JP4367589B2 - 共役ジエン系重合体の製造方法およびゴム組成物 - Google Patents

共役ジエン系重合体の製造方法およびゴム組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジエン系重合体の製造方法に関し、さらに詳細には、新規な希土類元素化合物触媒を用いて、共役ジエン系化合物を重合し、次いで、重合された直後の重合体に、窒素原子を有する特定の化合物(変性剤)を反応させることにより、カーボンブラックと相互作用し、カーボンブラックの分散性が良好で、かつ耐摩耗性、機械的特性などの物性に優れた共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共役ジエン類の重合触媒については、従来より数多くの提案がなされており、工業的に極めて重要な役割を担っている。特に、熱的および機械的特性において、高性能化された共役ジエン系重合体を得る目的で、高いシス−1,4結合含量を与える数多くの重合触媒が研究・開発されている。例えば、ニッケル、コバルト、チタンなどの遷移金属化合物を主成分とする複合触媒系は公知である。そして、その中のいくつかは、既にブタジエン、イソプレンなどの重合触媒として工業的に広く用いられている〔End.Ing.Chem.,48,784(1956)、特公昭37−8198号公報参照〕。
【0003】
一方、さらに高いシス−1,4結合含量および優れた重合活性を達成すべく、希土類金属化合物と第I〜III 族の有機金属化合物からなる複合触媒系が研究開発され、高立体特異性重合の研究が盛んに行なわれるようになった。
特公昭47−14729号公報には、セリウムオクタノエートなどの希土類金属化合物とジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドやトリアルキルアルミニウムとエチルアルミニウムジクロライドなどのアルミニウムハイドライドからなる触媒系が示されている。特に、同公報には、触媒をブタジエンの存在下で熟成することにより、触媒活性が増加することが示されている。
【0004】
また、特公昭62−1404号公報、特公昭63−64444号公報、特公平1−16244号公報には、希土類元素の重合溶媒への化合物の溶解性を高めることにより、触媒活性を高める方法が提案されている。さらに、特公平4−2601号公報には、希土類金属化合物、トリアルキルアルミニウムまたはアルミニウムハイドライドおよび有機ハロゲン誘導体からなる触媒系が、1,3−ブタジエンの重合に従来より高い活性を示すことが示されている。
しかしながら、従来の希土類金属化合物を含む触媒系によって得られる重合体は、分子量分布が広くなり、耐摩耗性や反撥弾性率が充分に改良されるものではなかった。
【0005】
さらに、特開平6−211916号公報、特開平6−306113号公報、特開平8−73515号公報では、ネオジム化合物にメチルアルモキサンを使用した触媒系を用いると、高い重合活性を示し、かつ狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体が得られることが報告されている。
しかしながら、上記の重合法で充分な触媒活性を保持し、かつ分子量分布の狭い重合体を得るためには、従来の有機アルミニウム化合物を用いた触媒系に比べて多量のアルモキサンを使用する必要がある。しかしながら、その価格が通常の有機アルミニウム化合物に比べて高価であること、コールドフローが大きく、保存安定性などに問題があり、実用的には問題がある。
【0006】
これらの問題に対して、特開平10−306113号公報、特開平10−35633号公報では、メチルアルモキサンを使用した触媒系で重合した共役ジエン系重合体をヘテロ三員環化合物やハロゲン化金属化合物、金属カルボン酸塩などで変性し、コールドフローを抑えることが報告されている。
【0007】
ところで、これらの共役ジエン系重合体を用いて、カーボンブラックとのゴム組成物を調製した場合、これらの重合体(ゴム)とカーボンブラックとの相互作用が充分ではなく、得られるゴム組成物中へのカーボンブラックの分散性が劣り、得られるゴム架橋物の耐摩耗性や機械的特性が満足できるレベルに至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、希土類金属化合物、アルモキサン、有機アルミニウム、およびハロゲン含有化合物を組み合わせた触媒系を用いると、アルモキサンの使用量が少量でも触媒活性が充分に高く、分子量分布が狭い共役ジエン系重合体が得られること、また、重合終了後に窒素原子を有する特定の化合物(以下「変性剤」ともいう)を反応させることにより、カーボンブラックとの相互作用が改善され、得られる加硫物の機械的特性、加工性、耐摩耗性に優れることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、共役ジエン系化合物を、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合したのち、引き続き、下記(d)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を反応させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
(a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、または、これらの化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分;アルモキサンとAlR123(式中、R1およびR2は同一または異なり、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3は上記R1またはR2と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物との併用
(c)成分;ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、もしくはエチルアルミニウムセスキクロリド、または塩化亜鉛、臭化亜鉛もしくはヨウ化亜鉛から選ばれた金属ハロゲン化物とリン酸エステル、ジケトン化合物、カルボン酸および/またはアルコールとの反応物、から選択される少なくとも1つのハロゲン含有化合物
(d)成分;分子中にエポキシ基を少なくとも1つ有するアミン化合物
(e)成分;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−メチルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、N,N−o−フェニレンビスマレイミド、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、およびN,N−p−フェニレンビスマレイミドから選ばれたイミド化合物
ここで、共役ジエン系化合物を上記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用い重合して得られる重合体は、シス−1,4−結合含量が90%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下であることが好ましい。
