JP4367639B2 - 魚肉等を原料とする粉末状調味料の製造方法 - Google Patents
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しかし、これらの方法では製造に1年以上を要し、その間に魚介類由来の脂肪が酸化して油焼け臭が発生したり、原料の鮮度低下によるアミン臭が発生したりして、魚臭さなどのクセを有し、汎用性の低い製品になっていた。
試みが多数行われてきた。
(1)魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法において、
1.原料魚を切りおろしする工程、
2.前記切りおろしした魚肉片を煮熟する工程、
3.前記煮熟された魚肉片を冷却する工程、
4.前記冷却された魚肉片をフレーク状に分断する工程、
5.前記フレーク状に分断されたフレーク状魚肉を乾燥して、水分を30〜55%に調整する工程、
6.前記水分調整したフレーク状魚肉に麹菌を撒布する工程、
7.前記麹菌を撒布したフレーク状魚肉を、30〜45℃で、48〜72時間かけて培養する工程、
8.前記培養を終えたフレーク状魚肉を焙乾により、水分を7〜15%にする工程、及び
9.前記焙乾したフレーク状魚肉を粉砕する工程、
を採用することを特徴とする魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。
(2)前記(1)項記載の魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法において、水分調整したフレーク状魚肉に撒布される麹菌が、Aspergillus oryzae IFO 4176、Aspergillus sojae IFO 4200、Aspergillus awamori IFO 4033、及びAspergillus kawachii IFO 4308から選択されるいずれか1つ又は2以上を含むものであることを特徴とする粉末状調味料の製造方法。
(3)フレーク状魚肉を乾燥して、水分を30〜55%に調整する工程が、フレーク状魚肉を、(a)焙乾、(b)単純乾燥、(c)吸湿剤を使用する乾燥、(d)ブドウ糖、砂糖、デキストリン、でんぷん等の糖類又は炭水化物を添加することによる吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して4〜20重量部添加)、又は(e)フスマを添加することによる吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して5〜100重量部添加)から選択されるいずれか1つ又は2つ以上によるものであることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の粉末状調味料の製造方法。
(4)切りおろしされた魚肉片に代えて、原料魚の切りおろし屑又はだし汁を抽出した残りの節を使用して蒸煮することを特徴とする前記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。
(5)魚肉として、だし取りされた削り節又は粉の節を原料とする粉末状調味料の製造方法であって、
1.前記削り節又は粉の節を煮熟し、固形分と煮汁に分離する工程、
2.前記で分離された固形分の水分を30〜55%に調整する工程、
3.前記水分調整した固形分を冷却する工程、
4.前記冷却した固形分100重量部に対して麹菌0.05〜0.10重量部を撒布し、30〜45℃で、2〜7日間かけて培養する工程、
5.前記培養を終えた固形分を焙乾により、水分を7〜15%にする工程、及び
6.前記焙乾した固形分を粉砕する工程、
を採用することを特徴とする魚肉として、だし取りされた削り節又は粉の節を原料とする粉末状調味料の製造方法。
(6)前記培養を終えた固形分を焙乾により、水分を7〜15%にした固形分を粉砕して得られた粉末を、ティーバッグに充填してティーバッグ充填粉末状調味料となすことを特徴とする前記(5)項記載の粉末状調味料の製造方法。
(7)前記(5)又は(6)で麹菌を撒布して培養された固形分に水を加えて数回抽出し、得られた抽出液を濃縮し、さらに乾燥して粉末状調味料となすことを特徴とする粉末状調味料の製造方法。
また、その製造は短時間(例えば4〜5日間程度)でできる点で有利であり、かつ連続式な自動生産が可能であり、大量生産でき、したがって生産コストも大幅に低減できる。従来の魚醤や魚醤油のような魚介類由来の臭みが無く、しかも香ばしくかつ甘い香気を有し、さらにうま味成分に富んだ水産発酵調味料が製造可能である。
