JPH1090600A - 変倍光学系 - Google Patents

変倍光学系

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JPH1090600A
JPH1090600A JP8241472A JP24147296A JPH1090600A JP H1090600 A JPH1090600 A JP H1090600A JP 8241472 A JP8241472 A JP 8241472A JP 24147296 A JP24147296 A JP 24147296A JP H1090600 A JPH1090600 A JP H1090600A
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JP
Japan
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lens
lens group
end state
optical system
object side
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JP8241472A
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English (en)
Inventor
Motoyuki Otake
基之 大竹
Akihiko Kohama
昭彦 小濱
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型化と低コスト化に適した変倍光学系を提供
する。 【解決手段】 物体側より順に、正屈折力を有する第1
レンズ群G1、正屈折力を有する第2レンズ群G2およ
び負屈折力を有する第3レンズ群G3により構成され、
広角端状態より望遠端状態までレンズ位置状態が変化す
る際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔
が増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間
隔が減少するように、すべてのレンズ群が物体側へ移動
し、前記第2レンズ群は物体側へ凹面を向けた負レンズ
成分と像側へ凸面を向けた正レンズ成分だけで構成さ
れ、第1レンズ群の好適な焦点距離の範囲を規定したも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型の変倍光学系
に関し、特に広角端状態において65度を超える画角を
包括する変倍光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】最近のレンズシャッター式カメラ用の撮
影レンズにおいては、ズームレンズが一般的となり、変
倍比が2倍を超える高変倍ズームレンズを備えたカメラ
が主流となりつつある。従来より、正レンズ群と負レン
ズ群とで構成される2群ズームレンズが知られている。
この2群ズームレンズでは、変倍比を高めようとする
と、レンズ位置状態の変化に伴う軸外収差の変動を良好
に補正することが難しくなる問題や、あるいは、広角端
状態(焦点距離が最も短い状態)より望遠端状態(焦点
距離が最も長い状態)までレンズ位置状態が変化する際
の移動量が大きくなって、鏡筒構造の複雑化を招く等の
問題が起こってしまっていた。
【0003】また、多群ズームレンズは、3つ以上の可
動レンズ群を有しており、広角端状態より望遠端状態ま
で各レンズ群の移動する移動軌跡(ズーム軌道)に選択
の自由度が生じるため、収差補正上の自由度が増加し、
また、各レンズ群のレンズ位置状態の変化に伴う横倍率
の変化が小さくなるため、レンズ位置状態の変化に伴う
軸外収差の変動を良好に補正することが可能となり、高
変倍化を達成し易い。
【0004】しかしながら、従来の多群ズームレンズで
は、ズームレンズを構成する各レンズ群ごとに収差補正
を施す必要があるため、各レンズ群において数枚以上の
レンズを必要とし、従って、可動レンズ群の増加に従
い、ズームレンズを構成するレンズ枚数が増えてしま
う。レンズ枚数が増えるほど、安価に製造ができないだ
けでなく、カメラ本体内に格納した際の厚みが大きくな
り、カメラ本体の小型化が困難となってしまう。
【0005】従来において、比較的レンズ枚数が少な
く、且つ小型化に適したズームレンズとして、正正負3
群タイプが知られている。このような正正負3群タイプ
のズームレンズとしては、例えば、特開平6−6709
3号公報や、特開平6−230284号公報、あるいは
特開平8−101341号公報等に開示されている。さ
て、レンズシャッター式カメラは携帯性の点で一眼レフ
カメラに比べて優れ、また小型・軽量であるほど携帯性
に優れている。さらにレンズシャッター式カメラは、撮
影レンズがカメラ本体と一体であるため、撮影レンズの
小型化を図ることがカメラ本体の小型化・軽量化につな
がる。
【0006】また、レンズシャッター式カメラ用の撮影
レンズは、未使用時の携帯性を高めるために、撮影レン
