JP4357879B2 - 土壌浄化システムおよび土壌浄化方法 - Google Patents

土壌浄化システムおよび土壌浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌浄化システムおよび土壌の浄化方法に関し、より詳細には、鉄粉を適切に供給することができ、かつ広範囲に効果的に噴射させ、さらには排土を伴うことなく土壌に鉄粉および酸化剤を行き渡らせて土壌を浄化するシステムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚染土壌の浄化において、金属触媒と酸化剤との反応によって生成する強い酸化力を有するラジカルにより、トリクロロエチレンといった有機塩素化合物を酸化分解して無害化する方法(触媒酸化法)が用いられている。この方法は、金属触媒および酸化剤が汚染物質である有機塩素化合物と接触することにより、短時間で化学反応を起こし、二酸化炭素と塩化物イオンとに分解して無害化することから、従来使用されている通気井戸などから空気や温風を通気して土壌中からストリッピングする方法や土壌ガス吸引法に比べて浄化期間を大幅に短縮することができるという利点を有している。従来の土壌ガス吸引法などは、吸引したガスを分解するなどの二次処理を必要とし、また、二次処理において塩化ビニルモノマーといった副生成物が発生するため、さらなる処理が必要となるといった問題を生じていたが、触媒酸化法は、二次処理を必要とすることなく、浄化期間も短縮でき、残留性のない酸化剤と自然環境中に存在する金属触媒を使用することで、環境負荷を小さくすることができるという利点を有している。
【0003】
上記触媒酸化法を用いて汚染土壌を浄化する方法としては、上記有機塩素化合物により汚染された汚染土壌を掘削し、混練機の中に掘削した土壌と金属触媒および酸化剤とを入れ、混合し、仮置きして酸化反応の進行を待ち、浄化されたことを確認した後、浄化された土壌を再び元の位置に埋め戻す方法が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。仮置きする場所がない場合、金属触媒および酸化剤を添加して混合した後、直ちに埋め戻し、地中において酸化反応の進行を待つ方法も用いられている。
【0004】
上述した触媒酸化法を用いた汚染土壌を浄化する方法においては、土壌と、金属触媒および酸化剤とを充分に混合させて浄化すること可能にするものの、土壌を掘削して排土し、それを混練機に入れ、浄化した後に再び埋め戻すといった工程が必要であり、また、混練機の容量は決められているため、効率よく浄化を行うことができないといった問題があった。また、土壌を掘削して排土する場合、掘削した斜面の土砂の崩壊を防止するため、土留めを行わなければならず、土留めに必要とされる土留め壁や支保工といった材料が必要となり、また、それらを設置するための追加の工期および労力を必要とし、短期間で、かつ安価に浄化を行うことができないといった問題があった。
【0005】
これらの問題に鑑み、排土し、再び埋め戻すといった工程を排除し、土壌に直接金属触媒および酸化剤を噴射し、撹拌する方法が提案されている。例えば、所定量の鉄粉を水などに混入し、ビット先端のノズルから噴射しながらボーリングを行う、原位置における鉄粉注入による汚染土壌浄化方法が提案されている(特許文献2参照)。また、先端付近に撹拌翼を有するロッドを回転させつつ、汚染地盤中に貫入する貫入工程と、汚染地盤に過酸化水素と第1鉄塩を供給する供給工程と、汚染地盤を撹拌翼によって撹拌する工程と、ロッドを引き抜く引き抜き工程とを含み、撹拌工程において、過酸化水素と第1鉄塩とが供給された汚染地盤が撹拌され、汚染地盤と過酸化水素と第1鉄塩とが混合される汚染地盤の清浄化方法が提案されている(特許文献3参照)。汚染地盤を削孔して注入井を挿入し、注入井に設けられた注入用ノズルから汚染地盤中に、有害物質を不溶化させる不溶化剤を注入する汚染地盤の浄化方法が提案されている(特許文献4参照)。この浄化方法は、不溶化剤として硫酸第1鉄を用い、間欠タイミングでパルス状に噴射注入するものである。
【0006】
しかしながら、上述した方法は、水に溶解した鉄粉または硫酸第1鉄水溶液を噴射し、撹拌翼などにより撹拌して土壌と鉄および過酸化水素とを混合することを可能にし、また、不溶化剤を高圧の空気とともに送り、間欠的に噴射することで地盤中のより遠い位置まで行き渡らせることを可能にするものの、1つのノズルからでは一方向の土壌にのみ噴射されるため、ノズルの向きを変更しなければならず、また、土壌中においてノズル向きを変更することは容易ではなく、ロッドに開口部がある場合にはより遠くにまで噴射させることが困難であり、間欠的に噴射するのみでは全体に行き渡らないといった問題があった。また、現実には、鉄粉がノズルまたは開口部から噴射される際、水溶液中に均一なままで、または空気中に均一なままで噴射することは困難であり、途中のラインなどにおいて堆積し、効果的に噴射させることが困難となっており、硫酸第1鉄水溶液のように水溶液にすることで堆積や目詰まりなどを抑制することができるものの、溶液を多量に必要とするといった問題があった。また、上述した装置では、土壌中への混合が不十分であり、また、ライン中の堆積などもあって、過剰の鉄粉が供給され、それに伴って鉄粉コストがかかっている。したがって、所望の量の鉄粉を供給ロスなく供給でき、土壌中に均一に混合させることができる装置の提供が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−326080号公報(第2頁−第5頁、第1図、第3図−第6図)
【特許文献2】
特開2000−135483号公報(第2頁−第6頁、第1図、第5図)
【特許文献3】
特開2001−079534号公報(第2頁−第8頁、第1図−第7図)
【特許文献4】
特開2001−129526号公報(第2頁−第5頁、第1図−第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、排土を伴うことなく、ライン途中において鉄粉が堆積することを抑制して効果的に鉄粉を噴射させることを可能にし、さらには広範囲に鉄粉および酸化剤を行き渡らせて土壌を浄化することを可能にする土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより達成される。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1の発明によれば、先端部に切削部材と、周部に撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの二重管とを備える撹拌部材と、
前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段と、
鉄粉を収容する鉄粉容器と、前記鉄粉容器から排出される鉄粉量を制御する弁と、前記鉄粉容器に接続され、前記鉄粉容器から排出される前記鉄粉を受け入れる円筒容器と、前記円筒容器内に配設され、回転軸と前記回転軸に周設される鉄粉用螺旋状羽根と、前記回転軸を回転させる回転手段と、前記円筒容器に設けられる排出口とを備え、前記円筒容器内に供給された前記鉄粉を、前記鉄粉用螺旋状羽根の回転により前記排出口へと供給する鉄粉供給装置と、
前記鉄粉容器と、前記二重管の内側管と、前記二重管の外側管とに空気または窒素を供給する空気または窒素供給手段とを含み、
前記弁により制御される前記鉄粉量に応じて前記回転手段の回転数を変化させ、前記排出口から排出される前記鉄粉を前記空気または窒素によって前記内側管に供給し、前記内側管から排出される鉄粉を前記外側管に供給された前記空気または窒素により土壌に向けて噴射させることを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0011】