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すフローチャート図であり、
図面上方から下方へ、矢印にしたがって作業工程が進行するように示されている。
すなわち、以下のごとく行われる。
[原料(カツオ、マグロ、サバ等)]→[切断(頭、内臓、ヒレ等が除かれ、肉は一定の大きさに切断される)]→[レトルト処理(100〜120℃で30〜60分間)]→[冷却(無菌室で常温まで急速に、又は一晩低温室に放置する)]→[骨の除去]→[フレーク製造(肉片をフレーク状に分断)]→[水分調整(*焙乾、*単純乾燥、*吸湿剤に接触、*ブドウ糖、デンプン等を添加接触(5%程度)、*フスマを添加接触(5〜100%程度)により、含水率30〜55%に調整する。)]→[麹菌の撒布(麹菌の胞子を撒布(0.05〜0.10%))]→[麹菌培養(30〜45℃、48〜72時間)]→[焙乾(含水率10%以下とする)]→[(粉砕)]→[麹菌製品(粉末状調味料)]
それら原料は、通常、まず切りおろしされ、次いで切りおろしした魚肉片は煮熟された後、冷却され、そして冷却された魚肉片をフレーク状に分断する。
なお、この分断されたフレーク状魚肉を、例えばオートクレーブにより殺菌処理を十分に施しておけば、その後の処理工程において好ましくない雑菌が繁殖しないため、麹菌による純粋培養環境が整う。
また、一般に不良菌と言われる枯草菌は、不快臭を生じ、ネト状となって食品として不適当なものとなる。
ここで、フレーク状魚肉を乾燥して、水分を30〜55%に調整する工程においては、例えば下記(a)〜(e)手段のいずれか1つ又は2以上の組み合わせを採用することができる。
すなわち、冷却されたフレーク状魚肉を、(a)焙乾すること、(b)例えば単に1〜2日間日に当ててるだけで単純乾燥すること、(c)吸湿剤を使用して乾燥すること、(d)ブドウ糖、砂糖、デキストリン、でんぷん等の糖類又は炭水化物を添加することによって吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して4〜20重量部添加)すること、又は(e)フスマを添加することによって吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して5〜100重量部添加)すること。
撒布する麹菌としては、Aspergillus oryzae IFO 4176、Aspergillus sojae IFO 4200、Aspergillus awamori IFO 4033、及びAspergillus kawachii IFO 4308から選択されるいずれか1つ又は2以上を含むものが好ましい。
Aspergillus oryzae IFO4176やAspergillus sojae IFO 4200は、呈味性のあるアミノ酸、特にグルタミン酸量を増大させることと魚臭を低減させるため、好ましいものである。
その散布量は、フレーク状魚肉1000kgに対して、500〜1000gが好ましく、培養室の温度は30〜35℃、湿球 は23〜25℃、培養時間は48〜72時間が好ましい。
その間、4〜5時間毎に攪拌して、水分と品温を調整することが好ましい。
この培養処理により、グルタミン酸含有量200mg以上/100gとなる。
焙乾の方法としては、薪が燃やされている窯(手火山)の上に前記フレーク状魚肉を置いて、10〜30時間程度、熱気と煙に曝す方式が採用される。この焙乾には、手火山の代わりに、大型燻煙庫である急造庫又は燻煙乾燥機が用いられる場合もある。
この焙乾によって、フレーク状魚肉の乾燥と脂肪の酸化防止に役立つという効果が得られる。
粉砕度は、粒径50〜2000μm程度とする。
得られた粉末状調味料は、袋詰めされ、又はビン等の容器に入れられて製品として提供される。
あるいは、ティーバッグに詰められて製品とされる。
なお、上記においてコスト低減のため、原料として、切りおろしされた魚肉片に代えて、原料魚の切りおろし屑又はだし汁を抽出した残りの節を使用してレトルト処理してもよい。
実施例1:(魚肉を原料とする微粉末調味料の製造例)
1.原料魚として体重約10kgのカツオ1本を用意し、それを三枚に下ろした後、カツオの片身をさらに4つに切断する。
2.次に、前記切断したカツオの片身(2.5kg)を、レトルトで30〜60分間蒸煮する。
3.前記により蒸煮したカツオの片身を冷却した後、フレーク状に細断(フレーク単体のサイズ=5〜6cm×0.5cm×0.5cm)する。
4.得られたフレーク状細片を焙乾(80〜90℃、2〜3時間)し、水分を調整(含水率30〜55%)する。
