JP3943610B2 - カメラ及びレンズユニット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、レンズユニツトを交換可能なビデオカメラ等に用いて好適な自動焦点調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビデオカメラ等の映像機器に用いられている自動焦点調節装置としては、CCD等の撮像素子から得られる撮像信号中の高周波成分を抽出し、この高周波成分が最大となるように撮影レンズを駆動して焦点調節行う、いわゆる山登り方式が知られている。
【0003】
このような自動焦点調節方式は、赤外線の発光/受光、あるいは焦点状態に応じて変化する像のずれ量を検出するための焦点調節用の特殊な光学部材が不要であり、遠方で近くでも距離によらずに正確にピントを合わせることができる等の長所を有する。
【0004】
この種の自動焦点調節方式をレンズが交換できるビデオカメラに使用された例について、図6を用いて説明する。
【0005】
同図において、501はフォーカスレンズであって、レンズ駆動用モータ511によって、光軸方向に移動させて焦点合わせを行う。このレンズを通った光は、撮像素子502の撮像面上に結像されて電気信号に光電変換され、映像信号として出力される。この映像信号は、CDS/AGC503でサンプルホールドしてから所定のレベルに増幅され、A/D変換器504でデジタル映像データへと変換され、不図示のカメラのプロセス回路へ入力されて、標準テレビジョン信号に変換されると共に、バンドパスフィルタ(以下BPF)505へと入力される。
【0006】
BPF505では、映像信号中の高周波成分を抽出し、ゲート回路506で画面内の合焦検出領域に設定された部分に相当する信号のみを抜き出し、ピークホールド回路507で垂直同期信号の整数倍に同期した間隔でピークホールドを行い、AF評価値を生成する。
【0007】
このAF評価値はカメラ本体のAFマイコン508に取り込まれ、カメラ本体のAFマイコン508内で合焦度に応じたフォーカスモータ駆動速度及び、AF評価値が増加するようなモータ駆動方向を決定し、フォーカスモータの駆動速度及び駆動方向をレンズユニツト内のレンズマイコン509へと送信する。
【0008】
レンズマイコン509は、カメラ本体のAFマイコン508に指示されたとうりにモータドライバ510を介してフオーカスモータ511によってフォーカスレンズ501を光軸方向に駆動することで焦点調節を行う。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、上記従来例では、レンズ交換可能であることから、自動焦点調節の制御をカメラ本体側に持つため、特定のレンズで最適になるように自動焦点調節の応答性等を決定すると、他のレンズでは最適にならないことがあり、脱着できるすべてのレンズに対して最適な性能を出すのは難しかった。
【0010】
そこで本発明の課題は上述の問題点を解消し、どのようなレンズを装着しても、あらゆる被写体や撮影条件で目的の主被写体に安定に合焦する自動焦点調節装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本願における請求項1に記載の発明によれば、記憶されているカムデータに基づいて光学系のフォーカスレンズを合焦点へ駆動する駆動方向及び駆動速度を決定する制御手段と当該制御手段に基づいて前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段とを有するレンズユニットを着脱可能なカメラであって、前記レンズユニットと通信可能な通信手段と、画面内の1つまたは複数の焦点検出領域内に相当する信号の第1の高周波成分より第1の焦点評価値を、また当該第1の高周波成分よりも低い高周波成分より第2の焦点評価値を抽出する抽出手段と、前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値それぞれが所定の被写体を所定の条件で撮影した場合に同じ特性になるようにされた信号処理手段により前記抽出手段からの第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値をシフト、圧縮、又は伸長してそれぞれ第3の焦点評価値及び第4の焦点評価値を出力する規格化手段とを有し、前記規格化手段からの第3、第4の焦点評価値を前記レンズユニット側へと繰り返し引き渡すことにより、当該第3、第4の焦点評価値のいずれかと前記カムデータとに基づいて前記フオーカスレンズを繰り返し駆動するようにした。
【0012】
