JP4360088B2 - ズームレンズ - Google Patents

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JP4360088B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はズームレンズに関し、特にレンズ系を構成する一部のレンズ群を光軸に対して垂直な方向に移動することによって像を移動させることが可能なズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一眼レフレックス方式のカメラには、撮影レンズとして被写体により近づいた撮影が可能なズームレンズが用いられている。
近年特に、高変倍比のズームレンズが主流となっている。しかし、ズームレンズの高変倍比化に伴い、手ブレ等に起因する像ブレが発生しやすくなるという問題があった。
また近年、より幅広い層のユーザーにとって扱い易いズームレンズを実現するため、カメラ本体の軽量化に併せてレンズ系の軽量化が図られてきた。しかし、これらの軽量化によって手ブレに起因する像ブレが発生しやすいという問題があった。
【0003】
像ブレによる撮影の失敗を防ぐためのズームレンズとして、検出系と像シフト光学系と駆動系とを組み合わせて構成される、いわゆる防振ズームレンズが知られている(例えば、特許文献1参照。)。検出系は、手ブレ等に起因するカメラ本体のブレを検出するものである。像シフト光学系は、ズームレンズを構成するレンズ群のうちの一部のレンズ群(シフトレンズ群)を、光軸に対して垂直な方向に駆動系によって移動させる。これにより像全体をシフトさせることができる。また、この像シフト光学系は像全体をシフトさせても性能劣化が少ない。以上の構成の下、検出系の検出結果に基づき、駆動系によってシフトレンズ群を光軸に対して垂直な方向に移動させる。これによって、像全体をシフトさせて手ブレ等に起因する像ブレを補正する。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−282413号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示のズームレンズは、レンズ位置状態の変化に合わせて、シフトレンズ群が光軸方向に移動する構成であった。このため、シフトレンズ群と該シフトレンズ群を駆動する駆動系とが一体的に光軸方向に移動していた。従って、鏡筒構造の簡略化を十分に図ることができず、小型化や軽量化を十分に図ることができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、鏡筒構造の簡略化を図った、小型な高変倍比ズームレンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との5つのレンズ群と、前記第3レンズ群の近傍に配置された開口絞りとからなり、
広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が増大し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が減少するように、少なくとも前記第1レンズ群、前記第3レンズ群及び前記第5レンズ群が物体側へ移動し、前記第4レンズ群は光軸方向に固定であり、
前記第4レンズ群を光軸に対してほぼ垂直な方向に移動させることによって像が移動し、
以下の条件式(1)、(2)、(3)を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
(1) DAW/fw<0.5
(2) 1.5<|fb|/fw<2.0
(3)−0.1< 1/βBT <0.1
但し、
DAW:広角端状態における前記開口絞りから前記第4レンズ群中の最も当該開口絞りに近いレンズ面までの光軸上の距離,
fb:前記第4レンズ群の焦点距離,
fw:広角端状態における前記ズームレンズ全系の焦点距離,
βBT:望遠端状態における前記第4レンズ群の横倍率.
