JP4402839B2 - ホヤの乾燥粉末の用途 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、ホヤ臭が軽減された誰にでも摂取しやすいホヤの新規な食品形態、その用途、その製造方法、ホヤ臭の軽減方法および乾燥ホヤに関する。
背景技術
ホヤ(海鞘)は、海底の岩石などに着生する原索動物の一種で、我が国では、東北地方から北海道地方にかけて漁獲され、外皮(被嚢)を除去した軟体部(筋肉および内蔵)は、可食部として古くから食用に供せられている。
ところで、ホヤには、栄養価値が高い成分や人体にとって有用な成分が豊富に含まれていることが知られている。例えば、ホヤの筋肉には、グリコーゲンが多量に含まれており、消化されやすく吸収の早い動物性炭水化物の供給源として貴重である。ホヤのエキス分には、アミノ酸として、細胞活性化作用などがあるタウリン、知的能力向上作用などがあるロイシンをはじめ、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン、チロシン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、リジンなどが含まれている。また、塩基としては、ベタインやコリンなどが含まれている。プリン塩基としては、アデニンやキサンチンなどが含まれている。ミネラルとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛などが含まれている。微量元素としては、老化防止や性能力向上作用があるセレンをはじめ、バナジウム、ゲルマニウムなどが多量に含まれている。更に、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸や、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEなどの各種ビタミン類も含まれている。これらのうち、グリシン、アラニン、グルタミン酸、ベタインは、味覚に密接に関係している成分である。
このように、ホヤは、成分的に非常に貴重な食品である。しかしながら、ホヤは、特有の臭味(ホヤ臭)を有しているので、人によって好き嫌いが激しい食品である。また、生のホヤは、傷みやすく、変色しやすい保存安定性の極めて悪い食品である。これらの理由のため、ホヤは、限られた地域で生のホヤが食されているほか、塩辛などに加工されて珍味や酒肴品として食されているにすぎないのが現状である。
本発明は、上記の背景技術に鑑み、ホヤ臭が軽減された誰にでも摂取しやすいホヤの新規な食品形態、その用途、その製造方法、ホヤ臭の軽減方法および乾燥ホヤを提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、種々の検討を行った結果、ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部を特定の工程を経て粉末化することによって、食品素材として用いることができる非常に汎用性の高い乾燥粉末が得られること、まったく意外なことに、この乾燥粉末は、食品に対する弾力増強作用や型くずれ防止作用の他、抗菌作用、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様活性作用などの機能性を有すること、また、好き嫌いの原因となるホヤ臭を効果的に軽減できることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので本発明の食品添加用弾力増強剤は、請求の範囲第項記載の通り、下記のいずれかの方法によって製造されたホヤの乾燥粉末を有効成分とすることを特徴とする。
(1)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を真空凍結乾燥した後、粉砕する方法
(2)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にスラリー状物とし、これを噴霧乾燥する方法
