JP2010174533A - ロック装置及びそれを用いた扉 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度のロック装置を採用しながら操作性及び見栄えを向上する
【解決手段】本体側開口部に対し閉扉状態と開扉状態とに切り換えられ、かつ常時開方向へ付勢されている扉9Bに用いられて、閉扉状態で開口部側受け部55aに係脱するロック部材2を有したロック装置5において、扉に配設されてロック部材2を上下動可能に支持しているケース1と、ロック部材及び前記開口部に対応して設けられてロック部材2を移動して受け部55aに係合可能にする磁石M1及び磁性体56からなる吸引手段と、ロック部材2の吸引手段を介した移動を制御する制御手段(3と4)とを備え、扉は付勢力に抗し開から閉方向へ押されると共にロック部材2が制御手段及び吸引手段を介して受け部55aに突出係合されて閉扉状態に保持され、更に閉方向へ押されることで係合解除されると共に係合解除状態を前記制御手段を介して維持して開方向へ切り換えられる。
【選択図】図6

Description

本発明は、扉に対する押し操作により扉を閉扉状態に保つよう係合し、次の押し操作により係合解除するロック装置及びそれを用いた扉に関する。なお、対象の扉は、本体側開口部に対し一端側を支点(この一端側は形態例のごとくガイドレール等に沿って移動される構成を含む)として回動されることで本体側開口部を塞ぐ閉扉状態と開放する開扉状態とに切り換えられるタイプである。好ましくは、クローゼットや間仕切り等に用いられて折り畳み展開しつつ移動可能な中折れ式扉(折戸)である。
例えば、従来の中折れ式扉では、扉同士がロック装置により閉扉状態に保持されると共に、扉同士を連結している蝶番が付勢手段を有しその付勢力により閉扉状態での係合や保持作用を補う場合もある。また、従来構造では、ロック装置の係合解除と共に扉を開方向へ引く際の取っ手が必要となるため、見栄えが扉の意匠面側の取っ手により悪くなる。特許文献1はその対策例を開示している。構造特徴は、操作時に使用する取っ手として、扉に設けられる手掛け用凹所を蝶番(ヒンジ)との関係で見えにくく設けることで外観性を向上したものである。また、公知技術には、取っ手の一種としてワンプッシュで扉表面に没入させ、この状態で再度プッシュすることにより扉表面に突出する出没式取っ手にした構成、閉扉状態における扉のばた付きを押さえるための手段として、レール内に納めるためのキャッチ部材を設けた構成もある。
特開2008−240377号公報
特許文献1の構造では、手掛け用凹所を小さくするほど見栄えを改善できるが、凹所を小さくすると操作性が悪くなる。また、出没式取っ手では、扉表面を完全には平面にできず操作もその分面倒となる。キャッチ部材を用いる構造では、キャッチ部材の取付精度に煩わされたり操作性もその分面倒となる。なお、従来のロック装置には、扉を最初の押し操作により本体側に係合保持し、次の押し操作により係合解除するプッシュ・プッシュ係止機構(例えば、特開2006−214105号公報に開示の構成)がある。しかし、この構造では、ロック装置と該ロック装置に係脱する棒状係脱部材(ストライカ等と称されている)を必須としている関係で、係合強度に制約され易く、扉がクローゼット等のごとく大型かつ重くなったり中折れ式になると適用困難となる。
本発明の目的は以上のような背景から、閉扉状態で本体の開口部側に設けられた係止用受け部に係脱、つまり突出係合したり係合解除するロック部材を有した高強度のロック装置として、特に、扉が開から押されることで閉扉状態に係合保持され、閉扉状態から再び押されることで係合解除され、かつ開方向へ付勢力で回動されるようにし操作性及び見栄えを向上することにある。
上記目的を達成するため請求項1の本発明は、第1形態と第2形態の例で特定すると、本体側開口部に対し一端側を支点に回動されて前記開口部を塞ぐ閉扉状態と開放する開扉状態とに切り換えられ、かつ常時開方向へ付勢されている扉9Bに用いられて、閉扉状態で前記開口部側の係止用受け部55aに係脱するロック部材2,2Aを有したロック装置において、前記扉に配設されて前記ロック部材を上下動可能に支持しているケース1,1Aと、前記ロック部材及び前記開口部にそれぞれ対応して設けられて前記ロック部材を移動して前記受け部に係合可能にする磁石M1及び磁性体56からなる吸引手段と、前記ロック部材の前記吸引手段を介した移動を制御する制御手段(3と4、又は、17Aと29)とを備え、前記扉は付勢力に抗して開から閉方向へ押されると共に前記ロック部材2,2Aが前記制御手段及び前記吸引手段を介して前記受け部55aに係合されて閉扉状態に保持され、閉扉状態から更に閉方向へ押されることで係合解除されると共に前記ロック部材の係合解除状態を前記制御手段を介して維持し開方向へ切り換えられることを特徴としている。以上の本発明において、磁石は永久磁石に限らず電磁石でもよい。磁性体は、鉄などのように磁石に引き寄せられる物質であり、磁化されて相手側磁石と吸引する磁石を含む。
以上の本発明は、請求項2〜6のごとく具体化されることがより好ましい。すなわち、(1)前記制御手段は、第1形態のごとく前記ケース1に上下動可能に配設されて前記開口部側の前記磁石又は磁性体に吸引可能な作動子3と、一端側を前記作動子に摺動可能に連結し、他端側を前記ロック部材2に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容するスライド式ストッパ4と、前記ケース側に設けられたカム溝17及び前記作動子側に設けられて前記カム溝をトレースするピンPからなるカム機構とを有し、前記カム機構は、前記作動子3の前記磁石又は磁性体を介した移動を制御することにより、前記スライド式ストッパ4を介して前記ロック部材2の移動を規制可能にする構成である(請求項2)。
(2)前記制御手段は、変形例(図9と図1)のごとく前記ケース1に上下動可能に配設されて前記開口部側の前記磁石又は磁性体に吸引される作動子3と、前記ケースに枢支されてその枢支部を挟んだ一端側を前記作動子3に嵌合可能にし、他端側を前記ロック部材2に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容するシーソ式ストッパ4Aと、前記ケース側に設けられたカム溝17及び前記作動子側に設けられて前記カム溝をトレースするピンPからなるカム機構とを有し、前記カム機構は、前記作動子3の前記磁石又は磁性体を介した移動を制御することにより、前記シーソ式ストッパ4Aを介して前記ロック部材2の移動を規制可能にする構成である(請求項3)。
