以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載の発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする実施の形態が本明細書に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、本明細書に記載されている発明の全てを意味するものではない。換言すれば、この記載は、本明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加されたりする発明の存在を否定するものではない。
本発明においては、撮像装置(例えば、図3の撮像装置)の光学素子(例えば、図3のフォーカスレンズやウォブリングレンズ)を駆動させて被写体を撮像する際のフォーカス位置を調整する駆動部(例えば、図3のAF駆動部)の制御に関する処理を実行する制御装置(例えば、図3のAF制御部)が提供される。この制御装置では、フォーカス位置の調整用のパラメータであり、被写体の撮像画像のぼけ度合いをフィールド画像毎に評価する評価値と被写体の撮像画像の輝度値をフィールド画像毎に積分した輝度積分値のそれぞれの局所的なピークである局所ピークを互いに比較する局所ピーク比較手段(例えば、図3の局所ピーク比較部)と、局所ピーク比較手段による比較結果に基づいて、評価値の全体に対するピークを探索するモードを、予め複数用意されたモードの中から選択するモード選択手段(例えば、図3のモード選択部)とを備える。
前記評価値を算出する評価値算出手段(例えば、図3の評価値算出部)と、輝度積分値を算出する輝度積分値算出手段(例えば、図3の輝度積分値算出部)とをさらに備え、局所ピーク比較手段は、評価値算出手段により算出された評価値と、輝度積分値算出手段により算出された輝度積分値の局所ピークを互いに比較するようにすることができる。
前記評価値算出手段により算出された評価値の局所ピークを検出する評価値局所ピーク検出手段(例えば、図6の評価値局所ピーク検出部)と、輝度積分値算出手段により算出された輝度積分値の局所ピークを検出する輝度積分値局所ピーク検出手段(例えば、図6の輝度積分値局所ピーク検出部)とをさらに備え、局所ピーク比較手段は、評価値局所ピーク検出手段により検出された評価値の局所ピークと、輝度積分値局所ピーク検出手段により検出された輝度積分値の局所ピークを互いに比較するようにすることができる。
前記モード選択手段により選択されたモードで評価値の全体に対するピークを探索するピーク探索手段(例えば、図3の通常モードピーク探索部またはロングフィルタモード探索部)をさらに備えるようにすることができる。
本発明においては、撮像装置(例えば、図3の撮像装置)の光学素子(例えば、図3のフォーカスレンズやウォブリングレンズ)を駆動させて被写体を撮像する際のフォーカス位置を調整する駆動部(例えば、図3のAF駆動部)の制御に関する処理を実行する制御装置(例えば、図3のAF制御部)の制御方法が提供される。この制御方法においては、フォーカス位置の調整用のパラメータであり、被写体の撮像画像のぼけ度合いをフィールド画像毎に評価する評価値と被写体の撮像画像の輝度値をフィールド画像毎に積分した輝度積分値のそれぞれの局所的なピークである局所ピークを互いに比較する局所ピーク比較ステップ(例えば、図19のステップS4)と、局所ピーク比較ステップの処理による比較結果に基づいて、評価値の全体に対するピークを探索するモードを、予め複数用意されたモードの中から選択するモード選択ステップ(例えば、図19のステップS5)とを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムにおいても、各ステップが対応する実施の形態(但し一例)は、本発明の制御方法と同様である。
本発明においては、被写体を撮像する撮像部(例えば、図3のCCD)と、光学素子(例えば、図3のフォーカスレンズやウォブリングレンズ)を駆動させて、前記撮像部により前記被写体を撮像する際のフォーカス位置を調整する駆動部(例えば、図3のAF駆動部)を有するカメラ(例えば、図3の撮像装置)が提供される。このカメラにおいては、フォーカス位置の調整用のパラメータであり、被写体の撮像画像のぼけ度合いをフィールド画像毎に評価する評価値と被写体の撮像画像の輝度値をフィールド画像毎に積分した輝度積分値のそれぞれの局所的なピークである局所ピークを互いに比較する局所ピーク比較手段(例えば、図3の局所ピーク比較部)と、局所ピーク比較手段による比較結果に基づいて、評価値の全体に対するピークを探索するモードを、予め複数用意されたモードの中から選択するモード選択手段(例えば、図3のモード選択部)と、モード選択手段により選択されたモードで駆動部を制御し、評価値の全体に対するピークを探索するピーク探索手段(例えば、図3の通常モードピーク探索部またはロングフィルタモード探索部)とを備える。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図3は、本発明を適用した撮像装置の一実施形態に係る構成例を示す図である。
図3において、撮像装置50は、AF(Auto Focus)駆動部51、画像処理部52、およびAF制御部53を有しており、被写体を撮像し、動画または静止画の画像データを得る装置である。撮像装置50は、得られた画像データを記録媒体に記録したり、外部に出力したりする。なお、図3においては、撮像装置50の構成の内、本発明に関わる部分のみを示している。
AF駆動部51は、フォーカスレンズ61、ウォブリングレンズ62、レンズ駆動部63、駆動制御部64、センサ65、およびスイッチ(SW)66を有しており、AF制御部53の制御に基づいて、光学系を駆動させ、画像処理部52に取り込まれる光のフォーカス位置調整処理を行う。
フォーカスレンズ61は、画像処理部52に入射する光の光軸方向に駆動し、その光のフォーカス位置(得られる撮影画像のフォーカス位置)を制御する。ウォブリングレンズ62は、画像処理部52に入射する光の光軸方向に微小に振動(ウォブリング)し、撮影画像のフォーカス位置を微小にずらす。このウォブリングレンズ62は、焦点調整処理(フォーカス処理)中におけるフォーカスレンズ61の動かす向きを決定するのに利用される。なお、このフォーカスレンズ61とウォブリングレンズ62は、1組のレンズにより実現する(フォーカスレンズ61をウォブリングレンズ62としてウォブリング動作させる)ようにしてもよい。
