JP2014106324A - オートフォーカス装置及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】撮像装置における撮像光学系の調整誤差や姿勢によって無限遠相当位置が変化した場合でも、AF制御により無限遠の被写体にピントの合った画像を取得する。
【解決手段】デジタルカメラ100は、ズームレンズ群2が所定の変倍位置にあるときにフォーカスレンズ群3をスキャンさせ、撮像素子5から得られる画像信号に基づいて被写体に対して合焦を行う。デジタルカメラ100の制御を司るCPU15は、無限遠に存在する被写体を撮影するためにフォーカスレンズ群3をスキャンさせて合焦を行う際のスキャン範囲を、ズームレンズ群2の目標停止位置とこの目標停止位置に対する実際の停止位置とのずれ量と、デジタルカメラ100起動する際のデジタルカメラ100姿勢と被写体に合焦位置を検出する際の姿勢との差により生じるフォーカスレンズ群3の位置のずれ量少なくとも一方に基づいて決定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、オートフォーカス(自動合焦)機能を備える撮像装置に関し、特に、撮像光学系により結像される被写体像を光電変換する固体撮像素子により取得される画像信号を使用してオートフォーカス制御を行う技術に関する。
CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像装置において、被写体に対して合焦位置を探索するオートフォーカス(AF)装置が種々に提案されている。例えば、ズームレンズ及びフォーカスレンズの位置を制御するAF装置では、被写体からの反射光を固体撮像素子に結像させることで得られるデジタル映像信号に含まれる輝度信号からAF評価値を得る。その際に、フォーカスレンズを駆動させながら、つまり、フォーカスレンズの位置を移動させながら、得られるAF評価値をサンプリングし、ズームレンズの位置及びフォーカスレンズの位置に応じてAF評価値サンプリング時のフォーカスレンズの駆動量を変更する。そして、フォーカスレンズの駆動量の変更に伴うAF評価値のサンプリング結果に基づいて、フォーカスレンズを合焦位置に駆動制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。なお、この特許文献1には、AF評価値のサンプリングを開始するときのフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に応じて変更する方法が提案されている。
特許第3866844号公報
上記特許文献1には、例えば、打上花火を撮影する際に、AF評価値のサンプリングを開始するフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に応じて変更することが記載されている。しかしながら、上記特許文献1には、撮像画面中央に被写体がなく、通常のAF制御ができない場合の対処方法に関する技術は開示されていない。そのため、上記特許文献1では、ズームレンズ系の変倍位置に応じて、変倍位置に適した調整値として持っている無限位置にフォーカスレンズの位置を変更して撮影を行っている。
しかしながら、この方法では、例えば、ズームレンズが設定位置とは異なる位置に停止した場合に、無限遠にある被写体に合焦することができず、ピントの合った画像を取得することが困難となる。また、撮像装置の姿勢の変化によって合焦距離とフォーカスレンズの位置との関係が変化した場合、この変化分が合焦距離のずれとなってしまい、ピントの合った画像を取得することが困難となる。
本発明は、撮像装置における撮像光学系の調整誤差や撮像装置の姿勢によって無限遠相当位置が変化した場合でも、無限遠にある被写体に対してAF制御によりピントの合った画像を取得することができるオートフォーカス装置を提供することを目的とする。
本発明に係るオートフォーカス装置は、ズームレンズ群とフォーカスレンズ群とを有する撮像光学系と、前記撮像光学系を通して得られる被写体像を光電変換する撮像素子と、前記被写体像を前記撮像素子の受光面において結像させるために前記フォーカスレンズ群をスキャンさせる駆動手段と、前記駆動手段により前記フォーカスレンズ群をスキャンさせたときに前記撮像素子から出力される画像信号から得られる信号値を用いて前記被写体像の合焦位置を検出する検出手段と、を備えるオートフォーカス装置であって、無限遠に存在する被写体を撮影する際に前記検出手段により前記被写体像の合焦位置を検出するための前記フォーカスレンズ群のスキャン範囲を設定する設定手段を有し、前記設定手段は、前記ズームレンズ群の目標停止位置と該目標停止位置に対する実際の停止位置とのずれ量と、前記オートフォーカス装置を起動する際の該オートフォーカス装置の姿勢と前記被写体に対する合焦位置を検出するための前記信号値を取得する際の該オートフォーカス装置の姿勢との差により生じる前記フォーカスレンズ群の位置のずれ量の少なくとも一方に基づいて前記スキャン範囲を設定することを特徴とする。
本発明によれば、撮像装置における撮像光学系の調整誤差や撮像装置の姿勢によって無限遠相当位置が変化した場合でも、無限遠にある被写体に対してピントの合った画像を取得することができる。そのため、例えば、打上花火撮影時のように撮像画面中央に被写体がない場合でも、AF制御による合焦を適切に行うことができる。
本発明の実施形態に係るオートフォーカス装置を備えるにデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。 図1のデジタルカメラでの撮像動作(撮像処理シーケンス)を示すフローチャートである。 図2のステップS204におけるスキャンAF処理の概念を模式的に示す図である。 図2のステップS204のスキャンAF処理の詳細を示すフローチャートである。 図1のデジタルカメラにおけるズームレンズ群の位置と合焦時のフォーカスレンズ群の位置との関係を示す図である。 図1のデジタルカメラにおいて、打上花火の撮影時に花火が開いたか否かを判定する別の方法のフローチャートである。 図1のデジタルカメラにおいて打上花火モードが設定された場合に実行される専用のスキャンAF処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明の実施形態に係るオートフォーカス(AF)装置を備える撮像装置として、所謂、デジタルカメラを取り上げることとする。但し、本発明の実施形態に係るAF装置は、デジタルカメラ以外の各種電子機器、例えば、デジタルビデオカメラ、カメラ機能を有する携帯電話(スマートフォン)、携帯ゲーム機、タブレットPC等の各種電子機器に適用することができる。
<第1実施形態>
[デジタルカメラの概略構成及び動作概要]
