JPH11216457A - 汚染土の浄化方法 - Google Patents

汚染土の浄化方法

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JPH11216457A
JPH11216457A JP10017258A JP1725898A JPH11216457A JP H11216457 A JPH11216457 A JP H11216457A JP 10017258 A JP10017258 A JP 10017258A JP 1725898 A JP1725898 A JP 1725898A JP H11216457 A JPH11216457 A JP H11216457A
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contaminated
pipe
contaminated soil
inner pipe
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Kinya Kato
欽也 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚染土壌中に分解微生物を広く均一に分配
し、かつ汚染物質と分解微生物が十分に混ざり合い、よ
り効率的に浄化が行える浄化方法を提供する。 【解決手段】 土壌中の汚染土を浄化する方法におい
て、外管とその内部に挿入された内管とからなる二重管
ロッドを汚染領域に向かって地中に挿入し、外管の先端
より突出配置した内管の先端部から汚染領域に微生物溶
液を噴射することによって、汚染領域の土をスラリー化
し、スラリー化した土の一部を外管と内管との間の隙間
を経て上方に押し上げて地上に排出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は汚染土の浄化方法に
関するものである。より詳しくは、微生物の活動を利用
することによって、汚染された土壌領域内で汚染物質を
分解する汚染土の浄化方法に関するものである。特に、
地中に残された汚染土を浄化する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年の急速な科学技術の進歩は大量の化
学物質や化成品を生みだしている。これらの多くは環境
中に徐々に蓄積しながら自然を汚染している。環境中の
水や大気が循環していることを考えると、環境汚染は地
球レベルヘと拡大していく深刻な問題である。
【0003】これまでによく知られた汚染物質として
は、トリクロロエチレン(TCE)やテトラクロロエチ
レン(PCE)、ダイオキシン等の有機塩素化合物、あ
るいはトルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族化合
物、ガソリン等の燃料などが挙げられる。なかでもトリ
クロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有機塩素化
合物は精密部品の洗浄やドライクリーニングなどにおい
てかつて大量に使用され、その漏洩により土壌や地下水
の大規模な汚染実体が明らかになりつつある。また、こ
れらの有機塩素化合物は、一般に揮発性が高く、場合に
よっては大気汚染をも引き起こす。さらに、これら有機
塩素化合物の催奇性や発がん性が指摘され、生物界へも
極めて重大な影響を及ぼすことがわかったため、汚染源
の遮断はもちろん、すでに汚染が拡大した土壌や地下水
の浄化は早急に解決すべき課題となっている。
【0004】有機塩素化合物で汚染された土壌の浄化方
法としては、汚染土壌を物理的に除去する方法、汚染土
壌から汚染物質を真空抽出する方法、あるいは汚染物質
を分解する能力を有する微生物を注入する方法などが知
られている。
【0005】汚染土壌を物理的に除去する方法として
は、単純に掘削するものから、地下でスラリー化して地
上に排出除去する方法(特開平08−29944号公
報)などの様々な技術があるが、これらはいずれも汚染
土の移動にすぎず、完全無害化の技術ではない。そのた
め、例えば排出除去した汚染土壌に加熱処理法を適用し
たりしている。この加熱処理法によれば、ほとんど完全
に土壌から汚染物質を取り除くことが可能であるが、広
範囲な汚染土壌の浄化には適用が困難である。さらに、
土壌中から加熱蒸発させた有機塩素化合物は大気汚染の
原因になるので、活性炭等に吸着して回収する必要があ
り、この使用済みの活性炭をさらに処理する必要が生じ
る。特に汚染物質がTCE、PCE等の有機塩素系化合
物の場合、この処理時にホスゲン等のさらに毒性の高い
副生成物を生成してしまうという問題がある。加えて、
加熱処理に要する費用は膨大であり、特にスラリー化し
た場合、この傾向は顕著である。
【0006】これに対して、真空抽出法や微生物利用法
は、汚染土壌の掘削が最小ですみ、真空抽出用パイプや
微生物投入用の井戸を掘る程度の小規模な作業に止めら
れるため低コストで簡便である。
【0007】しかし、真空抽出法については、数ppm
以下の低濃度の有機塩素化合物の除去効率が低い上に、
物理的除去法と同様に、回収した有機塩素化合物を改め
て処理をする必要がある。
【0008】このため近年、微生物による環境の浄化
が、汚染物質の完全無害化、低コストの観点から注目さ
れている。微生物による浄化方法は、土壌に元来生息す
る分解能を有する分解微生物を利用する方法と外来の分
解微生物を利用する方法に分けられる。
【0009】前者の場合は、分解活性を高めるための栄
養素、インデューサ、酸素、増殖刺激剤などの菌活性化
物質を土壌に注入して浄化を行う。この方法では、分解
菌が予め汚染土壌中に存在することが前提となる。
【0010】分解菌が汚染土壌中に存在しない場合は、
分解微生物を土壌に注入して浄化をおこなう。具体的に
TCE分解菌の単離された報告としては、Welchi
aalkenophila sero 5(USP 48
77736,ATCC 53570)、Welchia
alkenophila sero 33(USP 48
77736,ATCC 53571)、Methylo
cystis sp.strain M(Agric.B
iol.Chem.,53,2903(1989)、B
iosci.Biotech.Biochem.,5
6,486(1992)、同56,736(199
2))、Methylosinustrichospr
ium OB3b(Am.Chem.Soc.Nat
l.Meet.Dev.Environ.Microb
iol.,29,365(1989)、Appl.En
viron.Microbiol.,55,3155
(1989)、Appl.Biochem.Biote
chnol.,28,887(1991)、特開平02
−92274号公報、特開平03−292970号公
報)、Methylomonas sp.MM2(Ap
pl.Environ.Microbiol.,57,
236(1991))、Alcaligenes de
nitrificans ssp.xylosoxid
ans JE75(Arch.microbiol.,
154,410(1990))、Alcaligene
s eutrophus JMP134(Appl.En
viron.Microbiol.,56,1179
(1990))、Mycobacterium vac
cae JOB5(J.Gen.Microbio
l.,82,163(1974)、App1.Envi
ron.Microbiol.,54,2960(19
89)、ATCC 29678)、Pseudomon
as putidaBH(下水道協会誌,24,27
(1987))、Acinetobactorsp.S
train G4(Appl.Environ.Mic
robiol.,52,383(1986)、同53,
949(1987)、同54,951(1988)、同
56,1279(1990)、同57,1935(19
91)、USP 4925802,ATCC 5361
7、この菌は初めPseudomonas cepac
iaと分類されていたが、Acinetobactor
sp.に変更された。)、Pseudomonas m
endocina KR−1(Bio/Techno
l.,7,282(1989))、Pseudomon
asputida F1(Appl.Environ.
