JP2692286B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はポリエステルフィルムと酸素バリア性樹脂層
の積層体の製造方法に関し、更に詳しくは、特にトレ
ー、カップ等の絞り成型容器の材料に適する上記積層体
の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以
下、「EVOH」と記す)、ポリ塩化ビニリデン(以下、
「PVDC」と記す)等のいわゆる酸素バリア性樹脂は、そ
の優れた酸素バリア性に加え、柔軟性、透明性等に優れ
ていることから、包装材料として用いられている。しか
しながら、これらの酸素バリア性樹脂はヒートシール性
に若干劣り、またEVOHでは水分によりその酸素バリア性
が劣化することは知られており、特に食品用包装材料に
用いる場合、内容物からの水蒸気等により酸素バリア性
は大巾に劣化し、食品保存等の観点からも問題が生じて
いた。
このため、上記欠点を改良するために、酸素バリア性
樹脂層の内側又は外側、特に内側の層としてポリエチレ
ン系あるいはポリプロピレン系のヒートシール性樹脂を
共押出により積層して用いる方法が行なわれている。
[発明が解決しようとする課題] 上記のポリプロピレン系ヒートシール性樹脂を積層し
て用いる方法においては、ポリプロピレンが必然的に安
定剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでいる点、結晶化し
やすく透明性に劣る点、更に食品の香料成分等を吸着し
てしまう点等から、特に香料成分等を含む食品内容物等
の包装材料としては適していなかった。
このため、上記の欠点のないポリエステル樹脂をポリ
プロピレンのかわりに酸素バリア性樹脂に積層して用い
る方法が提案されている。しかしながら、上記酸素バリ
ア性樹脂へのポリエステル樹脂の積層を共押出で行なう
場合、酸素バリア性樹脂は比較的低温で溶融するが、ポ
リエステル樹脂は一般に比較的高温でなければ溶融しな
いため、押出温度はポリエステル樹脂の溶融温度に対応
する高温で行なわなければならない。このため、押出が
比較的長時間におよぶ場合酸素バリア性樹脂が共押出機
流路内で滞留し、必要以上の高温にさらされた酸素バリ
ア性樹脂は架橋反応しゲル化して不溶性ゲルとなる。こ
の結果得られた包装材料としての成形品は外観不良を呈
し、真空成形時の成形ムラや酸素バリア性が低下する等
の問題が生じていた。
従って、本発明の目的は酸素バリア性に優れ、かつ包
装材料に用いた場合、内容物の香料や風味成分を吸着す
ることなく、内容物の長期保存を可能にするポリエステ
ルフィルムと酸素バリア性樹脂の積層体の製造方法を提
供することにある。
また、本発明の目的は透明性に優れ、意匠性に優れた
包装材料を与えるポリエステルフィルムと酸素バリア性
樹脂の積層体の製造方法を提供することにある。
更に本発明の目的は、酸素バリア性樹脂のゲル化を生
じることなく容易に加工出来るポリエステルフィルムと
酸素バリア性樹脂の積層体の製造方法を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は上記問題点に鑑みて、鋭意研究の結果、
本発明の上記目的は、ポリエステルフィルムと接着性樹
脂層とからなる積層フィルム上に酸素バリア性樹脂と接
着性樹脂を共押出し、該接着性樹脂を前記積層フィルム
の接着性樹脂層上に重ねて共押出ラミネートすることを
特徴とする積層体の製造方法により達成されることを見
出した。
以下に本発明を更に具体的に説明する。
本発明に用いるポリエステルフィルムを形成するポリ
エステル樹脂としては、多塩基酸と多価アルコールの共
重合体が挙げられ、このような多塩基酸としてはテレフ
タール酸を主成分として含むものが好ましく、また、多
価アルコールとしてはエチレングリコールを主成分とし
て含むものが好ましい。上記多塩基酸及び多価アルコー
ルはそれぞれコモノマー成分として他の多塩基酸及び他
の多価アルコールを含むことができる。
多塩基酸にコモノマー成分として含むことのできる他
の多塩基酸としてはイソフタール酸、ナフタリンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;
ヘキサヒドロテレフタール酸、ヘキサヒドロイソフター
ル酸等の脂環族ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン
酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒド
ロキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、ε−オキシカプ
ロン酸等のオキシ酸;トリメリット酸、トリメシン酸、
3,3′,5,5′−テトラカルボキシジフェニル等の芳香族
多塩基酸;ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多塩基
酸;酒石酸、リンゴ酸等のオキシポリカルボン酸等が挙
げられる。
また、多価アルコールにコモノマー成分として含むこ
とのできる他の多価アルコールとしては、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘ
キサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロー
ル、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシフ
ェニル)スルホンシクロヘキサン、1,4−(β−ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(β−ヒドロキシ
エトキシ)ベンゼン等のグリコール類;フロログリシ
ン、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール等の多価アルコール類が挙げられ
る。
更に、本発明においてはポリエステル樹脂に上記以外
の他の添加剤を含むことができる。このような添加剤と
しては滑剤、アンチブロッキング剤、安定剤、防曇剤、
着色剤等が挙げられる。
上記のポリエステル樹脂は1種又は2種以上組合わせ
て用いられるが、この後に行なわれる絞り成型を容易に
するためポリエステル樹脂としては結晶性の低いものが
好ましく用いられる。本発明においてはポリエステルフ
ィルムの厚さは0.05〜1mmが好ましい。
上記ポリエステル樹脂と共に積層フィルムを構成する
接着性樹脂層を形成する接着性樹脂としては、ポリプロ
ピレン、エチレン、−αオレフィン共重合体等のポリオ
レフィン、又は不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンが
挙げられ、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、エチ
レン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。ここで、
不飽和カルボン酸変性とはカルボン酸基、酸無水物基又
はこれらの誘導体と共重合又はグラフト重合させること
を意味し、カルボン酸基、酸無水物基及びこれらの誘導
体として具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、アクリル酸エチル、メタクリル
酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジグリ
シジル等が挙げられる。
接着性樹脂層の厚さは任意であるが、例えば20μm〜
1mmで用いられる。
本発明における積層フィルムは、上記ポリエステルフ
ィルムと接着性樹脂層との間に、アイオノマー樹脂層、
ウレタン系接着層等の他の樹脂層を有していてもよい
し、また、前記接着性樹脂からなる層を更に有していて
もよい。このような積層フィルムの層構成の具体例とし
ては例えばポリエステル/不飽和カルボン酸変性ポリオ
レフィン/ポリオレフィン、ポリエステル/アイオノマ
ー樹脂/ポリオレフィン、ポリエステル/ウレタン系接
着剤/ポリオレフィン等が挙げられる。
上記積層フィルムは常法により、すなわち、共押出、
又はポリエステルフィルム上に接着性樹脂を押出コーテ
ィングする等の方法により製造される。
本発明における酸素バリア性樹脂としては特にEVOH、
PVDCが好ましく用いられる。EVOHとしては公知の種々の
ものが使用可能であるが、好ましくはエチレン含有量が
20〜60モル%のものである。また、ケン化度が96%以上
のものも好ましく、99%以上のものは更に好ましい。酸
素透過率は0.15〜1.5(cc・20μ/m2・day・atm)であ
ることが好ましい。
また、PVDCは酸素透過率が約30cc・20μ/m2・day・a
tm程度のものが好ましく用いられる。
これら酸素バリア性樹脂は厚さ20〜100μmとなるよ
うに設けられることが好ましい。
上記酸素バリア性樹脂と共に共押出される接着性樹脂
としては、前記積層フィルムを構成する接着性樹脂層に
用いられた接着性樹脂と同様のものが用いられる。
本発明においては上記酸素バリア性樹脂層と接着性樹
脂層の間、又は酸素バリア性樹脂層の該接着性樹脂層と
反対の側に他の樹脂層を有していてもよい。このような
層構成の具体例としては、例えばEVOH/不飽和カルボン
酸変性ポリオレフィン/ポリオレフィン、ポリプロピレ
ン/不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン/EVOH/不飽和
カルボン酸変性ポリオレフィン/ポリオレフィン等があ
る。
本発明は、上記の如きポリエステルフィルムと接着性
樹脂層とからなり、必要に応じ他の層を有する積層フィ
ルム上に酸素バリア性樹脂と接着性樹脂を必要に応じ他
の樹脂と共に共押出し、該接着性樹脂を前記積層フィル
ムの接着性樹脂層上に重ねて共押出ラミネートすること
により積層体を製造するものである。この際、上記酸素
バリア性樹脂と接着性樹脂の共押出は常法にて行なわれ
うるが、特に酸素バリア性樹脂がゲル化しない温度で行
なわれることが好ましく、例えばEVOHの場合は180〜240
℃の範囲内の温度で行なわれることが好ましい。
本発明においては上記共押出において接着性樹脂が溶
融しているうちに積層フィルムの接着性樹脂層上に重ね
て例えば0.5〜10kg/cm2の圧力で押圧することによりラ
ミネートを行ない、本発明の積層体を得ることができ
る。
上記得られた本発明の積層体は、好ましくは絞り成型
加工によるトレー、カップ等の成型容器の製造に適用す
ることができる。
成型の際は積層体のポリエステルフィルム側がその香
料成分の非吸着性から容器の最内面となるように行なう
ことが好ましい。用いられる絞り成型方法としては、例
えば型の反対側から加圧空気で吹出し、かつ型に脱気孔
を設けて行なう圧空成型、型の真空吸引孔から吸引して
成型を行なう真空成型、真空成型と圧空成型を組合わせ
て行なう形式の真空圧空成型、真空成型と同時に型の反
対側から雄型(プラグ)で押す形式のプラグ成型等が挙
げられる。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように、本発明の方法により、酸
素バリア性に優れ、かつ包装材料に用いた場合、内容物
の香料や風味成分を吸着することなく内容物の長期保存
を可能にするポリエステルフィルムと酸素バリア性樹脂
の積層体を提供することができる。
また本発明の方法により透明性に優れ、意匠性に優れ
た包装材料を与えるポリエステルフィルムと酸素バリア
性樹脂の積層体を提供することができる。
更に、本発明の方法により酸素バリア性樹脂のゲル化
を生じることなく、容易に加工ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八房 和也 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 (72)発明者 加藤 武男 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−70656(JP,A) 特開 平1−249422(JP,A) 特開 平1−27922(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフィルムと接着性樹脂層とか
    らなる積層フィルム上に酸素バリア性樹脂と接着性樹脂
    を共押出し、該接着性樹脂を前記積層フィルムの接着性
    樹脂層上に重ねて共押出ラミネートすることを特徴とす
    る積層体の製造方法。
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