図1は、本発明の実施形態に係るAF装置を備えるにデジタルカメラ100の概略構成を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、ズームレンズ群2、フォーカスレンズ群3、絞り4、撮像レンズ鏡筒31、撮像素子5、撮像回路6、A/D変換回路7、VRAM8及び撮像素子ドライバ17を備える。
絞り4は、ズームレンズ群2及びフォーカスレンズ群3等からなる撮像光学系を透過する光束の量を制御する光量調節手段であり露出手段でもある。撮像レンズ鏡筒31は、ズームレンズ群2、フォーカスレンズ群3及び絞り4を収容する。撮像光学系を透過した被写体像は撮像素子5の受光面に結像する。撮像素子5は、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子であり、この被写体像を光電変換してアナログ電気信号を撮像回路6へ出力する。
撮像回路6は、撮像素子5から受信したアナログ電気信号に対して各種の画像処理を施し、所定のアナログ画像信号を生成する。A/D変換回路7は、撮像回路6により生成されたアナログ画像信号をデジタル画像信号(画像データ)に変換する。VRAM8は、A/D変換回路7から出力される画像データを一時的に記憶するバッファメモリである。撮像素子ドライバ17は、後述のTG(タイミングジェネレータ)16からの制御信号に従って撮像素子5を駆動する。
デジタルカメラ100は、D/A変換回路9、LCD(液晶表示装置)10、圧縮/伸長回路11、記憶用メモリ12、AE処理回路13、スキャンAF処理回路14及びCPU15を有する。また、デジタルカメラ100は、TG16、駆動モータ21、第1モータ駆動回路18、第2モータ駆動回路19、第3モータ駆動回路20、絞り駆動モータ21、フォーカス駆動モータ22、ズーム駆動モータ23及び操作スイッチ24を備える。
D/A変換回路9は、VRAM8に記憶された画像データを読み出して、これをアナログ信号に変換する共に、LCD10の再生出力に適する画像信号に変換し、LCD10へ出力する。LCD10は、D/A変換回路9から出力される画像信号を画像として表示する画像表示装置の一例である。記憶用メモリ12は、画像データを記憶する半導体メモリ等である。圧縮/伸長回路11は、VRAM8に一時記憶された画像データを読み出して、記憶用メモリ12に対する記憶に適した形態にするために、画像データの圧縮処理や符号化処理を施す圧縮回路を有する。また、圧縮/伸長回路11は、記憶用メモリ12に記憶された画像データを再生表示等するために適切な形態とするための復号化処理や伸長処理等を施す伸長回路を有する。
なお、記憶用メモリ12としては、例えば、フラッシュメモリ等の固定型の半導体メモリや、デジタルカメラ100の本体部に対して着脱自在なカード型フラッシュメモリ等の半導体メモリが用いられる。但し、これらに限定されず、例えば、ハードディスク等の磁気記憶媒体やDVD−RW等の光学記憶媒体を用いてもよい。
AE処理回路13は、A/D変換回路7からの出力信号を受けて、AE(自動露出)処理のための評価値の算出を行う。スキャンAF処理回路14は、A/D変換回路7からの出力信号を受けて、AF処理(自動合焦(焦点調節)処理)を行うためのAF評価値を生成する。CPU15は、デジタルカメラ100の全体的(統括的)制御を行い、制御演算用のメモリを内蔵する。なお、CPU15の制御動作については、以下の説明において、適宜、補足して説明する。
TG16は、所定のタイミング信号を発生させ、発生させたタイミング信号をCPU15、撮像回路6及び撮像素子ドライバ17へ供給する。絞り駆動モータ21は、絞り4を駆動する。第1モータ駆動回路18は、絞り駆動モータ21を駆動制御する。フォーカス駆動モータ22は、フォーカスレンズ群3を駆動する。第2モータ駆動回路19はフォーカス駆動モータ22を駆動制御する。ズーム駆動モータ23は、ズームレンズ群2を駆動する。第3モータ駆動回路20は、ズーム駆動モータ23を駆動制御する。
操作スイッチ24は、デジタルカメラ100を操作するための各種のスイッチ群と、LCD10に設けられる不図示のタッチパネル等からなる。操作スイッチ24としては、デジタルカメラ100の本体に給電を開始してデジタルカメラ100を起動するための主電源スイッチ、撮像から画像記憶までの一連の動作を開始させるレリーズスイッチ、再生動作を開始させる再生スイッチがある。また、撮像光学系のズームレンズ群2を駆動してズームを行わせるズームスイッチ、光学式ファインダー(OVF)電子ビューファインダー(EVF)切り替えスイッチ等もある。なお、レリーズスイッチは、撮像動作に先立ち行われるAE処理、AF処理の開始を指示する指示信号を発生する第1ストローク(SW1)と実際の露光動作を開始させる指示信号を発生する第2ストローク(SW2)の2段スイッチとなっている。
デジタルカメラ100は、EEPROM25、電池26、スイッチング回路27、ストロボ発光部28、LED29、スピーカ30、AF補助光駆動回路32、AF補助光発光部33、振れ検出回路34、振れ検出センサ35及び顔検出回路36を備える。
EEPROM25は、電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリであり、CPU15が各種の制御を行うためのプログラムやデータ等が記憶されている。電池26は、デジタルカメラ100の本体に各種の動作に必要な電力を供給する。スイッチング回路27は、ストロボ発光部28の閃光発光を制御する。LED29は、後述するAF結果のOK表示或いは警告表示等を行うための表示素子である。スピーカ30を通して、ガイダンスや警告等が音声でユーザに伝えられる。
AF補助光発光部33は、AF評価値を取得する際に被写体の全部又は一部を照明する照明手段であり、LED等の光源で構成される。AF補助光駆動回路32は、AF補助光発光部33を駆動する。振れ検出センサ35は、手振れ等を検出する。振れ検出回路34は、振れ検出センサ35の出力信号を処理する。顔検出回路36は、A/D変換回路7からの出力信号に基づいて撮像画像上の顔位置や顔の大きさ等を検出する。
上述の通りに構成されたデジタルカメラ100では、撮像レンズ鏡筒31を透過した被写体光束が、絞り部4によって光量調整され、その後、撮像素子5の受光面に結像する。撮像素子5の受光面に結像した被写体像は、撮像素子5による光電変換処理により電気信号に変換された後、撮像回路6に出力される。撮像回路6では、受信した電気信号に対して各種の信号処理を施して所定の画像信号を生成し、生成した画像信号をA/D変換回路7へ出力する。A/D変換回路7は、受信した画像信号をデジタル信号(画像データ)に変換した後にVRAM8に送信し、VRAM8は受信した画像データを一時的に記憶(格納)する。