Microbiol.,54,1703(1988)、
同54,2578(1988))、Pseudomon
as fluorescens PFL12(Appl.
Environ.Microbiol.,54,257
8(1988))、Pseudomonas puti
da KWI−9(特開平06−70753号公報)、
Pseudomonas cepacia KK01(特
開平06−227769号公報)、Nitrosomo
nas europaea(Appl.Enviro
n.Microbio1.,56,1169(199
0))、Lactobacillus vaginal
is sp.nov(Int.J.Syst.Bact
eriol.,39,368(1989)、ATCC
49540)等が知られている。これらの分解菌は、T
CEを分解するために、その分解誘導物質として芳香族
化合物やメタン等の化学物質を必要とする。
【0011】微生物による浄化は、比較的低濃度な領域
で高効率な分解が期待できることから、すでに広く拡散
してしまった汚染物質の浄化方法として注目されてい
る。また、できる限り少量の微生物を、目的としている
修復領域に広く注入し、これにより汚染物質を分解して
土壌浄化を行うことが経済的観点から望まれている。
【0012】しかしながら、外来の分解菌を実際の土壌
汚染の浄化に用いた例は意外と少ない。上記の単離され
た報告の例の殆どが実験室におけるフラスコレベルでの
分解実験によるものである。
【0013】汚染現場で外来菌を土壌中に導入した例と
しては、例えばM.F.DeFlaunらの“Fiel
d Pilot Study of Bioaugment
ation for Remediation of TC
E Contamination in Fractur
ed Bedrock”(In Situ and On−
Site Bioremediation 4(4)p4
93,Battelle Press,1997)の報
告がある。この方法では、土壌に圧を加えてクラック形
成させ、その後TCE分解菌の導入をおこなっている。
しかし、この方法ではクラックに沿ってのみ分解菌が移
動するため、汚染物質と分解菌が十分に・混合接触しな
いという問題がある。また、A.W.Bourquin
らは“Aerobic Bioremediation
of TCE−Contamination in Gr
oundwater”(In Situ and On−
Site Bioremediation4(4),p
513,Battelle Press,1997)の
報告において、Cepacia PR301を井戸から
地下水層に注入し、0.25mg/LのCAHs(TC
E,DCE)が24時間でNDレベルに低下したと報告
している。注入井戸から抽出井戸までの距離は約12m
だが、Pluggingの問題は残るとしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、微生物
浄化法を用いて、汚染物質、特に有機塩素化合物による
汚染を浄化する場合は、回収した汚染物質の後処理の問
題が無く、低コストであるというメリットがある。
【0015】しかしながら、外来微生物を土壌の修復領
域の注入しても、微生物は土壌粒子間に捕捉されるた
め、微生物が分配される領域は限定され、十分広がらな
いという問題がある。そのため、環境中へ広く拡散して
しまった汚染物質を分解するために、汚染物質分解活性
を持つ微生物および菌活性物質を汚染領域の隅々にまで
行き渡るよう導入することは通常困難である。
【0016】また、土壌における微生物の移動はきわめ
て緩慢であり、移動範囲はごく狭い領域に限られるた
め、微生物や微生物を含む浄化液を散布した場合、土壌
の深部の対象領域への浸透は困難であり、浸透したとし
ても、それ以前に微生物もしくは微生物の活性が消滅し
てしまう。
【0017】また、土中に供給管を挿入し、微生物を含
む浄化液をその供給管から供給する場合において、汚染
領域に一致させて供給管の注入口を位置決めしたとして
も、先に述べたように移動範囲はごく狭い領域に限られ
るか、若しくは注入した浄化液は、地盤の深さ方向の緩
んだ個所のみを選択し、これを水みちとして、その個所
にのみに脈状に浸透して逃げてしまう。このため、分解
微生物と汚染物質が十分に混合・接触することがなく、
良好な汚染土壌の修復を図ることができない。
【0018】汚染された土壌をできるだけ短時間で微生
物処理するためには、汚染土壌に高活性な状態の分解微
生物を広く、均一に存在させることが効果的である。し
かし、前述したように微生物を土壌の隅々にまで均一に
行き渡るように導入することは実際上困難である。
【0019】そこで本発明の目的は、以上の問題点に鑑
み、汚染土壌中に分解微生物を広く均一に分配し、かつ
汚染物質と分解微生物が十分に混ざり合い、より効率的
に浄化が行える浄化方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、すなわち、本発明は、
土壌中の汚染土を浄化する方法であって、外管と該外管
の内部に挿入された内管とからなる二重管ロッドを汚染
領域に向かって地中に挿入し、前記外管の先端より突出
配置した前記内管の先端部から汚染領域あるいは汚染領
