JP4235346B2 - 引戸用鎌錠のストライク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引戸用鎌錠のストライクに関する。
【0002】
【従来の技術】
引戸用の鎌錠(戸先錠)は、引戸の縦框に取り付けられる。この鎌錠は錠ケース内にシリンターダルマ又はサムターンダルマの駆動力によって掛合方向へと出没自在に回転する鎌片を備えている。一方、鎌片が係脱するストライクは、引戸用の戸枠に適宜に組込まれている。
【0003】
この種の戸先錠(鎌錠)を有する引戸は、戸枠に嵌め込む場合に、地震などの揺れを考慮し、普通一般に若干の間隙を設けている。この間隙は、例えば1mm〜5mm程度である。このような場合、引戸を閉じた際に鎌片は、戸枠と引戸との間隙の大小に拘わらず、いわゆるガタがなく掛合部材に係止されるのが望ましい。
【0004】
一方、引戸如何によっては、いわゆる跳ね返り現象が生じる場合がある。このような場合に於いて、しばしば若干の隙間があるのにも拘わらず、鎌片をストライクの掛合部材に掛け合わせる時がある。このような時、シリンターダルマ又はサムターンダルマを強制的に回すのではなく、引戸を単に閉めるだけで所望の掛合状態を達成することができれば問題はない。
【0005】
そこで、現在、複雑な構成を採用することなく、上述した幾つかの要望を満たすことができる引戸用鎌錠のストライクの出現が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、戸枠と引戸との間隙の大小に拘わらず、鎌片をいわゆるガタなく掛合部材に係止させることができることである。第2の目的は、構成する部品点数を少なくすることである。第3の目的は、鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の引戸用鎌錠のストライクは、引戸1に取付けられた錠ケースに出没自在に設けられた鎌片8を係止するために戸枠15に組込まれた引戸用鎌錠のストライクに於いて、ケース状のストライク本体16の前面板18に摺動可能なブロック状の掛合部材19を昇降動自在に設け、この掛合部材19は、バネ部材20により常時鎌片と掛合する上下方向へ付勢され、また掛合部材19は、前記ストライク本体16の前記前面板18の内壁面と面接触すると共に、その左右端部がストライク本体16に形成した左右の切欠部26,26にそれぞれ係合し、さらに、掛合部材19に対する前記鎌片の掛合時、戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、鎌片8の先端部は、ストライク本体16の固定枠背面部17aに対して所定間隔離間する掛合部材19の傾斜状掛合面24に係止されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5により本発明の実施形態の第1実施例を説明する。まず1は鎌錠Xを有する引戸、2は引戸1の縦框に内装された錠ケースで、該錠ケース2は鎌錠Xの構成の一部を成す。3は錠ケースの開口部4側に固定されたフロント、5は制御部材の一例としてのサムターン本体、6はサムターンダルマ、7は制御部材によって制御される駆動部材、8は駆動部材によって回転する鎌片である。
【0010】
次に前記各部材について簡単に説明する。引戸1は、本実施例では「戸先錠」と称されるものを意味する。したがって、錠ケース2に出没自在に設けられた鎌片8は、戸枠側に設けられたストライクYの掛合部材19に係脱する。錠ケース2は、室内側に仮想線で示すサムターン本体5を、一方、室外側にキーによって回転する図示しないシリンダーを備えている。サムターンダルマ6は中心部に係合孔を有すると共に、その同芯円上の一部に制御ギヤ6aが設けられている。駆動部材7はサムターンダルマ6と鎌片8との間に介在し、かつ、錠ケース2に横設軸架された固定横軸9に軸支されている。駆動部材7は半径方向へ多少突出する駆動腕7a及び前記制御ギヤ6aに噛合するセクターギヤ7bを有している。
【0011】
鎌片8は、固定支軸10に軸支され、フロント3から突出する先端部8a、該先端部に連設する首部8b、該首部に連設する後端部8cに区分けされている。図1を基準にすると、鎌片8の後端部8cには斜め方向に案内長孔11が形成され、該案内長孔11には駆動ピン12が遊嵌合している。このように引戸1には錠ケース,制御部材,駆動部材,鎌片などから構成されている鎌錠Xが設けられている。
