JP4064231B2 - 中通し竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿、特に、リールからの釣糸が竿体内部を挿通する中通し竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、いわゆる中通し竿と呼ばれるタイプの釣竿が多く用いられるようになっている。この中通し竿とは、元竿の周面に装着したリールからの釣糸を、竿体内部を挿通させて穂先側に導くタイプの釣竿である。中通し竿は、釣糸が竿体外部を通って穂先側に至るものではないので風の影響を受けにくく、また、竿体周面に釣糸ガイドを装着する必要がないので糸絡み等を防止できるメリットがある。
【0003】
一方で、中通し竿のデメリットとして、竿体内部に於ける釣糸の摺動抵抗の増大という点が指摘されている。即ち、釣糸と共に水が竿体内部に浸入して竿体内周面が濡れると、釣糸が竿体内周面にべた付いて、釣糸の出し入れ程度が低下する恐れが生じるのである。
このような問題を解決するべく、様々な工夫が提案されている。例えば、ある種の中通し竿は竿体内部にリングを配置する(特許文献1参照)。別の中通し竿では、螺旋状の突起を竿体内周面に一体的に形成して、釣糸と竿体内周面との接触面積を低減させている(特許文献2参照)。また、竿体内部に撥水性塗料を塗布して、竿体内部からの排水性を向上させたものなどもある(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10-337136号公報(図2)
【0005】
【特許文献2】
特開2000-139277号公報(図2)
【0006】
【特許文献3】
特開平09-070245号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リングを竿体内に配置したり突起を螺旋状に形成したりするのは煩雑であり、製造コストの上昇につながる。また、リングや突起を形成するとリングや突起の間に水が溜まり易くなってしまうという別の問題も発生する。一方、竿体の内周面に撥水性塗料を塗布する場合、撥水性塗料の竿体内周面からの剥離等によって長期にわたる撥水性の維持が困難になるという問題もある。
【0008】
本発明の課題は、簡易な構造で長期にわたって釣糸の摺動抵抗を低減させることができ、操作性に優れる中通し竿を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1の中通し竿は、竿体の内部に釣糸を挿通させるための釣糸通路を有する中通し竿であって、外周面にリールからの釣糸を竿体内部に導入するための釣糸導入口が形成されている竿元側竿体と、竿元側竿体の穂先側に連結される竿体群とを備えている。竿体群は複数の竿体が振出形式に連結されたものであり、竿体群を構成する各竿体内部を軸方向に挿通するように配置され、竿体群の最も竿元側に位置する竿体の竿元側端部と竿体群の最も穂先側に位置する竿体の穂先側端部とを連結するコイルバネを有している。
【0010】
この中通し竿は、使用しない際には竿体群を構成する各竿体を振出形式に順次竿元側の竿体への収納しておく。竿体群を構成する各竿体内のコイルバネも収縮して、最も穂先側に位置する竿体の内部に収納された状態になっている。使用する際には、竿体群を構成する各竿体を順次穂先側に引き出して連結し一本の長い釣竿とする。竿体群を構成する各竿体内のコイルバネは引き延ばされる。そして、竿元側竿体の釣糸導入口から挿入される釣糸がコイルバネの螺旋の中を挿通してトップガイドに至る。釣糸はコイルバネの螺旋の中を挿通することで竿体周面から離れており、摺動抵抗が大きく低減する。また、釣糸を巻き上げる際に釣糸に付着して竿体内に浸入する水も、コイルバネと竿体内周面との間の空間に落ちて円滑に排水可能となる。
【0011】
発明2の中通し竿は、発明1の中通し竿であって、竿体群の中の最も竿元側に位置する竿体は竿元側端部に底栓を有し、また、竿体群の中の最も穂先側に位置する竿体は穂先側端部にトップガイドを有している。コイルバネは、この底栓とトップガイドとに両端が連結されている。