(3)前記制御手段は、第2形態(図11〜図13)のごとく前記ケース1A側に設けられたカム溝17A、及び前記ロック部材2A側に設けられて前記カム溝をトレースするピンPからなるカム機構を有し、前記カム機構は、前記扉が前記閉扉状態から閉方向へ押され、その押し力が解放されて開方向へ動いたときに前記ロック部材2Aの前記吸引手段56,M1を介した移動を一時的に規制可能にする構成である(請求項4)。
(4)以上のロック装置は、図8に例示したごとく前記扉に固定されて前記ケース1を転倒可能に枢支する取付ベース6と、前記ケースを前記取付ベースの正規位置に付勢している付勢部材50とを有し、前記ロック部材2が前記受け部55aと係合した状態で、前記ケース1が所定大の振動を受けると転倒して前記係合を解除可能となる構成である(請求項5)。
(5)これに対し、請求項6は以上の各ロック装置を用いた扉を特定したものである。この場合、より好適な扉構造としては、各形態に示したごとく扉がガイドレールに沿って折り畳み展開しつつ移動可能な中折れ式扉である。この例では、前記ガイドレールの凹溝を係止用受け部とし、該凹溝内にロック部材の突出端側を出没可能とすると共に、前記ガイドレールの対応部に磁石又は相手側磁石に吸引される磁性体を設ける。
請求項1の発明では、閉扉状態で本体の開口部側に設けられた係止用受け部に係脱、つまり突出係合したり係合解除するロック部材を有した高強度のロック装置構造を採用しながら、扉に対する押し操作により扉を開から閉扉状態に制御手段及び吸引手段を介して切り換えたり、次の押し操作により係合解除して開扉状態に切り換えるため、閉扉状態においてがたつきなく保持でき、操作性を良好にでき、しかも従来の取っ手を不要にして外観性も向上できる。加えて、本発明の他の利点は、ロック部材が本体の開口部側受け部に対し磁石及び磁性体からなる吸引手段を介して係合するため、開口部と扉との間の隙間設定が多少異なるタイプ、開口部や扉の歪みや寸法誤差等により変形したとしても、その隙間を磁石及び磁性体との間に発生する磁力(吸引力)の吸引範囲により吸収でき、それにより汎用性を向上できる。なお、この点は、従来のロック装置だと、部材同士が高い寸法精度を要求されたり、隙間吸収手段や高さ調整手段をロック構造に追加しなくてはならない。
請求項2〜4の各発明は、上記制御手段の構成例であり用途等に応じて選択可能にする。例えば、請求項2の制御手段では作動子及びスライド式ストッパ並びにカム機構を有しているためロック部材に対する規制作用を振動等の影響を受けず高精度に付与したい場合、請求項3の制御手段では作動子及びシーソ式ストッパ並びにカム機構を有しているためロック部材に対する応答性を良好にしたり規制荷重を過大に必要とする場合、これに対し請求項3の制御手段ではカム機構だけであるため簡易でありコストを大幅に低減化したい場合に好適となる。
請求項5の発明では、例えば、子供が扉で開閉される本体側開口部の内側(収納室等)に閉じこめられた場合等の非常時において、扉の背面から扉を叩く等して所定大の振動を加えるだけで、ロック装置が付勢力に抗して強制的に転倒しながら係合解除するため、異常事態(人が扉の背面側空間に閉じ込められたとき等)に無理開き可能にして信頼性及び安全性を向上できるようにする。
請求項6の発明では、扉として、請求項1〜5の作用効果を具備できる。扉が形態に示したごとくガイドレールに沿って折り畳み展開しつつ移動可能な中折れ式扉であれば、係止用受け部としてガイドレールの凹溝が利用できる。
本発明を適用したロック装置を備えた中折れ式の扉を示し、(a)は要部を扉の意匠面側から見た概略斜視図、(b)は要部を背面側から見た概略斜視図である。 上記ロック装置、扉に対する取付構造と蝶番を示す概略分解斜視図である。 上記蝶番の一部を破断して示す概略斜視図である。 上記ロック装置の主要部を拡大して示す斜視図である。 カム機構を構成しているカム溝とピンの動きと、作動子及びロック部材の昇降移動との関係を示す模式作動原理図である。 (a)〜(e)はカム機構を構成しているカム溝とピンの動き、並びに開扉状態から閉扉状態並びに係合、係合解除までの動きを示す模式作動図である。 (a)〜(e)は同じく扉の開から、閉扉閉状態での係合、及び係合解除までの動きを示す模式作動図である。 (a)〜(c)は閉扉状態で子供等が閉じ込められた非常時における係合解除の動作を示す部分断面図である。 上記形態の変形例を示すロック装置の概略分解斜視図である。 (a),(b)は上記変形例におけるロック部材の移動を規制した状態と移動を許容した状態を示す部分断面図である。 本発明の第2形態を示すロック装置の概略分解斜視図である。 (a)〜(d)は第2形態のカム機構を構成しているカム溝とピンの動きと、開扉状態から閉扉状態並びに係合、係合解除までの動きを示す模式作動図である。 (a)〜(d)は第2形態の扉の開から、閉扉閉状態での係合、及び係合解除までの動きを示す模式作動図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態として、図1〜図8に示した第1形態と、図9と図10に示した変形例と、図11〜図13に示した第2形態について説明する。この説明では、本体側開口部と扉の構成、蝶番の構成、ロック装置の構成、カム機構と関連部材の作動、ロック装置の主作動、無理抜き構造、変形例、第2形態の順に詳述する。
(本体側開口部と扉の構成)各形態のロック装置5,5Aは、図1に例示したごとく本体側開口部に対し一端側を支点として回動されることで本体側開口部を塞ぐ閉扉状態と開放する開扉状態とに切り換えられる扉9B又は扉9Aに用いられる。図1はその一例として、本体8の開口部が左右一対の縦材8a及び横材8bで区画形成されている。この開口部は、例えば、居室や廊下などの共有空間と、ウオークインクローゼットや物入れ等の閉空間とを、中折れ式扉9A,9Bを介して開閉ないしは連通する箇所である。上側の横材8b或いは上下の横材8bの内面には、ガイドレール55が長手方向に沿って固定されている。このガイドレール55は、アルミ製(非磁性体)であり、かつ、凹溝55a付き矩形断面となっている。凹溝55aは、ロック装置5の係止用受け部を兼ねる。但し、構造的にはガイドレール55を省略し、横材8bに凹溝を形成してもよい。