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によるズームレンズは、負の屈折力を有するシフトレンズ群と、当該シフトレンズ群よりも物体側に配置された正の屈折力を有する物体側レンズ群と、シフトレンズ群よりも像側に配置された負の屈折力を有する像側レンズ群との少なくとも3つのレンズ群と、シフトレンズ群よりも物体側に配置された開口絞りとを有する。
そして、広角端状態(最も焦点距離が短い)から望遠端状態(最も焦点距離が長い)までレンズ位置状態が変化する際に、物体側レンズ群及び像側レンズ群は光軸方向に可動であり、シフトレンズ群は光軸方向に固定である。また、シフトレンズ群を光軸に対して垂直な方向に移動させることによって像が移動する構成である。
【0009】
上述のように、本発明によるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、シフトレンズ群は光軸方向に固定である。これにより、シフトレンズ群を光軸に対して垂直な方向に駆動する駆動系のレイアウトが容易になる。
以上の構成の下、以下の条件(A),(B),(C)を満足することによって、像をシフトさせた際に発生する諸収差の変動を極力抑えた、高変倍比で小型のズームレンズを達成することができる。
【0010】
条件(A):広角端状態における開口絞りからシフトレンズ群までの距離を適切に設定すること。
条件(B):シフトレンズ群が負の屈折力となるような焦点距離を有すること。
条件(C):シフトレンズ群の物体側と像側のそれぞれに空気間隔を隔てて、正の屈折力を有するレンズ群を少なくとも1つ配置すること。
【0011】
条件(A)は、シフトレンズ群を光軸に対して垂直な方向に移動させた際に発生する偏心コマ収差を良好に補正するための条件である。シフトレンズ群と開口絞りとの距離が離れると、該シフトレンズ群を通過する軸外光束が光軸から離れてしまう。特に、広角端状態においてはレンズ系に入射する軸外光束の角度が大きい。このため、シフトレンズ群に入射する軸外光束が光軸から大きく離れてしまう。従って、シフトレンズ群を光軸に垂直な方向に移動させた際に画面周辺部で発生する偏心コマ収差を良好に補正することが困難となる。
【0012】
条件(B)は、シフトレンズ群のレンズ径を小さく抑えるための条件である。光束が開口絞りの近くに配置されるレンズ群を通過する際に、該レンズ群が正レンズ群であるよりも負レンズ群であるほうが光束はより細い状態で通過する。このため、開口絞りの近くに負レンズ群を配置すればレンズ径を小さくすることができる。
よって、シフトレンズ群のレンズ径が小さいほど、駆動系の大きさを小さくすることができる。これにより、レンズ鏡筒を細くすることができ、その結果小型でユーザーが扱い易いレンズを実現することができる。
【0013】
条件(C)は、所定の変倍比を得つつ、レンズ位置状態に関わらず高い光学性能を得るための条件である。本発明によるズームレンズは、シフトレンズ群の横倍率の逆数を0に近づけている。つまり、シフトレンズ群を射出する軸上光束が平行に近い状態になるように構成している。また、シフトレンズ群の物体側に正レンズ群を配置している。この物体側の正レンズ群は、レンズ位置状態が変化する際に光軸方向に移動することによって変倍作用を担っている。さらに、シフトレンズ群の像側に正レンズ群を配置している。この像側の正レンズ群は、レンズ位置状態が変化する際に光軸方向に移動する。これによって、レンズ位置状態が変化する際に発生する軸外収差の変動を良好に補正することができる。
【0014】
以下、各条件式について説明する。
上記条件式(1)は、広角端状態における開口絞りとシフトレンズ群との間隔を規定するものである。本発明では、条件(A)に関して述べたように、広角端状態における開口絞りとシフトレンズ群との間隔を適切に設定することが肝要であり、その具体的な数値範囲を条件式(1)によって限定している。
条件式(1)の上限値を上回ると、広角端状態においてシフトレンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れる。このため、像シフト時に画面周辺部で発生する偏心コマ収差を良好に補正することが困難となってしまう。
尚、開口絞りと第3レンズ群及びシフトレンズ群との物理的スペースも必要であるため、条件式(1)の下限値を0.4とすることが望ましい。
【0015】
上記条件式(2)は、シフトレンズ群の屈折力を規定するものである。本発明では、条件(B)に関して述べたように、シフトレンズ群が負の屈折力を有するような焦点距離を適切に設定することが肝要であり、その具体的な数値範囲を条件式(2)によって限定している。