レンズ駆動部63は、駆動制御部64より供給される制御情報に基づいて、フォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62の位置や動作を制御することによりフォーカス位置を制御する(フォーカス位置を制御するための動作を行わせる)。駆動制御部64は、後述するようにAF制御部53のAF制御処理部83とシリアルバスで接続されており、AF制御処理部83より供給されるフォーカス制御指令やウォブリング制御指令等の制御情報に基づいて、レンズ駆動部63にフォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62の駆動に関する制御情報を供給する。例えば、駆動制御部64は、レンズ駆動部63に対して、制御情報を供給し、フォーカスレンズ61の位置を移動するように指示したり、ウォブリングレンズ62のウォブリング動作を開始させたりする。
また、駆動制御部64は、センサ65より供給されるアイリス値やフォーカス位置に関する情報を、シリアルバスを介して、A3制御処理部82に供給する。さらに、駆動制御部64は、スイッチ(SW)66の状態に応じて動作が制御される。例えば、スイッチ66がオン状態の場合のみ駆動制御部64は、上述した制御処理や通信処理を行い、スイッチ66がオフ状態の場合、駆動制御部64は、休止状態となり各処理を実行しない。
センサ65は、フォーカス位置、ズーム位置(焦点距離)、およびアイリス値等を測定するセンサであり、測定したそれらの情報を、駆動制御部64を介してAF制御処理部83に供給する。スイッチ(SW)66は、AF処理を行うか否かをユーザが制御するためのスイッチであり、その状態を駆動制御部64に通知する。
画像処理部52は、撮像装置50に入射される光から電気信号の画像信号を生成する処理部であり、CCD(Charge Coupled Devices)71、増幅部72、および信号処理部73を有している。
CCD71は、フォトダイオード等の光電変換素子を有するCCDを利用した撮像素子であり、フォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62を介して入射される入射光を光電変換し、入射光量に対応する電荷を蓄積すると、それを吐き出すことにより電気信号の画像信号を得る。CCD71は、その画像信号を増幅部72に供給する。なお、CCD71の代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を利用したイメージセンサを用いるようにしてもよい。
増幅部72は、CDS回路(Correlated Double Sampling circuit)、AGC回路(Automatic Gain Control circuit)、およびA/D(Analog / Digital)変換回路等を含み、CCD71より供給される画像信号のリセットノイズを除去したり、画像信号を増幅したり、アナログ信号の画像信号をデジタル信号に変換したりした後、そのデジタルの画像信号を信号処理部73に供給する。
信号処理部73は、供給された画像信号に対してAE(Auto Exposure)処理やAWB(Auto White Balance)処理や、γ補正等の画像処理等を施した後、その画像信号を後段に出力するとともに、AF制御部53の評価値算出部81や輝度積分値算出部82に供給する。また、信号処理部73は、画像信号の水平同期信号や垂直同期信号、並びにシステムクロック信号等の制御用同期信号を、評価値算出部81や輝度積分値算出部82に供給する。
AF制御部53は、画像処理部52より供給される画像信号等に基づいて、AF駆動部51を制御し、AF処理の制御に関する処理を行う。AF制御部53は、評価値算出部81、輝度積分値算出部82、およびAF制御処理部83を有している。
評価値算出部81は、画像処理部52の信号処理部73より供給される画像信号や同期信号、並びにAF制御処理部83を介して供給される設定データ等に基づいて、取り込み画像(画像信号)の「ぼけ」度合いを評価する評価値を、フィールド画像(プログレッシブ方式の場合はフレーム画像)毎に算出する。評価値算出部81は、算出した評価値をAF制御処理部83の評価値保持部91に供給する。なお、以下において、撮影画像(取り込み画像)がインターレス方式の場合についてのみ説明するが、この説明は、フィールド単位をフレーム単位に置き換えるだけで、プログレッシブ方式の場合にも適用することができる。
輝度積分値算出部82は、画像処理部52の信号処理部73より供給される画像信号や同期信号等に基づいて、取り込み画像(画像信号)の一部または全部の領域について、各画素の輝度値をフィールド画像(プログレッシブ方式の場合はフレーム画像)毎に積分した輝度積分値を算出する。輝度積分値算出部82は、算出した輝度積分値をAF制御処理部83の輝度積分値保持部93に供給する。
AF制御処理部83は、詳細については後述するが、評価値算出部81より供給される評価値から、全体に対するピークではなく、局所におけるピークである局所ピークを探索するとともに、輝度積分値算出部82より供給される輝度積分値から、全体に対するピークではなく、局所におけるピークである局所ピークを探索する。そして、AF制御処理部83は、探索した評価値の局所ピークと、輝度積分値の局所ピークとで数や位置を比較し、その比較結果に基づいて全体に対するピークの探索モードを選択する。
AF制御処理部83は、評価値保持部91、評価値局所ピーク探索部92、輝度積分値保持部93、輝度積分値局所ピーク探索部94、局所ピーク比較部95、モード選択部96、通常モードピーク探索部97、およびロングフィルタモードピーク探索部98を有している。
評価値保持部91は、評価値算出部81より供給されるフィールド毎の評価値を、一時的に保持し、必要に応じて、その保持している評価値を評価値局所ピーク探索部92に供給する。評価値局所ピーク探索部92は、評価値保持部91より供給された評価値を用いて、評価値の局所ピークの探索を行う。つまり、評価値局所ピーク探索部92は、波形全体に対するピーク(低周波成分のピーク)ではなく、短期的な(局所的な)ピーク(高周波成分のピーク)の探索を行う。評価値局所ピーク探索部92は、このような評価値の局所ピークを探索し、その探索結果を局所ピーク比較部95に供給する。
輝度積分値保持部93は、輝度積分値算出部82より供給されるフィールド毎の輝度積分値を、一時的に保持し、必要に応じて、その保持している輝度積分値を輝度積分値局所ピーク探索部94に供給する。輝度積分値局所ピーク探索部94は、輝度積分値保持部93より供給された輝度積分値を用いて、輝度積分値の局所ピークの探索を行う。つまり、輝度積分値局所ピーク探索部94は、波形全体に対するピーク(低周波成分のピーク)ではなく、短期的な(局所的な)ピーク(高周波成分のピーク)の探索を行う。輝度積分値局所ピーク探索部94は、このような輝度積分値の局所ピークを探索し、その探索結果を局所ピーク比較部95に供給する。