また、上記(d)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を反応させて得られる重合体は、シス−1,4−結合含量が90%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下であることが好ましい。
次に、本発明は、上記共役ジエン系重合体の製造方法によって得られる共役ジエン系重合体とカーボンブラックとを主成分とするゴム組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒に使用される(a)成分としては、周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素を含む化合物(希土類元素含有化合物)またはこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。好ましい希土類元素は、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウムなど、または、これらの混合物であり、さらに好ましくは、ネオジムである。
本発明の希土類元素含有化合物は、カルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩または亜リン酸塩であり、この中でも、カルボン酸塩またはリン酸塩が好ましく、特にカルボン酸塩が好ましい。
【0011】
希土類元素のカルボン酸塩としては、一般式(R5 −CO23 M(式中、Mは周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素である)で表され、R5 は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、好ましくは飽和または不飽和のアルキル基であり、かつ直鎖状、分岐状または環状であり、カルボキシル基は1級、2級または3級の炭素原子に結合している。
具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサティック酸〔シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である〕などの塩が挙げられ、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、バーサティック酸の塩が好ましい。
【0012】
希土類元素のアルコキサイドは、一般式(R6 O)3 M(R6 は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Mは周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素である)であり、R6 Oで表されるアルコキシ基の例として、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基などが挙げられる。この中でも、好ましいものは、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基である。
【0013】
希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、希土類元素の、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン錯体などが挙げられる。この中でも好ましいものは、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体である。
【0014】
希土類元素の、リン酸塩または亜リン酸塩としては、希土類元素の、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸などの塩が挙げられ、好ましい例としては、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸の塩が挙げられる。
以上、例示した中でも特に好ましいものは、ネオジムのリン酸塩またはネオジムのカルボン酸塩であり、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩などのカルボン酸塩が最も好ましい。
【0015】
上記の希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モルあたり、0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、またはあらかじめ両者を反応させた生成物として用いられる。
ここで、ルイス塩基としては、例えば、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価または2価のアルコールが挙げられる。
以上の(a)希土類元素含有化合物またはこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
本発明の触媒に使用される(b)成分の一方であるアルモキサンは、式(I)または式(II) で示される構造を有する化合物である。また、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で示されるアルモキサンの会合体でもよい。
Figure 0004367589
【0017】
【化1】
Figure 0004367589
【0018】
(式中、R7 はそれぞれ、同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基、nは2以上の整数である。)
式(I)または式(II) で表されるアルモキサンにおいて、R7 で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、イソオクチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、イソブチル、t−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。また、nは2以上、好ましくは4〜100の整数である。
(b)アルモキサンの具体例としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、n−プロピルアルモキサン、n−ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサンなどが挙げられる。
(b)アルモキサンの製造は、公知の如何なる技術を用いてもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウムまたはジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、さらに水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、あるいは硫酸銅5水塩や硫酸アルミニウム16水塩などの結晶水を有する塩を加えて反応させることにより製造することができる。
(b)アルモキサンは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
本発明の触媒に使用される(b)成分の他方であるAlR123 (式中、R1 およびR2 は同一または異なり、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3 は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3 は上記R1 またはR2 と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライドなどが挙げられ、好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