VRAM8に格納された画像データは、D/A変換回路9へ出力され、D/A変換回路9においてLCD10での表示に適した形態のアナログ信号に変換された後、LCD10へ出力され、これによりLCD10に画像が表示される。また、VRAM8に格納された画像データは、圧縮/伸長回路11に出力され、圧縮/伸長回路11は受信した画像データに圧縮処理を行った後、記憶に適した形態の画像データに変換し、記憶用メモリ12へ出力する。記憶用メモリ12は、受信した画像データを記憶(格納)する。
また、デジタルカメラ100では、例えば、操作スイッチ24の1つである再生スイッチ(不図示)が操作されてオン状態になると、再生動作が開始される。再生動作では、記憶用メモリ12に圧縮形式で記憶された画像データが圧縮/伸長回路11に出力され、圧縮/伸長回路11は、受信した画像データに復号化処理や伸長処理等を施し、これらの処理後の画像データをVRAM8へ出力する。VRAM8は、受信した画像データを一時的に記憶するが、その後、画像データをD/A変換回路9へ出力する。D/A変換回路9は、受信した画像データをLCD10での表示に適した形態のアナログ信号に変換した後、LCD10へ出力する。これにより、LCD10に画像が再生表示される。
さて、撮影時にA/D変換回路7によってデジタル化された画像データは、VRAM8とは別にAE処理回路13、スキャンAF処理回路14及び顔検出回路36へ出力される。AE処理回路13は、入力された1画面分の画像データの輝度値に対して累積加算等の演算処理を行って、被写体の輝度(明るさ)に応じたAE評価値を算出し、算出したAE評価値をCPU15へ出力する。スキャンAF処理回路14は、入力された画像データのうちAF領域として指定された画面の一部分の領域の画像データの高周波成分をハイパスフィルタ(HPF)等を介して抽出して累積加算等の演算処理を行い、高域側の輪郭成分量等に対応するAF評価値を算出する。なお、AF領域は、撮像画面の中央部分或いは撮像画面上の任意の1箇所である場合、中央部分或いは撮像画面上の任意の部分とそれに隣接する複数箇所である場合、又は、離散的に分布する複数箇所である場合等がある。スキャンAF処理回路14は、AF処理を行う過程において、撮像素子5によって生成された画像信号から所定の高周波成分を検出する高周波成分検出手段の役割を担う。
また、撮影時には、TG16からCPU15、撮像回路6及び撮像素子ドライバ17へタイミング信号が出力されており、CPU15は受信したタイミング信号に同期させて各種の制御を行う。撮像回路6は、受信したタイミング信号に同期させて、色信号の分離等の各種画像処理を行う。撮像素子ドライバ17は、受信したタイミング信号に同期させて撮像素子5を駆動する。更に、CPU15は、第1モータ駆動回路18、第2モータ駆動回路19及び第3モータ駆動回路20をそれぞれ制御する。これにより、絞り駆動モータ21、フォーカス駆動モータ22及びズーム駆動モータ23が駆動制御され、絞り4、フォーカスレンズ群3及びズームレンズ群2が駆動制御される。
即ち、CPU15は、AE処理回路13において算出されたAE評価値等に基づいて第1モータ駆動回路18を制御することによって駆動モータ21を駆動し、絞り4の絞り量が適正値となるように調整するAE制御を行う。また、CPU15は、スキャンAF処理回路14において算出されるAF評価値に基づいて第2モータ駆動回路19を制御することによってフォーカス駆動モータ22を駆動し、フォーカスレンズ群3を合焦位置に移動させるAF制御を行う。なお、CPU15は、操作スイッチ24の1つであるズームスイッチ(不図示)が操作された場合には、第3モータ駆動回路20を制御してズーム駆動モータ23を駆動し、ズームレンズ群2を移動させることにより撮像光学系の変倍動作(ズーム動作)を行う。
[デジタルカメラの撮像動作]
図2は、デジタルカメラ100での撮像動作(撮像処理シーケンス)を示すフローチャートである。図2のフローチャートに示す各処理は、CPU15が、EEPROM25から読み出したプログラムを、CPU15が有するメモリ領域等に展開、実行し、デジタルカメラ100の各部を制御することにより実行される。
なお、以下の説明において、「スキャン」とは、フォーカスレンズ群3を所定位置に駆動させながらAF評価値を取得する動作を指し、「スキャン間隔」とは、AF評価値を取得するフォーカスレンズ群3の位置の間隔を指すものとする。また、「スキャンポイント」とは、AF評価値を取得する位置を指し、「スキャンポイント数」とは、AF評価値を取得する位置の数を指し、「スキャン範囲」とは、AF評価値を取得する範囲を指すものとする。更に、「AF枠」とは、合焦位置を検出するための画像信号を取得する領域を指すものとする。
デジタルカメラ100の主電源スイッチがオン状態であり、動作モードが撮像(録画)モードにあるときは、撮像処理シーケンスが実行される。ステップS201において、CPU15は、撮像レンズ鏡筒31を透過して撮像素子5上に結像した被写体像をLCD10に画像として表示する。なお、撮像素子5の受光面に結像した被写体像がLCD10に画像として表示されるまでの信号処理の内容については、既に説明済みであるため、ここでの説明を省略する。
続くステップS202において、CPU15は、撮影者によってレリーズスイッチが操作され、SW1(レリーズスイッチの第1ストローク)がオン状態になったか否かを確認する。CPU15は、SW1がオフ状態である場合(S202でNO)、SW1がオン状態になるまで待機する。一方、CPU15は、SW1がオン状態である場合(S202でYES)、処理をステップS203へ進め、通常のAE処理を実行する。その後、CPU15は、ステップS204において、スキャンAF処理を行う。このスキャンAF処理では、CPU15は、複数のAF評価値を取得し、取得したAF評価値に基づいて合焦位置を検出する。なお、ステップS204のスキャンAF処理の詳細については後述する。
次に、CPU15は、ステップS205において、AF結果の表示を行う。具体的には、ステップS204で得られたAF評価値の信頼性が十分である場合には、CPU15は、合焦位置の検出を行い、AF結果のOK表示を行う。このOK表示は、例えば、LED29を点灯させると同時に、LCD10の画面上に緑色の枠を表示することによって行う。一方、AF評価値の信頼性が低い場合には、CPU15は、合焦位置の検出を行うことなく、AF結果のNG表示を行う。このNG表示は、例えば、LED29を点滅させると同時に、LCD10の画面上に黄色の枠を表示することによって行う。
続くステップS206において、CPU15は、SW2(レリーズスイッチの第2ストローク)がオン状態になったか否かを確認する。CPU15は、SW2がオフ状態である場合(S206でNO)、SW2がオン状態になるまで待機する。一方、CPU15は、SW2がオン状態になると(S206でYES)、処理をステップS207へ進め、露光処理を実行する。露光処理が終了すると、CPU15は、ステップS208において、撮像画像の画像データを記憶用メモリ12に格納する。ステップS207,S208の処理の内容については、既に説明済みであるため、ここでの説明を省略する。
