JP7350542B2 - 香味油の製造方法 - Google Patents
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Description
乾燥野菜のみを使用した場合に風味がよくない原因としては、本発明者らの鋭意研究によって乾燥により野菜の揮発性成分が失われるためと、乾燥時に細胞壁が収縮して硬化するため、細胞内の成分抽出が難しくなるためであると考えられた。
具体的な野菜名としては、タマネギ(オニオン)、ニンジン、キャベツ、ハクサイ、ホウレン草、チンゲン菜、ピーマン、トマト、ブロッコリー、コーン、キヌサヤ、ジャガイモ、サトイモ、トウガラシ、ニンニク、チョウジ、パセリ、シイタケ、シメジ、ヒラタケ、マイタケ、マッシュルーム、タケノコ、ワカメ、コンブ、アオノリ、アオサ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特にタマネギは、生タマネギ100gあたり糖質が7.0g程度含まれている(七訂 炭水化物成分表 文部科学省)点から好ましい。
次に、本発明においては、乾燥野菜を利用するが、当該乾燥方法は特に限定されない。すなわち、熱風乾燥(AD乾燥)、凍結乾燥(FD乾燥)、自然乾燥等の種々の乾燥方法による乾燥野菜を使用することができる。また、使用する野菜については1種のみでなく、2種以上の複数種であってもよい。
また、本発明においては、乾燥野菜及び、生又は冷凍野菜を混合して使用するが、当該野菜類(乾燥野菜及び、生又は冷凍野菜の混合物)の内訳として、乾燥野菜100重量部に対して生又は冷凍野菜を10~60重量部とすることが好ましく、特に20~30重量部とすることが、香味油の風味にバラつきがなく良好であるという点から好ましい。このように乾燥野菜のみでなく、これと生又は冷凍野菜の両方を利用することで乾燥野菜のみでは得られない、先味の強い香味油を得ることができる。
当該酵素処理の工程は、野菜類の細胞壁などを壊れやすくし、これによって野菜類の細胞内成分がアミノ酸と接触することが容易となる。さらに、その後の工程において細胞内成分とアミノ酸が高温条件下にてメーラード反応を起こすことを意図している。
また、アミノ酸については溶液状態とする場合のみでなく、粉末状態のものを野菜類に添加するような形態も可能である。さらに、アミノ酸については複数種を用いてもよいことは勿論である。
また、この工程においては、後述する食用油脂を予め添加しておいて、酵素含有溶液による処理を食用油脂中で行うことも可能である。このようにすることで、製造工程を簡易化することが可能となる。尚、この場合、食用油脂の添加前に、アミノ酸を野菜類に添加しておくことが好ましい。例えば、酵素含有溶液にはアミノ酸も含有していると好適である。
使用する食用油脂の量は目的とする香味油の種類によって任意に設定でき、特に限定されないが、概ね野菜類1重量部に対して16~25重量部とすることが好ましく、特に20~25重量部とすることが、香味油の工業的生産性と野菜類等の風味が良好であるという点から好ましい。
また、加熱時間は5分~30分程度とすることが好ましい。撹拌は特に条件はないが、容器底部に野菜類が付着しないよう、例えば、回転式の攪拌を行う場合には、50~1000回転/minで行うことが好ましい。
尚、アミノ酸及び食用油脂については、上記の加熱工程の前に酵素処理した野菜類に対して添加する態様でも可能である。すなわち、本発明においては、野菜類(乾燥野菜及び、生又は冷凍野菜の混合品)由来の糖とアミノ酸を共存状態で加熱することが必要であり、これが実現できる限り、種々の態様が可能である。
また、本発明の香味油は種々の食品に利用することができる。例えば、本発明の香味油を含む液体調味料として利用することができる。
さらに、加工食品に好適に利用することもできる。例えば、即席麺(即席カップ麺、袋麺)における添付のスープ原料に利用することができる。また、添付の調味油、シーズニングオイルとして利用してもよいことは勿論である。
乾燥野菜と、生又は冷凍野菜の重量比の影響による風味の違いを調べた。
〔試験区1〕
─サンプルの製造─
原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20gを混合した状態において、酵素含有溶液(0.1重量%のセルラーゼ及び0.0375重量%のペクチナーゼ及び2重量%のアミノ酸(リジン塩酸塩を含む))を20g添加し、ポリ袋にて攪拌した後、30分間保持し、原料の水戻し処理を実施した。
水戻し処理の後、油脂(キャノーラ油)495gを添加して、ガスコンロにおいて攪拌しながら加熱し、50℃で60分保持し、酵素処理を実施した。