扉9A,9Bは、前面(意匠面)側、すなわち前記した共有空間に配される側は、図1(a)に示されるごとく平坦面に形成され、取っ手或いは手掛け用凹所等を一切なくした意匠形状に造形されている。これに対し、扉9A,9Bの背面、すなわち前記した閉空間側における扉同士の対向端は、図1(b)に示されるごとく複数(図では一つのみを示す)の蝶番7によって折曲可能に連結されている。扉9Aは、一端側が縦材8aに接近配置されて、ガイドレール55の対応端側に対し不図示の枢軸等を介して回動可能に枢支されているが、ガイドレール55の凹溝に沿って不図示の枢軸等を介して移動可能かつ回動可能に枢支するようにしてもよい。これに対し、扉9Bは、一端側がガイドレール55の凹溝に沿って不図示の枢軸等を介して移動可能かつ回動可能に枢支されている。
また、扉9Bには、上側の蝶番6の近傍で、扉の背面上縁には図2に示されるごとく凹所9aが設けられていると共に、ロック装置5がその凹所9aに配設されている。なお、他方の扉9Aには、各扉が完全に開いた状態、すなわち扉同士が完全に折り畳まれた状態で、扉9B側に設けられたロック装置5を受け入れるための凹所9aが形成されている。一方、ガイドレール55にあって、長手方向中央部の背面付近には、後述するロック装置5側の磁石M1に吸引される吸着用鉄製レール56が固定されている。この鉄製レール56は断面略コ字形又はL字形の鉄製レールであるが、レール形状でなくともよい。要は磁石M1,M2に吸引される磁性体であればよく、またその磁性体を磁化して磁石としてもよい。更に、原理的には、鉄製レール56を磁石構成とし、ロック装置5側の磁石M1,M2をそれに吸引される磁性体に代えるようにしてもよい。
(蝶番の構成)図1(b)、図2、図3において、蝶番7は、扉9Aと扉9Bとにまたがって複数のねじBにより扉対応部に固定されると共に、各扉を常時扉開状態、つまり外側に向けて折曲するよう付勢する付勢ばねを有している。詳述すると、蝶番7は、図3に例示されるごとく対応する扉に取り付けられる左右の蝶番片47,47と、各蝶番片47,47を上下の連結部47aを介して回動自在に支持している枢軸48と、枢軸48の外周に配置されるコイル形の付勢ばね49と、枢軸48に対し付勢ばね49を覆うようにして回動自在に枢支され、かつ付勢ばね49の対応端49a又は49bを掛け止めした状態で対応する蝶番片47に重ねられるカバー兼用のばね受け片7a,7bとからなる。そして、各蝶番片47には、付勢ばね49及びばね受け片7a,7bを介して、矢印で示す折り曲げる付勢力が常時加わっている。このため、この蝶番7では、ロック装置5の係合解除、つまり非ロック状態において、図7(a)に示されるごとく扉9A,9B同士を略ヘの字形や略Vの字形となる方向へ折り曲げて扉開状態に切り換える。このような蝶番は市販品を使用してもよい。以上の説明は変形例及び第2形態でも同じ。
(ロック装置の構成)第1形態のロック装置5は、扉側凹所9aに対し直接或いは取付ベース6を介して配設されるケース1と、ケース1の空間10に上下動可能に支持されているロック部材2と、ロック部材2に組み込まれて本体8側開口部に設けられた磁性体としての鉄製レール56にロック部材2を吸引可能にする磁石M1と、磁性体としての鉄製レール56とロック部材側磁石M1とからなる吸引手段を介したロック部材2の移動を制御する作動子3及びスライド式ストッパ4などからなる制御手段(3と4)とを備えている。そして、上記扉9A,9Bは、蝶番6の付勢ばね49により常時開方向へ付勢された状態で、その付勢力に抗して開から閉方向へ押されると共にロック部材2が制御手段(3と4)及び吸引手段(56とM1)を介して受け部である凹溝55aに突出係合されて閉扉状態に保持されると共に、閉扉状態から更に閉方向へ押されることで係合解除されると共にロック部材2の係合解除状態を制御手段(3と4)を介して維持して開方向へ切り換えられる。なお、以上のロック装置5は、扉側への取付構造として、扉側凹所9aにねじBで固定される金属製の取付ベース6と、該取付ベース6に吸引される磁石M3と、付勢部材50とを備えており、後述するごとく閉扉状態で扉を背面側より簡単に開に切換可能となっている(これが無理抜き構造である)。
ここで、ケース1は、概略上開口した容器状をなし、ロック部材2を配置する空間10と、作動子3を配置する空間11と、付勢部材50を配置する下側空間12と、両側壁にあって前下側で同軸線上に突設されている軸部14,14及び後上側に開口されて磁石M3を収容する格納部15と、カム溝17とを形成している。また、空間10と空間11とは、隔壁13等で区画されていると共に、後側に設けられた小開口10cを介して連通されている。符号10aはケース後壁に設けられてロック部材2の上昇位置を規制する嵌合溝、符号10bはロック部材2の移動を案内する複数のガイド溝、符号11bは作動子3の移動を案内する複数のガイド溝、符号12aは付勢部材50を支持する軸部、符号15aは格納部15に収容された磁石M3を押さえる爪部である。
ロック部材2は、空間10に対応した略直方体形状をなし、その上壁の前縁に突設されてガイドレール55の凹溝55a内に出没して係脱されるロック爪21と、片側壁の後下側に水平に突設されて小開口10cに余裕を持って配置される当接部22と、後壁の上側から前方に向けて開口された格納部23と、後壁の中間より下側に設けられてケース側嵌合溝10aに嵌合される抜け止め用爪24とを形成している。ロック爪21の形状は、前側が垂直面で、後側が傾斜面となっている。符号20aはロック部材2の上壁中央に開口された窓である。この窓には格納部23に収容される磁石M1の抜けを防ぐ不図示の係止爪が設けられている。符号20bはロック部材2の両側壁及び前壁に設けられた縦リブである。
以上のロック部材2は、格納部23に磁石M1を装着した状態で、ケース側空間11に対し当接部22を小開口10cから空間11の後側へ挿通し、各縦リブ20bを対応するガイド溝10bに沿って嵌合しながら移動し、かつ爪24を嵌合溝10aに嵌合すると上下動可能に組み込まれる。
また、上記制御手段は、ケース側空間11に上下動可能に配設されて本体8側開口部に設けられた磁性体としての鉄製レール56に磁石M2を介して吸引可能な作動子3と、一端側を作動子3に設けられたストッパ用ガイド孔33aに摺動可能に連結し、他端側をロック部材2の当接部22に着脱してそのロック部材2の移動を規制したり許容するスライド式ストッパ4と、ケース側空間11の前内側に設けられたカム溝17及び作動子3側に組み込まれた揺動子35に設けられてカム溝17を旋回するトレース用ピンPからなるカム機構とを有し、該カム機構が作動子3の磁石M2及び磁性体である鉄製レール56を介した移動を制御することにより、スライド式ストッパ4を介してロック部材2の移動を規制可能にする構成である。
