JP4358916B2 - 紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液状内容物を充填するに適した紙容器に関する。さらに詳しくはメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミンと特定のジカルボン酸との重縮合反応で生成されるポリアミド樹脂(a)からなる層を含む樹脂層を一定の表面粗さの原紙に積層して得られる紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、原紙と樹脂層との積層体からなる紙容器は、軽量であること、使用後に回収、再利用が可能であること、焼却時の発熱量が比較的少ないことなどの利点から、果汁、アルコール飲料、油類、洗剤など液状物の容器として広く使用されている。原紙と樹脂層との積層体からなる紙容器は、積層する樹脂層の種類によって酸素、水蒸気などの気体の遮断性(以下、「ガスバリヤー性」という)、及び樹脂への吸着性が異なること等から、内容物の風味の保存性等を維持するために、種々の樹脂層を積層した紙容器が提案されている。
【0003】
これらの樹脂層の中で、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応で生成されるポリアミド樹脂(以下、「ナイロンMXD6」、又は「NMXD6」ということがある)の層は、高湿度下でもガスバリヤー性が優れ、内容物が酸化や変質しにくいという優れた特性を有していることが知られている。このためナイロンMXD6からなる樹脂層と原紙との積層体からなる紙容器は、特開平6−305086号公報などが開示されている。
【0004】
一般に、原紙に熱可塑性樹脂を押出しラミネートして得られた積層体を成形して紙容器を得る場合、原紙としては美粧性のために平滑性の優れた物が要求される場合が多く、印刷等が施される表面のみならず外観に関係ない裏面も高平滑な物が用いられてきた。しかしこのような原紙では、押出しラミネート時に溶融した熱可塑性樹脂が原紙繊維間へ十分に流れ込まないため、原紙との接着性が悪く十分な接着強度を得るために過剰に押出し温度を高くしてきた。押出し温度を高くすると熱可塑性樹脂の酸化分解等による低分子揮発成分の発生量が多くなり、味覚、臭気に悪影響を与える。
【0005】
酸化分解等を抑えるため、低温度で押出した場合でも十分な接着強度を確保するためには、熱可塑性樹脂の原紙繊維間への流れ込みを大きくする必要があり、そのために原紙の表面粗さを大きくすると、原紙上にラミネートされた熱可塑性樹脂層の表面平滑度が悪くなったり、熱可塑性樹脂層が原紙と接着せずに部分的に浮き上がったりする。このような理由で、接着強度、表面平滑度、味覚、臭気を満足するような容器が得られない。
【0006】
本発明の目的は、メタキシリレンジアミンを主成分とするジアミンと特定のジカルボン酸との重縮合反応で生成されるポリアミド樹脂(a)からなる層を含む樹脂層と原紙との積層体からなる紙容器において、熱可塑性樹脂の酸化分解等による低分子揮発成分の発生を抑えるために低温で押出しても十分な接着性が確保され、かつ、ガスバリアー性の優れた紙容器を得ることにある。
【0007】
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討をした結果、メタキシリレンジアミンを主成分とするジアミンと特定のジカルボン酸との重縮合反応で生成されるポリアミド樹脂(a)からなる層を含む樹脂層と原紙との積層体からなる紙容器において、原紙の表面粗さを特定の範囲1.0〜3.0μmに限定することにより、熱可塑性樹脂の酸化分解等による低分子揮発成分の発生を抑えるために280℃程度の低温で押出しても十分な接着性が確保できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂(a)からなる層(A層)を含む1層以上の樹脂層を、表面粗さRaが1.0〜3.0μmである原紙(B層)の面に重ねて、280℃程度の低温で押し出し加工により積層して得た紙容器に関する発明である。
【0009】
本発明において、ポリアミド(a)は、ジアミン成分がメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、ジカルボン酸成分が炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られたポリアミドである。
メタキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミンが例示できる。
【0010】
炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示できる。炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸以外に用いられるジカルボン酸としてテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。
【0011】
ポリアミド(a)について、ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%未満であると、ガス状物質、液体薬品類に対する遮断能力が低下し、物理的性質の水分依存性等が増大する等の問題が生じるため、ガスバリヤー材料としての適性が低下する。
ポリアミド(a)で使用するジカルボン酸成分が炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%未満であると、例えば芳香族ジカルボン酸が30モル%を越えると得られるポリアミドの押出成形時の流動性が低下する等の不都合を生ずる場合がある。
【0012】
ポリアミド(a)は他のポリアミド樹脂を混合したものであってもよく、混合する他のポリアミド樹脂の例としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン12などが挙げられる。さらにまた、所望によってはポリアミド以外の樹脂、例えばポリエチレン、エチレン−ビニールアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリカーボネートなどを少量混合することができる。樹脂の混合物の場合、ガスバリヤー性を過度に低下させないために、ポリアミド(a)を60重量%以上含有することが好ましい。
【0013】
本発明における樹脂層は、単層であっても、また2層以上の多層のものであってもよいが、その少なくとも1層はポリアミド(a)であることが必要である。
ポリアミド(a)からなる層に他の樹脂の層を複合した樹脂層でもよい。
また、ポリアミド(a)の層に複合する樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニールアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの樹脂の層は未延伸のものでも、1軸または2軸延伸してあるものでもよい。樹脂層の厚さは、紙容器の内容物の種類、性質にもよるが、5〜40μmが好ましい。さらに、これらの樹脂層に、遮光性の付与あるいはガスバリヤー性の一層の向上などを目的に、アルミニューム箔、スズ箔などの金属層を複合することもできる。
【0014】
本発明において、ポリアミド(a)の層(A層)は、本発明の容器を構成する積層体の任意の位置に設けることができるが、容器の状態にした際、原紙(B層)よりも内側に設けることが好ましく、さらには、シーラント層(C層)との間に設けるのが好ましい。
本発明においてのシーラント層(C層)とは積層体の接液面側に設けてあり、該積層体を容器に成形するときの熱接着に適した低密度ポリエチレン、直鎖ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン、ポリプロピレンなどの層のことをいう。シーラント層(C層)の厚みは40〜80μmが好ましく、これより薄いと接着強度が不足したり、接合部に空隙が生じたりする。これより厚いと、作業性の悪化などの不都合が生じる。
【0015】
本発明における積層体を構成する原紙(B層)は、天然繊維、合成繊維またはこれらの混合物を抄造して得られるものであれば特に制限はなく、抄造に用いられる天然繊維としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプなどの木材繊維、綿糸、サトウキビ、竹などをパルプ化した植物繊維、羊毛、絹糸などの動物性繊維等が挙げられる。
また、合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、酢酸セルロースなどが挙げられる。これらの繊維から得られた原紙の中で、原紙の機械的性質、熱的性質の面から木材パルプから得られたものが好ましく、引っ張り強度が高くなる点から針葉樹パルプが乾燥状態で全パルプの40重量%以上を占める木材パルプから抄造されたものが特に好ましい。
【0016】
また本発明において用いられる原紙は、樹脂層との接着性を向上させるために、オレフィン系、ポリエチレンイミン系、イソシアネート系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ビニル系のアンダーコート剤を原紙の抄造時に含有させるかあるいは抄造後に原紙の表面に塗布されていることが望ましい。これらのアンダーコート剤の中でポリエチレンイミン系アンダーコート剤が好ましく用いられる。
【0017】
本発明においてポリアミド(a)からなる層(A層)と積層される原紙(B層)の面は、その表面粗さRaが1.0〜3.0μmであることが必要であり、特に1.2〜2.5μmが好ましい。
なお、本発明において、原紙(B層)の表面粗さRaとはJIS B0601の「表面粗さの定義と表示」に準じた中心線平均粗さのことである。
原紙(B層)の表面粗さRaが1.0μmに満たない場合は、押出しラミネート時に溶融した熱可塑性樹脂が原紙繊維間へ十分流れ込まないため、原紙(B層)との接着性が悪くなる。十分な接着強度を得るために押出し温度を高くすると熱可塑性樹脂の酸化分解等による低分子揮発成分の発生量が多くなり、味覚、臭気に悪影響を与える。原紙の表面粗さRaが3.0μmを超える場合は、原紙(B層)上にラミネートされた熱可塑性樹脂層の表面平滑度が悪くなったり、熱可塑性樹脂層が原紙と接着せずに部分的に浮き上がったりする。
【0018】
また、本発明において適切な表面粗さRaを有する原紙(B層)を用いることにより押出し温度が低くても十分な接着性が得られるが、押出し温度を下げることにより、ネックインを低減する効果ももたらされる。
【0019】
樹脂層と原紙(B層)との積層体を得る方法としては、樹脂層を形成する樹脂を順次押出しラミネートする方法、複数の押出機ならびにフィードブロックを用いて同時に多層溶融押出しをしてラミネートする方法、あるいはサンド・ラミネート、ドライラミネート、溶融押出しラミネートを適宜組み合わせた方法などを用いる事ができる。さらに、樹脂層やシーラント層を形成する各樹脂の層を設けたり、ラミネートする工程中、あるいは事前にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理などの物理化学的処理をすることができる。
【0020】
接着性の高い樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー共重合体などが挙げられる。かくして得られたポリアミド(a)からなる層を少なくとも1層含む樹脂層と原紙との積層体から、目的容器を展開した状態に打ち抜く工程、罫線を付ける工程、必要によっては内容物と原紙の断面が接触しないように胴部の接着部分を外側に折り曲げる工程(スカイブ加工)、胴部を接着する工程、底部ならびに頭部を成形する工程など通常の容器製造工程を経て目的の紙容器を得ることができる。
【0021】
上記によって得られた本発明の紙容器は、種々の形、サイズのカートン、カップなどとして、果汁、牛乳やヨーグルトなどの乳飲料、アルコール飲料、ミネラルウォーター、サラダオイルなどの食用油、工業油、洗剤などの内容物を充填して好適に使用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例及び本比較例において用いた原紙及び得られたものの各物性の測定方法は以下の通りである。
【0023】
(1)原紙
針葉樹パルプと広葉樹パルプの乾燥状態での配合をパルプ繊維重量比で70対30とした木材パルプから抄造された原紙を用いた。
(2)原紙の表面粗さRa
原紙の表面粗さは、JIS B0601に準じた中心線平均粗さで、(株)東京精密製、型式:サーフコム120Aを使用して測定を行った。
【0024】
(3)接着強度
JIS K6854に準じた方法で、(株)島津製作所製、型式:オートグラフAGS−500Dを使用して測定を行った。測定個所は原紙と多層溶融押出しラミネートされた部分であり、樹脂層を剥離する時に強固に接着している場合は、原紙の紙層が樹脂層に満遍なく取られており、この様な状態を紙層剥離と表現した。
【0025】
(4)臭気官能検査
各試験の積層体を2×5cmに切ったもの10枚を250ミリリットル臭気官能検査用耐熱瓶に入れ、蓋をして密封する。80℃で2分間乾燥機にて加熱したものを20名のパネラーが各試料の臭気を比較し、採点する。
採点は、臭気の少ないものを5点とし、臭気の強いものを1点とした5段階評価を行い、それらの平均値を臭気の点数とした。
【0026】
(5)味覚官能検査
各試料の積層体を1.8リットル容器に成形してミネラルウォーターを充填し、1週間後に20名のパネラーが評価を行った。
採点は、異味の少ないものを5点とし、異味の強いものを1点とした5段階評価を行い、それらの平均値を味覚の点数とした。
【0027】
(6)酸素透過率
ASTM D3985に準じておこなった。モダンコントロール社(ModernControl 社)製、型式:OXTRAN 10/50A を使用し、測定条件は、温度23℃、容器内面側の相対湿度100%、容器外側の相対湿度50%である。
【0028】
実施例1
シリンダー径が40mmの押出機から低密度ポリエチレン(L層を構成、以下「LDPE」と記すことがある。東ソー(株)製、商品名:ペトロセン204)、シリンダー径が40mmの押出機からポリアミド(a)としてナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン6007)80重量部とポリアミド(b)としてナイロン66(宇部興産(株)製、商品名:宇部ナイロン2020B)20重量部を混合したポリアミド(c)(M層を構成)、シリンダー径が30mmの押出機から接着性ポリエチレン(N層を構成、三菱化学(株)製、商品名:モディックM515V)及びシリンダー径が45mmの押出機から低密度ポリエチレン(P層を構成、東ソー(株)製、商品名:ペトロセン204)を押出し、層構成がL層/N層/M層/N層/P層の順となるようにフィードブロックを介して多層溶融状態を形成させ、あらかじめ、坪量400g/m2 の原紙に低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名:ノバテックL300)20μmを押出しラミネートした物の、表面粗さRaが2.2μmである原紙面に、コロナ処理をしながら原紙にP層が積層されるように280℃でラミネートした。
【0029】
各層の厚みは、L層/N層/M層/N層/P層でそれぞれ50/10/18/10/10(μm)で、全厚みは98μmであった。前記の積層体から、打ち抜き、罫線付け、スカイブ、火炎加熱による胴部の熱接着の各工程を経て積層体をスリーブ状にした後、成形充填機を用いてミネラルウォーターを充填しながら、内容績1.8リットルの4角形の筒型の各辺が8.5cm、高さが25.7cmで上部が屋根型(ゲーベルトップ型)の紙容器を得た。
表1に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着強度、臭気、味覚検査も良好であり、酸素透過度は、13.3cc/m2-day-atm と満足できるものであった。
【0030】
実施例2
シリンダー径が40mmの押出機から低密度ポリエチレン(L層を構成、東ソー(株)製、商品名:ペトロセン204)、シリンダー径が40mmの押出機からポリアミド(a)としてナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン6007)80重量部とポリアミド(b)としてナイロン66(宇部興産(株)製、商品名:宇部ナイロン2020B)20重量部を混合したポリアミド(c)(M層を構成)、及びシリンダー径が30mmの押出機から接着性ポリエチレン(N層を構成、三菱化学(株)製、商品名:モディックM515V)を押出し、層構成がL層/N層/M層の順となるようにフィードブロックを介して多層溶融状態を形成させ、あらかじめ、坪量400g/m2 の原紙に低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名:ノバテックL300)20μmを押出しラミネートした物の、表面粗さRaが1.7μmである原紙面に、コロナ処理をしながら原紙にM層が積層されるように280℃でラミネートした。各層の厚みは、L層/N層/M層でそれぞれ50/10/18(μm)で、全厚みは78μmであった。
【0031】
前記の積層体から実施例1と同様の工程で、紙容器を得た。表1に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着強度、臭気、味覚検査も良好であり、酸素透過度は、8.3cc/m2-day-atm と満足できるものであった。
【0032】
実施例3
シリンダー径が40mmの押出機から低密度ポリエチレン(L層を構成、東ソー(株)製、商品名:ペトロセン204)、シリンダー径が40mmの押出機からポリアミド(a)としてナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン6007)(M層を構成)、及びシリンダー径が30mmの押出機から接着性ポリエチレン(N層を構成、三菱化学(株)製、商品名:モディックM515V)を押出し、層構成がL層/N層/M層の順となるようにフィードブロックを介して多層溶融状態を形成させ、あらかじめ、坪量400g/m2 の原紙に低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名:ノバテックL300)20μmを押出しラミネートした物の、表面粗さRaが1.2μmである原紙面に、コロナ処理をしながら原紙にM層が積層されるように280℃でラミネートした。各層の厚みは、L層/N層/M層でそれぞれ50/10/18(μm)で、全厚みは78μmであった。
【0033】
前記の積層体から実施例1と同様の工程で、紙容器を得た。
表1に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着強度、臭気、味覚検査も良好であり、酸素透過度は、7.2cc/m2-day-atm と満足できるものであった。
【0034】
比較例1
実施例1と同一の装置を用いて、原紙として坪量400g/m2 、表面粗さRaが0.9の原紙を用いて280℃でラミネートして同様の紙容器を作製した。表2に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着強度は不十分であった。
【0035】
比較例2
実施例1と同一の装置を用いて、原紙として坪量400g/m2 、表面粗さRaが0.8の原紙を用いて310℃でラミネートして同様の紙容器を作製した。表2に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着強度は十分であったが、味覚、臭気の点で満足できるものではなかった。
【0036】
比較例3
実施例1と同一の装置を用いて、原紙として坪量400g/m2 、表面粗さRaが3.5の原紙を用いて280℃でラミネートして同様の紙容器を作製した。表3に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着せずに浮き上がっている部分がある上に内面樹脂層の平滑性が低く、不十分なものであった。
【0037】
比較例4
実施例1と同一の装置を用いて、原紙として坪量400g/m2 、表面粗さRaが3.2の原紙を用いて310℃でラミネートして同様の紙容器を作製した。表3に作製した積層体の接着強度、紙容器の臭気、味覚検査、酸素透過率の値を示す。接着せずに浮き上がっている部分がある上に、臭気、味覚の点で満足できるものではなかった。
【0038】
表1、表2、表3の結果から明らかなように、本願発明により得られる紙容器は、接着強度は十分であり、良好なガスバリヤー性を有しており、さらに臭気・味覚を満足するものである。
【0039】
本発明により、ポリアミド樹脂(a)からなる層を含む樹脂層に積層させる紙の表面粗さRaを特定の範囲1.0〜3.0μmに限定することにより、熱可塑性樹脂の酸化分解等による低分子揮発成分の発生を抑えるために低温で押出しても十分な接着性が確保できる紙容器を得ることができる。
【0040】
【表1】
実施例番号 1 2 3
ポリアミド(a) NMXD6 NMXD6 NMXD6
ポリアミド(b) N66 N66 −
NMXD6/ ナイロン 66 ( wt 比) 80/20 80/20 100/0
成形条件
押出温度(℃) 280 280 280
表面粗さRa(μm) 2.2 1.7 1.2
各層の厚み(μm)
L/N/M/N/P 50/10/18/10/10 − −
L/N/M − 50/10/18 50/10/18
全厚み(μm) 98 78 78
評価結果
接着強度(gf/15mm) 紙層剥離 紙層剥離 紙層剥離
臭気官能検査 4.0 4.2 4.2
味覚官能検査 3.9 4.2 4.0
酸素透過率 (cc/m 2 -day-atm )13.3 8.3 7.2
【0041】
【表2】
比較例番号 1 2
ポリアミド(a) NMXD6 NMXD6
ポリアミド(b) ナイロン66 ナイロン66
NMXD6/ ナイロン 66 ( wt 比) 80/20 80/20
成形条件
押出温度(℃) 280 310
表面粗さRa(μm) 0.9 0.8
各層の厚み(μm)
L/N/M/N/P 50/10/18/10/10 50/10/18/10/10
全厚み(μm) 98 98
評価結果
接着強度(gf/15mm) 200 紙層剥離
臭気官能検査 3.9 2.1
味覚官能検査 4.3 1.7
酸素透過率 (cc/m 2 -day-atm ) 13.3 13.1
【0042】
【表3】
比較例番号 3 4
ポリアミド(a) NMXD6 NMXD6
ポリアミド(b) ナイロン66 ナイロン66
NMXD6/ ナイロン 66 ( wt 比 ) 80/20 80/20
成形条件
押出温度(℃) 280 310
表面粗さRa(μm) 3.5 3.2
各層の厚み(μm)
L/N/M/N/P 50/10/18/10/10 50/10/18/10/10
全厚み(μm) 98 98
評価結果
接着強度(gf/15mm) 接着しない箇所有り 接着しない箇所有り
臭気官能検査 3.7 1.8
味覚官能検査 4.0 2.0
酸素透過率 (cc/m 2 -day-atm ) 13.8 12.8
【0043】
【発明の効果】
本発明のごとく、ナイロンMXD6からなる層を含む樹脂層と原紙との積層体からなる紙容器で、原紙の表面粗さを1.0〜3.0μmに限定すると、成形時に熱可塑性樹脂を低温で押出ししても十分な接着性を確保できる上、酸化分解等による低分子揮発成分の発生を抑えることができる。
従って、種々の形状、サイズのカ−トン、カップ等として使用することができ、果汁、牛乳などの乳飲料、アルコ−ル飲料、ミネラルウォ−タ−、サラダオイル等の食用油、工業油、洗剤等の内容物の保存安定性の上で優れた効果を発揮する。
Claims (3)
- メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミンと、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂(a)からなる層(A層)を含む1層以上の樹脂層を、表面粗さRaが1.0〜3.0μmである原紙(B層)の面に重ねて、280℃の低温で押し出し加工により積層して得た紙容器。
- 原紙の表面粗さRaが1.2〜2.5μmである請求項1に記載の紙容器。
- 請求項1に記載の樹脂層に厚さ40〜80μmのシーラント層(C層)を設けてなる紙容器。
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