ズをカメラ本体内に格納する際に、隣合うレンズ群同士
の間隔が最小となるような状態で格納している。一般的
に、ズームレンズにおいては、広角端状態において包括
する画角が狭い方が、容易に高変倍化を実現できるが、
このときには望遠端状態におけるレンズ全長が画面対角
長に対して大きくなり、カメラの小型化を図ることがで
きない。従って、小型で且つ変倍比が高い変倍光学系を
実現するには、より広角域を包括することが望まれた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平6−67093号公報、特開平6−23028
4号公報、特開平8−101341号公報に開示される
従来の正正負3群タイプのズームレンズでは、広角端状
態において軸外光束が第3レンズ群における光軸からか
なり離れた位置を通過しており、より広角域を包括しよ
うとすると、バックフォーカスが極端に短くなり、結果
的にレンズ径が非常に大きくなってしまい、レンズ系の
小型化が図れない問題点がある。
【0008】前述した通り、カメラ本体の携帯性を高め
る上で、レンズ系の小型化が肝要であり、所定の変倍比
を維持しながら、焦点距離変化の範囲を短焦点側へ移行
させる方がレンズ系の小型化に効果的であるが、従来の
正正負3群タイプでは広角域を包括できない、即ち焦点
距離変化の範囲を短焦点側へ移行できないために、レン
ズ系の小型化が不十分であった。
【0009】このように特開平6−67093号公報、
特開平6−230284号公報、特開平8−10134
1号公報の何れもが、少ないレンズ構成枚数で高変倍化
を達成しているが、広角化が十分でなく、所定の変倍比
を維持しながら小型化と高変倍化との両立化が困難だっ
た。本発明の目的は、以上の問題点を解決し、小型化と
低コスト化に適した変倍光学系を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる変倍光学
系は、物体側より順に、正屈折力を有する第1レンズ
群、正屈折力を有する第2レンズ群および負屈折力を有
する第3レンズ群により構成され、広角端状態より望遠
端状態までレンズ位置状態が変化する際に、前記第1レ
ンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2
レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少するよう
に、すべてのレンズ群が物体側へ移動し、前記第2レン
ズ群は物体側へ凹面を向けた負レンズ成分と像側へ凸面
を向けた正レンズ成分だけで構成され、以下の条件式
(1)を満足することにより目的の達成を図るものであ
る。
【0011】
【数2】
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明にかかる変倍光学系
の構成について説明する。本発明にかかる変倍光学系
は、例えば図2に示す如く、物体側より順に、正屈折力
の第1レンズ群G1、正屈折力の第2レンズ群G2およ
び負屈折力の第3レンズ群G3を有し、広角端状態より
望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第1レ
ンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増大し、第2
レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少するよ
うに、3つのレンズ群すべてが物体側へ移動するもので
ある。
【0013】本発明において、開口絞りSは第1レンズ
群と第3レンズ群との間に配置されることが好ましく、
レンズ位置状態が変化する際に、第2レンズ群と一体的
か、もしくは独立に移動する。次に、各レンズ群の機能
について説明する。負屈折力の第3レンズ群は、第1レ
ンズ群と第2レンズ群とにより形成される被写体像を拡
大し、広角端状態から望遠端状態へとレンズ位置状態が
変化するに従い、拡大率(つまり横倍率)が大きくな
る。
【0014】広角端状態では、バックフォーカスを短く
することにより軸外光束の第3レンズ群を通過する位置
が光軸から離れて、軸上収差と軸外収差とを独立に補正
でき、バックフォーカスが大きくなる(つまり広角端状
態から望遠端状態へとレンズ位置状態が変化する)に従
い、軸外光束の第3レンズ群を通過する位置が光軸に近
づき、従って、変倍に伴う軸外収差の変動を容易に抑え
ることができる。
【0015】但し、広角端状態においてバックフォーカ
スを極端に短くしすぎると、第3レンズ群の最も像側の
レンズ面上に付着したゴミの影がフィルム面上に写り込
む問題が生じやすくなったり、あるいは、所定の周辺光
量を確保するには、レンズ径が大きくなってしまう等の
問題も発生するため、適切なバックフォーカスとするこ
とが望ましい。
【0016】正屈折力の第2レンズ群は、開口絞りが近
くに配置されており、軸上光束と軸外光束の第2レンズ
群を通過する位置に差が少ない。従って、主に軸上収差