ここで、作動子3は、空間11に対応したブロック状の胴体30が後壁の上側から前方に向けて開口された磁石用格納部31と、格納部31の下側に設けられて一方側壁から他方側壁の手前まで開口された揺動子用格納部32と、格納部32の下側に設けられて後壁の下側から前方に向けて開口されたストッパ用空間33とを区画形成している。
符号30aは作動子3の上壁中央に開口された窓である。この窓には格納部31に収容される磁石M2の抜けを防ぐ不図示の係止爪が設けられている。符号30bは作動子3の両側壁及び前壁に設けられた縦リブである。符号32aは格納部32の内側上面に突設されたガイドリブであり、符号32bは同じく格納部32の後壁と前壁(不図示)に対向して設けられたガイド溝である。符号33aは空間33を区画している両側壁に設けられて上下方向に延びるストッパ用ガイド溝である。このガイド溝33aは下側が上側よりも後側に位置する溝形状となっている。符号33bは空間33の上側を広くしたストッパ4の対応部を逃がす逃げ部である。
格納部31には磁石M2が装着される。格納部32には揺動子35が組み込まれる。この揺動子35は、前端面に突設されて後述するカム溝17の溝形状に沿って旋回するトレース用ピンPと、上面に設けられた横溝35aと、後端面に突設された軸35bとを形成している。そして、以上の揺動子35は、格納部32に入れられて、ピンPが前壁(不図示)のガイド溝から突出され、軸35が後壁のガイド溝33bに嵌合され、横溝35aがガイドリブ32aに嵌合されることで、格納部32に対し左右に揺動可能に配置される。なお、ピンPとしては、ピン部材及び付勢部材で構成し、該付勢部材の付勢に抗して揺動可能に支持するようにしてもよい。この点は変形例及び第2形態でも同じ。
また、空間33にはストッパ4が上下動可能に組み込まれる。このストッパ4は、胴体40を支持している基板41を有し、該基板41の後縁部を傾斜した規制面41aに形成している。符号42は前後溝、符号43は基板41の両側面に突設した軸である。そして、以上のストッパ4は、前側が空間33に入れられて、両側の軸43がガイド溝33aにそれぞれ嵌合されることで、空間33に対しガイド溝33aに沿って上下動可能に配置される。
以上の作動子3は、以上のようにして磁石M2、揺動子35、ストッパ4と共に空間11内に配置されると、揺動子35のピンPが前記ガイド溝からカム溝17の溝内に突出され、ストッパ4の規制面41aが空間10側から小開口10cを通って空間11の後側に挿通された当接部22の上面に当接している。すなわち、この第1形態において、ストッパ4は、図6に模式的に示したごとく、軸43がガイド溝33aの溝下側に移動されると作動子3に対し後方への突出量を増し、それによってロック部材側当接部22の真上に位置してロック部材2の上方向への移動を規制したり、逆に、軸43がガイド溝33aの溝上側に移動されると作動子3に対し後方への突出量を減じ(これはガイド溝形状に応じ前方へ移動されるためである)、それによってロック部材側当接部22の真上から外れてロック部材2の上方向への移動を許容する。
(カム機構と関連部材の作動)次に、以上のカム溝17の形状、及び該カム溝17をトレースするPの軌跡とケース1内の各部材の動作との関係を図5を用いて説明する。図5において、カム溝17は、凸でハート形の島17fの周囲に形成されており、下側から右上側へ延びている住路溝17aと、上側に位置して左右に別れている係止用誘導溝17b及び解除用誘導溝17dと、誘導溝17b,17dの間で少し下側に位置した凹状係止溝17cと、誘導溝17dから下側へ延びる復帰溝27eなどで構成されている。
そして、ピンPは、作動子3が下降位置から上昇されると住路溝17aから誘導溝17bに移動し(作動子及びピンの上昇位置)し、作動子3がその上昇位置から少し下降されると誘導溝17bから係止溝17cに移動(作動子及びピンの中間位置)し、作動子3が中間位置から少し上昇されると係止溝17cから誘導溝17dに移動(作動子及びピンの上昇位置)し、作動子3がその上昇位置から下方へ下降されると誘導溝17dから復帰溝17eの下端ないしは住路溝17aの下端に移動(作動子及びピンの下降位置)することになる。
換言すると、作動子3(ピンP)の上昇位置において、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝下側に移動され、ガイド溝33aの溝形状により作動子3の後側(図5だと右方向)へ移動されている。この結果、ロック部材2は、当接部22がストッパ4の規制面41aに当たって上昇移動が規制される。作動子3(ピンP)の中間位置において、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝下より少し上側に移動され、前記と同様に作動子3の後側(図5だと、右方向)へ移動されている。このため、ロック部材2は、当接部22がストッパ4の存在で前記と同様に上昇移動が規制される。作動子3(ピンP)の下降位置において、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝斜め上側に移動され、ガイド溝33aの溝形状により作動子3の前側(図5だと、左方向)へ移動されている。この結果、ロック部材2は、当接部22がストッパ側規制面41aから外れて上昇移動可能となる。
(ロック装置の主作動)次に、以上のロック装置5を用いたときの開扉状態(扉の開)から、閉扉状態に切り換えたり、閉扉状態から再び扉開状態に切り換えるときの作動について図6及び図7を参考にして明らかにする。なお、図7は各部の状態変化に応じた扉9A,9Bの開閉状態を模式的に示している。図6と図7中の矢印は移動方向又は力の加わる方向を示している。図7では上記したガイドレール55及び扉9Bの対応端側に設けられてガイドレール側凹溝55aに沿って移動する枢軸(この枢軸はピン構成、ローラー構成の場合もある)を破線で示している。また、以下の説明では、蝶番側の付勢ばね49の付勢力は磁石M1,M2の鉄製レール56に対する接近時の吸引磁力より大きく設定されているものとする。
