JP3657348B2 - 口栓付き中通し竿 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口栓、特に、複数の竿体を有し、釣り糸が糸導入口から竿体内部に導入され穂先から導出される振出式中通し竿に着脱自在に用いられる中通し竿用口栓を備える口栓付き中通し竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
1又は複数の竿体が内部に収納された振出式の釣り竿において、釣り糸を竿体内部に挿通可能な中通し竿が知られている。中通し竿では、手元側竿体の外周面に形成された糸導入口から竿体内部に形成された釣り糸経路に釣り糸が導入され、釣り糸経路を通過して穂先側竿体の先端に装着されたトップガイドから外部に釣り糸が導出される。そして、縮めた時には糸導入口が形勢された竿体内部にそれより竿先側の竿体が収納される。とくに縮めた時の長さを短くするために、竿先側の竿体が糸導入口より竿尻側に収納されるものがある。
【0003】
このような構成の振出式の中通し竿では、釣り糸経路に釣り糸を挿通する作業が比較的煩わしい作業である。このため、一度釣り糸を竿体内部に挿通して仕掛けを装着すると、釣りが終わって中通し竿を縮めて収納した後も仕掛けを装着した釣り糸や仕掛けを外した釣り糸を竿体内にセットしたままにしておくことが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような中通し竿を伸ばすときには、スピニングリールの場合にはベールアームを開放側に倒し、両軸受けリールの場合にはクラッチをオフする。そして、中通し竿の各竿体を順次伸ばしていく。このとき、仕掛けを外した釣り糸をセットしたままの状態や仕掛けを装着した釣り糸をセットしたままの状態にしておくと、糸導入口より竿尻側で折り返された釣り糸が竿体内部で弛むことがある。また、釣り糸をセットしたままの状態で中通し竿を縮めると、セットされた釣り糸より竿長さが徐々に短くなるのでやはり竿体内部で弛むことがある。このように竿体内部で釣り糸が弛むと糸導入口近傍での糸噛みや糸絡み等が生じやすくなり、釣り糸を正常に繰り出したり巻き取ることができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、釣り糸をセットしたままの状態でも中通し竿の竿体内部で釣り糸の弛みが生じないようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る口栓付き中通し竿は、複数の竿体を有し釣り糸が糸導入口から竿体内部に導入され穂先から導出される振出式中通し竿と、中通し竿用口栓とを備える。中通し竿用口栓は、振出式中通し竿に着脱自在に用いられる口栓であって、保持部材とカバー部材とを備えている。保持部材は、糸導入口が形成された手元側竿体の先端外周を保持可能な筒状弾性体製の第1保持部と、第1保持部の先端側で手元側竿体に収納された竿体の突出部を収納可能でありかつ穂先先端を係止可能な収納空間と、軸方向に沿って形成された第1切欠き部とを有する筒状弾性体製の部材である。カバー部材は、保持部材の周面に配置され、第1切欠き部に連続するように形成された第2切欠き部と、その周面に形成された釣り糸係止部とを有する筒状合成樹脂製の部材である。そして、釣り糸係止部は、舌状部分を有する。舌状部分は、カバー部材の外周面を切り欠いて形成され、保持部材の外周面との間に釣り糸を挟んで係止する。
【0007】
この口栓を用いて中通し竿を伸ばす際には、口栓に釣り糸を係止した状態で先端に装着された口栓を外す。すると、糸導入口より竿尻側で折り返された釣り糸が口栓により引っ張られ、竿体を伸ばしても竿体内部で釣り糸が弛むことがない。また、中通し竿を縮める際には、口栓に釣り糸を係止した状態で竿体を手元側竿体内に収納する。このときにも、釣り糸は口栓により引っ張られて弛むことがない。竿体を縮め終わるとリールにより先端から繰り出された釣り糸を口栓が穂先に到達するまで巻き取る。そして、釣り糸を第1切欠き部から口栓内部に挿入して中通し竿の手元側竿体の先端部を第1保持部で保持することで口栓を装着し、口栓の先端から釣り糸を取り出す。
【0008】
ここでは、口栓に釣り糸を係止することで釣り糸を口栓の自重により引っ張ることができるので、釣り糸をセットしたままの状態でも釣り糸が竿体内部で弛みにくくなる。このため、釣り糸の弛みによる糸絡みや糸噛みが生じにくくなる。
【0009】
発明に係る口栓付き中通し竿は、発明の口栓付き中通し竿において、保持部材とカバー部材との間に配置された重錘体をさらに備えている。この場合には、口栓が重くなるので、口栓を外すと、釣り糸がより確実に引っ張られ、釣り糸が竿体内部でより弛みにくくなる。