コイルバネの両端をそれぞれ底栓とトップガイドとに連結することで、竿体群を構成する各竿体を製造後に、底栓とトップガイドとを所定の竿体に装着すれば容易にコイルバネを竿体群内に配置可能である。例えば、コイルバネを竿体群を構成する竿体内に配置した後に、両端をそれぞれ底栓とトップガイドに取り付け、この底栓とトップガイドとを所定の竿体に装着する等の手法を採用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの実施形態を採用する中通し竿について、図面を参照しつつ説明する。
この中通し竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に連結される竿体群2とを有している。元竿1と竿体群2とは振出形式・並継形式の何れの連結方式を選択することも可能である。一方、竿体群2は、例えば、3本の釣竿、第1中竿3,第2中竿4,穂先竿5とから構成されるており、各竿体は振出形式に連結されている。これら元竿1及び竿体群2を構成する各竿体は、それぞれ炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維にエポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材からなる先細り筒状部材である。振出形式に竿体同士を連結する際には、穂先側端部内周面及び竿元側端部外周面にそれぞれ必要な嵌合雌部・嵌合雄部を形成する。
【0013】
元竿1は、全体として竿元側ほど大径化するようなテーパが施された筒状体である。竿元側周面にリールを脱着自在に装着可能なリールシート6を有し、竿元側端部には尻栓7が脱着自在に装着されている。また、元竿1の穂先側端部の外周面には、リール5からの釣糸Lを竿体内に導入するための釣糸導入口8が形成されており、この釣糸導入口8付近の元竿1の周面には釣糸導入ガイド9が装着されている。
【0014】
例えば、リールシート6は別途成形したパイプ状の部材からなり、これを所定の周面位置に配置して固定されている。リールのリール脚をこのリールシート6上に載置した上で所定の固定フード・移動フードでリール脚を挟持して固定する。また、釣糸導入口8は元竿1の軸方向を長径とする楕円型の孔である。釣糸導入口8の周縁にはセラミックスなどの硬質部材をその孔型にあわせて形成したガイドリングをはめ込んで固定してもよい。さらに、釣糸導入ガイド9はリールからの釣糸Lを釣糸導入口8に案内するためのガイド部材である。例えば、図1に示すように、釣糸導入口8を軸方向に跨ぐようにして配置され、巻糸などで元竿1に固定されている。
【0015】
図2に示すように、竿体群2は上述の通り3本の竿体、即ち、第1中竿3,第2中竿4,穂先竿5から構成されている。また、これらの3本の竿体の内部を軸方向に挿通するようにコイルバネ10が配置されている。
第1中竿3は、竿体群2の中で最も竿元側に位置しており、元竿1の穂先側に連結される竿体である。元竿1と同様に全体として竿元側ほど大径化するテーパが施された筒状体である。竿元側端部内周面には直接ねじ溝が形成され若しくは別途雌ねじ部材が装着される。そして、このねじ部分に底栓11が脱着自在に装着されている。この底栓11は合成樹脂若しくは金属等から形成される栓部材であり軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。必要に応じて貫通孔にはセラミックスなどからなるリングをはめ込んでもよい。この底栓11の穂先側端面にコイルバネ10の一端が連結される。コイルバネ10と底栓11との連結手法は任意であるが、例えば、底栓11の穂先側端面にフックを設けておき、ここにコイルバネ10の一端をリング状に加工して係止するなどの手法を例示できる。
【0016】
第2中竿4は第1中竿3の穂先側に振出形式に連結される竿体である。図2に示すように、コイルバネ10が内部を軸方向に挿通している。
穂先竿5は第2中竿4の穂先側に振出形式に連結される竿体である。穂先側端部外周面にねじ溝が直接形成され、若しくは別部材を装着することで雄ねじ部分が形成されている。そして、ここにトップガイド12が脱着自在に連結されている。このトップガイド12は合成樹脂若しくは金属等から形成される部材である。穂先竿5の内部空間に連通する貫通孔が軸方向に貫通している。この貫通孔の穂先側端縁には必要に応じてセラミックスなどからなるリングをはめ込んでもよい。
【0017】
また、このトップガイド12の内周面にコイルバネ10の他端が連結される。コイルバネ10とトップガイド12とは相互に脱着自在としても良いが、脱着不能に予め連結固定しておいてもよい。
