JP4502340B2 - 竿体の嵌合構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振出形式で連結される2つの竿体を嵌合固定するための嵌合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の振出形式の釣竿は、複数の筒状の竿体が穂先側の竿体から順次竿元側の竿体内に挿入可能になっている。釣りを行う際には各竿体を順次穂先側に引き出して嵌合固定して一本の竿体として用いる。一方、収納時には穂先側の竿体を順次竿元側の竿体内に収納してコンパクトな状態とする。
【0003】
また、従来の振出形式の釣竿には竿全体の長さを変化させて釣りを行えるように工夫したものがある。このように工夫された釣竿の元上竿は、穂先側外周面に他の部分より大径かつ肉厚に形成され元竿の穂先側内周面と嵌合固定可能な第1嵌合部と、竿元側外周面に形成され元竿の穂先側内周面と嵌合固定可能な第2嵌合部とを有している。
【0004】
そして、元竿の穂先側に連結される元上竿が穂先側に引き出された状態(以下「延伸状態」という)では、第2嵌合部が元竿の穂先側内周面と嵌合して、元竿と元上竿とは固定される。一方、元上竿が元竿内に挿入された状態(以下「収納状態」という)では、第1嵌合部が元竿の穂先側内周面と嵌合して、元竿と元上竿とは固定される。こうして、元竿と元上竿とは「延伸状態」,「収納状態」のいずれの状態においても互いに嵌合固定可能であり、状況に応じて竿全体の長さを変化させて釣りを行える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の釣竿の各竿体は穂先側ほど小径になるようにテーパが施されている。このため、上記従来の元上竿の第1嵌合部は竿元側部分と同程度に大径に形成する必要がある。従来の第1嵌合部は元上竿自体を肉厚化して形成していたので、第1嵌合部付近の重量化を招く結果となっていた。
【0006】
本発明の課題は、竿体の部分的重量化を抑える竿体の嵌合構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る嵌合構造は、振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、大径竿体と、大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、小径竿体の穂先側外周面に間隔を隔てて軸方向に形成された小径竿体の外径より大径の一対の台座部と、大径竿体の穂先側内周面と嵌合可能に一対の台座部間を連絡するように配置された嵌合パイプとを備え、一対の台座部、嵌合パイプ及び小径竿体の外周面の間には空隙が形成され、一対の台座部はインジェクション成形で形成されている合成樹脂部材である。
【0008】
この構造では、小径竿体を大径竿体の穂先側に引き出した延伸状態においては、通常の振出形式の釣竿のように、小径竿体の竿元側外周面を大径竿体の穂先側内周面に嵌合させて固定する。そして、小径竿体を大径竿体内に挿入した収納状態においては、小径竿体の嵌合パイプを大径竿体の穂先側内周面に嵌合させて固定することになる。
【0009】
ここで、嵌合パイプは台座部上に固定されており、台座部,嵌合パイプ及び小径竿体外周面の間には空隙が形成される。この結果、小径竿体の穂先側部分に大径竿体と嵌合する嵌合部分を形成しても、小径竿体の穂先側部分の部分的重量化を抑えることができる。
また、竿体同士を嵌合固定する際の各竿体の嵌合部分の径の微調整は非常に微妙であり煩雑であるが、この空隙は嵌合パイプが外径竿体内周面に嵌合される際にクッションとして作用し、微調整を必要とすることなく小径竿体は大径竿体に十分に嵌合固定される。
【0010】
合成樹脂製の台座部を小径竿体穂先側周面上にインジェクション成形することで容易に形成できる。また、弾性を有する合成樹脂を用いれば、嵌合部分の径の微調整がさらに簡略化できる。
【0011】
発明2に係る嵌合構造は、振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、大径竿体と、大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、小径竿体の穂先側外周面に間隔を隔てて軸方向に形成された小径竿体の外径より大径の一対の台座部と、大径竿体の穂先側内周面と嵌合可能に一対の台座部間を連絡するように配置された嵌合パイプとを備え、一対の台座部は小径竿体を構成する素材で一体的に形成されている。
この場合には、小径竿体を構成する繊維強化樹脂によって台座部が小径竿体と一体的に形成されており、台座部自体の耐久性が向上する。
発明に係る嵌合構造は、発明1又は2の構造であって、嵌合パイプは貫通孔を有する。
【0012】
この場合には、嵌合パイプに貫通孔が形成されており嵌合パイプが軽量化される。また、この貫通孔は、嵌合パイプが大径竿体の穂先側内周面に嵌合した際に固着するのも抑える。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した中通し竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に連結された元上竿2と、元上竿2の穂先側に連結された中竿3と、中竿3の穂先側に連結された穂先竿4とを有している。これら元竿1〜穂先竿4は炭素繊維またはガラス繊維等に合成樹脂を含浸させたプリプレグから形成される先細り筒状部材であって、内部に釣糸通路100を有する(図2参照)。