【0010】
発明に係る口栓付き中通し竿は、発明1または発明2の口栓付き中通し竿において、保持部材は、手元側竿体より竿先側の竿先側竿体の先端を保持可能な第2保持部を有している。この場合には、2つの竿体がそれぞれ保持されるので、保持されたときの竿体後端を糸導入口の竿先側に配置するようにすれば、竿体に余分な位置決め部材を設けることなく釣り糸の挿通が容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の一実施形態による口栓が先端に装着される中通し竿10は、元竿11と、元竿11に振出形式で連結された中間竿12及び穂先竿13とを有している。元竿11、中間竿12及び穂先竿13は、それぞれ炭素繊維強化樹脂製のプリプレグをマンドレルに巻回し焼成して得られた先細り筒状部材であり、内部に釣り糸の通過経路(図示せず)が形成されている。
【0012】
元竿11の竿尻端部には、尻栓20が着脱自在に装着されている。また、竿尻部周面には操作用のグリップ21が配置され、元竿11の中間部にはリールシート23が配置されている。リールシート23には、たとえば、スピニングリール24が装着される。元竿11のリールシート23の竿先側には、糸導入口25が元竿11に対して径方向から着脱自在に装着されている。糸導入口25は、リール24に巻き付けられた釣り糸Lを元竿11、中間竿12及び穂先竿13の内部の通過経路に導入するためのものである。
【0013】
図2に詳しく説明するように、元竿11の糸導入口25の周囲には糸をスムーズに案内するためのセラミック等からなる硬質リング26が装着されている。元竿11の糸導入口25の竿先側の内周面には中間竿12の後端を糸導入口25の竿先側で保持するための弾性リング27が装着されている。この弾性リング27を装着することで中間竿12の後端部が糸導入口25の竿先側で保持されぐらつきにくくなり、糸通し具を使用して釣り糸Lを糸導入口から内部に挿入する作業が容易になる。また、中間竿12及び穂先竿13の後端部には硬質リング28,29がそれぞれ装着されている。穂先竿13の先端にはトップガイド30が着脱自在に装着されている。トップガイド30は、釣り糸の通過経路に導入された釣り糸Lを先端から外部に引き出すための部材である。
【0014】
一方、収納時に中間竿12や穂先竿13が飛び出さないように口栓50が装着される。口栓50は、図3〜図6に示すように、硬質合成樹脂製の筒状のカバー部材51と、カバー部材51に嵌め込まれ、接着により固定されたNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)製の筒状の保持部材52と、カバー部材51と保持部材52との間に配置された糸弛み防止用の重錘体53(図4)とを有している。
【0015】
カバー部材51の外周面には、軸方向に沿って切欠き部54が形成されている。また、カバー部材51の切欠き部54と逆側の外周面には、釣り糸Lを係止するための釣り糸係止部51aが形成されている。釣り糸係止部51aは、外周面を略C型に切り欠いて形成されており、残った舌状部分と保持部材52の外周面との間に釣り糸Lを挟んで係止する。
【0016】
保持部材52はカバー部材51から両端が突出する形状の筒状の部材である。保持部材52は、元竿11の先端部の外径よりやや小さい内径を有する第1保持部55と、第1保持部55の竿先側に形成され元竿11から飛び出た中間竿12や穂先竿13の先端部を収納する収納空間56とを有している。第1保持部55は、元竿11先端部の外周面を弾性的に保持するものである。また、保持部材52の外周面には軸方向に沿って切欠き部57が形成されている。切欠き部57は、切欠き部54の内側に配置され、保持部材52の先端に形成された先端孔58に連なっている。先端孔58の径はトップガイド30の径より小さく、トップガイド30が口栓50外に飛び出さないようになっている。この切欠き部57は、釣り糸Lに仕掛けが装着されていても仕掛けを外すことなく口栓50を中通し竿10に装着できるようにするために設けられている。
【0017】
重錘体53は鉛製の部材であり、各竿体を伸ばし釣り糸Lを係止した状態で口栓50を中通し竿10から外したとき、釣り糸Lを引っ張り緊張させることで、竿体内部で釣り糸Lが弛んで絡まるのを防止するために設けられている。次に、中通し竿への口栓50の装着手順等について説明する。収納時に中通し竿10を縮めて先端に口栓50を装着する際には、まず、釣り糸係止部51aに釣り糸Lを係止する。そして、穂先竿13及び中間竿12を縮めて元竿11内に収納する。このとき、釣り糸Lは口栓50の自重により引っ張られ、各竿体内部で釣り糸Lが弛みにくい。そして、トップガイド30から口栓50により繰り出された釣り糸Lをリールにより口栓50がトップガイド30付近に到達するまで巻き取る。