また本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記抽出手段は、前記焦点信号として前記撮像信号中より特定の周波数成分の信号を抽出する複数のフィルタ手段を備え、前記規格化手段は前記フィルタ手段によって抽出された前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値を信号処理する。
【0013】
また本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、前記抽出手段は、さらに撮像信号の輝度成分をピークホールドしたピークホールド出力を前記第1の焦点評価値とし、前記規格化手段は前記第1の焦点評価値が、所定の被写体を撮影した場合については、同一となるように信号処理する。
【0014】
また本願における請求項4に記載の発明によれば、請求項2において、前記抽出手段は、さらに撮像信号のコントラスト成分を前記第1の焦点評価値とし、前記規格化手段は前記第1の焦点評価値が、所定の被写体を撮影した場合については、同一となるように信号処理する。
【0015】
また本願における請求項5に記載の発明によれば、請求項4において、前記抽出手段は、輝度成分の最大値と最小値の差をピークホールドすることにより前記コントラスト成分を検出するピークホールド手段を備える構成とした。
【0016】
また本願における請求項6に記載の発明によれば、画面内の1つまたは複数の焦点検出領域内に相当する信号の第1の高周波成分より第1の焦点評価値を、また当該第1の高周波成分よりも低い高周波成分より第2の焦点評価値を抽出する抽出手段と、前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値それぞれが所定の被写体を所定の条件で撮影した場合に同じ特性になるようにされた信号処理手段により前記抽出手段からの第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値をシフト、圧縮、又は伸長してそれぞれ第3の焦点評価値及び第4の焦点評価値を出力する規格化手段とを有するカメラと脱着可能なレンズユニットであって、前記カメラと通信可能な通信手段と、記憶されているカムデータに基づいて光学系のフォーカスレンズを合焦点へ駆動する駆動方向及び駆動速度を決定する制御手段とを有し、当該制御手段に基づいて前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段とを有し、前記規格化手段からの第3、第4の焦点評価値をカメラ側より繰り返し引き受けることにより、当該抽出手段の出力と前記カムデータとに基づいて前記フオーカスレンズを繰り返し駆動するようにした。
【0021】
【実施例】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例の構成を示す図である。
【0022】
同図において、127はレンズユニット、128はカメラ本体を示し、レンズユニットはカメラ本体に対して着脱自在で、いわゆる交換レンズシステムを構成している。
【0023】
被写体からの光は、レンズユニット127内の固定されている第1のレンズ群101、変倍を行う第2のレンズ群102、絞り103、固定されている第3のレンズ群104、焦点調節機能と変倍による焦点面の移動を補正するコンペ機能とを兼ね備えた第4のレンズ群105(以下フォーカスレンズと称す)を通って、カメラ本体内のCCD等の撮像素子へと結像される。
【0024】
カメラ本体内の撮像素子は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色それぞれについて設けられており、いわゆる3板式の撮像系となつている。
【0025】
3原色中の赤の成分は撮像素子106上に、緑の成分は撮像素子107上に、青の成分は撮像素子108の上にそれぞれ結像される。
【0026】
撮像素子106,107,108上に結像された像は、それぞれ光電変換されて増幅器109,110、111でそれぞれ最適なレベルに増幅された後、カメラ信号処理回路112へと入力され、標準テレビ信号に変換されて図示しないビデオレコーダ等へと出力されると同時に、AF信号処理回路113へと入力される。
【0027】
AF信号処理回路113で生成されたAF評価値は、カメラ本体内の本体マイコン114内のデータ読み出しプログラム115にしたがつて垂直同期信号の整数倍の周期で読み出され、評価値規格化プログラム132で規格化され、レンズユニット側のレンズマイコン116へ転送される。評価値規格化プログラム132の内容については後述する。
【0028】
またカメラ信号処理回路112内では、各撮像素子より出力された撮像信号より輝度信号のレベルが検出され、本体マイコン114を介して、レンズユニット内のレンズマイコン116へと転送され、その輝度信号情報に基づいてアイリスドライバ124が制御され、IGメータ123が駆動され、絞り103が開閉制御される。
【0029】
また絞り103の絞り値は、エンコーダ129によつて検出され、レンズマイコン116へと供給され、被写界深度情報として用いられる。
【0030】
またカメラ本体側の本体マイコン114は、ズームスイッチ130及びAFスイッチ(ONのときはAF動作を行い、OFFのときはマニュアルフォーカス状態とする)131の状態をレンズマイコン116へと送信する。
【0031】
レンズマイコン116内では、AFプログラム117が本体マイコン114からのAFスイッチ131の状態およびAF評価値を受け取り、AFスイッチ131がオンのときは、このAF評価値に基づいてモータ制御プログラム118を動作させ、フォーカスモータドライバ126でフォーカスモータ125を駆動し、フォーカスレンズ105を光軸方向に移動させて焦点合わせを行う。
【0032】
またズームスイッチ130の操作状態に応じてモータドライバ122を制御してズームモータ121を九度し、ズームレンズ102を駆動してズーム動作が行われる。
【0033】
一方、レンズユニットがインナーフォーカスタイプであつた場合には、ズームレンズ102を駆動することによつて焦点面が変化するため、ズームレンズの駆動に伴ってフォーカスレンズ105を所定の特性にしたがって駆動し、前記焦点面の変位によるぼけの発生を防止する動作が並行して行われる。
【0034】
レンズマイコン116内のレンズカムデータ120は、ズームレンズの位置に対するフォーカスレンズの合焦点位置を、被写体距離ごとに記憶したROMで、コンピユータズーム制御プログラム119により、ズームレンズの位置とフォーカスレンズの位置をそれぞれモータの駆動量あるいはエンコーダによつて検出して、そのズーム動作中にフォーカスレンズのたどるべき合焦軌跡を特定してROM120より読み出し、フォーカスレンズのズーム動作に伴う補正速度及び方向を演算する。
【0035】
そしてこの補正速度及び方向の情報は、モータ制御プログラム118にてAF回路117より出力されるAFのぼけ情報と加算され、総合的なフォーカスレンズ駆動速度及び駆動方向が演算され、モタドライバ126へと供給される。
【0036】
またアイリス103の絞り値は、エンコーダ129によつて検出され、レンズマイコン116へと供給され、被写界深度情報としてフォーカスレンズの速度補正等に用いられる。
【0037】
次に図2を用いてカメラ信号処理回路112内のAF信号処理回路113について説明する。増幅器108,109,110でそれぞれ最適なレベルに増幅された赤(R)、緑(G)、青(B)の撮像素子出力は、AF信号処理回路113へと供給され、A/D変換器206,207,208でそれぞれデジタル信号に変換され、カメラ信号処理回路112へと送られると同時に、それぞれアンプ209,210,211で適切なレベルに増幅され、加算器208で加算され、自動焦点調節用輝度信号S5が生成される。
【0038】
輝度信号S5は、ガンマ回路213へと入力され、予め設定されているガンマカーブにしたがつてガンマ変換され、低輝度成分を強調し高輝度成分を抑圧した信号S6が作られる。ガンマ変換された信号S6は、カットオフ周波数の高いローパスフィルタ(以下LPFと称する)であるTE−LPF214と、カットオフ周波数の低いLPFであるFE−LPF215へと入力され、本体マイコン114がマイコンインターフェース253を通して決定したそれぞれのフィルタ特性で低域成分が抽出され、TE−LPF214の出力信号S7とFE−LPF215の出力信号8が生成される。
【0039】
信号S7及び信号S8は、スイッチ216で水平ラインが偶数番目か奇数番目かを識別する信号であるLineE/O信号で選択的に切り換えられ、ハイパスフィルタ(以下HPFと称する )217へと入力される。
【0040】
つまり、偶数ラインについては信号S7をHPF217へと供給し、奇数ラインについては信号S8をHPF217へと供給する。
【0041】
HPF217では、本体マイコン114がマイコンインターフェース253を介して決定した奇数/偶数それぞれのフィルタ特性で高域成分のみを抽出され、絶対値回路218で絶対値化することによつて正の信号S9が生成される。すなわちS9は偶数ライン、奇数ラインとでそれぞれ異なるフィルタ特性のフィルタによつて抽出された高周波成分のレベルを交互に示す信号である。これによつて1画面の走査で異なる周波数成分を得ることができる。
【0042】
信号S9は、それぞれL枠,C枠,R枠内における信号のピーク値を検出するためのピークホールド回路225,226,227へと供給されて、それぞれの枠内における高周波成分のピーク値が検出されるとともに、ラインピークホールド回路231へと入力され、各水平ラインごとのピーク値が検出される。
【0043】
ここで枠生成回路254は、マイコンインターフェース253を介して、マイコン114より供給された指令にしたがって、図3で示されるような画面内の位置に焦点調節用のゲートL枠,C枠,R枠を形成するためのゲート信号L,C,Rを生成する。
【0044】
ピークホールド回路225には枠生成回路254より出力されたL枠を毛市営するためのゲート信号L及び水平ラインが偶数番目か奇数番目かを識別する信号であるLineE/O信号(マイコン114によつて生成される)が入力され、図3で示されるように焦点調節用L枠の先頭である左上のLR1の場所で、ピークホールド回路225の初期化をおこない、マイコン114からマイコンインターフェース253を通して指定した偶数ラインか奇数ラインのどちらかの各枠内の信号S9をピークホールドし、右下のIR1で、すなわち焦点調節用の全領域の走査を終了した時点で、エリアバッファ228に枠内のピークホールド値を転送しTE/FEピーク評価値を生成する。
【0045】
同様に、ピークホールド回路226には枠生成回路254出力のC枠及びLineE/O信号が入力され、図3で示される焦点調節用C枠の先頭である左上のCR1で、ピークホールド回路226の初期化をおこない、マイコンからマイコンインターフェース253を通して指定した偶数ラインか奇数ラインのどちらかの各枠内の信号S9をピークホールドし、IR1で、すなわち焦点調節用の全領域の走査を終了した時点で、エリアバッファ229に枠内のピークホールド値を転送しTE/FEピーク評価値を生成する。
【0046】
さらに同様に、ピークホールド回路227には枠生成回路254出力のR枠及びLineE/O信号が入力され、図3で示される焦点調節用R枠の先頭である左上のRR1で、ピークホールド回路227の初期化をおこない、マイコンからマイコンインターフェース253を通して指定した偶数ラインか奇数ラインのどちらかの各枠内の信号S9をピークホールドし、IR1で、すなわち焦点調節用の全領域の走査を終了した時点で、バッファ230にに枠内のピークホールド値を転送しTE/FEピーク評価値を生成する。
【0047】
ラインピークホールド回路231には、信号S9及び枠生成回路254出力のL枠,C枠,R枠を生成するためのゲート信号が入力され、各枠内の水平方向の開始点で初期化され、各枠内の信号S9の水平の1ラインのピーク値をホールドする。
【0048】
積分回路232,233,234,235,236,237には、ラインピークホールド回路231出力及び水平ラインが偶数番目か奇数番目かを識別する信号であるLineE/O信号が入力されると同時に、積分回路232,235には、枠生成回路254より出力されたL枠生成用のゲート信号が、積分回路233,236には枠生成回路出力254より出力されたC枠生成用のゲート信号が、積分回路234,237には枠生成回路254より出力されたR枠生成用のゲート信号が入力される。
【0049】
積分回路232は、焦点調節用L枠の先頭である左上のLR1で、積分回路232の初期化をおこない、各枠内の偶数ラインの終了直前でラインピークホールド回路231の出力を内部レジスタに加算し、IR1で、エリアバッファ238にピークホールド値を転送しラインピーク積分評価値を生成する。
【0050】
積分回路233は、焦点調節用C枠の先頭である左上のCR1の各場所で、積分回路233の初期化を行い、各枠内の偶数ラインの終了直前でラインピークホールド回路231の出力を内部レジスタに加算し、IR1でバッファ239にピークホールド値を転送しラインピーク積分評価値を生成する。
【0051】
積分回路234は、焦点調節用R枠の先頭である左上のRR1で積分回路234の初期化をおこない、各枠内の偶数ラインの終了直前でラインピークホールド回路231の出力を内部レジスタに加算し、IR1で、エリアバッファ240にピークホールド値を転送しラインピーク積分評価値を生成する。
【0052】
積分回路235,236,237は、それぞれ積分回路232,233,234偶数ラインのデータについて加算する代わりに、それぞれ奇数ラインのデータの加算を行なう以外は、それぞれ積分回路232,233,234と同様の動作を行い、エリアバッファ241,242,243にその結果を転送する。
【0053】
また信号S7は、ピークホールド回路219,220,221及びライン最大値ホールド回路244及びライン最小値ホールド回路245に入力される。
【0054】
ピークホールド回路219には枠生成回路254より出力されたL枠生成用のゲート信号が入力され、L枠の先頭である左上のLR1で、ピークホールド回路219の初期化をおこない、各枠内の信号S7をピークホールドし、IR1で、バッファ222にピークホールド結果を転送し、輝度レベル(以下Y信号と称す)のピーク評価値を生成する。
【0055】
同様に、ピークホールド回路220は枠生成回路254より出力されたC枠生成用のゲート信号が入力され、C枠の先頭である左上のCR1で、ピークホールド回路220の初期化をおこない、各枠内の信号S7をピークホールドし、IR1で、バッファ223にピークホールド結果を転送し、Y信号ピーク評価値を生成する。
【0056】
さらに同様に、ピークホールド回路221は枠生成回路254より出力されたR枠生成用のゲート信号が入力され、R枠の先頭である左上のRR1で、ピークホールド回路221の初期化をおこない、各枠内の信号S7をピークホールドし、IR1で、バッファ224にピークホールド結果を転送し、Y信号ピーク評価値を生成する。
【0057】
ライン最大値ホールド回路244及びライン最小値ホールド回路245には、枠生成回路254より出力されたそれぞれL枠,C枠,R枠生成用のゲート信号が入力され、各枠内の水平方向の開始点で初期化され、各枠内の信号S7の水平1ラインのY信号のそれぞれ最大値及び最小値をホールドする。
【0058】
これらのライン最大値ホールド回路244及びライン最小値ホールド回路245で、それぞれホールドされたY信号の最大値及び最小値は、引算器246へと入力され、(最大値ー最小値)信号すなわちコントラストを表す信号S10が計算され、ピークホールド回路247,248,249に入力される。
【0059】
ピークホールド回路247には枠生成回路254よりL枠生成用のゲート信号が入力され、L枠の先頭である左上のLR1で、ピークホールド回路247の初期化をおこない、各枠内の信号S10をピークホールドし、IR1で、バッファ250にピークホールド結果を転送し、Max−Min評価値を生成する。
【0060】
同様にピークホールド回路248には枠生成回路254よりC枠生成用のゲート信号が入力され、C枠の先頭である左上のCR1で、ピークホールド回路248の初期化をおこない、各枠内の信号S10をピークホールドし、IR1、バッファ251にピークホールド結果を転送し、Max−Min値を生成する。
【0061】
さらに同様にピークホールド回路249には枠生成回路254よりR枠生成用のゲート信号が入力され、R枠の先頭である左上のRR1で、ピークホールド回路249の初期化をおこない、各枠内の信号S10をピークホールドし、IR1で、バッファ252にピークホールド結果を転送し、Max−Min評価値を生成する。
【0062】
L枠,C枠,R枠からなる焦点検出用の全領域の走査を終了したIR1の時点では、それぞれバッファ222,223,224,228,229,230,238,239,240,241,242,243,250,251,252にそれぞれ各枠内のデータを転送するのと同時に、枠生成回路254から、マイコン114に対して割り込み信号を送出し、各バッファ内に転送されたデータをマイコン114へと転送する処理を行う。
【0063】
すなわちマイコン114は、前記割り込み信号を受けてマイコンインターフェース253を通してバッファ222,223,224,228,229,230,238,239,240,241,242,243,250,251,252内の各データを、次のL枠,C枠,R枠内の走査を終了して各バッファに次のデータが転送されるまでに読み取り、後述のごとく、垂直同期信号に同期してレンズマイコン116に転送する。
【0064】
レンズマイコン116はこれらの焦点評価値を演算して、焦点状態を検出し、フォーカスモータ駆動速度及び駆動方向等の演算を行い、フォーカスモータを駆動制御してフオーカシングレンズを駆動する。
【0065】
ここで図3の画面内における焦点検出のための各領域のレイアウトを示す図を用いて、AF信号処理回路113内の各種情報の取り込みタイミングを説明する。外側の枠は撮像素子106,107,108の出力の有効撮像画面である。
【0066】
内側の3分割された枠は焦点検出用のゲート枠で、左側のL枠、中央のC枠、右側のR枠が枠生成回路254から出力される各L枠生成用ゲート信号、C枠生成用ゲート信号、R枠生成用ゲート信号にしたがつて形成されている。
【0067】
そして、これらのL,C,R枠の開始位置でそれぞれリセット信号をL,C,R各枠ごとに出力し、初期化(リセツト)用信号LR1,CR1,RR1を生成し、各積分回路232〜237、ピークホールド回路219〜221,225〜227,247〜249等をリセットする。
【0068】
またL,C,R枠からなる焦点検出用の領域の走査終了時にデータ転送信号IR1を生成し、各積分回路の積分値、各ピークホールド回路のピークホールド値を各バッファに転送する。
【0069】
また偶数フィールドの走査を実線で、奇数フィールドの走査を点線で示し、偶数フィールド、奇数フィールド共に、偶数ラインはTE−LPF出力を選択し、奇数ラインはFE−LPF出力を選択する。
【0070】
次に各枠内のTE/FEピーク評価値、TEラインピーク積分評価値、FEラインピーク積分評価値、Y信号ピーク評価値、Max−Min評価値を使用してマイコンがどのように自動焦点調節動作をするか説明する。尚、これらの評価値は、レンズユニット内のレンズマイコン116へと送信され、実際の制御はレンズマイコン116にて行われる。
【0071】
ここで各評価値の特性及び用途について説明する。
【0072】
TE/FEピーク評価値は合焦度を表わす評価値で、ピークホールド値なので比較的被写体依存が少なくカメラのぶれ等の影響が少なく、合焦度判定、再起動判定に最適である。
【0073】
TEラインピーク積分評価値、FEラインピーク積分評価値も合焦度を表わすが、積分効果でノイズの少ない安定した評価値なので方向判定に最適である。
【0074】
さらにピーク評価値もラインピーク積分評価値も、TEの方がより高い高周波成分を抽出しているので合焦近傍に最適で、逆にFEは合焦から遠い大ボケ時に最適である。したがつてこれらの信号を加算して、あるいはTEのレベルに応じて選択的に切り換えて用いることにより、大ぼけから合焦点近傍までダイナミツクレンジの広いAFを行うことができる。
【0075】
またY信号ピーク評価値やMax−Min評価値は合焦度にあまり依存せず被写体に依存するので、合焦度判定、再起動判定、方向判定を確実に行なうために、被写体の変化、動き等の状況を把握するのに最適である。また焦点評価値が明るさの変化による影響を除去するために正規化するために用いられる。
【0076】
つまりY信号ピーク評価値で高輝度被写体か低照度被写体かの判定を行ない、Max−Min評価値でコントラストの大小の判定を行ない、TE/FEピーク評価値、TEラインピーク積分評価値、FEラインピーク積分評価値の山の大きさを予測し補正することで、最適なAF制御を行うことができる。
【0077】
これらの評価値は、カメラ本体128からレンズユニット127に転送され、レンズユニット127内のレンズマイコン116に供給され、自動焦点調節動作が行われる。
【0078】
図4を用いてレンズユニット127内のレンズマイコン116での、自動焦点調節動作のアルゴリズムについて説明する。
【0079】
処理を開始すると、最初にstep1の処理でAF動作を起動した後、step2の処理に移行し、TEやFEピークのレベルを所定のしきい値と比較することによつて、大ぼけか、合焦点近傍か、合焦点からどの程度離れているかを判別して速度制御を行う。
【0080】
この際、TEのレベルが低く、山の麓、すなわち大ぼけであることが予想される場合には、FEラインピーク積分評価値を主に使用して方向制御することでフオーカシングレンズを山登り制御し、山の頂上付近となつてTEのレベルがある程度まで上昇してきたらTEラインピーク積分評価値を用いてフオーカシングレンズを山登り制御し、高精度に合焦点を検出できるように制御する。
【0081】
次に、合焦点近傍になつた場合には、step3の処理へと移行し、TEやFEピーク評価値の絶対値やTEラインピーク積分評価値の変化量で、山の頂点判断を行ない、山の頂上すなわち合焦点で最も評価値のレベルの高い点であると判定された場合には、step4でフォーカスレンズを停止し、step5の処理で再起動待機に入る。
【0082】
再起動待機では、TEやFEピーク評価値のレベルが合焦点を検出したときのピーク値よりも、所定レベル以上低下したことが検出されたときstep6の処理で再起動させる。
【0083】
以上の処理を繰り返し行うことにより、常時AF動作を行うことができる。この自動焦点調節動作のループの中で、TE/FEピークを用いて速度制御をかける度合いや、山の頂上判断の絶対レベル、TEラインピーク積分評価値の変化量等は、Yピーク評価値やMax−Min評価値を用いた被写体判断より山の大きさの予測を行ない、これに基づいて決定する。
【0084】
次に図5を用いて評価値規格化132について説明する。同図は、ある被写体を撮影して、レンズを至近から無限までサーチしたときのTEピーク評価値の変化を示すものである。
【0085】
図5の(a1) 、(a2)は、被写体やレンズは同一で、異なるカメラ(撮像手段)で撮影したときの、データ読み出しプログラム115で読み出した値である。
【0086】
