JP2005247951A - 共役ジエン系重合体の製造方法および共役ジエン系重合体 - Google Patents

共役ジエン系重合体の製造方法および共役ジエン系重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンブラックとの相互作用が改善され、得られる加硫物の反発弾性、機械的特性、加工性、耐摩耗性に優れたゴム組成物が提供できる共役ジエン系重合体を得る。
【解決手段】共役ジエン系化合物を、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合する際、下記(d)成分の存在下で重合する共役ジエン系重合体の製造方法。
(a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、または、これらの化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分;アルモキサンおよび/またはAlR123に対応する有機アルミニウム化合物
(c)成分;ハロゲン含有化合物
(d)成分;R456M’Hに対応する、水素化有機金属化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系重合体の製造方法に関し、さらに詳細には、希土類元素化合物触媒を用いて、共役ジエン系化合物を重合するに際し、アルキルスズなどを含有する特定の水素化有機金属化合物の存在下で重合することにより、重合体鎖中にアルキルスズなどの水素化有機金属化合物残基の結合量を増大させることにより、カーボンブラックなどのゴム補強材と相互作用し、このゴム補強材のゴム成分中への分散性が良好で、この結果、反発弾性、耐摩耗性、機械的特性などの物性に優れた共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
共役ジエン類の重合触媒については、従来から数多くの提案がなされており、工業的に極めて重要な役割を担っている。特に、熱的および機械的特性において、高性能化された共役ジエン系重合体を得る目的で、高いシス1,4−結合含量を与える数多くの重合触媒が研究・開発されている。
例えば、特許文献1(特開平6−211916号公報)、特許文献2(特開平6−306113号公報)、特許文献3(特開平8−73515号公報)では、ネオジム化合物にメチルアルモキサンを使用した触媒系を用いると、高い重合活性を示し、かつ狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体が得られることが報告されている。しかしながら、上記の重合法で充分な触媒活性を保持し、かつ分子量分布の狭い重合体を得るためには、従来の有機アルミニウム化合物を用いた触媒系に比べて多量のアルモキサンを使用する必要があり、その価格が通常の有機アルミニウム化合物に比べて高価であること、コールドフローが大きく、保存安定性などに問題があり、実用的には問題がある。
これらの問題に対して、特許文献4(特開平10−306113号公報)、特許文献5(特開平11−35633号公報)では、メチルアルモキサンを使用した触媒系で重合した共役ジエン系重合体をヘテロ三員環化合物やハロゲン化金属化合物、金属カルボン酸塩などで変性し、コールドフローを抑えることが報告されている。
しかしながら、これらの共役ジエン系重合体を用いて、カーボンブラックとのゴム組成物を調製した場合、これらの重合体(ゴム)とカーボンブラックとの相互作用が充分ではなく、得られるゴム組成物中へのカーボンブラックの分散性が劣り、得られるゴム架橋物の耐摩耗性や機械的特性が満足できるレベルに至っていない。
特開平6−211916号公報 特開平6−306113号公報 特開平8−73515号公報 特開平10−306113号公報 特開平11−35633号公報
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、希土類金属化合物、アルモキサンおよび/または有機アルミニウム、ならびにハロゲン含有化合物を組み合わせた触媒系を用いると、アルモキサンの使用量が少量でも触媒活性が充分に高く、分子量分布が狭い共役ジエン系重合体が得られるが、この重合の際に、トリオクチルスズヒドリドなどの水素化有機金属化合物を存在させると、カーボンブラックとの相互作用が改善され、得られる加硫物の反発弾性、機械的特性、加工性、耐摩耗性に優れたゴム組成物が得られることを見いだし、本発明に到達したものである。
本発明は、共役ジエン系化合物を、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合する際、下記(d)成分の存在下で重合することを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
(a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、または、これらの化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分;アルモキサンおよび/またはAlR123(式中、R1およびR2は同一または異なり、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3は上記R1またはR2と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物
(c)成分;ハロゲン含有化合物
(d)成分;R456M’H(式中、R4〜R6は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数3〜20のアルコキシ基、M’はスズ原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子)に対応する、水素化有機金属化合物
ここで、(a)成分を構成する希土類元素としては、ネオジムが好ましい。
また、(b)成分としては、アルモキサンとAlR123(式中、R1〜R3は上記に同じ)に対応する有機アルミニウム化合物とを併用することが好ましい。
さらに、(d)成分としては、R789SnH(式中、R7〜R9は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基)に対応する水素化有機スズ化合物が好ましい。
である請求項1または2記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
次に、本発明は、上記製造方法によって得られる、シス1,4−結合含量が85%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下である、共役ジエン系重合体に関する。
本発明の上記共役ジエン系重合体のスズ原子の含有量は、通常、300ppm以上である。
本発明によれば、共役ジエン系化合物の重合中に、特定の水素化有機金属化合物と反応させることにより、得られる共役ジエン系重合体は、重合体鎖中にアルキルスズなどの特定の水素化有機金属化合物残基を効率的に結合することができ、これにより、ゴム補強材であるカーボンブラックの分散性に優れ、反発弾性、耐摩耗性および機械的強度に優れるゴム加硫物が得られる。