ステップS208の処理が終了すると、CPU15は、再び撮像を行うために、処理をステップS201へ戻す。なお、図2のフローチャートの処理は、不図示であるが、例えば、電源スイッチがオフにされ、或いは、撮像モードから再生モードへの変更操作があった場合に終了する。
[ステップS204の処理内容の詳細]
図3は、ステップS204におけるスキャンAF処理の概念を模式的に示す図である。
スキャンAF処理は、撮像素子5によって生成された画像信号から抽出される高周波成分が最も多くなるときのフォーカスレンズ群3の位置を求めることにより行われる。
CPU15は、フォーカス駆動モータ22を駆動制御する第2モータ駆動回路19を介してフォーカス駆動モータ22を駆動制御し、フォーカスレンズ群3を光軸方向にスキャン開始位置から種々の撮像モードにおいて設定されるスキャン終了位置へスキャンさせる。図3中のA点はスキャン開始位置を示しており、B点はスキャン終了位置を示している。ここでは、スキャン開始位置(A点)を、フォーカスレンズ群3を無限遠に相当する位置よりも所定量だけ超無限遠側の位置としており、スキャン終了位置(B点)を、至近距離に相当する位置よりも所定量更に至近側の位置としている。
CPU15は、フォーカスレンズ群3をスキャンさせながら、スキャンAF処理回路14からの出力信号であるAF評価値を取得する。そして、CPU15は、フォーカスレンズ群3の駆動が終了した時点で、取得したAF評価値から、AF評価値が最大となるフォーカスレンズ群3の位置(図3中のC点)を求め、このC点が合焦位置を示す。
スキャンAF処理回路14からの出力信号(AF評価値)の取得は、スキャンAF処理の高速化のために、全てのフォーカスレンズ群3の位置については行わず、所定のステップごとに(所定の間隔で)行う。その場合、図3に示すa1点、a2点及びa3点においてAF評価値を取得することが起こり得る。この場合、AF評価値が最大値となった点(a2点)とその前後の点(a1点、a3点)とから、合焦位置であるC点を計算により求める。
AF評価値が最大値となる合焦位置であるC点を計算により求める処理は、AF評価値の信頼性が十分である場合のみ行う。なお、AF評価値の信頼性を評価する方法については特許第4235422号公報や特許第4185741号公報に記載されている技術を用いることができ、これらの技術は周知技術であるため、ここでの説明を省略する。
次に、ステップS204でのスキャンAF処理のスキャン範囲の設定方法について説明する。デジタルカメラ100には、打上花火を綺麗に撮影するために、打上花火モードが搭載されているものとする。従来の打上花火モードでは、ズームレンズ群2の位置に応じた無限遠に相当するピント位置(以下「無限遠相当位置」という)へフォーカスレンズ群3を駆動制御することによって合焦画像を得ようとする。しかし、このような制御のみでは、ズームレンズ群2の停止位置のずれやデジタルカメラ100の姿勢に起因して、ピントの合った画像(合焦画像)を得ることは容易ではない。そこで、本実施形態に係るデジタルカメラ100に搭載された打上花火モードでは、デジタルカメラ100の製造工程で得られた無限相当位置を中心として所定の範囲でフォーカスレンズ群3を駆動させて合焦位置を探索することによって、合焦画像を得る。
ここで、デジタルカメラ100を従来の打上花火モードで動作させた場合の合焦精度について説明する。フォーカスレンズ群3の無限遠相当位置(図のa2点)として、通常、デジタルカメラ100の製造工程において取得された値をそのまま用いる。そして、デジタルカメラ100の製造工程において、所定距離に測定用チャートを置き、測定用チャートに合焦させたときのフォーカスレンズ群3の位置を取得して、EEPROM25に記憶する。なお、測定用チャートを置く所定距離は、複数を設定してもよいし、測定時間短縮のため1つだけとしてもよい。測定用チャートを置く所定距離を1つのみを設定した場合には、設計値を用いて他の距離のフォーカスレンズ群3の位置を求め、複数を設定した場合には、各距離で得られたフォーカスレンズ群3の位置の補間外挿計算によってフォーカスレンズ群3の位置を求める。
例えば、無限遠相当距離と1mというように2距離で合焦位置を測定する場合、測定距離L,Lのそれぞれにおけるフォーカスレンズ群3の位置をP,Pとすると、測定距離Lにおけるフォーカスレンズ群3の位置Pは、下記〔式1〕で求められる。
P=(P−P)×L×L/[(L−L)×L]+(P×L−P×L)/(L−L) ・・・〔式1〕
なお、ズーム光学系において設定される全てのズーム位置において、測定用チャートに合焦させたときのフォーカスレンズ群3の位置を測定する必要はない。つまり、要求される測定精度を満たすように測定されたズーム位置におけるフォーカスレンズ群3の位置を用いた補間計算によってフォーカスレンズ群3の位置を求めればよい。
このようにして求められたフォーカスレンズ群3のスキャン範囲の問題点は、ズームレンズ群2の目標停止位置のずれやデジタルカメラ100の姿勢によって無限遠相当位置が目論見とは異なり、所望の距離範囲を含まないスキャン範囲が設定されてしまうことである。例えば、何らかの要因によってフォーカスレンズ群3の無限遠相当位置が所定量よりも超無限遠側へずれてしまった場合には、無限遠相当位置がスキャン範囲に含まれず、無限遠に存在する被写体に対して合焦することができない。この場合、良好な合焦画像を得ることができない。
そこで、本実施形態では、打上花火モードでの撮影において、図4のフローチャートに従う処理を行う。図4は、ステップS204のスキャンAF処理の詳細を示すフローチャートである。本実施形態に係る打上花火モードでのスキャンAF処理では、先ず、ステップS401において、CPU15は、スキャン範囲の設定を行う。
具体的には、CPU15は、先ず、ズーム動作の結果により設定されたズームレンズ群2の位置検出を行う。ズームレンズ群2の位置を検出するセンサがある場合は、そのセンサの出力を読み込むことにより、ズームレンズ群2の位置検出を行うが、このようなセンサがない場合は、CPU15が制御した位置をズームレンズ群2の位置とする。
次に、検出したズームレンズ群2の位置に対応するフォーカスレンズ群3の無限遠相当位置の調整値adj(z,∞)をEEPROM25から読み込む。調整値adj(z,∞)は、デジタルカメラ100の製造工程において取得されたフォーカスレンズ群3の無限遠相当位置に対応するフォーカスレンズ群3の位置である。続いて、調整値adj(z,∞)に、停止誤差とデジタルカメラ100の姿勢差を考慮した補正を加える。
フォーカスレンズ群3のスキャン開始位置を決めるための基準位置Pos(z,Start)及びスキャン終了位置を決めるための基準位置Pos(z,End)は、下記〔式2〕及び〔式3〕によって補正される。
Pos(z,Start)=adj(z,∞)−Err(z,Start)−Angl(z)−余裕量 ・・・〔式2〕
Pos(z,End)=adj(z,∞)+Err(z,End)+Angl(z)+余裕量 ・・・〔式3〕
ここで、Err(z,Start)とErr(z,End)はそれぞれ、ズーム停止位置にずれが生じた場合のフォーカスレンズ群3の変位量に起因する補正量である。また、Angl(z)は、デジタルカメラ100の製造工程における調整値取得時と実際の使用時とでのデジタルカメラ100の姿勢差に起因する補正量である。余裕量は、設計値又は測定値に基づいてデジタルカメラ100の製造時までに決められる値である。
無限遠や至近距離に合焦する際のフォーカスレンズ群3の位置は、ズーム位置によって異なる。図5は、ズームレンズ群2の位置と合焦時のフォーカスレンズ群3の位置との関係を示す図である。図5では、横軸にズームレンズ群2の位置を取り、縦軸にフォーカスレンズ群3の位置を取っている。図5中に示す“∞カム”曲線は、ズームレンズ群2の各位置に対して無限遠に合焦させたときのフォーカスレンズ群3の位置を示している。また、“至近カム”曲線は、ズームレンズ群2の各位置に対して至近に合焦させたときのフォーカスレンズ群3の位置を示している。位置Fnpはズーム位置Zpにおいて至近に合焦する際のフォーカスレンズ群3の位置を示しており、位置Fipはズーム位置Zpにおいて無限遠に合焦する際のフォーカスレンズ群3の位置を示している。
ズームレンズ群2がズーム位置Zpoにあるときのフォーカスレンズ群3の無限遠相当位置の調整値adj(z,∞)を取得する場合を考える。この場合、実際の調整値取得時のズームレンズ群2の停止位置は、設計上規定された製造公差により、ズーム位置Zpo−からズーム位置Zpo+の間に存在する可能性が高い。仮に、ズーム位置Zpoにおける調整がズーム位置Zpo+で行われ、撮影時にズームレンズ位置をZpoに制御したが実際にはZpo−に停止していたとする。その場合、ズーム位置Zpo+で取得された調整値で決められたスキャン範囲では、フォーカスレンズ群3の無限遠相当位置がスキャン範囲に含まれずに、無限遠に存在する被写体に対して合焦できない可能性がある。
そこで、ズームレンズ群2の停止位置がズーム位置Zpo−,Zpo+の場合のそれぞれにおいて無限遠相当位置に合焦するフォーカスレンズ群3の位置の差分を、そのズームレンズ群2の位置における、ズームレンズ群2の停止位置のずれに起因する無限遠位置の補正量Err(z,∞)とする。
Angl(z)は、前述の通り、デジタルカメラ100の製造時における調整値取得時と実際の使用時のデジタルカメラ100の姿勢差に起因する補正量であるため、設定されたズームレンズ群2の位置ごとに値を持つ。起動時と撮影時とでデジタルカメラ100の姿勢が異なる場合、合焦する際のフォーカスレンズ群3の位置も異なることが一般的である。これは、フォーカスレンズ群3には構造上のガタが存在するため、重力の影響で同じ量だけフォーカスレンズ群3を駆動しても実際の停止位置が異なるからである。
一般的に、デジタルカメラ100製造時には、デジタルカメラ100を水平に設置した状態で起動して調整値adj(z,∞)を取得する。しかしながら、実際の撮影時には、デジタルカメラ100がどのような姿勢で起動されるのかは不明である。また、起動後にデジタルカメラ100の向きが変わる可能性も多々ある。そこで、{起動,撮影}について{水平,上向き}、{水平,下向き}、{上向き,水平}、{上向き,下向き}、{下向き,水平}、{下向き,上向き}の6つの組み合わせについて、起動時と撮影時のフォーカスレンズ群3のずれ量を予め測定し、EEPROM25に記憶しておく。
ステップS401では、デジタルカメラ100の起動時に記憶されたデジタルカメラ100の向きと、スキャンAF処理の時点でのデジタルカメラ100の向きとを比較する。そして、同じ向きであればAngl(z)をゼロ(0)、異なる向きであれば、EEPROM25に記憶された値を参照してAngl(z)を決定する。なお、デジタルカメラ100の向きは、振れ検出回路34からの出力信号から求めることができる。
スキャン開始位置は、基準位置Pos(z,Start)よりもスキャン間隔分だけ超無限遠側の位置となり、スキャン終了位置は、基準位置Pos(z,End)よりもスキャン間隔分だけ至近側の位置となる。スキャン間隔分の余裕を設けることで、無限遠と至近のそれぞれに合焦する際のフォーカスレンズ群3の位置よりも1スキャン分多めにAF評価値を取得することで、合焦位置より低いAF評価値をその位置の両側で取得することができる。これにより、無限遠と至近のそれぞれの被写体に対して確実にAF評価値のピークが存在するようにすることができる。但し、求められたスキャン開始位置とスキャン終了位置は、フォーカスレンズ群3の駆動範囲と光学性能が保証される範囲で制限することとする。
ステップS401の後のステップS402において、CPU15は、スキャン開始位置から終了位置までフォーカスレンズ群3をスキャンさせ、スキャンポイント数に相当する複数のAF評価値を取得する。続いて、CPU15は、ステップS403において、AF評価値の信頼性の評価を行う。前述の通り、ステップS403の処理には、周知技術(例えば、特許第4235422号公報や特許第4185741号公報に開示されている方法)を用いることができ、その詳細についての説明は省略する。CPU15は、AF評価値に信頼性があると判定した場合(S403でYES)、処理をステップS405へ進め、AF評価値に信頼性がないと判定した場合(S403でNO)、処理をステップS407へ進める。
CPU15は、ステップS405において、フォーカスレンズ群3の駆動位置を求め、求めた駆動位置へフォーカスレンズ群3を移動させる駆動制御を行い、その後、処理をステップS406へ進める。ステップS405では、例えば、フォーカスレンズ群3の位置Pos[0],Pos[1],Pos[2]におけるAF評価値がそれぞれd[0],d[1],d[2]であった場合、計算されるAF評価値がピークとなるフォーカスレンズ群3の駆動位置Pos[Peak]は下記〔式4〕により求められる。この場合、AF評価値のピークが必ず存在するため、確実に合焦位置を求めることができる。
Pos[Peak]=Pos[1]+(d[0]−d[2])×(Pos[1]−Pos[0])/(d[0]−d[1])/2 ・・・〔式4〕
CPU15は、ステップS407において、花火が開いたか否かの判定を行う。花火が開いていた場合には、被写体輝度は、花火自体の高輝度成分とそれ以外の低輝度成分とが偏在する可能性が高い。そこで、ステップS407の判定では、被写体輝度のヒストグラムを作成し、このヒストグラムが高輝度側と低輝度側に分かれているときには、花火が開いていると判定する。より具体的には、予め定められた第1の所定値以上の輝度値の画素数と、第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の輝度値の画素数との和が、所定の画素数以上となっていれば、花火が開いていると判定する。
CPU15は、花火が開いていると判定した場合(S407でYES)、処理をステップS408へ進め、花火が開いていないと判定した場合(S407でNO)、処理をステップS409へ進める。
ステップS408では、CPU15は、最適なAF評価値のピーク位置を算出し、算出したピーク位置へフォーカスレンズ群3を移動させる駆動制御を行う。ここで、フォーカスレンズ群3を移動させる位置は、複数のAF評価値から求めてもよいし、各AF評価値の信頼性によって選択したAF評価値から求めてもよい。
ここで、ステップS408の具体的な処理内容について説明する。先に、「スキャンAF処理回路14は、AF領域として指定された画面の一部分の領域の画像データの高周波成分をHPF等を介して抽出し、更に累積加算等の演算処理を行い、高域側の輪郭成分量等に対応するAF評価値が算出する」と説明した。このとき、実際には、スキャンAF処理回路14は、高域側の輪郭成分量等に対応する信号以外にも、輝度やコントラストを表す信号も出力している。
例えば、AF枠内には水平方向に多数の画素が存在し、これら多数の画素が存在するラインが垂直方向に多数存在する。例えば、撮像素子5の総画素が約1200万画素である場合、AF枠内の水平方向に240画素が存在し、垂直方向には108ラインが存在する。この水平方向の各画素に対してHPF処理を施して高周波成分を抽出し、抽出された高周波成分の絶対値を求め、その最大値をラインごとに求める。以下、このラインごとの最大値を「TE値」と称し、AF枠内の各ラインで求められたTE値を積算した値をTES値と称し、AF枠内の各ラインで求められたTE値の最大値をTEP値と称する。TES値及びTEP値は、高域側の輪郭成分量等に対応するAF評価値である。
AF枠内の画素にHPF処理を施す前の信号値を全加算したものを「YI値」とすると、このYI値は、AE処理された結果を反映したAF枠の輝度情報を表す。なお、フォーカスレンズ群3のスキャン処理の実行中にはAE処理は行われず、露光量は変わらないため、YI値は、光源のフリッカや被写体移動、手振れ等による絵柄の変化がない場合には、原則として変化しない。打上花火のように非常に高い輝度をもつ光源を撮影する場合には、ベストピント位置(最も適切な合焦位置)以外では光源の面積が広がるため、平均輝度が大きくなる。そこで、YI値が最も小さくなるフォーカスレンズ群3の駆動位置をベストピント位置とすることができる。
フォーカスレンズ群3の位置Pos[0],Pos[1],Pos[2]におけるYI値がそれぞれy[0],y[1],y[2]であった場合、計算されるYI値が最小となるフォーカスレンズ群3の位置Pos[Peak]は、下記〔式5〕により求められる。
Pos[Peak]=Pos[1]+(y[0]−y[2])×(Pos[1]−Pos[0])/(y[0]−y[1])/2 ・・・〔式5〕
打上花火のような被写体はコントラストが非常に高いので、SN比を向上させるためにラインごとにHPF処理を施した信号の積算値(TES値)を使用せずに、TEP値を用いることでベストピント位置を求めることができる。即ち、打上花火の撮影では、ベストピント位置から外れた場合にぼやけた画像が被写体の存在しないラインに影響を与えるため、各ラインに対してのHPF処理を付した信号を積算すると、AFが誤動作することがある。このような場合、TEP値を用いることが有効となる。
フォーカスレンズ群3の位置Pos[0],Pos[1],Pos[2]におけるTEP値がそれぞれtep[0],tep[1],tep[2]であった場合、計算されるTEP値が最大となるフォーカスレンズ群3の位置Pos[Peak]は、下記〔式6〕により求められる。
Pos[Peak]=Pos[1]+(tep[0]−tep[2])×(Pos[1]−Pos[0])/(tep[0]−tep[1])/2 ・・・〔式6〕
TEP値とYI値の信頼性が共に高いと判断できる場合は、得られる位置Pos[Peak]のうち、超無限側のベストピント位置を選択する。信頼性の評価の仕方は、ステップS403のAF評価値の信頼性の評価と同様に行う。これに対し、TEP値とYI値のいずれか一方のみに高い信頼性があると判断できる場合には、高い信頼性を示した信号により求められたベストピント位置を選択する。そして、CPU15は、選択したベストピント位置へフォーカスレンズ群3を移動させる駆動制御を行う。
ステップS405,S408の終了後のステップS406において、CPU15は、合焦であるとの判定を行い、本処理を終了させる。その結果、ステップS406の終了後の図2のステップS205では、OK表示がなされる。一方、ステップS409において、CPU15は、フォーカスレンズ群3を無限定点へ移動させる駆動制御を行う。続いて、CPU15は、ステップS410において、非合焦判定(合焦ではないとの判定)を行い、その後、本処理を終了させる。
以上の通り、本実施形態によれば、デジタルカメラ100における撮像光学系におけるフォーカスレンズ群3の調整誤差やデジタルカメラ100の姿勢によって無限遠相当位置が変化した場合でも、AF制御によりピントの合った画像を取得することができる。そのため、打上花火の撮影時のように撮像画面中央に被写体がない場合でも、AF制御による合焦を行い、綺麗な画像を得ることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、図4のステップS407における花火が開いたかの判定方法であるので、以下、この点について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6は、デジタルカメラ100において、CPU15が、花火が開いたか否かを判定する方法のフローチャートである。
先ず、ステップS601において、CPU15は、レリーズスイッチのSW1(第1ストローク)のオン前の直前画像(以下「SW1直前画像」という)を取得する。続くステップS602において、CPU15は、レリーズスイッチのSW1が押下されたか否か(SW1がオン状態になったか否か)を確認する。CPU15は、SW1が押下されていない場合(S602でNO)、処理をステップS601へ戻し、SW1が押下された場合(S602でYES)、処理をステップS603へ進める。
ステップS603において、CPU15は、フォーカスレンズ群3のスキャン処理を実行する。次に、ステップS604において、CPU15は、スキャン終了時の画像(以下「スキャン終了時画像」という)を取得する。続いて、CPU15は、ステップS605において、SW1直前画像とスキャン終了時画像のそれぞれにおけるAF枠内に第3の所定値以上の輝度の画素が幾つあるかをカウントし、ステップS606において、カウントした画素数を比較する。
ステップS605においてカウントされたSW1直前画像での画素数をNhigh(1)、スキャン終了時画像での画素数をNhigh(2)とすると、ステップS606では、これらの差である“Nhigh(2)−Nhigh(1)”の値が第4の所定値以上であるか否かを判定する。CPU15は、“Nhigh(2)−Nhigh(1)”の値が第4の所定値以上である場合(S606でYES)、処理をステップS607へ進める。一方、CPU15は、“Nhigh(2)−Nhigh(1)”の値が第4の所定値以上ではい場合(S606でNO)、処理をステップS608へ進める。
CPU15は、ステップS607において花火は開いたとの判定を行い、ステップS608において花火は開いていないとの判定を行い、これらの判定の終了により本処理を終了させる。
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1,第2実施形態と比較すると、打上花火モードが設定された場合に専用のスキャンAF処理を行う点において相違する。また、第3実施形態では、花火が開いていないと判断された際に行う処理において、第1,第2実施形態と相違する。以下、これらの相違点について、図7のフローチャートを参照して説明する。
図7は、デジタルカメラ100において打上花火モードが設定された場合に実行される専用のスキャンAF処理のフローチャートである。なお、図7では、第1実施形態と同じ処理を行う部分については、図4に示したステップ番号とその処理内容を引用している。
CPU15は、ステップS701において、レリーズスイッチのSW2(第2ストローク)がオンされたか否かを確認する。SW2がオンになっている場合(S701でYES)、CPU15は、ステップS409において第1実施形態と同様にフォーカスレンズ群3を無限定点へ駆動し、その後、ステップS410において非合焦表示を行う。SW2がオフの場合(S701でNO)は、CPU15は、処理をステップS401へ進め、第1実施形態と同様にスキャン範囲の設定を行う。
ステップS401の後のステップS702において、CPU15は、AF評価値を取得する際の撮像素子5の電荷の読み出し速度(センサ読み出し速度(Vレート))及び電荷の蓄積時間(Tv)と、AF枠の設定を行う。打上花火を撮影している場合にはその光跡が移動しているため、フォーカスレンズ群3のスキャン時間を極力短くしたいという要望がある。そこで、通常は、打上花火を撮影する夜間は低照度であるので、撮像素子5の蓄積時間を長くすると共にセンサ読み出し速度を低くして、読み出し信号のSN比が高くなるようにしている。
しかし、打上花火を撮影する際には、暗黒の背景に比較的明るい花火の光跡が描かれるため、蓄積時間を短くしてセンサ読み出し速度を速くしても、十分にSN比の高い信号を得ることが可能である。よって、センサ読み出し速度を速くして(例えば、120fps以上)、蓄積時間を短くする(例えば、センサ読み出し速度が120fpsのときに1/120秒以下)。また、AF枠を小さくして、フォーカスレンズ群3のスキャン中に光跡の出入りが起きないようにする。例えば、通常のスキャンを行う場合の9分の1の大きさのAF枠を撮像画面の中心に複数箇所(例えば、水平3箇所×垂直3箇所の計9箇所)に設定する。
ステップS702の後のステップS703において、CPU15は、打上花火モード専用のスキャンを行い、ステップS702上記で設定したセンサ読み出し速度、蓄積時間及びAF領域でAF評価値を取得する。なお、スキャン間隔、スキャンポイント、スキャンポイント数及びスキャン範囲は、第1実施形態と同じである。
次に、ステップS705において、CPU15は、設定された複数のAF枠で取得したAF評価値の信頼性をAF枠ごとに評価する。なお、AF評価値の信頼性評価には、特許第4235422号公報や特許第4185741号公報に記載されている技術を用いることができる。CPU15は、複数のAF枠のいずれかのAF評価値に信頼性があると判定した場合(S705でYES)、処理をステップS405へ進めて、フォーカスレンズ群3の駆動位置を算出し、算出した位置へフォーカスレンズ群3を駆動する。その後、CPU15は、ステップS406において、合焦判定を行う。
一方、全てのAF枠のAF評価値に信頼性がないと判定した場合(S705でNO)、CPU15は、処理をステップS407へ進め、第1実施形態と又は第2実施形態と同様の方法で花火が開いたか否かの判定を行う。CPU15は、花火が開いたと判定した場合(S407でYES)、処理をステップS408へ進め、第1実施形態と同様に、他のAF評価値(YI値やTEP値等)から最適なピーク位置を算出し、算出したピーク位置へフォーカスレンズ群3を駆動する。CPU15は、その後、処理をステップS406へ進める。
これに対して、CPU15は、花火が開いていないと判定した場合(S407でNO)、ステップS706において、センサ読み出し速度(Vレート)、蓄積時間(Tv)及びAF枠を、通常のAF処理においてAF評価値を取得するときの設定とする。この場合、花火が開いていないので、打上花火モードに設定しながらも、低照度下で打上花火以外の被写体を撮像しようとしているか、又は、打上花火の打上前に操作をしていると考えられる。よって、低照度であるので、読み出し信号のSN比高くなるように、蓄積時間を長くし、センサ読み出し速度も低くすることが望ましく、例えば、センサ読み出し速度を30fpsとして、蓄積時間を1/30秒とする。また、AF枠を通常の大きさに戻して、読み出し信号のSN比が高くなるようにする。例えば、撮像画面の中心に通常のスキャンを行う場合の大きさのAF枠を1つだけ設定する。
次に、ステップS707において、CPU15は、通常のAF処理を行い、ステップS706にて設定したセンサ読み出し速度、蓄積時間及びAF枠でAF評価値を取得する。なお、スキャン間隔、スキャンポイント、スキャンポイント数及びスキャン範囲は、第1実施形態と同じである。
続くステップS708において、CPU15は、取得したAF評価値の信頼性評価を、特許第4235422号公報や特許第4185741号公報等に記載されている方法を用いて行う。CPU15は、AF評価値に信頼性があると判定した場合(S708でYES)、処理をステップS710へ進め、AF評価値に信頼性がないと判定した場合(S708でNO)、処理をステップS409へ進める。
