JP4366020B2 - プッシュプル錠のラッチ制御機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プッシュプル錠のラッチ制御機構(以下単にラッチ制御機構という)に係り、特に、所謂プッシュプルハンドルの代りに室内側に装着できる新規なラッチ制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
プッシュプルハンドルとは、例えば図1に示すように、扉1の外面(図1で左側の面)に装着された縦長の台座2に対し、扉の厚さ方向に移動可能に案内されたこれも縦長のハンドル3をいい、このプッシュプルハンドル3を例えば手前側(図1で矢印A方向)に引くことにより、その動きを利用して錠箱4内のラッチを制御すると共に、ラッチ制御後その侭ハンドル3を手前に引続ければ、扉1を開けることができる。
【0003】
かかるプッシュプルハンドル装置は、例えば特開平9−303002号公報に記載されているから簡単に説明すると、図2のA、Bに示すように、プッシュプルハンドル3の上下端を扉の厚さ方向に伸縮できるX字形のリンク5を介して台座2に連結し、このリンク5の中心軸6をばね7により台座2に近接する方向に付勢する。
【0004】
すると、このリンク機構は、プッシュプルハンドル3をばね7の付勢力に抗して図1のA方向に引けば、プッシュプルハンドル3は台座2と平行な位置関係を保って扉の厚さ方向に移動すると共に、上記リンク5を構成する例えば第1リンク8がすることになる。
【0005】
そこで、この第1リンク8に作動片9を突設し、この作動片9を錠箱4の所定の部位に挿入すれば、上記プッシュプルハンドル3の操作により作動片9が図1で矢印B方向に傾動するので、この作動片9の動きを利用して錠箱の図示しないラッチの制御を行う。
【0006】
なお、かかるプッシュプル錠に使用されるラッチ装置は、通常、反転ラッチと称されるもので、作動片9のわずかな動きで水平投影が菱形のラッチヘッドが回転可能となり、扉の開放に伴ってストライクとの係脱を行う。
【0007】
上記した反転ラッチ装置は、例えば特許第2641098号に係る特許公報に記載されて従来周知であるから、更に詳細な説明は省略する。
【0008】
上記した構成のプッシュプル錠は、通常、図1に示すように、室内側にもプッシュプルハンドル3が装着されており、室内側のプッシュプルハンドル3によって制御される作動片9により、室内側からも反転ラッチ装置を制御することができ、このとき室内側の作動片9は、図1で矢印方向に傾動する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、デザイン上の問題やコストの点から、室内側のプッシュプルハンドル3を省略し、その代わりに通常のノブやレバーハンドルを装着したい、とする要望が出始めてきた。
【0010】
ところが、従来のノブやレバーハンドルによるラッチ制御機構は、通常のラッチボルトを錠箱から出し入れするもので、プッシュプルハンドル装置におけるラッチ制御機構と比較して格段にそのストロークが大きい。
【0011】
したがって、従来のラッチボルトを出し入れするラッチ制御機構をプッシュプルハンドル装置と併用することができない、という不都合がある。
【0012】
そこで、この発明は、ストロークが小さい反転ラッチ装置にも適用可能であり、しかもノブやレバーハンドルによって操作できる新規なラッチ制御機構を提供し、以って上記した不都合を解消することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、ノブやレバーハンドルの操作軸を回動可能に支承する台座を扉の自由側端縁部内面に装着し、上記操作軸の内端に、作動部を形成した駆動板を一体的に装着すると共に、上記台座の内側に、断面がコ字形で上下方向に移動可能に案内されたスライダを駆動板の内側に重合するように配設し、更に、このスライダを上方または下方に付勢し、一方、このスライダの側板に切欠を形成し、上記駆動板の作動部をこの切欠にスライダの付勢方向とは逆方向から係合可能に臨ませ、他方、上記スライダの内面に作動片を切り起こし、この作動片の内端部をプッシュプル錠の錠箱に挿入させたことを特徴とする。
【0014】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図3乃至図5において符号20は台座を示し、この台座20は、例えば一面が開いた楕円形の箱状体で、その開口を扉の内面に接合させるようにして、止めねじ11、11により扉面に呼びつけられるように固定されている。
【0015】
なお、この台座20は、図1に示す室内側(右側)のプッシュプルハンドルの代りに設けられるもので、その錠箱4の右側における扉1の内面に装着される。
【0016】
この台座20のほぼ中央には、ノブやレバーハンドル(図示の実施例ではレバーハンドル)の操作軸12が回動可能に支承されている。
【0017】
この操作軸12の内端には、図3及び図5に示すように、異形断面部(図示の実施例では四隅を面取りした方形断面)13が形成されており、この異形断面部13に、全体の形状が略円形の駆動板14(図7参照)が装着され、止め輪15によって抜け止めが施されている。
【0018】