の補正を行っている。ここで、開口絞りを第2レンズ群
の物体側や、あるいは像側に隣接して配置した場合、開
口絞りから最も離れたレンズ面を非球面とすることが望
ましい。この第2レンズ群中の開口絞りからもっとも離
れたレンズ面を通過する軸外光束が広角端状態において
光軸から離れるため、このレンズ面を非球面とすれば、
軸上収差と軸外収差とを独立に補正でき、少ないレンズ
枚数で良好な結像性能が得られる。
【0017】また、本発明においては、広角端状態にお
いて十分なバックフォーカスを確保するために、第2レ
ンズ群を物体側に配置される負部分群(物体側へ凹面を
向けた負レンズ成分)と像側に配置される正部分群(像
側へ凸面を向けた正レンズ成分)とで構成している。さ
て、正屈折力の第1レンズ群は、物体側に配置される負
部分群と像側に配置される正部分群で構成することが好
ましい。これにより、光学系全体での屈折力配置が不対
称であるために、広角端状態において発生しがちな正の
歪曲収差を良好に補正することができる。このような構
成とすることにより、負の球面収差も良好に補正可能で
あるが、特に負部分群と正部分群とをそれぞれ1枚のレ
ンズで構成することにより、軽量化や簡易構成化が図れ
る。
【0018】本発明においては、特に開口絞りを第2レ
ンズ群の物体側に配置することが望ましい。従来技術に
挙げた特開平6−67093号公報においては、第2レ
ンズ群の像側か、あるいは第2レンズ群を構成する負部
分群と正部分群との間に開口絞りを配置しているが、こ
の特開平6−67093号公報のものでは、広角端状態
において発生する軸外収差を良好に補正するために、第
2レンズ群のもっとも物体側に配置される負レンズが物
体側に凸面を向けたメニスカス形状かあるいは、物体側
に曲率の緩い凹面を向けた両凹形状としており、このよ
うな形状では、より広角化を図るための発散作用が弱
く、十分なバックフォーカスが得られない。
【0019】従って、開口絞りを第2レンズ群の物体側
に配置すれば、第2レンズ群のもっとも物体側に配置さ
れる負レンズが物体側に強い凹面を向けた際にも軸外収
差の発生が抑えられ、広角端状態においても十分なバッ
クフォーカスが得られる。本発明において、広角端状態
より望遠端状態まで開口絞りを第2レンズ群とは独立の
移動量で駆動することが好ましい。この場合、レンズ位
置状態により軸外光束の第2レンズ群を通過する高さが
変化するようになって、レンズ位置状態の変化に伴う軸
外収差の変動を良好に補正できる。
【0020】特に、広角端状態では開口絞りが第2レン
ズ群の近傍に配置され、望遠端状態へレンズ位置状態が
変化するに従い、開口絞りが第2レンズ群から離れるよ
うに移動させることが望ましい。これは、広角端状態に
おいては画角の大きな光束が入射するため、開口絞りを
第2レンズ群から離すと、第2レンズ群を通過する軸外
光束が極端に光軸から離れてしまい、少ないレンズ枚数
で良好な収差補正を行うことが困難になるからである。
【0021】以下、各条件式について説明する。条件式
(1)は、第1レンズ群の焦点距離を規定する条件式で
ある。条件式(1)の上限値を上回った場合、第1レン
ズ群による収斂作用が弱まり、望遠端におけるレンズ全
長の短縮化が困難となってしまう。逆に、条件式(1)
の下限値を下回った場合、第1レンズ群による収斂作用
が強まり、第1レンズ群を通過する軸外光束が望遠端状
態において光軸から離れて、第1レンズ群を構成する各
レンズの周縁部を光束が通過するため、望遠端状態にお
いて軸外光束に対するコマ収差の発生を抑えられない。
【0022】なお、より小型化を図るには、条件式
(1)の上限値を1.9とすることが望ましい。ところ
で、レンズ全長の短縮化はカメラ本体の小型化に直接的
に結びつくが、小型化の目安として望遠比が知られてい
る。望遠比Bは、焦点距離をf、レンズ全長をTLとす
るとき、 B=TL/f で定義される量であり、1を下回るほど小型であること
を示す。
【0023】本発明において、望遠端状態において高性
能を得て且つ小型化を図るためには、条件式(1)を満
足し、且つ以下の条件式(5)を満足することが好まし
い。 (5)0.8<TLt/ft<1 また、広角端状態においても良好な結像性能を得るに
は、以下の条件式(6)も条件式(1)および(5)と
同時に満足することが望ましい。 (6)TLw/fw>1.2 条件式(5)は、望遠端状態における望遠比を規定する
条件式である。
【0024】条件式(5)の上限値を上回って、望遠比
が大きくなると、レンズ系の大型化を生じてしまい、本
発明の主旨に反する。逆に、条件式(5)の下限値を下
回った場合、望遠端状態における屈折力配置が極端に不
対称となるので、正の歪曲収差を良好に補正できない。
条件式(6)は、広角端状態における望遠比を規定する
条件式である。
【0025】広角端状態では、光学系に入射する軸外光
束の入射角が大きいため、軸外光束が光軸から離れやす
く、従って、軸外収差が発生しやすい。このため、レン
ズ径の小型化と高性能化を達成するには、軸外光束を光
軸に近づけることが肝要であり、屈折力の不対称性を緩