(1)まず、開扉状態では、図1と図6(a)及び図7(a)に示されるごとく蝶番側の付勢ばね49の付勢力により、扉9A,9B同士の対向端部は手前方向へ向けてへの字形(付勢力がより強いと更にVの字形)に回動されている。なお、この状態で、図7(a)の想像線に示すごとく、扉9Bを手で矢印方向へ押圧することにより、扉9A,9B同士が折り畳まれ、本体8側の開口部の幅を大きく開口することができる。なお、この開扉状態では、上述したごとく作動子3(ピンP)が図5の中間位置にあり、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝下より少し上側に位置してストッパ作動方向へ移動され、ロック部材2は当接部22がストッパ4に当たって上昇移動が規制されている。
(2)開扉状態から閉扉状態にする場合は、図6(a),図7(a)及び図6(b),図7(b)に示されるごとく手や指で扉9B又は扉9Aを蝶番7の付勢ばね49の付勢力に抗して矢印つまりオーバーストローク(扉9B又は扉9Aがガイドレール55を通り過ぎること)するまで閉方向へ押す。この押圧過程において、ロック装置5を構成している作動子3が磁性体である鉄製レール56に接近すると、作動子3は磁石M2と鉄製レール56との間に発生する磁力(吸引力)で上昇移動される。
これに同期して、ピンPは係止溝17cから解除側誘導溝17dに移動される。すると、図6(b)のごとく作動子3(ピンP)の上昇移動により、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝斜め上側に移動されると共に、ロック部材2は当接部22がストッパ4(の規制面41a)から外れて上昇移動可能な状態となる。このため、扉9B又は扉9Aに対する押圧力を解放(これは手や指を扉から離すことである)すると、扉9B,9Aは図6(c)のごとく蝶番側付勢ばね49の付勢力により開方向へ回動ないしは移動される。このとき、このロック装置5は、扉9B,9Aの開方向の移動でロック部材2が磁性体である鉄製レール56に接近すると、ロック部材2は磁石M1と鉄製レール56との間に発生する磁力(吸引力)で上昇移動されて、ロック爪21が受け部であるガイドレール側凹溝55aに突出係合される。扉9B,9Aはロック爪21と凹溝55aとの係合により閉扉状態に保たれる。
(3)扉9B,9Aを再び開扉状態にする場合は、図6(d),図7(d)に示されるごとく手や指で扉9B又は扉9Aを蝶番7の付勢ばね49の付勢力に抗して、閉方向へオーバストロークするまで押す。この押圧過程において、初期段階ではロック部材2が凹溝56の対応部にロック爪21を当接したときの応力により、また、ロック爪21の傾斜面の存在により下降されて受け部である凹溝55から係合解除する。ピンPは、誘導溝17dから復帰溝17eを移動して住路溝17の入口に移動される。
続いて、ロック装置側作動子3が磁性体である鉄製レール56に接近すると、図6(d)のごとく作動子3は磁石M2と鉄製レール56との間に発生する磁力(吸引力)で上昇移動され、ピンPは住路溝17aから誘導溝17dに移動され、ストッパ4は軸43がガイド溝33aの溝上より少し下側へ移動されそれにより当接部22の上昇を規制する規制状態となる。
そして、前記押圧力を解放すると、扉9B,9Aは図6(e)のごとく蝶番側付勢ばね49の付勢力により開方向へ回動ないしは移動される。このとき、このロック装置5においては、まず、作動子3は扉9B,9Aの開方向の移動で鉄勢レール56から離れるため磁石M2と鉄製レール56との間に発生していた磁力(吸引力)が無くなって自重により下降し、ピンPは誘導溝17bから再び係止溝17cに移動され、ストッパ4は引き続き当接部22の上昇を規制する規制状態を保つ。扉9B,9Aは、この状態で蝶番側付勢ばね49の付勢力により開方向へ回動ないしは移動されることになる。以後は、扉9B,9Aの閉方向への押圧動作毎に生ずるオーバストロークにより、扉9B,9Aの係合保持、係合解除が繰り返されることになる。
(無理抜き構造)以上のロック装置5は、幼児や子供等が扉9B,9Aの背面側閉空間(収納室等)に閉じ込められた場合の対策として簡単に係合解除可能となっている。次に、その無理抜き構造を図2、図4、図9により詳述する。
ロック装置5のケース1には、図4に示されるごとく両側の格納部15に磁石M3が収容され爪部15aで抜け止めされる。空間12には、コイル形の付勢部材50が対向して設けられている軸12aで支持された状態に配置される。一方、上記した取付ベース6は、概略扉側凹所9aに対応した形状であり、かつ、両側に設けられてねじBを通す孔を形成しているフランジ部6aと、両フランジ部6aの間にあって下斜めに延長された傾斜壁6bと、両側壁の下奥側に同軸線上に貫通されている軸孔6cとを有している。
以上のロック装置5は、まず、ケース1の両側に突出されている軸部14を取付ベース6の対応する軸孔6cに嵌合することにより、取付ベース6の内側に転倒可能に枢支される。その際、付勢部材50は、一端50aがケース側の対応壁部に係止され、他端50bが付勢力を発現しながら傾斜壁6bに係止される。このため、ロック装置5は、取付ベース6に対し軸部14及び軸孔6cの係合を介して枢支された状態で、図8(a)に示されるごとく磁石M3と対応するフランジ部6aとの間に発生する磁力(吸引力)と、付勢部材50の付勢力とにより起立した正規位置に保持されている。図8(a)はロック装置5が正規位置で、かつ、扉9B,9Aがロック部材側ロック爪21が受け部である凹溝55aに係合されて閉扉状態に保持されている。左側が扉9B,9Aの意匠面、右側が扉9B,9Aの背面側で物入れ等の閉空間になっているものとする。
そして、図8(a)の状態において、例えば、子供が前記閉空間に閉じ込められた場合、扉9B,9Aの意匠面及び背面ともに取っ手や手掛け用凹所がないため、その子供はロック装置5の係合を解除したくとも扉9B,9Aを自力で閉空間側へ引っ張ることができず危機的な状態となる。しかし、この構造では、子供が前記閉空間側から扉9B,9Aを押したり叩くだけでロック装置5が自動的に係合解除するようになっている。
すなわち、この構造では、振動や加重が扉9B,9Aに加わると、ロック装置5が軸部14を支点として、磁石M3と対応するフランジ部6aとの間に発生する磁力(吸引力)、及び付勢部材50の付勢力に抗して図8(b)の矢印方向へ転倒される。この転倒過程ではロック部材側ロック爪21が凹溝55aに突出係合した状態から、ロック爪21の傾斜面による下向き応力により、磁石M1と鉄製レール56との間に発生している磁力(吸引力)に抗してロック部材2を係合解除する。ロック装置5は、係合解除した後、図8(c)のごとく付勢部材50の付勢力により(途中からは磁石M3と対応するフランジ部6aとの間に発生する磁力(吸引力)も加わって)元の正規位置に復帰される。扉9B,9Aは蝶番側付勢ばね49の付勢力により開方向へ切り換えられることになる。
