JP3970109B2 - 土壌の浄化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌の浄化方法に関し、より詳細には、撹拌部材を用いて酸素含有物質、分解微生物、分解微生物を活性化させる栄養分といった浄化促進物質と土壌とを撹拌しながら混合し、土壌中の有機塩素化合物、油、溶剤、揮発性物質、農薬、シアンなどの汚染物質を酸化分解や、微生物による分解を促進させて汚染土壌を浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機塩素化合物、油、溶剤、揮発性物質、農薬、シアンのほか、紙くずや生ゴミといった多量の有機物を含む廃棄物による土壌の汚染が問題となっている。
有機塩素化合物は、優れた溶解力を有し、溶剤として広く使用されているが、発ガン性の問題や環境問題により大気中への放出が制限されている。有機塩素化合物は、揮発性を有し、水に溶解しにくいといった性質を有している。従来、有機塩素化合物といった揮発性有機化合物(VOC)を除去するシステムとして、通気井戸などから空気や温風を通気して土壌中からストリッピングするシステムが用いられている。例えば、上記システムとしては、土中に石灰を注入し、その反応熱と土壌改質によりVOCの揮発を促進して、ガス吸引井戸からVOCを除去するシステムが知られている。しかしながら、ストリッピング処理には、数ヶ月から数年かかり、土壌中の揮発性有機化合物の拡散が広範囲にわたるなどの問題があった。
【0003】
上述した問題に鑑み、ダイオキシンといった有機塩素化合物で汚染された土壌および地下水を過酸化水素と鉄とを用いて酸化分解して処理する方法が提案されている。例えば、特開2000−197867号公報によれば、ダイオキシン類を含む固体に水を加え、スラリー状態で混練または撹拌しながら、硫酸第1鉄を添加し、次いで過酸化水素を添加してダイオキシン類を分解することが開示されている。また、特開2000−197867号公報には、上記硫酸第1鉄が触媒として作用し、常温から100℃の温度でダイオキシン類が分解することが開示されている。
【0004】
また、特開2000−210683号公報によれば、有機塩素化合物で汚染された土壌および地下水に、二価の鉄イオンの存在下、過酸化水素を添加し、次いで過マンガン酸塩を添加する方法が開示されている。また、特開2000−210683号公報には、還元性物質である二価の鉄イオンを過酸化水素により三価に酸化すると同時に汚染物質である有機塩素化合物を分解し、次いで添加される過マンガン酸塩によって残存する汚染物質を完全に分解することができることが開示されている。
【0005】
さらに、特開2001−240596号公報によれば、鉄イオン、銅イオン、コバルトイオンおよびマンガンイオンの中から選ばれた少なくとも1つの金属イオンの下、過酸化水素を作用させてジベンゾ−p−ジオキシンおよびジベンゾフランを酸化分解することが開示されている。
【0006】
しかしながら、特開2000−197867号公報に開示の方法は、多大なエネルギーを不要とするものの、原位置での浄化を行うことができず、別途混練機を必要とし、混練機に被処理物と水と硫酸第1鉄と過酸化水素とを加えて湿潤状態またはスラリー状態で混練または撹拌しなければならず、広い土壌におけるダイオキシン類の除去には時間および労力を要し、浄化を容易に行うことができないといった問題があった。また、特開2000−210683号公報に開示の方法は、直接土壌に過酸化水素および過マンガン酸塩を散布するなどして添加するため、過酸化水素および過マンガン酸塩が均一にならないといった問題や所定の深さの土壌において充分に浄化を行うことができないといった問題があった。さらに、特開2001−240596号公報に開示の方法では、撹拌機を備えた反応槽を用いた処理装置において浄化を行うため、広い土壌における有機塩素化合物の除去を容易に行うことができず、時間および労力を要するといった問題があった。また、従来においては、土壌を掘り起こし、過酸化水素および鉄粉などを混合して埋め戻すといった作業を必要とし、さらに時間や労力を要していた。
【0007】
廃棄物は、可燃物であれば焼却処理するなどして容量を減少させ、不燃物に対してはそのまま、最終処分場に埋め立て処分されている。最終処分場では、埋め立て後の有機物の長期間にわたる生分解において有毒ガスや悪臭が発生するといった問題や、汚染物質を多く含む浸透水が発生し、処分場の構造によっては処分場の周囲の土壌にまで浸透して汚染されるといった問題が生じており、これら廃棄物により汚染された土壌を効果的に浄化するための方法および装置が望まれている。また、土壌中には、割れ目や柔らかい箇所があって全体に均一ではないため、酸素や栄養分を供給しても割れ目や柔らかい箇所に集中し、土壌全体を均一に浄化することが困難である。したがって、浄化促進成分の到達距離を長くして浄化促進成分を広範囲に行きわたらせることが可能な装置が望まれている。
【0008】
上述した問題に鑑み、特開2001−145872号公報では、汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤に挿入した注入井に超高圧をもって浄化促進成分を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に供給し、この注入井の噴射口から超高圧の浄化促進成分を汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤中に吹き込む汚染地盤の浄化方法および浄化装置を開示している。特開2001−145872号公報に開示の方法および装置は、空気や分解微生物の栄養分などの浄化促進成分を超高圧、短時間の間隔でパルス状にして間欠的に供給することにより、汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤の広範囲にまで浄化促進成分を行きわたらせることが可能である。