(a)成分:
本発明の触媒に使用される(a)成分としては、周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素を含む化合物(希土類元素含有化合物)またはこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。好ましい希土類元素は、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウムなど、または、これらの混合物であり、さらに好ましくは、ネオジムである。本発明の希土類元素含有化合物は、カルボン酸塩、アルコキサイド、β-ジケトン錯体、リン酸塩または亜リン酸塩であり、この中でも、カルボン酸塩またはリン酸塩が好ましく、特にカルボン酸塩が好ましい。
希土類元素のカルボン酸塩としては、一般式(R10−CO23 M(式中、Mは周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素である)で表され、R10は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、好ましくは飽和または不飽和のアルキル基であり、かつ直鎖状、分岐状または環状であり、カルボキシル基は1級、2級または3級の炭素原子に結合している。具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサティック酸〔シェル化学社製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である〕などの塩が挙げられ、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、バーサティック酸の塩が好ましい。
希土類元素のアルコキサイドは、一般式(R11O)3 M(R11は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Mは周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素である)であり、R11Oで表されるアルコキシ基の例として、2−エチルヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基などが挙げられる。この中でも、好ましいものは、2−エチルヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基である。
希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、希土類元素の、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン錯体などが挙げられる。この中でも好ましいものは、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体である。
希土類元素の、リン酸塩または亜リン酸塩としては、希土類元素の、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸などの塩が挙げられ、好ましい例としては、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸の塩が挙げられる。以上、例示した中でも特に好ましいものは、ネオジムのリン酸塩またはネオジムのカルボン酸塩であり、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩などのカルボン酸塩が最も好ましい。
上記の希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モルあたり、0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、またはあらかじめ両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、例えば、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価または2価のアルコールが挙げられる。以上の(a)希土類元素含有化合物またはこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
(b)成分:
本発明の触媒に使用される(b)成分は、アルモキサンおよび/または上記AlR123に対応する有機アルミニウム化合物である。
このうち、(b)成分の一方であるアルモキサンは、式(I)または式(II) で示される構造を有する化合物である。また、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で示されるアルモキサンの会合体でもよい。

Figure 2005247951
Figure 2005247951
(式中、R12は、互いに同一または異なり、それぞれ炭素数1〜20の炭化水素基、nは2以上の整数である。)
式(I)または式(II) で表されるアルモキサンにおいて、R12で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、イソオクチル基などが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、イソブチル、t−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。また、nは2以上、好ましくは4〜100の整数である。
(b)アルモキサンの具体例としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、n−プロピルアルモキサン、n−ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサンなどが挙げられる。
(b)アルモキサンの製造は、公知の如何なる技術を用いてもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウムまたはジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、さらに水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、あるいは硫酸銅5水塩や硫酸アルミニウム16水塩などの結晶水を有する塩を加えて反応させることにより製造することができる。
(b)アルモキサンは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
本発明の触媒に使用される(b)成分の他方であるAlR123 (式中、R1 およびR2 は互いに同一または異なり、それぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3 は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3 は上記R1 またはR2 と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジヒドリド、n−プロピルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリドなどが挙げられ、好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
