JP4364830B2 - シート材供給裁断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生地裁断作業などで好適に使用可能なシート材供給裁断装置に関するものである。
生地等の薄くて柔軟性に富む素材(以下、「シート材」と言う)を所定大きさに裁断したり、このシート材から様々な形状の生地パーツを裁断により取り出したりするためのシート材裁断装置は公知であり、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1や2等参照)。
この種のシート材裁断装置では、シート材を広げて平置き状態に支持する部分(裁断作業台)がベルト搬送手段のベルト上とされることが多く、この場合、裁断作業が終わったシート材は、このベルト搬送手段の駆動に伴ってその搬送方向下流側に設けられたピッキング位置又はスタッキング位置へと送り出されるようになっている。
なお、このベルト搬送手段のベルト上へシート材を供給するのは作業者による人的作業となっていた。すなわち、ベルト搬送手段の搬送方向上流位置には原反保持手段が設けられ、この原反保持手段には、シート材を巻回した原反が回転自在に保持されており、作業者は、この原反からシート材の巻出端部を持ってベルト搬送手段のベルト上へ向け必要長さだけ引っ張り出すというものであった。
特開2005−66764号公報 特開2005−68599号公報
柔軟性が豊富であるシート材の多くは伸縮性も豊富である(例えばニット生地で歴然)から、作業者がシート材を原反から引っ張り出すとき、シート材にはその引出方向(即ち、シート材の長手方向であり且つベルト搬送手段の搬送方向と同じ)に沿って伸びが生じることは容易に理解できる。この伸びは、同時にシート材の幅方向に縮みを生じさせるものであることもまた、明らかである。
このように長手方向の伸びや幅方向の縮みが生じたままのシート材を裁断すれば、その裁断形状や寸法に無視できない誤差が生じることになり、甚だしい場合には裁断された後のシート材の一部乃至大部分が使用不可な廃棄物となってしまう。すなわち、シート材としての歩留まりの悪さに繋がっていた。
また、作業者によるシート材の供給作業は、供給方向における先端位置の位置精度に劣るために供給長さの過不足に繋がり、またシート材に長手方向に沿ったカーブや幅方向の位置ズレ、皺などを発生させるおそれが多分にあって、結果として、この点でもシート材の歩留まりを下げることになる。
のみならず、そもそも作業者によるシート材の供給作業は、このシート材裁断装置に対して最低でも一人の作業者が常に付きっきりにならざるを得ず、労働環境の過酷さや作業能率の悪さにも繋がっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シート材を裁断する作業等でのシート材供給部分に採用することにより、該当する作業(裁断等)を精度高く行え、結果、シート材の歩留まりを向上させる(使用不可となるシート材の廃棄量を低減乃至皆無にする)ことができるようにしたシート材供給装置を提供することを目的とする。
また本発明は、シート材の供給作業として作業者の介在を省けるものとして、省人化(ランニングコストの低コスト化)、労働環境の改善、及び作業能率の向上が図れるようにしたシート材供給装置を提供することを目的とする。
また本発明は、本発明に係るシート材供給装置を具備することによって、その作用効果を如何なく活用できるシート材裁断装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るシート材供給装置は、柔軟性に富むシート材を巻回した原反を回転自在に保持する原反保持手段と、この原反保持手段に保持された原反から繰り出されるシート材を全幅にわたり上下両側から挟持するニップローラ手段と、このニップローラ手段を通過したシート材を平置き状態で搬送するベルト搬送手段とを有している。
また本発明に係るシート材供給装置は、原反保持手段とニップローラ手段との間のシート材の弛みを検出する弛み検出手段を有しており、更にこれら原反保持手段、ニップローラ手段、ベルト搬送手段、及び弛み検出手段を総括的に制御する制御手段を有したものとなっている。
原反保持手段には原反回転駆動用の第1モータが設けられ、ニップローラ手段にはローラ回転駆動用の第2モータが設けられ、ベルト搬送手段にはベルト駆動用の第3モータが設けられたものとなっている。そして制御手段は、弛み検出手段の検出値に基づき必要に応じて第1、第2、第3モータの駆動量を相対制御して、シート材の弛み量を安定保持可能になっている。
