JP4380020B2 - 汚染土壌のオゾン処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば有機汚染物質含有土壌のような、汚染土壌のオゾン処理方法に関し、さらに詳細には汚染土壌にオゾンを注入して有機汚染物質を分解除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オゾンは強い酸化特性を有するガスであり、通常は酸素または空気を狭い間隔で配置した高圧電極間に流すことによって製造されている。この方法はコロナ放電法として知られている。オゾンの商業的使用は1890年代後半のヨーロッパにおける飲料水処理が最初であった。以来、今日ではオゾンは飲料水処理と廃水処理の両方に広く使われている。
【0003】
オゾンは一般に有機汚染物質と二つの経路で反応できる。すなわちa)直接酸化と、b)フリーラジカル中間体生成を経由する酸化であり、最もよく知られているのはヒドロキシルラジカルである。最も直接酸化されやすい汚染物質には多環芳香族炭化水素類、トリクロロエチレンのような塩素化エテン類、ペンタクロロフェノール (PCP)のような塩素化フェノール類などがある。これよりも範囲の広い、ハロゲン化溶媒類、殺虫剤類、脂肪族炭化水素類などを含む有機汚染物質も、直接酸化法ではゆっくりと、ヒドロキシルラジカル機構によればより速やかに酸化できる。酸化電位が3.0ボルトのフッ素に次いで、ヒドロキシルラジカル(酸化電位2.96ボルト)とオゾン(酸化電位2.07ボルト)がそれぞれ2番目、3番目に強い酸化剤として知られている。
【0004】
米国内の至るところで、多数の商業的施設と工業的施設の土壌と地下水が有機汚染物質で汚染されてきた。また、他の場所でも漏洩事故が発生して土壌と地下水を汚染している。これらの汚染物質を除去する技術が種々開発されてきた。よく知られている技術の一つに、土壌を掘削してオフサイトでこの土壌を処理する方法がある。しかし、この方法は屡々非常に高価である。また別の処理技術としては空気を制御して注入するエアスパーシング法がある。これは水中有機化合物のストリッピングを目的としたものか、または汚染物質のバイオレメデイエーションのための酸素供給を目的としたものである。しかし、塩素化オレフィン類や複雑な芳香族化合物類は屡々エアスパーシングやバイオレメデイエーションでは処理できず、さらに複雑かつ高価な処理が必要とされている。
【0005】
土壌(水で飽和された土壌、飽和されていない土壌共に)やスラッジのような汚染土壌中の有機汚染物質の処理において、オゾンは有効な酸化剤であることが知られている。従来、汚染された汚染土壌の処理に成功したのはオゾンの連続適用を含むものであった。このアプローチでの経験によって、汚染された汚染土壌の連続オゾン処理が、汚染土壌中に含有されている広範囲の有機汚染物質の処理に効果的な方法であり得ることがわかっている。オゾン処理は直接化学反応であるから、この反応速度と効果は添加したオゾンの量(重量%、流速、時間)に比例すると期待される。すなわち、オゾン量が多ければ多いほど、汚染物質との反応がより効果的であると期待される。
【0006】
汚染物質を含む汚染土壌の連続オゾン処理は効果的ではあるが、同時にまた非常に高価でもある。オゾン発生器は購入時に高価であるだけでなく、これを運転するのも高価である。オゾン発生器が多量の電力を必要とするからである。したがって、特定の場所を清浄化するために利用し得る方法を種々評価するときに、連続オゾン処理が高コストであるために、有機汚染物質を含む汚染土壌の処理法としてオゾン処理を採用するのが妥当な選択と言えないことが屡々ある。
【0007】
一方、オゾン処理を一度行うだけでも汚染物質の生物分解性が改善されることが知られている。このアプローチは汚染物質を1段階のオゾン処理を行った後に生物学的処理を行うものである。しかし、オゾンは微生物殺菌剤であるから、オゾンで前処理すると生分解が依存している微生物を破壊して、生分解相が阻害ないしは完全に破壊されるかもしれないという懸念が常に存在していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は有機汚染物質を含む汚染土壌を、少ないオゾン量で効率よく処理して、安価に汚染物質を分解することができる汚染土壌のオゾン処理方法を提供することを目的としている。本発明のこれら以外の目的もまたこの開示によって明かとなるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の汚染土壌のオゾン処理方法である。