本発明の請求項2の発明によれば、前記鉄粉供給装置は、供給した前記鉄粉量を測定するための計量手段をさらに含み、前記計量手段により測定される前記鉄粉量により前記弁の開度を制御する土壌浄化システムが提供される。
【0012】
本発明の請求項3の発明によれば、前記システムは、酸化剤供給手段をさらに含み、前記撹拌部材は、前記酸化剤供給手段から供給される酸化剤を前記土壌に噴射させるための少なくとも1つの酸化剤注入管をさらに含む土壌浄化システムが提供される。
【0013】
本発明の請求項4の発明によれば、前記システムは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0014】
本発明の請求項5の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と前記酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの二重管と前記少なくとも1つの酸化剤注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0015】
本発明の請求項6の発明によれば、前記支持手段は、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含む土壌浄化システムが提供される。
【0016】
本発明の請求項7の発明によれば、前記外側管の内部には、螺旋溝が設けられていることを特徴とする土壌浄化システムが提供される。
【0017】
本発明の請求項8の発明によれば、先端部に切削部材と、周部に撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの二重管とを備える撹拌部材を、前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段により回転および降下させて土壌を掘削するステップと、
鉄粉を収容する鉄粉容器と、前記鉄粉容器から排出される鉄粉量を制御する弁と、前記鉄粉容器に接続され、前記鉄粉容器から排出される前記鉄粉を受け入れる円筒容器と、前記円筒容器内に配設され、回転軸と前記回転軸に周設される鉄粉用螺旋状羽根と、前記回転軸を回転させる回転手段と、前記円筒容器に設けられる排出口とを備える鉄粉供給装置の前記鉄粉容器と、前記二重管の内側管と、前記二重管の外側管とに空気または窒素供給手段により空気または窒素を供給するステップと、
前記弁により前記鉄粉量を制御して、前記鉄粉容器から前記円筒容器に前記鉄粉を供給するステップと、
前記弁により制御される前記鉄粉量に応じて前記回転手段の回転数を変化させるステップと、
前記回転手段により前記回転軸を回転させ、前記鉄粉用螺旋状羽根の回転により前記円筒容器内に供給された前記鉄粉を前記排出口へと供給するステップと、前記排出口から前記鉄粉を排出させ、前記二重管の内側管に供給する空気または窒素に分散させるステップと、
前記撹拌部材において、前記内側管から排出される前記鉄粉を前記外側管に供給された前記空気または窒素により土壌に向けて噴射させるステップと
を含む土壌浄化方法が提供される。
【0018】
本発明の請求項9の発明によれば、前記土壌浄化方法は、前記撹拌部材に供給した前記鉄粉量を計量手段により測定するステップを含み、前記鉄粉容器から前記円筒容器に前記鉄粉を供給するステップは、前記計量手段により測定される前記鉄粉量により前記弁の開度を制御するステップを含む土壌浄化方法が提供される。
【0019】
本発明の請求項10の発明によれば、前記土壌浄化方法は、酸化剤供給手段から酸化剤を供給し、前記撹拌部材の少なくとも1つの酸化剤注入管から噴射させるステップをさらに含む土壌浄化方法が提供される。
【0020】
本発明の請求項11の発明によれば、前記掘削するステップは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記噴射させるステップおよび前記混合するステップは、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および前記酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
【0021】
本発明の請求項12の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と前記酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
【0022】
本発明の請求項13の発明によれば、前記支持手段は、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含み、前記掘削するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを降下させるステップを含み、前記噴射させるステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させるステップを含み、前記混合するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを上昇させるステップを含む土壌浄化方法が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の土壌浄化システムは、特に、土壌中の有機塩素化合物といった揮発性有機化合物やその他の有機化合物を分解し、除去するのに有効なシステムである。また、本発明の土壌浄化システムは、適量の鉄粉を容器から排出させ、ライン内に分散させた状態で供給することができ、土壌においては、排土を伴うことなく所定深さの土壌に鉄粉を供給することができ、効果的に噴射させて広範囲に鉄粉を行き渡らせるとともに撹拌して混合させることを可能にするシステムである。土壌中に供給された鉄粉は、水と反応することにより酸化され、その酸化のときに上記有機化合物が還元され、例えば、有機塩素化合物は、エチレンや塩素イオンに分解され、無害化される。本発明では、さらに酸化剤を供給し、上記鉄粉を触媒として使用し、上記有機化合物を触媒下で酸化分解させることで、さらに効果的に土壌中の有機化合物を除去することができる。なお、本発明のシステムは、鉄粉の供給ライン中での堆積などによる供給ロス、土壌の各位置での過剰供給による供給ロスを低減させ、少ない量の鉄粉でより効果的に土壌浄化を行うことができるものである。本発明において鉄粉は、空気または窒素とともに供給される。鉄粉とともに供給する空気または窒素は、所定の圧力を有するものとされ、本発明においては、高圧であるほうが好ましい。粉塵爆発を起こす可能性がある場合、空気に代え、窒素を供給することができ、酸素濃度を減少させるべく空気に窒素を添加して希釈することができる。
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法について詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態では、鉄粉とともに酸化剤を供給する場合について説明するが、本発明においては、酸化剤を使用しなくてもよい。また、以下に示す実施の形態では、使用する空気を圧縮空気として説明する。図1は、本発明の土壌浄化システムの概略を示した図である。図1に示す土壌浄化システム1は、先端部に切削部材2と軸体3の周部に撹拌用螺旋状羽根4と鉄粉および酸化剤を噴射するための二重管と酸化剤注入管とを備える撹拌部材5と、撹拌部材5を回転可能に支持し、かつ撹拌部材5を昇降可能にし、撹拌部材5の二重管と酸化剤注入管とに接続されるラインを備える支持手段6とを備えている。また、図1に示す土壌浄化システム1は、鉄粉が収容された鉄粉容器7を含む鉄粉供給装置8と、支持手段6の上記ラインと鉄粉供給装置8とを接続し、圧縮空気に分散させて鉄粉が供給される鉄粉供給ライン9と、酸化剤が収容される酸化剤容器10と、酸化剤を撹拌部材5に供給する酸化剤供給手段11と、酸化剤容器10から酸化剤供給手段11を介して支持手段6の上記ラインに接続される酸化剤供給ライン12と、鉄粉容器7を加圧する圧縮空気を供給し、鉄粉容器7から排出される鉄粉を撹拌部材5に供給するのに使用される圧縮空気を供給し、二重管から噴射させる圧縮空気を供給し、土壌の掘削時において使用される圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段13と、上記二重管から噴射させる圧縮空気を供給するため、また、掘削時に使用される圧縮空気を供給するため、支持手段6に接続される圧縮空気供給ライン14、15とをさらに含んでいる。また、図1に示す実施の形態では、鉄粉供給装置8、酸化剤容器10、酸化剤供給手段11、圧縮空気供給手段13が車両16上に載置されている。