域近傍に、加圧水、もしくは汚染物質を分解する微生物
を含む微生物溶液を噴射することによって、汚染領域あ
るいは汚染領域近傍の土をスラリー化し、該スラリー化
した土の一部を前記外管と内管との間の隙間を経て上方
に押し上げ、汚染領域あるいは汚染領域近傍に空洞部分
を形成し、前記内管に汚染物質を分解する微生物を含む
微生物溶液を給送して、前記外管の先端より突出配置し
た前記内管の先端部から、前記空洞部分を利用して前記
微生物溶液を噴射注入することによって、前記微生物溶
液を前記汚染領域中に導入することを特徴とする汚染土
の浄化方法に関する。
【0021】また本発明は、土壌中の汚染土を浄化する
方法であって、外管と該外管の内部に挿入された内管と
からなる二重管ロッドを汚染領域に向かって地中に挿入
し、前記外管の先端より突出配置した前記内管の先端部
から汚染領域に、汚染物質を分解する微生物を含む微生
物溶液を噴射することによって、汚染領域の土をスラリ
ー化し、該スラリー化した土の一部を前記外管と内管と
の間の隙間を経て上方に押し上げて地上に排出すること
を特徴とする汚染土の浄化方法に関する。
【0022】上記本発明の汚染土の浄化方法において
は、内管に、加圧水あるいは微生物溶液に加えて加圧空
気を給送し、加圧水もしくは微生物溶液を加圧空気とと
もに汚染領域に噴射することが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を挙げ
てさらに説明する。
【0024】第1の実施の形態 本発明の汚染土の浄化方法では、二重管ロッドを汚染領
域に向かって地中に挿入し、内管から加圧水を噴射する
ことによって汚染領域近傍の土をスラリー化し、このス
ラリー化した土の一部を外管と内管との隙間を経て上方
に押し上げ、汚染領域近傍に空洞部分を形成し、この空
洞部分を利用して微生物溶液を内管の先端部から噴射注
入することにより微生物溶液を汚染領域に導入すること
によって、分解微生物と汚染土との接触効率を高め、汚
染土を分解浄化する。
【0025】二重管ロッドは公知の種々の打設装置を用
いて、汚染領域の近傍の所定の深度まで容易に打設挿入
することができ、その内管を例えば地上に設けた加圧水
圧送ポンプに接続する。この圧送ポンプにより内管に給
送される加圧水は、内管の先端部分に設けた噴射ノズル
から周囲の汚染領域に向かって噴射され、これにより汚
染土を攪拌しつつ容易にスラリー化することができる。
そして、スラリー化された汚染土は、地中に供給される
加圧水の供給圧力により、外管と内管との間の隙間を経
て地上に至るまで上方に向かって押し上げられ、これに
よって汚染領域近傍に空洞部分が形成されることにな
る。次いで、微生物溶液を圧送ポンプにより内管に給送
し、この微生物溶液を、例えば内管の先端部分に設けた
噴射ノズルから空洞部分を利用して周囲の汚染領域に向
かって噴射する。これにより汚染土は微生物溶液と混合
・攪拌され、容易かつ速かに浄化される。
【0026】また、加圧水もしくは微生物溶液に加えて
加圧空気を内管に給送して、この加圧空気とともに加圧
水もしくは微生物溶液を汚染領域に向かって噴射すれ
ば、内管から噴射される加圧水もしくは微生物溶液の汚
染領域内における到達距離を増大させることができ、こ
れによって一個所の二重管ロッドによる汚染土の浄化範
囲を増大して、効率の良い浄化作業を可能にすることが
できる。そして、空気の排出によって、スラリー化も容
易になる。
【0027】さらに、前記地中の汚染領域の周囲に、こ
れを囲む締切り壁を予め鋼矢板等によって地中に形成す
れば、汚染土の浄化範囲を予め画定して、さらに効率の
良い浄化作業を可能にすることができる。
【0028】本発明において注入に供される微生物は、
高活性な状態に培養されたものを使用することが望まし
い。微生物の活性は、一般に対数増殖期がもっとよいと
されており、この対数増殖期にあるもっとも活性の高い
分解微生物を汚染物質の存在する土壌に注入することが
望ましい。注入時の微生物は休止菌体でも増殖菌体のい
ずれの状態でも構わない。
【0029】また、使用する分解微生物は、分解能力を
持てばいかなるものでもよく、単離・同定されたものに
限定されることはなく、混合状態の培養液、汚染物質を
含む培養液で集積培養したものでもなんら問題はない。
例えば、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物を分解
する微生物の例としてJ1株(FMRM BP−510
2)、その変異株であって、有機塩素化合物の分解の際
に必要とされる誘導物(インデュサー)が不要になった
株であるJMl株(FERM BP−5352)などを
用いることができる。
【0030】また、分解に際し、誘導物質、例えばフェ
ノールやメタン等を必要とする場合は、これを土壌中に
微生物溶液とともに注入してもよいし、予め誘導物質で
誘導をおこなった後、誘導物質を取り除く行程を経て誘
導された微生物溶液を土壌に注入してもよい。
【0031】以下、図面を用いてより具体的に説明する
が、これらの説明図は、本発明の一例を示すだけであっ
て、なんら本発明の概念を限定するものではない。
【0032】図1(a)に示すように、地中に残された
