JP4371533B2 - 竿体の嵌合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振出形式で連結された釣竿の竿体同士を連結する嵌合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の振出形式の釣竿(以下、「振出し竿」という)は、穂先側端部内周を嵌合雌部とする大径竿体と、竿元側端部外周を嵌合雄部とし大径竿体の穂先側に連結される小径竿体とを有している。
【0003】
この振出し竿では、大径竿体内に穂先側から小径竿体が挿入され出し入れ自在となっている。そして、一本の釣竿として用いる場合には、小径竿体を大径竿体の穂先側に引き出して、大径竿体の嵌合雌部に小径竿体の嵌合雄部を嵌合させて連結し固定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の振出し竿では、小径竿体の嵌合雄部を大径竿体の嵌合雌部に繰り返し嵌合させ、また嵌合を解除しているうちに、嵌合雄部と嵌合雌部とが互いに摩耗しあって嵌合力の低下をもたらす恐れがある。嵌合雄部と嵌合雌部とは互いに固着してしまうことを避けかつ十分な嵌合力を維持できるように、その径を精密に調整しているものであり、微妙な摩耗程度もその嵌合力に大きな影響を与える。そして、釣竿使用時の微妙な竿操作にも影響を与える恐れがある。
【0005】
このような摩耗を防止するべく竿体をより耐摩耗性の高い素材で製造すると、逆に竿体の撓り程度を低下させてしまう恐れがあり、「竿の調子」が低下する。
【0006】
本発明の課題は、長期にわたって良好な大径竿体と小径竿体との嵌合程度を維持可能な竿体の嵌合構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究の結果、通常竿体を構成するために用いられる繊維の引張弾性率が20〜40t/mm2の炭素繊維やガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグに比べて、より弾性率の高いプリプレグ(本発明における第2プリプレグ)を、竿体同士が嵌合する部分に部分的に積層することで、上記問題点を解決し得ることを知見した。
【0008】
発明1にかかる嵌合構造は、大径竿体の内部に収納可能に小径竿体が振出形式で連結される竿体の嵌合構造であって、大径竿体は、炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させこの繊維の引張弾性率が20〜40t/mm2である第1プリプレグから構成される先細り筒状の本体部と、本体部の穂先側内周面に積層され炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させこの繊維の引張弾性率が50〜60t/mm2の第2プリプレグからなる嵌合面とを有し、小径竿体の竿元側外周面が嵌合面に脱着自在に嵌合する。
【0009】
この嵌合構造を採用する釣竿では、竿体を連結して一本の釣竿として用いる場合には、小径竿体を大径竿体内から穂先側に引き出して、小径竿体の竿元側外周面を大径竿体の穂先側内周面の嵌合面に嵌合させて連結し固定する。
【0010】
ここで、大径竿体の嵌合面は、炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させこの繊維の引張弾性率が50〜60t/mm2の第2プリプレグから形成されており、長期にわたり繰り返し嵌合・嵌合解除を繰り返しても、嵌合力の低下を十分に抑えることが可能である。また、嵌合面以外は従来の第1プリプレグを採用することで、竿全体の撓り調子は十分に担保できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本発明の一実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、大径竿体1と、大径竿体1の穂先側に大径竿体1内に収納可能なように連結された小径竿体2とを有している。大径竿体1は、竿尻側端部に設けられたグリップ3と、グリップ3よりやや穂先側の外周面に設けられリール5が装着可能なリールシート4と、リールシート4の穂先側の外周面に設けられリール5からの釣糸Lを竿体内部に挿入する釣糸導入孔6とを有している。小径竿体2は、複数の竿体が順次挿入して収納可能になっており、穂先側先端にはトップガイド7が設けられている。そして、リール5から導かれた釣糸Lは、釣糸導入孔6から大径竿体1及び小径竿体2内に導入され、トップガイドから外部へ導かれる。
【0015】
大径竿体1は、図2に示すように、穂先側ほど小径にテーパーが形成された筒状の部材であって、内部は小径竿体2を収納可能な竿収納部100となっている。この大径竿体1は、本体部11と、本体部11の穂先側端部内周面に形成された嵌合面12とを有している。この本体部11は、後述のように、炭素繊維またはガラス繊維等の強化繊維を一方向に引き揃えて熱硬化性合成樹脂を含浸させた第1プリプレグを焼成して構成されている。この第1プリプレグの引張弾性率は20〜40t/mm2である。
【0016】
また、嵌合面12は、本体部11を第1プリプレグから焼成する際に、第2プリプレグを第1プリプレグ上に部分的に積層して本体部11と共に焼成し一体化させることで形成される。この第2プリプレグは炭素繊維またはガラス繊維等の強化繊維を一方向に引き揃えて熱硬化性合成樹脂を含浸させたもので、その引張弾性率は50〜60t/mm2である。そして、結果的に嵌合面12は他の部分に比べて特にやや小径化することとなり、小径竿体2の竿元側部分と嵌合することになる。
【0017】
一方、小径竿体2は、図2に示すように、穂先側ほど小径にテーパーが形成された筒状の部材である。小径竿体2は、本体部21と、本体部21の竿元側端部に設けられ本体部21に比べてやや大径に形成される嵌合雄部22とを有し、さらにその竿元側端部には軸方向に貫通する貫通孔有する尻栓23がはめ込まれている。