(1) 汚染土壌中に所定時間オゾンを注入する注入工程と、オゾンの注入を所定時間停止する休止工程とを繰り返して行い、
休止工程において土壌中に空気または酸素を注入する汚染土壌のオゾン処理方法。
) 注入工程は0.25〜8時間である上記(1)記載の方法。
) 休止工程は12〜72時間である上記(1)または(2)記載の方法。
) 汚染土壌が多環芳香族化合物、石油系炭化水素、非水相炭化水素類、炭素数が8より大きい炭化水素類、置換芳香族化合物類、塩素化炭化水素類、コールタール類、クレオソート類、殺虫剤類、フタレート類、爆薬類、界面活性剤類または木材関連廃棄物で汚染された土壌である上記(1)ないし()のいずれかに記載の方法。
【0010】
本発明において処理対象となる汚染土壌は、オゾンによる処理が可能な汚染物質を含む土壌である。汚染物質としては有機化合物が一般的であるが、無機化合物、有機−無機複合化合物、その他の汚染物質であってもよい。処理に適した汚染物質としては、多環芳香族化合物、石油系炭化水素、非水相炭化水素類、炭素数が8より大きい炭化水素類、置換芳香族化合物類、塩素化炭化水素類、コールタール類、クレオソート類、殺虫剤類、フタレート類、爆薬類、界面活性剤類、木材関連廃棄物などがあげられる。
【0011】
本発明の処理方法は、上記のような汚染土壌中に所定時間オゾン注入するオゾン注入工程と、オゾン注入を所定時間停止する休止工程とを繰り返して行い、休止工程において土壌中に空気または酸素を注入する。オゾン注入は注入井からオゾン含有ガスを注入し、抽出井から吸引することにより汚染土壌の飽和層および/または不飽和層を通過させることによりオゾン処理を行うことができる。オゾン含有ガスはオゾン付加空気またはオゾン付加酸素ガスが用いられる。このような含有ガスはオゾン発生器に空気または酸素付加空気を供給して製造することができる。オゾン濃度は2〜15容量%、好ましくは3〜7容量%とすることができる。
【0012】
休止工程はオゾン注入を停止する工程である。ここでは単にオゾン注入を停止するだけでなく、その間酸素含有ガス例えば空気または酸素付加空気を注入することにより、生物の増殖が行われ、バイオレメデイエーションによる汚染物質の除去効果が高くなり好ましい。
【0013】
オゾン注入工程と休止工程はそれぞれ間欠的であればよいが、オゾン注入工程は0.25〜8時間、好ましくは0.25〜3時間が好ましく、また休止工程は12〜72時間、好ましくは24〜48時間が好ましい。オゾン注入のオゾン濃度は変化してもよい。
【0014】
本発明はオゾンを有機汚染物質を含む汚染土壌の処理技術として使用するときの高コストを低減させる方法を探索している過程で見出された。従来のオゾン処理の発展はオゾンの持続した連続適用に基づいていた。このようにすれば多くの有機汚染物質がオゾンで酸化できることが初期の研究によって示されている。しかし、このような処理で酸化効果を上げるためには、存在する有機汚染物質に関して高負荷量のオゾンが必要であった。したがって、初期の発展の結果として、オゾン処理は多種類の有機汚染物質を処理できるもののコストが高いという、高価なニッチ技術と見られていた。したがって、連続オゾン処理の利用は広く実施されることはなかった。
【0015】
オゾンの有機化合物との反応は化学的酸化であるから、反応速度と反応率は添加するオゾンの量と濃度によって決まる。オゾン処理には化学量論量(約3Kgオゾン/Kg有機物)より大きいオゾンの負荷量が必要と考えられていた。このようなレベルのオゾンを供給して許容し得る反応率を達成するためには、有機汚染物質を含む汚染土壌に対してオゾンの持続した連続適用が必要と考えられていた。このようなオゾンの連続適用は、多数の注入点を有する場所では多数のオゾン発生器が必要となり、その場所を改善するための設備コストと運転コストを共に上げることになる。このように連続オゾン処理が高コストであるため、代替方法を探索した。
【0016】