CPU15は、ステップS710において、フォーカスレンズ群3の駆動位置を算出し、算出した位置へフォーカスレンズ群3を駆動する。その後、CPU15は、処理をステップS406へ進めて、合焦判定を行う。一方、CPU15は、ステップS409において、フォーカスレンズ群3を無限定点へ駆動し、その後、ステップS410において非合焦表示を行う。
第3実施形態では、ステップS409においてフォーカスレンズ群3を移動させる無限定点を、打上花火モードでのスキャンAFによる合焦位置の検出結果に基づいて補正する。その具体的な方法について、以下に説明する。
ステップS703では、打上花火モード用の専用のスキャンAF処理を行い、デジタルカメラ100の製造工程で得られた無限遠相当位置Adj∞を中心とした所定の範囲で合焦位置を探索している。この探索によって得られる合焦位置は、ステップS405で算出されるTES値のピーク位置PeakTES、ステップS408で算出されるTEP値のピーク位置PeakTEP、YI値のボトム位置BottomYIの3つである。なお、ステップS706でもTES値のピーク位置を求めることができるが、このピーク位置は打上花火以外の被写体の合焦位置を探索している可能性があるために、本実施形態では用いないこととする。
CPU15は、ステップS705でAF評価値の信頼性があると判定されたTESPeakをフォーカスレンズ群3の制御位置とした場合に、“(Adj∞+PeakTES)/2”の値を求める。そして、CPU15は、デジタルカメラ100の(製造後の)出荷時にEEPROM25におけるゼロに初期化された所定の記憶領域に求めた値を加算すると共に、加算数をカウントする。
同様に、CPU15は、TEP値のピーク位置PeakTEPを制御位置とした場合、“(Adj∞+PeakTEP)/2”の値を、EEPROM25の所定の記憶領域に加算し、加算数をカウントする。一方、YI値のボトム位置BottomYIを制御位置とした場合、“(Adj∞+BottomYI)/2”の値を、EEPROM25の所定の記憶領域に加算し、加算数をカウントする。そして所定回数以上、打上花火モードでスキャンAFが行われ信頼性のあるフォーカスレンズ群3の制御位置が求められたなら、EEPROM25の所定の記憶領域に記憶された値をカウント数で割った値を補正された定点位置(無限相当位置Adj∞)とする。
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して装置に供給し、その装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
100 デジタルカメラ

Claims (9)

  1. ズームレンズ群とフォーカスレンズ群とを有する撮像光学系と、
    前記撮像光学系を通して得られる被写体像を光電変換する撮像素子と、
    前記被写体像を前記撮像素子の受光面において結像させるために前記フォーカスレンズ群をスキャンさせる駆動手段と、
    前記駆動手段により前記フォーカスレンズ群をスキャンさせたときに前記撮像素子から出力される画像信号から得られる信号値を用いて前記被写体像の合焦位置を検出する検出手段と、を備えるオートフォーカス装置であって、
    無限遠に存在する被写体を撮影する際に前記検出手段により前記被写体像の合焦位置を検出するための前記フォーカスレンズ群のスキャン範囲を設定する設定手段を有し、
    前記設定手段は、前記ズームレンズ群の目標停止位置と該目標停止位置に対する実際の停止位置とのずれ量と、前記オートフォーカス装置を起動する際の該オートフォーカス装置の姿勢と前記被写体に対する合焦位置を検出するための前記信号値を取得する際の該オートフォーカス装置の姿勢との差により生じる前記フォーカスレンズ群の位置のずれ量の少なくとも一方に基づいて前記スキャン範囲を設定することを特徴とするオートフォーカス装置。
  2. 前記被写体は打上花火であることを特徴とする請求項1記載のオートフォーカス装置。
  3. 前記設定手段により設定されたスキャン範囲で前記駆動手段が前記フォーカスレンズ群をスキャンさせた際に前記撮像素子の撮像画面の一部の領域から得られた画像信号に基づく前記信号値から前記被写体像の合焦位置を検出することができなかった場合に、前記打上花火が開いたか否かの判定を行う判定手段を備えることを特徴とする請求項2記載のオートフォーカス装置。
  4. 前記判定手段は、前記撮像素子から得られる画像信号から被写体輝度のヒストグラムを作成し、第1の所定値以上の輝度値の画素数と、前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の輝度値の画素数との和が、所定の画素数以上となっているときに、前記打上花火が開いたと判定することを特徴とする請求項3記載のオートフォーカス装置。
  5. 前記駆動手段は、前記検出手段が前記被写体像の合焦位置を検出することができず、かつ、無限遠に被写体が存在しない場合に、前記フォーカスレンズ群を予め定められた無限定点へ移動させることを特徴とする請求項3記載のオートフォーカス装置。
  6. 前記無限定点の位置を前記検出手段による合焦位置の検出結果に基づいて補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項5記載のオートフォーカス装置。
  7. 前記判定手段により前記打上花火が開いたと判定された場合には、前記判定手段により前記打上花火が開いていないと判定された場合よりも、前記撮像素子からの電荷の読み出し速度を速くする、又は、前記撮像素子の蓄積時間を短くする、又は、前記被写体像の合焦位置を検出するために前記画像信号を取得する前記撮像素子の撮像画面の一部の領域の面積を小さくする、の少なくとも1つを実行する制御手段を備えることを特徴とする請求項4記載のオートフォーカス装置。
  8. 前記検出手段に前記被写体に対する合焦位置の検出を指示する指示手段と、
    前記指示手段による指示の直前に前記撮像素子から得られる直前画像と前記設定手段により設定されたスキャン範囲で前記駆動手段による前記フォーカスレンズ群のスキャン終了時に前記撮像素子から得られるスキャン終了時画像とにおける、前記合焦位置を検出するための前記撮像素子の撮像画面の一部の領域における第3の所定値以上の輝度の画素数をカウントするカウント手段とを備え、
    前記判定手段は、前記直前画像における前記第3の所定値以上の輝度の画素数と前記スキャン終了時画像における前記第3の所定値以上の輝度の画素数との差が、第4の所定値以上である場合に前記打上花火が開いたと判定することを特徴とする請求項3記載のオートフォーカス装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のオートフォーカス装置を備えることを特徴とする撮像装置。
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