JP5322185B2 - 原位置浄化工法 - Google Patents
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Description
鉄塩等の触媒から成る助剤を揮発性有機化合物(VOC)、油等で汚染された土壌中に供給して(主剤と助剤とを)反応せしめ、生成されたヒドロキシルラジカルがVOC等を酸化分解し、以って、汚染土壌を浄化する(例えば、特許文献1参照)。
しかし、土壌を酸性にすると環境に負荷を与えると共に、環境汚染物質である重金属の溶出を促進する、という問題を有している。
係る問題に対処するべく、助剤に特殊な添加剤を加え、且つ、土壌中に存在する鉄(或いは鉄イオン)を用いて、過酸化水素と反応させる事によってヒドロキシルラジカルを生成し、以って、中性条件下でも効率良くVOC等を酸化分解する反応を進行させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、井戸を経由して主剤及び助剤を土壌中へ供給する場合には、浄化するべき地盤において、主剤と助剤とが確実に混合することが困難であり、主剤と助剤とが反応することを確実に保証することは不可能である。
(ここでRは、−CH(CH3)COOX、−CH(COOX)C2H4COOX、−CH(COOX)CH2COOX、または、−C2H4SO3X、XはHまたはアルカリ金属)と鉄塩とpH調整剤とを含む助剤を圧縮空気の噴流で包囲して噴射(J1)すると共に前記主剤噴射用のノズル(N2)から過酸化水素を含む主剤を圧縮空気の噴流で包囲して噴射(J2)し、且つ、当該三重管ロッド(7B)を回転しつつ地上側へ引き上げ以って浄化するべき領域の土壌を助剤の噴流(J1)によって切削し細断すると共に助剤及び主剤と均一に混合し、その際、pHが8よりも高い助剤の噴流(J1)が主剤の噴流(J2)よりも垂直方向上方に位置しており、土壌を切削し混合した助剤が存在する領域に主剤が噴射されるようになっている。
そして、土中における鉄イオン(及び/又は重金属イオン)の量が汚染物質の分解反応に必要な量に比較して少ない場合には、助剤中に、二価鉄或いは三価鉄を添加することも可能である。そして、二価鉄或いは三価鉄の添加量は、H2O2と反応して発生するヒドロキシルラジカルが汚染物質の分解反応に必要な量となるのに必要な量よりも多く設定されるのが好ましい。
これらの量は、事前のトリータビリティー試験によって把握される。
また、上述したような助剤及び主剤を使用することにより、重金属の溶出を防止しながら、VOC等を分解することが出来る。
そして本発明によれば、主剤が土壌中に噴射される段階では、処理すべき土壌(Gp)は助剤噴流(J1)により細かく切削され、且つ、助剤と充分に混合されているので、助剤、主剤、土壌中の汚染物質は、確実に混合して、反応することが出来る。
本発明では、(例えば、助剤噴射用のノズルN1を主剤噴射用のノズルN2よりも垂直方向上方に配置することによって)助剤の噴流(J1)が主剤の噴流(J2)よりも垂直方向上方に位置しているので、主剤が噴射される領域では、すでに助剤により土壌が切削され、土壌と助剤とが混合されている。
そして本発明において、主剤の噴流(J2)の周囲を圧縮空気の噴流で包囲する様に噴射すれば(請求項2)、助剤と汚染された土壌との混合物が存在する領域の半径方向最外方部まで主剤の噴流が確実に到達するので、助剤で掘削された領域において確実に主剤と助剤とが混合し、汚染物質を分解することが出来る。
本発明の実施形態の理解を容易にするため、最初に図1〜図8を参照して、本発明の参考例を説明する。
そして、モニタ6のノズルN1から助剤(及び圧縮空気)を噴射して、浄化するべき地盤の領域Gpの切削を開始する。図2における符号J1は、ノズルN1から噴射される助剤のジェットを示している。
助剤を噴射するよりも先の段階で主剤を噴射すると、主剤中のH2O2(過酸化水素)が自然分解し、或いは土中の物質と反応し、無駄に分解してしまう。
一方、助剤存在下であれば、主剤は鉄キレートと反応して、ヒドロキシルラジカルを生じる。そして、ヒドロキシルラジカルが汚染物質であるVOC等と反応して分解することにより、汚染土壌の浄化が行われる。
参考例では、主剤中のH2O2が無駄に分解してしまうことを防止するため、図2、図3で示す工程において、主剤の噴射以前の段階で助剤を噴射(J1)し、処理すべき土壌Gpを切削し、助剤と土壌とを混合しているのである。
切削・混合するに際しては、噴射用ロッド7を回転(矢印Rの動作)させて、浄化するべき土壌Gpを円盤状に切削しながら、引き上げる(矢印Yの動作)。
図2における符号8は、土壌Gpを助剤で切削・混合する際に発生したスライムを示している。
助剤を土壌と混合することにより、汚染領域Gpを泥土状とせしめ、主剤を噴射する際に、噴射圧力を非常に高い圧力とすることなく、主剤が確実に汚染領域Gp中の全域に到達することを可能にしている。このことは、使用エネルギーの削減と、施工コストの低減に寄与している。
鉄イオンの量は、事前に調査ボーリング等を行うことにより、正確に把握することが可能である。
ここで、助剤には、必ずしも鉄などの触媒を含める必要はない。助剤に鉄などの触媒を含めない場合は、コスト削減に繋がる。
そして、地盤中に添加する薬剤は、自然分解するものを選択し、環境負荷が小さい様に設定されているのが好適である。
係るpHの調整は、例えば、助剤を製造する最終的な段階で、pH調整剤を添加することにより行われる。
従って、領域Gpを酸性にして環境に多大な負荷を与えない様に、領域Gpを中性に保持したままで汚染物質を浄化することができるのである。
助剤の噴流J1の周囲を、複数の圧縮空気の噴流(Ja:図示を省略)で包囲して、噴流が土中で(半径方向外方へ)到達する距離を延ばすためである。
その場合には、二重管の内管を助剤が流れ、外管を圧縮空気が流れるように構成されている。
泥土柱9は、図2を参照して説明した様に、噴射用ロッド7を回転させながら引き上げることにより、円柱状に造成される。
係るpH範囲を逸脱すると、施工領域Gp及びその周辺における環境に対して与える影響(負荷)が大きいからである。
ここで、汚染物質の拡散を防止するため、噴射用ロッド7の洗浄で使用された洗浄水は、図示しない施設で処理される。VOC等の拡散防止のため、係る処理もスライムの場合と同様に、全て閉鎖系で行われる。
汚染土壌のVOC等濃度については、施工に先立って、事前調査をすることにより決定することが出来る。
但し、H2O2濃度が5%を超えている場合において、施工現場における各種条件等に基づいて、図5の工程を省略することは可能である。
また、H2O2濃度が5%未満であっても、条件次第によっては、図5のガス抜き孔10を穿孔する工程を実行する。
図6、図7で後述する工程で主剤を円柱状泥土柱9内に噴射するが、その際に主剤と助剤とが接触することにより発生する酸素を地上側に抜くために、ガス抜き孔10が必要となる。
図6における符号J2は、噴射される主剤のジェットを、符号N2は主剤を噴射するノズルを示している。
主剤の噴射に際しては、円柱状の泥土柱9の最下方まで、主剤噴射用のロッド(φ45二重管とは別のロッド)7Aを挿入する。主剤噴射用ロッド7Aは、二重管で構成され、主剤に加えて、図示しない圧縮空気用のノズルを介して圧縮空気も噴射する。
主剤は所定圧力(2〜50MPa)でノズルN2から噴射される。主剤は、その噴流J2の周囲を圧縮空気の噴流(Ja:図示を省略)で包囲された状態で、円柱状の泥土柱9内に且つ半径方向外方へ噴射される。
ここで、主剤の噴射圧が2MPa未満であると、円柱状の泥土柱9内を進行して混合を行うのには不十分である。一方、噴射圧が50MPaを超えてしまうと、噴射に必要な動力が大きくなり過ぎて、不経済である。
ここで、主剤は過酸化水素(H2O2)と共に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムの中から選択される少なくとも1種類のpH調整剤を添加することが可能である。
円柱状の半径方向外方縁部まで到達しなければ、円柱状の泥土柱9における全ての領域で主剤と助剤とが反応することが出来ない。その様な事態を防止するため、円柱状の泥土柱9内部で、主剤が円柱状の半径方向外方縁部まで確実に到達する必要がある。
係る理由により、主剤の噴流J2の周囲を圧縮空気の噴流で包囲した状態で、噴射するのである。
円柱状の泥土柱9内に存在する汚染物質(VOC等)が分解される結果、当該泥土柱9内が浄化される。
上述したような助剤及び主剤を使用することにより、重金属の溶出を防止しながら、VOC等を分解することが出来る。
また、領域Gp及びその周辺の環境に対する負荷を、小さくすることが出来る。
これにより、発生した酸素による地盤の隆起を防止できる。
上述した様に、主剤の噴射圧が2MPa未満では、円柱状の泥土柱9内を進行して混合を行うのには不十分である。一方、噴射圧が50MPaを超えてしまうと、噴射に必要な動力が大きくなり過ぎて、不経済である。
発生したスライム8は、前述のように、閉鎖系を介して地上側の図示しない処理施設に搬送され、処理される。
汚染物質の拡散を防止するため、ロッド7Aの洗浄で使用された洗浄水も、閉鎖系を介して、図示しない施設で処理される。
泥土柱9Xの内部では、主剤と助剤とVOC等とが反応して上述した様な反応が進行し、VOC等を分解する。
主剤と助剤とVOC等との反応が終了し、酸素が生成しなくなれば、ボーリング孔5やガス抜き孔10を埋め立てる。
そして、必要に応じて、別の作業現場にて、図1〜図8の工程を実行する。