最初に考えた代替方法はオゾン処理とバイオレメデイエーションの組み合わせであった。バイオレメデイエーションで汚染物質量をいくらかでも低減すれば、それだけオゾンの必要量が少なくなり、処理コストが下げられる筈である。バイオレメデイエーションは比較的安価な方法であり、汚染物質を単に曝気するだけでよいことも屡々ある。バイオレメデイエーションは、しかし、オゾン処理よりもゆっくりとしたプロセスであって、このために適用がより溶解性で反応しやすい有機汚染物質の処理に限定されている。バイオレメデイエーションはそれ自身では多くの不溶性で難分解性の有機物を分解することができない。これに対して、オゾン処理とバイオレメデイエーションを組み合わせれば、生物処理を用いることによってオゾンの使用量を減らすことができる。また、オゾンによる予備酸化、すなわちバイオレメデイエーションに先立つオゾン酸化により汚染土壌中に存在する有機汚染物質をより生物分解し易くすることもできる。このように、これら2種の技術を組み合わせることによって、コスト面で効果的な、汚染土壌中に存在する有機汚染物質の処理方法が得られる。
【0017】
オゾンは細菌に対する非常に強力な殺菌剤であるから、オゾンを系に多く添加し過ぎると細菌が死滅し、適当な微生物群を添加または再生しないとバイオレメデイエーションができなくなる。そこで、オゾン処理とバイオレメデイエーションを組み合わせる方法の一つとして、有機汚染物質を含む汚染土壌へのオゾンの間欠的パルス添加、すなわちオゾンを所定時間注入する注入工程と、所定時間注入停止する休止工程を行う。注入工程において所定時間オゾンを汚染土壌に注入している間は、オゾンは有機汚染物質を攻撃してこれらをより生物分解されやすい化合物に分解する。そして、休止工程において所定時間オゾン注入を中断すると、バイオレメデイエーションが有機汚染物質分解の主要機構となる。オゾン注入時間を短くすれば、オゾンの微生物群に対する毒性作用を減少でき、一方、休止時間を長くすれば、微生物群が再生され汚染土壌中のこの部分的に酸化された汚染物質の分解が可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
上記のような観点から、クレオソートを用いて室内実験を行った。
クレオソートで汚染された土壌の処理におけるバイオレメデイエーション、オゾン処理法、およびオゾン処理とバイオレメデイエーションの組み合わせ方法の効果を比較することを目的として室内実験の第1段階の実験を行った。これらによる処理効果の評価には3種の基準を用いた。PAH類(Polyaromatic hydrocarbons, 多環芳香族炭化水素)の除去、TPH類(Total petroleum hydrocarbons, 全石油系炭化水素)の除去およびNAPL類(Non-aqueous phase liquid, 非水相液体)の除去である。結果は、次のように予想された。1)オゾン処理はPHA類は分解するが、TPH類やNAPL類に対しては効果がない。2)生物分解によりTPH類は減少するが、PAH類やNAPL類に対しては効果がない。3)オゾン処理と生分解の組み合わせ方法ではすべての汚染物とNAPL類が除去される。
【0019】
最初の実験では8個の土壌カラムを用いた。このうち、カラム3個は酸素を供給して生分解用に用いた。カラム3個はオゾンをパルス添加し、この間隙すなわち休止時間には酸素を供給する方法に用いた。またカラム1個をオゾン処理のみのブランクテストに、カラム1個を窒素ガスのみのブランクテストに用いた。この実験では、土壌中の微生物群を維持するように、オゾンの注入時間を短くした。この実験の結果、オゾン処理が微生物群を著しく、3桁以上も減少させた。そして、この減少した微生物群濃度では生物酸化によって汚染物質を有意に低減させるのには不十分であった。しかし、この全微生物群濃度の減少はオゾンとは無関係に思われた。何故なら、酸素だけしか供給しなかったカラムでも、微生物の消滅が見られたからである。そこで、追跡研究をした結果、この微生物の消滅は微生物が不純物レベルで土壌に添加されたアンモニア性窒素とオルト燐酸塩系リンの濃度に耐えられなかったためであると思われた。これは異常なことで、全く予期していなかった結果であった。栄養物のこの実験で添加されたレベルの濃度での毒性は、従来のいかなる処理実験においても観察されてはいなかった。
【0020】