和することが重要である。広角端状態においては、正屈
折力を有する第1レンズ群と第2レンズ群とが一体化し
ており、光学系全体の屈折力配置は正負の配置となる。
屈折力の不対称性を緩和するには、光学系の物体寄りに
負屈折力を有するレンズ群を配置することにより、屈折
力配置を負正負の対称型に近づけることが望ましく、こ
のときにはレンズ全長が焦点距離に対して大きくなる。
【0026】従って、条件式(6)の下限値を下回った
場合、広角端状態において正の歪曲収差を良好に補正で
きず、高性能化が図れない。本発明においては、レンズ
径の小型化と望遠端におけるレンズ全長の短縮化を図る
ために、以下の条件式(2)を満足することが望まし
い。 (2)0.6<(TLt−TLw)/(ft−fw)<
0.9 条件式(2)は、レンズ位置状態が変化した際の焦点距
離の変化に対するレンズ全長の変化を規定する条件式で
ある。
【0027】条件式(2)の上限値を上回った場合、
広角端状態におけるバックフォーカスの短縮化か、ある
いは、望遠端状態におけるレンズ全長の大型化を引き
起こす。の場合、所定の周辺光量を維持するにはレン
ズ径の大型化を引き起こすため、何れの場合もレンズ系
の大型化につながり、本願の意図に反する。逆に、下限
値を下回った場合、レンズ系の小型化が図れるが、各レ
ンズ群の屈折力が強まるので製造時にレンズ群の偏心に
よる性能劣化が著しく、高い加工精度が必要となるので
低コスト化に反する。
【0028】本発明においては、第3レンズ群のレンズ
径の小型化を図るために、以下の条件式(3)を満足す
ることが望ましい。 (3)β3w>1.40 条件式(3)は、広角端状態における第3レンズ群の使
用倍率を規定する条件式である。
【0029】条件式(3)の下限値を下回った場合、広
角端状態におけるバックフォーカスが短くなってしま
い、第3レンズ群を通過する軸外光束が光軸から離れて
レンズ径が大型化してしまう。なお、広角端状態におけ
る横倍率β3wが大きくなると、望遠端状態における横倍
率β3tもそれに従い大きくなる傾向がある。望遠端状態
における第3レンズ群の像面移動係数
【0030】
【数3】
【0031】は第3レンズ群の横倍率の2乗に関係して
増大するため、所定の変倍比を維持しながら広角端状態
における第3レンズ群の横倍率を高めると、極端におけ
る第3レンズ群の像面移動係数が極端に大きくなり、停
止精度による像面位置の変動(所定の像面位置に対す
る)が生じて所定の光学性能が得られない問題が生じて
しまう。
【0032】以上のことから、本発明においては、所定
の光学性能を得るには条件式(3)の上限値を1.6と
することが望ましい。ところで、広角端状態から望遠端
状態までレンズ位置状態が変化する際に、光学系を構成
する各レンズ群のうち、最も物体側に配置される第1レ
ンズ群より像側に配置されるレンズ群の横倍率が変化す
ることが知られており、横倍率の変化量が大きいほどレ
ンズ位置状態の変化に伴って発生する諸収差の変動が大
きくなる傾向にある。
【0033】従って、少ないレンズ群で高い変倍比を達
成するには、レンズ位置状態の変化に従う横倍率の変化
が極端に大きいレンズ群をなくすことが肝要である。レ
ンズ位置状態の変化に従う横倍率の変化は、基本的に隣
合うレンズ群同士の間隔の変化によって生じるため、所
定の変倍比を維持しながら高性能化が実現するために
は、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。 (4)0.5<(D1T−D1W)/(D2W−D2T)<2 条件式(4)は、第1レンズ群と第2レンズ群とにより
形成される第1可変間隔と第2レンズ群と第3レンズ群
とにより形成される第2可変間隔のレンズ位置状態の変
化による変化量の比を規定する条件式である。
【0034】条件式(4)の上限値を上回った場合、レ
ンズ位置状態の変化に伴う第2レンズ群の横倍率の変化
が大きくなり、第2レンズ群において発生する軸外収差
の変動を良好に補正できない。逆に、条件式(4)の下
限値を下回った場合、レンズ位置状態の変化に伴う第3
レンズ群の横倍率の変化が大きくなり、第3レンズ群に
おいて発生する軸外収差の変動を良好に補正できない。
【0035】特に、より高性能化を図るには、上限値を
1.85とし、下限値を0.75とすることが望まし
い。本発明においては、少ないレンズ枚数で光学系を構
成するために、非球面を導入することが望ましい。特
に、広角端状態における軸外収差を効果的に補正するに
は、第3レンズ群を正レンズと負レンズで構成し、正レ
ンズの物体側のレンズ面を非球面化することが好まし
く、第2レンズ群において発生する軸上収差と軸外収差
とを効果的に補正するには、第2レンズ群の開口絞りか
らもっとも離れたレンズ面を非球面化することが望まし
い。
【0036】さて、本発明における別の観点によれば、
撮影を行う際に、高変倍ズームレンズで発生しがちな手
ブレ等が原因の像ブレによる失敗を防ぐために、ブレを
検出するブレ検出系と駆動手段とをレンズ系に組み合わ
