JP4367731B2 - 新規フタロシアニン類及びカラーフィルター - Google Patents
新規フタロシアニン類及びカラーフィルター Download PDFInfo
- Publication number
- JP4367731B2 JP4367731B2 JP18888399A JP18888399A JP4367731B2 JP 4367731 B2 JP4367731 B2 JP 4367731B2 JP 18888399 A JP18888399 A JP 18888399A JP 18888399 A JP18888399 A JP 18888399A JP 4367731 B2 JP4367731 B2 JP 4367731B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- colored
- acid
- color filter
- film
- color
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Optical Filters (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規フタロシアニン類及びカラーフィルターに関する。更に詳しくは、液晶表示デバイス、色分解デバイス、及びセンサー等に用いられる光学特性のすぐれたカラーフィルター用新規フタロシアニン類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置や固体撮像素子をカラー化するために、赤、緑、青あるいは黄、マゼンタ、シアンの3原色カラーフィルターを組み合わせる方法がとられている。これらカラーフィルターを形成する方法としては、幾つかの方法があるが、最も基本的な方法はいわゆる染色法である。
【0003】
染色法によるカラーフィルターの製法は、基体となるガラスやシリコンウエハなどの表面にストライプ状あるいはモザイク状等(パターンという)の薄膜状の透明なカチオン性基を有する合成樹脂の皮膜またはゼラチン、カゼイン、グルー等の蛋白質系天然高分子物質の皮膜を設けて被着色皮膜とし、これに染料を用いて染色(着色)することを基本原理としている。カラーフィルターの具体的な製造プロセスとしては次の3つの方式が知られている。
【0004】
(1)着色すべき皮膜を基体表面に設けた後、マスクを介して露光、現像して得られるパターンを染色して着色層を形成する。次いで非着色性の保護コート皮膜を全面に設け、この上に上記同様な操作により第2の着色すべき皮膜を設ける。以下必要によって着色層を逐次積層形成させる。
【0005】
(2)着色すべき皮膜を基体表面に設けた後、マスクを介して露光、現像して得られるパターンを染色して着色層を形成した後、タンニン酸などで染料の固着兼防染処理を施こす。同様な操作により第2の着色すべき皮膜を設ける。以下必要によって着色層を同一基体表面上に形成させる。
【0006】
(3)着色すべき皮膜(被着色皮膜)を基体表面に設ける。その上にポジレジストの層を設けた後に、マスクを介して露光、現像してパターン状に露出した被着色皮膜を染色し、次いでポジレジスト層を剥離して着色部を形成する。ポジレジスト層を設ける以降の操作を繰り返し、同一被着色皮膜を複数の色に所望のパターン状に染め分ける。
【0007】
また近年、カラーフィルターの低コスト化によるコストダウンが要求される中で、上記の様な染色法に対してインクジェットプリンタを用いた製法も提案されている。インクジェット法によるカラーフィルターの製造プロセスを具体的に以下に述べる。
【0008】
(1)基板上に高染色性のインク受容層を形成し、これを例えば加熱処理などを用いて、必要に応じて硬化する。
(2)該インク受容層にインクジェット法により染料インクを選択的に噴射し、所望の着色パターンを形成する。
(3)形成した着色パターンを例えば加熱処理などを用いて、必要に応じて固着処理を行う。
【0009】
上記のようなプロセスで製造されるカラーフィルターは、特殊なものを除き通常原色系3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)または補色系3原色であるY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、(Mは省略されることもある)に着色された着色層を有している。カラーフィルターに要求される最も重要な特性は光学特性であり、各着色層の分光特性が最終製品の価値を大きく支配することになる。また、カラーフィルターを装着した液晶表示装置を製造する工程で遭遇する熱処理、例えば、透明電極層を設けるためのスパッタリング工程に対して、また最終製品として使用時に加えられる光に対して高度の耐性を有し、所定の光学特性が損われることがあってはならない。また当然のことながら適用される染料は水に対して良好な溶解性と溶解度を有し、酸性の染色浴中で長期間安定でなくてはならない。更に、固着処理を必要とする工程を伴う場合には固着処理効果の優れることが要求される。ところで、ゼラチン、カゼイン、グルー等の蛋白質系天然高分子物質はカチオン性基を有しているので、水溶性のアニオン性の染料によって染色(着色)される。