汚染領域1の汚染土を浄化するために先ず、汚染領域1
に向かって二重管ロッド2を打ち込む作業を行なう前
に、予め、汚染領域1の周囲を囲むようにして、多数の
鋼矢板を連続的に地中に打ち込んで締切り壁5を形成す
る。この締切り壁5は、例えばバイブロハンマーを備え
た公知の打設装置を用いて容易に打込み形成することが
できる。また、各鋼矢板は、画定された地盤より外方の
地盤に加圧水などが噴射されてスラリー化するのを遮断
できる程度の根入れ長があればよく、すなわち、汚染領
域1の位置する深度を僅かに超えた下方まで打ち込めば
よい。なお、この締切り壁5は、単に汚染土を浄化する
範囲を画定してより効率の良い作業を可能にするための
ものであるため、必要に応じて適宜設ければ良く、必ず
しも設置する必要はない。
【0033】そして、締切り壁5を形成したら、汚染領
域1に向かって二重管ロッド2を打ち込む作業を行なう
(図1(b)参照)。かかる打ち込み作業は、例えば薬
液注入工法等において二重管形式の注入ロッドを地中に
打ち込む際などに使用する、回転圧入式あるいは打撃式
の公知の種々のボーリング装置等を使用して容易に行な
うことができる。
【0034】このようにして、二重管ロッド2を構成す
る外管3とこの外管内部に挿入された内管4とを、一体
として汚染領域1の直上まで打ち込み、次いで、内管4
のみを外管3の下端部から突出させてさらに下方に打ち
込む。例えば、図1(b)に示すように、汚染領域1の
すぐ上に配置するようにする。この内管4の位置は汚染
領域の近傍なら特に限定することはなく、汚染領域を貫
通しその真下に配してもよい。
【0035】ここで、二重管ロッド2は、例えば径30
cm程度の大きさの下端が開口した中空円筒状の外管3
と、この外管3の内部に挿入される、例えば径10cm
程度の大きさの下端が閉塞する中空円筒状の内管4とか
らなり、これらの外管3及び内管4には、地中への挿入
作業を容易に行なうことができるように、その先端に切
削ビットが各々取り付けられている。また、内管4の先
端部分には、その周面に噴射ノズルが取り付けられてお
り、内管4に給送される加圧水をこの噴射ノズルから略
水平方向に高圧噴射することができるようになってい
る。そしてさらに、これらの外管3及び内管4は、地上
に設けた上記ボーリング装置ないしは引抜き装置などに
より、互いに独立回転しつつ引抜き可能な構成となって
いる。二重管ロッドの打ち込み作業が終了した後、その
上端部分は、外管3は排出配管6を経て排出装置へと、
内管4は高圧ホース7を経て加圧水圧送ポンプと各々接
続される(図1(b)参照)。
【0036】二重管ロッド2の外管3及び内管4を上述
の地中の深度まで打ち込んだら、先ず図1(c)に示す
ように、地中の土をスラリー化してこれを除去する作業
を行なう。すなわち、加圧水圧送ポンプから内管4に加
圧水を給送して、この加圧水を内管4の先端部外周の噴
射ノズルから噴射しながら、汚染領域1の上にその先端
を配置した内管4を回転させながら徐々に引き抜く。こ
れにより、汚染領域1の近傍を構成する土は、高圧噴射
された加圧水により切削・攪拌されてスラリー化すると
ともに、このスラリー化して流動状態となった土は、継
続して噴射される加圧水の供給圧力によって、外管3と
内管4との間の隙間を介して上方に押し上げられ、結果
的に汚染領域1の近傍に空洞部分8が生じる。
【0037】次に、加圧水に替えて、汚染物質を分解す
る微生物溶液を内管4に給送し、微生物溶液を内管4の
噴射ノズルから汚染領域1内に噴射するようにすれば、
空洞部分8及び汚染領域1は微生物溶液で一体化し、ス
ラリー化された状態となる(図1(d)参照)。空洞部
分8を形成することによって、微生物溶液の注入が容易
になり、またこの注入による汚染領域の攪拌も容易にな
り、その結果、汚染土と微生物溶液とは広い領域で均一
に混合される。微生物溶液を内管の噴射ノズルから汚染
領域1内に噴射する位置は、土壌の状況、汚染領域の厚
みなどにより選択すればよいが汚染領域の下から上に引
き抜くことが望ましい。
【0038】また、加圧水もしくは微生物溶液に加えて
加圧空気を内管4に給送し、加圧水もしくは微生物溶液
に加圧空気を混入した状態で噴射ノズルから汚染領域1
内あるいはその周辺に噴射するようにすれば、加圧水も
しくは微生物溶液の汚染領域1内における到達距離を増
大させることができ、これによってに土壌のスラリー化
及び微生物浄化の範囲を増大でき、効率の良い浄化作業
を行なうことができる。なお、ここで加圧空気を内管4
に給送してこれを加圧水もしくは微生物溶液とともに噴
射するには、例えば、内管4の構造をさらに二重管構造
とし、内管の先端部まで、加圧水もしくは微生物溶液と
加圧空気とを別々に給送した後、当該先端部に互いに近
接して設けた各々の噴射ノズルからこれらを噴射すれ
ば、これらを混合した状態で容易に土壌中に噴射するこ
とができる。
【0039】本実施の形態では、締切り壁5によって、
汚染土を浄化する範囲が予め画定されているので、加圧
水もしくは微生物溶液によりスラリー化する範囲を不必
要に拡大して周囲の地盤に影響を与えることなく、より
効率よく浄化作業を行なうことができる。
【0040】また、本実施の形態では、加圧水で空洞部
分8を形成し、その後、微生物溶液を注入したが、初め
