【0093】
4.2 レーザ光の同軸化
同図において、レーザ光Bkとレーザ光Biの同軸化は以下のようにして行われる。
【0094】
すなわち、レーザ源1iの磁界がP波の直線偏光(磁界が紙面垂直方向)であれば、レーザ光Bから分波したレーザ光Biとレーザ光BkもP波の直線偏光である。ビームスプリッタ10はP波成分を透過させ、S波成分を反射するので、レーザ光BiのP波成分Pi4はそのまま直進する。レーザ光BiのS波成分Sk4は反射され、ビームダンパ8に吸収される。一方、レーザ光BkのP波成分Pk4はλi/2偏光子11により、直進するS波成分Sk4に変換される。S波成分Sk4は全反射コーナーミラー12で反射反射されてもS波成分Sk4のままであるから、前記第2の実施形態で説明したように、S波成分Sk4とP波成分Pi4を同軸化することができる。
【0095】
この結果、加工位置iにおいて、モ−ドBi4のレーザ光BiのP波成分Pi4と、モ−ドBk4のレーザ光BkのS波成分Sk4を時間軸で直列的供給することができる。すなわち、ヘッドZiにより、加工部に、異なるエネルギ密度、出力密度、スポット径のビームを同時(並列)および直列的に供給することができる。また、ビームスプリッタ10、λi/2偏光子11、および全反射コーナーミラー12を光軸から外すことにより、図1の場合と同様に、加工位置iおよび加工位置kにおいてレーザ光Bi、レーザ光Bkを用いることにより個別に加工を行うこともできる。
【0096】
なお、レーザ光Bi、レーザ光Bkは、音響光学装置によるエネルギロス、また同軸化によるエネルギロスが発生するが、エネルギ空間分布などの特性は変化しない。そして、S波成分Sk4に要求される出力密度は、P波成分Pk4の1/4以下であるので、出力を適切に調整することにより、このような損失が加工上問題になることはない。
【0097】
4.3 加工例
この第4の実施形態に係るレーザ加工装置によって樹脂ダイレクト基板(絶縁層の厚さは40μmである。)の加工を行う場合、穴明け方法は前記第2の実施形態と同様にして行われる。これにより、第2の実施形態と同様に穴品質が向上する。また、ガルバノミラーの位置決め後のレーザ光Bi、レーザ光Bkはそれぞれ時間をずらせてショットされるが、レーザ光Biの出力を増すことにより、ト−タルパルスショット時間0.001秒(40KHz、40ショト)を維持できる。テ−ブル移動回数についても前記第2の実施形態の場合の加工速度と同じである。
【0098】
また、レーザ光を同軸化するためのビームスプリッタ10、λi/2偏光子11、および全反射コーナーミラー12を光軸から外すことにより前記第3の実施形態で示したレーザ加工装置の機能と同等にすることができる。すなわち、1つのレーザ源で第2の実施形態と同じ機能を持たせることができる。その結果、装置コストの低減を図ることができる。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工テーブルの移動回数を減らすことが可能となり、穴品質の向上を図った上で加工時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図2】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状を加工順に示す図である。
【図3】図2のタイミングチャートを示す図である。
【図4】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状を加工順に示す図である。
【図5】図4のタイミングチャートを示す図である。
【図6】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状およびタイミングチャートである。
【図7】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状およびタイミングチャートである。
【図8】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状およびタイミングチャートである。
【図9】本発明による加工ヘッドの位置および加工順序を示す図である。
【図10】本発明による加工ヘッドの位置および加工順序を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図12】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状およびタイミングチャートである。
【図13】本発明による加工部のエネルギ分布と穴の形状およびタイミングチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図16】従来のレーザ加工装置の構成図である。
【図17】コリメータの作用を示す図でありる。
【図18】プリント基板の構成を示す図である。
【図19】従来技術の説明図である。
【図20】従来技術の説明図である。
【図21】従来技術の説明図である。
【図22】従来技術の説明図である。
【図23】従来技術の説明図である。
【図24】従来技術の説明図である。
【図25】従来技術の説明図である。
【図26】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1,1i,1j,1k レーザ発振器
2 レーザ光
3,3i,3j,3k コリメータ
4,4i,4j,4k アパーチャ
5,5i,5j,5k コーナーミラー
14 ミラー
15a,15b ガルバノミラー
16 fθレンズ
30i,30j,30k ビーム整形ユニット
Bi,Bj,Bk レーザ光
Zi,Zj,Zk ヘッド部
Claims (1)
- 第1層が導体層、第2層が絶縁層であって、前記導体層と絶縁層が交互に積層されたプリント基板の加工方法において、
エネルギ空間分布がガウス分布のUVレーザのレーザ光により加工する第1の加工ヘッドと、
エネルギ空間分布がトップハット分布のCO2レーザのレーザ光により加工する第2の加工ヘッドと、
エネルギ空間分布がトップハット分布のUVレーザのレーザ光により加工する第3の加工ヘッドと、
を有し、
前記第1ないし第3の加工ヘッドは、プリント基板を載置する加工テーブルの移動距離が最小かつ前記各加工ヘッド間の軸間距離が最小となるように直線的に配置され、
前記第1の加工ヘッドは前記第1層の導体層を加工し、
前記第2の加工ヘッドは前記第2層の絶縁層を加工し、
前記第3の加工ヘッドは前記第2層の絶縁層の残膜を除去することにより、その下層の導体層を露出させ、
これらの加工ヘッドにより前記プリント基板を加工する際、前記プリント基板と前記各加工ヘッドとを当該加工ヘッドの並び方向と直交する方向に相対的に往復動させて加工し、その工程が、
前記プリント基板を前記第1の加工ヘッドに対して加工開始位置に位置決めする第1の工程と、
前記第1の加工ヘッドが前記加工開始位置から加工を開始する第2の工程と、
前記第1の加工ヘッドによる加工が進行して前記第2の加工ヘッドが前記加工開始位置に位置すると、前記第1に加えて前記第2の加工ヘッドによる加工を開始する第3の工程と、
前記第1及び第2の加工ヘッドによる加工が進行して前記第3の加工ヘッドが前記加工開始位置に位置すると、前記第1、第2の加工ヘッドに加えて前記第3の加工ヘッドによる加工を開始する第4の工程と、
前記第1の加工ヘッドが加工終了位置に達すると、前記第1の加工ヘッドによる加工を終了し、前記第2及び第3の加工ヘッドによって加工する第5の工程と、
前記第2の加工ヘッドが前記加工終了位置に達すると、前記第2の加工ヘッドによる加工を終了し、前記第3の加工ヘッドによって加工する第6の工程と、
前記第3の加工ヘッドが前記加工終了位置に達すると、第3の加工ヘッドによる加工を終了し、この時点で第1ないし第3の加工ヘッドによる加工を終える第7の工程と、
を備え、同一の穴を前記第1、第2及び第3の加工ヘッドで加工することを特徴とするプリント基板の加工方法。
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