【0010】
またこれらに代えて光硬化型の合成樹脂基材を用いる場合には、樹脂成分中にカチオン性基を保持せしめることにより、蛋白質系天然高分子物質と同様に水溶性のアニオン性染料で染色されるようになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
所望される光学特性を得るために数多くの水溶性のアニオン性染料が、単独であるいはそれらの組合せで検討されてきた。しかしながら原色系の青色については、特に光硬化型のカチオン性基を有する合成樹脂を被着色基材として用いる場合には、所望する色特性と熱および光に対して充分な耐性を有し、かつ固着性能の優れる染料の選定が特に困難で、現状では満足し得る染料は見出されていない。
【0012】
所望される青色染料に求められる分光特性は、600nm近辺における透過率が1%以下になるように染色した着色皮膜において、440〜460nmの領域でのトップ透過率ができるだけ高いことが必要とされる。このような光学特性を満たす為には従来からC.I.Acid Blue 83またはC.I.Acid Blue 90で代表されるトリフェニルメタン系の染料が用いられている。これらの染料の分光透過率曲線はシャープで色が鮮明であり被着色基材がゼラチン、カゼインあるいはグリューのような天然蛋白質やポリイミド系合成樹脂である場合には、着色皮膜の色特性および光や熱に対する耐性も不充分ではあるが使用できないことはない。他方被着色基材が光硬化性のカチオン基を有する合成樹脂、特徴に主鎖ポリマーがアクリル酸およびその誘導体から構成されている場合には熱および光に対する耐性が著るしく不良で実用に供し得ない。耐熱性及び耐光性に比較的優れる青色染料としてアンスラキノン構造が知られているが、必要とされる光学特性を満たす染料は少なく、光学特性を満たすものでも前述の光硬化性アクリル系合成樹脂に適用した場合には、耐熱性及び耐光性が著るしく劣る。かくして光および熱に対する耐性と色特性を兼備した青色着色皮膜を載置したカラーフィルターの開発が望まれている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような光学特性と耐久性を兼備したカラーフィルターを見出すべく鋭意努力した結果、特定のフタロシアニン類で着色(青色)されたカラーフィルターが前記したような色特性と優れた信頼性(熱・光に対する耐性)を有していることを見出し本発明に至ったものである。即ち、本発明は
(1)アザフタロシアニン化合物をスルホン化して得られるフタロシアニン類で着色されたカラーフィルター、
(2)スルホン化が発煙硫酸を含む硫酸中で行われる(1)に記載のカラーフィルター、
(3)アザフタロシアニン化合物がフタル酸類とピリジンジカルボン酸類とを反応させて得られる化合物である(1)または(2)に記載のカラーフィルター、
(4)フタル酸類とピリジンジカルボン酸類との使用割合が、フタル酸類1モルに対しピリジンジカルボン酸類0.2〜5モルである(3)に記載のカラーフィルター、
【0014】
(5)フタル酸類がフタル酸、無水フタル酸、フタル酸塩またはフタルイミドである(3)または(4)に記載のカラーフィルター、
(6)ピリジンジカルボン酸類がピリジンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸無水物またはピリジンジカルボン酸イミドである(3)ないし(5)のいずれか1項に記載のカラーフィルター、
(7)(1)ないし(6)のいずれか1項に記載のカラーフィルターを有する画像表示装置、に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のフタロシアニン類はアザフタロシアニン化合物をスルホン化したものである。原料であるアザフタロシアニン化合物は、例えば下記式(1)
【0016】
【化1】
【0017】
(式(1)中A、B、C、Dは独立に芳香性を有する6員環であって、そのうち1ないし3個はピリジン環である。)
で示される骨格構造を有する化合物であり、置換基を有していても良い。置換基としては、例えばメチル基、エチル基、水酸基、カルボキシル基等があげられる。また、アザフタロシアニン化合物は、その中心に金属原子が配位しているものであっても良い。金属原子としては、例えば銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、酸化チタン等があげられる。