(3)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にペースト状物とし、これを減圧乾燥した後、粉砕する方法
また、本発明の食品添加用型くずれ防止剤は、請求の範囲第項記載の通り、下記のいずれかの方法によって製造されたホヤの乾燥粉末を有効成分とすることを特徴とする。
(1)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を真空凍結乾燥した後、粉砕する方法
(2)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にスラリー状物とし、これを噴霧乾燥する方法
(3)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にペースト状物とし、これを減圧乾燥した後、粉砕する方法
発明を実施するための最良の形態
本発明に用いられるホヤとしては、マボヤ、赤ホヤ、白ホヤなど、食用に供せられているホヤならば特段の制限はなく、いずれのホヤも用いることができる。
本発明におけるホヤの乾燥粉末の製造方法は、以下に詳述するように大きく分けて3つの方法がある。
1.真空凍結乾燥工程を経る製造方法
まず、第一工程として、ホヤを外皮と軟体部に分離し、分離した軟体部を水などで洗浄する(剥き身工程)。
次に、第二工程として、前記軟体部を剥き身のまま、あるいは適当な大きさや形状に切断や破砕などして凍結させる(凍結工程)。凍結条件に特段の制限はなく、例えば、フリーザーなどを用いて、−20℃〜−50℃で凍結させればよい。
尚、第二工程まではホヤの鮮度を考慮して、漁獲後速やかに処理することが望ましい。
更に、第三工程として、凍結させた軟体部を真空凍結乾燥にて乾燥させる(乾燥工程)。真空凍結乾燥は、常法に従って行えばよいが、得られる乾燥ホヤの品質を考慮すれば、真空度1Pa〜50Pa、乾燥温度30℃〜70℃の条件にて行うことが望ましい。乾燥時間は、処理量にも依存するので一概に特定することはできないが、菌の増殖を抑制するためには、水分活性が0.5以下になるように乾燥することが望ましい。得られる乾燥ホヤは橙色で、ホヤ本来の味と香りを有するものの、ホヤ臭は著しく軽減されている。
最後に、第四工程として、乾燥ホヤを粉砕機にて粉砕する(粉砕工程)。粉砕条件は、常法に従えばよい。粒度は、得られる粉末の流動性などの品質を考慮すれば、0.1ミリメッシュ〜1ミリメッシュの粉砕機を用いて、10ミクロン〜100ミクロンとすることが望ましい。
上記の、剥き身工程、凍結工程、乾燥工程、粉砕工程を経て製造されるホヤの乾燥粉末は、橙色の流動性のある粉末で、ホヤ臭が著しく軽減されているにもかかわらず、ホヤ本来の味と香りを有している。また、このホヤの乾燥粉末は、常温で放置しても味や香りが変質することはなく、長期保存が可能である。
2.噴霧乾燥(スプレードライ)工程を経る製造方法
まず、第一工程として、真空凍結乾燥工程を経る製造方法と同様の剥き身工程を行う。
次に、第二工程として、第一工程で得られた軟体部をスラリー状物とする(スラリー状物成形工程)。軟体部をスラリー状物とする方法としては、例えば、マスコロイダーやボールミルなどを常法に従って単独で、または組み合わせて用いる方法が挙げられる。ホヤの軟体部は繊維質であるため、噴霧乾燥可能なスラリー状物とするためには、繊維質を十分に微砕する必要がある。従って、この点を考慮すれば、マスコロイダーを用いて軟体部をペースト状物とし、これをボールミルを用いて微細してスラリー状物とすることが望ましい。
尚、第一工程に引き続き第二工程を即座に行ってもよいが、第一工程で得られた軟体部を一時保存などの目的のためにいったん凍結させ、その後、これを解凍したものを用いて第二工程を行ってもよい。