【0018】
この大径竿体1は、以下のようにして製造される。
【0019】
図3に示すように、まず、所定のテーパが形成されたマンドレルMの外周にワックス等の離型剤を必要に応じて塗布する。そして、マンドレルMの穂先側端部に第2プリプレグ32を配置しこれを巻回する。この第2プリプレグ32は炭素繊維またはガラス繊維をマンドレルMの周方向に引き揃えたものであり、その引張弾性率は50〜60t/mm2である。
【0020】
続いて、炭素繊維またはガラス繊維等の強化繊維に合成樹脂を含浸させたシート状の第1プリプレグ31を加圧しながら必要回数乃至必要枚数順次巻回する。その引張弾性率は20〜40t/mm2である。ここで、最も内側の第1プリプレグ31は、テープの長さ方向に強化繊維が配向されたものを用いるのが好ましい。また、その外周に必要に応じて積層される他の第1プリプレグ31はマンドレルMの幅方向に強化繊維が配向されたものを用いて形成するのが好ましい。また、径差を鑑みてマンドレルMの竿元側に補助用の第1プリプレグ31を部分的に配置してもよい。さらには、炭素繊維合成樹脂とガラス繊維合成樹脂とを交互に積層してもよい。
【0021】
その後、これらの外周にポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンからなる保護用テープを巻回して竿素材を得る。得られた竿素材を焼成し、マンドレルMを抜き取り保護用テープを剥離する。そして、両端部を切り落とし、表面を研磨処理等して、大径竿体1を製造する。
【0022】
この釣竿では、小径竿体2を大径竿体1の穂先側に連結して一本の釣竿として用いる場合には、小径竿体2を大径竿体1内から穂先側に引き出して、小径竿体2の嵌合雄部22を大径竿体1の穂先側内周面の嵌合面12に嵌合させて連結し固定する。ここで、大径竿体1の嵌合面12は、炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させこの繊維の引張弾性率が50〜60t/mm2の第2プリプレグ32から形成されており、長期にわたり繰り返し嵌合・嵌合解除を繰り返しても、嵌合力の低下を十分に抑えることが可能である。また、嵌合面以外は従来の第1プリプレグ31を採用することで、竿全体の撓り調子は十分に担保できる。
【0023】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態では大径竿体1と小径竿体2との2本継ぎにおいて説明したが、竿体の継数は任意であり、それぞれの竿体に同様の嵌合構造を設けることができる。
(b)上記実施形態では、大径竿体の穂先側内周面に嵌合面を形成したが、小径竿体の竿元側外周面に嵌合面を形成してもよい。また、大径竿体穂先側内周面及び小径竿体竿元側外周面共に嵌合面を形成してもよい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
【0025】
[実施例]
竿元側内周面に穂先側端面より80mmの範囲に、炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた第2プリプレグ(炭素繊維の引張弾性率50t/mm2)を配置して嵌合面を構成し、他の部分は炭素繊維樹脂にエポキシ樹脂を含浸させた第1プリプレグ(炭素繊維の引張弾性率24t/mm2)によって、大径竿体を製造した。
【0026】
この大径竿体の嵌合面に小径竿体を繰り返し5000回嵌合させ、当初の嵌合力を1として試行後の嵌合力の比を測定した。なお、この嵌合力とは大径竿体に嵌合させた小径竿体を再度収納させる際に必要となる力の大きさである。結果を表1に示す。
【0027】
[比較例]
炭素繊維を一方向に引き揃えてエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ(引張弾性率24 t/mm2)のみによって、穂先側内周面をやや肉厚化して嵌合面を構成し大径竿体を製造した。
【0028】
そして、実施例と同様に、この大径竿体の嵌合面に小径竿体を繰り返し5000回嵌合させ、当初の嵌合力を1として試行後の嵌合力の比を測定した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
このように、第2プリプレグを用いて嵌合面を形成した場合には、これを用いない場合に比べて5000回の繰り返し嵌合後も嵌合力の低下の程度は小さく、嵌合力の維持が十分に図られていることが解る。
【0031】
【発明の効果】
本発明にかかる嵌合構造によれば、長期間使用しても嵌合力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】図1の大径竿体1と小径竿体2との嵌合部分の拡大断面図。
【図3】図1の大径竿体1の製造工程を示した図。
【符号の説明】
1 大径竿体
2 小径竿体
11 本体部
12 嵌合部
22 嵌合雄部
31 第1プリプレグ
32 第2プリプレグ
Claims (1)
- 大径竿体の内部に収納可能に小径竿体が振出形式で連結される竿体の嵌合構造であって、
前記大径竿体は、炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させ前記繊維の引張弾性率が20〜40t/mm2の第1プリプレグから構成される先細り筒状の本体部と、前記本体部の穂先側内周面に積層され炭素繊維またはガラス繊維に合成樹脂を含浸させ前記繊維の引張弾性率が50〜60t/mm2の第2プリプレグからなる嵌合面とを有し、
前記小径竿体の竿元側外周面が前記嵌合面に脱着自在に嵌合する、竿体の嵌合構造。
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