【0018】
アザフタロシアニン化合物の代表的なものとしては、例えばモノアザフタロシアニン、ジアザフタロシアニン、トリアザフタロシアニン等があげられ、モノアザフタロシアニン、ジアザフタロシアニンが好ましい。また、モノアザフタロシアニンとジアザフタロシアニンとの混合物、さらにはこれらと少量のフタロシアニンとの混合物(10%前後:マススペクトル法のピーク強度比による)も本発明で使用する出発原料であるアザフタロシアニン化合物に含まれる。
【0019】
本発明のフタロシアニン類は、アザフタロシアニン化合物をスルホン化することによって得られる。スルホン化は、通常発煙硫酸を含む硫酸中で行われる。硫酸中の発煙硫酸の濃度は約10〜60重量%、好ましくは約20〜40重量%である。反応温度は通常約60〜120℃、好ましくは約80〜110℃である。また反応時間は反応温度により変わるが通常約1時間〜10時間、好ましくは約4時間〜8時間である。反応終了後、反応液を氷水中にあけ、塩析、濾過、乾燥することにより本発明の化合物が得られる。なお、原料として、少量のフタロシアニンと大量のアザフタロシアニンの混合物を使用した場合、両者のスルホン化物の混合物として得られる。フタロシアニンのスルホン化物を除去したい場合は、通常カラムクロマトグラフィーにより分離が可能である。
【0020】
こうして得られる化合物は遊離酸の形で、あるいはその塩の形で存在する。本発明では遊離酸又はその塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩として使用できる。好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩等のアルカノールアミン塩があげられる。
【0021】
本発明で使用するアザフタロシアニン化合物は、例えばフタル酸類とピリジンジカルボン酸類とを多価金属化合物の存在下に反応させることにより製造される。フタル酸類としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、フタル酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)またはフタルイミド等があげられる。ピリジンジカルボン酸類としては、例えばピリジンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸無水物またはピリジンジカルボン酸イミド等があげられる。多価金属化合物としては、例えば塩化銅、塩化亜鉛、塩化コバルト、等があげられる。
【0022】
フタル酸類とピリジンジカルボン酸類との反応は、フタル酸類1モルに対し、ピリジンジカルボン酸類約0.2〜5倍モル、好ましくは約0.5〜3倍モル使用し、トリクロロベンゼン、スルホラン等の溶媒中で約150℃〜250℃、好ましくは約180℃〜220℃で通常約2時間〜10時間、好ましくは約4時間〜8時間反応させることによって得られる。この方法では、少量のフタロシアニンと、大量のアザフタロシアニンの混合物として得られる。通常、混合物のまま次のスルホン化反応が行われる。この方法では、通常中心部分が多価金属の錯体となったアザフタロシアニン化合物が得られる。また、このアザフタロシアニン化合物は、酸等の添加により多価金属が除去され、フリーのアザフタロシアニン化合物が得られる。
【0023】
本発明のカラーフィルターの一例について図を用いて説明する。図1(a)〜(h)は基体(ガラス板)上に異なる色の着色層を積層させた積層方式によるカラーフィルターの製法を示す図である。図1において1はガラス板、2はスピンコートして設けた光硬化性樹脂等の薄膜、2′は2をマスクを介して光硬化させた着色すべき皮膜、2″は着色層、3は不染性保護層、4はフォトマスク、5は第2の着色層、6は不染性保護膜をそれぞれ示す。
【0024】
ガラス板1上に、例えばゼラチン、カゼイン、グルー等の蛋白質系天然高分子物質と重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩との混合物またはカチオン性基を有する光硬化性合成樹脂組成物を、スピンコーティング、ローラーコーティング等の方法によって、塗布して、厚さ0.2〜2μの光硬化性薄膜2を設ける(図1(b))。次に該薄膜上に所定のパターンを有するフォトマスク4を介して紫外光を照射し、露光部を硬化させる(図1(c))。次に水等で現像し未露光部を除去し所定のパターンの被着色層2′を形成し(図1(d))、第1の色を得るための所定の光学特性を有する染料を用いて染色して第1の着色層2″を形成する(図1(e))。