本発明の(b)成分である有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
以上の(b)成分であるアルモキサンやAlR1 2 3 に対応する有機アルミニウム化合物は、それぞれ、単独で使用することも、また、併用することもでき、特に、アルモキサンと有機アルミニウム化合物とを併用することが好ましい。
(c)成分:
本発明の触媒に使用される(c)成分は、ハロゲン含有化合物であり、好ましくは金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物や、ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、四塩化スズ、二塩化スズ、三塩化リン、ベンゾイルクロリド、t−ブチルクロリドなどが挙げられ、特に好ましくは金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物である。ここで、上記金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金などが挙げられ、好ましくは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅であり、特に好ましくは、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅である。
また、上記の金属ハロゲン化物との反応物を生成させるために反応させるルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコールなどが好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサティック酸〔シェル化学社製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である〕、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールなどが挙げられ、好ましくは、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサティック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールである。
上記のルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モルあたり、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
(d)成分:
本発明では、以上の(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて、共役ジエン系化合物を重合する際に、(d)R456M’H(式中、R4〜R6は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数3〜20のアルコキシ基、M’はスズ原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子)に対応する、水素化有機金属化合物を存在させる。
これらの(d)水素化有機金属化合物の具体例としては、トリメチルスズヒドリド、トリエチルスズヒドリド、トリプロピルスズヒドリド、トリブチルスズヒドリド、トリペンチルスズヒドリド、トリヘキシルスズヒドリド、トリシクロヘキシルスズヒドリド、トリオクチルスズヒドリド、トリフェニルスズヒドリド、トリイソプロポキシシラン、トリ−t−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、トリエチルゲルマニウムヒドリド、トリブチルゲルマニウムヒドリドが挙げられる。
また、(d)成分としては、特にR789SnH(式中、R7〜R9は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基)に対応する水素化有機スズ化合物が好ましい。
上記(d)水素化有機スズ化合物の具体例としては、トリメチルスズヒドリド、トリエチルスズヒドリド、トリプロピルスズヒドリド、トリブチルスズヒドリド、トリペンチルスズヒドリド、トリヘキシルスズヒドリド、トリシクロヘキシルスズヒドリド、トリオクチルスズヒドリド、トリフェニルスズヒドリドなどが挙げられる。
本発明で使用する触媒の各成分の量または組成比は、その目的あるいは必要性に応じて種々の異なったものに設定される。このうち、(a)成分は、100gの共役ジエン系化合物に対し、0.00001〜1.0ミリモルの量を用いるのがよい。0.00001ミリモル未満では、重合活性が低くなり好ましくなく、一方、1.0ミリモルを超えると、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となり好ましくない。特に、0.0001〜0.5ミリモルの量を用いるのが好ましい。また、一般に(b)成分の使用量は、(a)成分に対するAlのモル比で表すことができ、(a)成分対(b)成分が1:1〜1:1,000、好ましくは1:3〜1:750、さらに好ましくは1:5〜1:500である。さらに、(a)成分と(c)成分の割合は、モル比で、1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15である。これらの触媒量または構成成分比の範囲外では、高活性な触媒として作用せず、または、触媒残渣除去する工程が必要になるため好ましくない。また、上記の(a)〜(c)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行ってもよい。
触媒成分として、上記の(a)成分、(b)成分および(c)成分以外に、必要に応じて、共役ジエン系化合物および/または非共役ジエン系化合物を、(a)成分の化合物1モルあたり、0〜1,000モルの割合で用いてもよい。触媒製造用に用いられる共役ジエン系化合物は、重合用のモノマーと同じく、1,3−ブタジエン、イソプレンなどを用いることができる。また、非共役ジエン系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。触媒成分としての共役ジエン系化合物は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