条件式(2)の上限値を上回ると、シフトレンズ群よりも物体側に配置されるレンズ群の屈折力が弱まり、シフトレンズ群を通過する軸外光束が太くなる。このため、レンズ径の小型化を十分に図ることが困難になってしまう。逆に条件式(2)の下限値を下回ると、シフトレンズ群で単独に発生する諸収差を良好に補正することが困難になってしまう。
【0016】
上記条件式(3)は、シフトレンズ群の横倍率を規定するものである。本発明では、条件(C)に関して述べたように、シフトレンズ群の横倍率を適切に設定することが肝要であり、その具体的な数値範囲を条件式(3)によって限定している。
条件式(3)の上限値を上回ると、広角端状態におけるシフトレンズ群の像側に配置される正レンズ群を通過する軸外光束が光軸から離れる。このため、画面周辺部で発生するコマ収差を良好に補正することができなくなってしまう。逆に条件式(3)の下限値を下回ると、シフトレンズ群を射出する光束が大きく発散する。従って、シフトレンズ群の像側に配置される正レンズ群を通過する軸上光束が太くなる。このため、軸上収差を十分に補正することができなくなってしまう。
【0017】
ここで、条件式(3)はシフトレンズ群が光軸上に位置するときに発生する諸収差を良好に補正するための条件式である。しかし、この条件式(3)は像シフト時に発生する諸収差の変動を良好に補正する上でも重要である。
シフトレンズ群に入射する光束、又はシフトレンズ群を射出する光束が収斂光や発散光である場合にシフトレンズ群を光軸に対して垂直な方向に移動させると、レンズ周縁部を通過する軸外光束は、収束又は発散の度合いが高いほど屈折作用が大きく変化してしまう。このため、シフトレンズ群に入射する光束、又はシフトレンズ群を射出する光束の何れか一方を平行光とすることが好ましい。
【0018】
本発明によるズームレンズでは、シフトレンズ群から射出する光束が平行光に近づくように構成している。これにより、像シフト時に発生する性能劣化を極力抑えている。
さらに好ましくは、広角端状態におけるシフトレンズ群の横倍率をβBWとするとき、横倍率の逆数1/βBWが上限値0.25,下限値0を満足することが望ましい。これにより、像シフト時にもレンズ位置状態に関わらずより高い光学性能を有するズームレンズを実現することができる。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、シフトレンズ群を開口絞り側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズと開口絞り側に凹面を向けた負レンズとの接合レンズで構成し、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.3<│fb│/(│RB1│+│RB2│)<0.4
但し、
fb :シフトレンズ群の焦点距離,
RB1:シフトレンズ群中の最も物体側のレンズ面の曲率半径,
RB2:シフトレンズ群中の最も像側のレンズ面の曲率半径.
【0020】
シフトレンズ群を上記構成とすることによって、レンズ要素を減らし、ズームレンズの軽量化を図ることができる。シフトレンズ群が軽量であるほど駆動系の駆動力を減らすことが可能である。また、レンズ要素を減らすほど製造時に発生する製造誤差要因を減らすことができ、安定した光学品質を得ることができる。
【0021】
本発明によるズームレンズは、条件式(4)を満足することによって、像シフト時に発生する諸収差の変動を抑えることができる。条件式(4)は、シフトレンズ群中の最も物体側のレンズ面の曲率半径とシフトレンズ群中の最も像側のレンズ面の曲率半径とを規定するものである。特に、シフトレンズ群の最も物体側及び最も像側のレンズ面の曲率をできるだけ小さくすることによって、像シフト時に発生する諸収差の変動をさらに抑えることができる。
条件式(4)の上限値を上回ると、シフトレンズ群の最も物体側及び最も像側のレンズ面がともに大きい曲率となる。このため、像シフト時に発生する諸収差の変動、特に、広角端状態において画面周辺部で発生する偏心コマ収差が大きくなってしまう。逆に条件式(4)の下限値を下回ると、シフトレンズ群の接合面の曲率が大きくなる。これによって、望遠端状態において高次の球面収差が発生する。このため、像シフト時に画面中心部で発生する偏心コマ収差を良好に補正することが困難になってしまう。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)2<fc/fw<3
但し、
fc :像側レンズ群の焦点距離,
fw :広角端状態におけるズームレンズ全系の焦点距離.