から微生物溶液で空洞部分を形成してもかまわない。
【0041】本実施の形態では、空洞部分8を汚染領域
の上に形成したが、汚染領域の下側など、汚染領域もし
くは汚染領域近傍であればいかなる場所に形成してもよ
い。場合に依っては上下、左右など複数個形成してもよ
い。なお、汚染土が外に排出される可能性はあるが、汚
染領域に空洞部分を形成してもよい。
【0042】上記浄化方法によれば、浄化が完了した浄
化対象領域が浄化前と比較し軟弱な土層になる場合があ
るが、このような場合は、薬液の注入作業等によって充
填復旧してもよく、また自然にあるいは機械的に荷重を
加えて上方の地盤を沈下させることにより、埋戻して復
旧することもできる。
【0043】第2の実施の形態 本実施の形態は、汚染土のスラリー化のために加圧水で
はなく微生物溶液を用い、このスラリー化した汚染土の
一部を地上に排出すること、二重管ロッドの挿入位置が
異なること、及び前記空洞部を特に形成しないことを除
いて、第1の実施の形態と同様である。
【0044】本実施の形態は、二重管ロッドを汚染領域
に向かって地中に打設挿入し、内管から微生物溶液を噴
射することによって汚染領域の土をスラリー化し、この
スラリー化した土を外管と内管との隙間を経て上方に押
し上げて地上に排出しつつ微生物による浄化を行うこと
を特徴とする。
【0045】二重管ロッドは、公知の種々の打設装置を
用いて、汚染領域の所定の深度まで容易に打設挿入する
ことができる。
【0046】地中に挿入された二重管ロッドの内管に地
上の圧送ポンプを接続し、微生物溶液を内管に給送し、
内管の先端部分に設けられた噴射ノズルから周囲の汚染
土壌に向かって噴射する。これにより、汚染土を切削、
攪拌・混合しつつ容易にスラリー化することができる。
【0047】そして、スラリー化された汚染土の一部
は、地中に供給される微生物溶液の供給圧力により、外
管と内管との隙間を経て地上に至るまで上方に向かって
押し上げられ、これによって汚染土が地上に排出・除去
される。地中に残ったスラリー化された汚染土はもちろ
ん、地上へ排出除去された汚染土も、混和された微生物
によって汚染物質の分解が進行するため、地上へ排出除
去された汚染土から汚染物質を取り除く処理を行う必要
はない。
【0048】より具体的には、図2(a)に示すように
締切り壁5を設けた後、二重管ロッド2を構成する外管
3とその内部に挿入された内管4とを一体として汚染領
域1の直上まで打ち込む。次いで、内管4のみを外管3
の下端から突出させてさらに下方に打ち込んで、例えば
汚染領域1を貫通させるようする(図2(b))。
【0049】二重管ロッド2の外管3及び内管4を上述
の深度まで打ち込んだら、図2(c)に示すように、地
中の土をスラリー化してこれを除去する作業を行なう。
すなわち、圧送ポンプから内管4に微生物溶液を給送し
て、この微生物溶液を内管4の先端部外周の噴射ノズル
から噴射するとともに、内管4を回転させながら徐々に
引き抜く。これにより、汚染領域1を構成する土は、噴
射された微生物溶液により切削、攪拌混合されてスラリ
ー化されるとともに、このスラリー化されて流動状態と
なった土は、継続して噴射される微生物溶液の供給圧力
によって、外管3と内管4との間の隙間を介して上方に
押し上げられ、地上に排出される。
【0050】この過程を通じ分解微生物と汚染土が混和
し汚染物質の微生物分解が同時におきる。また地上に汚
染土が排出された後も微生物分解は進行する。一部の排
出されなかった汚染土は原位置において微生物分解され
浄化される。
【0051】なお、上記二重管ロッド2を地中に打設挿
入して行われる1サイクルの汚染土の除去作業では、そ
の汚染土の処理量が本実施の形態では4m2程度である
ため、汚染領域1の全体にわたって汚染土を除去するた
めには、例えば4m2毎に一個所の割合で、上記1サイ
クルの作業を複数回繰り返して行なうことになる(図1
(d)参照)。
【0052】
【実施例】次に、本発明の汚染土の浄化方法による浄化
効果を確認すべく行った実施例について記載する。
【0053】<実施例1〜3>本実施例は、地中に残置
された汚染土としてTCEによる汚染土を対象としたも
のである。まず、図1(b)に示すように二重管ロッド
を地中に打ち込み、表1に示す回転速度および引上げ速
度で、加圧水を汚染土に向けて噴射しつつ内管を引き上
げることにより空洞部分を形成し(図1(c))、続い
て、加圧水に替えてTCE分解微生物JMl株を含む溶
液を内管4に給送し、表1に示す回転速度および引上げ
速度で、JMl株溶液を汚染土に向けて噴射しつつ内管
を引き上げることにより、汚染領域をJMl株を含む溶
液でスラリー化した(図1(d))。注入液量は、処理
対象領域の土壌間隙総体積の約1.2倍量となるように
した。
【0054】分解微生物JMl株は、培養開始から3日
日、菌濃度としては4.8×108cell/mlのものでほ
ぼ休止菌体として使用した。
【0055】培地組成は以下の通りとした。 M9培地 Na2HPO4 6.2g/l KH2PO4 3.0g/l NaCl 0.5g/l NH4Cl 1.0g/l L−グルタミン酸ナトリウム 20g/l
【0056】注入液は、注入時に上記JM1株培養液を
M9培地で2倍稀釈したものを用いた。
