JP2009254286A - 風味油の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥野菜類や乾燥果実類を原料とし、風味が良好で、フラボノイド類に富んだ風味油の製造方法を提供する。
【解決手段】次の(A)及び(B)の工程:
(A)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類を酵素含有溶液と混合する工程、
(B)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類に食用油脂を加えて攪拌する工程、
を含む操作を行い、その後食用油脂を分取する風味油の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類から風味成分を抽出する風味油の製造方法に関する。
長ネギ、タマネギ、生姜、ニンニク等の香味野菜類や、リンゴ、イチゴ、モモ、ミカン等の果実類から、動植物油脂を用い、加熱抽出等によりその風味成分を抽出した油脂が、各種食品の製造工程や製品の味付け、香り付け又はコク付けを目的として広く使用されている。これらは、シーズニングオイル、風味油、着香油、調味油、香味油などと呼ばれている。
風味油の製造方法としては、例えば、天然源植物性可食材料と、可食性油脂類とを、調合香料組成物の存在下に加熱変性処理(加水分解等)し、得られた加熱変性処理物から生成した加熱変性処理ずみ香味成分を分離採取する方法(特許文献1)、水分60%以上の生野菜を植物油脂と共に加熱した後、油相を採取する方法(特許文献2)、水分30%以下の乾燥ないし半乾燥植物性食品を油脂に加え、加熱した後に油相を採取する方法(特許文献3)、植物性食用油脂を用い、温度等の条件を変化させて多段階で抽出する方法(特許文献4)、食用油脂と風味賦与物を混合し、常圧加熱処理後水分存在下に加圧加熱処理する方法(特許文献5)、野菜等の風味性材料を加熱後に食用油脂に配合し抽出する方法(特許文献6)等、油脂に直接風味成分を抽出する技術が一般的に知られている。また、新鮮な風味を持った風味油を得る方法として、野菜ジュースを得た後に酵素処理を行い、その後油脂で抽出する方法(特許文献7)、生タマネギに水及び酵素を加えて酵素反応し、その後油脂を加えて加熱処理した後に油相部を採取する方法(特許文献8)等、酵素を作用させる工程を組み合わせた技術も提案されている。
特開昭58−40063号公報 特公昭59−4972号公報 特開平3−254638号公報 特公平1−39732号公報 特公平5−81214号公報 特開平10−262561号公報 特開2003−135000号公報 特開2008−61589号公報
前述の従来技術は、いずれも野菜類由来の有効成分を動植物油脂で抽出する方法であるが、その多くは生野菜類を原料としているため、保管する際の場所や条件に制限があるだけでなく、製造に関しても前処理加工工程に人手を要したり、価格変動の影響を受け易い等の課題がある。また、上記のような制限のない乾燥野菜類を原料とし、その有効成分を油脂で抽出しようとすると風味が良くないことが判明した。更に、野菜類に含まれるフラボノイド類は配糖体が多いが、これは通常の油脂では抽出され難いという事実が判明した。
従って、本発明の目的は、乾燥野菜類や乾燥果実類を原料とし、風味が良好で、フラボノイド類に富んだ風味油の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者は、上記の課題を解決すべく検討を行った結果、乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類を原料とし、食用油脂処理と酵素含有溶液処理とを併用することで、風味が良好でかつ食用油脂中のフラボノイド類の含有量が増大することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、次の(A)及び(B)の工程:
(A)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類を酵素含有溶液と混合する工程、
(B)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類に食用油脂を加えて攪拌する工程、
を含む操作を行い、その後食用油脂を分取する風味油の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の方法により得られる風味油、及び該風味油を含有する食品を提供するものである。
本発明の風味油の製造方法を用いることにより、乾燥野菜類や乾燥果実類を原料としてもフラボノイド類に富んだ風味良好な風味油を得ることができる。
本発明で用いられる乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類(以下、これらを総称する場合は、単に「乾燥野菜類等」と表記する)の種類としては特に制限はないが、水分量が30質量%(以下、単に「%」と表記する)以下であることが、風味が良好である点から好ましい。また、形態は粉末でない加工品であることが、風味が良好である点から好ましい。野菜類としては、例えば、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、シュンギク、小松菜、カラシナ、シソ、セリ、アスパラガス、ニラ、パセリ、ミツバ等の葉菜類;ショウガ、ニンニク、ニンジン、ダイコン、カブ、ゴボウ、ワサビ等の根菜類;タマネギ、長ネギ、フキ、セロリ等の茎菜類;カリフラワー、ブロッコリー、ミョウガ等の花菜類;キュウリ、カボチャ、トマト、ナス、ピーマン、シシトウガラシ等の果菜類等が挙げられる。特に、フラボノイド類を高含有する点からタマネギが好ましい。