【0025】
図1に示す撹拌部材5は、掘削方向に向いた先端部に、土壌を掘削するための切削部材2と、掘削方向に向いた先端部から圧縮空気を噴射させることを可能にする軸体3と、掘削をスムーズに行うことを可能にし、かつ土壌を撹拌することを可能にする軸体3に周設された撹拌用螺旋状羽根4と、軸体3の内部から外部へ貫通するように、撹拌用螺旋状羽根4の縁部に向けて配設される図示しない二重管と酸化剤注入管とを含んで構成されている。撹拌部材5は、ロッド17に連結されていて、ロッド17は、挟持部18により回転可能に挟持され、昇降手段19によりスライドさせて昇降可能にされている。本発明では、撹拌部材5を回転させながら、ロッド17を降下させることにより、土壌を掘削することができ、撹拌部材5の撹拌用螺旋状羽根4の回転により、土壌を撹拌することができる。また、撹拌部材5は、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にし、切削部材2の掘削時の発熱を抑制するために、軸体3を通して圧縮空気を噴射することができるようになっている。また、鉄粉および酸化剤を土壌中に行き渡らせて土壌の浄化を行うために、撹拌用螺旋状羽根4による土壌の撹拌とともに、二重管から鉄粉および圧縮空気を、酸化剤注入管から酸化剤をそれぞれ噴射することができるようになっている。また、撹拌部材5は、掘削時である降下時と、撹拌時である昇降時とにおいて、回転する方向を変更して排土を出さないようにすることができるようになっている。なお、撹拌部材5の詳細については、図2を参照して以下に詳細に説明する。
【0026】
図1に示す支持手段6は、走行部20にアーム20aを使用して連結されており、ロッド17と、挟持部18と、ロッド17を昇降可能にする昇降手段19とを含んで構成されている。走行部20は、浄化する土壌位置への移動のために使用される。図1に示すロッド17は、上述した鉄粉供給ライン9と酸化剤供給ライン12と圧縮空気供給ライン14、15とを接続する接続部を備え、撹拌部材5の二重管および酸化剤注入管にそれぞれを接続するラインを備えている。ロッド17の内部に設けられるラインは、撹拌部材5の軸体3内部に設けられる二重管および酸化剤注入管に対応するように、二重管および単管とされている。本発明においては、撹拌部材5に二重管が2本設けられるのであれば、ロッド17内にも二重管を2本といったように構成することができる。また、ロッド17内のラインは、鉄粉供給および酸化剤供給に1本のラインのみを使用し、鉄粉と酸化剤とを交互に供給することもできる。この場合、上記二重管1本とすることができる。また、ロッド17は、土壌の深さに応じて別のロッドを連結することができるようになっている。
【0027】
図1に示す鉄粉容器7を含む鉄粉供給装置8は、鉄粉を収容し、適量の鉄粉を供給するために設けられている。鉄粉は、鉄粉容器7の下部から排出されるようになっていて、供給される鉄粉量が弁により制御され、適量の鉄粉が鉄粉容器7下部の円筒容器に供給される。また、鉄粉量に応じて回転手段の回転数を変化させることができ、その回転数に応じて円筒容器内に配設される回転軸および鉄粉用螺旋状羽根を回転させ、所定時間に所定量の鉄粉を排出口を通して供給することができる。このようにすることで、所定量以上の鉄粉が供給されてライン中に堆積するのを防止することができ、所定量の鉄粉を、鉄粉供給ライン9を流れる圧縮空気中に分散した状態で供給することができる。なお、鉄粉供給装置8については、図4を参照して以下に詳述する。
【0028】
本発明に使用される鉄粉は、圧縮空気に分散させて供給することができる粒径であればいかなる粒径のものであってもよいが、例えば、粒径が50μm〜150μmのものを用いることができる。また、鉄粉を供給する状態としては、圧縮空気に鉄粉を混合させ、鉄粉の粒と粒との間に空気を含んだ、空気に分散した状態で供給されることが好ましい。鉄粉を噴射する量としては、いかなる量であってもよいが、土壌1mあたり、例えば、10kg〜100kgとすることができる。鉄粉は、粒径が一定ではなく、粒度分布があるほうが、圧縮空気中において粒と粒との間に空気を含みやすく、空気中に分散した状態になりやすいので好ましい。また、鉄粉供給の際、粉塵爆発を生じるおそれがある場合には、圧縮空気に代えて窒素を供給することができる。また、上記汚染物質を適切に分解除去するためには、ライン内において錆を発生させないようにする必要がある。したがって、圧縮空気中に水分を含まないほうが好ましく、鉄粉を収容した鉄粉容器7内を乾燥空気または窒素雰囲気とし、供給する圧縮空気も乾燥空気または窒素とすることができる。乾燥空気を供給するために、圧縮空気供給手段13に空気乾燥機を備えたものを使用することができる。本発明において圧縮空気は、圧力が高いほど、鉄粉供給ライン9の途中において堆積することがなくなるので好ましく、例えば、0.7MPa〜2.0MPaとすることができる。なお、鉄粉の供給量は、粉塵爆発を起こさない爆発下限界濃度未満になる量とすることができ、具体的には、空気1m中の鉄粉濃度を0.1kg以下とすることができる。
【0029】
図1に示す鉄粉供給ライン9は、ロッド17の上端部の対応するラインに接続され、鉄粉供給装置8から排出された適量の鉄粉を圧縮空気とともに供給するのに使用される。本発明においては、図1に示す実施の形態のように鉄粉供給装置8を車両16に載置し、ロッド17と鉄粉供給装置8との距離が短い場合、ライン途中に鉄粉がほとんど堆積しないため、圧縮空気を供給し、堆積した鉄粉を飛散させるための分岐部を備えなくてもよいが、上記距離が長い場合、必要に応じて1つまたは複数の分岐部を設けることもできる。分岐部を設ける場合、ロッド17の上端部の接続部へ向けて立ち上がるラインの所定位置に設け、ライン中での圧力損失、鉄粉の自重などにより、鉄粉がロッド17の接続部へ向けて流れない場合に圧縮空気を供給し、ライン途中に堆積した鉄粉を飛散させることができる。
【0030】
図1に示す酸化剤容器10は、酸化剤供給手段11にラインを介して接続されている。酸化剤供給手段11は、酸化剤容器10から酸化剤供給ライン12を介して撹拌部材5へ所定量の酸化剤を供給する。なお、酸化剤は、上述したように、鉄粉を触媒とし、土壌中の汚染物質を酸化分解するのに使用される。本発明に使用される酸化剤としては、空気、過酸化水素、オゾン、過酸化カリウムや過酸化カルシウムといった過酸化物を使用することができる。本発明においては、供給する量が把握しやすく、かつ供給も容易であり、容器への収容も容易である溶液が好ましい。溶液は、水溶液であってもよく、その濃度はいかなる濃度であってもよい。また、土壌に噴射する溶液量としては、鉄粉の供給量に応じて設定することができる。なお、上記過酸化水素は、重金属やアルカリ、その他酸化されやすい有機化合物が存在しない場合、安定な物質であり、特に白金、銀、銅、鉄、クロム、マンガンなどの金属と接触すると、急激に分解し、酸素および熱を発生することが知られている。過酸化水素の分解反応は、加熱することにより促進され、上記有機塩素化合物は、過酸化水素によって酸化分解され、炭酸ガスおよび塩素に分解されることが知られている。また、過酸化水素の分解反応によって発生する酸素を土壌中に供給することにより、微生物を活性化させ、上述した有機化合物のほか、無機化合物を処理することも可能である。したがって、本発明においては、過酸化水素水を酸化剤として使用することが好ましい。