ちなみに、図4及び図7に示すように、駆動板14のほぼ中央部には上記異形断面部13と嵌合する付番しない異形(方形)孔が開口しており、この異形孔を異形断面部13に嵌め合せることにより、駆動板14の操作軸12周りの回り止めが施されている。
【0019】
一方、台座20の内側で駆動板14の内側(図3で下側)には、断面がコ字形のスライダ16が、その開口を外側にしてかつ駆動板とほぼ重合するような位置関係で配設され、上下方向に移動可能に案内されている。
【0020】
図示の実施例では、スライダ16のコ字の開口端円に突設されたガイド片17、17(図6参照)を台座20に形成された図示しない縦長のガイド溝に摺動可能に係合させると共に、スライダ16の底面に開口した長穴18及び前記止めねじ11(図5参照)と螺合するねじ杆19の係合によって上下方向に移動可能に案内されている。
【0021】
また、図4及び図5に示すように、スライダ16と台座20の内面との間には、全体の形状がほぼ矩形の支持板21が配設されており、この支持板21のほぼ中央に前記操作軸12の内端部と嵌合するバーリング部10(図5参照)が形成されている。
【0022】
そして、支持板21及びスライダの上端部を夫々外側に切り起こして形成した第1及び第2ばね止め片22、23(図5及び図6参照)の間に弾装された圧縮コイルばね24の弾力により、スライダ16は図4及び図5で上方に付勢されている。
【0023】
他方、前記駆動板14の所定の角度位置(図4において時計盤面に換算してほぼ2時の角度位置)に作動部25(図7参照)が突設されている。
【0024】
この作動部25に対応して、スライダの一方の側板(図4で右方の側板)の上記作動部25と重合する部分が切り欠かれて切欠部26が形成されており、この切り欠き26の下方の開口端縁27(図4参照)に上記作動部25が係合可能に臨んでいる。
【0025】
また、図3及び図5に示すように、支持板21に形成された前記バーリング部10(図5参照)の外側に巻装された捩りコイルばね28の弾力により、駆動板14及びこれと一体のハンドルは、図4で反時計方向に付勢されている。
【0026】
更にまた、図3乃至図6に示すように、スライダ16のほぼ中央部が外側に切り起こされて作動片9が形成されており、この作動片9は、図1に示す室内側の作動片9(図1で手前側の作動片)の代りに、プッシュプル錠の錠箱4内に挿入されている。
【0027】
上記のように構成されたこの発明の一実施例によるラッチ制御機構は、図4から明らかなように、室内側からハンドルを操作してこれを下方に押動すれば、駆動板14が時計方向に回動し、その作動部25がスライダの側方の切欠の開口端縁27と係合してこれを下方に押動する。
【0028】
その結果、スライダ16に形成された作動片9が図1に示す手前側の作動片9の代りに図示しないラッチのストッパーを下方に押動するので、ラッチが反転してストライクとの係合が解け、扉を開放することができるようになる。
【0029】
なお、スライダ16に形成された作動片のストロークは、ハンドルの回動範囲を設定する図示しないストッパー及び構成部材の諸元を適切に設定することにより、任意の値に設定することができる。
【0030】
また、錠箱4内の制御機構に対応して、スライダの作動片9を上方に移動させることによりラッチを反転可能に切換える機構に変更することができ、この場合、スライダ16を下方に付勢すべきことは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、上下方向に移動可能に案内されたスライダに作動片を形成し、この作動片を従来のプッシュプルハンドルの作動片と同様に錠箱に挿入すると共に、ハンドルやノブの操作軸に一体的に装着され、一種のカムである駆動板によりスライダを介して作動片を駆動するようにしたので、スライダの移動量を従来のプッシュプルハンドル装置の作動片のそれと一致させることができ、このようにしてプッシュプル錠にプッシュプルハンドル装置とノブやレバーハンドル装置を併用することを可能にする、という所期の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のプッシュプル錠の要部断面図。
【図2】その作動原理を説明するための線図。
【図3】この発明の一実施例によるラッチ制御機構の一部断面平面図。
【図4】この発明の一実施例によるラッチ制御機構の裏面図。
【図5】この発明の一実施例によるラッチ制御機構の一部断面側面図。
【図6】スライダの平面図。
【図7】駆動板の正面図。
【符号の説明】
1 扉
4 錠箱
9 作動片
12 操作軸
14 駆動板
16 スライダ
24 圧縮コイルばね
25 作動部
26 切欠
27 開口端縁
Claims (1)
- ノブやレバーハンドルの操作軸を回動可能に支承する台座を扉の自由側端縁部内面に装着し、上記操作軸の内端に、作動部を形成した駆動板を一体的に装着すると共に、上記台座の内側に、断面がコ字形で上下方向に移動可能に案内されたスライダを駆動板の内側に重合するように配設し、更に、このスライダを上方または下方に付勢し、一方、このスライダの側板に切欠を形成し、上記駆動板の作動部をこの切欠にスライダの付勢方向とは逆方向から係合可能に臨ませ、他方、上記スライダの内面に作動片を切り起こし、この作動片の内端部をプッシュプル錠の錠箱に挿入させたことを特徴とするプッシュプル錠のラッチ制御機構。
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