果実類としては、例えば、スイカ、メロン、マクワウリ等のウリ科の果実;ミカン、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、レモン、ライム等のミカン科果実;モモ、リンゴ、ウメ、スモモ、イチゴ、カリン、ビワ、梨、西洋梨、アンズ等のバラ科果実;バナナ等のバショウ科の果実;パイナップル等のパイナップル科の果実;キウイ等のマタタビ科の果実;アボガト等のクスノキ科の果実;パパイア等のパパイア科の果実等が挙げられる。特に、フラボノイド類を高含有する点からブドウが好ましい。
本発明の風味油の製造方法に使用する乾燥野菜類等は、以上例示したような野菜類、果実類から選択される1種の乾燥品でも良いし、2種以上の乾燥品を組み合わせて使用しても良い。
本発明において使用する乾燥野菜類等は、その粒径は、1〜20mm、更に2〜12mm、特に3〜8mmとすることが、風味の点から好ましい。加工用具又は加工機として包丁、ダイスカッター、スライスカッター、ミキサー、粉砕機等、乾燥野菜類等の大きさや量等に合わせ、適宜任意のものを選択し、適宜任意の使用条件により成形加工することができる。ここでいう粒径とは平均粒径をいい、球形の場合は直径(又は長径)の平均、多面体の場合は対角線長の平均をいうが、以下形状に関わらず単に平均粒径と表す。
本発明においては、(A)乾燥野菜類等を酵素含有溶液と混合する工程を採る。酵素としては、セルラーゼ、グルタミナーゼ、ペクチナーゼ及びプロテアーゼから選択される1種又は2種以上を用いることが、フラボノイド類の抽出効率、風味の点から好ましい。セルラーゼとしては、例えば、セルロシンAC−40(エイチビーアイ(株))等が挙げられる。グルタミナーゼとしては、例えば、グルタミナーゼダイワ(大和化成(株))等が挙げられる。ペクチナーゼとしては、例えば、スクラーゼN(三共(株))等が挙げられる。プロテアーゼとしては、例えば、プロテアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株))等が挙げられる。なお、ここでいう「乾燥野菜類等を酵素含有溶液と混合する」の工程は、乾燥野菜類等にまず水を加え、その後に酵素を添加するという方法でも良く、結果的に乾燥野菜類等が酵素溶液と混合されていれば良いということを意味する。また、乾燥野菜類等にまず水を加える場合には、水のpHは3〜8としておくのが風味の変化が少ない点から好ましく、更に3.2〜6、特に3.5〜5とすることが風味の変化が少ない点に加え制菌性の点から好ましい。
酵素の使用量は、乾燥野菜類等の種類、酵素の力価によっても異なるが、乾燥野菜類等100質量部(以下、単に「部」と記載する)に対し0.1〜3部とすることが、フラボノイド類の抽出効率、風味の点から好ましい。更に、乾燥野菜類等100部に対して0.1〜2部、特に0.2〜1.8部とすることが好ましい。また、作用させる酵素含有溶液の酵素濃度は、0.01〜1%、更に0.05〜0.8%、特に0.1〜0.6%とすることが、風味の点から好ましい。
酵素含有溶液による処理条件は、乾燥野菜類等の種類、酵素の種類によっても異なるが、例えば20〜60℃の温度で、1〜24時間とし、操作は、静置又は攪拌する方法が挙げられる。密閉容器内で攪拌する方法が挙げられる。温度は、更に35〜55℃、特に38〜50℃、時間は更に4〜24時間、特に5〜20時間とすることが好ましい。攪拌は、特に制限されないが、高磁場型マグネチックスターラー等を用いて例えば50〜1000r/minで行うことが好ましく、また密閉容器内で行うことが好ましい。
酵素処理時の酵素含有溶液のpHは3〜8とすることが、風味の変化が少ない点から好ましく、更に3.2〜6、特に3.5〜5とすることが風味の変化が少ない点に加え制菌性の点から好ましい。また、溶液のpHを調整する目的で、有機酸及びその有機酸アルカリ金属塩を添加してもよい。有機酸は野菜類等の風味が十分に抽出される点、酵素の活性を最適化する点、酵素処理中の制菌性の点から、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸及びコハク酸から選択される1又は2以上のものを用いることが好ましく、中でも酢酸を用いることが好ましい。同様に、有機酸アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩から選択される1又は2以上のものを用いることが好ましく、中でもナトリウム塩を用いることが風味の点から好ましい。溶液中の有機酸/有機酸アルカリ金属塩混合液の濃度は、0.01〜1mol/L、更に0.05〜0.5mol/L、特に0.08〜0.3mol/Lとすることが、pHを最適範囲に調整し、野菜類等の風味が十分に抽出される点から好ましい。
本発明においては、(B)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類に食用油脂を加えて攪拌する工程を採る。使用する食用油脂の量は、目的とする風味油の種類によっても任意に設定が可能であるが、乾燥野菜類等100部に対して5〜50部とすることが好ましく、更に20〜45部、特に10〜40部とすることが、風味油製造直後の野菜類等の風味が良好に維持される点から好ましい。
攪拌は、プロペラ式攪拌装置、掻き取り型斜軸攪拌装置、マグネチックスターラー等により行う方法が挙げられ、また、密閉容器を用いて行うことが好ましい。攪拌する際の条件は、温度は概ね40〜60℃、時間は1〜24時間とすることが好ましい。