【0025】
次に不染性の保護膜3を全面に設け(図1(f))、保護膜3の上に前述と同様にして着色すべき層を得るための光硬化性の塗布層を設け、マスクを介して露光、現像して所定のパターンの着色すべき層を形成させ、第2の色を得るため所定の光学特性を有する染料を用いて染色して第2の着色層5を形成する(図1(g))。次に不染性の保護膜6を全面に設ける(図1(h))。
この操作を繰返し、第3の色の着色層、更には第4の色の着色層を形成することもできる。
【0026】
本発明において染色すべき皮膜を設ける基体としては、例えばガラス板、プラスチックシート等があげられる。固体撮像素子あるいはカラーセンサー用の直載型色分解カラーフィルターにおいては、光検知部等が設けられているシリコンウエハ上に平坦化層を設けたものやシランカップリング剤等により前処理したものが基体となる。平坦化層には不染性保護膜と同じものを用いることが出来る。
【0027】
着色層となるアニオン染料可染性の光硬化型皮膜形成性組成物としては、例えば上記のゼラチン、カゼイン、グルー等の蛋白質系天然高分子物質の水溶液に重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩を添加したもの、あるいはカチオン性基を有する合成樹脂が挙げられる。カチオン性基を有する合成樹脂の例としては側鎖に光反応可能な不飽和基と第4級アンモニウム塩基とを有するポリマーと光重合開始剤及び溶剤より成る樹脂組成物、あるいはカルコン、ケイ皮酸、アジド、スチルバゾール基、エポキシ基等の光架橋基を予めポリマー中に導入したカチオン性基含有ポリマーを水または有機溶媒に溶解させた樹脂組成物、あるいは含窒素モノマーを必須構成成分の一つとして重合して得たポリマーに光架橋剤、例えばジアゾ化合物、アジドあるいはジアジド化合物を添加し、有機溶媒で稀釈した樹脂組成物が挙げられる。これらアニオン染料可染性の光硬化型皮膜形成性組成物をスピンコーティング、ローラーコーティング法等で基材上に均一に塗布した後、マスクを介して紫外線を照射し、現像すると所定の着色すべき塗布層が硬化し、水不溶性の皮膜が形成される。
【0028】
本発明における着色すべき皮膜として、水溶性ポリマーを含んだ皮膜も使用できる。この場合、通常インクジェット法等の方法で染色される。水溶性ポリマーを含んだ皮膜用の樹脂組成物としては、例えばセルロース系水溶性ポリマーを含んだアクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリウレタン、ポリエステルなどの樹脂組成物が挙げられる。これら樹脂組成物をスピンコーティング、ローラーコーティング法等で基材上に均一に塗布した後、必要に応じて加熱処理等を行うことにより、所定の着色すべき染色層が形成される。
【0029】
本発明においては、原色系のB(青)の着色層を得るための染料として、前記のスルホン酸基を有するアザフタロシアニン類を使用する。前記の皮膜を染色(着色)するには、例えば浸漬法、印捺法あるいはインクジェット法が用いられる。例えば浸漬染色法について述べると、通常0.1〜30g、より好ましくは1〜10gの式(1)のフタロシアニン化合物を水1リットルに溶解した10〜100℃の染浴中に前記の皮膜を設けた基材を、通常10秒以上60分程度浸漬した後取出し水洗して乾燥する。こうして得られた青色に着色された皮膜は、カラーフィルターとして好ましい光学特性を示す。
【0030】
不染性保護膜に使用する樹脂組成物としては、ネガ型のフォトレジスト例えばアクリル系あるいはポリビニルアルコール系ポリマーにジアゾ化合物等の光架橋剤を添加してえた樹脂組成物あるいはカルコン、ケイ皮酸等の光架橋基を予めアクリル系又はポリビニルアルコール系ポリマーに導入した樹脂組成物等があげられる。これらの樹脂組成物を使用して不染性保護膜を設ける方法としては、例えば該樹脂組成物を水または有機溶媒に溶解し、スピンコーティング法によって塗布し紫外線を照射して硬化される方法などが採用される。
【0031】
本発明のカラーフィルターを有する光学装置としては、例えばLCD(液晶表示デバイス)、色分解デバイス、カラーセンサー等があげられる。例えば、本発明のカラーフィルターを有する画像表示装置は、例えば液晶表示装置の場合、バックライト部、偏光フィルム部、液晶部、本発明のカラーフィルター部、偏光フィルム部等がこの順に積層し作製され、また画像入力装置である撮像素子の場合は、シリコン等の半導体上に形成された電荷移動素子、フォトトランジスター、フォトダイオード等を保護する保護層等の上に本発明のカラーフィルター部が形成され、作製される。
【0032】
【実施例】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
合成例1