局所ピーク比較部95は、評価値局所ピーク探索部92より供給された評価値の局所ピークの位置や数に関する情報である評価値局所ピーク情報と、輝度積分値局所ピーク探索部94より供給された輝度積分値の局所ピークの位置や数に関する情報である輝度積分値局所ピーク情報とに基づいて、それぞれの局所ピークについて数や位置を比較し、その比較結果をモード選択部96に供給する。
モード選択部96は、局所ピーク比較部95より供給された比較結果に基づいて、ピーク探索(全体に対するピークの探索)のモードとして、通常モードとロングフィルタモードのいずれか一方を選択する。つまり、モード選択部96は、評価値局所ピークと輝度積分値局所ピークとの比較結果に基づいて、被写体が、ミラーボールや木漏れ日等のように、周期的または不定期に一瞬光るような輝度変化の激しい特殊な被写体(ロングフィルタモードを適用すべき被写体)であるか否かを判定し、ロングフィルタモードを適用するか否かを判定する。そして、モード選択部96は、通常モードピーク探索部97またはロングフィルタモードピーク探索部98の、選択したモードでピーク探索を行う方にピーク探索を指示する。
通常モードピーク探索部97は、モード選択部96の指示に基づいて、フォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62が、例えば差分方式やチェックダウン方式等のような通常モードのピーク探索の動作をするように、シリアルバスを介して駆動制御部64に制御情報を供給する。
ロングフィルタモードピーク探索部98は、モード選択部96の指示に基づいて、フォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62が、移動平均等を用いたロングフィルタモードのピーク探索の動作をするように、シリアルバスを介して駆動制御部64に制御情報を供給する。
また、AF制御部53は、バス100、ROM(Read Only Memory)101、入力部102、出力部103、記憶部104、通信部105、およびドライブ106をさらに有している。AF制御処理部83には、バス100が接続され、そのバス100を介して、ROM101乃至ドライブ106が接続される。
ROM101は、読み出し専用の記憶媒体を有しており、AF制御処理部83において実行されるプログラムやデータが予め記憶されている。ROM101に記憶されているプログラムやデータは、AF制御処理部83により、バス100を介して必要に応じて読み出される。入力部102は、スイッチやボタン等の入力デバイスを有しており、例えばユーザにより入力された指示情報等を受け付け、それらを、バス100を介してAF制御処理部83に供給する。出力部103は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等よりなる表示部や、スピーカ等よりなる音声出力部を有しており、AF制御処理部83よりバス100を介して供給された情報を表示したり出力したりする。
記憶部104は、ハードディスクや半導体メモリ等を有し、AF制御処理部83により実行されるプログラムやデータが記憶されたり、AF制御処理部83より供給されるデータ等を記憶したりする。通信部105は、例えば、モデム、LAN(Local Area Network)アダプタ、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース、SCSI(Small Computer System Interface)、またはIEEE802.11xアダプタ等を有し、所定の通信規格に基づいたインタフェース処理を行い、ネットワークを介して他の装置と通信を行い、例えば、他の装置より情報を受信し、それをAF制御処理部83に供給したり、AF制御処理部83からの情報を他の装置に送信したりする。
ドライブ106は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア107が適宜装着される読み出し書き込み処理部である。ドライブ106は、例えば、装着されたリムーバブルメディア107からプログラムやデータを読み出し、それを、必要に応じて記憶部104にインストールさせたり、AF制御処理部83に供給したりする。また、ドライブ106は、例えば、バス100を介してAF制御処理部83より取得したプログラムやデータを、装着されているリムーバブルメディア107に記録する。
AF制御処理部83が実行する処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア107により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM101や、記憶部104に含まれるハードディスクや半導体メモリ等で構成される。
次に、動作について説明する。
撮影が開始されると、画像処理部52のCCD71は、点線矢印111に示されるような光軸でAF駆動部51のフォーカスレンズ61およびウォブリングレンズ62を介して入射された光を光電変換し、電気信号の画像情報(画像信号)を得る。そしてCCD71は、矢印112のように、その画像信号を増幅部72に供給する。増幅部72は、その画像信号を所定の方法で増幅させると、その増幅済みの画像信号を矢印113のように信号処理部73に供給する。信号処理部73は、供給された画像信号に対して画像処理を施すなどした後、それを、矢印114Aに示されるように図示せぬ後段に出力するとともに、矢印114Bおよび矢印114Cに示されるようにAF制御部53の評価値算出部81と輝度積分値算出部82に供給する。また、信号処理部73は、矢印115Aおよび矢印115Bに示されるように、同期信号を評価値算出部81および輝度積分値算出部82に供給する。
評価値算出部81は、矢印116に示されるようにAF制御処理部83より供給される設定データ等に基づいて、信号処理部73より供給される画像信号に対応する、取り込み画像の「ぼけ」具合を評価する評価値を、所定の算出方法で算出する。例えば、評価値は、フレーム画像の一部の画像領域内(評価枠内)におけるコントラストの大きさを示す値であり、その評価枠内の輝度値の高周波成分の合計値等に基づいて算出される。評価値算出部81は、このような評価値をフィールド毎に算出すると、それを矢印117に示されるように、AF制御処理部83の評価値保持部91に供給する。
評価値保持部91は、矢印117に示されるように評価値算出部81よりフィールド毎に供給される評価値を一時的に保持する。そして、その保持している評価値を、矢印118に示されるように、必要に応じて評価値局所ピーク探索部92に供給する。評価値局所ピーク探索部92は、矢印118のように供給される評価値に基づいて評価値の局所ピークを探索する。そして、評価値ピーク探索部92は、その探索結果として、検出された評価値の局所ピークの数や位置に関する評価値局所ピーク情報を局所ピーク比較部95に供給する。