本発明において使用する食用油脂は、動物性、植物性のいずれでも良く、例えば、動物油としては牛脂、豚脂、魚油等、植物油としては大豆油、パーム油、パーム核油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、米油等が挙げられ、それらの硬化油も挙げられる。また、中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)や、これと前記の動植物油とのエステル交換油等も挙げられる。これらの中でも、風味油製造直後の野菜類等の風味を良好に維持する点から、大豆油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油等の植物油を用いることが好ましい。
また、本発明において使用される食用油脂に含まれる遊離脂肪酸(塩)含量は、5%以下に低減されるのが好ましく、より好ましくは0〜3.5%、更に0〜2%、特に0.01〜1%、特に0.05〜0.5%とするのが風味の点で好ましい。
本発明において、食用油脂がジアシルグリセロールを15%以上含有することがまとまりのある良好な風味を発現する点から好ましい。食用油脂中のジアシルグリセロール含量は、より好ましくは15〜95%であり、更に好ましくは35〜95%、更に50〜95%、更に70〜93%、特に75〜93%、殊更80〜90%とすることが好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸は、その80〜100%が不飽和脂肪酸であることが好ましく、より好ましくは90〜100%、更に93〜100%、特に93〜98%、殊更94〜98%であるのが外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。ここで、この不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、更に16〜22であるのが好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、オレイン酸の含有量は20〜65%であることが好ましく、更に25〜60%、特に30〜50%、殊更30〜45%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランスの点で好ましい。更に外観、生理効果の点から、ジアシルグリセロール中のジオレイルグリセロールの含有量は、45%未満、更に0〜40%が好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうちリノール酸の含有量は15〜65%、好ましくは20〜60%、更に30〜55%、特に35〜50%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランスの点で好ましい。更に、酸化安定性、生理効果の点から、ジアシルグリセロール中のリノール酸/オレイン酸の含有質量比が0.01〜2、好ましくは0.1〜1.8、特に0.3〜1.7であることが好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうちリノレン酸の含有量は15%未満、好ましくは0〜13%、更に1〜10%、特に2〜9%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランス、酸化安定性の点で好ましい。リノレン酸には、異性体としてα−リノレン酸とγ−リノレン酸が知られているが、α−リノレン酸が好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は20%未満であることが好ましく、より好ましくは0〜10%、更に0〜7%、特に2〜7%、殊更2〜6%であるのが、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が特に好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、トランス不飽和脂肪酸の含有量は、0〜4%、好ましくは0.1〜3.5%、更に0.2〜3%であるのが風味、生理効果、外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、共役不飽和脂肪酸の含有量は1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.9%、更に0.1〜0.8%、特に0.2〜0.75%、殊更0.3〜0.7%であるのが風味、生理効果、外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、炭素数12以下の脂肪酸の含有量は、風味の点で5%以下であるのが好ましく、更に0〜2%、特に0〜1%、実質的に含まないのが更に好ましい。残余の構成脂肪酸は炭素数14〜24、特に16〜22であるのが好ましい。
また、生理効果、保存性、油脂の工業的生産性及び風味の点から、ジアシルグリセロール中の1,3−ジアシルグリセロールの割合が50%以上、更に52〜100%、特に54〜90%、殊更56〜80%であるジアシルグリセロールを用いるのが好ましい。
ジアシルグリセロールの起源としては、植物性、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、あまに油、米油、紅花油、綿実油、牛脂、魚油等を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できるが、水素添加していないものであることが、食用油脂を構成する全脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含量を低減させる点から好ましい。また、生理効果、製品が白濁せず外観が良好となる点から、不飽和脂肪酸含有量が高い植物油が好ましく、中でも菜種油、大豆油がより好ましい。