せ、レンズ系を構成するレンズ群のうち、1つのレンズ
群を全体か、あるいはその一部を偏心レンズ群として偏
心させ、ブレをブレ検出系により検出し、検出されたブ
レを補正するように駆動手段により偏心レンズ群を偏心
させ像をシフトさせて、像ブレを補正することで防振光
学系とすることが可能である。
【0037】
【実施例】以下に、本発明による各実施例について説明
する。図1は、本発明の各実施例による変倍光学系の屈
折力配分を示しており、物体側より順に、正屈折力の第
1レンズ群G1,正屈折力の第2レンズ群G2および負
屈折力の第3レンズ群G3の3つのレンズ群で構成さ
れ、広角端状態より望遠端状態までレンズ位置状態が変
化する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との
間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と
の間隔が減少するように、すべてのレンズ群が物体側へ
移動する。
【0038】また、各実施例において、非球面は以下の
式で表される。
【0039】
【数4】
【0040】[第1実施例]図2は、本発明の第1実施
例によるレンズ構成図を示しており、第1レンズ群G1
は物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL1
1、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL
12で構成され、第2レンズ群G2は物体側へ凹面を向
けたメニスカス形状の負レンズL21と両凸レンズL2
2で構成され、第3レンズ群G3は像側へ凸面を向けた
メニスカス形状の正レンズL31と物体側に凹面を向け
たメニスカス形状の負レンズL32で構成される。開口
絞りSは負レンズL21の物体側に配置され、レンズ位
置状態が変化する際に、第2レンズ群G2と一体的に移
動する。
【0041】第1実施例においては、第2レンズ群G2
を光軸方向に移動させることにより、近距離合焦が行え
る。以下の表1〜5に、本発明における第1実施例の諸
元の値を掲げる。実施例の諸元表中のfは焦点距離、F
NOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd線(λ
=587.6nm)に対する値である。
【0042】
【表1】 第9面と第10面は非球面であり、非球面係数は以下に
示す通りである。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】 [可変間隔表] f 30.9009 57.0144 78.1125 D4 2.8545 9.3372 12.7996 D9 9.8589 4.0023 1.8750 Bf 7.9227 27.4954 42.0802
【0045】
【表4】 [撮影倍率−1/30倍時の第2レンズ群G2の移動量
δ2] f 30.9009 57.0144 78.1125 D0 929.3189 1704.9695 2333.0302 δ2 0.5098 0.3329 0.2706 (なお、物体側への移動量を正とする)
【0046】
【表5】
【0047】図3乃至図8は本発明の第1実施例の諸収
差図を示し、図3乃至図5はそれぞれ広角端、中間焦点
距離状態、望遠端での無限遠合焦状態における諸収差図
を表し、図6乃至図8はそれぞれ広角端、中間焦点距離
状態、望遠端での撮影倍率−1/30倍状態における諸
収差図を表す。図3乃至図8の各収差図において、球面
収差図中の実線は球面収差、点線はサイン・コンディシ
ョンを示し、yは像高を示し、非点収差図中の実線はサ
ジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。コマ収
差図は、像高y=0,5.4,10.8,15.12,
21.6でのコマ収差を表し、Aは入射角、Hは物体高
を表す。
【0048】各収差図から、本実施例は諸収差が良好に
補正され、優れた結像性能を有していることは明らかで
ある。 [第2実施例]図9は、本発明の第2実施例によるレン
ズ構成図を示しており、第1レンズ群G1は物体側に凸
面を向けたメニスカス形状の負レンズと物体側に凸面を
向けたメニスカス形状の正レンズとの接合正レンズL1
で構成され、第2レンズ群G2は物体側へ凹面を向けた
メニスカス形状の負レンズL21と両凸レンズL22で
構成され、第3レンズ群G3は像側へ凸面を向けたメニ
スカス形状の正レンズL31と物体側に凹面を向けたメ
ニスカス形状の負レンズL32で構成される。開口絞り
Sは負レンズL21の物体側に配置され、レンズ位置状
態が変化する際に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群
G2とは別に移動する。
【0049】この第2実施例においては、第2レンズ群
G2を光軸方向に移動させることにより、近距離合焦が
行える。以下の表6〜10に、本発明における第2実施
例の諸元の値を掲げる。実施例の諸元表中のfは焦点距