このように本発明に係るシート材供給装置は、原反保持手段、ニップローラ手段、及びベルト搬送手段の協同動作としてシート材が原反保持手段側からベルト搬送手段側へと自動的に供給される構成である。しかも、これら原反保持手段、ニップローラ手段、ベルト搬送手段は、ニップローラ手段と原反保持手段との間でシート材に常に弛みが生じるように制御手段によって制御されるため、シート材に対し、無理な引っ張り作用が生じることはない。
従って、ベルト搬送手段上へ供給されたシート材には、長手方向の伸びや幅方向の縮みが生じておらず、その後、例えばベルト搬送手段上でシート材の裁断を行う場合には、裁断形状や寸法に関して、高精度の裁断が行えるものとなる。結果、シート材の歩留まりを向上させる(使用不可となる廃棄物の量を低減乃至皆無にする)ことができる。
また、シート材の供給作業として作業者の介在を省けるので、省人化(ランニングコストの低コスト化)、労働環境の改善、及び作業能率の向上が図れる。またシート材に、その長手方向に沿ったカーブや幅方向の位置ズレ、皺などを発生させるおそれがなく、この点でも、シート材の歩留まりを向上させることができる。
弛み検出手段は、シート材の弛み量が高位閾レベルにあるときと低位閾レベルにあるときとの2位置検出が可能なものとするのが好適である。この場合、制御手段は、シート材に生じている弛み程度が、弛み検出手段の2位置検出範囲内に常に保持されるような制御を行う構成とする。
このようにすると、原反保持手段とニップローラ手段との間でシート材に付与される弛み量(繰り出し長さ)が所定範囲内に制限されるので、原反保持手段が過剰動作によってシート材を繰り出させ過ぎる(弛み量を過大にしてしまう)ことが防止される。
ニップローラ手段は、ベルト搬送手段上へ送りしたシート材が切り出された後に、当該ニップローラ手段で挟持状態として残るシート材を、その先端部がベルト搬送手段の上方へ浮く状態まで逆送り可能なものとして構成するのが好適である。
このようにすれば、ベルト搬送手段上へ供給し裁断した後のシート材(原反側と切り離されたシート材)をこのベルト搬送手段によって搬送する間、ニップローラ手段にて挟持した次位に控えるシート材がベルト搬送手段に接触しないようにできる。そのため、この次位に控えるシート材に対し、ベルト搬送手段の駆動に引っ張られることを原因とした伸びを発生させるおそれがない。
また、この次位に控えるシート材に対し、ベルト搬送手段のベルト上に残る滓等が付着するのを防止できる。
ベルト搬送手段上には、シート材の搬送方向先端部を検出するシート始端検出手段を設けておくのが好適である。このシート始端検出手段は、ベルト搬送手段の搬送上面とシート材との上下間へ差し込み可能とされた反射部材と、シート材の上方からこの反射部材へ向けて検出波を発射し反射部材からの反射波の有無又は強弱を検出するセンサとを有したものとすればよい。
このようなシート始端検出手段を設けておけば、ベルト搬送手段上にシート材を供給するときに、シート材の供給先端位置の位置精度を高精度に位置決めできる。
そのため、作業者によるシート材の供給作業の場合とは異なり、シート材の供給長さに過不足は起こらず、結果として、この点でもシート材の歩留まりを向上させることができる。
本発明に係るシート材裁断装置は、本発明に係るシート材供給装置に対し、ベルト搬送手段の上方に、当該ベルト搬送手段のベルト上に平置き支持されたシート材を所定形状に裁断する裁断手段が設けられたものであり、このシート材供給装置により奏し得られる作用効果を具備するものとなっている。
本発明に係るシート材供給装置では、シート材を裁断する作業等でのシート材供給部分に採用することにより、該当する作業(裁断等)を精度高く行え、結果、シート材の歩留まりを向上させる(使用不可となるシート材の廃棄量を低減乃至皆無にする)ことができる。また、シート材の供給作業として作業者の介在を省けるものとして、省人化(ランニングコストの低コスト化)、労働環境の改善、及び作業能率の向上が図れる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図4は、本発明に係るシート材供給装置1に対し裁断手段2を具備させて構成されたシート材裁断装置3の一実施形態を示している。図1及び図2に示すように、シート材供給装置1は、その基本構成として原反保持手段5とニップローラ手段6とベルト搬送手段7とを有したものである。またこのシート材供給装置1は、弛み検出手段8及び制御手段9を有している。