本発明の(b)成分である有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
以上の(b)成分であるアルモキサンやAlR1 2 3 に対応する有機アルミニウム化合物は、それぞれ、単独で使用することも、また、併用することもでき、特に、アルモキサンと有機アルミニウム化合物とを併用することが好ましい。
【0020】
本発明の触媒に使用される(c)成分は、ハロゲン含有化合物であり、ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、もしくはエチルアルミニウムセスキクロリド、または塩化亜鉛、臭化亜鉛もしくはヨウ化亜鉛から選ばれた金属ハロゲン化物とリン酸エステル、ジケトン化合物、カルボン酸および/またはアルコールとの反応物、から選択される少なくとも1つのハロゲン含有化合物である。具体的には、好ましくは金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物や、ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドが挙げられ、特に好ましくは金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物である。ここで、上記金属ハロゲン化物としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛が挙げられ、好ましくは、塩化亜鉛である。
【0021】
また、上記の金属ハロゲン化物との反応物を生成させるために反応させるルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコールなどが好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサティック酸〔シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である〕、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールなどが挙げられ、好ましくは、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサティック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールである。
【0022】
上記のルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モルあたり、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
【0023】
本発明で使用する触媒の各成分の量または組成比は、その目的あるいは必要性に応じて種々の異なったものに設定される。
このうち、(a)成分は、100gの共役ジエン系化合物に対し、0.00001〜1.0ミリモルの量を用いるのがよい。0.00001ミリモル未満では、重合活性が低くなり好ましくなく、一方、1.0ミリモルを超えると、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となり好ましくない。特に、0.0001〜0.5ミリモルの量を用いるのが好ましい。
また、一般に(b)成分の使用量は、(a)成分に対するAlのモル比で表すことができ、(a)成分対(b)成分が1:1〜1:1,000、好ましくは1:3〜1:750、さらに好ましくは1:5〜1:500である。
さらに、(a)成分と(c)成分の割合は、モル比で、1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15である。
これらの触媒量または構成成分比の範囲外では、高活性な触媒として作用せず、または、触媒残渣除去する工程が必要になるため好ましくない。また、上記の(a)〜(c)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行ってもよい。
【0024】
触媒成分として、上記の(a)成分、(b)成分および(c)成分以外に、必要に応じて、共役ジエン系化合物および/または非共役ジエン系化合物を、(a)成分の化合物1モルあたり、0〜1,000モルの割合で用いてもよい。触媒製造用に用いられる共役ジエン系化合物は、重合用のモノマーと同じく、1,3−ブタジエン、イソプレンなどを用いることができる。また、非共役ジエン系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、1,4−ビニルヘキサジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。触媒成分としての共役ジエン系化合物は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
【0025】
触媒製造は、例えば、溶媒に溶解した(a)成分〜(c)成分、さらに必要に応じて、共役ジエン系化合物および/または非共役ジエン系化合物を反応させることによる。その際、各成分の添加順序は任意でよい。これらの各成分は、あらかじめ混合、反応させ、熟成させることが、重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の意味から好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃、好ましくは20〜80℃である。0℃未満では、充分に熟成が行われず、一方、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こり好ましくない。熟成時間は、特に制限はなく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることもでき、通常は、0.5分以上であれば充分であり、数日間は安定である。
【0026】
本発明では、共役ジエン系化合物を、上記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合する。
本発明の触媒で重合できる共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、ミルセン、シクロ−1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、特に好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンである。これらの共役ジエン系化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもでき、2種以上混合して用いる場合は、共重合体が得られる。
【0027】
本発明の共役ジエン系重合体の重合は、溶媒を用いて、または無溶媒下で行うことができる。