【0023】
本発明によるズームレンズは、条件式(5)を満足することによって、特に広角端状態において画面周縁部で発生する軸外収差をより良く補正することができる。条件式(5)は、像側レンズ群の焦点距離を規定するものである。
条件式(5)の上限値を上回ると、レンズ全長が大きくなりすぎてしまう。
逆に、条件式(5)の下限値を下回ると、広角端状態において像側レンズ群を通過する軸外光束が光軸から大きく離れる。このため、広角端状態において画面周縁部で発生するコマ収差を良好に補正することができなくなってしまう。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、像側レンズ群の最も物体側に正レンズを配置し、該正レンズを非球面レンズとすることが望ましい。
本発明によるズームレンズは、広角端状態において像側レンズ群に入射する軸外光束が光軸から離れる。このことは軸上収差と軸外収差とを独立に補正するのに好適である。
従って、本発明によるズームレンズを以上のように構成することで、広角端状態における画面周縁部で発生するコマ収差をより良く補正することができる。
【0025】
本発明の好ましい態様によれば、以下のようにズームレンズを構成することが望ましい。
本発明によるズームレンズを、物体側より順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群(物体側レンズ群)と、
負の屈折力を有する第4レンズ群(シフトレンズ群)と、
正の屈折力を有する第5レンズ群(像側レンズ群)との5つのレンズ群と、
第3レンズ群の近傍に配置された開口絞りとからなり、
広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、
第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が増大し、
第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が減少し、
第3レンズ群と第4レンズ群との間隔が増大し、
第4レンズ群と第5レンズ群との間隔が減少するように、
少なくとも第1、第3、及び第5レンズ群が物体側へ移動し、第4レンズ群は光軸方向に固定であり、
第4レンズ群を光軸に対してほぼ垂直な方向に移動させることによって像がシフトする構成とする。
【0026】
尚、第3,第4,及び第5レンズ群はそれぞれ、前述の物体側レンズ群,シフトレンズ群,及び像側レンズ群である。
本発明によるズームレンズを以上のように構成することにで、像をシフトさせた際に発生する諸収差の変動を極力抑えた、高変倍比で小型のズームレンズを達成することができる。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、広角端状態において第2レンズ群を通過する軸外光束を光軸から離すため、第2レンズ群中の最も物体側のレンズ面を非球面とすることが望ましい。これにより、画角によるコマ収差の変動を極めて良好に補正することができる。
尚、諸収差の変動を抑える方法として、近距離合焦時に第2レンズ群を光軸方向に移動させることが適する。
【0028】
また、本発明によるズームレンズ(変倍光学系)は、焦点距離状態が連続的に存在しない、いわゆるバリフォーカルズームレンズに適用することもできる。
また、本発明によるズームレンズは、第4レンズ群だけでなく、さらに第2レンズ群をレンズ位置状態に関らず光軸方向に固定である構成にすることもできる。本発明によるズームレンズを以上のように構成することで、鏡筒構造のさらなる簡略化を図ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて本発明の各実施例に係るズームレンズについて説明する。
図1は、本発明の各実施例に係るズームレンズの屈折力配分を示す図である。本発明の各実施例に係るズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群(物体側レンズ群)G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群(シフトレンズ群)G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群(像側レンズ群)G5との5つのレンズ群と、第3レンズ群G3の近傍に配置された開口絞りASとから構成される。
そして、広角端状態(W)から望遠端状態(T)までレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、少なくとも第1、第3、及び第5レンズ群G1,G3,G5が物体側へ移動する。ここで、各実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第2レンズ群G2も物体側へ移動する構成としている。尚、第3,第4,及び第5レンズ群G3,G4,G5はそれぞれ、上述の物体側レンズ群,シフトレンズ群,及び像側レンズ群である。
【0030】
(第1実施例)
図2は、本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
本実施例に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11aと物体側に凸面を向けた正レンズL11bとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12とから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL24とから構成される。
【0031】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、像側に凹面を向けた負レンズL32aと両凸形状の正レンズL32bとの接合正レンズL32とから構成される。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL41aと両凹形状の負レンズL41bとの接合負レンズL41で構成される。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52aと物体側に凹面を向けた負レンズL52bとの接合正レンズL52とから構成される。
【0032】
本実施例において、開口絞りASは第3レンズ群G3中に配置される。そして、レンズ位置状態が変化する際に第3レンズ群G3と一体的に移動する。
また、第4レンズ群G4は、像をシフトさせるため、光軸に対してほぼ垂直な方向に移動する。
さらに、第2レンズ群G2中の負レンズL21は、物体側のレンズ面に非球面形状の薄いプラスチック樹脂層を備えている。
【0033】
以下の表1に、本発明の第1実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。(全体諸元)において、fは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角をそれぞれ示す。