無水フタル酸22.2g、2,3−ピリジンジカルボン酸25.1gと尿素60.1g、無水塩化銅(II)20.3g、モリブデン酸七水塩1gを200gの1,2,4−トリクロロベンゼン中、140℃で1時間加熱後、さらに昇温し200℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、アセトン200gで希釈したのち沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの5%塩酸中で1時間攪拌したのち濾過した。その後、10%アンモニア水1000mLで洗浄し乾燥したところ、43gのアザフタロシアニンを得た。このアザフタロシアニンは、中心金属が銅で、フタロシアニンが約10%、モノアザフタロシアニンが約50%、ジアザフタロシアニンが約40%(いずれもマススペクトル法によるピークの強度比)の混合物であった。乾燥粉砕したこのアザフタロシアニン43gを、900gの30%発煙硫酸に室温で添加したのち100℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却後、2000mLの氷水中に添加し沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの氷水で洗浄し乾燥し、スルホン化アザフタロシアニン55gを得た。
【0034】
合成例2
無水フタル酸33.3g、2,3−ピリジンジカルボン酸12.6gと尿素60.1g、無水塩化銅(II)20.3g、モリブデン酸七水塩1gを200gの1,2,4−トリクロロベンゼン中、140℃で1時間加熱後、さらに昇温し200℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、アセトン200gで希釈したのち沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの5%塩酸中で1時間攪拌したのち濾過した。その後、10%アンモニア水1000mLで洗浄し乾燥したところ、46gのアザフタロシアニンを得た。さらに、乾燥粉砕したこのアザフタロシアニン46gを、900gの30%発煙硫酸に室温で添加したのち100℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却後、2000mLの氷水中に添加し沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの氷水で洗浄し乾燥したところ、スルホン化アザフタロシアニン60gを得た。
【0035】
合成例3
無水フタル酸11.1g、2,3−ピリジンジカルボン酸37.7gと尿素60.1g、無水塩化銅(II)20.3g、モリブデン酸七水塩1gを200gの1,2,4−トリクロロベンゼン中、140℃で1時間加熱後、さらに昇温し200℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、アセトン200gで希釈したのち沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの5%塩酸中で1時間攪拌したのち濾過した。その後、10%アンモニア水1000mLで洗浄し乾燥したところ、40gのアザフタロシアニンを得た。さらに、乾燥粉砕したこのアザフタロシアニン40gを、800gの30%発煙硫酸に室温で添加したのち100℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却後、2000mLの氷水中に添加し沈殿物を濾過した。濾取した沈殿物を1000mLの氷水で洗浄し乾燥したところ、スルホン化アザフタロシアニン40gを得た。
【0036】
実施例1
光学ガラス(光の透過性にすぐれた高純度ガラス板)上にカヤミラーCFR−633DHP(日本化薬(株)製アクリル系アニオン染料可染性感光性樹脂組成物)をスピンコート法によりコートし、膜厚が0.6μmになるように皮膜を形成する。続いて紫外線の照射をマスクを介して行い、ついで現像すると、所定の着色すべきパターンの水不溶性の皮膜が形成される。この皮膜を有する光学ガラス基板を、前記合成例1の化合物の0.2%水溶液中に80℃で10分浸漬して染色し、青色着色膜を設けた。
【0037】
この青色着色部の分光透過率曲線を測定したところ、600nm近辺での透過率は1%以下で、トップ透過率が460nm付近で90%を示し、カラーフィルターの青色部として、良好な分光特性を示した。また、カーボンアークフェードメーター(スガ試験機製)に、20時間露光した時の濃度変化(ΔE)は、10以下で非常に優れた耐光性を示した。また、220℃のホットプレート上で31分間加熱した後の濃度変化(ΔE)は、10以下で非常に優れた耐熱性を示した。また、各工程における染料の溶出は見られず、良好であった。