被写体やレンズは同一条件にもかかわらず出力レベルは異なっている。評価値規格化プログラム132では、P1とP2の2ポイントの信号レベルがあらかじめ決められた値になるようにレベルを決定し、それに合わせて全体の信号レベルのシフトや圧縮や伸張を行う。
【0087】
(a1)の評価値規格化プログラム132出力は(a2)で、(b1)の評価値規格化プログラム132出力は(b2)であり、(a1)と(a2)では評価値規格化プログラム132の入力レベルが異なっているにもかかわらず、(a2)と(b2)ではぼぼ同じ出力レベルになっている。評価値規格化プログラム132はその他の評価値に関しても同様な規格化を行う。
【0088】
すなわち、評価値規格化プログラム132は、たとえば図2バッファ228〜230より出力されたL枠,C枠,R枠内におけるTEピーク値、バッファ238〜243より出力されたL枠,C枠,R枠内におけるTEピークの積分値及びFEピークの積分値、バッファ250〜252より出力されたL枠,C枠,R枠内におけるコントラストのピーク値を入力され、その入力信号レベルのピーク値を圧縮あるいは伸長して図5(a2),(b2)のP1のレベルに強制的に合わせ込むための最大値レベルシフト処理と、入力信号レベルの最小値を圧縮あるいは伸長して図5(a2),(b2)のP2のレベルに強制的に合わせ込むための最小値レベルシフト処理を行うものである(図5はTEピークについて示しているが、上述の他の評価値についても同様に規格化してレンズマイコン116へと送信される)。
【0089】
これによつて、カメラ本体内において、撮像素子106〜108やAF信号処理回路113にばらつきがあつたとしても、焦点評価値は、すべて同じ山形の特性を示し、その最大値と最小値のばらつきを生じることがなく、撮像手段の異なる複数のカメラユニットと複数の異なるレンズユニットを組み合わせても、焦点信号を規格化することで共通の出力をレンズに渡すことが可能になり、さらにレンズユニットごとにレンズユニット内で最適な応答性等を決定できるので、あらゆる被写体や撮影条件で目的の主被写体に安定に合焦させることができる。
【0090】
尚、請求項1について、抽出手段は、カメラ信号処理回路112内のAF信号処理回路113に相当し、規格化手段はカメラ本体内の本体マイコン114内の評価値規格化プログラムに相当し、フォーカスレンズを合焦点へ駆動する駆動方向及び駆動速度を決定する制御手段は、レンズユニット内のレンズマイコン116に相当し、駆動手段はモータドライバ126,フォーカスモータ125に相当し、抽出手段の出力をカメラ側より前記レンズユニット側へと引き渡す手段は、カメラ本体内のマイコン114からレンズユニット内のレンズマイコン116へのデータ通信に相当する。
【0091】
また請求項2について、AF信号処理回路113内のTE−LPF214,FE−LPF215,HPF217が複数のフィルタ手段に相当する。
【0092】
また請求項3について、ピークホールド回路219,220,221は、焦点検出領域内に相当する撮像信号の輝度成分をピークホールドしたピークホールド出力を検出する手段に相当する。
【0093】
また請求項4について、ライン最大値ホールド回路244,ライン最小値ホールド回路245,引算器246は、前記焦点検出領域内に相当する撮像信号のコントラスト成分を検出する手段に相当する。
【0094】
また請求項5について、ピークホールド回路247,248,249は、コントラスト成分を検出するピークホールド手段に相当する。
【0095】
また請求項6について、抽出手段は、カメラ信号処理回路112内のAF信号処理回路113に相当し、規格化手段はカメラ本体内の本体マイコン114内の評価値規格化プログラムに相当し、抽出手段の出力をカメラ側より前記レンズユニット側へと引き渡す手段は、カメラ本体内のマイコン114からレンズユニット内のレンズマイコン116へのデータ通信に相当する。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本願の発明によれば、規格化処理をしてからレンズユニットへ受け渡すので、どのようなレンズを装着してもレンズ個々に最適な応答性等を決定できるとともに、撮像手段の異なる複数のカメラユニットと複数の異なるレンズユニットを組み合わせても、焦点信号を規格化することで共通の出力をレンズに渡すことが可能になり、さらにレンズユニットごとにレンズユニット内で最適な応答性等を決定できるので、あらゆる被写体や撮影条件で目的の主被写体に安定に合焦させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動焦点調節装置の一実施例の構成を示すブロツク図である。