【0018】
口栓50がトップガイド30付近に到達すると、図3に示すように、仕掛け60が先端に装着された釣り糸Lを切欠き部57から内部に挿入し、この状態で口栓50の後端開口から先端が第1保持部55と収納空間56との間の段差に当接するように軸方向に沿って元竿11を挿入する。これにより、元竿11の先端部の外周が第1保持部55により弾性的に保持され、それから飛び出た中間竿12及び穂先竿13が収納空間56内に収納される。
【0019】
この状態では、中間竿12の後端部は、図2に示すように、糸導入口25より竿元側に配置され、釣り糸Lが糸導入口25との間で折り返される。しかし、各竿体を縮めるときに口栓50により釣り糸Lを引っ張っているので、折り返された釣り糸Lは弛みにくい。一方、中通し竿10を伸ばして使用するときには、釣り糸Lを係止したまま口栓50を元竿11の先端から取り外す。そして、穂先竿13から順に引っ張って伸ばす。このとき、糸導入口25より竿尻側で元竿11内で折り返された釣り糸L1(図2)は弛もうとするが釣り糸Lが口栓50の自重により引っ張られ、元竿11内の糸導入口25より竿尻側で釣り糸が弛んだ状態になりにくい。このため、釣り糸L1の糸導入口25での糸噛みや糸絡みが生じにくい。
【0020】
〔他の実施形態〕
(a) 図7に示すように、口栓50aにおいて先端孔58aをトップガイド30の径より大きくあけ、そこを溝孔付の栓59で塞いでもよい。
(b) 前記実施形態では中間竿12の後端を元竿11で保持しているが、保持していない場合には、図8に示すように、口栓50bにおいて収納空間部分の内径を小さくして第2保持部56bとし、そこで中間竿12の先端部外周面を弾性的に保持してもよい。この場合には、2つの竿体(中間竿12と元竿11)がそれぞれ保持されるので、保持されたときの竿体後端を糸導入口の竿先側に配置するようにすれば、竿体に余分な位置決め部材を設けることなく釣り糸の挿通が容易になる。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る中通し竿用口栓では、口栓に釣り糸を係止することで釣り糸を口栓の自重により引っ張ることができるので、釣り糸をセットしたままの状態でも釣り糸が竿体内部で弛みにくくなる。このため、釣り糸の弛みによる糸絡みや糸噛みが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による口栓が装着される中通し竿の側面図。
【図2】中通し竿収納時の断面部分図。
【図3】本発明の一実施形態による口栓の斜視図。
【図4】その側面図。
【図5】図4のV−V断面図。
【図6】図4のVI−VI断面図。
【図7】別の実施形態の図5に相当する図。
【図8】さらに別の実施形態の図5に相当する図。
【符号の説明】
10 中通し竿
11 元竿
12 中間竿
13 穂先竿
25 糸導入口
30 トップガイド
50 口栓
51 カバー部材
51a 釣り糸係止部
52 保持部材
53 重錘体
54,57 切欠き部
55 第1保持部
56 収納空間
56b 第2保持部

Claims (3)

  1. 複数の竿体を有し、釣り糸が糸導入口から竿体内部に導入され穂先から導出される振出式中通し竿と、
    前記振出式中通し竿に着脱自在に用いられる中通し竿用口栓であって、前記糸導入口が形成された手元側竿体の先端外周を保持可能な筒状弾性体製の第1保持部と前記第1保持部の先端側で前記手元側竿体に収納された竿体の突出部を収納可能でありかつ穂先先端を係止可能な収納空間と軸方向に沿って形成された第1切欠き部とを有する筒状弾性体製の保持部材と、前記保持部材の周面に配置され前記第1切欠き部に連続するように形成された第2切欠き部とその周面に形成された釣り糸係止部とを有する筒状合成樹脂製のカバー部材と、を備えた中通し竿用口栓と、
    を備え、
    前記釣り糸係止部は、前記カバー部材の外周面を切り欠いて形成され前記保持部材の外周面との間に前記釣り糸を挟んで係止する舌状部分を有する、
    口栓付き中通し竿。
  2. 前記保持部材とカバー部材との間に配置された重錘体をさらに備えた、請求項1に記載の口栓付き中通し竿。
  3. 前記保持部材は、前記手元側竿体より竿先側の竿先側竿体の先端を保持可能な第2保持部を有する、請求項1または2に記載の口栓付き中通し竿。
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