重合溶媒としては、不活性の有機溶媒であり、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭素数6〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテンなどのモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、クロルトルエンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの重合溶媒は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
重合温度は、通常、−30℃〜200℃、好ましくは0〜150℃である。重合反応は、回分式でも、連続式のいずれでもよい。
また、重合体を製造するために、本発明の希土類元素化合物系触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。
【0029】
本発明によれば、特定の触媒を用いているため、シス−1,4−結合含量が高く、かつ分子量分布がシャープな共役ジエン系重合体を得ることができる。
このように、(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて得られる共役ジエン系重合体は、シス−1,4−結合含量が90%以上、好ましくは93%以上、かつMw/Mnが3.5以下、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。本発明で得られる共役ジエン系重合体のシス−1,4−結合含量が90%未満では、機械的特性、耐摩耗性が劣ることになる。このシス−1,4−結合含量の調整は、重合温度をコントロールすることによって容易に行うことができる。
また、本発明において、共役ジエン系重合体のMw/Mnが3.5を超えると、機械的特性、耐摩耗性が劣る。このMw/Mnの調整は、上記(a)〜(c)成分のモル比をコントロールすることによって容易に行うことができる。
【0030】
なお、共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合含量は、2.5%以下が好ましく、2.5%を超えると、機械的特性、耐摩耗性が劣る。
また、共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、10〜100の範囲にあることが好ましい。10未満では、加硫後の機械的特性、耐摩耗性などが劣り、一方、100を超えると、混練り時の加工性が劣り、機械的特性が悪化する。
【0031】
次に、本発明では、このようにして希土類元素化合物系触媒を用いて共役ジエン系化合物を重合したのち、引き続き、得られるリビングポリマーの活性末端に、窒素原子を有する特定の官能基を持つ化合物を添加し、ポリマーの活性末端を窒素原子を有する特定の官能基を持つ化合物と反応(変性)させることにより、重合体分子量を増大もしくは重合体鎖を分岐化され、かつカーボンブラックとの相互作用が改善された新規な重合体を形成するものである。
この変性により、カーボンブラックとの相互作用が改善され、耐摩耗性、機械的特性、コールドフローが改良される。
【0032】
本発明において、ポリマーの活性末端と反応させる(d)成分は、分子中にエポキシ基を少なくとも1つ有するアミン化合物である。
この(d)成分としては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジル(−4−グリシジルオキシ)アニリン、N,N−ジグリシジル(−2−グリシジルオキシ)アニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリスエポキシプロピルイソシアヌレート、N−グリシジル−ジブチルアミン、N−グリシジルピロリジン、N−グリシジルピペリジン、N−グリシジルヘキサメチレンイミン、N−グリシジルモルホリン、N,N′−ジグリシジルピペラジン、N,N′−ジグリシジルホモピペラジン、N−グリシジル−N′−メチルピペラジン、N−グリシジル−N′−ベンジルピペラジン、2−ジグリシジルアミノエチル−N−メチルピロリジンなどが挙げられる。
これらの(d)成分は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0033】
ポリマーの活性末端と反応させる(e)成分は、イミド化合物であり、例えばN−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−メチルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、N,N−o−フェニレンビスマレイミド、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、N,N−p−フェニレンビスマレイミドなどが挙げられる。(e)成分は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0035】
上記(a)成分に対する変性剤の使用量は、モル比で、0.01〜200、好ましくは0.1〜150であり、0.01未満では、反応の進行が充分ではなく、また、カーボンブラックとの分散性が充分に発現されないないうえ、耐摩耗性、コールドフローの改良効果が発現されず、一方、200を超えて使用しても、カーボンブラックの分散性や物性の改良効果は飽和しており、経済上、また場合により、トルエン不溶分(ゲル)が生成し好ましくない。
この変性反応は、160℃以下、好ましくは−30℃〜+130℃の温度で、0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間実施することが望ましい。
【0036】
目的の重合体は、変性反応が終了したのち、必要に応じて、重合停止剤、重合体安定剤を反応系に加え、共役ジエン系重合体の製造における公知の脱溶媒、乾燥操作により回収できる。
変性後に得られる共役ジエン系重合体の、シス−1,4−結合含量は90%以上、好ましくは93%以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は4以下、好ましくは3.5以下である。シス−1,4−結合含量が90%未満では、耐摩耗性が劣る。また、Mw/Mnが4を超えると、耐摩耗性に劣る。
なお、得られる共役ジエン系重合体のビニル−1,2−結合含量は、2.5%以下、好ましくは2.0%以下であり、2.5%を超えると、耐久性に劣る。
また、上記重合体の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、10〜150の範囲にあることが好ましい。10未満では、加硫後の耐摩耗性などが劣り、一方、150を超えると、混練り時の加工性が劣る。
さらに、上記重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、10万〜150万、好ましくは15万〜100万である。これらの範囲外では、加工性および加硫ゴムの物性が劣り好ましくない。
なお、得られる上記重合体は、必要に応じて、脱溶剤前に、アロマチックオイル、ナフテニックオイルなどのプロセス油を添加したのち、脱溶剤、乾燥操作により回収することができる。
【0037】