最後に、第三工程として、第二工程で得られたスラリー状物を噴霧乾燥にて乾燥させる(乾燥工程)。噴霧乾燥は、常法に従って行えばよい。しかしながら、得られる粉末の流動性などの品質を考慮すれば、噴霧乾燥機の運転条件は、入口熱風温度130℃〜200℃、出口排風温度50℃〜120℃、風量3m/min〜7m/minとすることが望ましい。
上記の、剥き身工程、スラリー状物成形工程、乾燥工程によれば、粉砕工程を経ることなく、真空凍結乾燥工程を経る製造方法で得られるホヤの乾燥粉末と同じ特性を有するホヤの乾燥粉末を得ることができる。スラリー状物は噴霧乾燥時に熱風中にさらされるが、乾燥中の粉末は滞留時間が数秒間であり、蒸発潜熱によって粉末温度の上昇が抑制されるので、品質の劣化などがない優れた乾燥粉末を得ることができる。
3.減圧乾燥工程を経る製造方法
まず、第一工程として、真空凍結乾燥工程を経る製造方法と同様の剥き身工程を行う。
次に、第二工程として、第一工程で得られた軟体部をペースト状物とする(ペースト状物成形工程)。軟体部をペースト状物とする方法には特段の制限はなく、例えば、マスコロイダーを常法に従って用いて行えばよい。
尚、第一工程に引き続き第二工程を即座に行ってもよいが、第一工程で得られた軟体部を一時保存などの目的のためにいったん凍結させ、その後、これを解凍したものを用いて第二工程を行ってもよい。
更に、第三工程として、第二工程で得られたペースト状物を減圧乾燥にて乾燥させる(乾燥工程)。減圧乾燥は、例えば、ペースト状物をプレート上に薄く延ばして行う。乾燥条件としては、圧力5×10Pa〜1×10Pa、乾燥温度30℃〜50℃が挙げられる。この条件によってペースト状物を乾燥させると、高い風味を有する(但し、臭みはない)乾燥ホヤを得ることができる。
最後に、第四工程として、真空凍結乾燥工程を経る製造方法と同様の粉砕工程を行う。
上記の、剥き身工程、ペースト状物成形工程、乾燥工程、粉砕工程を経て製造されるホヤの乾燥粉末は、濃い橙色で、流動性に優れ、高い風味を有するが臭みはない。この粉末は、真空凍結乾燥工程を経る製造方法で得られる粉末や、噴霧乾燥工程を経る製造方法で得られる粉末とは、視覚上や味覚上や嗅覚上において異なるものであるが、常温で放置しても味や香りが変質することはなく、長期保存が可能な点では共通している。
以上のような製造方法によって得られるホヤの乾燥粉末は、非常に汎用性に優れ、栄養価値の高い食品素材として用いることができる。
食品素材としての応用例としては、例えば、麺類(うどん、そば、素麺、中華麺、パスタなど)、餅、各種インスタント食品、練製品(かまぼこ、ちくわ、ソーセージ、ハンバーグなど)、菓子(スナック菓子、焼菓子、せんべい、和菓子、洋菓子など)、パン類、ドーナツ類、粉末スープ類、チーズ、豆腐などの加工食品への添加を挙げることができる。ホヤの乾燥粉末を麺類や餅に添加すると、後述するように、弾力性に富む歯ごたえを増強することができるなどの利点がある。また、この粉末を添加してチーズを製造すると、まろやかなチーズに仕上げることができる。また、この粉末を天ぷらの衣に加えると天ぷらがシャッキリと揚がり、漬物に入れるといつまでも新漬けのような歯ざわりを楽しむことができる。この粉末を牛乳やジュースに混ぜるとコクのある味に仕上げることができる。この粉末を、例えば、麺類や餅に応用する場合、薄力粉や餅米に対して0.1wt%〜5wt%添加することが望ましい。
また、ホヤの乾燥粉末は、グリシン、アラニン、グルタミン酸、ベタインなどの天然のうま味成分を含んでいるので、それ自体を調味料として利用することができる他、みそ、たれ類、ドレッシング、マヨネーズなどの各種調味料に添加することもでき、和食、洋食、中華などあらゆる料理に適用することができる。おでんや煮物のだし代わりに用いると味覚が向上し、その上、日持ちがよくなる。ホヤの乾燥粉末には界面活性作用と乳化作用があるようであり、ドレッシングに添加すると相分離を起させない。また、ステーキなどの煮汁に含まれる油脂を固化させない。従って、ホヤの乾燥粉末を添加した煮汁は、ソースとして利用できるなどの利点がある。