【0031】
本発明において鉄粉容器7および酸化剤容器10は、いかなる容量のものであってもよく、いかなる形状であってもよい。鉄粉容器7は、鉄粉が下部に設けられる弁を通して所定量排出されるように、内部を適宜加圧することができるようにされている。鉄粉容器7の加圧は、圧縮空気を使用して行うことができる。鉄粉容器7は、加圧した圧力に耐える材質のものを使用することができ、例えば、ステンレス鋼といった鋼製のホッパーを用いることができる。なお、内部を加圧するため、上部に蓋を設けることができる。本発明においては、弁などに詰まりを生じる可能性があり、鉄粉容器7の外側面にバイブレータといった揺動手段を配設して鉄粉容器7を揺動させ、鉄粉の詰まりを解消させることもできる。また、木製またはプラスチック製のハンマを使用して詰まりを解消することもできる。酸化剤容器10は、酸化剤により腐食しない材質のものであればいかなる材質であってもよく、塩化ビニルやポリエチレンなどのプラスチック製、ステンレス製の容器を用いることができる。また、酸化剤容器10の内面をテフロン(登録商標)でライニングしたものを用いることもできる。
【0032】
本発明において鉄粉供給ライン9、酸化剤供給ライン12および圧縮空気供給ライン14、15は、いずれも所定の径の鋼管、ゴム管、塩化ビニル管、テフロン(登録商標)管といった管を使用することができる。これらの管は、鉄粉容器7、酸化剤容器10、酸化剤供給手段11、圧縮空気供給手段13の設置位置に応じてその長さを決定することができる。また、これら管が長い場合には、パイプコネクタを使用することもできる。なお、酸化剤として過酸化水素を使用する場合には、金属と激しく反応して酸素を発生させるため、ゴム管、塩化ビニル管、テフロン(登録商標)管を用いることができ、鋼管を用いる場合には、内側をテフロン(登録商標)でライニングしたものを用いることができる。
【0033】
本発明の土壌浄化システム1に使用される酸化剤供給手段11としては、上述したように酸化剤に溶液を使用する場合には、ポンプを使用することができる。空気やオゾンといったガス状のものについては、圧縮機を使用することができる。これらの吐出圧力は、鉄粉を分散させた圧縮空気の供給圧力と同じ圧力であることが好ましく、圧縮空気の供給圧力に応じて決定することができる。また、圧縮空気供給手段13としては、エアドライヤ付きの空気圧縮機を使用することができる。エアドライヤとしては、所定の容器に乾燥剤といった水分を吸着する吸着剤を充填したものを用いることができる。これらの容量は、供給する空気および溶液の量に応じて適宜決定することができる。本発明においては、圧縮空気供給手段13として空気ボンベや空気カードルを使用することができる。圧縮空気供給手段13のほか、窒素供給手段も使用することができ、窒素供給手段としては、窒素ボンベや窒素カードルを使用することができる。
【0034】
図2は、本発明の土壌浄化システムに用いることができる撹拌部材を例示した図である。図2(a)に撹拌部材5の斜視図を、図2(b)に断面図を示す。図2に示す撹拌部材5は、先端部に切削部材2を備えた先導管21と、長さ方向に沿った中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされた中空の軸体3と、軸体3の外側面に周設された撹拌用螺旋状羽根4と、撹拌用螺旋状羽根4の上面および下面に設けられた複数の突出部材22と、軸体3の長さ方向の径が大きくされた中央部において軸体3を貫通し、撹拌用螺旋状羽根4の縁部に向けて配設される二重管23、酸化剤注入管24とから構成されている。
【0035】
図2に示す先導管21は、軸体3にフランジ25といった連結部材を使用して連結されていて、先端部に切削部材2が設けられている。また、フランジ25にも、切削部材2の向きと同じ方向に向くように切削部材2aが設けられている。図2に示す切削部材2、2aは、鋭く尖った先端部を備えていて、硬い土壌や石なども切削することができるようになっていて、先導管21の先端部およびフランジ25に溶接などにより接合して設けることができる。図2に示す先導管21は、いかなる径、長さの管であっても良いが、軸体3の両端部の径と同じ径にすることができる。また、切削部材2、2aの形状および構造および材質は、適切に土壌を掘削することができるものであればいかなるものであっても良い。また、切削部材2、2aは、先導管21の先端部およびフランジ25に、いかなる数設けられていても良い。
【0036】
図2に示す軸体3は、中央部の径が大きくされ、その中央部の所定の長さにおいて一定の径とされていて、両端部に向けて一定の割合で径が小さくなるような形状とされている。また、中空とされていて、内部に鉄粉を供給するための二重管23、酸化剤を供給するための酸化剤注入管24の一部が挿設されている。この二重管23、酸化剤注入管24を除いた空間には、図1に示す圧縮空気供給ライン15を通して供給される圧縮空気が流されるようになっており、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材5に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするとともに、切削部材2の発熱を抑制することを可能にしている。本発明において軸体3は、以下の寸法に限られるものではないが、例えば、全体の長さを0.8m、中央部の長さ0.16mにおいて0.4mの一定の径とし、長さ方向の両端部0.32mの範囲において0.14mから0.4mの径に一定の割合で拡大した構造とすることができる。この場合、一定の割合で拡大するテーパ角が22°となっている。
【0037】
図2に示す軸体3には、外側面に螺旋状に形成された撹拌用螺旋状羽根4が周設されている。撹拌用螺旋状羽根4は、軸体3の中央部に向けて撹拌用螺旋状羽根4の径が大きくなるように形成され、撹拌用螺旋状羽根4の上面および下面には、複数の突出部材22が設けられている。撹拌用螺旋状羽根4は、軸体3と同様に、軸体3の長さ方向に向いた両端部から中央部に向けて羽根の径が拡大するように形成されていて、土壌中を上下にスムーズに撹拌することができる構造とされている。
【0038】
図2に示す突出部材22は、矩形の板状のものとされ、矩形とされた面が軸体3に向くように配設されている。また、突出部材22は、撹拌用螺旋状羽根4の縁部および軸体3に近隣した内縁部に設けられ、矩形の角部が面取りされた構造とされている。矩形とされた板状の突出部材22の回転方向に向いた側の角部が面取りされた構造とすることにより、撹拌用螺旋状羽根4の回転をスムーズにし、効果的に撹拌することができる。図2に示す撹拌部材5において、土壌を掘削する場合、撹拌用螺旋状羽根4の下面に設けられた突出部材22が鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌し、上面に設けられた突出部材22は、切削および撹拌された土砂をスムーズに後方に送ることができ、土壌中に石などを含んでいても、噛みにくくなっている。また、撹拌部材5を地中から地表面に向けて上昇させる場合には、撹拌用螺旋状羽根4の上面に設けられた突出部材22が効果的に切削および撹拌し、下面に設けられた突出部材6がスムーズに土砂を後方に送ることができる。したがって、図2に示す撹拌部材5を使用して土壌を掘削する場合には、掘削した土砂が地上に排出されなくなる。本発明において突出部材22は、いかなる数設けられていても良く、形状も上述した矩形の板状のものでなくても撹拌用螺旋状羽根4の螺旋形状に沿って矩形の板が曲げられた形状とされていても良い。
【0039】