離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd
線(λ=587.6nm)に対する値である。
【0050】
【表6】 第8面と第9面は非球面であり、非球面係数は以下に示
す通りである。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】 [可変間隔表] f 32.1810 52.4033 82.4846 D3 2.1250 10.7122 17.2421 D4 2.2295 2.5000 2.5000 D8 10.2339 5.2523 1.8750 Bf 7.8722 21.7151 41.2521
【0053】
【表9】 [撮影倍率−1/30倍時の第2レンズ群G2の移動量
δ2] f 32.1810 52.4033 82.4846 D0 970.0358 1565.6369 2458.0212 δ2 0.5363 0.4040 0.3030 (なお、物体側への移動量を正とする)
【0054】
【表10】
【0055】図10乃至図15は本発明の第2実施例の
諸収差図を示し、図10乃至図12はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での無限遠合焦状態における
諸収差図を表し、図13乃至図15はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での撮影倍率−1/30倍状
態における諸収差図を表す。図10乃至図15の各収差
図において、球面収差図中の実線は球面収差、点線はサ
イン・コンディションを示し、yは像高を示し、非点収
差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像
面を示す。コマ収差図は、像高y=0,5.4,10.
8,15.12,21.6でのコマ収差を表し、Aは入
射角、Hは物体高を表す。
【0056】各収差図から、本実施例は諸収差が良好に
補正され、優れた結像性能を有していることは明らかで
ある。 [第3実施例]図16は、本発明の第3実施例によるレ
ンズ構成図を示しており、第1レンズ群G1は物体側に
凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL11、両凸形
状の正レンズL12で構成され、第2レンズ群G2は物
体側へ凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL21と
両凸形状の正レンズL22で構成され、第3レンズ群G
3は像側へ凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL3
1と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL
32で構成される。開口絞りは負レンズL21の物体側
に配置され、レンズ位置状態が変化する際に、第2レン
ズ群G2と一体的に移動する。
【0057】第3実施例においては、第2レンズ群G2
を光軸方向に移動させることにより、近距離合焦が行え
る。以下の表11〜15に、本発明における第3実施例
の諸元の値を掲げる。実施例の諸元表中のfは焦点距
離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd
線(λ=587.6nm)に対する値である。
【0058】
【表11】 第9面と第10面は非球面であり、非球面係数は以下に
示す通りである。
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】 [可変間隔表] f 30.9003 55.9441 78.7499 D4 2.2500 7.0157 10.7871 D9 10.9892 4.5518 1.8750 Bf 7.8438 28.1679 44.5921
【0061】
【表14】 [撮影倍率−1/30倍時の第2レンズ群G2の移動量
δ2] f 30.9003 55.9441 78.7499 D0 929.9937 1676.3029 2355.8007 δ2 0.5657 0.3660 0.2974 (なお、物体側への移動量を正とする)
【0062】
【表15】
【0063】図17乃至図22は本発明の第3実施例の
諸収差図を示し、図17乃至図19はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での無限遠合焦状態における
諸収差図を表し、図20乃至図22はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での撮影倍率−1/30倍状
態における諸収差図を表す。図17乃至図22の各収差
図において、球面収差図中の実線は球面収差、点線はサ
イン・コンディションを示し、yは像高を示し、非点収
差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像
面を示す。コマ収差図は、像高y=0,5.4,10.