(変形例)図9と図10は、上記第1形態の一部を変更した変形例を示している。この説明では、第1形態とほぼ同じ箇所には同一符号を付し、異なる箇所又は変更された部材にのみ異なる符号を用いて変更点のみ詳述する。
第1の変更点は、第1形態の制御手段(3,4)のうち、作動子3とロック部材2とを作動連結する構造が異なっている。すなわち、変形例の制御手段(3,4A)は、図9のごとくケース側空間11に上下動可能に配設されて本体8の開口部側の磁性体(磁化された磁石を含む)としての鉄製レール56に吸引される作動子3と、作動子3の下側にあって後面に開口した状態に設けられている嵌合凹部34と、空間11の後側に対向して設けられた軸孔付きの支持部16と、一端側を嵌合凹部34に摺動可能に連結し、他端45a側をロック部材2に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容するシーソ式ストッパ4Aと、ケース1側に設けられたカム溝17及び作動子3側に設けられてカム溝17をトレースする揺動子35のピンPからなるカム機構とを備えている。
ここで、シーソ式ストッパ4Aは、両側面に軸部46を突設した略舌状の板体45からなり、ケース側両支持部16の軸孔に対し対応する軸部46を嵌合した状態でシーソ式に枢支されて、該軸部46を挟んだ一端(図9の左端)側を作動子3の嵌合凹部34に嵌合し、他端45aを図10(a),(b)のごとくロック部材2の当接部22に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容する構成である。すなわち、図5に対応させると、図10(a)は作動子3が上昇位置であり、ストッパ4Aが一端側を嵌合凹部34に嵌合し、他端45aをロック部材側当接部22の移動を規制している。図10(b)は作動子3が下降位置であり、ストッパ4Aが軸部46を支点として逆時計回りに回動されて、他端45aを当接部22の上方から逃げてロック部材側当接部22の移動を許容している。また、変形例のカム機構(17,P)は、磁性体である鉄製レール56と磁石M2との間に生じる磁力(吸引力)による作動子3の移動を制御することにより、シーソ式ストッパ4Aを介してロック部材2の移動を規制可能にする。
第2の変更点は、取付ベース6AがABS等の合成樹脂成形体からなる点である。この取付ベース6Aは、概略扉側凹所9aに対応した形状であり、かつ、両側に設けられてねじBを通す孔を形成しているフランジ部6aと、両フランジ部6aの間にあって下側に設けられた下壁6bと、両側壁の下奥側に同軸線上に貫通されている軸孔6cと、両フランジ部6aの間にあって上側内面に設けられたクッションシートCとを有している。クッションシートCは、衝突緩和用であり、対応部に貼付されている。
第3の変更点は、取付ベース6Aを合成樹脂製とした関係で、第1形態の無理抜き構造として使用した磁石M3を省くと共に、付勢部材51の付勢力を増大している。すなわち、変形例では、ケース1が付勢部材51を配置する比較的大きな下側空間18及び該空間18内で対向している軸18aとを形成している。そして、このロック装置5では、ケース1の両側に突出されている軸部14を取付ベース6Aの対応する軸孔6cに嵌合することにより、取付ベース6Aの内側に転倒可能に枢支される。その際、付勢部材51は、一端51aがケース側の対応壁部に係止され、他端51bが付勢力を発現しながら下壁6bに係止される。
以上のロック装置5でも、取付ベース6Aに対し軸部14及び軸孔6cの係合を介して枢支された状態で、図8(a)と同様に付勢部材51の付勢力により起立した正規位置に保持されている。そして、その状態において、例えば、子供が前記閉空間に閉じ込められた場合、その子供が前記閉空間側から扉9B,9Aを押したり叩くだけでロック装置5が自動的に係合解除するようになっている。これらは第1形態と同じ。この変形では、第1形態に比べてシーソ式ストッパ4Aと作動子3との連繋部分の構造が簡略されると共に、シーソ式ストッパ4Aのロック部材2に対する応答性を良好にしたり規制荷重を過大に必要とするに好適となる。また、磁石M3を省略したり、取付ベース6Aが樹脂成形体であるためその点からも簡素化できる。
(第2形態)図11〜図13は第1形態及び変形例よりも更に簡略化したものである。図11は図2と図4に対応し、図12は図6に対応し、図13は図7に対応している。第2形態では図示を省いたが、図1はロック装置5をロック装置5Aに変更すれば第2形態にも当てはまり、図3は第2形態でも同じである。この説明では、第1形態と作用的に同じ箇所には同一符号を付し、異なる箇所又は変更された部材に異なる符号を用いて詳述する。
(ロック装置の構成)第2形態のロック装置5Aは、扉側凹所9aに対し直接或いは取付ベース6Aを介して配設されるケース1Aと、ケース1Aのロック部材用空間10に上下動可能に支持されているロック部材2Aと、ロック部材2Aに組み込まれて本体8側開口部に設けられた磁性体としての鉄製レール56にロック部材2Aを吸引可能にする磁石M1と、磁性体としての鉄製レール56とロック部材側磁石M1とからなる吸引手段を介したロック部材2の移動を制御する制御手段(17AとP)とを備えている。そして、上記扉9A,9Bは、蝶番6の付勢ばね49により常時開方向へ付勢された状態で、その付勢力に抗して開から閉方向へ押されると共にロック部材2Aが制御手段(17AとP)及び吸引手段(56とM1)を介して受け部である凹溝55aに突出係合されて閉扉状態に保持されると共に、閉扉状態から更に閉方向へ押されることで係合解除されると共にロック部材2Aの係合解除状態を制御手段(17AとP)を介して維持して開方向へ切り換えられる。なお、以上のロック装置5Aは、扉側への取付構造として、扉側凹所9aにねじBで固定される合成樹脂製の取付ベース6Aと、付勢部材52とを備え、上記したと同じ無理抜き構造を採用している。
ここで、ケース1Aは、概略上開口した容器状をなし、ロック部材2Aを配置する空間10と、付勢部材52を配置する下側空間19と、両側壁にあって前下側で同軸線上に突設されている軸部14,14及びカム溝17Aとを形成している。このうち、空間10を区画しているケース1Aの各壁において、ケース前壁にはロック部材2Aの上昇位置を規制する対の嵌合溝10aが設けられ、前壁内面及び両側壁内面にはロック部材2Aの移動を案内する複数のガイド溝10bが設けられ、一方の側壁内面にはカム溝17Aが設けられている。符号19aは付勢部材52を支持する軸部12である。