【0009】
また、特開2001−129529号公報では、上記特開2001−145872号公報と同様に、浄化促進成分をより遠く、かつ広範囲に到達させて汚染地盤の浄化能力を大幅に向上させることを可能にし、特に高価な分解微生物を可及的に回収して再利用する汚染地盤の浄化方法を開示している。さらに、特開2001−129519号公報では、焼却処理をせずとも、有機物質の生分解で廃棄物の可及的な減量化が可能で、大気の汚染も防止でき、かつ浄化促進成分、特に高価な分解微生物を回収再利用可能で浄化コストを低減し、さらには汚染物質の多い浸出水の拡散をも防止することを可能にする有機廃棄物の処理システムを開示している。上記方法およびシステムは、いずれも空気や分解微生物の栄養分といった浄化促進成分を超高圧をもって短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給することを特徴としている。
【0010】
しかしながら、特開2001−145872号公報に開示の方法および装置、特開2001−129529号公報に開示の方法、特開2001−129519号公報に開示のシステムは、1つ、または複数の注入井を形成する必要があり、注入井を形成する際に掘削手段を必要とし、超高圧をもって短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給することで、より遠く、かつ広範囲に行きわたらせることを可能にするものの、土壌または廃棄物埋め立て地盤においてより均一に行きわたらせて効率良く浄化を行うことは困難であった。また、上記方法およびシステムでは、注入井を形成するための労力やコストがかかり、掘削する際の排土の問題も生じていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤などの土壌を撹拌しながら浄化促進物質を供給することを可能とする撹拌部材を用い、土壌中に供給した浄化促進物質が均一になるように撹拌して混合することで、原位置において、容易かつ充分に浄化することを可能とし、撹拌部材を回転させながら土壌中を上下に移動させることにより浄化効率を高めることを可能にし、さらには所定深さの土壌を浄化することも可能とする土壌の浄化方法を提供することを目的とする。また、浄化促進成分を所定方向に対して高圧で間欠的に供給することで、土壌に付着した油分を剥離させ、より遠く、かつ広範囲に行きわたらせて広範囲において土壌の浄化を行うことを可能にする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、本発明の土壌の浄化方法を提供することにより達成される。
【0013】
すなわち、本発明の請求項1の発明によれば、先端部に切削部材を備える撹拌部材を回転させて土壌を掘削するステップと、
前記撹拌部材から該撹拌部材の周囲に向けて浄化促進物質を200kPa〜1000kPaの圧力で前記土壌に供給するステップと、
前記撹拌部材を回転させることにより前記土壌と前記浄化促進物質とを混合するステップとを含む土壌の浄化方法が提供される。
【0014】
本発明の請求項2の発明によれば、前記撹拌部材は、先端部に前記切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結される中空の軸体と、前記軸体に周設される螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通り、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される、前記浄化促進物質を供給するための注入管とを備え、
前記軸体は、長さ方向に沿って中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成される土壌の浄化方法が提供される。
【0015】
本発明の請求項3の発明によれば、前記土壌の浄化方法は、前記撹拌部材を所定方向に回転させて所定深さまで掘削するとともに前記土壌を撹拌し、前記撹拌部材を前記所定方向とは反対方向に回転させて地表面に向けて移動するとともに前記土壌を撹拌することを可能とする土壌の浄化方法が提供される。
【0016】
本発明の請求項4の発明によれば、前記浄化促進物質は、空気、過酸化水素、オゾンから選択される酸素含有物質、分解微生物、前記分解微生物を活性化させるための隣、窒素、カリウム、珪素から選択される栄養分である土壌の浄化方法が提供される。
【0017】
本発明の請求項5の発明によれば、前記土壌を掘削するステップは、前記軸部の内部を通して前記先導管から圧縮空気を噴射するステップを含む土壌の浄化方法が提供される。
【0018】
本発明の請求項6の発明によれば、前記土壌の浄化方法は、さらに、前記撹拌部材から離間して吸引孔を設け、前記吸引孔を通して前記土壌中のガス状物質を回収するステップと、回収した前記ガス状物質を浄化し、無害化して排出するステップとを含む土壌の浄化方法が提供される。
【0019】
本発明の請求項7の発明によれば、 前記ガス状物質を回収するステップは、前記浄化促進物質を回収し、回収した前記浄化促進物質を再利用することを含む土壌の浄化方法が提供される。
【0020】
本発明の請求項8の発明によれば、前記土壌の浄化方法は、さらに、地表面にシート部材を敷設し、前記地表面と前記シート部材との間に吸引管を設置して、前記吸引管を通して前記土壌中のガス状物質を回収するステップと、回収した前記ガス状物質を浄化し、無害化して排出するステップとを含む土壌の浄化方法が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。本発明は、汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤などの汚染された土壌を浄化する方法であり、土壌に含まれる汚染物質に応じた浄化作用を提供するために浄化作用に応じた浄化促進物質を用いることができ、汚染土壌の性質に応じて汚染物質を除去することを可能とする有効な方法である。本発明において土壌は、有機塩素化合物、溶剤や油といった油分、揮発性物質などによって汚染された汚染地盤や、紙くずや生ゴミなどの廃棄物を埋め立てた廃棄物埋立地盤を挙げることができる。
【0022】
本発明の土壌の浄化方法に用いる浄化促進物質としては、微生物を活性化させるために必要な空気、過酸化水素、オゾンから選択される酸素含有物質、汚染物質を分解する分解微生物、分解微生物の生命を維持する上で必要とされる隣、窒素、カリウム、珪素といった栄養分を挙げることができる。また、栄養分には、炭素、水素、酸素のほか、マンガンなどの微量元素を挙げることができる。酸素含有物質として使用することができる過酸化水素は、重金属やアルカリ、その他酸化されやすい有機化合物が存在しない場合、安定な物質である。過酸化水素は、特に白金、銀、銅、鉄、クロム、マンガンなどの金属と接触すると、急激に分解し、酸素および熱を発生することが知られている。また、オゾンも、酸化マンガン、酸化鉛、白金粉末などに接触することで分解が促進される。過酸化水素やオゾンは、強い酸化力を有し、上記有機塩素化合物を酸化分解し、炭酸ガスおよび塩素に分解する。本発明においては、上述した性質を利用し、過酸化水素やオゾンは、鉄粉といった金属成分とともに供給し、充分に混合することにより、土壌を汚染する揮発性有機化合物といった土壌汚染物質を酸化分解して土壌を浄化することが可能となる。また、過酸化水素やオゾンの分解反応によって発生する酸素を土壌中に供給することにより、微生物を活性化させ、上述した有機化合物のほか、無機化合物を処理することも可能である。さらに、過酸化水素は、分解して酸素を発生する際の気泡によって油分による汚染された土壌に付着した土粒子から油分を剥離する効果があり、水と酸素に分解した後は余分な物質が残留せず、かつ霧状で容易に供給することができる。
【0023】
本発明の土壌の浄化方法に用いることができる浄化促進物質として分解微生物を供給する場合には、有機塩素化合物、溶剤や油といった油分、揮発性物質、紙くずや生ゴミなどの廃棄物を分解することができる微生物を供給することでき、具体的には、トリクロロエチレンを酸化分解するメタン資化性菌、トルエン資化性菌、フェノール資化性菌、硝化細菌、プロパン酸化細菌、イソプロピレン酸化細菌などを挙げることができる。
【0024】
本発明において浄化促進物質は、空気、酸素、過酸化水素、オゾンについてはガス状であるため、所定の圧力で、分解微生物や栄養分については圧縮空気とともに、または水に分散させてスラリーとして供給することができる。また、過酸化水素は、水に溶かして所定濃度の過酸化水素水として供給することもできる。これらの浄化促進物質は、土壌中、より遠く、かつ広範囲まで行きわたらせることができるように高圧で供給される。このようにすることで、土壌の堆積状態に変化を及ぼして、土壌全体に行きわたらせることを可能にする。また、本発明においては、揺動撹拌することで、周囲の土壌を柔らかくしてより広範囲に、かつ多方向に分散させることを可能にする。本発明においては、所定方向の土壌に対しては撹拌部材の回転により、実質上、間欠的に供給されることとなる。この場合、浄化促進物質を供給する注入管の本数および撹拌部材の回転数にもよるが、土壌中に広く行きわたらせるために所定方向の土壌に対して0.5s−1〜3s−1の周期で浄化促進物質を供給することができる。また、本発明においては、土壌中に噴射することができる圧力であればいかなる圧力であっても良いが、地盤が崩壊しない程度の圧力として、例えば、200kPa〜1000kPaの圧力とすることができる。本発明においては、これらの圧力、周期に限らず、適切な圧力および周期を選定することができる。また、本発明においては、間欠的に供給することも可能であり、浄化促進物質の通路をランダムにして少ない量の浄化促進物質で土壌に広く行きわたらせることができる。
【0025】
図1は、本発明の土壌の浄化方法に用いることができる撹拌部材の一例を示した斜視図である。図1に示す撹拌部材1は、土壌の掘削部材としても使用することができる。図1に示す撹拌部材1は、先端部に切削部材2を備えた先導管3と、撹拌部材1の長さ方向に沿って中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされた軸体4と、軸体4の外側面に周設された螺旋状羽根5と、螺旋状羽根5の上面および下面に設けられた複数の突出部材6とから構成されている。図1に示す先導管3は、軸体4とフランジ7といった連結部材によって連結され、フランジ7には、先導管3と同様に切削部材2が設けられている。図1に示す切削部材2は、鋭く尖った先端部を備え、硬い土壌や石などを切削することができるようになっている。図1に示す軸体4は、円筒の両側に円錐を連結した形状とされ、外側面に螺旋状羽根5が周設されている。また、螺旋状羽根5の径も、軸体4と同様に、軸体4の中央部に配設される部分において最も大きく、軸体4の両端部に向けて径が小さくなるように形成されている。また、軸体4は、内部が中空とされ、軸体4の中空部分は、管が挿設されたり、先導管3から圧縮空気を噴射するために圧縮空気を通すことに使用される。図1に示す螺旋状羽根5は、上面および下面の所定位置に突出部材6が設けられていて、軸体4の内部から取り出された注入管8、9が螺旋状羽根5に沿って、螺旋状羽根5の内縁部から縁部に向けて配設されている。
【0026】
図1に示す撹拌部材1には、先導管3が連結されていない軸体4の端部を連結するとともに撹拌部材1を回転するための図示しない回転手段が設けられていて、撹拌部材1を回転させながら先導管3を土壌に接触させることにより掘削されるようになっている。図1に示す撹拌部材1は、先端部の切削部材2、先端部から中央部に向けて径が大きくされた軸体4、軸体4の径とともに中央部に向けて径が大きくされた螺旋状羽根5により、地中に向けてスムーズに掘削することができる。また、図1に示す撹拌部材1は、図示しない空気圧縮機や空気ボンベなどを使用し、撹拌装置1の先端に設けられた先導管3から圧縮空気を噴射するとともに、撹拌部材1の回転により土壌を掘削することができる。掘削する際に使用する圧縮空気は、掘削中の地盤への衝撃を低減させ、撹拌部材1に揺動撹拌効果を与えて掘削を容易にするために用いることができる。また、螺旋状羽根5に設けられた突出部材6は、矩形の板状のものとされ、螺旋状羽根5の上面および下面に複数配設されている。図1に示す突出部材6は、矩形とされた面が径方向に向くように設けられ、土壌を掘削または撹拌する際に撹拌部材1の回転をスムーズに行うことができ、排土の発生を起こりにくくしている。
【0027】
図1に示す撹拌部材1は、軸体4の中空とされた内部に設けられる注入管8、9を通して上述した浄化促進物質、例えば酸素および隣といった栄養分が供給され、軸体4の内部の注入管8、9の隙間を通して圧縮空気が供給されるようになっている。圧縮空気は、図1に示す撹拌部材1の先端部に設けられた先導管3から噴射され、切削部材2による切削をスムーズに行うことができる。図1に示す実施の形態では、注入管8、9が2本設けられているが、必要に応じていかなる数の注入管を設けることもできる。例えば、酸素と、栄養分と、分解微生物とを供給する場合には、3本の注入管が設けられ、それぞれの成分に対して2本以上の注入管を設けることも可能である。また、上記3本の注入管をそれぞれ分岐させて、それぞれの成分を複数の箇所から供給することもできる。さらに、本発明においては、外側の管から軸体4、第1の注入管、第2の注入管といったように配設した三重管構造とすることもできる。この場合、第2の注入管内には酸素や栄養分、第1の注入管と第2の注入管との間には分解微生物、軸体4と第1の注入管との間には圧縮空気といったように別々に供給することができる。第1の注入管および第2の注入管は、それぞれ分岐させて2以上の箇所から供給可能なようにされていても良い。本発明において栄養分や分解微生物は、圧縮空気とともに、または、水に分散させて供給することもできる。本発明において過酸化水素のように金属を腐食させる物質を用いる場合には、注入管8、9は、耐食性の材料を用いることができる。本発明においては、ステンレス製の鋼管や内部をテフロン(登録商標)加工した鋼管などを挙げることができる。図1に示す撹拌部材1は、掘削する場合に回転する方向とは反対方向に回転しながら土壌中から引き上げることができ、排土の発生を起こりにくくすることができる。また、撹拌部材1を撹拌しながら上下に移動させ、注入管8、9から浄化促進物質を供給することにより、原位置において広範囲に浄化促進物質を行きわたらせ、かつ土壌と浄化促進物質とを充分に混合することができる。これにより、土壌中に含まれる有機塩素化合物などの汚染物質が効果的に酸化分解または分解微生物分解される。また、本発明においては、浄化促進物質として空気などの酸素含有物質と隣などの栄養分とを、または酸素含有物質と栄養分と分解微生物とを同一の注入管から供給することもできる。
【0028】
図1に示す撹拌部材1に用いられる先導管3としては、いかなる径、長さの管であっても良い。また、切削部材2の形状および構造および材質は、適切に土壌を掘削することができるものであればいかなるものであっても良い。図1に示すような切削部材2の場合、いかなる数設けられていても良い。また、軸体4は、長さ方向に向いた中央部の径が大きくされ、両端部の径が小さくされ、中空で、かつ螺旋状羽根5を備えるものであればいかなる大きさのものであっても良い。また、螺旋状羽根5は、図1に示すように軸体4の長さ方向に向けていかなる周設けられていても良い。本発明においては、上述したように過酸化水素を使用する場合、過酸化水素が接触する部分は、テフロン(登録商標)加工したものを用いることができる。また、突出部材6は、いかなる数設けられていても良く、形状も上述した矩形の板状のものでなくても螺旋状羽根5の螺旋形状に沿って矩形の板が曲げられた形状とされていても良い。本発明においては、土壌を掘削する深さに応じて延長軸部材を軸体4に連結し、所定深さの土壌を浄化することができる。
【0029】
図2および図3を用いて上述した撹拌部材1について詳細に説明する。図2は、図1に示す撹拌部材1の側面図および断面図を示した図である。図2に示す撹拌部材1は、土壌を掘削するために先導管3が設けられ、先導管3の先端には、切削部材2が複数設けられている。切削部材2は、先端部が鋭く尖った形状とされ、先導管3の先端部周方向に複数設けられている。また、先導管3は、フランジ7によって軸体4と連結され、先導管3に設けられた切削部材2aと同様の切削部材2bが切削部材2aの向きと同じ方向に向くようにフランジ7に設けられている。図2に示す切削部材2は、先導管3およびフランジ7に溶接などにより接合することができる。
【0030】
図2に示す軸体4は、中央部の径が大きくされ、中央部では所定の長さにおいて一定の径とされていて、両端部に向けて一定の割合で径が小さくなるように形成されている。また、軸体4は、内部が中空とされ、かつ軸体4の外側面に螺旋状に形成された螺旋状羽根5が周設されている。螺旋状羽根5は、軸体4の中央部に向けて螺旋状羽根5の径が大きくなるように形成され、螺旋状羽根5の上面および下面には、複数の突出部材6が設けられている。螺旋状羽根5は、軸体4と同様に、軸体4の長さ方向に向いた両端部から中央部に向けて羽根の径が拡大するように形成され、土壌中を上下にスムーズに撹拌することができる構造とされている。例えば、軸体4は、長さを0.8m、中央部の長さを0.16mの一定の径とし、長さ方向の両端部0.32mの範囲において0.14mから0.4mの径に一定の割合で拡大した構造とすることができる。上述した軸体4の場合、一定の割合で拡大するテーパ角を22°とすることが好ましい。軸体4の一定の径とされた中央部に配設された螺旋状羽根5は、一定の径の羽根となるように形成されている。
【0031】
図2に示す突出部材6は、矩形の板状のものとされ、矩形とされた面が軸体4に向くように配設されている。また、突出部材6は、螺旋状羽根5の縁部および軸体4に近隣した内縁部に設けられ、矩形の角部が面取りされた構造とされている。矩形とされた板状の突出部材6の回転方向に向いた側の角部が面取りされた構造とすることにより、螺旋状羽根5の回転をスムーズにし、効果的に撹拌することができる。図2に示す撹拌部材1において、土壌を掘削する場合、螺旋状羽根5の下面に設けられた突出部材6が鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌し、上面に設けられた突出部材6は、切削および撹拌された土砂をスムーズに後方に送ることができ、土壌中に石などを含んでいても、噛みにくくなっている。また、撹拌装置1を地中から地表面に向けて引き上げる場合には、螺旋状羽根5の上面に設けられた突出部材6が効果的に切削および撹拌し、下面に設けられた突出部材6がスムーズに土砂を後方に送ることができる。したがって、図2に示す撹拌部材1を使用して土壌を掘削する場合には、掘削した土砂が地上に排出されなくなる。
【0032】
図2に示す撹拌部材1は、軸体4の中空とされた内部に浄化促進物質を通すための注入管8、9が挿設され、各注入管8、9を除く空間を圧縮空気が通過することができるようになっている。上述したように、注入管8、9は、浄化促進物質を供給する数に応じて設けることができる。図2に示す撹拌部材1においては、螺旋状羽根5の上面および下面に注入管8、9が軸体4の内部に挿設され、軸体4の中央部付近を貫通するように螺旋状羽根5の縁部に向けて配設されている。浄化促進物質は、回転する撹拌部材1において注入管8、9を通り、撹拌部材1の周囲方向に向けて供給される。供給された浄化促進物質は、撹拌部材1の周囲の土壌と混合される。また、圧縮空気は、硬い土壌の場合に切削部材2の発熱を抑制し、軸体4の内部に入る土を排除することもできる。
【0033】
本発明においては、注入管8、9を通して供給される浄化促進物質を高圧で連続的に噴射させるように供給することで、より遠く、かつ広範囲に行きわたらせることができる。この場合、浄化促進物質を供給する圧力は、土壌中に噴射させることができる圧力であれば、いかなる圧力であっても良いが、例えば、200kPa〜1000kPaの圧力で供給することができる。浄化促進物質として空気、酸素、過酸化水素またはオゾンや、栄養分としての窒素などガス状物質の場合には、圧縮機やボンベを用いて上記圧力で供給することができる。また、隣、カリウム、珪素、マンガンなどについては、圧縮空気とともに、または水に分散させてスラリーとして供給することができる。スラリーとして供給する場合には、ポンプを使用して上記圧力で供給することができる。本発明においては、間欠的に供給することも可能であり、間欠的に供給する方法として、圧縮機やボンベ、ポンプから排出された浄化促進物質をバルブを用いて所定間隔で開閉することにより実施することができる。注入管8、9から圧縮空気を供給する場合、高圧で供給することにより、キャビテーション効果が発揮され、爆発的に噴射されて著しく大きなエネルギーを与えることができる。また、浄化促進物質を高圧で供給することにより、汚染土壌の構造に変化を及ぼし、浄化促進物質の通路がランダムとなり、汚染土壌全体をより均一に浄化することができる。分解・除去を行うために長期間を要する油や溶剤といった油分、揮発性物質においては、土壌中に含まれる分解微生物が少ない場合、浄化促進物質として分解微生物を供給することができる。
【0034】
図3は、図1に示す先導管3の方向から見た撹拌部材1の平面図である。図3に示す撹拌部材1は、図1および図2に示す軸体4の先端部にフランジ7を介して先導管3が連結されていて、先導管3の先端部に切削部材2aが配設されている。切削部材2aは、先導管3の周方向に所定間隔で複数設けられ、土壌を掘削する場合の先端部が鋭く尖った形状とされている。また、切削部材2aと同様の切削部材2bがフランジ7の周方向に所定間隔で複数設けられている。切削部材2a、2bにより撹拌部材1を回転させて土壌を掘削することができる。図1および図2に示す軸体4の外側面に螺旋状羽根5が周設されていて、図3に示すように軸体4の長さ方向の端部から中央部に向けて羽根の径が大きくなっている。螺旋状羽根5は、径が大きくなるほど土砂を押さえる力が強くなるが、土壌中においては抵抗が大きくなる。特に、軸体4の中央部に周設される螺旋状羽根5において顕著な抵抗となり、これによって螺旋状羽根5の破損が著しくなる。図3に示すように、軸体4の中央部において径を大きくすることにより、図1および図2に示す軸体4を強固にし、破損しにくくすることができ、さらに比較的硬い地盤や粘土質の土壌においても撹拌することができる。
【0035】
図3に示す螺旋状羽根5には、複数の矩形とされた板状の突出部材6が設けられ、撹拌部材1の回転による撹拌を促進することができるように、矩形の面が図1および図2に示す軸体4に向くように配設されている。また、図3に示す螺旋状羽根5の下面に設けられた突出部材6は、土壌を掘削する場合に、鋭く土壌にくい込みながら土壌を効果的に撹拌することができる。図3に示す撹拌部材1を用いることにより、土砂が地上に排出されることなく、掘削するとともに撹拌することができる。
【0036】
図4〜図7を用いて本発明の土壌の浄化方法について詳細に説明する。本発明の土壌の浄化方法は、図1〜図3に示すような撹拌部材を用いて行うことができる。図4は、撹拌部材1を連結した走行手段を土壌の所定位置に設置し、土壌を掘削しているところを示した図である。図4に示す撹拌部材1は、接続手段を介して走行手段10に連結されている。図4に示す走行手段10は、車輪11を備え、地表面12上を自在に移動可能とされている。また、走行手段10は、アーム13を介して昇降手段14が設けられていて、挟持手段15を上下に昇降可能にしている。図4に示す実施の形態では、所定位置に車輪11を使用して移動し、アーム13の角度を調整し、昇降手段14を地表面12に対して垂直になるように立てる。また、昇降手段14に昇降可能に配設されている挟持手段15によって中間ロッド16を回転可能に挟持し、中間ロッド16の下部に撹拌部材1を配設し、挟持手段15は、油圧駆動などにより中間ロッド16を正逆両方向に回転させる。中間ロッド16は、挟持手段15の回転を先端の撹拌部材1に伝達する駆動軸の働きをする。中間ロッド16の上部に接続される注入管接続部材17に浄化促進物質を通す注入管8、9が接続され、注入管8、9は、図示しない空気圧縮機または空気ボンベやスラリーポンプなどに連結される。本発明においては、供給する浄化促進物質の種類に応じた必要な数の注入管8、9を設けることができる。
【0037】
図4に示す実施の形態では、図示しない空気圧縮機などから中間ロッド16の内部および撹拌部材1の内部を通して圧縮空気を噴射するとともに、中間ロッド16を回転させることにより、撹拌部材1を回転させている。撹拌部材1は、昇降手段14によって挟持手段15を降下させることにより、矢線Aに示す方向に向けて降下させて土壌を掘削することができる。原位置において所定深さの土壌を浄化する際に中間ロッド16の長さが足りない場合には、中間ロッド16の回転を停止し、別の中間ロッド16を継ぎ足して長さを延長することができる。本発明においては、中間ロッド16を正逆両方向に回転させることができれば、挟持手段15および注入管接続部材17は、いかなる構造であっても良く、また、いかなる手段でも用いることができる。
【0038】
図5は、本発明の土壌の浄化方法の第1の実施の形態を示した図である。図5に示す実施の形態では、土壌を掘削している途中において、撹拌装置1の軸体4の周囲方向の土壌に向けて螺旋状羽根5に沿って設けられる図1〜図3に示す注入管8、9を通して矢線Bに示す方向に向けて高圧で間欠的に浄化促進物質が供給される。撹拌部材1の周囲方向に向けて供給された浄化促進物質は、螺旋状羽根5の回転と、図示しない空気圧縮機などから中間ロッド16を通し、撹拌部材1の内部を通して供給される圧縮空気とにより揺動撹拌され、撹拌部材1の周囲方向の土壌とともに撹拌し、充分に混合される。浄化促進物質として過酸化水素を供給する場合には、土壌に含まれる重金属などと接触することにより急激に分解反応が起こり、過酸化水素は水と酸素とに分解される。その際、熱も発生する。過酸化水素の分解によって発生する酸素は、土壌中の有機塩素化合物といった揮発性有機化合物、その他の汚染物質を酸化分解するとともに、土壌中の微生物を活性化させる。また、発生する熱によって過酸化水素の分解をさらに促進させることができる。酸化分解された汚染物質は、土壌を通して炭酸ガスや塩素などとして大気中に排出される。上述した反応は、オゾンを供給する場合においても起こり、分解によって発生する酸素は、土壌中の微生物を活性化させるとともに、汚染物質を酸化分解する。また、空気や酸素は、微生物を活性化させ、栄養分は、微生物の生命維持、増殖のために供給される。さらに、油分といったような微生物が分解するのに長期間を有する汚染物質や汚染物質の濃度が高い場合には、分解微生物を供給して分解を促進させることができる。
【0039】
図5に示す実施の形態では、さらに、矢線Cに示すように、昇降手段14を使用して撹拌部材1を上下させて原位置における土壌と浄化促進物質とを充分に混合させて土壌の浄化を促進させることができる。本発明においては、走行手段10を別の位置に移動させ、再び掘削、浄化促進物質の供給および撹拌を繰り返すことで、より均一に土壌全体と浄化促進物質とを混合することができ、土壌全体の均一な浄化を行うことができる。
【0040】
図6は、本発明の土壌の浄化方法の第2の実施の形態を示した図である。図6に示す実施の形態では、図4および図5に示す撹拌部材1を備える走行手段10を所定位置に配置し、その周囲に土壌に滞留するガス状物質を回収するための吸引孔18が設けられている。図6には、吸引孔18を通してガス状物質を吸引するための吸引ポンプ19と、吸引したガスを処理して大気へ放出する処理装置20とが設置されている。吸引孔18は、撹拌部材1の注入管から放出される浄化促進物質の一部や、微生物による汚染物質の分解によって発生した分解ガスなどが土粒子の隙間を通して地表面から放出されないように、また、吸引ポンプ19によって適切に吸引することができるように、撹拌部材1により掘削した土壌の周囲に、撹拌部材1に離間して複数設置することができる。この場合、土壌中に含まれる臭気ガスやメタンガスなどの揮発性物質も吸引することができる。こうすることにより、浄化促進物質を吸引して土壌中に広く分散させることができ、また、分解されていない臭気ガスやメタンガスなどの揮発性物質を地表面から大気中に放出することなく、吸引して処理装置20で処理することができる。本発明においては、吸引孔18を通して吸引されるガスを分析することで、土壌中の揮発性物質などの汚染物質の濃度を確認することができ、また酸素濃度を調整することもできる。また、本発明においては、さらに通気孔を設け、圧縮空気や温風を供給して吸引ポンプ19が接続された吸引孔18に向けて土壌に滞留する分解ガスや撹拌部材1から供給した浄化促進物質の一部を移動させることができ、土壌中に滞留する汚染物質を効率良く除去することができる。図6に示すように吸引孔18を設けることで、大気中へ直接放出される汚染物質を含むガスを減少させることができる。また、本発明においては、吸引した浄化促進物質を分離し、再利用することで、特に高価な分解微生物を汚染物質の量または濃度に応じて適切な数または量だけ提供することが可能となる。したがって、土壌の汚染の程度に応じた適切な量の浄化促進物質を供給することができ、コストを低減させることができる。
【0041】
図6に示す実施の形態では、図4および図5に示すように撹拌部材1を使用して撹拌と浄化促進物質の間欠的な供給とを行い、広範囲にわたって浄化促進物質を行きわたらせ、土壌と浄化促進物質とを混合し、広範囲の土壌において汚染物質の酸化分解または微生物分解を行うことができる。酸化分解によって発生する炭酸ガスや塩素などの分解ガス、微生物分解によって発生する炭酸ガス、土壌中に滞留する揮発性物質、酸素含有物質といったガス状物質は、吸引ポンプ19によって吸引孔18に引きつけられ、吸引孔18を通して吸引される。吸引ポンプ19によって吸引されたガス状物質のうち揮発性物質などの有害ガスは、処理装置20において処理され、無害化して大気中に排出される。本発明において処理装置20は、処理するガス成分に応じて、いままで知られたいかなる装置でも用いることができる。また、吸引ポンプ19は、常時吸引することもできるが、適宜起動して土壌中に滞留するガス状物質を吸引することもできる。本発明において吸引孔18の深さは、撹拌部材1によって撹拌する土壌深さに応じた深さとすることができる。本発明においては、分解ガスなど土壌中に滞留するガスを、吸引孔18を通して吸引するために撹拌部材1の周囲を囲むように複数設けられることが好ましい。また、撹拌部材1に圧縮空気を供給するための注入管を設け、浄化促進物質を供給するとともに圧縮空気を噴射させ、周囲に設置されている吸引孔18に向けて土壌に滞留するガスを排出させることができる。本発明において吸引孔18は、吸引ポンプ19によって適切に吸引することができるのであれば、いかなる深さ、径、数であっても良い。
【0042】
図7は、本発明の土壌の浄化方法の第3の実施の形態を示した図である。図7に示す実施の形態では、地表面12を覆うようにシート部材21が敷設されていて、地表面12とシート部材21との間に吸引管22が設置されている。また、図5および図6に示す実施の形態と同様に、撹拌部材1から浄化促進物質を供給するとともに、土壌に広く行きわたらせるとともに充分に撹拌して混合する。浄化促進物質の供給により土壌中に生存する微生物を活性化させ、土壌中の汚染物質の分解を促進する。汚染物質を微生物分解することによって発生した分解ガスや土壌中に滞留する揮発性物質などは、撹拌部材1から浄化促進物質や圧縮空気を供給することにより、土壌の土粒子の隙間を通して地表面12に移動し、地表面12から排出される。本発明では、撹拌部材1の先導管から噴射される圧縮空気により土壌を掘削する際の効率を向上させるとともに、土壌中へ圧縮空気を供給することにより地表面12へ向けて分解ガスや揮発性物質などを移動させることができる。こうすることにより、分解ガスや揮発性物質などが地表面12から排出され、地表面12とシート部材21との間に滞留する。滞留したガスは、地表面12とシート部材21との間に設置された吸引管22を通し、吸引ポンプ19によって吸引され、吸引されたガス中に含まれる揮発性物質などの有害ガスは、処理装置20によって処理される。図7に示す実施の形態は、図6に示す実施の形態に比較して、吸引孔18を形成する必要がないため、施工が容易であり、コストの大幅な低減を図ることができる。
【0043】
本発明を上述した実施の形態をもって詳細に説明してきたが、本発明の土壌の浄化方法は上述した実施の形態に限定されるものではなく、同様の効果を得ることができるものであれば、撹拌部材は上述した形状に限らず、いかなる大きさ、いかなる螺旋状羽根の巻数、いかなる浄化促進物質の注入管の配設位置およびいかなる注入管の数であっても良く、浄化促進物質として過酸化水素を用いる場合、過酸化水素が接触する部位の材質は、過酸化水素によって腐食しない材質であれば上述したテフロン(登録商標)以外にいかなるものでも用いることができる。また、浄化促進物質は、上述した物質以外に、分解微生物の栄養分、活性化を促進することができるものであれば、いかなる物質でも使用することができる。さらに、汚染された土壌の状況に応じて、適切な浄化促進物質を選択して使用することができ、また必要に応じて分解微生物を供給することもできる。本発明においてシート部材は、地表面から排出される有害ガスを含むガス状物質を大気中に排出しないように地表面を覆うことができるのであれば、いかなる大きさ、材質のものでも用いることができる。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、本発明の土壌の浄化方法を提供することにより、汚染地盤や廃棄物埋め立て地盤などの土壌を撹拌しながら浄化促進物質を供給することを可能とする撹拌部材を用い、土壌中に供給した浄化促進物質が均一になるように撹拌して混合することで、原位置において、容易かつ充分に浄化することが可能となる。また、本発明の土壌の浄化方法は、撹拌部材を回転させながら土壌中を上下に移動させることにより、浄化効率を向上させ、表面付近の土壌だけではなく、所定深さの土壌を浄化することも可能となる。
【0045】
さらに、本発明の土壌の浄化方法は、吸引孔やシート部材を用いて、土壌中に含まれる有害ガスを大気中に排出させることなく、回収して処理することが可能となる。また、浄化促進物質を高圧で間欠的に供給することにより、土壌に付着した油分を剥離させることができ、より遠く、かつ広範囲に供給することができ、広範囲において土壌浄化を行うことができるため、作業効率を向上させることができる。さらに、浄化促進物質を回収し、再利用することで、低コストで浄化を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の土壌の浄化方法に用いることができる撹拌部材の一例を示した斜視図。
【図2】 図1に示す撹拌部材の側面図および断面図。
【図3】 図1に示す撹拌部材の平面図。
【図4】 本発明の土壌の浄化方法に用いることができる撹拌部材を用いて土壌を掘削しているところを示した図。
【図5】 本発明の土壌の浄化方法の第1の実施の形態を示した図。
【図6】 本発明の土壌の浄化方法の第2の実施の形態を示した図。
【図7】 本発明の土壌の浄化方法の第3の実施の形態を示した図。
【符号の説明】
1…撹拌部材
2、2a、2b…切削部材
3…先導管
4…軸体
5…螺旋状羽根
6…突出部材
7…フランジ
8、9…注入管
10…走行手段
11…車輪
12…地表面
13…アーム
14…昇降手段
15…挟持手段
16…中間ロッド
17…注入管接続部材
18…吸引孔
19…吸引ポンプ
20…処理装置
21…シート部材
22…吸引管

Claims (6)

  1. 先端部に切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結され、長さ方向に沿って中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成された中空の軸体と、前記軸体に周設される螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通り、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される注入管とを備える撹拌部材を回転させて土壌を掘削するステップと、
    前記撹拌部材の前記注入管から該撹拌部材の周囲に向けて浄化促進物質を200kPa〜1000kPaの圧力で前記土壌に供給するステップと、
    前記撹拌部材を回転させることにより前記土壌と前記浄化促進物質とを混合するステップと、
    前記掘削するステップにおいて形成された掘削孔から離間した前記土壌中に吸引孔を設け、前記吸引孔を通して前記土壌中のガス状物質を回収するステップと、
    回収した前記ガス状物質を無害化して排出するステップとを含む、土壌の浄化方法。
  2. 前記土壌の浄化方法は、前記撹拌部材を所定方向に回転させて所定深さまで掘削するとともに前記土壌を撹拌し、前記撹拌部材を所定方向とは反対方向に回転させて地表面に向けて移動するとともに前記土壌を撹拌することを可能とする、請求項に記載の土壌の浄化方法。
  3. 前記浄化促進物質は、空気、過酸化水素、オゾンから選択される酸素含有物質、分解微生物、前記分解微生物を活性化させるための燐、窒素、カリウム、珪素から選択される栄養分である、請求項1または2に記載の土壌の浄化方法。
  4. 前記土壌を掘削するステップは、前記軸部の内部を通して前記先導管から圧縮空気を噴射するステップを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の土壌の浄化方法。
  5. 前記ガス状物質を回収するステップで回収された前記ガス状物質からガス状の前記浄化促進物質を分離するステップと、前記ガス状の浄化促進物質を前記土壌に供給して再利用するステップとをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の土壌の浄化方法。
  6. 先端部に切削部材を備える先導管と、前記先導管が連結され、長さ方向に沿って中央部において径が大きく、かつ両端部において径が小さくなるように形成された中空の軸体と、前記軸体に周設される螺旋状羽根と、前記螺旋状羽根の上面および下面に配設される複数の突出部材と、前記軸体の内部を通り、前記軸体を貫通して前記螺旋状羽根の縁部に向けて配設される注入管とを備える撹拌部材を回転させて土壌を掘削するステップと、
    前記撹拌部材の前記注入管から該撹拌部材の周囲に向けて浄化促進物質を200kPa〜1000kPaの圧力で前記土壌に供給するステップと、
    前記撹拌部材を回転させることにより前記土壌と前記浄化促進物質とを混合するステップと、
    地表面にシート部材を敷設し、前記地表面と前記シート部材との間に吸引管を設置して、前記吸引管を通して前記土壌中のガス状物質を回収するステップと、
    回収した前記ガス状物質を無害化して排出するステップとを含む土壌の浄化方法。
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