なお、裁断手段2はベルト搬送手段7の上方に設けられている。この裁断手段2の具体的な構造は特に限定されるものではないが、例えば、円盤状回転刃等の裁断刃12及びその回転駆動部を有する裁断ヘッド13と、この裁断ヘッド13をベルト搬送手段7の上方で所望に応じて移動させるヘッド移動機構14とを有した構造を採用すればよい。
ヘッド移動機構14は、裁断刃12をベルト搬送手段7の搬送方向に移動させる縦送り機構と、幅方向に移動させる横送り機構とを有して、これら両機構の動作量組み合わせで水平面内での任意方向へ移動可能にするだけでなく、裁断刃12をベルト搬送手段7の上面レベルまで下降させたりその上方へ待避させたりする昇降機構と、裁断刃12を水平旋回させる旋回機構とを有して、裁断刃12をどの方向へ移動させるときも裁断作業が行えるようにしてある。このようにすれば、ベルト搬送手段7上に平置き状態で支持されたシート材Wをどのような形状にでも裁断できる。
原反保持手段5はベルト搬送手段7の搬送方向上流位置に設けられており、シート材Wが巻回されて成る原反Rを回転自在に保持するところとなっている。この原反保持手段5には、原反Rを回転駆動させるための第1モータ20が設けられている。この第1モータ20にはステッピングモータやサーボモータ等の回転制御が容易なモータが用いられている。
ニップローラ手段6はベルト搬送手段7の搬送方向上流位置であり且つ原反保持手段5よりは下流位置となる位置付けで設けられており、この原反保持手段5から繰り出されたシート材Wを全幅にわたり上下のローラ21,22によって挟持するところとなっている。
このニップローラ手段6には、ローラ21,22の少なくとも一方(好ましくは両方)を回転駆動させるための第2モータ23が設けられている。この第2モータ23にも、ステッピングモータやサーボモータ等の回転制御が容易なモータが用いられている。
なお、このニップローラ手段6はシート材Wをその上下両面から挟持することでシート材Wに対して送り駆動を付与する構造であるから、第2モータ23を正転回転駆動すればベルト搬送手段7へ向けてシート材Wを送り出すことができ、反対に第2モータ23を逆回転駆動させれば、一旦送り出したシート材Wを引き戻すことができる。そのため、ベルト搬送手段7上へ送り出したシート材Wがその全幅にわたって裁断(大裁)された後、ローラ21,22間で挟持状態として残るシート材Wを、その先端部がベルト搬送手段7の上方へ浮く状態まで逆送りさせることができる(図4参照)。
ベルト搬送手段7はシート材Wを平置きするに十分なベルト幅に形成されたエンドレスベルト27を有したもので、ニップローラ手段6を通過したシート材Wを平置き状態で支持したまま搬送することができる。このベルト搬送手段7にはベルト27を駆動するための第3モータ24が設けられている。この第3モータ24にもサーボモータ等の回転制御が容易なモータが用いられている。
このベルト搬送手段7上へニップローラ手段6から所定長さ分のシート生地Wが送り出されると、裁断手段2がニップローラ手段6の近くでシート材Wをその全幅にわたって裁断(大裁)し、裁断作業に適した1リピート長のシート材Wを切り出すが、ベルト搬送手段7は、この1リピート長のシート材Wを被裁断用に保持する裁断ゾーンZ1と、裁断後のシート材Wを搬送方向下流側でピッキング作業又はスタッキング作業へ供するための取出ゾーンZ2とを確保可能な搬送距離を有したものとなっている。
またこのベルト搬送手段7において、ベルト27は通気性を有した素材(フェルトや起毛布帛等の粗目のもの)により形成されており、上部張り側と下部張り側との上下間には、ベルト搬送手段7の上方で裁断手段2の裁断ヘッド13が水平移動するのに同調して、同じ水平移動をする吸引ボックス28が設けられている。
この吸引ボックス28は、上部張り側とされたベルト27の裏面に当接され、この当接面を吸引できるようになっている。そのため、ベルト搬送手段7上に送り出されたシート材Wは、少なくとも裁断手段2の裁断ヘッド13に相当する部位がベルト27を介して吸引ボックス28側へ吸い付けられ、不動に保持される。
なお、この吸引ボックス28は、ベルト搬送手段7における上部張り側の裏面略全面に相当する大きさをしたものとして、不動状態で設けることもできる。
このベルト搬送手段7の上部には、シート材Wの搬送方向先端部を検出するシート始端検出手段30が設けられている。このシート始端検出手段30は、ベルト搬送手段7の上記した裁断ゾーンZ1でのシート材Wの搬送方向先端部を検出するためのものである。
このシート始端検出手段30は、裁断手段2の裁断ヘッド13に設けることができる。但しこれは限定事項ではなく、ベルト搬送手段7の脇部から適宜ブラケットを介して固定するようにしてもよい。