【0012】
一方、戸枠15には鎌片の受け部材であるストライクYが取付けられている。このストライクYは、本実施例では、ケース状の固定枠17及び該固定枠17の開口部に固定された前面板18とから成るストライク本体16と、このストライク本体16内に摺動自在に設けられた掛合部材19と、この掛合部材19を鎌片8の掛合う方向へ付勢するバネ部材20とから構成されている。
【0013】
しかして、掛合部材19は、ストライク本体16の前面板18の内壁面と面接触する垂直スライド面21と、この垂直スライド面21と交差する水平面22と、この水平面22及び前記垂直スライド面21にそれぞれ交差する直角三角形状の左右側壁面23,23と、ストライク本体16の固定枠背面部17aに対して斜め方向に傾斜する掛合面24とをそれぞれ有するブロック体である。
【0014】
そして、前記水平面22にはバネ部材20の下端部を支持する計2個のバネ用支持穴25が形成されている。また前記垂直スライド面21と直角三角形状の左右側壁23,23の両辺には、ストライク本体16の固定枠左右側壁部17b,17bに形成した切欠部26,26にそれぞれ係合する摺動凸条(耳部)27,27が設けられている。なお、28はストライク本体16に形成された鎌片用窓で、この鎌片用窓28の開口幅は、掛合面24の摺接幅を考慮してやや幅広に形成されている。
【0015】
上記構成においては、引戸1と戸枠15との間に若干の隙間a、例えば1mm,3mm,5mmがあっても、つまり、引戸1を閉めた場合において、引戸1と戸枠15との間に若干の隙間aがあっても、間隙aの大小に拘わらず、ガタなく鎌片8を掛合部材19に係止させることができる。
【0016】
図4は引戸1を閉じた時、隙間aが、例えば3mmある場合を想定した説明図である。この場合鎌片8が制御部材(サムターンダルマ,シリンダーダルマ等)5及び駆動部材7の駆動力により時計方向へ回転すると、掛合部材19は鎌片8の先端部8aによりバネ部材20のバネ力に抗して押し上げられる。したがって、鎌片8は、図5で示すように間隙aの大小に拘わらず、ガタがなく掛合部材19の掛合面24に係止される。
【0017】
ところで、この実施例では、引戸1をさらに閉めることが可能な場合(例えば間隙が1mm程度までOKの場合)、引戸1を手で引き寄せることが可能である。図1は引戸1を引き寄せた場合において、鎌片8がスクライクYの掛合部材19に略完全な状態に掛合した時の説明図である。このように、この実施例では引戸1の引き寄せが可能な場合には、鎌片8は隙間(引戸の閉鎖位置)aに対応してガタなく掛合部材19の掛合面24に係止される。
【0018】
【実施例】
第1実施例では、掛合部材19の掛合面24は、図1を基準にすると下向きであるが、これは鎌片8との係合関係を考慮したものである。したがって、鎌片8の取付け如何によって鎌片8の先端部8aが下向きに係合する場合には、当然掛合部材8の向きも変わる(掛合面24は当然上向き)。
【0019】
次に第1実施例と主要部が同一である第2実施例について説明する。なお、第2実施例を説明するに当たって、前記第1実施例と構成上同一の部分には同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
第2実施例において、第1実施例と主に異なる点は掛合部材19Aの掛合面24Aが段差状に形成されていることである。すなわち、掛合部材19Aの掛合面24Aが、図7で示すように下向きの断面階段状に形成され、この下向き階段状掛合面24Aに鎌片8Aの先端部8aが引戸1の隙間に対応して係合する。
【0021】
したがって、鎌片8Aの先端部8aは、第1実施例では指状に形成されているのに対し、第2実施例では「爪状」に形成されている。
【0022】
しかして、この第2実施例の作用・効果は、例えば図9及び図10で示すように第1実施例と同様なので重複する説明を省略する。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような作用・効果がある。
(1)掛合部材(19,19A)にバネ部材20のバネ力が常に作用しているので、間隙aの大小に拘わらず、掛合部材は鎌片(8,8A)に密着する。したがって、引戸を閉じた際に間隙aがあっても、鎌片は間隙aの大小に拘わらず、いわゆるガタがなく掛合部材(19,19A)の掛合面(24,24A)に係止される。
(2)引戸をさらに閉めることが可能な場合(例えば間隙が1mm程度までOKの場合)には、引戸を単に手で引き寄せることが可能である。この場合第1実施例は掛合部材19の掛合面24が傾斜状に形成されているので、また第2実施例は断面階段状に形成されているので、隙間を所望する位置まで小さくすることができる。
(3)構成する部品点数を少なくすることができる。
(4)鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができる。
(5)掛合部材はガタガタせず、安定的に昇降動する。
(6)引戸と戸枠の隙間を段階的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図5は本発明の第1実施例を示す各説明図。図6乃至図10は本発明の第2実施例を示す各説明図。
【図1】発明の実施形態の一例を示す概略説明図(引戸を手で引き寄せた場合における掛合状態の一例)。
【図2】図1に対し、鎌片が掛合部材から外れた状態の一例を示す概略説明図。
【図3】主要部材の分解斜視図。
【図4】引戸を閉めた場合において、隙間がある状態で鎌片を掛合方向へ回転させた場合の作動状態を示す説明図。
【図5】図4において、鎌片が掛合部材に掛合した場合の概略説明図。
【図6】発明の実施形態の一例を示す概略説明図(引戸を手で引き寄せた場合における掛合状態の一例)。
【図7】図1に対し、鎌片が掛合部材から外れた状態の一例を示す概略説明図。
【図8】主要部材の分解斜視図。
【図9】引戸を閉めた場合において、隙間がある状態で鎌片を掛合方向へ回転させた場合の作動状態を示す説明図。
【図10】引戸を手で引き寄せた場合における掛合状態の一例を示す概略説明図。
【符号の説明】
X…鎌錠、Y…ストライク、
1…引戸、2…錠ケース、3…フロント、5…制御部材、6…サムターンダルマ、7…駆動部材、8,8A…鎌片、9…固定横軸、10…固定支軸、11…案内長孔、12…駆動ピン、15…戸枠、16…ストライク本体、17…固定枠、18…前面板、19,19A…掛合部材、20…バネ部材、21…垂直スライド面、24,24A…掛合面、26…切欠部、27…摺動凸条、28…鎌片用窓、a…間隙。
Claims (2)
- 引戸1に取付けられた錠ケースに出没自在に設けられた鎌片8を係止するために戸枠15に組込まれた引戸用鎌錠のストライクに於いて、ケース状のストライク本体16の前面板18に摺動可能なブロック状の掛合部材19を昇降動自在に設け、この掛合部材19は、バネ部材20により常時鎌片と掛合する上下方向へ付勢され、また掛合部材19は、前記ストライク本体16の前記前面板18の内壁面と面接触すると共に、その左右端部がストライク本体16に形成した左右の切欠部26,26にそれぞれ係合し、さらに、掛合部材19に対する前記鎌片の掛合時、戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、鎌片8の先端部は、ストライク本体16の固定枠背面部17aに対して所定間隔離間する掛合部材19の傾斜状掛合面24に係止されていることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
- 引戸1に取付けられた錠ケースに出没自在に設けられた鎌片8Aを係止するために戸枠15に組込まれた引戸用鎌錠のストライクに於いて、ケース状のストライク本体16の前面板18に摺動可能なブロック状の掛合部材19Aを昇降動自在に設け、この掛合部材19Aはバネ部材20により常時鎌片と掛合する方向へ付勢され、また該掛合部材19Aは、前記ストライク本体16の前記前面板18の内壁面と面接触すると共に、その左右端部がストライク本体16に形成した左右の切欠部26,26にそれぞれ係合し、さらに、掛合部材19Aに対する前記鎌片の掛合時、戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、鎌片8の先端部は、ストライク本体16の固定枠背面部17aに対して所定間隔離間する掛合部材19Aの下向き或は上向きの断面階段状掛合面24Aに係止されていることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
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