触媒製造は、例えば、溶媒に溶解した(a)成分〜(c)成分、さらに必要に応じて、共役ジエン系化合物および/または非共役ジエン系化合物を反応させることによる。その際、各成分の添加順序は任意でよい。これらの各成分は、あらかじめ混合、反応させ、熟成させることが、重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の意味から好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃、好ましくは20〜80℃である。0℃未満では、充分に熟成が行われず、一方、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こり好ましくない。熟成時間は、特に制限はなく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることもでき、通常は、0.5分以上であれば充分であり、数日間は安定である。
また、上記(d)水素化有機金属化合物の使用量は、(a)成分に対する金属原子であるM’のモル比で表すことができ、(a)成分対(d)成分が1:10〜1:5000、好ましくは1:20〜1:2500、さらに好ましくは1:50〜1:1000である。
(d)成分の使用量が少なすぎると、水素化有機金属化合物残基のポリマーへの導入量が減少し物性改良効果が減少する。一方、多すぎても、得られるポリマーの分子量が低下し、物性改良効果が減少する。
本発明では、共役ジエン系化合物を、上記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて、かつ(d)成分の存在下で重合する。
本発明の触媒で重合できる共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、ミルセン、シクロ−1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、特に好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンである。
これらの共役ジエン系化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもでき、2種以上混合して用いる場合は、共重合体が得られる。
本発明の共役ジエン系重合体の重合は、溶媒を用いて、または無溶媒下で行うことができる。重合溶媒としては、不活性の有機溶媒であり、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭素数6〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテンなどのモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、クロルトルエンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの重合溶媒は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
重合温度は、通常、−30℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃である。重合反応は、回分式でも、連続式のいずれでもよい。また、重合体を製造するために、本発明の希土類元素化合物系触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。
目的の重合体は、重合反応が終了したのち、必要に応じて、重合停止剤、重合体安定剤を反応系に加え、共役ジエン系重合体の製造における公知の脱溶媒、乾燥操作により回収できる。
得られる共役ジエン系重合体の、シス1,4−結合含量は85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は4以下、好ましくは3.5以下である。
シス1,4−結合含量が85%未満では、耐摩耗性が劣る。また、Mw/Mnが4を超えると、耐摩耗性に劣る。
なお、得られる共役ジエン系重合体のビニル1,2−結合含量は、好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。2.5%を超えると、耐久性に劣る傾向がある。
また、上記共役ジエン系重合体の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、10〜150の範囲にあることが好ましい。10未満では、加硫後の耐摩耗性などが劣り、一方、150を超えると、混練り時の加工性が劣ることがある。
さらに、上記共役ジエン系重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、10万〜150万、好ましくは15万〜100万である。これらの範囲外では、加工性および加硫ゴムの物性が劣る傾向にあり好ましくない。
なお、得られる共役ジエン系重合体は、必要に応じて、脱溶剤前に、アロマチックオイル、ナフテニックオイルなどのプロセス油を添加したのち、脱溶剤、乾燥操作により回収することができる。
このようにして得られる本発明の共役ジエン系重合体は、重合体鎖に(d)成分に起因する水素化有機金属化合物残基、例えば「Oct3Sn−」基(トリオクチルスズ基)が効率的に多量に結合することになる。
本発明の共役ジエン系重合体は、(d)成分を構成する金属がスズの場合、スズ原子の結合量が300ppm以上、好ましくは350〜2,000ppm、さらに好ましくは400〜1,000ppm程度である。
本発明により得られる共役ジエン系重合体は、該重合体を、単独で、または他の合成ゴムもしくは天然ゴム(以下「他のゴム」ともいう)とブレンドして配合し、必要に応じて、プロセス油を配合し、カーボンブラックなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤、その他の通常の配合剤を加えて混練、加硫し、乗用車、トラック、バス用タイヤ、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤのトレッド、サイドウォール、各種部材、ホース、ベルト、防振ゴム、その他の各種工業用品などの機械的特性、および耐摩耗性が要求されるゴム用途に使用される。また、天然ゴム以外の合成ゴムとしては、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴムのほか、水添ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
本発明の共役ジエン系重合体と他のゴムとの割合は、共役ジエン系重合体成分が10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、他のゴムが90〜0重量%、好ましくは80〜0重量%〔ただし、共役ジエン系重合体+他のゴム=100重量%〕である。本発明の共役ジエン系重合体が10重量%未満では、カーボンブラックとの分散性が充分ではなく、反発弾性、耐摩耗性および破壊強度などの物性が不充分となる。
本発明により得られる共役ジエン系重合体は、重合体鎖に(d)成分に起因する水素化有機金属化合物残基が結合しているため、この水素化有機金属化合物残基が、カーボンブラックなどのゴム補強材の表面に存在する種々の官能基と結合して、このゴム補強材とゴムとが相互作用をなし、ゴム組成物中におけるカーボンブラックなどのゴム補強材の分散性が向上する。