輝度積分値算出部82は、信号処理部73より供給される画像信号の輝度値を、フィールド画像毎に、そのフィールド画像の全部または一部の画素について積分した輝度積分値を、所定の算出方法で算出する。輝度積分値算出部82は、このような輝度積分値をフィールド毎に算出すると、それを矢印120に示されるように、AF制御処理部83の輝度積分値保持部93に供給する。
輝度積分値保持部93は、矢印120に示されるように、輝度積分値算出部82よりフィールド毎に供給される輝度積分値を一時的に保持する。そして、その保持している輝度積分値を、矢印121に示されるように、必要に応じて輝度積分値局所ピーク探索部94に供給する。輝度積分値局所ピーク探索部94は、矢印122のように供給される輝度積分値に基づいて輝度積分値の局所ピークを探索する。そして、輝度積分値ピーク探索部94は、その探索結果として、検出された輝度積分値の局所ピークの数や位置に関する輝度積分値局所ピーク情報を局所ピーク比較部95に供給する。
局所ピーク比較部95は、このように供給された評価値の局所ピークの位置や数と、輝度積分値の局所ピークの位置や数とをそれぞれ比較し、その比較結果を、矢印123により示されるように、モード選択部96に供給する。モード選択部96は、その比較結果に基づいて、通常モードのピーク探索を行うか、または、ロングフィルタモードのピーク探索を行うを選択し、その選択したモードのピーク探索部(通常モードピーク探索部97またはロングフィルタモードピーク探索部98のいずれか一方)にピーク探索の実行を指示する。通常モードピーク探索部97およびロングフィルタモードピーク探索部98は、モード選択部96によりモードが選択されると、その選択に従ってピーク探索を行う。
例えば、通常モードでピーク探索を実行させる場合、モード選択部96は、矢印124に示されるように通常モードピーク探索部97にピーク探索を指示する。通常モードピーク探索部97は、その指示に基づいて、矢印125に示されるようにシリアルバスを介して駆動制御部64を制御する。また、例えば、ロングフィルタモードでピーク探索を実行させる場合、モード選択部96は、矢印127に示されるようにロングフィルタモードピーク探索部98にピーク探索を指示する。ロングフィルタモードピーク探索部98は、その指示に基づいて、矢印127に示されるようにシリアルバスを介して駆動制御部64を制御する。
このように、AF制御処理部83の通常モードピーク探索部97やロングフィルタモードピーク探索部98により制御される(矢印125または矢印127)と、駆動制御部64は、その制御に基づいて矢印131に示されるようにレンズ駆動部63を制御し、フォーカスレンズ61やウォブリングレンズ62を駆動させる(矢印132または矢印133)。ただし、駆動制御部64は、矢印130に示されるようにスイッチ66がON状態であることが通知されている場合のみ、そのような処理を行う。例えば、スイッチ66がOFF状態である場合、駆動制御部64は、休止状態となり、AF制御処理部83(通常モードピーク探索部97やロングフィルタモードピーク探索部98)の制御を受け付けない。
また、駆動制御部64は、矢印129に示されるように、センサ65よりフォーカス位置、ズーム位置(焦点距離)、およびアイリス値等のセンサ情報を取得すると、それを矢印128に示されるように、シリアルバスを介してAF制御処理部83に供給する。AF制御処理部83は、それらのセンサ情報から評価値算出用の設定データを生成し、それを矢印116に示されるように評価値算出部81に供給する。
撮像装置50においては、このようにAF処理が制御される。
図4は、図3の評価値算出部81の詳細な構成例を示すブロック図である。
図4において、評価値算出部81は、輝度値の高周波成分を抽出するハイパスフィルタ(HPF)151、輝度値を絶対値化する絶対値処理部152、絶対値化された各画素の輝度値を水平方向に加算する水平方向加算処理部153、および、水平方向に加算された輝度値を垂直方向に加算する垂直方向加算処理部154を有している。
つまり、評価値算出部81は、信号処理部73より画像信号が供給されるとその輝度値から、ハイパスフィルタ151において高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分を絶対値処理部152において絶対値化し、その輝度値の絶対値を水平方向加算処理部153において水平方向に加算し、水平方向の加算値を垂直方向加算処理部154において垂直方向に加算する。これにより、フィールド画像に対する評価値が算出される。
図5は、図3の輝度積分値算出部82の詳細な構成例を示すブロック図である。
図5において、輝度積分値算出部82は、各画素の輝度値を水平方向に加算する水平方向加算処理部161、および水平方向に加算された輝度値を垂直方向に加算する垂直方向加算処理部162を有している。
つまり、輝度積分値算出部82は、信号処理部73より画像信号が供給されるとその輝度値を、水平方向加算処理部153において水平方向に加算し、水平方向の加算値を垂直方向加算処理部154において垂直方向に加算する。これにより、フィールド画像に対する輝度積分値が算出される。
図6は、図3の評価値局所ピーク探索部92および輝度積分値局所ピーク探索部94の詳細な構成例を示すブロック図である。
評価値局所ピーク探索部92は、評価値取得部171、評価値局所ピーク検出部172、評価値局所ピーク位置特定部173、評価値局所ピーク数カウント部174、および評価値局所ピーク情報保持部175を有している。
評価値取得部171は、評価値保持部91が保持している評価値を取得し、それを評価値局所ピーク検出部172に供給する。評価値局所ピーク検出部172は、供給された評価値に基づいて評価値の変動を追い、評価値の局所ピーク(評価値局所ピーク)を検出し、検出した評価値局所ピークについての情報を評価値局所ピーク位置特定部173および評価値局所ピーク数カウント部174に通知する。評価値局所ピーク位置特定部173は、評価値局所ピーク検出部172において検出された評価値局所ピークの位置(フィールド)を特定し、その評価値局所ピークの位置情報を評価値局所ピーク情報保持部175に供給し、保持させる。また、評価値局所ピーク数カウント部174は、評価値局所ピーク検出部172において検出された評価値局所ピークの数をカウントし、そのカウント値(評価値局所ピーク数)を評価値局所ピーク情報保持部175に供給し、保持させる。
評価値局所ピーク情報保持部175は、評価値局所ピーク位置特定部173や評価値局所ピーク数カウント部174より供給された評価値局所ピークの位置情報や数の情報を評価値局所ピーク情報として保持し、所定のタイミングで、その評価値局所ピーク情報を局所ピーク比較部95に供給する。
輝度積分値局所ピーク探索部94は、輝度積分値取得部181、輝度積分値局所ピーク検出部182、輝度積分値局所ピーク位置特定部183、輝度積分値局所ピーク数カウント部184、および輝度積分値局所ピーク情報保持部185を有している。