このクレオソートを用いた最初の室内実験では、驚くべき2番目の結果も観察された。微生物群の濃度は汚染物質を除去するには効果がなさそうなレベルにまで減少していたが、それでもオゾンの周期的パルス添加処理は標的物質であるPAH類とTPH類の低減に効果があった。オゾンをパルス添加した量は連続オゾン処理のわずか7.7時間相当量であった(全注入時間を合算して決定した)。PAH類の平均除去率(重量%、以下同じ)は70%に近く、TPH類の除去率は60%であった。酸素のみをパルス添加したブランクテストのカラムではTPH類にもPAH類にも共に実質的変化が見られなかった。これらと比較すると、連続オゾン処理カラムでは、PAH類とTPHをわずか42%しか除去できなかった。また、窒素ガスを41時間連続して流したブランクテストでは、PAH類のレベルが4.5%減少したがTPH類の濃度は減少しなかった。これらの試験によって、次のことがわかった。オゾンはPAH類とTPH類の濃度を効果的に低減できる。土壌中へのオゾンのパルス添加はPAH/TPHの除去にかなり大きい効果がある。この研究の結果に基づき、クレオソートを用いた室内実験の第2段階の実験の計画を修正した。
【0021】
クレオソートを用いた室内実験の第2段階では、汚染物質(PAH類とTPH類)を共に分解して、これらの濃度を清浄化レベル以下に下げることを目的とした。この第2段階では、第1段階の土壌カラムを次のように修正した。
【0022】
〔パルス添加オゾン処理の継続〕
上記の室内実験第1段階では、このカラムはオゾン処理を注入工程1時間、休止工程4日間で行っていた。また、休止工程、すなわちオゾンが供給されていない期間は室内の空気を連続ベースで流していた。この第2段階では、このカラムはパルス添加オゾン処理をこの実験が完了するまで継続した。このカラムでは、パルス添加オゾン処理だけを長期間行った場合の標的汚染物質に対する効果を調べた。
【0023】
〔再接種してパルス添加オゾン処理、TPH/PAH濃度は最初のまま〕
第1段階では、このカラムは酸素処理を注入工程1時間、休止工程4日間で行っていた。また、休止工程、すなわちオゾンが供給されていない期間は室内の空気を連続ベースで流していた。第1段階の終了時に、TPH類にもPAH類にも分解は見られなかった。この第2段階では、このカラムは市販の炭化水素分解用培養菌を接種してからパルス添加オゾン処理を行った。
【0024】
〔再接種してパルス添加オゾン処理、TPH/PAH濃度は低下〕
第1段階では、このカラムはオゾン処理を注入工程1時間、休止工程4日間で行っていた。また、休止工程、すなわちオゾンが供給されていない期間は室内の空気を連続ベースで流していた。この第2段階では、このカラムは市販の炭化水素分解用培養菌を接種してからパルス添加オゾン処理を行った。
【0025】
〔パルス添加酸素処理のブランクテスト〕
第1段階では、このカラムは酸素処理を注入時間1時間、休止工程4日間で行っていた。また、休止工程、すなわちオゾンが供給されていない期間は室内の空気を連続ベースで流していた。この第2段階では、このカラムは市販の炭化水素分解用培養菌を接種してから、パルス添加酸素処理を行った。
【0026】
〔連続オゾン処理〕
第1段階では、このカラムには空気だけを連続ベースで供給していた。この第2段階では、このカラムは連続オゾン処理を行った(月曜日から金曜日まで、2週間)。
【0027】
実験の結果、次の表1に示されているように、目標PAH類濃度(PAH<473ppm(重量))が、パルス添加オゾン処理方式で最終的に全オゾン処理時間38時間後に達成された(この38時間はオゾンのパルス添加継続時間をすべて累計したもの)。
【0028】
【表1】
表1 クレオソートを用いた室内実験第2段階の実験結果
Figure 0004380020
【0029】
このクレオソートを用いた室内実験の目的は、オゾン処理法、生物分解法、オゾン処理と生物分解とを組み合わせた方法の3種でLNAPL(軽非水相液体)とクレオソートで汚染された土壌を処理する時の効果を比較することにあった。この実験を始めるときには、生物分解法は低コストでTPH類には充分に、PAH類にはある程度有効と考えていた。生物分解法は土壌中の燃料成分の除去には非常に有効な手段ではあるが、LNAPL類を処理したりPAH類の標的レベルを達成したりするには長期間を必要とするかもしれないと思っていた。一方、オゾン処理はこれより非常に高価ではあるが、PAH類は充分に、TPH類は中程度に処理できると期待していた。またオゾン処理はLNAPL類に対しては、有効な技術ではないと考えていた。しかし、それぞれの技術の強みを活かして、オゾン処理と生物分解を組み合わせれば、コスト的に有利でかつPAH類もTPH類も共に処理できるのではないかと考えていた。