【0057】注入直後から30時間後、スラリー化した
処理土壌の土壌水をサンプリングした。サンプリングし
た液は直ちにn−hexane 5mlの入った容器に
入れ、3分間攪拌した後、n−hexane層を分取
し、ECDガスクロマトグラフィーにてTCE量を測定
した。結果を表1に示す。
【0058】<比較例1、2>実施例1と同様な汚染領
域に対して、空洞部の形成後にJMl株微生物溶液の替
わりに、M9溶液のみの注入をおこなった以外は実施例
1と同様に操作を行った。30時間後、実施例1〜3と
同様に処理土壌の土壌水のTCE濃度を測定した。結果
を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】実施例1〜3と比較例1、2の結果から明
らかなように、本発明の汚染土の浄化方法によって、T
CE汚染土を99%以上浄化できること、しかも低濃度
まで分解が進むことが解る。なお、比較例1で微生物を
入れないにもかかわらず、TCE濃度が低下しているの
は、攪拌・スラリー化で土壌中のTCEが気散したため
と考えられる。
【0061】<実施例4〜6>本実施例は、地中に残置
された汚染土として石油系の汚染による汚染土を対象と
したものである。まず、図1(b)に示すように二重管
ロッドを地中に打ち込んだ後、表2に示す回転速度およ
び引上げ速度で、加圧水を汚染土に向けて高圧噴射しつ
つ内管を引き上げることにより空洞部分を形成し(図1
(c))、続いて、加圧水に替えて微生物を含む溶液を
内管4に給送し、表2に示す回転速度および引上げ速度
で、分解微生物溶液を汚染土に向けて噴射しつつ内管を
引き上げることにより、汚染領域を分解微生物を含む溶
液でスラリー化した(図1(d))。注入液量は、処理
対象領域の土壌間隙総体積の約1.2倍量となるように
した。
【0062】分解微生物は、汚染土を培養溶液に加え集
積培養したものであり単離・同定したものでもはない。
菌濃度としては2.8×108 cell/mlのものを使用し
た。
【0063】微生物の注入作業を行った後、30日後の
汚染土の浄化状況を評価するため、対象地盤を構成する
土砂のTPH値(total petroleum hy
drocarbon concentrations)
を試験方法EPA8015Mで測定した。
【0064】試験結果を表2に示す。なお、汚染土の浄
化前の対象土のTPH値は3200ppmであった。表
2に示す試験結果から、この発明の汚染土の浄化方法に
よって、石油系の汚染による汚染土を94〜97%除去
することができることがわかる。
【0065】
【表2】
【0066】<実施例7、8>本実施例は、地中に残置
された汚染土としてTCEによる汚染土を対象としたも
のである。まず、図1(b)に示すように二重管ロッド
を地中に打ち込み、表3に示す回転速度および引上げ速
度で、加圧水を汚染土に向けて噴射しつつ内管を引き上
げることにより空洞部分を形成した(図1(c))。
【0067】次に、フェノール200ppmで既に誘導
されたTCE分解微生物J1株の菌体のみをM9培地に
懸濁し、この溶液を加圧水に替えて内管4に給送し、表
3に示す回転速度および引上げ速度で、J1株溶液を汚
染土に向けて噴射しつつ内管を引き上げることにより、
汚染領域をJ1株を含む溶液でスラリー化した(図1
(d))。注入液量は、処理対象領域の土壌間隙総体積
の約1.2倍量となるようにした。
【0068】分解微生物Jl株は、培養開始から3日
目、菌濃度としては4.2×108 cell/mlのものでほ
ぼ休止菌体として使用した。
【0069】培地組成は以下の通りとした。 M9培地 Na2HPO4 6.2g/l KH2PO4 3.0g/l NaCl 0.5g/l NH4Cl 1.0g/l L−グルタミン酸ナトリウム 20g/l
【0070】注入液は、注入時に上記J1株培養液をM
9培地で2倍稀釈したものを用いた。
【0071】注入直後から30時間後、スラリー化した
処理土壌の土壌水のサンプリングした。サンプリングし
た液は直ちにn−hexane 5mlの入った容器に
入れ、3分間攪拌した後、n−hexane層を分取
し、ECDガスクロマトグラフィーにてTCE量を測定
した。結果を表3に示す。
【0072】<比較例3>実施例7、8と同様な汚染領
域に対して、空洞部の形成後にJl株微生物溶液の替わ
りにM9溶液のみの注入をおこなった以外は実施例7、
8と同様に操作を行った。30時間後、実施例7、8と
同様に処理土壌の土壌水のTCE濃度を測定した。結果
を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】実施例7、8と比較例3の結果から明らか
なように、本発明の汚染土の浄化方法によって、TCE
汚染土を99%以上浄化できること、しかも低濃度の領
域での浄化が可能なことが解る。なお、比較例2で微生
物を入れないにもかかわらず、TCE濃度が低下したの
は、攪拌・スラリー化で土壌中のTCEが気散したため
と考えられる。
【0075】<実施例9>本実施例は、地中に残置され
た汚染土としてTCEによる汚染土を対象としたもので
ある。まず、図2(b)に示すように二重管ロッドを地
中に打ち込み、回転速度2rpm、ロッド引上げ速度2.
5cm/minで、微生物溶液を汚染土に向けて噴射しつつ
内管を引き上げることにより(図2(c))、各々2回
の除去・浄化作業を行い(図2(d))、除去土壌中の
TCE濃度を測定した。
【0076】分解微生物JMl株は、培養開始から3日
目、菌濃度としては4.5×108cell/mlのものでほ
ぼ休止菌体として使用した。
【0077】培地組成は以下の通りとした。 M9培地 Na2HPO4 6.2g/l KH2PO4 3.0g/l NaCl 0.5g/l NH4Cl 1.0g/l L−グルタミン酸ナトリウム 20g/l
【0078】注入液は、注入時に上記JMl株培養液を
M9培地で2倍稀釈したものを用いた。
【0079】除去直後から30時間後、地上で、スラリ
ー化した処理土壌の土壌水のサンプリングを3点おこな
った。サンプリングした液は直ちにn−hexane
5mlの入った容器に入れ、3分間攪拌した後、n−h
exane層を分取し、ECDガスクロマトグラフィー
にてTCE量を測定した。
【0080】その結果、3点のTCE濃度の平均は0.
05ppmであり、処理前の3点の平均濃度は7.12
ppmであったので、約99.3%除去・浄化したこと
となる。
【0081】<比較例4>実施例9と同様な汚染領域
に、JM1株微生物溶液の替わりにM9溶液のみの注入
を行った以外は実施例9と同様に操作を行った。30時
間後、実施例9と同様に処理土壌の土壌水のTCE濃度
を測定した。
【0082】処理前の3点の平均濃度は6.55ppm
であり、このM9溶液のみの注入による除去を行った後
30時間後のTCE濃度の平均は1.23ppmであっ
た。
【0083】実施例9と比較例4の結果から明らかなよ
うに、本発明の汚染土の浄化方法によって、TCE汚染
土を99%以上浄化できること、特に低濃度まで分解が
進むことが解る。なお、比較例4で微生物を入れないに
もかかわらず、TCE濃度が低下したのは、攪拌・スラ
リー化で土壌中のTCEが気散したためと考えられる。
【0084】<実施例10>本実施例は、地中に残置さ
れた汚染土として石油系の汚染による汚染土を対象とし
たものである。まず、図2(b)に示すように二重管ロ
ッドを地中に打ち込んだ後、微生物溶液を内管4に給送
し、回転速度2rpm、ロッド引上げ速度2.5cm/min
で、微生物溶液を汚染土に向けて噴射しつつ内管を引き
上げることにより(図2(c))、各々2回の除去・浄
化作業を行った(図2(d))。
【0085】分解微生物は、汚染土を培養溶液に加え集
積培養したものであり単離・同定したものでもはない。
菌濃度としては2.8×108 cell/mlのものを使用し
た。
【0086】除去・浄化作業を行った後、30日後の、
排出された汚染土の土砂のTPH値を試験方法EPA8
015Mで測定したところ平均で170ppmであっ
た。汚染土の浄化前の対象土のTPH値は3200pp
mであったことから、本発明による汚染土の浄化方法に
よって、石油系の汚染による汚染土を平均で約95%除
去できることが判明した。
【0087】<実施例11>本実施例は、地中に残置さ
れた汚染土としてTCEによる汚染土を対象としたもの
である。まず、図2(b)に示すように二重管ロッドを
地中に打ち込み、次いで、フェノール200ppmで既
に誘導されたTCE分解微生物J1株の菌体のみをM9
培地に懸濁し、この溶液を内管4に給送した。回転速度
2rpm、ロッド引上げ速度2.5cm/minで、J1株溶液
を汚染土に向けて噴射しつつ、内管を引き上げることに
より(図2(c))、各々2回の除去・浄化作業を行い
(図2(d))、除去土壌中のTCE濃度を測定した。
【0088】分解微生物Jl株は、培養開始から3日
日、菌濃度としては3.6×108 cell/mlのものでほ
ぼ休止菌体として使用した。
【0089】培地組成は以下の通りとした。 M9培地 Na2HPO4 6.2g/l KH2PO4 3.0g/l NaCl 0.5g/l NH4Cl 1.0g/l L−グルタミン酸ナトリウム 20g/l
【0090】注入液は、注入時に上記J1株培養液をM
9培地で2倍稀釈したものを用いた。
【0091】除去直後から30時間後、地上でスラリー
化した処理土壌の土壌水のサンプリングを5点おこなっ
た。サンプリングした液は直ちにn−hexane 5
mlの入った容器に入れ、3分間攪拌した後、n−he
xane層を分取し、ECDガスクロマトグラフィーに
てTCE量を測定した。
【0092】その結果、5点のTCE濃度の平均は0.