また、ホヤの乾燥粉末は、乳糖や結晶セルロースなどの賦形剤を添加して錠剤や丸薬にしたり、カプセルに充填することによって、携帯にも便利な栄養食品や栄養剤として服用することもできる。
ホヤの乾燥粉末を麺類や餅などに添加すれば、弾力性に富む歯ごたえを増強することができるとともに、鍋物に入れた場合でも、型くずれ(煮くずれ)を効果的に防止することができる。よって、ホヤの乾燥粉末は、食品添加用の弾力増強剤や型くずれ防止剤としても利用価値が高い。この作用の一要因としては、ホヤの可食部の大部分を構成する筋繊維に含まれる蛋白質であるアクチンやミオシンが麺生地などに混合されることによって、生地の構造(テクスチャー)を堅固なものにすることが考えられる。ホヤの乾燥粉末の当該作用は、食品に対して0.1wt%以上添加することで発揮させることができる。
また、ホヤの乾燥粉末を餅などに添加すれば、カビの発生を効果的に抑制することができる。従って、ホヤの乾燥粉末は、抗菌剤としても利用価値が高い。この作用は、食品に対して0.1wt%以上添加することで発揮させることができる。作用の一要因としては、ホヤに含まれるセレンやグリシンなどが有する抗酸化作用が寄与していることが考えられる。
更に、ホヤの乾燥粉末はSOD様活性作用を有する。従って、ホヤの乾燥粉末はSOD様活性剤として、生体の老化、アレルギーや炎症の惹起、心筋梗塞に於ける平滑筋の損傷、肝臓障害、癌などの原因物質とされる活性酸素を消去し、これらの疾患の予防効果を有する点において利用価値が高い。
尚、ホヤの乾燥粉末の真空凍結乾燥工程を経る製造方法と減圧乾燥を経る製造方法において、乾燥粉末の原料となる乾燥ホヤは、そのままで、あるいは水にもどして、健康食品や自然食品として食することや、日本酒の風味向上のために利用することもできる。また、減圧乾燥工程を経る製造方法において得られる乾燥ホヤは、臭みはないが高い風味を有している。従って、これを粗粉砕することによって得られるフレーク状の乾燥ホヤは、振りかけ用の素材としても利用することができる。さらに、ホヤの乾燥粉末の噴霧乾燥工程を経る製造方法において得られるスラリー状物や減圧乾燥工程を経る製造方法において得られるペースト状物については、直接麺類に添加するといった利用方法もある。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例
実施例1:ホヤの乾燥粉末の製造(真空凍結乾燥工程を経る方法)
オホーツク海産の赤ホヤを漁獲後速やかに外皮と軟体部に分離し、分離した軟体部を水洗いした後、−35℃の冷凍庫に入れ、凍結させた。
得られた軟体部の凍結物40kgをトレイに並べ、これを真空凍結乾燥機に入れ、真空度25Pa以下の条件で、棚温度を−35℃から40℃まで上昇させて、24時間乾燥を行い、5.1kgの乾燥ホヤを得た。得られた乾燥ホヤは、橙色で、ホヤ本来の味と香りを有するものの、ホヤ臭は著しく軽減されていた。
この乾燥ホヤを0.5ミリメッシュの粉砕機で粉砕し、約30ミクロンの乾燥粉末を得た。得られた粉末は、水分活性が0.07で(水分活性測定器としてシイベル機械株式会社製のTH2/RTD−33/BSを使用:以下同じ)、ホヤ臭が著しく軽減されているにもかかわらず、ホヤ本来の味と香りを有する橙色の流動性のある粉末であった。
実施例2:ホヤの乾燥粉末の製造(噴霧乾燥工程を経る方法)
実施例1と同様にして得られた軟体部の凍結物をビニール袋に入れ、流水にて解凍した後、マスコロイダーを用いて破砕し(3回通し:クリアランスは0.02mm×3回)、ペースト状物を得た。このペースト状物をボールミルで微細してスラリー状物を得た。尚、微細は、メディアとして粒径が0.65mmのジルコニアを用い、ギャップ0.2mm、回転数2500rpm、滞留時間約2分、出口液温40℃以下の条件で2回行った。