【0030】
連続オゾン処理は目標PAH類濃度を達成するのに有効であった。この研究の最も重要な結果は、オゾンで燃料成分(LNAPL残さ)が処理できそうなことが観察されたことである。連続オゾン処理でもパルス添加オゾン処理でも、TPH類は約95%から99%分解された。2番目に重要な結果として観察されたことは、オゾンをパルス添加すれば、生物学的要素を使わなくても、こうするだけでオゾンの使用が改善されることである。オゾン注入時間を短くすると、生物分解は起きるが不必要でもあった。オゾンをパルス添加するだけで、オゾン処理と生物分解の組み合わせた方法に期待していた結果が得られた。生物分解は、これを行っても、パルス添加オゾン単独処理の効果をわずか10%程度上乗せするにすぎないことがわかった。
【0031】
前記のクレオソートを用いた室内実験に引き続き、一連のカラム実験を行いその結果を統計学的に処理した。各カラムには殺菌、洗浄、篩い分けした砂500gを入れ、このカラムにクレオソート、ペンタクロロフェノール(PCP)およびヘキサクロロベンゼン(HCB)の混合物を加えた。これらの実験開始時の濃度はクレオソートが約17,000ppm、ペンタクロロフェノールが800ppm、ヘキサクロロベンゼンが800ppmであった。実験は3種の因子を変えて行った。
注入時間:0.25、1、2、3および4時間
休止時間:2、12、24、36および48時間
全オゾン処理時間:4、6、8、9および12時間
【0032】
ここで、注入時間とはオゾンを1回パルス添加する時間である。また、休止時間とはパルス添加間のオゾンを中断させている時間である。また、全オゾン処理時間とは注入時間をすべて累計した合算値である。処理効果は次の二つの観点から評価した。
オゾン消費効率:消費されたオゾンの重量/分解された汚染物質の重量
汚染物質の減少率:(%)
【0033】
これら3種の因子を変えて行った実験で得られたオゾン消費効率を次の表2に示す。表2において、例えば休止時間2の平均効率1.56という表示は、休止時間を2時間に固定し、他の注入時間および全オゾン処理時間を上記の値に変化させたときの平均オゾン消費効率が1.56%であったことを示す。注入時間、全オゾン処理時間についても同様である。
【0034】
【表2】
表2 オゾン消費効率
(消費されたオゾンの重量/分解された汚染物質の重量)
Figure 0004380020
【0035】
この表からわかるように、連続オゾン処理とパルス添加オゾン処理の間にオゾン消費効率の大きな差がある。パルス添加オゾン処理の方が効果がよい。パルス添加オゾン処理においては、休止時間がオゾン消費効率に最も大きく影響する。休止時間が最短の2時間では、オゾン消費効率は中程度である。休止時間が12時間に長くなると、オゾン消費効率は低下する。休止時間がさらに長くなり、12時間と24時間の間ではオゾン消費効率がかなり改善される。休止時間が24時間よりさらに長くなっても、長くなれば長いほど、オゾン消費効率は僅かずつではあるが改善され続ける。注入時間は二つの結果を示している。オゾン消費効率は、注入時間が極端に短い(0.25時間)ときに最も良く、次いで注入時間が2〜3時間の時が2番目によい。注入時間が3時間以上では、時間が長くなるにつれてオゾン消費効率が一般に低下する。これは最初のオゾン処理によって反応しやすく移動し易い汚染物質が反応するためと思われる。これらが反応してしまった後には、残留汚染物質を酸化するには、比較的多量のオゾンを消費する。このことは連続オゾン処理の場合に特に言える。全オゾン処理時間もオゾン消費効率に影響する。パルス添加オゾン処理と連続オゾン処理との非常に大きな違いは、パルス添加オゾン処理の方がオゾン消費効率が良く、しかも全オゾン処理時間を長くしても、連続オゾン処理のように速やかには悪化(汚染物質重量当たりのオゾン重量が増加)しないということである。このように、パルス添加オゾン処理の効率が連続オゾン処理と比較して良いのは、汚染物質の休止時間中における汚染土壌中から反応すべき固体表面への拡散に関係しているのかもしれない。
【0036】
また、異なったタイプの汚染物質についても、減少率(%)と3種類の因子(休止時間、注入時間、全オゾン処理時間)との関係を調べた。TPH/PAHについての結果を次の表3に示す。
【0037】
【表3】