そして、元上竿2〜穂先竿4は穂先側から順次竿元側の竿体の内部に挿入され出し入れ自在になっており、いわゆる振出形式で連結されている。
【0014】
元竿1は、外周面に形成されリール5を脱着自在に装着可能なリールシート6を有し、竿元側端部には尻栓10が脱着自在に装着されている。また、元上竿2には、穂先側外周面に形成されリール5からの釣糸Lを竿体内部に導入する釣糸導入口7が形成されており、釣糸導入口7の竿元側周面上には釣糸Lを釣糸導入口7へ導く釣糸ガイド8が固定されている。さらに、穂先竿の穂先側端部にはトップガイド9が取り付けられており、リール5からの釣糸Lは釣糸ガイド8及び釣糸導入口7を通り釣糸通路100に導かれて、穂先側のトップガイド9より外部へ導かれる。
【0015】
図2及び図3に示すように、元上竿2は、先細りのテーパが形成された筒状の竿体の穂先側外周面に全周にわたって設けられた第1嵌合部20を有している。
この第1嵌合部20は、元上竿2を元竿1内に挿入し収納した状態(収納状態)において(図1参照)、元竿1の穂先側外周面と嵌合する部分である。そして、この第1嵌合部20は、軸方向に間隔を隔てて形成された一対の台座部21a,21bと、一対の台座部21a,21b間を連絡するように台座部21a,21b上に配置された嵌合パイプ22とを有している。また、元上竿2の竿元側外周面2d(図4(a)参照)も元竿1の穂先側内周面と嵌合可能であり、第2嵌合部となっている。この第2嵌合部は、元上竿2を元竿1内から引き出して延伸させた状態(延伸状態)において、元竿1の穂先側外周面と嵌合する部分である。
【0016】
台座部21は、元上竿2の穂先側外径より大径に元上竿2の外周面全周にわたって環状に形成された合成樹脂部材であり、台座部21の外径は元竿1の穂先側内径とほぼ一致するように形成される。台座部21は、例えば、元竿2上にインジェクション成形することで容易に形成できる。この各台座部21a,21bはそれぞれ穂先側,竿元側にかけて元上竿2の外径と一致するようにテーパ面Tが形成され、各台座部21a,21bの対向側縁部には切欠き21cが縁部全周方向にかけて形成されている。各台座部21a,21b間の軸方向間隔は釣竿の長さに依存するが、10〜30mm程度が好ましい。
【0017】
嵌合パイプ22は、合成樹脂またはアルミニウム,ステンレス等の金属からなるパイプ状部材である。台座部21の外径と一致するようにその外径が定められており、台座部21a,21bの切欠き21cに無理ばめして固定されている。
このように構成された中通し竿は、各竿体を穂先側に順次引き出して振出形式で嵌合固定して一本の竿体として釣りを行う(延伸状態)。また、穂先竿4及び中竿3を延伸させた上で元上竿2を元竿1内に収納し、釣竿全体の長さを調整して釣りを行うことも可能である(収納状態)。そして、釣りを終えた後の収納時には各竿体を順次竿元側の竿体内に収納してコンパクトな状態とする。
【0018】
この元上竿2を元竿1の穂先側に引き出した延伸状態においては、図4(a)に示すように、通常の振出形式の釣竿と同様に、元上竿2の竿元側外周面2d(第2嵌合部)を元竿1の穂先側内周面に嵌合させて固定する。一方、元上竿2を元竿1内に収納した収納状態においては、図4(b)に示すように、元上竿2の第1嵌合部20の嵌合パイプ22を元竿1の穂先側内周面に嵌合させて固定する。
【0019】
ここで、嵌合パイプ22は一対の台座部21を連絡するように台座部上に固定されており、一対の台座部21a,21b,嵌合パイプ22及び元上竿2外周面の間には空隙S(図2参照)が形成される。この結果、元上竿2の穂先側部分に元竿1と嵌合する嵌合部分を形成しても、元上竿2の穂先側部分の部分的重量化を抑えることができる。また、竿体同士を嵌合固定する際の各竿体の嵌合部分の径の微調整は非常に微妙であり煩雑であるが、この空隙Sは嵌合パイプ22が元竿1の内周面に嵌合される際にクッションとして作用し、微調整を必要とすることなく元上竿2は元竿1に十分に嵌合固定される。
【0020】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図5に示すように、元上竿2は、先細りのテーパが形成された筒状の竿体の穂先側外周面に全周にわたって設けられた第1嵌合部30を有している。この第1嵌合部30は、第1実施形態と同様に、元上竿2を元竿1内に挿入し収納した状態(収納状態)において(図1参照)、元竿1の穂先側外周面と嵌合する部分である。そして、この第1嵌合部30は、軸方向に間隔を隔てて形成された一対の台座部31a,31bと、一対の台座部31a,31b間を連絡するように台座部31a,31b上に配置された嵌合パイプ32とを有している。また、元上竿2の竿元側外周面も元竿1の穂先側内周面と嵌合可能であり、第2嵌合部となっている(図示せず)点は、第1実施形態と同様である。
【0021】