【0038】
比較例1
染料をC.I.Acid Blue 83に代えた他は実施例1と同じ方法によって作成した着色ガラス板の青色着色部の分光透過率曲線は、合成例1で得た曲線と近似していたが、実施例1に示した耐光、耐熱試験を行ったところ表1の結果のとおり著しく赤変し、もはや青色とはいえない色に変色してしまった。
【0039】
実施例2
実施例1と同様の操作により得られたパターン状に樹脂を載置したガラス板を、合成例2の化合物の0.2%水溶液中で80℃で10分間染色を行い青色のパターン状に着色されたガラス板を得た。青色着色部の分光透過率曲線を測定したところ、600±30nmの領域での透過率は1%以下で、トップ透過率が460nm付近で90%を示し、カラーフィルターの青色部として、良好な分光特性を示した。また、カーボンアークフェードメーター(スガ試験機製)に、20時間露光した時の濃度変化(ΔE)は、10以下で非常に優れた耐光性を示した。また、220℃のホットプレート上で31分間加熱した後の濃度変化(ΔE)は、10以下で非常に優れた耐熱性を示した。また、各工程における染料の溶出は見られず、良好であった。
【0040】
比較例2
染料をC.I.Acid Blue 90に代えた他は実施例1と同じ方法によって作成した着色ガラス板の青色着色部を、実施例2に示した方法で耐熱試験を行ったところ、表1に結果を示すように著しく退色しており、もはや青色とはいえない色に変色してしまった。
【0041】
実施例3
光学ガラス上にFCR−500(富士薬品工業(株)製、ゼラチン水溶液)4部に対し重クロム酸アンモニウムの8%水溶液1部を混合し脱泡した感光液をスピンコート法により膜厚1μmになるように塗布し、80℃で10分間プリベークした後、所定のパターンを有するマスクを介してマスクアライメント装置MA−10型(ミカサ(株)製)を用い300ミリジュール/cm 2 のエネルギー量で露光後、40℃の温水中で現像した。次いで120℃で10分間ポストベークしゼラチン膜を硬化させた。
【0042】
次いで酢酸でpH5に調製した合成例1の化合物の0.2%水溶液中に80℃で10分間浸漬し水洗し、所望の青色パターンを形成した。次に固着条件であるが、まず0.3%のタンニン酸を用いて80℃で5分間処理し、次いで0.1%の吐酒酸を用いて70℃で5分間処理し、最後に180℃で5分間処理することによって固着を行い、第一の青色の着色層を設けた。次に、前述と同様にして感光性ゼラチン層を設け、露光、現像し、PC Red 136P(日本化薬(株)製カラーフィルター用染料)の0.5%水溶液に60℃で10分間浸漬して染色後前述と同様に固着防染処理を施し、第2の赤色の着色層を設けた。次に、前述と同様にしてゼラチン層の別の部分をPC Green FOP(日本化薬(株)製カラーフィルター用染料)の0.5%水溶液中で60℃で15分間染色後固着防染処理を施し、第3の緑色着色層を設けた。なお3回目の固着防染処理に供されたタンニン酸浴及び定着浴への青色染料の溶出は認められなかった。
【0043】
得られたカラーフィルターは、ブルー、レッドとグリーンの3色から成り液晶ディスプレー用として好適であった。ブルーの着色部の分光透過率曲線を測定したところ、570〜630nmの領域での透過率は1%以下で、トップ透過率が460nm付近で90%を示し、カラーフィルターの青色部として、良好な分光特性を示した。また、カーボンアークフェードメーター(スガ試験機製)に、20時間露光した時の濃度変化(ΔE)は、10以下で非常に優れた耐光性を示した。
【0044】
比較例3第1の青色着色部を得るのに使用する青色染料をC.I.Acid Blue 62に代えた他は実施例3と同じ方法によってカラーフィルターを作製した。そして、そのカラーフィルターの青色着色部の分光透過率曲線を測定したところ、実施例3と近似していたが、実施例1に記述した耐熱、耐光試験を行ったところ、表1に示すように青色着色部が著しく赤変していた。
【0045】
表1
試料 耐光性 耐熱性
実施例1 9.5 9.3
実施例2 9.3 9.0
実施例3 9.5 9.2
比較例1 160以上 160
比較例2 120以上 110
比較例3 55 20
【0046】
注)
耐熱性: ホットプレート 220℃で31分間熱処理 濃度変化(ΔE)で表示
耐光性: カーボンアーク 20時間照射 濃度変化(ΔE)で表示
【0047】
この表1から実施例と比較例を対比すると、実施例の方が比較例よりも耐熱、耐光性の点において、非常に優れているということが明らかとなった。
【0048】
【発明の効果】