図3に示すように、このシート始端検出手段30は、ベルト搬送手段7の搬送上面(ベルト27の上面)とシート材Wとの上下間へ差し込み可能とされた反射部材31と、シート材Wの上方からこの反射部材31へ向けて検出波を発射し反射部材31からの反射波の有無又は強弱を検出するセンサ32とを有している。
センサ32が検出波及び反射波として採用するのは、光学的なものでも電磁波的なものでもよい。光学的なものとする場合であれば、特に反射部材31は反射率を高めるために鏡面状にすることが要求される。またベルト搬送手段7上を搬送されるシート生地Wがこの反射部材31に無理なく乗り上げることができ、且つこのシート材Wに皺や変形、位置ズレ等を生じさせないようにする必要があることから、肉厚が薄く、表面が円滑であることが要求される。
そこで本実施形態では、肉厚が0.4mm程度のステンレス製バネ板を素材に用いた。また、ベルト搬送手段7の搬送方向に沿って下流側から上流側へ板先端部を指向させる状態にしてこの板先端部に下り傾斜を付し、この反射部材31に対してシート材Wが一層乗り上げ易く、且つベルト搬送手段7との接触摩擦(抵抗)も可及的に小さくなるように工夫した。
この反射部材31は、ブラケット装置33を介して流体圧シリンダ等の昇降駆動具34に吊り下げられた状態とされており、この昇降駆動具34の動作で昇降可能になっている。ブラケット装置33には、反射部材31を支持した垂下軸35を上下摺動自在に保持するための軸受け36が設けられていると共に、この反射部材31に下向きの押圧付勢力を作用させるダンパー部材37が設けられている。
そのため、反射部材31をベルト搬送手段7のベルト27上へ押し付けたときに、反射部材31の先端部をより一層確実に、ベルト搬送手段7のベルト27に密接させることができるようになっている。
弛み検出手段8は、原反保持手段5とニップローラ手段6との間でその上方に設けられており、この部分を通過しているシート材Wに弛みが生じているか否かを検出可能になっている。また弛みが生じていた場合、それがどの程度の弛みであるかも検出可能になっている。
この弛み検出手段8は、上限検出部40と下限検出部41とを有しており、上限検出部40によりシート材Wの弛み量が高位閾レベルを割ってそれより下レベルへ及んでいるか否か(即ち、最小限の弛みが生じているか否か)を検出し、下限検出部41によりシート材Wの弛み量が低位閾レベルを割ってそれより下レベルへ及んでいないか(即ち、弛みが過剰でないか)を検出する。
要するに、原反保持手段5とニップローラ手段6との間でシート材Wに生じさせる弛みを、所定の高位閾レベルと低位閾レベルとの2位置間に保持するうえで有効な手段となっている。
制御手段9は、原反保持手段5、ニップローラ手段6、ベルト搬送手段7、及び弛み検出手段8を総括的に制御するところである。制御因子とするのは、弛み検出手段8の検出値であり、制御の対象は、原反保持手段5の第1モータ20と、ニップローラ手段6の第2モータ23と、ベルト搬送手段7の第3モータ24である。
原則として、制御手段9は、ベルト搬送手段7の搬送速度とニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度とを1対1に制御する。
ここでベルト搬送手段7の搬送速度は、第3モータ24の回転数から算出するか、又はベルト27上面の実質的な表面速度として計測することで求めることができる。またニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度は、第2モータ23又はローラ21,22の回転数から算出するか、又はローラ21,22の実質的な周速度として計測することで求めることができる。
勿論、これらベルト搬送手段7の搬送速度やニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度は、上記以外の方法で求めることもできる。
そして制御手段9は、ベルト搬送手段7の搬送速度とニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度とを1対1に制御した状態で、例えば弛み検出手段8の上限検出部40がシート材Wを未だ検出していない状態であれば、制御手段9は、ニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度に対し、原反保持手段5がシート材Wを繰り出す速度を高めるように原反保持手段5の第1モータ20を制御する。
なお、原反保持手段5の第1モータ20を基準において、ニップローラ手段6の第2モータ23とベルト搬送手段7の第3モータ24とを共に低速化させるように制御してもよい。