ロック部材2Aは、空間10に対応したブロック状をなし、その上壁の前縁に突設されてガイドレール55の凹溝55a内に出没して係脱されるロック爪21と、後壁の上側から前方に向けて開口された格納部23と、同じく格納部23の下側で前方に向けて開口された格納部25と、前壁の中間より下側に設けられて各嵌合溝10aに嵌合される対の抜け止め用爪24aとを形成している。ロック爪21の形状は前側が垂直面で、後側が傾斜面となっている。符号26と27は格納部32の両側壁に対向して設けられたガイド溝である。符号28aは格納部32の内側下面に設けられたガイド溝、符号28aは同じく格納部25の内側上面に突設されたガイドリブである。
格納部23には磁石M2が装着される。格納部25には揺動子29が組み込まれる。この揺動子29は、一側面に突設されて後述するカム溝17Aの溝形状に沿って旋回するトレース用ピンPと、他側面に突設された軸29aと、下面に設けられたガイドリブ29bと、上面に設けられたガイド溝29cとを形成している。そして、以上の揺動子29は、格納部25に入れられて、ピンPがガイド溝26から突出され、軸29aがガイド溝27に嵌合され、ガイドリブ29bがガイド溝28aに嵌合されることで、格納部25に対し前後に揺動可能に配置される。なお、ピンPとしては、ピン部材及び付勢部材で構成し、該付勢部材の付勢に抗して揺動可能に支持するようにしてもよい。そして、以上のロック部材2Aは、格納部23に磁石M1を装着した状態で、ケース側空間10に対し、各縦リブ20bを対応するガイド溝10bに沿って嵌合しながら移動し、かつ爪24aを嵌合溝10aに嵌合すると上下動可能に組み込まれる。
また、上記制御手段は、ケース1側のカム溝17A、及びロック部材2側のトレース用ピンPからなるカム機構からなり、該カム機構が扉9A,9Bが閉扉状態から閉方向へ押され、その押し力が解放されて開方向へ動いたときにロック部材2Aの吸引手段(56とM1)を介した移動を一時的に規制可能にする構成である。
(カム機構とロック部材の作動)次に、以上のカム溝17Aの形状、及び該カム溝17AをトレースするPの軌跡とケース1内の各部材の動作との関係を説明する。図12において、カム溝17Aは、逆凸でハート形の島17fの周囲に形成されており、上側から右下側へ延びている住路溝17aと、下側に位置して左右に別れている係止用誘導溝17b及び解除用誘導溝17dと、誘導溝17b,17dの間で少し上側に位置した凹状係止溝17cと、誘導溝17dから下側へ延びる復帰溝27eなどで構成されている。そして、ピンPは、ロック部材2Aが図12(a)から(b)のごとく下降位置から上昇されると、誘導溝17dから復帰溝17eの下端ないしは住路溝17aの下端に移動(ロック部材及びピンの上昇位置)し、ロック部材2Aが図12(b)から(c)のごとく上昇位置から下降されると住路溝17bから誘導溝17bに移動(ロック部材及びピンの下降位置)し、ロック部材2Aが図12(c)から(d)のごとく少し上昇されると誘導溝17bから係止溝17cに移動(ロック部材及びピンの中間位置)しその少し上昇した状態を一時的に保ち、更にロック部材2Aが図12(d)から(a)のごとく下降されると係止溝17cから誘導溝17dに移動(ロック部材及びピンの下降位置)することになる。なお、付言すると、この構造では、図12(a)のロック部材12Aの下降位置でガイドレール55との間の隙間D1は、図12(d)のロック部材12Aの中間位置でガイドレール55との間の隙間D2よりも大きくなっている。
(ロック装置の主作動)次に、以上のロック装置5Aを用いたときの開扉状態(扉の開)から、閉扉状態に切り換えたり、閉扉状態から再び扉開状態に切り換えるときの作動について図12及び図13を参考にして明らかにする。なお、図13は各部の状態変化に応じた扉9A,9Bの開閉状態を模式的に示している。図12と図13中の矢印は移動方向又は力の加わる方向を示している。図13では上記したガイドレール55及び扉9Bの対応端側に設けられてガイドレール側凹溝55aに沿って移動する枢軸(この枢軸はピン構成、ローラー構成の場合もある)を破線で示している。また、以下の説明においても、付勢ばね49の付勢力は磁石M1の鉄製レール56に対する接近時の吸引磁力より大きく設定されているものとする。
(1)まず、開扉状態では、図1と図12(a)及び図13(a)に示されるごとく蝶番側の付勢ばね49の付勢力により、扉9A,9B同士の対向端部は手前方向へ向けてへの字形(付勢力がより強いと更にVの字形)に回動されている。なお、この状態で、図13(a)の想像線に示すごとく、扉9Bを手で矢印方向へ押圧することにより、扉9A,9B同士が折り畳まれ、本体8側の開口部の幅を大きく開口することができる。この開扉状態では、図12(a)のごとくピンPが解除用誘導溝17dにあり、ロック部材2Aは自重により下降位置にある。
(2)開扉状態から閉扉状態にする場合は、図13(a)及び図12(a)に示されるごとく手や指で扉9B又は扉9Aを蝶番側付勢ばね49の付勢力に抗して矢印つまり閉方向へ押す。このロック装置5Aでは、扉9B,9Aの閉方向の移動でロック部材2Aが磁性体である鉄製レール56に接近すると、ロック部材2Aは磁石M1と鉄製レール56との間に発生する磁力(吸引力)で上昇移動されて、ロック爪21が受け部であるガイドレール側凹溝55aに突出係合される。扉9B,9Aはロック爪21と凹溝55aとの係合により閉扉状態に保たれる。この閉扉状態では、図12(b)のごとくピンPが住路溝17aの入口にあり、ロック部材2Aは磁石M1と鉄製レール56との間に働く磁力(吸引力)により上昇位置にある。なお、ロック部材2Aは、ロック爪21が扉開方向の面が垂直面、扉閉方向の面が上から下向きに広くなる傾斜面となっているため、付勢ばね49によりロック装置5A及び扉9A,9Bを介して開方向への付勢応力を受けていても係合解除される虞はない。
(3)扉9B,9Aを再び開扉状態にする場合は、図12(c),図13(c)に示されるごとく手や指で扉9B又は扉9Aを蝶番7の付勢ばね49の付勢力に抗して、閉方向へオーバーストローク(扉9B又は扉9Aがガイドレール55を通り過ぎること)するまで押す。この押圧過程において、初期段階ではロック部材2Aが凹溝56の対応部にロック爪21を当接したときの応力により、また、ロック爪21の傾斜面の存在により下降されて受け部である凹溝55から係合解除する。その後、ロック部材2Aが鉄製レール56から離れると自重により下降する。ピンPは、住路溝17aから復帰溝17eを移動して誘導溝17bに移動される。