酵素処理の後、ガスコンロにおいて撹拌しながら加熱し、加熱温度として140℃に達した時点(到達温度140℃)で消火し、加熱処理を実施した。加熱処理後において、濾布(200Mesh相当)濾過によって油層と沈殿層を分離し、油脂層を採取してサンプルとして利用した。
得られたサンプルについて熟練のパネラー5名によって官能試験を行った。官能試験はロースト感と野菜感の二つを評価項目として各パネラーが評価し、これらの総合評価によって、△:普通、〇良い、◎非常に良い、の3段階で評価した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)2gを混合した状態において、酵素含有溶液を添加した点を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)4gを混合した状態において、酵素含有溶液を添加した点を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)6gを混合した状態において、酵素含有溶液を添加した点を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)8gを混合した状態において、酵素含有溶液を添加した点を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)10gを混合した状態において酵素含有溶液を添加した点、を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
試験区1において、原料野菜として、乾燥オニオン(AD乾燥品)20g及び冷凍オニオン(6.4mm角ダイス状)12gを混合した状態において、酵素含有溶液を添加した点を除き、試験区1と同様に処理した。結果を表1に示す。
酵素処理後の野菜類について加熱時の温度の影響を調べた。
〔試験区8〕
試験区4において、加熱温度を110℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
試験区4において、加熱温度を120℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
試験区4において、加熱温度を125℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
試験区4において、加熱温度を130℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
試験区4と同一の処理である。結果を表2に示す。
試験区4において、加熱温度を145℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
試験区4において、加熱温度を150℃とした点を除いて、試験区4と同様に処理した。結果を表2に示す。
酵素処理(酵素含有溶液を利用)を行わない場合の影響について調べた。
〔試験例15〕
官能評価において熟練のパネラー6名によって官能試験を行った点を除いて、試験区4と同一の処理である。結果を表3に示す。
官能評価において熟練のパネラー6名によって官能試験を行った点及びアミノ酸を含む酵素含有溶液を使用せずに水を用いた点を除いて試験区4と同様に処理した。結果を表3に示す。
アミノ酸の添加の有無の影響について調べた。
〔試験例17〕
官能評価において熟練のパネラー6名によって官能試験を行った点を除いて、試験区4と同一の処理である。結果を表4に示す。
官能評価において熟練のパネラー6名によって官能試験を行った点及び酵素含有溶液についてアミノ酸を含有しない点を除いて試験区4と同様に処理した。結果を表4に示す。
Claims (6)
- 乾燥野菜100重量部、及び、生又は冷凍野菜10~60重量部を、セルラーゼ及び/又はペクチナーゼを含む酵素によって酵素処理し、アミノ酸及び油脂と混合した状態で加熱処理することを特徴とする香味油の製造方法。
- 前記酵素処理において、アミノ酸を含有する酵素含有溶液を利用する請求項1に記載の香味油の製造方法。
- 前記アミノ酸が、アルギニン、イソロイシン、グルタミン、シスチン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン及びロイシン、並びに、これらの塩類からなる群より選択される1種又は2種以上のものである請求項1又は2のいずれかに記載の香味油の製造方法。
- 請求項1~3のいずれかに記載の製造方法により得られる香味油。
- 請求項4記載の香味油を含有する食品。
- 前記食品が液体調味料である請求項5記載の食品。
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