8,15.12,21.6でのコマ収差を表し、Aは入
射角、Hは物体高を表す。
【0064】各収差図から、本実施例は諸収差が良好に
補正され、優れた結像性能を有していることは明らかで
ある。 [第4実施例]図23は、本発明の第4実施例によるレ
ンズ構成図を示しており、第1レンズ群G1は両凹形状
の負レンズL11、両凸形状の正レンズL12で構成さ
れ、第2レンズ群G2は物体側へ凹面を向けたメニスカ
ス形状の負レンズL21と像側に凸面を向けたメニスカ
ス形状の正レンズL22で構成され、第3レンズ群G3
は像側へ凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL31
と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズL3
2で構成される。開口絞りSは負レンズL21の物体側
に配置され、レンズ位置状態が変化する際に、第2レン
ズ群G2と一体的に移動する。
【0065】第4実施例においては、第2レンズ群G2
を光軸方向に移動させることにより、近距離合焦が行え
る。以下の表16〜20に、本発明における第4実施例
の諸元の値を掲げる。実施例の諸元表中のfは焦点距
離、FNOはFナンバー、2ωは画角を表し、屈折率はd
線(λ=587.6nm)に対する値である。
【0066】
【表16】 第9面と第10面は非球面であり、非球面係数は以下に
示す通りである。
【0067】
【表17】
【0068】
【表18】 [可変間隔表] f 30.9001 56.0238 78.7484 D4 1.7500 7.2672 11.0000 D9 11.5327 5.3356 2.7500 Bf 7.9525 27.3167 43.0421
【0069】
【表19】 [撮影倍率−1/30倍時の第2レンズ群G2の移動量
δ2] f 30.9001 56.0238 78.7484 D0 930.2685 1677.8917 2354.6307 δ2 0.5504 0.3660 0.2988 (なお、物体側への移動量を正とする)
【0070】
【表20】
【0071】図24乃至図29は本発明の第4実施例の
諸収差図を示し、図24乃至図26はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での無限遠合焦状態における
諸収差図を表し、図27乃至図29はそれぞれ広角端、
中間焦点距離状態、望遠端での撮影倍率−1/30倍状
態における諸収差図を表す。図24乃至図29の各収差
図において、球面収差図中の実線は球面収差、点線はサ
イン・コンディションを示し、yは像高を示し、非点収
差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像
面を示す。コマ収差図は、像高y=0,5.4,10.
8,15.12,21.6でのコマ収差を表し、Aは入
射角、Hは物体高を表す。
【0072】各収差図から、本実施例は諸収差が良好に
補正され、優れた結像性能を有していることは明らかで
ある。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、小型で且つ高変倍化が
可能な変倍光学系を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による変倍光学系の屈折力配置を示す概
念図
【図2】第1実施例の構成を示すレンズ断面図
【図3】第1実施例の広角端での無限遠合焦状態の諸収
差図
【図4】第1実施例の中間焦点距離状態での無限遠合焦
状態の諸収差図
【図5】第1実施例の望遠端での無限遠合焦状態の諸収
差図
【図6】第1実施例の広角端での撮影倍率-1/30倍の諸
収差図
【図7】第1実施例の中間焦点距離状態での撮影倍率-1
/30倍の諸収差図
【図8】第1実施例の望遠端での撮影倍率-1/30倍の諸
収差図
【図9】第2実施例の構成を示すレンズ断面図
【図10】第2実施例の広角端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図11】第2実施例の中間焦点距離状態での無限遠合
焦状態の諸収差図
【図12】第2実施例の望遠端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図13】第2実施例の広角端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【図14】第2実施例の中間焦点距離状態での撮影倍率
-1/30倍の諸収差図
【図15】第2実施例の望遠端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【図16】第3実施例の構成を示すレンズ断面図
【図17】第3実施例の広角端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図18】第3実施例の中間焦点距離状態での無限遠合
焦状態の諸収差図