カラーフィルター用の青色染料として本発明のアザフタロシアニン化合物を使用する事により、色特性、耐光、耐熱性を兼備した青色着色皮膜を載置したカラーフィルターが出来るようになった。すなわち、青色の着色層の色特性が有れ、カラーフィルターを組込んだデバイスの製造工程で印加される熱に対する耐性及び最終製品に要求される光耐性が良好なため、表示用カラーフィルターとして色バランスのとれたカラー画像を得ることができ、また色分解用カラーフィルターとして忠実な色再現性を得ることができる。また、本発明で使用する色素は、被着色基材がアクリル系の光硬化性合成樹脂の場合には殊に有用であるが、これに限定されるものではなく天然基材の場合にも適用できる。更に、前述した染色法の製造プロセス(2)の固着処理を伴う製造時に問題となる固着浴への着色槽からの染料の溶出がなく、固着防染能力が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、基体(ガラス板)上に異なる色の着色層を積層させた積層方式によるカラーフィルターの製法を示す図である。
【符号の説明】
(a)は基体(ガラス板)を、(b)は光硬化型薄膜の設けられたガラス板を、(c)は光硬化性薄膜にフォトマスクを介して紫外光を照射する工程を、(d)は被着色層に設けられたガラス板を、(e)は被着色層を染色する工程を、(f)は着色層に不染性の保護膜を設ける工程を、(g)は第2の着色層を設ける工程を、(h)は第2の不染性の保護膜を設ける工程をそれぞれ表している。
Claims (7)
- アザフタロシアニン化合物をスルホン化して得られるフタロシアニン類で着色されたカラーフィルター。
- スルホン化が発煙硫酸を含む硫酸中で行われる請求項1に記載のカラーフィルター。
- アザフタロシアニン化合物が、フタル酸類とピリジンジカルボン酸類とを反応させて得られる化合物である請求項1または2に記載のカラーフィルター。
- フタル酸類とピリジンジカルボン酸類との使用割合が、フタル酸類1モルに対しピリジンジカルボン酸類0.2〜5モルである請求項3に記載のカラーフィルター。
- フタル酸類がフタル酸、無水フタル酸、フタル酸塩またはフタルイミドである請求項3または4に記載のカラーフィルター。
- ピリジンジカルボン酸類がピリジンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸無水物またはピリジンジカルボン酸イミドである請求項3ないし5のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカラーフィルターを有する画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18888399A JP4367731B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 新規フタロシアニン類及びカラーフィルター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18888399A JP4367731B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 新規フタロシアニン類及びカラーフィルター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001011331A JP2001011331A (ja) | 2001-01-16 |
JP4367731B2 true JP4367731B2 (ja) | 2009-11-18 |
Family
ID=16231556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18888399A Expired - Fee Related JP4367731B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 新規フタロシアニン類及びカラーフィルター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4367731B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002088256A1 (fr) * | 2001-04-27 | 2002-11-07 | Daiwa Dyestuff Mfg. Co., Ltd. | Colorant soluble dans l'eau et resistant a l'oxydation forme d'un complexe cuivre/compose de phtalocyanine, composition de colorant contenant ce complexe et fluide de marquage |