本発明により得られる共役ジエン系重合体は、該重合体を、単独で、または他の合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要に応じて、プロセス油を配合し、次いで、カーボンブラックなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤、その他の通常の配合剤を加えて加硫し、乗用車、トラック、バス用タイヤ、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤのトレッド、サイドウォール、各種部材、ホース、ベルト、防振ゴム、その他の各種工業用品などの機械的特性、および耐摩耗性が要求されるゴム用途に使用される。また、天然ゴム以外の乳化重合SBR、溶液重合SBR、ポリイソプレン、EP(D)M、ブチルゴム、水添BR、水添SBRにブレンドして使用することもできる。
【0038】
本発明により得られる共役ジエン系重合体は、窒素原子を含有する変性剤で変性されているため、この窒素原子がカーボンブラックの表面に存在する種々の官能基と結合して、カーボンブラックとゴムとが相互作用をなし、ゴム組成物中におけるカーボンブラックの分散性が向上する。
【0039】
ここで、本発明のゴム組成物は、本発明の上記共役ジエン系重合体を単独で、または上記のような他の合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドして、原料ゴムとして配合し、必要に応じて、プロセス油を配合し、次いで充填剤であるカーボンブラック、加硫剤および加硫促進剤などの通常の加硫ゴム配合剤を加えてなるものである。
ここで、本発明の共役ジエン系重合体の優れた特徴を発現するためには、このジエン系重合体は、原料ゴム中に10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有させる。
また、配合および油展に使用されるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系などが挙げられ、その使用量は、原料ゴム100重量部に対し、80重量部以下、好ましくは20〜60重量部である。
【0040】
使用されるカーボンブラックとしては、HAF、ISAF、SAFなどのカーボンブラックであり、好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが用いられる。カーボンブラックの使用量は、原料ゴム100重量部に対し、通常、35〜100重量部、好ましくは40〜80重量部である。
【0041】
加硫剤としては、通常、硫黄が使用され、その使用量は、原料ゴム100重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
加硫助剤および加工助剤としては、一般にステアリン酸が用いられ、その使用量は、原料ゴム100重量部に対し、0.5〜5重量部である。
加硫促進剤は、特に限定されないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系加硫促進剤を挙げることができ、その使用量は、原料ゴム100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部である。
【0042】
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、カーボンブラック以外のシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの充填剤、酸化亜鉛、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤などの添加剤を配合することもできる。
【0043】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行ない、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウオール、ビート部分などのタイヤ用途のほか、ホース、ベルト、靴底、窓枠、シール材、防振ゴム、その他の工業用品などの用途に用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定は、下記の方法によった。
【0045】
ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)
予熱1分、測定時間4分、温度100℃で測定した。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw
東ソー(株)製、HLC−8120GPCを用い、検知器として、示差屈折計を用いて、次の条件で測定した。
カラム;東ソー(株)製、カラムGMHHXL
移動相;テトラヒドロフラン
ミクロ構造(シス−1,4−結合含量、ビニル−1,2−結合含量
赤外法(モレロ法)によって求めた。
引張強さ
JIS K6301に従って測定した。
反撥弾性
ダンロップ社製、反撥弾性試験機を用い、50℃での値を測定した。
耐摩耗性
ランボーン式摩耗試験機〔島田技研(株)製〕を用い、スリップ比60%、室温下で測定した。
【0046】
本発明の重合体(ポリマー)を用いて、下記に示す配合処方に従って、プラストミルを使用し、混練り配合を行った。145℃で最適時間、プレス加硫を行い、加硫物の試験片を得た。
配合処方 (部)
ポリマー 50
天然ゴム 50
ISAFカーボンブラック 50
亜鉛華 3
ステアリン酸 2
老化防止剤(*1) 1
加硫促進剤(*2) 0.8
硫黄 1.5
*1)N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン
*2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
【0047】
実施例1
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4Kg、1,3−ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてバーサティック酸ネオジム(以下「Nd(ver)3 」ともいう)(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(以下「MAO」ともいう)(7.2mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(以下「Ali Bu2 H」ともいう)(3.6mmol)およびジエチルアルミニウムクロリド(以下「DEAC」ともいう)(0.18mmol)のトルエン溶液を、ネオジムの5倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
ムーニ粘度を測定するために、重合溶液を一部抜き取り、凝固、乾燥した。シス−1,4結合含量は95.5%、ビニル結合含量は1.4%、Mw/Mnは2.7であった。
次に、この重合溶液の温度を50℃に保ち、N,N−ジグリシジルアニリン〔日本化薬(株)製、GAN〕(4.5mmol)を添加し、30分間反応させた。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
実施例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを四塩化ケイ素に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
実施例3
実施例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを塩化亜鉛とリン酸トリクレジルとの錯体に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