輝度積分値取得部181は、輝度積分値保持部93が保持している輝度積分値を取得し、それを輝度積分値局所ピーク検出部182に供給する。輝度積分値局所ピーク検出部182は、供給された輝度積分値に基づいて輝度積分値の変動を追い、輝度積分値の局所ピーク(輝度積分値局所ピーク)を検出し、検出した輝度積分値局所ピークについての情報を輝度積分値局所ピーク位置特定部183および輝度積分値局所ピーク数カウント部184に通知する。輝度積分値局所ピーク位置特定部183は、輝度積分値局所ピーク検出部182において検出された輝度積分値局所ピークの位置(フィールド)を特定し、その輝度積分値局所ピークの位置情報を輝度積分値局所ピーク情報保持部185に供給し、保持させる。また、輝度積分値局所ピーク数カウント部184は、輝度積分値局所ピーク検出部182において検出された輝度積分値局所ピークの数をカウントし、そのカウント値(輝度積分値局所ピーク数)を輝度積分値局所ピーク情報保持部185に供給し、保持させる。
輝度積分値局所ピーク情報保持部185は、輝度積分値局所ピーク位置特定部183や輝度積分値局所ピーク数カウント部184より供給された輝度積分値局所ピークの位置情報や数の情報を輝度積分値局所ピーク情報として保持し、所定のタイミングで、その輝度積分値局所ピーク情報を局所ピーク比較部95に供給する。
図7は、図3の局所ピーク比較部95の詳細な構成例を示すブロック図である。
図7において局所ピーク比較部95は、評価値ピークと輝度積分値ピークを比較することによりそれらの位置と数が互いに一致するか否かを確認する処理部であり、局所ピーク数最小値条件確認部191、局所ピーク数最小値条件保持部192、局所ピーク数比較部193、および局所ピーク位置比較部194、および比較確認結果出力部195を有している。
局所ピーク数最小値条件確認部191は、評価値局所ピーク探索部92より評価値局所ピーク情報が供給され、輝度積分値局所ピーク探索部94より輝度積分値局所ピーク情報が供給されると、局所ピーク数最小値条件保持部192に保持されている局所ピーク数最小値条件(検出された局所ピークが有効であると確認するための最小数)を取得し、その最小値条件と、評価値局所ピーク情報に含まれる評価値局所ピーク数、または、輝度積分値局所ピーク情報に含まれる輝度積分値局所ピーク数とを比較することで、それらの局所ピーク数が最小値条件を満たしているか否か(検出された局所ピークが少なすぎないこと)を確認する。局所ピーク数最小値条件確認部191は、評価値局所ピーク数および輝度積分値局所ピーク数がいずれも最小値条件を満たすことを確認した場合、局所ピーク情報(評価値局所ピーク情報および輝度積分値局所ピーク情報)を局所ピーク数比較部193に供給する。評価値局所ピーク数または輝度積分値局所ピーク数が最小値条件を満たしていない場合、その確認結果を比較確認結果出力部195に供給する。
局所ピーク数比較部193は、供給された局所ピーク情報に基づいて、評価値局所ピーク数と輝度積分値局所ピーク数を比較する。それらが同数であれば、局所ピーク数比較部193は、局所ピーク情報を局所ピーク位置比較部194に供給する。それらが同数でなければ局所ピーク数比較部193は、その比較結果を比較確認結果出力部195に供給する。
局所ピーク位置比較部194は、供給された局所ピーク情報に基づいて、評価値局所ピークの位置と輝度積分値局所ピークの位置を比較し、その比較結果を比較確認結果出力部195に供給する。
比較確認結果出力部195は、局所ピーク数最小値条件確認部191より供給された確認結果、局所ピーク数比較部193より供給された比較結果、または局所ピーク位置比較部194より供給された比較結果を局所ピークの比較確認結果としてモード選択部96に出力する。モード選択部96は、この比較確認結果に基づいて、ピーク探索のモード(通常モードまたはロングフィルタモード)の選択を行う。
つまり、図8に示されるように、局所ピーク比較部95は、監視期間において、評価値の局所ピークの位置および数と、輝度積分値の局所ピークの位置および数とがそれぞれ一致するか否かを確認し、モード選択部96は、それらが一致する場合、ロングフィルタモードを適用し、一致しない場合、通常モードを適用する。
図8において、曲線201は、監視期間(評価値取得部171が取得する評価値が対応するNフィールド(N field,Nは自然数))における評価値の変動を示しており、PK1乃至PK3はそれぞれ評価値局所ピークのタイミングを示している。また、曲線202は、監視期間(輝度積分値取得部181が取得する輝度積分値が対応するフィールド区間)における輝度積分値の変動を示しており、PK4乃至PK6はそれぞれ輝度積分値局所ピークのタイミングを示している。つまり、例えば、監視期間内(Nフィールド)において、評価値と輝度積分値で局所ピークの数も位置も一致する場合、PK1とPK4、PK2とPK5、並びに、PK3とPK6のタイミング(フィールド)がそれぞれ一致する。このような場合、モード選択部96は、被写体が、ミラーボールや木漏れ日等の特殊な被写体であると判定し、ピーク探索のモードにロングフィルタモードを選択する。
図9乃至図13を参照し、この様な選択方法の原理について説明する。
図9は、点滅する点光源を撮影した場合の撮影画像の様子を示す図である。図9において左側に示される撮影画像211Aは、評価枠212内に撮影された点光源が消灯している(点光源213A)撮影画像を示している。その撮影画像211Aに対して、中央の白抜き両矢印を挟んで右側に示される撮影画像211Bは、評価枠212内に撮影された点光源が点灯している(点光源213B)撮影画像を示している。撮影画像211Aおよび撮影画像211Bの背景はともに灰色で、その輝度値は白色よりも黒色に近い。
このように撮影される点光源が所定の周期で点滅すると、撮影画像は、中央の白抜き両矢印のように撮影画像211Aの状態と撮影画像211Bの状態を繰り返す。点光源が、撮影画像211Aの点光源213Aのように消灯状態から、撮影画像211Bの点光源213Bのように点灯状態に移行する場合、輝度積分値はその点光源の分大きくなり、それと同時に、今までコントラストがほとんど無い状態(撮影画像211A)から、はっきりとしたコントラストが発生した状態(撮影画像211B)になるので、その分、評価値も大きくなる。つまりこの場合、図10に示されるように、評価値と輝度積分値の局所ピークの発生タイミングが同期する。図10において、図10Aに示される輝度積分値のグラフの曲線215に出現するピークタイミングT1乃至T4は、図10Bに示される評価値のグラフの曲線216に出現するピークタイミングT11乃至T14とそれぞれ一致する。
例えばミラーボールの光は点光源だけではなく、ある程度面積を持った光源であるが、上述した点光源の集合(点光源群)と考えることができ、それらのどの点光源も点灯すれば輝度積分値を上昇させ、評価値を上昇またはそのまま(点光源群の隣り合う点光源間にはコントラストが発生しないとする)にさせるので、点光源群全体としては、輝度積分値も評価値も上昇する。従って、ミラーボールの光(光源)の場合も、上述した点光源の場合と同様に、輝度積分値の局所ピークの発生タイミングと、評価値の局所ピークの発生タイミングが一致(同期)する。もちろん、ミラーボールのどの位置の光(光源)であっても同様である。つまり、このミラーボールや木漏れ日等のように、周期的または不定期に一瞬光るような輝度変化の激しい特殊な被写体の場合、評価値の局所ピークの発生タイミングが一致(同期)する。
このような特殊な被写体でない通常の被写体、つまり点灯や消灯を繰り返す点光源を実質的に含まない(輝度積分値や評価値の変動に影響を与えるほど多くの点光源を含まない)。以下においてこのような通常の被写体に含まれる画像の要素について説明する。
図11は、撮影画像において、評価枠内で揺れ動いている、周囲(背景)より暗い被写体(暗被写体)について説明する図である。図11Aは、そのような撮影画像221Aの様子を示す図である。撮影画像221Aの評価枠222内には、両矢印224Aのように揺れる暗被写体223Aが存在する。この場合、撮影画像221Aの評価値および輝度積分値は、図11Bのグラフに示されるように変動しない。図11Bにおいて直線225Aが輝度積分値の変動の様子を示し、直線226Aが評価値の変動の様子を示している。つまり、評価枠222内において暗被写体223Aが揺れ動いても、評価値も輝度積分値も変動しない。
図12は、この暗被写体223Aが揺れ動いて評価枠222に出入りする場合について説明する図である。図12Aにおいて、撮影画像221Bの評価枠222には、暗被写体223Aが両矢印224Bのように揺れ動いて出入りする。このとき、評価値と輝度積分値の両方が評価枠222内に対して算出されるとすると、このときの評価値と輝度積分値は、図12Bのグラフに示されるように変化する。図12Bにおいて、曲線225Bが輝度積分値の変動の様子を示し、曲線226Bが評価値の変動の様子を示している。つまり、周囲より暗い暗被写体223Aが評価枠222内に入ると、暗被写体223Aとその周囲の間にコントラストが発生するので評価値は上昇する。これに対して輝度積分値は、暗被写体223Aが周囲より暗いので低下する。逆に暗被写体223Aが評価枠222より外に出ると、評価枠222内にコントラストが無くなるので評価値は低下する。これに対して評価枠222内の暗い部分(暗被写体223A)が減るので輝度積分値は上昇する。このように評価値と輝度積分値は、その変動タイミングは互いに同じであるものの、その増減が互いに逆となる。つまり、この場合、評価値と輝度積分値は互いに同期していない(評価値と輝度積分値が同じタイミングで大きくなり、同じタイミングで小さくならない)。
図13は、周囲(背景)より明るい被写体(明被写体223B)が揺れ動いて評価枠222に出入りする場合について説明する図である。図13Aにおいて、撮影画像221Bの評価枠222には、明被写体223Bが両矢印224Bのように(図12の場合と同様に)揺れ動いて出入りする。このとき、評価値と輝度積分値の両方が評価枠222内に対して算出されるとすると、このときの評価値と輝度積分値は、図13Bのグラフに示されるように変化する。図13Bにおいて、曲線225Cが輝度積分値の変動の様子を示し、曲線226Cが評価値の変動の様子を示している。つまり、周囲より明るい明被写体223Bが評価枠222内に入ると、明被写体223Bとその周囲の間にコントラストが発生するので評価値は上昇する。輝度積分値も、明被写体223Bが周囲より明るいので上昇する。逆に明被写体223Bが評価枠222より外に出ると、評価枠222内にコントラストが無くなるので評価値は低下する。同時に評価枠222内の明るい部分(明被写体223B)が少なくなるので輝度積分値も低下する。このように評価値と輝度積分値は、その増減のタイミングが互いに同じである。つまり、評価値と輝度積分値が互いに同期している。
通常の被写体(特殊な被写体でない被写体)は、上述したような様々な点(輝度でいうと白色も灰色も黒色もある)で構成されているので、評価値と輝度積分値が検出可能なほど顕著に同期する可能性は低い。
図14乃至図16により具体的な例を示す。図14は、特殊な被写体(ミラーボール)を撮影しながらフォーカス位置を移動させた場合の評価値および輝度積分値の変動の様子を示すグラフである。図14のグラフにおいて、評価値231は、評価値の変動の様子の例を示しており、輝度積分値232は、輝度積分値の変動の様子の例を示している。評価値231は、矢印233で示されるジャストピン(焦点が被写体に合焦する位置)において大きくなり全体に対するピークが発生する。これに対して輝度積分値232の全体に対するピークはこのジャストピンの位置において発生していない。しかしながら、評価値の局所ピーク(高周波成分のピーク)と輝度積分値の局所ピーク(高周波成分のピーク)は数も位置も一致している(同期している)。
これに対して、図15は、通常の被写体(揺れる花)を撮影しながらフォーカス位置を移動させた場合の評価値および輝度積分値の変動の様子を示すグラフである。図15のグラフにおいて、評価値241は、評価値の変動の様子の例を示しており、輝度積分値242は、輝度積分値の変動の様子の例を示している。図15に示されるように、評価値241の局所ピーク(高周波成分のピーク)と輝度積分値242の局所ピーク(高周波成分のピーク)は数も位置も一致していない(同期していない)。図16は、図15の部分243を拡大したグラフである。図16においては、評価値と輝度積分値の局所ピークが互いに同期していない様子がより顕著に示されている。
以上のように、評価値と輝度積分値の局所ピークは、ミラーボールのような特殊な被写体の場合のみ(検出可能なほど)同期し、揺れる花のような通常の被写体においては(検出可能なほど)同期しない。従って、評価値と輝度積分値の局所ピーク(局所ピークの数および位置)を比較して互いに同期しているか否かを判定することにより、モード選択部96は、被写体がミラーボールや木漏れ日等の特殊な被写体であるか否かを、従来の輝度積分値の変動のみで判別する方法より正確に判別し、ピーク探索に、より的確にロングフィルタモードを適用することができる。つまり、撮像装置50は、被写体の判別をより正確に行い、より適切なAF制御処理を行うことができる。
ロングフィルタモードが適用されると、図3のロングフィルタモードピーク探索部98は、モード選択部96の指示に従って、駆動制御部64を制御し、ロングフィルタモードのピーク探索処理を行う。
このロングフィルタモードのピーク探索においては、フィールド毎に輝度正規化評価値の移動平均(段数11段)の計算と、その最大値更新処理を行い、輝度正規化評価値が最大値の半分になったら、若しくは端に到達したら、次の処理に進む。この際、既に1回判定していればジャストポイントの位置の算出に処理が進められ、反転回数が0回であれば、移動方向設定処理が行われ、移動方向の反転が行われる。
なお、輝度正規化評価値とは、評価値(IIR1-W1-HPeak)にY輝度加算値(Y-W1-Hintg)の32個の移動平均を乗算し、Y輝度加算値(Y-W1-Hintg)の3個の移動平均で除算したものである。(Y輝度加算値32移動平均/Y輝度加算値3移動平均)を乗算しているのは、ミラーによる強い反射光の影響を減少させるためである。
図17は、以上の演算の様子の例を示すグラフである。図17Aのグラフに示される曲線251は、激しく変動する評価値の例を示しており、曲線252は、曲線251に(Y輝度加算値32移動平均/Y輝度加算値3移動平均)を乗算したものである。フォーカス位置JP1は、評価値が全体に対するピークをとるフィールドである。図17Bに示される曲線253は、曲線252からさらに11の移動平均を取った輝度正規化評価値の変動の例を示している。このように移動平均をとることにより、変動(高周波成分)が小さくなり、全体に対するピーク(JP2)が曲線251と比較して探索しやすくなっている(誤検出の可能性が少なくより正確なピーク探索を行うことができる)。ただし、移動平均(11)を取ることにより評価値のピーク位置が5フィールド遅れる。従って、ピーク位置の算出は、その分(5フィールド)の遅れを考慮して行われる。
このようなロングフィルタモードのピーク探索におけるフォーカスレンズ61の動きの一例を図18に示す。矢印261に示されるように、ピーク探索処理が開始されると、フォーカスレンズ61は、等速度で動き出す。この場合、輝度正規化評価値は減少する方向なので最大値及び最大値位置は出発点のままとなる。フォーカスレンズ61の移動は進行して輝度正規化評価値が最大値の半分になり、かつそれまで反転していないので、その位置から反転して再度スタートする。
反転後フォーカスレンズ61は、矢印262のように、等速度で進み、正規化評価値ピークを通過してさらに進行する。輝度正規化評価値が最大値の半分となったら、今度はそれまでに反転しているのでピーク位置が算出される。ピーク位置が算出されると、フォーカスレンズ61は、矢印263のように、そのピーク位置に移動され、ロングフィルター処理が終了される。
被写体がミラーボールや木漏れ日等の特殊な被写体であると判定された場合、以上のようなロングフィルタモードのピーク探索が行われる。このように、撮像装置50は、被写体の判別をより正確に行い、より適切なAF制御処理を行うことができる。
次に、上述した各処理の流れについて説明する。最初に、図19のフローチャートを参照して、撮像装置50により実行されるフォーカス処理の流れの例を説明する。
ステップS1において、撮像装置50は、準備処理を行う。準備処理の詳細は、図20のフローチャートを参照して後述する。ステップS2において、評価値局所ピーク探索部92は、評価値局所ピーク探索処理を行う。評価値局所ピーク探索処理の詳細は、図21のフローチャートを参照して後述する。ステップS3において、輝度積分値局所ピーク探索部94は、輝度積分値局所ピーク探索処理を行う。輝度積分値局所ピーク探索処理の詳細は、図22のフローチャートを参照して後述する。ステップS4において、局所ピーク比較部95は、局所ピーク比較処理を行う。局所ピーク比較処理の詳細は、図23のフローチャートを参照して後述する。ステップS5において、モード選択部96は、ステップS4の処理により得られる比較確認結果に基づいてピーク探索モードとして、通常モードおよびロングフィルタモードのいずれか一方を選択する。ステップS6においてモード選択部96は、ステップS5の処理において通常モードを選択し、通常モードでピーク探索を行うか否かを判定し、通常モードでピーク探索を行うと判定した場合、ステップS7に処理を進める。ステップS7において、通常モードピーク探索部97は、通常モードピーク探索処理を行い、処理終了後にフォーカス処理を終了する。また、ステップS6において通常モードでピーク探索を行わないと判定した場合、モード選択部96は、処理をステップS8に進める。ステップS8においてロングフィルタモードピーク探索部98は、ロングフィルタモード処理を行い、処理終了後にフォーカス処理を終了する。なお、ステップS8において実行されるロングフィルタモード処理の詳細は、図24のフローチャートを参照して説明する。
次に図20のフローチャートを参照して、図19のステップS1において実行される準備処理の流れの例を説明する。
最初にステップS21において駆動制御部64は、レンズ駆動部63を制御することによりフォーカスレンズ61の位置を制御し、フォーカス位置を制御する。ステップS22において、CCD71は、入射される光を光電変換し、取り込み画像を取り込む。その取り込み画像は画像信号として評価値算出部81および輝度積分値算出部82に供給される。評価値算出部81は、ステップS23において評価値を算出する。評価値保持部91は、ステップS24において、その評価値を保持する。ステップS25において、輝度積分値算出部82は、供給さえる画像信号に基づいて輝度積分値を算出する。ステップS26において輝度積分値保持部93は、その輝度積分値を保持する。ステップS27において、駆動制御部64は、準備処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定した場合、準備処理を終了し、処理を図19のステップS1に戻し、ステップS2以降の処理を実行させる。
また、ステップS27において、終了処理を実行しないと判定した場合、駆動制御部64は、処理をステップS21に戻し、それ以降の処理を繰り返す。
次に、図21のフローチャートを参照して、図19のステップS2において実行される評価値局所ピーク探索処理の流れの例について説明する。
最初に、図6の評価値取得部171は、ステップS41において評価値を取得し、評価値局所ピーク検出部172は、ステップS42において評価値局所ピークを検出し、評価値局所ピーク位置特定部173は、ステップS43において評価値局所ピーク位置を特定し、評価値局所ピーク数カウント部174は、ステップS44において評価値局所ピーク数をカウントし、評価値局所ピーク情報保持部175は、ステップS45において評価値局所ピーク位置および評価値局所ピーク数を評価値局所ピーク情報として保持し、評価値局所ピーク探索処理を終了し、処理を図19のステップS2に戻し、ステップS3以降の処理を繰り返す。
次に、図22のフローチャートを参照して、図19のステップS3において実行される輝度積分値局所ピーク探索処理の流れの例について説明する。