ここで、本発明のゴム組成物は、本発明の共役ジエン系重合体を単独で、または上記のような他の合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドして、ゴム成分として配合し、必要に応じて、プロセス油を配合し、次いで充填剤であるカーボンブラック、加硫剤ならびに加硫促進剤などの通常の加硫ゴム配合剤を加えてなるものである。
本発明の共役ジエン系重合体の優れた特徴を発現するためには、このジエン系重合体は、ゴム成分中に10重量%以上、好ましくは20重量%以上含有させる。また、配合および油展に使用されるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系などが挙げられ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対し、好ましくは80重量部以下、さらに好ましくは20〜60重量部である。
本発明のカーボンを配合したゴム組成物において、使用されるカーボンブラックとしては、HAF、ISAF、SAFなどのカーボンブラックであり、好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが用いられる。
ゴム補強材であるカーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対し、20〜120重量部、好ましくは30〜100重量部、さらに好ましくは40〜80重量部である。20重量部未満では、補強性に劣り、反発弾性、耐摩耗性および破壊強度の改良効果が得られず一方、120重量部を超えると、未加硫ゴム組成物の粘度が上昇し、加工性に劣り、また、耐摩耗性および反発弾性が劣る。
以上のゴム組成物に用いられる上記加硫剤としては、通常、硫黄が使用され、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
加硫助剤および加工助剤としては、一般にステアリン酸が用いられ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対し、0.5〜5重量部である。
加硫促進剤は、特に限定されないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系加硫促進剤を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部である。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、上記ゴム補強材以外のシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの充填剤、酸化亜鉛、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤などの添加剤を配合することもできる。
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行ない、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビート部分などのタイヤ用途のほか、ホース、ベルト、靴底、窓枠、シール材、防振ゴム、その他の工業用品などの用途に用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中の各種の測定は、下記の方法によった。
ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃)
JIS K6300−1994に準拠して、予熱1分、測定時間4分、温度100℃で測定した。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw
東ソー社製、HLC−8120GPCを用い、検知器として、示差屈折計および紫外可視計を用いて、次の条件で測定した。
カラム;東ソー社製、カラムGMHHXL
移動相;テトラヒドロフラン
ミクロ構造(シス1,4−結合含量、ビニル1,2−結合含量
赤外法(モレロ法)によって求めた。
スズ含量
ポリマーをメタノールで再沈精製し、ICP発光分析によって求めた。
引張特性
JIS K6301−1995に従って、切断時の伸び(EB)、切断時の強力(TB)を測定した。
tanδ(低ヒステリシスロス性)
レオメトリクス社製、メカニカルスペクトロメータを用い、歪3%、50℃での値を測定した。
耐摩耗性
ランボーン式摩耗試験機〔島田技研社製〕を用い、スリップ比60%、室温(25℃)下で測定した。
実施例1
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300g、トリオクチルスズヒドリド(以下「Oct3SnH」ともいう)(22.2mmol)を仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてバーサティック酸ネオジム(以下「Nd(ver)3」ともいう)(0.11mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(以下「MAO」ともいう)(2.2mmol)のトルエン溶液、トリイソブチルアルミニウム(以下「AliBu3」ともいう)(19.8mmol)およびジエチルアルミニウムクロリド(以下「DEAC」ともいう)(0.22mmol)のトルエン溶液を、ネオジムの25倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
次に、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
実施例2
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300g、Oct3SnH(22.2mmol)を仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてNd(ver)3(1.11mmol)のシクロヘキサン溶液、AliBu3 (31.3mmol)およびDEAC(2.8mmol)のトルエン溶液を、ネオジムの25倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
次に、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で、Oct3SnHを添加せず、AliBu3の添加量を(22.2mmol)に代えた以外は、実施例1と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例2
実施例2で、Oct3SnHを添加せず、AliBu3の添加量を(33.3mmol)に代えた以外は、実施例2と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例3
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてNd(ver)3(0.11mmol)のシクロヘキサン溶液、MAO(2.2mmol)のトルエン溶液、AliBu3 (29.7mmol)およびDEAC(0.22mmol)のトルエン溶液を、ネオジムの25倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