【0049】
実施例4
実施例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを塩化亜鉛と1−デカノールとの錯体に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
実施例5
実施例4で、N,N−ジグリシジルアニリンを、N−フェニルマレイミドに代えた以外は、実施例4と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
【0050】
比較例1
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4Kg、1,3−ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてバーサティック酸ネオジム(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(7.2mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(3.6mmol)およびジエチルアルミニウムクロリド(0.18mol)のトルエン溶液を、ネオジムの5倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
次に、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
【0051】
比較例2
比較例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを四塩化ケイ素に代えた以外は、比較例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
比較例3
比較例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを塩化亜鉛とリン酸トリクレジルとの錯体に代えた以外は、比較例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
【0052】
比較例4
比較例1で、ジエチルアルミニウムクロリドを塩化亜鉛と1−デカノールとの錯体に代えた以外は、比較例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
比較例5
実施例4で、N,N−ジグリシジルアニリンをエポキシ化大豆油に代えた以外は、実施例4と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
【0053】
比較例6
実施例4で、N,N−ジグリシジルアニリンをジオクチルスズビスベンジルマレートに代えた以外は、実施例4と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表2に示す。
比較例7
市販のポリブタジエンゴム〔ジェイエスアール(株)製、ポリブタジエンゴムBR01〕の加硫物性を表2に示す。
【0054】
実施例1〜6は、比較例1〜4に対して、加硫後の破壊強度、反撥弾性および耐摩耗性が向上している。また、比較例5〜6より、公知の変性剤を使用した重合体よりも、加硫後の各物性が優れており、本発明の変性剤が有用であることが分かる。
【0055】
【表1】
Figure 0004367589
【0056】
【表2】
Figure 0004367589
【0057】
*1)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
*2)比較例7のポリブタジエンゴム(BR01)を100とし、数値が大なるほど良好
*3)ジェイエスアール(株)製の市販のポリブタジエンゴム(BR01)
【0058】
【発明の効果】
本発明の新規な重合方法は、用いられる触媒系が共役ジエン系化合物に対し高い重合活性を示し、かつ得られる重合体をカーボンブラックと相互作用する窒素原子を有する特定の官能基含有化合物で変性することにより、カーボンブラックの分散性に優れ、しかも優れた耐摩耗性および機械的強度を持つことから、共役ジエン系重合体の製造方法として工業的に広く利用することができる。

Claims (4)

  1. 共役ジエン系化合物を、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合したのち、引き続き、下記(d)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を反応させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法。
    (a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、または、これらの化合物とルイス塩基との反応物
    (b)成分;アルモキサンとAlR123(式中、R1およびR2は同一または異なり、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3は上記R1またはR2と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物との併用
    (c)成分;ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、もしくはエチルアルミニウムセスキクロリド、または塩化亜鉛、臭化亜鉛もしくはヨウ化亜鉛から選ばれた金属ハロゲン化物とリン酸エステル、ジケトン化合物、カルボン酸および/またはアルコールとの反応物、から選択される少なくとも1つのハロゲン含有化合物
    (d)成分;分子中にエポキシ基を少なくとも1つ有するアミン化合物
    (e)成分;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−メチルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、N,N−o−フェニレンビスマレイミド、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、およびN,N−p−フェニレンビスマレイミドから選ばれたイミド化合物
  2. 共役ジエン系化合物を上記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用い重合して得られる重合体が、シス−1,4−結合含量が90%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下である請求項1記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
  3. 上記(d)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を反応させて得られる重合体が、シス−1,4−結合含量が90%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下である請求項1または2記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の共役ジエン系重合体の製造方法によって得られる共役ジエン系重合体とカーボンブラックとを主成分とするゴム組成物。
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