このスラリー状物を噴霧乾燥することによってホヤの乾燥粉末を得た。噴霧乾燥機は、チャンバー直径1.0m、コニカル部50°、チャンバー容積約0.8m、2流体ノズルアトマイザー、エアーノズルPA120、液体ノズルPF60100、エアー圧力0.75kg/cm、液体供給方法はチューブポンプ使用のものを用いた。運転条件を入口熱風温度170℃、出口排風温度82℃、風量5.0m/minで行ったところ、粒度が27.6ミクロン、水分率が4.3wt%のホヤの乾燥粉末が得られた(レーザー回折法による評価)。また、運転条件を入口熱風温度150℃、出口排風温度70℃、風量5.0m/minで行ったところ、粒度が28.0ミクロン、水分率が9.0wt%のホヤの乾燥粉末が得られた(レーザー回折法による評価)。いずれの粉末もホヤ臭が著しく軽減されているにもかかわらず、ホヤ本来の味と香りを有する橙色の流動性のある粉末であった。前者のホヤの乾燥粉末の水分活性は0.30であった。
実施例3:ホヤの乾燥粉末の製造(減圧乾燥工程を経る方法)
実施例1と同様にして得られた軟体部の凍結物をビニール袋に入れ、流水にて解凍した後、マスコロイダーを用いて破砕し(7回通し:クリアランスは3mm×2回、1mm×2回、0.02mm×3回)、ペースト状物を得た。得られたペースト状物の水分は85.2%であった。
このペースト状物をアルマイト製プレートにできるだけ薄く延ばした。これを減圧乾燥機に入れて、圧力8.0×10Pa〜9.3×10Pa、乾燥温度40℃の条件で19時間乾燥を行い、乾燥ホヤを得た。得られた乾燥ホヤは、水分が22.1%の濃い橙色で、高い風味を有していたが臭みはなかった。
この乾燥ホヤを0.5ミリメッシュの粉砕機で粉砕し、約30ミクロンの乾燥粉末を得た。得られた粉末は、水分活性が0.24の濃い橙色で、流動性に優れ、高い風味を有していたが臭みはなかった。
実施例4:ホヤの乾燥粉末入りうどんの製造
薄力粉7kgをミキサーに入れた後、実施例1で得られたホヤの乾燥粉末70gを加え、攪拌して均一混合した。次に、水2.1kgに食塩を加えて調製した塩分濃度10度の食塩水をミキサー内に徐々に添加した後、約20分攪拌した。
熟成を2時間行った後、成形し、幅16mmのカッターで切断して30cmの長さに切りそろえてホヤの乾燥粉末入りうどんを得た。
上記の方法にて得たホヤの乾燥粉末入りうどんとホヤの乾燥粉末を入れない以外は同じ方法で製造したうどんの官能検査を10人のパネラーで行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、ホヤの乾燥粉末入りうどんについて1人がうどん以外の臭気をわずかに感じたが、臭気の原因をホヤと断定することはできなかった。
得られたうどんを茹でてつけ麺として食したところ、弾力性に富む歯ごたえがあった。また、麺つゆのからまりがよく、非常に美味であった。
更に、ホヤの乾燥粉末なしうどんは、時間とともにベタベタ感を呈し、製造後10日が品質保持の限界であったが、ホヤの乾燥粉末入りうどんは、10日を経過しても製造直後と何ら変わるところはなかった。
実施例5:ホヤの乾燥粉末入り餅の製造
餅米2.8kgを6時間水に浸した後、30分程度水切りをした。電気餅つき機に水600ccを入れた後、上記の餅米を入れ、更に実施例1で得られたホヤの乾燥粉末20gを加え、軽く混ぜてから電気餅つき機のマニュアルに従ってホヤの乾燥粉末入り餅を製造した。
得られた餅は実施例2のうどんと同様、弾力性に富む歯ごたえがあった。
ホヤの乾燥粉末入り餅と、ホヤの乾燥粉末を入れない以外は同じ方法で製造した餅を3cm角に切り、熱湯に5分間入れたところ、ホヤの乾燥粉末を入れていない餅は、各片とも膨張するとともに、箸で持ち上げることができない程の型くずれを起こし、熱湯もかなりの程度白濁したが、ホヤの乾燥粉末入り餅は、膨張の程度はわずかで、箸で持ち上げることもでき、熱湯はわずかに白濁した程度であった。
ホヤの乾燥粉末を入れない以外は同じ方法で製造した餅を屋内に放置しておいたところ、製造10日後に青かびが発生したのに対し、ホヤの乾燥粉末入り餅は、20日を経過しても青かびの発生はなかった。
実施例6:ホヤの乾燥粉末抽出物のSOD様活性試験(その1)