JP4516744B2 (ja) * | 2003-12-18 | 2010-08-04 | 富士フイルム株式会社 | フタロシアニン化合物、インク、インクジェット記録方法、および画像形成方法 |
JP2010196062A (ja) * | 2010-03-23 | 2010-09-09 | Fujifilm Corp | フタロシアニン化合物、インク、インクジェット記録方法、および画像形成方法 |
-
1999
- 1999-07-02 JP JP18888399A patent/JP4367731B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001011331A (ja) | 2001-01-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI515267B (zh) | 含有染料之藍色著色組成物、彩色濾光片、具備它之液晶顯示裝置及有機el顯示器 | |
JPS60237403A (ja) | カラ−フィルタ−およびその製造方法 | |
JP2000162429A (ja) | カラ―フィルタ―およびこれを備えた液晶表示装置 | |
TW200537134A (en) | Colored composition for color filter and color filter | |
CN102053496A (zh) | 着色感光性树脂组合物 | |
JP3681137B2 (ja) | カラーフィルター及び光学装置 | |
KR102116439B1 (ko) | 프탈로시아닌 안료, 착색 조성물 및 컬러필터 | |
JP5949246B2 (ja) | カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ | |
JP3651854B2 (ja) | アンスラキノン化合物及びそれを用いたカラーフィルター | |
JP2017198815A (ja) | カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ | |
JP2001004823A (ja) | カラーフィルター | |
JP4367731B2 (ja) | 新規フタロシアニン類及びカラーフィルター | |
JPH09291238A (ja) | カラーフィルタ用青色インク組成物及びそれを用いるカラーフィルタの製造方法 | |
JP2701169B2 (ja) | カラーフィルター | |
JP3729535B2 (ja) | キノフタロン化合物、該化合物を含有するフィルター用組成物及びカラーフィルター | |
JPH03100502A (ja) | カラーフィルター | |
JPH09291240A (ja) | カラーフィルタ用緑色インク組成物及びそれを用いるカラーフィルタの製造方法 | |
JP2652064B2 (ja) | カラーフィルター | |
JP3274245B2 (ja) | カラーフィルタの製造方法 | |
TW201835115A (zh) | 組成物、濾色器及血紅蛋白感測器 | |
JP2652071B2 (ja) | カラーフィルター | |
JP3026856B2 (ja) | アンスラキノン化合物を用いたカラ−フィルタ− | |
JPH0820565B2 (ja) | カラ−フイルタ−の製造方法 | |
JP3512254B2 (ja) | フタロシアニン色素、該色素を含有するフィルター用組成物およびカラーフィルター | |
JP2701168B2 (ja) | カラーフィルター |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050722 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090618 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090731 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090820 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090820 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120904 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150904 Year of fee payment: 6 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |