JP4375909B2 - 建具用引戸錠 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引戸の閉戸時、トリガーに連動する鎌片を備えた建具用引戸錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
錠ケースのフロントから受け金具に向かって突出するトリガー(水平突出杆)と、このトリガーに連動する鎌片を備えた建具用引戸錠は、例えば実開昭57−110260号公報、特開平8−86132号の各実施例に記載されている。
【0003】
この種の引戸錠は、引戸の閉戸時、トリガーの先端面がストライクの表面に突き当たると、後退動し始め、ラック及びピニオンという動力変換機構を介して鎌片が掛合方向へと突出回転する。したがって、鎌片が錠ケース内に多少でも回転後退すると、動力変換機構を介してトリガーがストライク側へ進出する関係にある。
【0004】
ところで、現在、この種の引戸錠に於いて、引戸を閉めた場合に於いて、鎌片がストライク側に完全に突出していない、いわゆる不完全な状態でトリガーをロックしないような工夫が要望されている。また、鎌片が完全に突出した状態に於いて、本施錠部材を介してトリガーをロックした場合であっても、多少の「チリ設定」があった場合には、さらに引戸を閉めることができるような工夫も合わせて要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、閉戸時、鎌片がストライク側に完全に出ていない場合には、中途半端な本施錠状態になるという事態を回避するために、スライド施錠部材を施錠方向へ押し下げることができないようにすることである。第2の目的は、本施錠状態に於いて、チリ寸法を狭める方向に引戸を閉めても、スライド施錠部材は、トリガー及び鎌片との関係では常に安定的な本施錠状態を維持することができることである。第3の目的は、鎌片がスムースに水平移動することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の建具用引戸錠は、引戸を閉める際にストライクに当たると錠ケースの水平方向トリガーガイドに案内されながら後退動するトリガー31と、このトリガーが錠ケース内へと後退動する際に動力変換機構を介してストライクと掛合する方向へ回転する鎌片40とを備える建具用引戸錠において、前記トリガー31の横長状杆部に水平方向に障害部分としての所定長の係合突起を設け、また、前記錠ケースに該錠ケースに形成した操作片用窓と対向し、かつ前記操作片が入り込む取り付け窓を有すると共に、該錠ケースに案内される垂直胴部63に連設する鉤状腕部61を有するスライド施錠部60材を上下動自在に内装し、閉戸時、前記鎌片40がストライク側に完全に突出しない場合には、前記鉤状腕部が、トリガーの前記係合突起の水平面に当接して該スライド施錠部材は、本施錠方向への移動が阻止され、一方、鎌片40がストライク側に完全に突出した場合には、前記鉤状腕部が、トリガーの前記係合突起の水平面に当接せず、該スライド施錠部材は、本施錠方向へ所定位置まで移動、しかも、該スライド施錠部材は、錠ケースに内装されたバネ部材65のバネ力により常時係合方向に付勢されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成に於いて、スライド施錠部材60は、錠ケースのガイド軸17に垂直長孔64を介して案内される垂直胴部63と、この垂直胴部63の上端部に連設する鉤状腕部61と、この鉤状腕部61に設けられかつトリガーに形成した被係合部36と係脱する係合爪片62とから成り、本施錠時、錠ケースに内装されたバネ部材65のバネ力により常時係合方向に付勢されていることを特徴とする。また、引戸1をさらにチリを狭める方向Aに閉じると、トリガー31及びこれに動力変換機構を介して合体的な関係にある鎌片40が一緒に錠ケース10に後退することができるように、鎌片を軸支する水平移動軸42が錠ケース10に形成されたチリ調整用の横長軸孔19,21に軸支されていることを特徴とする。加えて、鎌片に、少なくとも一つ以上のスライド係合ピンを有する案内板或いは案内部を設け、該スライド係合ピンは、本施錠時、錠ケース10に形成された鎌片回転用弧状案内部に連通するチリ調整用の横方向案内部を摺動することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6に示す第1実施例を参照に本発明を説明する。