実施例1で得られたホヤの乾燥粉末500mgを10mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、1昼夜攪拌した。その後、300rpm、10分間遠心分離して不溶性部分を除去し、上清をサンプルとして、表2に示す組成の試料を作成した。
上記の試料を用い、稲波らの文献(Inanami,O.et al.;AMERICAN JOURNAL OF VETERINARY RESEARCH,Vol 60,No.4,April 1999,452−457)に記載の方法に従って、電子スピン共鳴装置(ESR)によるサンプルのSOD様活性評価試験(活性酸素消去能評価試験)を行った。この方法は、キサンチンオキシダーゼの働きで生成する活性酸素(スーパーオキシド)をDMPO(ラジカル捕捉剤)で捕捉し、これをESRで定量する方法であり、競合反応によるサンプルの活性酸素消去能を評価するものである。サンプルの代わりにDMSOを20μl用いて作成した試料をコントロールとし、コントロールのSOD様活性との相対値としてサンプルのSOD様活性を求めた。
試験の結果、第1図から明らかなように、ホヤの乾燥粉末のDMSO抽出物は、ビタミンA(レチノール:RA)20μg/mlよりも高いSOD様活性を有していた。
実施例7:ホヤの乾燥粉末抽出物のSOD様活性試験(その2)
実施例6において用いたDMSOの代わりにPBSを用いた以外は実施例6と同様にしてホヤの乾燥粉末のPBS抽出物のSOD様活性を評価したところ、第1図から明らかなように、優れた活性を有していた。
比較例1:
実施例1と同様にして水洗いした軟体部を、常温常湿条件下で乾燥してみたが、乾燥に長時間を要し、ホヤ臭がかなり強くなった。また、時間が経過するにつれて、汚れが無視できなくなった。低温(2℃〜8℃)条件下での乾燥や塩蔵した軟体部を用いての乾燥も試みたが、結果は同じで、乾燥に長時間を要し、ホヤ臭がかなり強くなった。よって、これらの方法ではホヤの乾燥粉末を製造することはできなかった。
産業上の利用可能性
本発明のホヤの乾燥粉末は、これまでホヤの好き嫌いの原因であったホヤ臭が軽減されているにもかかわらず、ホヤ本来の味と香りを有しており、しかも保存安定性がよい。よって、非常に汎用性に優れ、栄養価値の高い食品素材として各種加工食品に添加混入したり、それ自体を調味料として用いたりすることができる。また、食品添加用の弾力増強剤や型くずれ防止剤、抗菌剤、SOD様活性剤などとしても利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のホヤの乾燥粉末のDMSO抽出物とPBS抽出物のSOD様活性を示す線図である。

Claims (2)

  1. 下記のいずれかの方法によって製造されたホヤの乾燥粉末を有効成分とする食品添加用弾力増強剤。
    (1)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を真空凍結乾燥した後、粉砕する方法
    (2)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にスラリー状物とし、これを噴霧乾燥する方法
    (3)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にペースト状物とし、これを減圧乾燥した後、粉砕する方法
  2. 下記のいずれかの方法によって製造されたホヤの乾燥粉末を有効成分とする食品添加用型くずれ防止剤。
    (1)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を真空凍結乾燥した後、粉砕する方法
    (2)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にスラリー状物とし、これを噴霧乾燥する方法
    (3)ホヤの外皮(被嚢)を除去した軟体部の凍結物を解凍した後にペースト状物とし、これを減圧乾燥した後、粉砕する方法
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