本発明において使用される食用油脂は、トリアシルグリセロールを4.9〜84.9%含有することが好ましく、より好ましくは4.9〜64.9%、更に6.9〜39.9%、特に6.9〜29.9%、殊更9.8〜19.8%含有するのが生理効果、油脂の工業的生産性、外観の点で好ましい。
本発明において使用される食用油脂に含まれるトリアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明において使用される食用油脂は、モノアシルグリセロールを0.1〜5%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜2%、更に0.1〜1.5%、特に0.1〜1.3%、殊更0.2〜1%含有するのが風味、外観、油脂の工業的生産性等の点で好ましい。電子レンジ調理により加熱されやすいという点でモノアシルグリセロールは0.1%以上含有するのが好ましく、電子レンジ調理中の発煙等安全性の点から5%以下が好ましい。モノアシルグリセロールの構成脂肪酸はジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明においては、前記(A)及び(B)の工程を組み合わせて行うが、(A)乾燥野菜類等を酵素含有溶液と混合する工程の後に、(B)食用油脂を加えて攪拌する工程をとっても良く、また、工程(B)の後に工程(A)を行っても良く、更に工程(A)と工程(B)を同時に行っても良い。ここで、ムレ臭低減の点から、工程(A)の後に工程(B)を行うことが好ましい。
本発明においては、前記(A)及び(B)の工程を行った後に油相である食用油脂を分取する。油相を分取する手段としては、例えば、遠心分離、静置分離等の方法を採用することができる。得られた油相は、細孔径1μm程度のフィルター等にて濾過することにより、乾燥野菜類を原料としたフラボノイド類に富んだ風味良好な風味油を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる風味油は、例えば、風味調味料、たれ類、ドレッシング、パスタソース等の液体調味料;スープ類;調理食品;総菜類;スナック類;珍味類等の広い食品に利用することができる。これらの食品に対する配合量は、例えば、食品中に0.01〜100%、更に0.05〜80%、特に0.1〜60%とすることが、本発明の風味油の特徴である従来にはない新鮮な風味と旨味を付与する点から好ましい。
〔食用油脂〕
食用油脂として次の3種類を使用した。なお、下記TAGはトリアシルグリセロール、DAGはジアシルグリセロール、MAGはモノアシルグリセロールを意味する。
・DAG高含有油脂:エコナクッキングオイル(花王(株)/TAG:15%、DAG:84%、MAG:1%)
・TAG主体の油脂:市販ひまわり油(味の素(株)/TAG:97%、DAG:3%、MAG:0%)
〔フラボノイド類の分析法〕
風味油を2g採取し、2mLメタノール(和光純薬社、HPLCグレード)を加え、蓋をして上下倒立振倒(2秒で上下一往復の割合)を行いながら、乳白色化した状態にしてから、同様に倒立攪拌を1分間行った。その後一昼夜静止させて、油層とメタノール層の分離を行った。上層部のメタノール層を採取し、0.2μmメンブランフィルターにて濾過後、HPLC測定用ガラスバイアル管に入れて測定試料とした。アジレントテクノロジー社、高速液体クロマトグラフィ1100型紫外・可視検出器を用いて、波長370nmにて試料中のフラボノイド類を検出し、イナートジルODS−3 外径φ2.1mm×長さ150mm、粒子径5μm(ジーエルサイエンス社)カラム(カラム温度40℃)、移動相(A液:100mmol/Lギ酸水溶液,B液:メタノール,初期:A液85%B液15%→20分:A液0%B液100%,グラジエント法)を用いて、試料中のフラボノイド類の定量測定を行った。検量線は、目的のフラボノイド標準試料のメタノール溶液(0.01〜100μg/mLの範囲で5段階の濃度の異なる標準液)にて作成し、外部標準法にて定量した。
〔官能評価法〕
調味食品開発に携わる専門パネル3名にて、調製された風味油を1滴採り、口に含んで以下の評価基準に従って風味評価を行った。結果を表1に示す。
×:ムレ臭があり、コクがない
△:ムレ臭はほとんどないが、コクが弱い
○:ムレ臭は全くなく、コクもある
◎:ムレ臭は全くなく、コクも強い
なお、ここでいう「ムレ臭」とは、野菜を乾燥する工程で発生する変性臭をいい、「コク」とは持続する旨味をいう。
[実施例1]
2Lガラスネジ口ビンに、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.2)1200gを入れ、そこにセルラーゼとしてセルロシンAC−40(エイチビーアイ(株))を0.4g計量して投入し、オクタゴン型テフロン(登録商標)攪拌子(長さ40mm)を入れ、マグネチックスターラー((株)アサヒ理化製作所社製モデルAMG−H型、回転磁石強度:12000G)を使用し、500r/minにて2分間攪拌し、酵素をよく分散させた。一旦攪拌を止めて、そこへ市販の乾燥チョップドタマネギを72g計量したものを加え、50r/minにて30分間攪拌した。次に、40℃恒温槽中で攪拌を開始し、750r/minにて20時間酵素反応処理を行った。反応終了後、ネジ口ガラス瓶反応容器を加熱し、90℃に達したところで3分間保持することにより酵素失活処理を行った。その後、急冷し、酵素処理されたタマネギ搾汁液とした。そこへ、DAG高含有油脂720gを入れ、マグネチックスターラーを用い、10℃にて750r/minで1時間攪拌抽出処理を行った。搾汁液と油の分離を行うために、日立工機製遠心分離機を用いて7000r/min、10分間処理し、遠心分離を行った。遠沈管から上層油相部を採取し、これに硫酸ナトリウム40gを入れ、750r/minにて10分間攪拌した。それから、得られた風味油を細孔径1.0μmPTFEフィルター(日本ミリポア(株))を取り付けたガラス濾過器にて吸引濾過し、清澄な風味油およそ650gを得た。