【0009】
(1)発明の実施の環境
まず図1を参照に発明の実施の環境について説明する。Xは引戸1の中に収められる彫り込み型又は引戸面に固定的に取り付けられる面付け型引戸錠である。一方、Yは戸枠2に固定的に取り付けられた受け金具で、この受け金具Yは、ボックス部を有するトロヨケ3と、このトロヨケ3の開口に重ね合わせられたストライク(受座)4とから成る。ストライク4は縦長板状に形成され、複数個の固着手段5を介してトロヨケ3の耳状取付け部に固定される。
【0010】
7は前記ストライク4の縦長窓6寄りの適宜部位に突出状態に固定された押し込みピンで、本実施例ではトリガーの先端部に指向するようにストライク4の上部壁4aにカシメ固定されている。したがって、ストライク4は、引戸1を閉める際に該押し込みピン7を介してトリガーを後退動させる。なお、押し込みピン7は本発明の特定要件ではなく、トリガーの先端面を直接ストライク4に当てても良い。
【0011】
(2)錠ケース10
次に図2を参照に錠ケースについて説明する。10は引戸1の縦框に内装される錠ケースである。この錠ケース10は、枠状の「ケース身10a」と、このケース身の大きい開口部を閉鎖する板状の「ケース蓋10b」とから成る。錠ケース10も引戸錠Xの一部を成す。
11は錠ケース10の前側の開口に固定されたフロントである。このフロント11は、普通一般に錠ケース10の長板状蓋板(或いは前壁)12に固定されている。13は錠ケースを引戸1に固定するための複数個の第2固着手段である。14は鎌片用出入り窓、一方、15はトリガー用窓である。
(3)ケース身10aとケース蓋10b
ここで、錠ケース10を構成するケース身10aとケース蓋10bの主な構成要件について説明する。
【0012】
まず図1及び図2を参照にケース身10aについて説明する。16aはトリガーバネを支持するためにケース身10aの後壁に突出するように固定されたバネ支持具、16bは後述するスライド施錠部材用バネを支持する支持ピンで、このバネ支持ピン16bには、スライド施錠部材の昇降動に対応して切り替わることができるように「メガネバネ65」が採用されている。17はスライド施錠部材を案内するガイド軸で、このガイド軸17は、鎌片40とケース身10aの後壁との空間部に位置するように幅広側壁に固定的に設けられている。
18は前記後壁と直交する幅広側壁に水平方向に形成されたトリガーガイドである。このトリガーガイド18は、本実施例では水平案内長孔である。19はケース身10aの幅広側壁の中央部に形成されたやや短い横長軸孔、20はケース身10aの幅広側壁の右上部に形成された操作片用縦長窓である。
【0013】
次に図3を参照にケース蓋10bについて説明する。このケース蓋10aの幅広側壁の右上部にもケース身10a側の操作片用縦長窓20と対向する縦長窓20aが形成されている。また、ケース身10aと同様にトリガーガイド18と対向するトリガーガイド18aが形成されている。さらに、本実施例のケース蓋10bには、次のような構成上の特徴点がある。
【0014】
すなわち、(a)ケース蓋10bの中央部の左端部に形成された軸孔が、チリ調整用の横長軸孔21である。このケース蓋10bの横長軸孔21はケース身10aの横長軸孔19と対向する。(b)また該横長軸孔21を基準にして、その始端部の略真上からその終端部寄りの略右真横にかけて、第1スライド係合ピン50用の第1弧状案内部22が形成されている。本実施例では弧状切欠22である。この第1弧状案内部22は鎌片を回動させるために機能する案内部である。(c)また該第1弧状案内部22の終端部に連通して第1スライド係合ピン50を受け入れるチリ調整用の第1横方向案内部23が形成されている。この第1横方向案内部23は前記弧状切欠22に連通する水平切欠で、鎌片を水平方向に移動させるために機能する案内部である。しかして、第1スライド係合ピン50を案内する第1弧状案内部22及びチリ調整用の第1横方向案内部23は、鎌片用第1案内部に相当する。(d)また、ケース蓋10bの中央部の左端部には、第2スライド係合ピン51用の第2弧状案内部24が形成されている。