5.次に、前記により水分調整したフレーク体(4kg)にAspergillus oryzae IFO 4176の胞子(4g)を撒布した後、30℃、湿球23℃の麹室において、布で包んで盤上に載置する。そして、4〜5時間ごとに内容物を攪拌して発酵・培養を進める。
6.前記発酵・培養を24時間行った後に、発酵・培養処理した混合物を、箱の上敷いた布面上に薄く広げる。それから、4,5時間毎に手入れをする。
7.上記により麹室における発酵・培養処理を48時間行った後、発酵・培養処理済み物を麹室から外部に出し、焙乾(80〜90℃、4〜6時間)する。
8.前記により焙乾した物を、ミキサーにかけて粉砕し、粉末(粒径50〜2000μm)とし、製品の魚肉等を原料とする粉末状調味料を得る。
Claims (7)
- 魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法において、
1.原料魚を切りおろしする工程、
2.前記切りおろしした魚肉片を煮熟する工程、
3.前記煮熟された魚肉片を冷却する工程、
4.前記冷却された魚肉片をフレーク状に分断する工程、
5.前記フレーク状に分断されたフレーク状魚肉を乾燥して、水分を30〜55%に調整する工程、
6.前記水分調整したフレーク状魚肉に麹菌を撒布する工程、
7.前記麹菌を撒布したフレーク状魚肉を、30〜45℃で、48〜72時間かけて培養する工程、
8.前記培養を終えたフレーク状魚肉を焙乾により、水分を7〜15%にする工程、及び
9.前記焙乾したフレーク状魚肉を粉砕する工程、
を採用することを特徴とする魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。 - 請求項1記載の魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法において、水分調整したフレーク状魚肉に撒布される麹菌が、Aspergillus oryzae IFO 4176、Aspergillus sojae IFO 4200、Aspergillus awamori IFO 4033、及びAspergillus kawachii IFO 4308から選択されるいずれか1つ又は2以上を含むものであることを特徴とする魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。
- フレーク状魚肉を乾燥して、水分を30〜55%に調整する工程が、フレーク状魚肉を、(a)焙乾、(b)単純乾燥、(c)吸湿剤を使用する乾燥、(d)ブドウ糖、砂糖、デキストリン、でんぷん等の糖類又は炭水化物を添加することによる吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して4〜20重量部添加)、又は(e)フスマを添加することによる吸湿乾燥(フレーク状魚100重量部に対して5〜100重量部添加)から選択されるいずれか1つ又は2つ以上によるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。
- 切りおろしされた魚肉片に代えて、原料魚の切りおろし屑又はだし汁を抽出した残りの節を使用して蒸煮することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚肉を原料とする粉末状調味料の製造方法。
- 魚肉として、だし取りされた削り節又は粉の節を原料とする粉末状調味料の製造方法であって、
1.前記削り節又は粉の節を煮熟し、固形分と煮汁に分離する工程、
2.前記で分離された固形分の水分を30〜55%に調整する工程、
3.前記水分調整した固形分を冷却する工程、
4.前記冷却した固形分100重量部に対して麹菌0.05〜0.10重量部を撒布し、30〜45℃で、2〜7日間かけて培養する工程、
5.前記培養を終えた固形分を焙乾により、水分を7〜15%にする工程、及び
6.前記焙乾した固形分を粉砕する工程、
を採用することを特徴とする魚肉として、だし取りされた削り節又は粉の節を原料とする粉末状調味料の製造方法。 - 前記培養を終えた固形分を焙乾により、水分を7〜15%にした固形分を粉砕して得られた粉末を、ティーバッグに充填してティーバッグ充填粉末状調味料となすことを特徴とする請求項5記載の粉末状調味料の製造方法。
- 請求項5又は6で麹菌を撒布して培養された固形分に水を加えて数回抽出し、得られた抽出液を濃縮し、さらに乾燥して粉末状調味料となすことを特徴とする粉末状調味料の製造方法。
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