最初に、図6の輝度積分値取得部181は、ステップS61において輝度積分値を取得し、輝度積分値局所ピーク検出部182は、ステップS62において輝度積分値局所ピークを検出し、輝度積分値局所ピーク位置特定部183は、ステップS63において輝度積分値局所ピーク位置を特定し、輝度積分値局所ピーク数カウント部184は、ステップS64において輝度積分値局所ピーク数をカウントし、輝度積分値局所ピーク情報保持部185は、ステップS65において輝度積分値局所ピーク位置および輝度積分値局所ピーク数を輝度積分値局所ピーク情報として保持し、輝度積分値局所ピーク探索処理を終了し、処理を図19のステップS3に戻し、ステップS4以降の処理を繰り返す。
次に、図23のフローチャートを参照して、図19のステップS4において実行される局所ピーク比較処理の流れの例について説明する。
局所ピーク数最小値条件確認部191は、最初に、ステップS81において、評価値局所ピーク情報および輝度積分値局所ピーク情報を取得する。次に、局所ピーク数最小値条件確認部191は、ステップS82において、局所ピーク数最小値条件保持部192より局所ピーク数最小値条件を取得する。そして、局所ピーク数最小値条件確認部191は、ステップS83において、評価値局所ピーク数および輝度積分値局所ピーク数を局所ピーク数最小値条件とそれぞれ比較する。
局所ピーク数最小値条件確認部191は、ステップS84において、局所ピーク数の値が最小値条件より大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合、処理をステップS85に進める。ステップS85において、局所ピーク数比較部193は、評価値局所ピーク数および輝度積分値局所ピーク数を比較する。ステップS86において、局所ピーク数比較部193は、局所ピーク数が一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合、処理をステップS87に進める。局所ピーク位置比較部194は、ステップS87において、評価値局所ピーク位置および輝度積分値局所ピーク位置を比較する。
また、ステップS84において、局所ピーク数の値が最小値条件より小さいと判定した場合、つまり、十分な数の局所ピークを検出できなかったと判定した場合、局所ピーク数最小値条件確認部191は、処理をステップS88に進める。さらに、ステップS86において、局所ピーク数が一致しないと判定した場合、局所ピーク数比較部193は、処理をステップS88に進める。
ステップS88において、比較確認結果出力部195は、比較確認結果を出力し、処理を図19のステップS4に戻し、ステップS5以降の処理を実行する。
次に、図24のフローチャートを参照して、図19のステップS8において実行されるロングフィルタモード処理の流れの例について説明する。
ロングフィルタモードのピーク探索を行うロングフィルタモード処理を開始ししたロングフィルタモードピーク探索部98は、ステップS101において、フォーカスレンズ61を動かす速度を設定するレンズ速度設定処理を行う。次に、ロングフィルタモードピーク探索部98は、ステップS102において、フォーカスレンズ61の(フォーカス位置の)移動方向を設定し、ステップS103において、上述したように輝度正規化評価値と移動平均(11)を用いて山下り判定処理(評価値のピーク位置を過ぎたことを検出する処理)を行う。
ステップS104において、ロングフィルタモードピーク探索部98は、現在の評価値が最大値候補の50%以下になったか、または端に到達したか、かつ、反転回数が1回であるかを判定する。ロングフィルタモードピーク探索部98は、上述したように、反転回数が1回以上で、かつ、現在の評価値が最大値候補の50%以下になったか、または端に到達したかを判定することにより、評価値ピークを検出したか否かを判定する。評価値ピークを検出した(現在の評価値が最大値候補の50%以下になったか、または端に到達したか、かつ、反転回数が1回であると判定した)場合、ロングフィルタモードピーク探索部98は、処理をステップS105に進め、ジャストピン位置(被写体に焦点が合焦する位置)を算出し、ステップS106に進め、ジャストピン位置に合焦させ、ステップS107において、終了処理を行い、ロングフィルタモード処理を終了し、処理を図19のステップS8に処理を戻し、フォーカス処理を終了する。
また、ステップS104において、評価値ピークを検出していない(現在の評価値が最大値候補の50%より大きい、または端に到達していないか、かつ、反転回数が0回である)と判定した場合、ロングフィルタモードピーク探索部98は、反転回数フラグに値「1」をセットし、処理をステップS102に戻しそれ以降の処理を繰り返す。
以上のように撮像装置50は、各処理を実行する。これにより、撮像装置50は、被写体がミラーボールや木漏れ日等の特殊な被写体であるか否かを、従来の輝度積分値の変動のみで判別する方法より正確に判別し、より的確なロングフィルタモード処理をを適用することができる。つまり、撮像装置50は、被写体の判別をより正確に行い、より適切なAF制御処理を行うことができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、上述したように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布されるリムーバブルメディア107により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM101や、記憶部104に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、1つの装置として説明した構成を分割し、複数の装置として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置として説明した構成をまとめて1つの装置として構成されるようにしてもよい。また、上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、装置全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある部分の構成の一部を他の部分の構成に含めるようにしてもよい。
50 撮像装置, 51 AF駆動部, 52 画像処理部, 53 AF制御部, 61 フォーカスレンズ, 62 ウォブリングレンズ, 63 レンズ駆動部, 64 駆動制御部, 73 信号処理部, 81 評価値算出部, 82 輝度積分値算出部 83 AF制御処理部, 91 評価値保持部, 92 評価値局所ピーク探索部, 93 輝度積分値保持部, 94 輝度積分値局所ピーク探索部, 95 局所ピーク比較部, 96 モード比較部, 97 通常モードピーク探索策部, 98 ロングフィルタモードピーク探索部