この第2弧状案内部24は第1弧状案内部22と同様に鎌片を安定的に回動させる機能を有する。(e)そして、該第2弧状案内部24に連通して第2スライド係合ピン51を受け入れるチリ調整用の第2横方向案内部25が形成されている。この第2横方向案内部25は、第1横方向案内部23と同様に鎌片を安定的に水平移動させる機能を有する。しかして、第2スライド係合ピン51を案内する第2弧状案内部24及び第2横方向案内部25は、鎌片用第2案内部に相当する。ところで、鎌片用第2案内部24,25は、本実施例では、全体として弧状的案内切欠となっており、例えば左手の親指を下方に向けて人差し指を開いて右側に指向したような格好をしている。したがって、鎌片用第2案内部は、鎌片の水平移動軸を基準にした同心円上に位置する弧状の縁辺と、この縁辺に続く水平の縁辺とを有している。
【0015】
(4)トリガー:水平進退動部材
次に図1、図4、図5を参照にトリガーについて説明する。31は錠ケース10内に摺動自在に装着されたトリガーである。このトリガー31は、開戸時、錠ケース10のフロント11から突出する短杆状先端部32と、この突出先端部32にやや幅広に連設する横長状杆部33とから成る。
【0016】
前記横長状杆部33の後端面とケース身10aの後壁との間にはトリガーバネ34が横方向に組込まれている。トリガーバネ34は、その先端部が横長状杆部33後端面に圧接し、一方、後端部はバネ支持具16aに支持されている。したがって、開戸時、トリガー31は、その先端部32の一部が常時フロント11から突出するように付勢されている。
【0017】
このトリガー31には本発明の特定要件の一部が設けられている。すなわち、トリガー31は錠ケースを進退動する時、錠ケース10のトリガーガイド18,18aに案内されるが、その際、トリガー31をガタガタさせずに「スムース」に案内させる必要があるので、トリガー31の横長状杆部33の両側壁に、前記トリガーガイド18,18aにそれぞれ係合する突片状係合突起35,35が設けられている。
しかして、本実施例の少なくとも一つの係合突起35は、単にトリガー31を案内するガイド機能のみならず、閉戸時、鎌片40が完全に出切った状態でなければスライド施錠部材60を施錠方向へ移動(本実施例では下降)させない障害突起の機能も果たしている。そこで、トリガー31の係合突起35は、スライド施錠部材60の鉤状腕部61の位置ないしその幅寸法を考慮して横長状杆部33の後端部寄りの部位に段差状に設けている。
【0018】
またトリガー31は、本施錠方向へスライド施錠部材60が移動した際に、スライド施錠部材60に設けた単数又は複数の係合爪片62と係合する被係合部36を有している。この被係合部36は、本実施例ではトリガーの進出を阻止する反面、その後退動を許容するラチェット歯が採用されている。ラチェット歯36は、スライド施錠部材60の係合爪片62が鉤状腕部61の側壁に突起状に設けた連続的な係合歯なので、これに対応(係脱)するように横長状杆部33の上壁に連続的に形成されている。
【0019】
さらに、トリガー21は、ラチェット歯36とは反対側の下壁に動力変換機構を構成するラック37を有している。
【0020】
ところで、前述したように、本実施例ではストライク4の前面に押し込みピン7が突設されているので、引戸1を閉める際に、トリガー31は該押し込みピン7に直接押されて錠ケース10内へと後退動する。受け金具Yを有するサッシ状の戸枠2と引戸錠Xを有する引戸1との間に設定した「チリ」の間隔、例えば2mm,3mm、4mm,5mm、6mmなどチリ寸法如何にもよるが、本実施例では、図10で示すように、「チリ寸法aを5mmに設定した場合」に於いても、押し込みピン7はトリガー用窓15に貫通状態に入り込み、その結果、トリガー31はトリガーバネ34のバネ力に抗して錠ケース10内に「スッポリ」と入り込んでいる。
【0021】
(5)トリガーバネ
トリガーバネ34は、引戸1の閉戸時に、トリガー31の先端部32がストライク4の押し込みピン7に突き当たると、トリガー31の後退にしたがって収縮し始める。一方、引戸1を開くにつれて先端部32が押し込みピン7から離れると、トリガー31の進出にしたがって伸長する。しかしながら、本実施例では図1で示すように押し込みピン7の突出量b(仮想線の間の寸法)に相当する分だけトリガー31の先端部32の突出量が少ないので、トリガー31の横長状杆部33がフロント11の内壁面に突き当たると、その突出量は従来のトリガーの突出量と比較すると、相当少ない。それ故に、本実施例では、トリガー31の先端部32を「短杆状」と表現している。