(レンズデータ)において、面は物体側からのレンズ面の順序、間隔はレンズ面の間隔をそれぞれ示す。また、屈折率はd線(λ=587.6nm)に対する値である。さらに、曲率半径0.0000は平面を示し、Bfはバックフォーカスを示す。
非球面の形状は、yを光軸からの高さ、xをサグ量、cを基準曲率(近軸曲率)、κを円錐定数、C4,C6,C8,C10を各々4,6,8,10次の非球面係数として、以下の非球面式で表される。
【0034】
【数1】
x=cy2/{1+(1−κc221/2
+C44+C66+C88+C1010
【0035】
尚、以下の全実施例の諸元値において、本実施例と同様の符号を用いる。
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径、間隔、その他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかし光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0036】
【表1】
(全体諸元)
f 24.72 〜 69.00 〜 116.77
FNO 3.73 〜 5.09 〜 5.54
2ω 85.21 〜 33.82 〜 20.37°
Figure 0004360088
Figure 0004360088
(非球面データ)
第8レンズ面と第16レンズ面は非球面であり、それぞれの非球面係数を以下に示す。
Figure 0004360088
(可変間隔データ)
レンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下に示す。尚、βBは第4レンズ群の横倍率を表す。
Figure 0004360088
(条件式対応値)
fb = -45.356
fc = +59.625
βBT= -19.8345
(1)DAW/fw= 0.440
(2)│fb│/fw= 1.835
(3)1/βBT= -0.050
(4)│fb│/(│RB1│+│RB2│)= 0.329
(5)fc/fw= 2.412
【0037】
図3(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【0038】
図3の各収差図において、FNOはFナンバー、Aは半画角、Yは像高をそれぞれ示す。
球面収差図において、実線は球面収差、点線はサイン・コンディションをそれぞれ示す。
非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。
コマ収差図は、像高Y=0.00,10.80,15.12,18.34,21.60でのコマ収差をそれぞれ表している。
【0039】
図4(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
図4のコマ収差図は、像高Y=15.12,0.00,−15.12でのコマ収差をそれぞれ表している。また、Aは半画角を示す。
尚、以下に示す各実施例の諸収差図において、本実施例と同様の符号を用いる。
【0040】
各諸収差図より本実施例に係るズームレンズは、諸収差を良好に補正し、優れた結像性能を有することがわかる。
【0041】
(第2実施例)
図5は、本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
本実施例に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11aと物体側に凸面を向けた正レンズL11bとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12とから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL24とから構成される。
【0042】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、像側に凹面を向けた負レンズL32aと両凸形状の正レンズL32bとの接合正レンズL32とから構成される。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL41aと両凹形状の負レンズL41bとの接合負レンズL41で構成される。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52aと物体側に凹面を向けた負レンズL52bとの接合正レンズL52とから構成される。
【0043】
本実施例において、開口絞りASは第3レンズ群G3中に配置される。そして、レンズ位置状態が変化する際に第3レンズ群G3と一体的に移動する。
また、第4レンズ群G4は、像をシフトさせるため、光軸に対してほぼ垂直な方向に移動する。
さらに、第2レンズ群G2中の負レンズL21は、物体側のレンズ面に非球面形状の薄いプラスチック樹脂層を備えている。
以下の表2に、本発明の第2実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
【0044】
【表2】
(全体諸元)
f 24.72 〜 69.00 〜 116.77
FNO 3.70 〜 4.99 〜 5.46
2ω 85.35 〜 33.82 〜 20.36°
Figure 0004360088
Figure 0004360088
(非球面データ)
第8レンズ面と第16レンズ面は非球面であり、それぞれの非球面係数を以下に示す。
Figure 0004360088
(可変間隔データ)
レンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下に示す。尚、βBは第4レンズ群の横倍率を表す。
Figure 0004360088
(条件式対応値)
fb = -44.284
fc = +66.535
βBT= +20.2685
(1)DAW/fw= 0.440
(2)│fb│/fw= 1.791
(3)1/βBT= 0.049
(4)│fb│/(│RB1│+│RB2│)= 0.323
(5)fc/fw= 2.692
【0045】
図6(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
図7(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
【0046】
各諸収差図より本実施例に係るズームレンズは、諸収差を良好に補正し、優れた結像性能を有することがわかる。
【0047】
(第3実施例)
図8は、本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
本実施例に係るズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11aと物体側に凸面を向けた正レンズL11bとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12とから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL24とから構成される。