次に、この重合溶液の温度を50℃に保ち、四塩化スズ(0.03mmol)を添加し、30分間反応させた。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例4
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてNd(ver)3(1.11mmol)のシクロヘキサン溶液、AliBu3 (42.8mmol)およびDEAC(2.8mmol)のトルエン溶液を、ネオジムの25倍量の1,3−ブタジエンと50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
次に、この重合溶液の温度を50℃に保ち、四塩化スズ(0.28mmol)を添加し、30分間反応させた。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例5
比較例3で、AliBu3 の添加量を(26.4mmol)に変更し、四塩化スズをジオクチルスズベンジルマレートに代えた以外は、比較例3と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例6
比較例4で、AliBu3 の添加量を(40.8mmol)に変更し、四塩化スズをジオクチルスズベンジルマレートに代えた以外は、比較例4と同様の方法にて重合体を得た。重合条件および分析結果を表1に示す。
比較例7
市販のポリブタジエンゴム〔JSR社製、ポリブタジエンゴムBR01〕の加硫物性を表1に示す。
実施例1、2および比較例1〜7の重合体を用いて、下記に示す配合処方に従って、プラストミルを使用し、混練り配合を行った。145℃で最適時間、プレス加硫を行い、加硫物の試験片を得た。得られた加硫ゴムの物性を、表1に示す。
配合処方 (部)
重合体 100
HAFカーボンブラック 50
亜鉛華 3
ステアリン酸 2
老化防止剤(*1) 1
加硫促進剤(*2) 0.8
硫黄 1.5
(*1)N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン
(*2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
ポリマー中にスズ化合物が結合している実施例1と比較例1を比較すると、実施例1では比較例1に較べて配合ゴムの加硫後の破壊強度、低ヒステリシスロス性および耐摩耗性が向上していることが分かる。
また、比較例3、5との比較により、変性剤を添加する事によりスズ化合物を反応させた場合よりも、ポリマー中に結合したスズ化合物の量が増加していることが分かる。これにより、比較例3、5に対し加硫後の各物性が優れていることも分かる。
同様に、実施例2は、比較例2、4、6に対して、ポリマー中に結合したスズ化合物の量が増加し、加硫後の破壊強度、低ヒステリシスロス性および耐摩耗性も向上しており、触媒組成に関係なく上記連鎖移動剤を使用すると、加硫物性が改良されることが分かる。
以上の結果から、本発明が有用であることが分かる。














































Figure 2005247951
*1 重量平均分子量と(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
*2 比較例7を100とし、数値の大なるほど良好
*3 比較例7を100とし、数値の大なるほど良好
*4 JSR社製の市販BR(JSR BR01)
本発明によれば、共役ジエン系化合物の重合中に、特定の水素化有機化合物と反応させることにより、得られる共役ジエン系重合体は、アルキルスズなどの特定の水素化有機金属化合物残基を効率的に含有することができ、これにより、ゴム補強材であるカーボンブラックの分散性に優れ、反発弾性、耐摩耗性および機械的強度に優れるゴム加硫物が得られる。
したがって、本発明の共役ジエン系重合体を用いたゴム組成物は、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行ない、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビート部分などのタイヤ用途のほか、ホース、ベルト、靴底、窓枠、シール材、防振ゴム、その他の工業用品などの用途に用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。

Claims (6)

  1. 共役ジエン系化合物を、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒を用いて重合する際、下記(d)成分の存在下で重合することを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法。
    (a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、または、これらの化合物とルイス塩基との反応物
    (b)成分;アルモキサンおよび/またはAlR123(式中、R1およびR2は同一または異なり、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R3は上記R1またはR2と同一または異なっていてもよい)に対応する有機アルミニウム化合物
    (c)成分;ハロゲン含有化合物
    (d)成分;R456M’H(式中、R4〜R6は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数3〜20のアルコキシ基、M’はスズ原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子)に対応する、水素化有機金属化合物
  2. (a)成分を構成する希土類元素がネオジムである請求項1記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
  3. (b)成分として、アルモキサンとAlR123(式中、R1〜R3は請求項1に同じ)に対応する有機アルミニウム化合物とを併用する請求項1または2記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
  4. (d)成分が、R789SnH(式中、R7〜R9は同一または異なり、炭素数1〜20の炭化水素基)に対応する水素化有機スズ化合物である請求項1〜3いずれかに記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
  5. シス1,4−結合含量が85%以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下である、請求項1〜4いずれか1項記載の製造方法によって得られた共役ジエン系重合体。
  6. スズ原子の含有量が300ppm以上である請求項5記載の共役ジエン系重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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