表3 TPH/PAHの減少率(%)
Figure 0004380020
【0038】
TPH/PAHの場合は、減少率が全オゾン処理時間に非常に強く影響される。減少率は全オゾン処理時間9時間までは時間と共に増加する。これは時間が長いほどより多く反応するためと考えられる。休止時間が減少率に2番目に大きく影響する。減少率を見ると、休止時間が非常に短く(2時間)ても中程度の減少率は得られている。この減少率は、休止時間を長く12時間にすると低下している。休止時間を更に長くすると、12時間と24時間の間では、減少率がかなり増大している。減少率を良くするという観点での最適休止時間は24時間から36時間である。最後に、注入時間もいくらかは影響し、非常に短い(0.25時間)か約2〜3時間かが最適である。
【0039】
次の表4にPCPについての実験結果を示す。
【表4】
表4 PCPの減少率(%)
Figure 0004380020
【0040】
PCPはTPH/PAH類よりも分解されにくい有機物である。しかし、PCPはTPH/PAHと同じパターンに従って減少する。第一に、これは予想されることではあるが、全オゾン処理時間が減少率に最も大きく影響する。反応したPCPの量は全オゾン処理時間が長くなるにつれて増大するからである。休止時間も重要である。この場合には、休止時間を長くするにつれてPCPの減少率もまた増大する。12時間から24時間へ休止時間を延ばしたときに、最も大きな平均減少率の向上がみられる。一方、注入時間と平均減少率との間には一定の関係は見出せなかった。一番良い結果は短い注入時間と長い注入時間で得られている。短い注入時間で良い減少率が得られたことは、驚きであった。
連続オゾン処理でパルス添加オゾン処理と同等の効果を得るには、68時間以上が必要であった。パルス添加オゾン処理でPCPの減少率を約90%にするに要したオゾン量は、連続オゾン処理の場合の約1/7であった。
【0041】
次の表5にHCBについての実験結果を示す。
【表5】
表5 HCBの減少率(%)
Figure 0004380020
【0042】
表5に示したように、種々のパルス添加オゾン処理条件下でのヘキサクロロベンゼン(HCB)の平均減少率には一貫性が見られない。HCBは極端に分解されにくい化合物である。全オゾン供給量がいかなる明確な関係も持っていないようである。連続オゾン処理の場合に一般に見られるように、オゾン処理量を増やせば減少率が増大すると予想されるところであるが、この場合はこれと異なった。影響が最も大きくかつ分かり易いのは休止時間である。休止時間が長いほど減少率が大きくなる。注入時間が2次的な挙動を示した。減少率が最もよいのは注入時間が短い(約0.25時間)か、または長い(約3時間)ときである。
【0043】
これまでに実験してきた各種の汚染物質について、最高の減少率が得られた条件と最低の減少率が得られた条件を、次の表6に示した。この表に見られるように、休止時間が極めて重要である。休止時間が24〜48時間のとき最良の結果が得られ、短い約12時間のとき最悪の結果が得られる。一方、最適の注入時間は0.25時間から3時間である。
【0044】
【表6】
表6 最大除去率と最小除去率の条件
Figure 0004380020
【0045】
図1〜図6に、TPH/PAH、PCPおよびHCBの分解に及ぼす3因子(注入時間、休止時間、全オゾン処理時間)の影響を示した。HCBはPCBのような反応性がない高度に塩素化された化合物の代用物として用いた。結果はそれぞれの化合物について二つの図に示している。一つは全オゾン処理時間が短い場合、2番目はこれが長い場合である。これらの図に示されているように、3種の化合物がパルス添加オゾン処理されたときの挙動は異なっており、反応性の相違が反映されている。しかし、一般化し得るいくつかの重要事項も見られる。
【0046】
図1と図2にTPH/PAHの分解と休止時間、注入時間の関係を示す。図1はオゾン処理レベルが低い場合の、TPH/PAHの減少率(%)と休止時間および注入時間との関係を示している。この図に示されているように、最良の処理効果は休止時間が中−長でかつ注入時間が短−中のときに得られる。休止時間が短いときには、注入時間を長くすると効果が改善される。全オゾン処理時間が長いとき(図2)でも、この挙動は同様である。この場合でも、休止時間が長くかつパルス時間が短いときか、あるいは休止時間が短くかつパルス時間が長いときに、処理効果が最も良い。これらの図によって、TPH/PAHとの反応を最適化することができる。
【0047】
図3と図4にPCPの分解と、休止時間、注入時間の関係を示す。図3はオゾン処理レベルが低い場合の、PCPの減少率(%)と休止時間および注入時間との関係を示している。最良の処理効果は休止時間が長くかつ注入時間が短いときに得られる。休止時間が短くかつ注入時間が長いときには、効果は中程度になる。また、図4に示されているように、全オゾン処理量を増加させると減少率は一般に増大するが、前記の傾向は実質的に変わらない。
【0048】
図5と図6にHCBの分解と休止時間、注入時間との関係を示す。図5はオゾン処理レベルが低い場合の、HCBの減少率(%)と休止時間および注入時間との関係を示している。HCBの結果は、実験したこれ以外の汚染物質と比較して、大きく異なっている。注入時間の長短にかかわらず、休止時間を長くとった場合に高い除去率が示された。また供給オゾン量を増加させた場合、最も高い除去率を与える条件は長休止時間かつ長注入時間方向にシフトする。
【0049】
この研究から一般的な結論をいくつか導き出すことができる。
第一に、パルス添加オゾン処理においては、休止時間が重要である。一般に24時間以上の休止が最も好ましい。汚染物質の反応性が小さいほど、この休止時間の重要性は増す。一般に、汚染物質の反応性が小さいほど休止時間は長くなる。
第二に、反応性が良いまたは中程度の汚染物質の場合には、注入時間が重要である。注入時間は短く休止時間は長くするのが最良である。汚染物質の反応性が低下するにつれて、注入時間の重要性も減少する。注入時間を長くするときには、休止時間を短くするのが最良である。
第三に、最高の処理効率を与える条件は、汚染物質の反応性に左右される。一般に、汚染物質の反応性が小さいほど、より長い休止時間が必要となる。
【0050】
コールタールで汚染された土壌のパルス添加オゾン処理による現場パイロット実験をガス製造工場跡地にて行った。この場所はTPH類とPAH類で汚染されていた。現場にて、帯水層中の一定の場所にオゾン(酸素中5%)をパルス注入した。各パルス添加の間には、何も添加しなかった。本実験エリアで問題となるのはDNAPL(Dense non aqueous phase liquids, 比重が大きい非水相液体)が存在することであった。オゾンスパージは帯水層内に種々の速度で実施した。この実験の開始時にはオゾンを毎日1時間、5日間パルス添加したが、実験終了時には、オゾンを毎日8時間、毎週4日間、パルス添加した。12週間の終わりに、最初約2フィートもあったDNAPL層の厚さが1インチ未満にまでも下がった。
【0051】
この実験の間、生物活性が処理効果のキー要素ではないかと考えられていた。データを調べた結果、注入時間が短いとき(1〜2時間 /日)には生物分解が起きていることが示唆された。すなわち、好気性生物分解の指標である酸素の消費が観察された。注入時間を長くすると、酸素の消費が止まったところより、生物活性はあまり存在していないと思われた。
この実験によって、オゾンのパルス添加処理の有益性が示された。この実験はまた生物分解が有益ではあるが、汚染物質の除去には必ずしも必要でないことも示した。この実験では処理条件を最適化するところまでは行わなかった。休止時間は、想定した生物活性を維持するために必要と予想される条件に基づいて、ウイークデイには約24時間、ウイークエンドには約48〜72時間を選んだ。
【0052】
コールタールを用いた室内実験を行った。この研究では、ガス工場跡地にて採取した2種の土壌と2種の地下水を用いた。一つの土壌は高濃度の汚染物質を含んでおり(全PAH類5,860mg/Kg;発ガン性PAH類369mg/Kg;TPH類18,000mg/Kg;全BTEX1,151mg/Kg)、現場における汚染の最も激しい土壌を代表するものである。一方、二番目の土壌は現場の平均的な汚染レベルを示すものであり、計算したところ、これに含まれている標的汚染物質の濃度レベルは一番目の土壌に比べてかなり低かった(全PAH類667mg/Kg;発ガン性PAH類なし;TPH2,295mg/Kg;BTEX類なし)。このうち、連続オゾン処理試験には汚染が激しい一番目の土壌のみを用いた。その他の試験には汚染レベルの低い二番目の土壌と一番目の土壌の3:1混合物を用いた。
【0053】