台座部31は、元上竿2の穂先側外径より大径に元上竿2の外周面全周にわたって環状に形成された部材であり、台座部31の外径は元竿1の穂先側内径とほぼ一致するように形成される。この台座部31は元上竿2の素材である繊維強化樹脂で元上竿2と一体的に形成されている。具体的には、繊維強化樹脂からなるテープ状のプリプレグを所定の位置に部分的に巻回して焼成し元上竿2と一体的に成型する。なお、第1実施形態と同様に、この各台座部31a,31bはそれぞれ穂先側,竿元側にかけて元上竿2の外径と一致するようにテーパ面が形成され、また、対向側縁部には切欠きが縁部全周方向にかけて形成されている。
【0022】
嵌合パイプ32は、合成樹脂またはアルミニウム,ステンレス等の金属からなるパイプ状部材である。台座部31の外径と一致するようにその外径が定められており、台座部31a,31bの切欠きに無理ばめして固定されている。また、嵌合パイプ32には周方向に等間隔で複数の貫通孔32aが形成されている。
このように構成された中通し竿は、第1実施形態と同様に用いられる。即ち、元上竿2を元竿1の穂先側に引き出した延伸状態においては、通常の振出形式の釣竿と同様に、元上竿2の竿元側外周面(第2嵌合部)を元竿1の穂先側内周面に嵌合させて固定する。一方、元上竿2を元竿1内に収納した収納状態においては、元上竿2の第1嵌合部30の嵌合パイプ32を元竿1の穂先側内周面に嵌合させて固定する。そして、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0023】
さらに、嵌合パイプ32には、一対の台座部31a,31b,嵌合パイプ32及び元上竿2外周面の間に生じる空隙S(図2参照)に連通する貫通孔32aが形成されているので、第1嵌合部30による元上竿2の部分的重量化をさらに有効に抑えることができる。また、嵌合パイプ32が元竿1の穂先側内周面に固着しにくくなり、取り扱いも容易になる。
【0024】
[他の実施形態]
(a)嵌合パイプの貫通孔は任意数形成すれば足りる。また、嵌合パイプ上の任意位置に配置できる。
(b)台座部の切欠きは設けなくともよい。この場合は、嵌合パイプを台座部に接着剤等によって接着固定することになる。
(c)図6に示すように、第1嵌合部40を以下のように形成してもよい。
【0025】
第1嵌合部40は、第1実施形態と同様に、元上竿2を元竿1内に挿入し収納した状態(収納状態)において(図1参照)、元竿1の穂先側外周面と嵌合する部分である。そして、この第1嵌合部40は、元竿1の穂先側外周面に全周にわたって形成された台座部41と、一端が台座部41に固定され竿元側に延びて径が徐々に小径化し他端が元竿1上に固定される嵌合パイプ42とを有する。そして、この第1嵌合部40も上記実施形態と同様の作用効果を奏することになる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、竿体の部分的重量化を防止して良好な嵌合構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した中通し竿の全体図。
【図2】図1の元上竿2の穂先側付近の拡大断面図。
【図3】図1の元上竿2の穂先側付近の拡大図。
【図4】図1の中通し竿の延伸状態(a)と収納状態(b)とを示した図。
【図5】本発明の第2実施形態を採用した中通し竿の元上竿の穂先側付近の拡大図。
【図6】本発明の他の実施形態を採用した釣り竿の全体図。
【符号の説明】
1 元竿
2 元上竿
20,30 第1嵌合部
21,31 台座部
22,32 嵌合パイプ

Claims (3)

  1. 振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、
    大径竿体と、
    前記大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、
    前記小径竿体の穂先側外周面に間隔を隔てて軸方向に形成された前記小径竿体の外径より大径の一対の台座部と、
    前記大径竿体の穂先側内周面と嵌合可能であり、前記一対の台座部間を連絡するように配置された嵌合パイプとを備え、
    前記一対の台座部、前記嵌合パイプ及び前記小径竿体の外周面の間には空隙が形成され、
    前記一対の台座部はインジェクション成形で形成されている合成樹脂部材である、竿体の嵌合構造。
  2. 振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、
    大径竿体と、
    前記大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、
    前記小径竿体の穂先側外周面に間隔を隔てて軸方向に形成された前記小径竿体の外径より大径の一対の台座部と、
    前記大径竿体の穂先側内周面と嵌合可能であり、前記一対の台座部間を連絡するように配置された嵌合パイプとを備え、
    前記一対の台座部、前記嵌合パイプ及び前記小径竿体の外周面の間には空隙が形成され、
    前記一対の台座部は前記小径竿体を構成する素材で一体的に形成されている、竿体の嵌合構造。
  3. 前記嵌合パイプは貫通孔を有する、請求項1又は2に記載の竿体の嵌合構造。
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