図1〜図8の参考例では、助剤を噴射する工程(図2、図3)を行った後に、主剤を噴射する工程(図6、図7)を実行している。それに対して、図9〜図13で示す本発明の実施形態では、三重管30で構成された噴射ロッド7Bにより、主剤と助剤を一工程で噴射している。
図9の例では、ボーリングロッド4Bの上端に、削孔水の給水金具40が取り付けられ、地中側の先端には、スタビライザ42を介して、切削歯であるメタルクラウン44が取り付けられている。
図9で示す工程は、図1で示す工程と同様である。ただし、後述する様に、図9で削抗されたボーリング孔5Aには三重管からなるロッド(噴射ロッド:以下、三重管ロッドと言う)7Bを挿入するので、図1で示す工程で削孔される二重管を挿入するべきボーリング孔5よりも、図9で削孔するべきボーリング孔5Aの方が、その内径が大きくなる。
図9において符号20は、発生したスライムを貯留しておくスライムピットを示している。
但し、半径方向中央の流路に圧縮空気を流過し、半径方向最外方の流路に主剤を流過させることも可能である。
なお、主剤及び助剤の組成については、図1〜図8の第1実施形態と同様である。
なお、図示は省略するが、半径方向中央の流路に圧縮空気を流過し、半径方向最外方の流路に主剤を流過する場合には、半径方向中央の流路と地上側の圧縮空気供給系統とを接続し、半径方向最外方の流路と地上側の主剤の供給系統とを接続する。
そして図11の工程では、主剤及び助剤を噴射しつつ、三重管ロッド7Bを回転(矢印R)し、且つ、地上側へ引き上げている(矢印Y)。
係る事態を防止するため、助剤が存在する領域に主剤が噴射される様に、図11で示す様に、助剤噴射用ノズルN1は主剤噴射用ノズルN2に比較して、垂直方向上方(地上側)に配置されている。
上述した様に、助剤噴射用ノズルN1及び主剤噴射用ノズルN2は、その周囲に複数の圧縮空気噴射用ノズルNaが配置されており、助剤の噴流J1及び主剤の噴流J2の各々が、複数の圧縮空気の噴流Jaで包囲されている。
図12において、主剤の噴流J2を包囲する圧縮空気の噴流と、主剤噴射用のノズルN2周辺に設けられた圧縮空気のノズルとは、図示を省略されている。
このスライム8はVOC等を含有しているので、そのまま地上側に流出したのでは、VOC等が大気中に拡散されてしまう。
図12では、図示の簡略化のため、スライムピット20まで上昇したスライム8が大気に露出している様に表示されているが、実際のシステムでは、上述した通り、スライム8が大気に露出すること無く、閉鎖系(図示せず)を介して、図示しない処理施設に搬送される。そのため、VOC等が作業現場の大気中に拡散してしまうことが防止される。
引き上げられた三重管ロッド7Bは、図示しない洗浄施設で洗浄される。VOC等の拡散防止のため、洗浄施設で使用された洗浄水も、閉鎖系によって、図示しない処理施設に送られる。
2・・・コア抜きされた空間
3・・・ガイドパイプ
4・・・ボーリングロッド
5・・・ボーリング孔
6・・・噴射機構/モニタ
7、7A、7B・・・噴射用ロッド
8・・・スライム
9・・・円柱状の泥土柱
10・・・ガス抜き孔
20・・・スライムピット
30・・・三重管スイベルジョイント
50・・・クレーン
Claims (1)
- 汚染された土壌や地下水を地上側に搬送することなく現位置で浄化する原位置浄化工法において、施工領域である汚染土壌を含む領域(Gp)にボーリングマシーン(1A)を用いてボーリングロッド(4B)によりボーリング孔(5A)を削孔し、ボーリングロッド(4B)を引き抜いた後に先端に助剤噴射用のノズル(N1)と主剤噴射用のノズル(N2)とが形成されている三重管ロッド(7B)を前記削孔したボーリング孔(5A)の下端まで挿入し、前記助剤噴射用のノズル(N1)から、以下の一般式で示すビス(カルボキシメチル)アミン系生分解性キレート剤
(ここでRは、−CH(CH3)COOX、−CH(COOX)C2H4COOX、−CH(COOX)CH2COOX、または、−C2H4SO3X、XはHまたはアルカリ金属)と鉄塩とpH調整剤とを含む助剤を圧縮空気の噴流で包囲して噴射(J1)すると共に前記主剤噴射用のノズル(N2)から過酸化水素を含む主剤を圧縮空気の噴流で包囲して噴射(J2)し、且つ、当該三重管ロッド(7B)を回転しつつ地上側へ引き上げ以って浄化するべき領域の土壌を助剤の噴流(J1)によって切削し細断すると共に助剤及び主剤と均一に混合し、その際、pHが8よりも高い助剤の噴流(J1)が主剤の噴流(J2)よりも垂直方向上方に位置しており、土壌を切削し混合した助剤が存在する領域に主剤が噴射されることを特徴とする原位置浄化工法。
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