JP4193988B2 - 汚染土壌の浄化工法およびその装置 - Google Patents
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ここで、特に地盤中の所定深度の領域に含有されている汚染物質の浄化については、汚染された土壌を地上まで搬出すること無く、当該地盤中で処理することが望まれている。
しかし、広い範囲に亘って汚染された土壌を地上まで搬出すること無く、当該地盤中で処理することが出来て、しかも、汚染された土壌の浄化を確実且つ容易に行うことができる様な技術は、現時点では提案されていない。
ここで高温水は、対象汚染物質を気化・溶出する作用を奏する。電解水は、汚染物質を中和する作用を奏する。純水は不純物を含まないので、汚染物質を溶解し易く、そのため、汚染物質を良好に洗浄し、溶解する作用を奏する。オゾン水は汚染物質を酸化する作用を奏する。そして栄養剤は、微生物(好気性微生物及び/又は嫌気性微生物)を活性化して汚染物質を分解する作用を奏する。
すなわち、前記機能水、すなわち高温水、電解水、純水、オゾン水、および好気性微生物の栄養剤を混合した水、の何れか又はその組み合わせの作用、すなわち汚染物質の分解、溶解、酸化、還元、洗浄する作用を用いて、汚染物質の回収の効率化を図ることができる。そして、どの様な機能水を用いるべきかについては、汚染物質の種類、状態、施工現場の状況、その他の条件に対応して適宜選択・決定をするべきである。
なお、例えば空気噴出に伴って汚染土壌中を曝気して好気性微生物を活性化させ、その生化学反応によって長期的に汚染物質を分解させることもできる。その場合は、予め微生物の栄養剤を注入するのが好ましい。
(1) 土壌を掘削搬出すること無く汚染物質を除去できる。したがって巨大な設備が不要となり、運搬費、廃棄場スペース、埋め戻し土砂量などが不要となるか、或いは以前に比較して遥かに小さく(少なく)て済む。
(2) 短期では空気によって汚染物質を連行して除去し(スパージング:sparging)、長期では好気性微生物による生化学作用で汚染物質を分解することにより、汚染物質を浄化する。
(3) 交差噴流(後述)を使用すれば、予め切削範囲が判るので汚染範囲に対して必要最小限の施工を行えばよい。
(4) パッカーによって空気が遮断されるので、切削領域を確実にエアスパージングできる。
図1において、符号Dは施工対象の汚染地盤の領域を示し、その汚染地盤の施工領域Dの上方の地面S上にボーリングマシン1が設置されている。そして、そのボーリングマシン1により、対象地盤の切削範囲D内へボーリング孔Hが削孔され、そのボーリング孔HにモニタMを有するパイプ2が挿入される。上述した様に、モニタMは図示しないノズルを具備しており、当該ノズルから高圧液ジェットJが噴射されるようになっている。
パイプ2の先端に設けられたモニタMには、図3に示すように離隔して2つのノズルN1、N2が設けられており、そのノズルN1、N2から噴射されるジェットJ1、J2が半径rの位置にて所定角度αで交差するように配設されている。
ここで、交差噴流においては、噴流同士が交差或いは衝突する地点で噴流は全方向へ発散し、運動エネルギーを消失することが知られている。そのため、噴流同士が交差する箇所よりも半径方向外方では、噴流には土壌を掘削するだけの運動エネルギーが存在しないので、土壌の掘削が為されない。そのため、高圧液ジェットJ1、J2は、その交差位置である半径方向位置、すなわち半径rの箇所で、その到達距離が高精度に制御される。そして、パイプ2を回転させながら上下方向に移動させることによってパイプ2を中心として、実質的に円筒状をした半径rの切削範囲Lが、高差噴流を構成するジェットJ1、J2により切削される。
先ず、上記切削工程で切削された汚染地盤Dの切削範囲Lに、二重管3、4が挿入される。二重管3、4を挿入することにより空気注入用のボーリング孔が形成される。ここで、内管(空気圧送管)3は、図4で示すように、汚染地盤の切削範囲Lの下方まで挿入されている。
また、内管3外周の汚染地盤の切削範囲L下方には、圧縮空気の供給・排出によって膨張・収縮するパッカー8が設けられている。そのパッカー8は、所定位置まで挿入されると、圧縮空気を供給されて(加圧されて)拡径し、ボーリング孔Hの内壁面との空隙を遮断(閉塞或いはシール)する。その結果、後述する様に、ジェットにより切削範囲全体が、その下方より気泡に晒されるようになる。