図2に示す二重管23、酸化剤注入管24は、軸体3の長さ方向の中央部において二重管23、酸化剤注入管24は垂直に曲げられ、軸体3を貫通し、撹拌用螺旋状羽根4の縁部に向けて延びた構造となっている。また、二重管23、酸化剤注入管24は、二重管23が軸体3の一方の面を貫通するように、酸化剤注入管24がその一方の面の裏面、すなわち二重管23が突出する位置から周方向へ180°の角度となるように設けられている。本発明においては、酸化剤を使用する場合、鉄粉と酸化剤とが土壌中において接触し、適切に汚染物質の分解反応を生じさせることができるように、それぞれの二重管23、酸化剤注入管24が、軸体3の長さ方向の同じ位置となるように配設されていることが好ましく、軸体3から撹拌用螺旋状羽根4に沿って突出する長さが同じであることが好ましい。二重管23は、内側管23aと、外側管23bとから構成され、内側管23a内に鉄粉を含む圧縮空気を、内側管23aと外側管23bとの間に圧縮空気を流すことができ、本発明においては、内側管23aを短く形成することで、内側管23aから排出された鉄粉を含む圧縮空気が、外側管23bを流れる圧縮空気により分散および加速され、より広範囲に噴射させることができるようにされている。本発明においては、上述したように分散および加速され、より広範囲に噴射させることができるのであれば、外側管23b内を、鉄粉を含む圧縮空気、内側管23a内を、圧縮空気が供給されるようにされていてもよい。
【0040】
図2においては、二重管23、酸化剤注入管24の2本を使用した場合について示しているが、本発明においては、二重管1本であってもよく、この場合、図1に示す鉄粉供給ライン9と酸化剤供給ライン12とをT字管やY字管を使用して接続し、ロッド17のラインおよび撹拌部材5の二重管の内側管23aに交互に供給することができる。この場合の土壌浄化は、まず、圧縮空気を流してその中に所定量の鉄粉を供給し、圧縮空気中に分散させたまま1本の注入管から所定時間噴射させ、次に、鉄粉供給を停止し、鉄粉を噴射させた位置と同じ位置において酸化剤を供給し、同じ注入管から噴射させて土壌中に供給することができる。本発明においては、鉄粉を噴射させながら所定高さまで上昇させ、鉄粉を供給したまま、または鉄粉の供給を停止した後、再び下降させ、鉄粉を供給している場合にはここで停止した後、酸化剤の供給を開始し、酸化剤を噴射させながらその所定高さまで上昇させることにより、鉄粉と酸化剤とを土壌に供給することもできる。また、本発明において二重管23および酸化剤注入管24は、1本または2本に限らず、鉄粉および圧縮空気に対して2本、酸化剤に対して2本といったように計4本とすることもでき、複数の二重管23および酸化剤注入管24が配設された構造であってもよい。さらに、本発明において二重管23および酸化剤注入管24は、撹拌用螺旋状羽根4の縁部にまで延びていなくてもよく、撹拌用螺旋状羽根4の中央部、または内縁部までであってもよい。しかしながら、より広範囲に噴射させるためには、撹拌用螺旋状羽根4の縁部にまで延びているほうが好ましく、撹拌用螺旋状羽根4の回転に伴い、これら管が破損しないように、撹拌用螺旋状羽根4の縁部を超えないことが好ましい。
【0041】
図3は、二重管23を拡大して示した断面図である。図3に示す二重管23は、図2に示す撹拌部材5の撹拌用螺旋状羽根4に沿って、軸体3を貫通し、撹拌用螺旋状羽根4の縁部に向けて延びており、内側管23aと外側管23bとから構成されている。図3に示す実施の形態では、内側管23a内に鉄粉を分散させた圧縮空気を供給することができるようにされており、内側管23aと外側管23bとの間に圧縮空気を供給することができるようにされている。また、図3に示す実施の形態では、内側管23aが、外側管23bより短く形成されており、内側管23a内を通して供給された鉄粉を含む圧縮空気が内側管23aから排出された場合、内側管23aの断面から外側管23bの断面に広がることで、鉄粉が分散され、さらには内側管23aと外側管23bとの間を通して供給された圧縮空気により、加速されることで、より広範囲に鉄粉を供給することができる。
【0042】
また、図3に示す実施の形態では、外側管23bの内部に螺旋溝26が設けられており、内側管23aから噴射された鉄粉を含む圧縮空気が、内側管23aと外側管23bとの間を通して供給される圧縮空気と混合する場合において、混合した圧縮空気中に鉄粉が分散した状態を保持させることができる構造とされている。この構造は、内側管23aを出た鉄粉を含む圧縮空気と、内側管23aと外側管23bとの間を通して供給される圧縮空気とを強制的に撹拌する効果を与え、この圧縮空気中に鉄粉を強制的に分散させることを可能にするものである。螺旋溝の幅は、いかなる幅であってもよく、適宜設定することができる。また、螺旋溝を設けた場合の凸部の高さおよび幅は、鉄粉を効果的に撹拌させることができるのであればいかなる高さおよび幅であってもよい。また、本発明においては、内側管23aと外側管23bとの間を通して供給される圧縮空気は、鉄粉を供給するために使用される圧縮空気と同じものであってもよく、また、鉄粉を供給するために使用される圧縮空気より圧力の高いものを用いることもできる。圧力が高いものである場合、広範囲により効果的に噴射させることができる。さらに、本発明においては、内側管23aの内部にも同様の螺旋溝26を設け、内側管23aの内部において自重などにより堆積しがちな鉄粉を強制的に撹拌する効果を与え、鉄粉が圧縮空気中に分散した状態を保持したまま内側管23aから排出されるようにされていてもよい。
【0043】
図4は、本発明の土壌浄化システムに用いる鉄粉供給装置を示した図である。図4に示す鉄粉供給装置8は、鉄粉を収容する鉄粉容器7と、供給する鉄粉量を制御する弁27と、鉄粉容器7から弁27を介して排出される鉄粉を受け入れる円筒容器28と、円筒容器28内に配設される回転軸29と、回転軸29に周設される鉄粉用螺旋状羽根30と、円筒容器28の外部に設置され、回転軸29を回転させる回転手段31と、円筒容器28の地盤方向に向けて形成される排出口32と、これらを載置し、供給される鉄粉量を計測する計量手段33とから構成されている。排出口32には、鉄粉供給ライン9に接続する排出ライン34が接続されており、排出ライン34は、鉄粉供給ライン9または円筒容器28の長さ方向に対して所定の角度となるように接続されている。また、鉄粉容器7には、蓋35が設けられ、鉄粉容器7内を加圧することができるようになっている。さらに、図4には、圧縮空気を図2および図3に示す二重管23、図2に示す軸体3に供給する圧縮空気供給ラインの一部が示されている。
【0044】
図4に示す鉄粉供給装置8は、弁27を閉じた状態で、ライン36を通して鉄粉容器7内に圧縮空気が供給され、鉄粉容器7を加圧することができるようにされている。具体的な操作としては、鉄粉容器7内および鉄粉供給ライン9への圧縮空気の供給開始と同時に、弁27を所定開度となるまで開き、円筒容器28に鉄粉を供給する。回転手段31により、上記弁の開度に応じた回転数で回転軸29を回転させ、鉄粉用螺旋状羽根30によって排出口32に向けて鉄粉を供給し、排出口32および排出ライン34を通して鉄粉供給ライン9を流れる圧縮空気中へ鉄粉が供給される。排出ライン34は、鉄粉供給ライン9に対して、圧縮空気が供給される方向に角度が付けられており、鉄粉が圧縮空気の流れに乗り、分散した状態で供給されるようになっている。また、鉄粉供給ライン9に圧縮空気を直通に流すことで、鉄粉を吸い込むエジェクタ効果を発生させることができる。これにより、弁27での詰まりや排出口32などでの堆積を低減させることができ、所定量の鉄粉を、弁27を通して排出させることができ、その所定量の鉄粉を圧縮空気中に分散させて供給することができる。
【0045】