そして、この制御により弛み検出手段8の上限検出部40がシート材Wを検出した後は、下限検出部41がシート材Wを検出した時点で原反保持手段5の第1モータ20を減速させるか又は停止させ、ニップローラ手段6によるシート材Wの送り出し速度に対し、原反保持手段5がシート材Wを繰り出す速度を低下乃至ゼロにする。
制御手段9では、このような制御を繰り返すことで、シート材Wの弛み位置を弛み検出手段8の高位閾レベルと低位閾レベルとの2位置検出範囲内に保持する。
このように、本発明に係るシート材供給装置1を具備して成るシート材裁断装置3であれば、原反保持手段5、ニップローラ手段6、及びベルト搬送手段7の協同動作としてシート材Wが原反保持手段5側からベルト搬送手段7側へと自動的に供給されることになり、シート材Wを供給する作業のためとしては作業者の介在は不要になる。
しかも制御手段9による原反保持手段5、ニップローラ手段6、ベルト搬送手段7の制御により、ニップローラ手段6と原反保持手段との間には、シート材Wに常に所定量の弛みが生じる状態に維持される。
そのため、ニップローラ手段6からベルト搬送手段7上へ供給されたシート材Wに対して無理な引っ張り作用が生じることはなく、シート材Wは、長手方向の伸びや幅方向の縮みが生じていない正常な状態となっている。
また作業者による人的作業とは異なり、シート材Wの供給が機械化されることで、ベルト搬送手段7上へ供給されたシート材Wにはその長手方向に沿ったカーブや幅方向の位置ズレ、皺などが発生し難い状況が得られる。
従ってその後、裁断手段2が作動してベルト搬送手段7上のシート材Wを裁断すれば、裁断形状や寸法に関して、思惑通りの高精度の裁断が行えるものとなる。これらのことから、シート材Wは、裁断によって使用不可となる廃棄物の量が低減乃至皆無になり、その歩留まりが向上することになる。
なお、上記したように裁断手段2がシート材Wの裁断を行うに際しては、この裁断手段2は、ニップローラ手段6に挟持状態となっているシート材Wをそのまま残したかたちで、それよりベルト搬送手段7側へ送り出されたシート材Wをその全幅にわたって裁断(大裁)して1リピート長にする。
ベルト搬送手段7においては、この裁断により得られた1リピート長のシート材Wが位置付けられるベルト27上の地点を、そのまま裁断ゾーンZ1として設定しておけばよい。すなわち、ベルト搬送手段7は停止したままで、裁断手段2がこの1リピート長のシート材Wを所定形状に裁断する(生地パーツを切り出す)のを待てばよいことになり、それだけシート材裁断装置3としての稼動効率が向上する。
ここでニップローラ手段6は、好ましくは裁断手段2による裁断作業が開始されるのに先立ち、ローラ21,22を互いに逆回転させ、挟持状態として残るシート材W(次位に控えるシート材W)をその先端部がベルト搬送手段7の上方へ浮く状態にさせる。そしてこの状態が維持されるように、停止する(図4参照)。
このようなニップローラ手段6の動作により、裁断手段2による裁断作業後にベルト搬送手段7が裁断ゾーンZ1から取出ゾーンZ2へ1リピート長のシート材Wを搬送する間、ニップローラ手段6に挟持状態として残る次位のシート材Wがベルト搬送手段7に接触しないようにできる。従って、この次位に控えるシート材Wが、ベルト搬送手段7の駆動に引っ張られることを原因とした伸びを発生させることはない。
また、この次位に控えるシート材Wに対し、ベルト搬送手段7のベルト27上に残る滓等(図4中のS参照)が付着するのを防止できる。
なお、ベルト搬送手段7において、1リピート長のシート材Wが得られた地点からこのシート材Wを所定距離だけ搬送した下流位置に裁断ゾーンZ1を設定しておくことも可能である。この場合には、ベルト搬送手段7が1リピート長のシート材Wを裁断ゾーンZ1へ搬送させ始める前、すなわち、裁断手段2による裁断作業前に、ニップローラ手段6によるローラ21,22の相互逆回転を行わせ、挟持状態として残るシート材Wの先端部をベルト搬送手段7の上方へ浮かせるようにすればよい。
一方、ベルト搬送手段7の裁断ゾーンZ1に対して1リピート長のシート材Wが供給されるときにおいて、このシート材Wの搬送方向先端部は、シート始端検出手段30により高精度に検出され、ベルト搬送手段7はこのシート始端検出手段30からの検出信号を受けて搬送動作を停止する。これにより、裁断ゾーンZ1においてシート材Wは高精度で位置決めされていることになるため、作業者による供給作業の場合とは異なり、シート材Wの供給長さに過不足は起こらない。