パッカー8下方の内管3外周の空気噴出孔には、微細な気泡が地盤中に放出される様に、ストレーナ9が設けられている。
外管4の下端は切削範囲Lの上方に位置して、空気および汚染物質をその内部に集める様に構成されている。
これを図4で説明したようにエアパージングすると右側の図面Bで示すように土壌と機能水との混合体Xの上部にはブリージングによって空間部分Yが生じる。この空間部分Yには洗浄剤を注入して洗浄し、さらに充填材を注入して充填する。
図6に示すように二重管の内管(圧送管)3Aは、ノズルを設けたモニタMの先端からさらに延長され、ストレーナ9が設けられてその内部は空気噴出孔となっている。そして、その上方にはパッカー8が設けられている。
図示のように、機能水のジェットJによって汚染領域Dは切削範囲Lが切削され、さらに、図7に示すように圧送管3A先端は切削範囲Lの下方に挿入されてパッカー8が拡径され、空気源Aから送気される。噴出された空気は、パッカー8によって切削領域の全体を通過し、汚染物質を収集手段10に連行し、土壌を浄化する。
すなわち、高温水は対象汚染物質であるVOCを気化・溶出する作用を奏するが、例えば機能水として電解水を用いれば、酸性の汚染物質を中和して処理することができる。また、機能水として純水を選択すれば、純水は不純物を含まないので、汚染物質を溶解し易く、そのため、汚染物質を良好に洗浄し、溶解することができる。さらに、汚染物質がアルカリ性である場合には、機能水としてオゾン水を選択することにより、当該アルカリ性の汚染物質を中和して無害化することが可能である。これに加えて、機能水として栄養剤を混合した水を用いれば、土壌中の微生物(好気性微生物及び/又は嫌気性微生物)を活性化して汚染物質を分解することができる。
2・・・パイプ(ボーリング管)
3・・・内管(圧送管)
4・・・外管(案内管)
5・・・高圧ポンプ
8・・・パッカー
9・・・ストレーナ
10・・・空気および汚染物質の収集手段
D・・・汚染地盤
Claims (3)
- 土壌中の汚染物質を浄化するために汚染土壌にボーリング孔を削孔し、交差ジェットを噴射するノズルを備えたモニタを下端部に有するパイプをボーリング孔内に挿入し、地上から所定深さの汚染土壌中に汚染物質の回収を効率化する機能を有する機能液体をモニタから交差ジェットとして高圧噴射し、汚染土壌と液体との混合体の円筒状の切削領域を形成し、下端部にパッカーを有する内管及び外管よりなる二重管をそのパッカーが前記円筒状領域の下方に達するまで挿入し、内管に空気を送りパッカーを膨張させて内管とボーリング孔内壁面との隙間を閉塞し、内管の先端から空気を気泡として噴出して切削領域内を上昇させるとともに、機能液体により抽出された汚染物質を連行させ、汚染物質を連行した気泡を外管内を上昇させて外管の上部に設けた収集手段に吸引させることを特徴とする汚染土壌の浄化工法。
- 土壌中の汚染物質を浄化するために汚染土壌にボーリング孔を削孔し、交差ジェットを噴射するノズルを備えたモニタ及びパッカーを下端部に有する内管と外管とよりなる二重管をボーリング孔内に挿入し、その際パッカーが切削領域の下方に達するまで挿入し、地上から所定深さの汚染土壌中に汚染物質の回収を効率化する機能を有する機能液体を内管を介してモニタから交差ジェットとして高圧噴射し、汚染土壌と液体との混合体の円筒状の切削領域を形成し、内管の先端を切削領域の下方に挿入して内管に空気を送り、パッカーを膨張させて内管とボーリング孔内壁面との隙間を閉塞し、内管の先端から空気を気泡として噴出して切削領域内を上昇させるとともに、機能液体により抽出された汚染物質を連行させ、汚染物質を連行した気泡を外管内を上昇させて外管の上部に設けた収集手段に吸引させることを特徴とする汚染土壌の浄化工法。
- 汚染物質の回収を効率化する機能を有する液体として、高温水、電解水、純水、オゾン水、および好気性微生物の栄養剤を混合した水、のいずれかを単独または組み合わせて用いることを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌の浄化工法。
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