【0022】
(6)鎌片
40は鎌片である。鎌片40は、基部に動力変換機構の一部を構成するピニオン41を備えると共に、錠ケース10内にチリ調整用水平移動軸42を介して軸支され、かつ、トリガー31の後退動に連動してストライク4と掛合する方何へ回転する。しかして、鎌片40は、ピニオン41を有する基部43と、ストライク4と係合する鉤状先端部44と、幅広後端部45とから成る。
【0023】
ところで、本実施例の鎌片40の特徴は、水平移動軸42を基準にして単に掛合方向に回転するだけではなく、鎌片40が完全に突出した施錠状態に於いて、引戸1を閉戸方向へ「チリを設定した分だけ」閉めることができるようにチリ調整用の横長軸孔19,21に軸支されていることである。
また鎌片40は、該鎌片が完全に突出した施錠状態に於いて、安定的に水平移動することができるように錠ケース10の第1・第2横方向案内部23,25に案内されるスライド係合ピン50,51を有する案内板47を備えている点である。もちろん、この案内板47は、本実施例のように鎌片40とは別体に形成され、その後に鎌片40の側壁に一体的に固定されたものでも良いし、又は鎌片40自体に案内板47に相当する案内部を突出形成し、該案内部にスライド係合ピンを単数又は複数個を設けたものであっても良い。
【0024】
そこで、案内板47について説明する。案内板47は、本実施例では鎌片40の基部43の側壁に固定され、解錠状態を示す図1又は図4を基準にすると、トリガー31と交差するように上方に延設する垂直状腕杆部48と、この垂直状腕杆部48を基準にして略90度の角度を有してフロント側11に突出する短突起部49とを有し、前記垂直状腕杆部48には、前述した第1弧状案内部22及び第1横方向案内部23を移動する第1スライド係合ピン50が設けられ、一方、前記短突起部49には、鎌片用第2案内部24,25に案内される第2スライド係合ピン51が設けられている。
(7)スライド施錠部材
スライド施錠部材60の形態は任意に設計変更可能である。本実施例では、図1で示すようにケース身10aのガイド軸17に垂直長孔64を介して上下方向に自在に案内される長板状の垂直胴部63と、この垂直胴部63の上端部に連設する鉤状腕部61と、この鉤状腕部61の側壁に突起状かつ下向きに設けられた係合爪片62とから成る。なお、前記鉤状腕部61の端面L型状の垂直胴部63に連設する部位には、例えば図1で示すケース身10a側の操作片用縦長窓(20、20a)と対向し、かつ図示しない操作片が入り込む不番の取り付け窓が形成されている。またケース身の後壁に対向する側壁には、トリガーバネの端部が貫通する切欠66或いは孔が形成されている。
【0025】
上記構成に於いて、まず図1は、開戸ないし解錠状態における押し込みピン7、トリガー21、鎌片40、スライド施錠部材60の各状態を示す。この場合、(1)トリガー31の短杆状先端部32は、トリガーバネ34のバネ力によりフロント11から僅かに突出し、(2)鎌片30は錠ケース10側に回転後退している。(3)また、スライド施錠部材60は錠ケース10の上方に位置し、トリガー31のスライド施錠部材60の係合突起35が鉤状腕部61の下方に位置しているために、施錠方向へ下降することができない。
【0026】
次に、図8(a),(b),(c)は、鎌片の回動ないし水平移動の流れを示す。まず図8(a)は、閉戸時、トリガー31の先端面が押し込みピン7に当たり、トリガー31が多少後退した中途状態を示す。この場合鎌片40の移動軸42は横長軸孔19,21の始端部に位置したままであり、鎌片40は水平移動軸42を中心に動力変換機構36,41を介して回転し始める。この時鎌片40の第1スライド係合ピン50は第1弧状案内部22に、一方、鎌片40の第2スライド係合ピン51は第2弧状案内部24にそれぞれ案内されて移行しつつある。
次に図5(b)は、前記の状態に於いて、トリガー31が、さらに押し込みピン7に押されて錠ケース10内に「スッポリ」と入り込んだ状態を示している。この場合鎌片40は完全に突出して施錠状態になるが、移動軸42は相変わらず始端部に位置したままであり、第1及び第2第1スライド係合ピン50,51の両者が所定の位置まで移動をしている。この時、第1スライド係合ピン50は横長軸孔19,21の終端部に、また第2スライド係合ピン51は第2弧状案内部24の弧状縁辺の上方に至っている。
ところで、鎌片40の施錠状態に於いて、今「チリ寸法が5mm程度あった」と仮定する。このようにチリが「0(ゼロ)」ではなく、数ミリあった場合に引戸を閉めると、鎌片40はトリガー31を介して完全な施錠状態を維持したまま錠ケース10の内部に後退する。
図5(c)で示すように、この時、トリガー31はその係合突起35,35と錠ケース10の水平方向のトリガーガイド18,18aを介して、一方、鎌片40は錠ケース10の横長軸孔19,21を摺動する水平移動軸42、ケース蓋10bの第1横方向案内部23を摺動する第1スライド係合ピン50、第2横方向案内部25をそれぞれ介し、両者は合体状態で水平方向へ移動する。
次に図9ないし図12を参照に本発明のトリガーとスライド施錠部材との関係(作動態様)について説明する。
図9は、図8の(a)に相当し、トリガー31の先端面が押し込みピン7に当たり、トリガー31の後退動に対応して鎌片40が突出した中途状態である。このような中途状態では、トリガー31の係合突起35とスライド施錠部材60の鉤状腕部61の先端面と対向状態である。したがって、まずトリガー31が移動している状態ではスライド施錠部材60を下げることはできない。
図10は、図8の(b)に相当し、トリガー31が、さらに押し込みピン7に押されて錠ケース10内に「スッポリ」と入り込んだ状態である。この時、仮に設定したチリaが、例えば5mm程度あったとしても、この時鎌片40が完全に突出した仮施錠状態になっているならば、スライド施錠部材60を押し下げることが可能である。しかし、もし、鎌片40の突出状態が不完全ならば、トリガー31の係合突起35が障害突起の機能を発揮し、スライド施錠部材60を押し下げることはできない。
図11は、図8の(c)に相当し、鎌片40の仮施錠状態に於いて、「スライド施錠部材60」を押し下げた状態を示す。この場合鎌片40は完全に突出しているので、スライド施錠部材60を押し下げることができる。しかして、スライド施錠部材60を押し下げると、その係合爪片62がトリガー31の被係合部36に係合する。ところで、この場合前述したメガネバネ65の他端部がスライド施錠部材の上端部に適宜取付けられているので、スライド施錠部材60には、切り替わったメガネバネ65のバネ力が作用している。なお、この場合鎌片40は完全に突出しているので、スライド施錠部材60の押し下げが先か、それとも引戸1をさらに閉める方が先か(後先)を問わず、スライド施錠部材60を押し下げることができる。
図12は、図11に於いて、引戸1を、チリを狭める方向Aへ閉めた一例を示す。前述したようにスライド施錠部材60には、切り替わったメガネバネ65のバネ力が作用しているので、引戸1を「さらにチリを狭める方向A」に閉じると、トリガー31及びこれに動力変換機構を介して合体的な関係にある鎌片40が一緒に錠ケース10に後退するが、この時、スライド施錠部材60の係合爪片62は、ラチェット歯36の歯向きにしたがって、かつ、弾発しながら係脱する。そして、その係脱を繰り返す度に、トリガー31はラチェット歯36の垂直面によりその突出がワンピッチ毎に阻止され、その係合の位置如何に拘わらず、常に本施錠状態が維持されている。
【0027】
【実施例】
この実施例の引戸錠Xには、特に図示しないが鎌片40の下方空間に鎌片の後端部を係止する回動片を有する仮施錠部材を設けることが可能である。また、トリガー31を安定的な進退動を図るために、トリーに垂直状に延設するスライド案内長板を設けることも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、閉戸時、鎌片がストライク側に完全に出ていない場合には、トリガーの係合突起が障害になるので、スライド施錠部材を本施錠方向へ押し下げることができない。したがって、中途半端な状態で本施錠状態になるという事態を回避することができる。また、例えばチリが5mmに設定されている場合に於いて、引戸を閉めた際に鎌片がトリガーの後退動に連動して完全に突出し、その後にスライド施錠部材を本施錠方向へ押し下げ、いわゆる本施錠状態になって場合であっても、さらに引戸を、チリを狭める方向へと閉めることが可能である。