本発明では、鉄粉容器7は、ホッパーのような底開式のじょうご型の容器とすることができる。内部に充填されているものが様々な粒径を有する鉄粉であるため、詰まりやすく、所定量の鉄粉を供給することができないという問題が生じる場合、適量の鉄粉を供給するために鉄粉容器7の内部を適宜加圧することができ、また、鉄粉容器7を揺動させることができる。鉄粉容器7の揺動としては、木製またはプラスチック製のハンマを用いて、または、鉄粉容器7の側部にバイブレータといった揺動手段を配設し、必要に応じて揺動させることで詰まりを解消することができる。本発明では、鉄粉供給ライン9への供給と同時に行い、同時に弁27を開くこと、または先に鉄粉容器7の加圧を行い、鉄粉供給ライン9への圧縮空気の供給と同時に、弁27を開くことが好ましい。これは、先に鉄粉供給ライン9へ圧縮空気を供給した場合、弁27下部に圧力がかかり、その後、鉄粉容器7内にも圧縮空気を供給して加圧し、弁27を開いたとしても、弁27下部に加えられた圧力により、詰まりを生じ、適切に落下して所定量の鉄粉を供給できない場合があるためである。
【0046】
図4に示す弁27としては、詰まりがなるべく生じない、スライド開閉式のものとすることができる。円筒容器28は、所定径で、所定長さのものとすることができ、これら径および長さは、適宜決定することができる。また、円筒容器28は、長さ方向の一方の側面に鉄粉を受け入れる受入口と、他方の側面に鉄粉を排出する排出口32とを備えている。受入口は、弁27に向く方向である上部に設けられ、排出口32は、鉄粉供給ライン9に向く方向である下部に設けられる。回転軸29は、円筒容器28の断面の中央に配設されていて、両端部において回転可能に支持されている。回転軸29には、鉄粉用螺旋状羽根30が周設されており、また、一端が回転手段31に接続されている。本発明においては、回転軸29を回転可能に支持する支持部が円筒容器28の外部に設けられる。これは、支持部と回転軸29との間に鉄粉が堆積し、回転軸29の適切な回転を妨げ、回転手段29の故障の原因を引き起こすことを防止するためである。鉄粉用螺旋状羽根30の径は、羽根縁部が円筒容器28の内側面に近接する径とされ、円筒容器28の底部に堆積する鉄粉を鉄粉用螺旋状羽根30の回転により、適切に排出口32へ供給できるものとされる。これにより、所定位置に鉄粉が堆積することなく、所定量の鉄粉を排出口32から排出することができる。
【0047】
また、図4に示す回転手段31は、モータを備え、さらにモータの速度制御を行うインバータを含む構成とすることができる。計量手段33は、鉄粉容器7、回転軸29および鉄粉用螺旋状羽根30を配設した円筒容器28を載置し、それらの質量を計測できるようになっている。例えば、鉄粉容器7に鉄粉を収容した段階での質量を計測し、所定時間後の質量を計測することで、単位時間あたりの鉄粉供給量を算出することができる。本発明においては、上述したようにして弁27の任意の開度における単位時間あたりの鉄粉供給量を予め算出しておき、その開度に調整して一定量の鉄粉を供給することもできるし、現在の開度における鉄粉供給量を測定し、所定量の鉄粉が供給されるように弁27により制御し、制御され供給された鉄粉量に応じて回転数を変化させることもできる。本発明では、弁27、回転手段31、計量手段33をコンピュータにより自動制御させることもできる。
【0048】
図4に示す排出ライン34は、鉄粉供給ライン9および円筒容器28の長さ方向に対して垂直とすることもできるが、圧縮空気の流れに沿ってスムーズに混合させ、圧縮空気中に分散させるためには、角度が設けられるほうが好ましい。しかしながら、鉄粉供給ライン9および円筒容器28の長さ方向に対する角度が小さい場合、排出ライン34内において鉄粉が堆積する場合があるため、鉄粉が適切に鉄粉供給ライン9内に供給できる角度とする必要がある。本発明においては、これに限られるものではないが、例えば、75°〜85°とすることができる。また、排出ライン34は、鉄粉供給ライン9に対して垂直に設けられ、鉄板などを内部に配設して角度を形成することもできる。また、蓋35は、鉄粉容器7の上部の開口部に嵌合させ、例えば、回転させて係止するように設置されており、鉄粉容器7の内部を加圧することができ、鉄粉の補給を行うことができるように取手が設けられている。本発明においては、鉄粉の補給をすることができ、鉄粉容器7の内部を加圧することができるのであれば、いかなる構造、形状であってもよい。
【0049】
図5は、本発明に用いることができる支持手段6を例示した図である。図5に示す支持手段6は、図1に示す走行部20のアーム20aに連結することができ、ロッド17と、挟持部18と、ロッド17を昇降可能にする昇降手段19と、それらを連結するフレーム37とを含んで構成されている。図5に示す実施の形態では、フレーム37に挟持部18および昇降手段19が固定されていて、挟持部18によりロッド17を移動可能に、かつ回転可能に支持し、昇降手段19によりロッド17を昇降可能にしている。ロッド17は、長さ方向に連結可能とされていて、掘削する深さに応じて他のロッドを連結することができるようになっている。また、ロッド17は、中空とされていて、内部に図1および図2に示す撹拌部材5を連結する場合、撹拌部材5の二重管23および酸化剤注入管24に接続する接続ラインを備えている。さらに、ロッド17は、挟持部18とフレーム37と2箇所で支持されるようになっている。支持手段6の挟持部18は、ロッド17の周部を押圧するようにして保持し、保持したまま回転部が油圧駆動などにより回転することで、ロッド17を正逆両方向に回転させることができるようになっている。昇降手段19は、スライダとされており、これも挟持部18と同様に油圧駆動とすることができる。本発明では、図1に示す走行部20と支持手段6とに分離することで、支持手段6のみを移動させ、他の場所で利用することができる。また、ロッド17の角度は、走行部20のアーム20aにより変更することができる。
【0050】
図6〜図8を用いて本発明の土壌の浄化方法について詳細に説明する。本発明の土壌の浄化方法は、図1〜図5に示す土壌浄化システムおよび各装置を用いて行うことができる。図6は、撹拌部材5を連結した支持手段6を土壌の所定位置に配置し、撹拌部材5により土壌を掘削しているところを示した図である。図6に示す支持手段6は、走行部20のアーム20aに連結され、所定位置に移動することができるようになっている。
【0051】
まず、走行部20により浄化したい位置に移動し、ロッド17を配置する。挟持部18によりロッド17を回転させ、昇降手段19によりロッド17を降下させて土壌を掘削する。土壌の掘削は、撹拌部材5の先端部に設けられた切削部材2を使用して行われる。また、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材5に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするため、圧縮空気供給手段13から圧縮空気が供給される。圧縮空気は、圧縮空気供給ライン15を通り、ロッド17内のラインおよび撹拌部材5の軸体3内を通って先端部から噴射される。なお、圧縮空気の噴射は、撹拌部材5の揺動撹拌効果、切削部材2の冷却効果のほか、軸体3内へ土壌が入り込むことを防止する効果を与えることができる。図6に示す実施の形態では、圧縮空気供給手段13は、鉄粉供給装置8、酸化剤容器10および酸化剤供給手段11とともに車両16上に載置されている。土壌の掘削時に、ロッド17の長さが足りない場合には、挟持部18によるロッド17の回転方向を変え、昇降手段19によりロッド17をいったん上昇させる。撹拌部材5が地上に露出したところで、ロッド17の上昇を停止し、挟持部18による回転を停止した後、延長するロッドを連結する。連結した後、上記掘削時と同様にし、同様の回転方向で土壌の掘削を行うことができる。本発明においては、圧縮空気供給手段13、鉄粉供給装置8、酸化剤容器10および酸化剤供給手段11を浄化区域外に配置することもできる。
【0052】
図7は、撹拌部材5により所定深さまで土壌を掘削し、鉄粉および酸化剤を供給しているところを示した図である。図7に示すようにして所定深さまで土壌を掘削した後、挟持部18によるロッド17の回転方向を変える。鉄粉および酸化剤の供給があるまで上昇させずに、回転させたまま停止しておく。本発明においては、ロッド17の回転を停止しておくこともできる。車両16上に載置した鉄粉供給装置8および酸化剤容器10から鉄粉および酸化剤の供給を開始する。
【0053】
鉄粉は、圧縮空気供給手段13から圧縮空気を、鉄粉容器7および鉄粉供給ライン9に供給し、所定開度で弁27を開き、回転手段31により所定回転数で回転軸25を回転させることで供給が開始される。例えば、鉄粉容器7および鉄粉供給ライン9に圧縮空気を供給する弁をそれぞれ開き、弁27を開き、回転手段31に設けられるモータを起動することにより実行することができる。モータ速度の制御は、インバータを用いて行うことができる。
【0054】
図4に示す弁27を開けることにより円筒容器28に供給される鉄粉は、鉄粉用螺旋状羽根30の回転により円筒容器28の排出口32へと送られ、排出口32から排出されることで、鉄粉供給ライン9を流れる圧縮空気中へ供給される。この場合、鉄粉供給ライン9を圧縮空気が流れることで、エジェクタ効果を生じ、排出口32から排出される鉄粉が吸引される。圧縮空気中に供給された鉄粉は、鉄粉供給ライン9内において圧縮空気中に分散し、圧縮空気とともに撹拌部材5に向けて送られる。また、酸化剤供給手段11により酸化剤容器10に収容された酸化剤を供給する。例えば、酸化剤供給手段11がポンプであれば、酸化剤容器10からポンプにまで酸化剤を満たしておき、ポンプを起動させることにより酸化剤を供給することができる。酸化剤の供給は、酸化剤供給ライン12を通して行われる。弁27において鉄粉が詰まった場合、弁27の開度を変えたり、鉄粉容器7を揺動させることにより詰まりを解消させることができる。
【0055】
図8は、撹拌部材5を上昇させながら鉄粉および酸化剤を噴射し、土壌を撹拌しているところを示した図である。二重管23および酸化剤注入管24から鉄粉を含む圧縮空気および酸化剤の噴射が開始された後、昇降手段19によりロッド17を上昇させ、二重管23および酸化剤注入管24からの鉄粉および酸化剤の噴射とともに、撹拌用螺旋状羽根4による土壌の撹拌を行う。図7に示す実施の形態においてロッド17の回転が停止されていれば、回転を開始した後、昇降手段19によりロッド17を上昇させることができる。本発明においては、土壌と鉄粉および酸化剤とを充分に混合させるため、上昇速度が小さいほうが好ましいが、小さすぎる場合、作業効率が低下するため、例えば、毎分0.05m〜毎分0.15mとすることができる。また、本発明においては、土壌中に充分に鉄粉および酸化剤を混合させるため、撹拌部材5が地表面38の近くまで上昇したところで、再び掘削時と同様の回転方向とし、ロッド17を降下させつつ、鉄粉および酸化剤の噴射を行うことができる。
【0056】
本発明においては、撹拌部材5が地表面38の近くまで上昇したところで、弁27を閉止して鉄粉の供給を停止し、酸化剤供給手段11による供給を停止して酸化剤の供給を停止し、圧縮空気供給手段13による圧縮空気の供給を停止する。撹拌部材5をさらに上昇させ、地表面38から撹拌部材5が離間された状態となった後、走行部20により次の浄化位置に移動し、再び上述したようにして掘削、鉄粉および酸化剤の噴射、撹拌を行うことができる。なお、二重管23では、上述したように、鉄粉を含む圧縮空気が内側管から排出され、このとき、外側管断面まで広がり、そこへ内側管と外側管との間を通して供給される圧縮空気が供給されることで加速され、二重管23から出た鉄粉を含む圧縮空気は、より広範囲に噴射される。噴射された鉄粉および酸化剤は、撹拌用螺旋状羽根4により充分に土壌と撹拌され、混合される。なお、本発明においては、混合後の土壌をサンプリングし、例えば、磁気探査装置を使用して鉄粉の混合状態を検査することができる。この磁気探査装置としては、今まで知られたいかなるものでも用いることができる。また、サンプリングする場所は、鉄粉および酸化剤を混合した土壌であればいかなる箇所であってもよい。なお、上記磁気探査装置を使用することで、土壌中に混合された鉄粉量および鉄粉分布を測定することができ、本発明のシステムを使用した場合、土壌浄化に充分な量(例えば、土壌1mに対して50kg)の鉄粉を供給ロスなく供給でき、ほぼ均一に土壌中に混合することができることを見出すことができた。
【0057】
図9は、本発明の土壌浄化システムに用いることができる鉄粉供給ライン中での鉄粉の堆積を防止する装置の概略を示した図である。本発明の土壌浄化システムは、図1に示す走行部20に鉄粉供給装置8および酸化剤容器10および酸化剤供給手段11および圧縮空気供給手段13を載置し、ロッド17の上端部の接続部までの距離を短くし、ライン途中で鉄粉を堆積するのを抑制することができるが、走行部20に載置できず、浄化位置から鉄粉供給装置8までの距離が遠い場合に、図9に示す鉄粉堆積防止装置を使用することができる。
【0058】
図9に示す鉄粉堆積防止装置39は、図1に示す鉄粉供給ライン9の途中の鉄粉が堆積しやすい位置に設けることができる。鉄粉堆積防止装置39は、二重管構造とされていて、内管39aを、鉄粉を含む圧縮空気が流れ、内管39aと外管39bとの間を圧縮空気が流れるように、図1に示す圧縮空気供給手段13に接続されるようになっている。鉄粉を含む圧縮空気と図1に示す圧縮空気供給手段13から供給される圧縮空気とが、図1に示すロッド17に向いた方向で合流するようになっている。こうすることにより、通常流れる鉄粉とほぼ同じ方向に圧縮空気を供給し、圧縮空気による堆積した鉄粉を所定方向に飛散させることができる。この鉄粉堆積防止装置39は、必要に応じて必要な数だけ設けることができる。図1に示す鉄粉供給ライン9への接続は、フランジといった接続部材を使用して行うことができる。
【0059】
本発明を上述した実施の形態をもって詳細に説明してきたが、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、同様の効果を得ることができるものであれば、撹拌部材は上述した形状に限らず、いかなる大きさ、撹拌用螺旋状羽根の巻数、鉄粉および酸化剤の二重管および酸化剤注入管の配設位置であっても良く、鉄粉容器および酸化剤容器もいかなる形状および構造であってもよく、圧縮空気中に鉄粉を分散させた状態にすることができるのであれば、その他いかなる部材でも使用することができるものである。また、支持手段も、例示した実施の形態に限らず、ロッドを回転させ、昇降可能にするものであれば、これまで知られたいかなる部材または装置でも使用することができる。
【0060】
【発明の効果】
上述したように、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより、排土を伴うことなく、鉄粉の供給ロスを低減させることができ、所定量の鉄粉を広範囲に噴射させ、より均一に行き渡らせて土壌を浄化することが可能となる。
【0061】
また、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することにより、撹拌部材を回転させながら土壌中を上下に移動させることにより浄化効率が向上する。さらに、表面付近の土壌だけではなく、所定深さの土壌を浄化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の土壌浄化システムの概略を示した図。
【図2】 本発明の土壌浄化システムに用いる撹拌部材の例示した図。
【図3】 本発明の土壌浄化システムに用いる撹拌部材の二重管を拡大して示した図。
【図4】 本発明の土壌浄化システムに用いる鉄粉供給装置を例示した図。
【図5】 本発明の土壌浄化システムに用いる支持手段を例示した図。
【図6】 撹拌部材を連結した支持手段を土壌の所定位置に配置し、撹拌部材により土壌を掘削しているところを示した図。
【図7】 撹拌部材により所定深さまで土壌を掘削し、鉄粉および酸化剤を供給しているところを示した図。
【図8】 撹拌部材を上昇させながら鉄粉および酸化剤を噴射し、土壌を撹拌しているところを示した図。
【図9】 本発明の土壌浄化システムに用いることができる鉄粉堆積防止装置を例示した図。
【符号の説明】
1…土壌浄化システム
2、2a…切削部材
3…軸体
4…撹拌用螺旋状羽根
5…撹拌部材
6…支持手段
7…鉄粉容器
8…鉄粉供給装置
9…鉄粉供給ライン
10…酸化剤容器
11…酸化剤供給手段
12…酸化剤供給ライン
13…圧縮空気供給手段
14…圧縮空気供給ライン
15…圧縮空気供給ライン
16…車両
17…ロッド
18…挟持部
19…昇降手段
20…走行部
20a…アーム
21…先導管
22…突出部材
23…二重管
23a…内側管
23b…外側管
24…酸化剤注入管
25…フランジ
26…螺旋溝
27…弁
28…円筒容器
29…回転軸
30…鉄粉用螺旋状羽根
31…回転手段
32…排出口
33…計量手段
34…排出ライン
35…蓋
36…ライン
37…フレーム
38…地表面
39…鉄粉堆積防止装置
39a…内管
39b…外管

Claims (13)

  1. 先端部に切削部材と、周部に撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの二重管とを備える撹拌部材と、
    前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段と、
    鉄粉を収容する鉄粉容器と、前記鉄粉容器から排出される鉄粉量を制御する弁と、前記鉄粉容器に接続され、前記鉄粉容器から排出される前記鉄粉を受け入れる円筒容器と、前記円筒容器内に配設され、回転軸と前記回転軸に周設される鉄粉用螺旋状羽根と、前記回転軸を回転させる回転手段と、前記円筒容器に設けられる排出口とを備え、前記円筒容器内に供給された前記鉄粉を、前記鉄粉用螺旋状羽根の回転により前記排出口へと供給する鉄粉供給装置と、
    前記鉄粉容器と、前記二重管の内側管と、前記二重管の外側管とに空気または窒素を供給する空気または窒素供給手段とを含み、
    前記弁により制御される前記鉄粉量に応じて前記回転手段の回転数を変化させ、前記排出口から排出される前記鉄粉を前記空気または窒素によって前記内側管に供給し、前記内側管から排出される鉄粉を前記外側管に供給された前記空気または窒素により土壌に向けて噴射させることを特徴とする、土壌浄化システム。
  2. 前記鉄粉供給装置は、供給した前記鉄粉量を測定するための計量手段をさらに含み、前記計量手段により測定される前記鉄粉量により前記弁の開度を制御する、請求項1に記載の土壌浄化システム。
  3. 前記システムは、酸化剤供給手段をさらに含み、前記撹拌部材は、前記酸化剤供給手段から供給される酸化剤を前記土壌に噴射させるための少なくとも1つの酸化剤注入管をさらに含む、請求項1または2に記載の土壌浄化システム。
  4. 前記システムは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の土壌浄化システム。
  5. 前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と前記酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの二重管と前記少なくとも1つの酸化剤注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の土壌浄化システム。
  6. 前記支持手段は、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の土壌浄化システム。
  7. 前記外側管の内部には、螺旋溝が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌浄化システム。
  8. 先端部に切削部材と、周部に撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設される少なくとも1つの二重管とを備える撹拌部材を、前記撹拌部材を回転可能に、かつ昇降可能に支持する支持手段により回転および降下させて土壌を掘削するステップと、
    鉄粉を収容する鉄粉容器と、前記鉄粉容器から排出される鉄粉量を制御する弁と、前記鉄粉容器に接続され、前記鉄粉容器から排出される前記鉄粉を受け入れる円筒容器と、前記円筒容器内に配設され、回転軸と前記回転軸に周設される鉄粉用螺旋状羽根と、前記回転軸を回転させる回転手段と、前記円筒容器に設けられる排出口とを備える鉄粉供給装置の前記鉄粉容器と、前記二重管の内側管と、前記二重管の外側管とに空気または窒素供給手段により空気または窒素を供給するステップと、
    前記弁により前記鉄粉量を制御して、前記鉄粉容器から前記円筒容器に前記鉄粉を供給するステップと、
    前記弁により制御される前記鉄粉量に応じて前記回転手段の回転数を変化させるステップと、
    前記回転手段により前記回転軸を回転させ、前記鉄粉用螺旋状羽根の回転により前記円筒容器内に供給された前記鉄粉を前記排出口へと供給するステップと、
    前記排出口から前記鉄粉を排出させ、前記二重管の内側管に供給する空気または窒素に分散させるステップと、
    前記撹拌部材において、前記内側管から排出される前記鉄粉を前記外側管に供給された前記空気または窒素により土壌に向けて噴射させるステップと
    を含む、土壌浄化方法。
  9. 前記土壌浄化方法は、前記撹拌部材に供給した前記鉄粉量を計量手段により測定するステップを含み、前記鉄粉容器から前記円筒容器に前記鉄粉を供給するステップは、前記計量手段により測定される前記鉄粉量により前記弁の開度を制御するステップを含む、請求項8に記載の土壌浄化方法。
  10. 前記土壌浄化方法は、酸化剤供給手段から酸化剤を供給し、前記撹拌部材の少なくとも1つの酸化剤注入管から噴射させるステップをさらに含む、請求項8または9に記載の土壌浄化方法。
  11. 前記掘削するステップは、前記撹拌部材を所定方向に回転させて土壌の所定深さまで掘削するとともに該土壌を撹拌し、前記噴射させるステップおよび前記混合するステップは、前記撹拌部材を前記所定方向とは逆方向に回転させて地表面に向けて上昇させるとともに前記鉄粉および前記酸化剤を噴射し、かつ前記土壌を撹拌することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の土壌浄化方法。
  12. 前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される前記撹拌用螺旋状羽根と、前記撹拌用螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通して配設され、前記軸体を貫通して前記撹拌用螺旋状羽根の縁部に向けて配設され、前記鉄粉と酸化剤とを噴射するための前記少なくとも1つの注入管とを備えており、前記軸体は、長さ方向に沿った中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の土壌浄化方法。
  13. 前記支持手段は、前記撹拌部材を連結するロッドと、前記ロッドを正逆両方向に回転させるとともに該ロッドを支持する挟持部と、前記ロッドを昇降させる昇降手段とを含み、前記掘削するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを降下させるステップを含み、前記噴射させるステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させるステップを含み、前記混合するステップは、前記挟持部により前記ロッドを回転させ、前記昇降手段により前記ロッドを上昇させるステップを含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載の土壌浄化方法。
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