[実施例2]
実施例1記載の方法において、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液としてpH=4.8のものを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650g得た。
[実施例3]
実施例1記載の方法において、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液としてpH=5.6のものを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
[実施例4] 実施例1記載の方法において、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.2)に替えてクエン酸/クエン酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.2)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
[実施例5]
実施例1記載の方法において、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.2)に替えてクエン酸/クエン酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.8)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
[実施例6] 実施例1記載の方法において、酢酸/酢酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=4.2)に替えてクエン酸/クエン酸ナトリウム0.2mol/L水溶液(pH=5.6)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
[実施例7]
実施例1記載の方法において、DAG高含有油脂に替えてTAG主体の油脂を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
[比較例1]
2Lガラスネジ口ビンに、浄水1200g及び市販の乾燥チョップドタマネギを72g計量したものを加え、50r/minにて30分間攪拌し、乾燥野菜を元に戻した。そこへ、TAG高含有油脂720gを入れ、マグネチックスターラーを用い、10℃にて750r/minで1時間攪拌抽出処理を行った。搾汁液と油の分離を行うために、日立工機製遠心分離機を用いて7000r/min、10分間処理し、遠心分離を行った。遠沈管から上層油相部を採取し、これに硫酸ナトリウム40gを入れ、750r/minにて10分間攪拌した。それから、得られた風味油を細孔径1.0μmPTFEフィルター(日本ミリポア(株))を取り付けたガラス濾過器にて吸引濾過し、清澄な風味油およそ650gを得た。
[比較例2]
比較例1記載の方法において、TAG主体の油脂に変えてDAG高含有油脂を用いた以外は比較例1と同様の操作を行い、風味油およそ650gを得た。
Figure 2009254286
表1の結果から、実施例1〜7は比較例1及び2と比べて明らかにフラボノイドの抽出量が多く、風味も、従来乾燥野菜を用いた際に感じたムレ臭のない香りを有しなおかつコク味を有するタマネギ風味油であった。また、実施例の中でも食用油脂としてDAG高含有油脂を用いた実施例1〜6はフラボノイド類の抽出量が多く、官能評価もより好ましいものであった。なお、酵素処理液に使用した緩衝液を酢酸/酢酸ナトリウム系からクエン酸/クエン酸ナトリウムに変更した場合であっても同様の結果が得られた。

Claims (8)

  1. 次の(A)及び(B)の工程:
    (A)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類を酵素含有溶液と混合する工程、
    (B)乾燥野菜類及び/又は乾燥果実類に食用油脂を加えて攪拌する工程、
    を含む操作を行い、その後食用油脂を分取する風味油の製造方法。
  2. 酵素が、セルラーゼ、グルタミナーゼ、ペクチナーゼ及びプロテアーゼから選択される1又は2以上のものである請求項1記載の風味油の製造方法。
  3. 酵素含有溶液が、有機酸及びその有機酸アルカリ金属塩を含む請求項1又は2記載の風味油の製造方法。
  4. 有機酸が、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸及びコハク酸から選択される1又は2以上のものである請求項3記載の風味油の製造方法。
  5. 食用油脂が、ジアシルグリセロールを15質量%以上含有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる風味油。
  7. 請求項6記載の風味油を含有する食品。
  8. 食品が液体調味料である請求項7記載の食品。
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