【図19】第3実施例の望遠端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図20】第3実施例の広角端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【図21】第3実施例の中間焦点距離状態での撮影倍率
-1/30倍の諸収差図
【図22】第3実施例の望遠端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【図23】第4実施例の構成を示すレンズ断面図
【図24】第4実施例の広角端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図25】第4実施例の中間焦点距離状態での無限遠合
焦状態の諸収差図
【図26】第4実施例の望遠端での無限遠合焦状態の諸
収差図
【図27】第4実施例の広角端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【図28】第4実施例の中間焦点距離状態での撮影倍率
-1/30倍の諸収差図
【図29】第4実施例の望遠端での撮影倍率-1/30倍の
諸収差図
【符号の説明】
G1:第1レンズ群、 G2:第2レンズ群、 G3:第3レンズ群、

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物体側より順に、正屈折力を有する第1レ
    ンズ群、正屈折力を有する第2レンズ群および負屈折力
    を有する第3レンズ群により構成され、 広角端状態より望遠端状態までレンズ位置状態が変化す
    る際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔
    が増大し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間
    隔が減少するように、すべてのレンズ群が物体側へ移動
    して、 前記第2レンズ群は物体側へ凹面を向けた負レンズ成分
    と像側へ凸面を向けた正レンズ成分だけで構成され、 以下の条件式(1)を満足することを特徴とする変倍光
    学系。 【数1】 但し、 f1: 前記第1レンズ群の焦点距離 fw: 前記変倍光学系の広角端状態における全系での
    焦点距離 ft: 前記変倍光学系の望遠端状態における全系での
    焦点距離 である。
  2. 【請求項2】前記第2レンズ群に隣接して配置された開
    口絞りをさらに有し、 レンズ位置状態が変化する際に、前記開口絞りは前記第
    2レンズ群と一体的に移動することを特徴とする請求項
    1記載の変倍光学系。
  3. 【請求項3】前記第2レンズ群中のレンズ面のうち、前
    記開口絞りからもっとも離れて位置するレンズ面は非球
    面であることを特徴とする請求項2記載の変倍光学系。
  4. 【請求項4】前記開口絞りは、前記第1レンズ群と前記
    第2レンズ群との間に配置されることを特徴とする請求
    項2または3記載の変倍光学系。
  5. 【請求項5】前記第1レンズ群は、負レンズ成分とその
    像側に配置される正レンズ成分だけで構成されることを
    特徴とする請求項1または4記載の変倍光学系。
  6. 【請求項6】以下の条件式(2)を満足することを特徴
    とする請求項1または5記載の変倍光学系。 (2)0.6<(TLt−TLw)/(ft−fw)<
    0.9 但し、 TLt:望遠端状態におけるレンズ全長 TLw:広角端状態におけるレンズ全長 である。
  7. 【請求項7】以下の条件式(3)を満足することを特徴
    とする請求項6記載の変倍光学系。 (3)β3w>1.40 但し、 β3w: 広角端状態における前記第3レンズ群の横倍率 である
  8. 【請求項8】前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との
    間に配置される開口絞りをさらに有し、 広角端状態より望遠端状態までレンズ位置状態が変化す
    る際に、前記開口絞りは第2レンズ群とは異なる移動量
    比で移動することを特徴とする請求項1記載の変倍光学
    系。
  9. 【請求項9】以下の条件式(4)を満足することを特徴
    とする請求項1または8記載の変倍光学系。 (4)0.5<(D1T−D1W)/(D2W−D2T)<2 但し、 D1T: 望遠端状態における前記第1レンズ群のもっと
    も像側の面より前記第2レンズ群のもっとも物体側の面
    までの光軸に沿った長さ D1W: 広角端状態における前記第1レンズ群のもっと
    も像側の面より前記第2レンズ群のもっとも物体側の面
    までの光軸に沿った長さ D2T: 望遠端状態における前記第2レンズ群のもっと
    も像側の面より前記第3レンズ群のもっとも物体側の面
    までの光軸に沿った長さ D2W: 広角端状態における前記第2レンズ群のもっと
    も像側の面より前記第3レンズ群のもっとも物体側の面
    までの光軸に沿った長さ である。
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