この場合、スライド施錠部材には、バネ部材のバネ力が作用しているので、引戸を「さらにチリを狭める方向A」に閉じたとしても、スライド施錠部材の係合爪片は、トリガーの被係合部(例えばラチェット歯)に対して弾発しながら係脱し、しかも、被係合部によりその突出が阻止されるので、トリガー及びこれと連動関係にある鎌片の本施錠状態に全く影響することなく、どの係合位置でも常に完全な施錠状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図12は本発明の第1実施例を示す各説明図である。
【図1】発明の実施形態の一例を示す概略説明図(引戸を開いた解錠状態)。
【図2】錠ケース(特にケース身)の概略説明図。
【図3】錠ケース(特にケース蓋)の概略説明図。
【図4】主たる部材の斜視図。
【図5】トリガーの正面図。
【図6】鎌片の正面図。
【図7】スライド施錠部材の正面図。
【図8】鎌片の作動状態を示し、(a)は中途状態、(b)は鎌片が完全に突出した状態、(c)はそのままチリを狭めた状態をそれぞれ示す各概略説明図。
【図9】図8の(a)の中途状態におけるトリガーとスライド施錠部材との関係を示す概略説明図。
【図10】図8の(b)の鎌片が完全に突出した状態におけるトリガーとスライド施錠部材との関係を示す概略説明図。
【図11】図10に於いて、スライド施錠部材を押し下げた本施錠状態の概略説明図。
【図12】図11に於いて、そのままチリを狭めた状態を示す概略説明図。
【符号の説明】
X…引戸錠、1…引戸、Y…受け金具、2…戸枠、3…トロヨケ、4…ストライク、7…押し込みピン、10…錠ケース、11…フロント、12…蓋板、5,13…固着手段、16a…バネ支持部、16b…バネ支持ピン、17…ガイド軸、18,18a…トリガーガイド、19,21…横長軸孔、20,20a…操作片用窓、22…第1弧状案内部、23…第1横方向案内部、24…第2弧状案内部、25…第2横方向案内部、31…トリガー、32…短杆状先端部、33…横長状杆部、34…トリガーバネ、35…係合突起、36…被係合部、37…ラック、40…鎌片、41…ピニオン、42…水平移動軸、43…基部、44…鉤状先端部、45…幅広後端部、47…案内板、48…腕杆部、49…短突起部、50…第1スライド係合ピン、51…第2スライド係合ピン、60…スライド施錠部材、61…鉤状腕部、62…係合爪片、63…垂直胴部、65…バネ部材、a…チリ、b…突出量、A…チリを狭める方向。
Claims (1)
- 引戸を閉める際にストライクに当たると錠ケースの水平方向トリガーガイドに案内されながら後退動するトリガー31と、このトリガーが錠ケース内へと後退動する際に動力変換機構を介してストライクと掛合する方向へ回転する鎌片40とを備える建具用引戸錠において、前記トリガー31の横長状杆部に水平方向に障害部分としての所定長の係合突起を設け、また、前記錠ケースに該錠ケースに形成した操作片用窓と対向し、かつ前記操作片が入り込む取り付け窓を有すると共に、該錠ケースに案内される垂直胴部63に連設する鉤状腕部61を有するスライド施錠部60材を上下動自在に内装し、閉戸時、前記鎌片40がストライク側に完全に突出しない場合には、前記鉤状腕部が、トリガーの前記係合突起の水平面に当接して該スライド施錠部材は、本施錠方向への移動が阻止され、一方、鎌片40がストライク側に完全に突出した場合には、前記鉤状腕部が、トリガーの前記係合突起の水平面に当接せず、該スライド施錠部材は、本施錠方向へ所定位置まで移動、しかも、該スライド施錠部材は、錠ケースに内装されたバネ部材65のバネ力により常時係合方向に付勢されていることを特徴とする建具用引戸錠。
Priority Applications (1)
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JP2001031839A JP4375909B2 (ja) | 2001-02-08 | 2001-02-08 | 建具用引戸錠 |
Applications Claiming Priority (1)
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