【図2】図1の自動焦点調節装置において、カメラ本体側のAF信号処理回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の各種焦点評価値の抽出動作及び抽出タイミングを説明するための図である。
【図4】本発明の実施例におけるAF動作を説明するためのフローチヤートである。
【図5】本発明の実施例における規格化手段を構成する評価値規格化プログラム132の処理を説明するための図である。
【図6】従来の自動焦点調節装置の代表的な構成を示すブロツク図である。
【符号の説明】
105 フォーカスレンズ
106 撮像素子
107 撮像素子
108 撮像素子
112 カメラ信号処理回路
113 AF信号処理回路
114 (カメラ)本体マイコン
116 レンズマイコン
117 AF制御回路
118 モータ制御回路
125 フォーカスモータ
126 モータドライバ
132 評価値規格化プログラム
Claims (6)
- 記憶されているカムデータに基づいて光学系のフォーカスレンズを合焦点へ駆動する駆動方向及び駆動速度を決定する制御手段と当該制御手段に基づいて前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段とを有するレンズユニットを着脱可能なカメラであって、
前記レンズユニットと通信可能な通信手段と、
画面内の1つまたは複数の焦点検出領域内に相当する信号の第1の高周波成分より第1の焦点評価値を、また当該第1の高周波成分よりも低い高周波成分より第2の焦点評価値を抽出する抽出手段と、
前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値それぞれが所定の被写体を所定の条件で撮影した場合に同じ特性になるようにされた信号処理手段により前記抽出手段からの第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値をシフト、圧縮、又は伸長してそれぞれ第3の焦点評価値及び第4の焦点評価値を出力する規格化手段とを有し、
前記規格化手段からの第3、第4の焦点評価値を前記レンズユニット側へと繰り返し引き渡すことにより、当該第3、第4の焦点評価値のいずれかと前記カムデータとに基づいて前記フオーカスレンズを繰り返し駆動するようにしたことを特徴とするカメラ。 - 請求項1において、前記抽出手段は、前記焦点信号として前記撮像信号中より特定の周波数成分の信号を抽出する複数のフィルタ手段を備え、前記規格化手段は前記フィルタ手段によって抽出された前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値を信号処理することを特徴とするカメラ。
- 請求項2において、前記抽出手段は、さらに撮像信号の輝度成分をピークホールドしたピークホールド出力を前記第1の焦点評価値とし、前記規格化手段は前記第1の焦点評価値が、所定の被写体を撮影した場合については、同一となるように信号処理することを特徴とするカメラ。
- 請求項2において、前記抽出手段は、さらに撮像信号のコントラスト成分を前記第1の焦点評価値とし、前記規格化手段は前記第1の焦点評価値が、所定の被写体を撮影した場合については、同一となるように信号処理することを特徴とするカメラ。
- 請求項4において、前記抽出手段は、輝度成分の最大値と最小値の差をピークホールドすることにより前記コントラスト成分を検出するピークホールド手段を備えていることを特徴とするカメラ。
- 画面内の1つまたは複数の焦点検出領域内に相当する信号の第1の高周波成分より第1の焦点評価値を、また当該第1の高周波成分よりも低い高周波成分より第2の焦点評価値を抽出する抽出手段と、前記第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値それぞれが所定の被写体を所定の条件で撮影した場合に同じ特性になるようにされた信号処理手段により前記抽出手段からの第1の焦点評価値及び第2の焦点評価値をシフト、圧縮、又は伸長してそれぞれ第3の焦点評価値及び第4の焦点評価値を出力する規格化手段とを有するカメラと脱着可能なレンズユニットであって、
前記カメラと通信可能な通信手段と、
記憶されているカムデータに基づいて光学系のフォーカスレンズを合焦点へ駆動する駆動方向及び駆動速度を決定する制御手段とを有し、
当該制御手段に基づいて前記フォーカスレンズを駆動する駆動手段とを有し、
前記規格化手段からの第3、第4の焦点評価値をカメラ側より繰り返し引き受けることにより、当該抽出手段の出力と前記カムデータとに基づいて前記フオーカスレンズを繰り返し駆動するようにしたことを特徴とするレンズユニット。
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