【0048】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、像側に凹面を向けた負レンズL32aと両凸形状の正レンズL32bとの接合正レンズL32とから構成される。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL41aと両凹形状の負レンズL41bとの接合負レンズL41で構成される。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52aと物体側に凹面を向けた負レンズL52bとの接合正レンズL52とから構成される。
【0049】
本実施例において、開口絞りASは第3レンズ群G3中に配置される。そして、レンズ位置状態が変化する際に第3レンズ群G3と一体的に移動する。
また、第4レンズ群G4は、像をシフトさせるため、光軸に対してほぼ垂直な方向に移動する。
さらに、第2レンズ群G2中の負レンズL21は、物体側のレンズ面に非球面形状の薄いプラスチック樹脂層を備えている。
以下の表3に、本発明の第3実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
【0050】
【表3】
(全体諸元)
f 24.72 〜 69.00 〜 116.77
FNO 3.70 〜 4.93 〜 5.34
2ω 85.38 〜 33.82 〜 20.36°
Figure 0004360088
Figure 0004360088
(非球面データ)
第8レンズ面と第16レンズ面は非球面であり、それぞれの非球面係数を以下に示す。
Figure 0004360088
(可変間隔データ)
レンズ位置状態が変化する際の可変間隔を以下に示す。尚、βBは第4レンズ群の横倍率を表す。
Figure 0004360088
(条件式対応値)
fb = -43.639
fc = +67.719
βBT= +14.6376
(1)DAW/fw= 0.440
(2)│fb│/fw= 1.765
(3)1/βBT= 0.068
(4)│fb│/(│RB1│+│RB2│)= 0.322
(5)fc/fw= 2.739
【0051】
図9(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
図10(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
【0052】
各諸収差図より本実施例に係るズームレンズは、諸収差を良好に補正し、優れた結像性能を有することがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、鏡筒構造の簡略化を図った、小型な高変倍比ズームレンズを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例に係るズームレンズの屈折力配分を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図3】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【図4】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
【図5】本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図6】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【図7】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
【図8】本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図9】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時の諸収差図を示す。
【図10】(a),(b),(c)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(f=24.72)、中間焦点距離状態(f=69.00)、望遠端状態(f=116.77)における無限遠合焦時に第4レンズ群を光軸に対して垂直な方向に0.2だけ移動させたときのコマ収差図を示す。
【符号の説明】
G1:第1レンズ群
G2:第2レンズ群
G3:第3レンズ群(物体側レンズ群)
G4:第4レンズ群(シフトレンズ群)
G5:第5レンズ群(像側レンズ群)
AS:開口絞り
I :像面

Claims (3)

  1. 物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との5つのレンズ群と、前記第3レンズ群の近傍に配置された開口絞りとからなり、
    広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が増大し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が減少するように、少なくとも前記第1レンズ群、前記第3レンズ群及び前記第5レンズ群が物体側へ移動し、前記第4レンズ群は光軸方向に固定であり、
    前記第4レンズ群を光軸に対してほぼ垂直な方向に移動させることによって像が移動し、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    DAW/fw<0.5
    1.5<|fb|/fw<2.0
    −0.1< 1/βBT <0.1
    但し、
    DAW:広角端状態における前記開口絞りから前記第4レンズ群中の最も当該開口絞りに近いレンズ面までの光軸上の距離,
    fb:前記第4レンズ群の焦点距離,
    fw:広角端状態における前記ズームレンズ全系の焦点距離,
    βBT:望遠端状態における前記第4レンズ群の横倍率.
  2. 請求項1に記載のズームレンズにおいて、
    前記第4レンズ群は、前記開口絞り側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズと前記開口絞り側に凹面を向けた負レンズとの接合レンズで構成され、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    0.3<│fb│/(│RB1│+│RB2│)<0.4
    但し、
    fb :前記第4レンズ群の焦点距離,
    RB1:前記第4レンズ群中の最も物体側のレンズ面の曲率半径,
    RB2:前記第4レンズ群中の最も像側のレンズ面の曲率半径.
  3. 請求項1又は2に記載のズームレンズにおいて、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    2<fc/fw<3
    但し、
    fc :前記第5レンズ群の焦点距離,
    fw :広角端状態における前記ズームレンズ全系の焦点距離.
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