シート材Wの高精度位置決めが完了した後は、シート始端検出手段30はまず、反射部材31がベルト搬送手段7のベルト27上を滑るようにして高さ一定のままその搬送方向下流側へ引き抜く動作をし(図3中の矢符A参照)、その後、昇降駆動具34による上昇待避動作をする(図3中の矢符B参照)。この動作手順を採ることで、シート材Wに対して皺、伸び、変形、位置ズレ等を発生させることがない。
かくして、裁断手段2による裁断作業でのシート材Wの歩留まりは飛躍的に向上する。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
本発明に係るシート材供給装置1は、シート材裁断装置3での採用が限定されるものではない。勿論、シート材Wは生地に限定されるものではない。
図2に対応する概略側面図である。 本発明に係るシート材裁断装置の一実施形態を示した斜視図である。 シート始端検出手段を示した側面図である。 ニップローラ手段の動作状況を示した側面図である。
1 シート材供給装置
2 裁断手段
5 原反保持手段
6 ニップローラ手段
7 ベルト搬送手段
8 弛み検出手段
9 制御手段
20 第1モータ
23 第2モータ
24 第3モータ
27 ベルト
30 シート始端検出手段
31 反射部材
32 センサ
W シート材
R 原反

Claims (3)

  1. 原反保持手段(5)からニップローラ手段(6)を経てベルト搬送手段(7)上の裁断ゾーン(Z1)へ柔軟性に富むシート材(W)を所定長さ分ずつ送り出して該ベルト搬送手段(7)上に設けられた裁断手段(2)によってシート材(W)を裁断し、裁断後のシート材(W)を前記ベルト搬送手段(7)で取出ゾーン(Z2)へ送り出すようにしたシート材供給裁断装置であって、
    柔軟性に富むシート材(W)を巻回した原反(R)を回転自在に保持する原反保持手段(5)と、この原反保持手段(5)に保持された原反(R)から繰り出されるシート材(W)を全幅にわたり上下両側から挟持するニップローラ手段(6)と、このニップローラ手段(6)を通過したシート材(W)を平置き状態で搬送するベルト搬送手段(7)と、このベルト搬送手段(7)のベルト(27)上に送り出されるシート材(W)の搬送方向先端部を検出するシート始端検出手段(30)と、前記ベルト搬送手段(7)の上方に設けられ、当該ベルト搬送手段(7)のベルト(27)上に平置き支持されたシート材(W)を所定形状に裁断する裁断手段(2)と、上記原反保持手段(5)とニップローラ手段(6)との間のシート材(W)の弛みを検出する弛み検出手段(8)と、これら原反保持手段(5)、ニップローラ手段(6)及び弛み検出手段(8)を総括的に制御する制御手段(9)とを有しており、
    上記原反保持手段(5)には原反回転駆動用の第1モータ(20)が設けられ、上記ニップローラ手段(6)にはローラ回転駆動用の第2モータ(23)が設けられ、上記ベルト搬送手段(7)にはベルト駆動用の第3モータ(24)が設けられ、上記制御手段(9)は、上記弛み検出手段(8)の検出値に基づき必要に応じて第1、第2、第3モータ(20,23,24)の駆動量を相対制御してシート材(W)の弛み量を安定保持可能になっており、
    前記ニップローラ手段(6)は、ベルト搬送手段(7)上へ送り出したシート材(W)が前記裁断手段(2)で切り出された後に当該ニップローラ手段(6)で挟持状態として残るシート材(W)をその先端部がベルト搬送手段(7)の上方へ浮く状態まで逆送り可能になっていることを特徴とするシート材供給裁断装置。
  2. 前記弛み検出手段(8)は、シート材(W)の弛み量が高位閾レベルにあるときと低位閾レベルにあるときとの2位置検出が可能であり、前記制御手段(9)は、シート材(W)の弛み位置を弛み検出手段(8)の2位置検出範囲内に保持すべく制御する構成であることを特徴とする請求項1記載のシート材供給裁断装置。
  3. 前記シート始端検出手段(30)は、ベルト搬送手段(7)の搬送上面とシート材(W)との上下間へ差し込み可能とされた反射部材(31)と、シート材(W)の上方からこの反射部材(31)へ向けて検出波を発射し反射部材(31)からの反射波の有無又は強弱を検出するセンサ(32)とを有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシート材供給裁断装置。
JP2005122856A 2005-04-20 2005-04-20 シート材供給裁断装置 Expired - Fee Related JP4364830B2 (ja)

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