コイルバネ10は軸方向に伸縮自在なバネである。このコイルバネ10は任意の細経金属線などから構成する。コイル径は穂先竿5の内部に収納可能なように穂先竿5の最小径より小さく設定する必要がある。また、コイルバネ10には撥水性塗料などを別途塗布しておいてもよい。コイルバネ10の両端は上述のとおり、それぞれ尻栓11とトップガイド12とに連結されている。両端ともにそれぞれの部材から脱着自在としても良いが、何れか一方は脱着不能としてもよい。
【0018】
この中通し竿は、使用しない際には、図3に示すように、竿体群2を構成する各竿体を振出形式に順次竿元側の竿体への収納しておく。元竿1と竿体群2とも振出形式に連結されていれば、更に元竿1内に竿体群2が収納されることになる。この場合、竿体群2を構成する各竿体内のコイルバネ10も収縮して、コイルバネ10は穂先竿5内に収納された状態となる。
【0019】
一方、使用する際には、図2に示すように、竿体群2を構成する各竿体を順次穂先側に引き出して連結し一本の長い釣竿とする。竿体群2を構成する各竿体内のコイルバネ10は引き延ばされて、第1中竿3から穂先竿5までの間で竿体内に螺旋状に延伸している。そして、リールからの釣糸Lは元竿1の釣糸導入口8から挿入され、底栓11を介してコイルバネ10の螺旋の中を挿通しトップガイド12から外部に導出される。このように釣糸Lがコイルバネ10の螺旋の中を挿通しており、釣糸Lの摺動抵抗が大きく低減される。また、釣糸Lをリールに巻き上げる際に釣糸Lに付着して各竿体内に浸入する水も、コイルバネ10と各種竿体内周面との間の空間に落ちて円滑に排水される。
【0020】
[他の実施形態]
(a)コイルバネの第1中竿3及び穂先竿5への連結に関する別の形態を例示する。
図4に示すように、この第1中竿3は、竿元側端部内周面にねじ溝が形成されており、そのねじ溝の竿元側に隣接して段付きの収納空間が形成されている。そして、この収納空間にセラミックスなどの硬質部材から形成された硬質リング21が納められている。硬質リング21にはコイルバネ10の一端が連結されている。例えば、硬質リング21の内周面の一部に被係止用の突起を形成しておき、ここにコイルバネ10の一端をフック状に加工した部分を係止する。
【0021】
一方、穂先竿5の穂先側端部外周面には雄ねじ部材が装着されており、また、穂先側端部内周面にも段付きの収納空間が形成される。そして、この収納空間に硬質リング22が納められている。この硬質リング22も上述の硬質リング21と同種のものである。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る中通し竿では、釣糸の竿体内部における摺動抵抗を低減させることができる。また、その製造加工も容易である。更に、釣糸に付着する水の排水も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態を採用した中通し竿の全体図。
【図2】図1の中通し竿の竿体群2を構成する各竿体を引き延ばした状態を示した図。
【図3】図1の中通し竿の竿体群2を構成する各竿体を収納した状態を示した図。
【図4】他の実施形態を採用した第1中竿3と穂先竿5とを示した図。
【符号の説明】
1 元竿
2 竿体群
10,20 コイルバネ
Claims (2)
- 竿体の内部に釣糸を挿通させるための釣糸通路を有する中通し竿であって、
外周面にリールからの釣糸を竿体内部に導入するための釣糸導入口が形成されている竿元側竿体と、
前記竿元側竿体の穂先側に連結される竿体群とを備え、
前記竿体群は複数の竿体が振出形式に連結されたものであり、前記竿体群を構成する各竿体内部を軸方向に挿通するように配置され、前記竿体群の最も竿元側に位置する竿体の竿元側端部と前記竿体群の最も穂先側に位置する竿体の穂先側端部とを連結するコイルバネを有している、中通し竿。 - 前記竿体群の中の最も竿元側に位置する竿体は竿元側端部に底栓を有し、また、前記竿体群の中の最も穂先側に位置する竿体は穂先側端部にトップガイドを有しており、前記コイルバネは、前記底栓と前記トップガイドとに両端が連結されている、請求項1に記載の中通し竿。
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