そして、前記押圧力を解放(これは手や指を扉から離すことである)すると、扉9B,9Aは図12(d)及び図13(d)のごとく蝶番側付勢ばね49の付勢力により開方向へ回動ないしは移動される。このとき、このロック装置5Aでは、ロック部材2Aが鉄製レール56を通過する際に図12(d)のごとく磁石M1と鉄製レール56との間に発生する磁力(吸引力)で瞬間的に少し上昇された後、ロック部材2Aが鉄製レール56を通り過ぎると図12(a)のごとく自重により下降する。ピンPは、誘導溝17bから係止溝17cに一旦係合保持された後、誘導溝17dに移動される。扉9B,9Aは、引き続き付勢ばね49の付勢力により開方向へ回動ないしは移動されることになる。以後は、扉9B,9Aの閉方向への押圧動作毎に係合保持、係合解除が繰り返されることになる。
(無理抜き構造)第2形態のロック装置2Aは、上記変形例と同様な無理抜き構造を採用している。すなわち、ロック装置5Aは、取付ベース6Aに対し軸部14及び軸孔6cの係合を介して枢支された状態で、図8(a)と同様に付勢部材52の付勢力により起立した正規位置に保持されている。この場合、付勢部材52は、一端52aがケース側の対応壁部に係止され、他端52bが付勢力を発現しながら下壁6bに係止される。そして、正規位置で閉扉状態において、例えば、子供が前記閉空間に閉じ込められた場合、その子供が前記閉空間側から扉9B,9Aを押したり叩くだけでロック装置5Aが自動的に係合解除するようになっている。この作動は変形例と同じ。この第2形態では、第1形態及び変形例に比べて作動子3及びストッパ4,Aが不要であり、ロック部材2Aを直動式としたため部材数を減じたり、簡素化及び小型化を実現できる。
なお、各形態及び変形例では扉として中折れ式扉を挙げたが、本発明のロック装置は開方向へ付勢される回動タイプ(一端を支点として回動される構成、一端の枢軸や枢支部を移動しながら回動される構成を含む)の扉であれば、一枚物、逆に3枚以上連結した折り戸式扉にも適用可能である。
1,1A…ケース(10はロック部材用空間、11は作動子用空間)
2,2A…ロック部材(21はロック爪、22は当接部、23は格納部)
3,3A…作動子(制御手段、31は格納部、35は揺動子)
4…スライド式ストッパ(制御手段)
4A…シーソ式ストッパ(制御手段)
5,5A…ロック装置
6,6A…取付ベース
7…蝶番(49は付勢ばね)
8…框(8aは縦材、8bは横材)
9A,9B…中折れ式扉(9aは凹所)
17,17A…カム溝(カム機構)
55…ガイドレール(55aは受け部としての凹溝)
56…鉄製レール(磁性体)
P…トレース用ピン(カム機構)

Claims (6)

  1. 本体側開口部に対し一端側を支点に回動されて前記開口部を塞ぐ閉扉状態と開放する開扉状態とに切り換えられ、かつ常時開方向へ付勢されている扉に用いられて、閉扉状態で前記開口部側の係止用受け部に係脱するロック部材を有したロック装置において、
    前記扉に配設されて前記ロック部材を上下動可能に支持しているケースと、
    前記ロック部材及び前記開口部にそれぞれ対応して設けられて前記ロック部材を移動して前記受け部に係合可能にする磁石及び磁性体からなる吸引手段と、
    前記ロック部材の前記吸引手段を介した移動を制御する制御手段とを備え、
    前記扉は付勢力に抗して開から閉方向へ押されると共に前記ロック部材が前記制御手段及び前記吸引手段を介して前記受け部に係合されて閉扉状態に保持され、閉扉状態から更に閉方向へ押されることで係合解除されると共に前記ロック部材の係合解除状態を前記制御手段を介して維持し開方向へ切り換えられることを特徴とするロック装置。
  2. 前記制御手段は、前記ケースに上下動可能に配設されて前記開口部側の前記磁石又は磁性体に吸引可能な作動子と、一端側を前記作動子に摺動可能に連結し、他端側を前記ロック部材に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容するスライド式ストッパと、前記ケース側に設けられたカム溝及び前記作動子側に設けられて前記カム溝をトレースするピンからなるカム機構とを有し、
    前記カム機構は、前記作動子の前記磁石又は磁性体を介した移動を制御することにより、前記スライド式ストッパを介して前記ロック部材の移動を規制可能にすることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
  3. 前記制御手段は、前記ケースに上下動可能に配設されて前記開口部側の前記磁石又は磁性体に吸引される作動子と、前記ケースに枢支されてその枢支部を挟んだ一端側を前記作動子に嵌合可能にし、他端側を前記ロック部材に着脱してそのロック部材の移動を規制したり許容するシーソ式ストッパと、前記ケース側に設けられたカム溝及び前記作動子側に設けられて前記カム溝をトレースするピンからなるカム機構とを有し、
    前記カム機構は、前記作動子の前記磁石又は磁性体を介した移動を制御することにより、前記シーソ式ストッパを介して前記ロック部材の移動を規制可能にすることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
  4. 前記制御手段は、前記ケース側に設けられたカム溝、及び前記ロック部材側に設けられて前記カム溝をトレースするピンからなるカム機構を有し、
    前記カム機構は、前記扉が前記閉扉状態から閉方向へ押され、その押し力が解放されて開方向へ動いたときに前記ロック部材の前記吸引手段を介した移動を一時的に規制可能にすることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
  5. 前記扉に固定されて前記ケースを転倒可能に枢支する取付ベースと、前記ケースを前記取付ベースの正規位置に付勢している付勢部材とを有し、前記ロック部材が前記受け部と係合した状態で、前記ケースが所定大の振動を受けると転倒して前記係合を解除可能となることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の扉のロック装置。
  6. 請求項1から5の何れかに記載のロック装置を備えていることを特徴とする扉。
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