05ppmであり、処理前の5点の平均濃度は7.01
ppmであったので、約99.3%除去・浄化したこと
となる。
【0093】<比較例5>実施例11と同様な汚染領域
に対して、Jl株微生物溶液の替わりにM9溶液のみの
注入をおこなった以外は実施例11と同様に操作を行っ
た。30時間後、実施例11と同様に処理土壌の土壌水
のTCE濃度を測定した。
【0094】その結果、処理前の5点の平均濃度は6.
75ppmであり、M9溶液のみで除去をおこなった後
30時間後のTCE濃度の平均は1.33ppmであっ
た。
【0095】実施例11と比較例5の結果から明らかな
ように、本発明の汚染土の浄化方法によって、TCE汚
染土を99%以上浄化できること、特に低濃度の領域で
の浄化が可能なことが解る。なお、比較例4で微生物を
入れないにもかかわらず、TCE濃度が低下したのは攪
拌・スラリー化で土壌中のTCEが気散したためと考え
られる。
【0096】
【発明の効果】本発明の汚染土の浄化方法によれば、汚
染領域中に高活性な状態の分解微生物を広く、均一に存
在させることが可能となり、また、微生物と汚染物質の
混合を促進でき、迅速な分解浄化が可能となる。そのた
め、従来、困難であった低濃度領域での迅速な浄化が可
能となり、さらには、汚染領域のみの処理を行うため、
土壌の擾乱を最小限に押さえるとともに、経済的に土壌
中の汚染土を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚染土の浄化方法を説明するための工
程図である。
【図2】本発明の汚染土の浄化方法を説明するための工
程図である。
【符号の説明】
1 汚染領域 2 二重管ロッド 3 外管 4 内管 5 締切り壁 6 排出配管 7 高圧ホース 8 空洞部分

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌中の汚染土を浄化する方法であっ
    て、 外管と該外管の内部に挿入された内管とからなる二重管
    ロッドを汚染領域に向かって地中に挿入し、 前記外管の先端より突出配置した前記内管の先端部から
    汚染領域あるいは汚染領域近傍に、加圧水、もしくは汚
    染物質を分解する微生物を含む微生物溶液を噴射するこ
    とによって、汚染領域あるいは汚染領域近傍の土をスラ
    リー化し、該スラリー化した土の一部を前記外管と内管
    との間の隙間を経て上方に押し上げ、汚染領域あるいは
    汚染領域近傍に空洞部分を形成し、 前記内管に汚染物質を分解する微生物を含む微生物溶液
    を給送して、前記外管の先端より突出配置した前記内管
    の先端部から、前記空洞部分を利用して前記微生物溶液
    を噴射注入することによって、前記微生物溶液を前記汚
    染領域中に導入することを特徴とする汚染土の浄化方
    法。
  2. 【請求項2】 前記内管に、加圧水もしくは微生物溶液
    に加えて加圧空気を給送し、前記加圧水もしくは微生物
    溶液を加圧空気とともに汚染領域に噴射することを特徴
    とする請求項1記載の汚染土の浄化方法。
  3. 【請求項3】 土壌中の汚染土を浄化する方法であっ
    て、 外管と該外管の内部に挿入された内管とからなる二重管
    ロッドを汚染領域に向かって地中に挿入し、 前記外管の先端より突出配置した前記内管の先端部から
    汚染領域に、汚染物質を分解する微生物を含む微生物溶
    液を噴射することによって、汚染領域の土をスラリー化
    し、該スラリー化した土の一部を前記外管と内管との間
    の隙間を経て上方に押し上げて地上に排出することを特
    徴とする汚染土の浄化方法。
  4. 【請求項4】 前記内管に、微生物溶液に加えて加圧空
    気を給送し、前記微生物溶液を加圧空気とともに汚染領
    域に噴射することを特徴とする請求項3記載の汚染土の
    浄化方法。
  5. 【請求項5】 前記汚染領域の周囲を囲むように締切り
    壁を予め地中に形成することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の汚染土の浄化方法。
  6. 【請求項6】 汚染物質が炭化水素である請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の汚染土の浄化方法。
  7. 【請求項7】 汚染物質が有機塩素化合物である請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の汚染土の浄化方法。
  8. 【請求項8】 汚染物質が芳香族化合物である請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の汚染土の浄化方法。
  9. 【請求項9】 有機塩素化合物が、トリクロロエチレン
    及びテトラクロロエチレンの少なくともいずれか一方で
    ある請求項7記載の汚染土の浄化方法。
  10. 【請求項10】 微生物がJ1株(FERM BP−5
    102)である請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚
    染土の浄化方法。
  11. 【請求項11】 微生物がJM1株(FERM BP−
    5352)である請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    汚染土の浄化方法。
  12. 【請求項12】 微生物が休止状態の菌である請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の汚染土の浄化方法。
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