処理の可能性を調べた結果、次のことがわかった。すなわち、土壌中にもとから棲息している微生物で、無機栄養分を補充追加しなくても、好気性条件下では汚染物質であるBTEX類とPAH類およびTPH類の少なくとも一部分は分解できる。空気によるストリッピングもBTEX留分とある種のPAH/TPH化合物を除去する強力な方法である。オゾンはPAH類とTPH類の処理においては効果的な化学酸化剤であり、BTEX留分もうまく処理できると期待できた。オゾンは標的汚染物質の濃度を効果的に下げることができ、その濃度が99%以上減少した。オゾンは単独で使用しても、空気ストリッピングや生物学的処理と組み合わせて使用しても、効果的であった。組み合わせ技術を使えば、標的汚染物質の改善がコスト的に最も有利に行える可能性がある。
【0054】
汚染土壌と地下水からなる20%スラリーを全78時間連続してオゾン処理した。この試験はスラリーのオゾンブレイクスルー試験と呼び、この試験によってオゾン処理の標的汚染物質に対する効果と処理時間との関係を調べた。このスラリーブレイクスルー試験により、容易に酸化される物質、特に非汚染性オゾン消費物質によるオゾン消費量を知ることができる。ブレイクスルーとは「流入濃度と流出濃度が等しくなる点」または「流入濃度と流出濃度の差が実質的に一定になる点」と定義されている。ブランクテスト用フラスコには窒素ガスを連続73時間通して、揮発性および/または吸着性汚染物質によるロスを補正した。78時間の処理中に土壌スラリー中の全PAH類、全発ガン性PAH類および全ベンゾ[a]ピレン相当PAH類が99%以上減少した。しかし、22.6時間という短時間で汚染物質は既に著しく減少していた。すなわち、このとき減少率は全PAH類が96%、全発ガン性PAH類が99%、全ベンゾ[a]ピレン相当PAH類が99%であった。また、TPH類の濃度減少率は22.6時間で85%、43.3時間で95%、55.8時間で99%であった。また、BTEX類の濃度は22.6時間で99%以上減少したが、これはこれはおそらく化学的酸化と空気ストリッピングの両方によるものであろう。これと対比して、窒素ブランクテストのフラスコにおける減少率は72時間で全PAH類が15%、全発ガン性PAH類が19%、全ベンゾ[a]ピレン相当PAH類が12%であった。これによって、オゾン処理がPAH類の主要除去機構であることが証明された。TPH類の濃度の減少率は36%、全BTEX濃度の減少率は99%であった。BTEX化合物は空気ストリッピングされやすいが、このように空気ストリッピングされやすい化合物はTPH類とPAH類には少数しか含まれていない。
【0055】
この他に4種条件について、すべて20%スラリーを用いて、試験した。ブランクテストは試料を曝気して、揮発による除去と生物分解のみを見た。オゾンのパルス添加は毎週月曜日、水曜日、金曜日に15分間、全オゾン処理時間として7.3時間行った。休止時間は最初の2回を48時間、3回目を72時間とした。生物処理/オゾン処理実験では9週間まで空気のみ、その後24時間連続オゾン処理を行った。また、オゾン処理/生物処理実験では24時間連続オゾン処理した後、再接種してから9週間曝気した。これら3種の実験のすべてにおいて、微生物量は上昇した。この実験の結果を下の表7に示す。
【0056】
【表7】
表7 分解結果、除去率%(9週間)
Figure 0004380020
【0057】
4種類の分類の化合物、PAH類、発ガン性PAH類%、TPH類およびBTEX類、を追跡した。この表に示されているように、パルス添加オゾン処理はその他の処理よりも大幅に短いオゾン処理時間ですぐれた汚染物質除去率を達成した。このことは、汚染物質の除去にはパルス時間は短く、休止時間は長くするのが有利なことを示している。
また、この実験で観察された2番目のことは、パルス時間が短くかつ休止時間が長いときには生物活性が維持できるということである。
また、この実験で3番目に観察されたことは、生物処理に引き続いてオゾン処理を行えば効果が良くなることである。このことは生物処理/オゾン処理実験の結果を見れば明かである。
【0058】
パルス添加オゾン処理を行えば、オゾン処理の効率が大幅に改善される。単位時間ベースでのオゾン使用量が少ないので、設備コストも運転コストも低減できる。このことを一事例について下に示した。面積100フィート×200フィートで、深さ6−8フィートの土壌の処理を行うこととする。また、処理対象はクレオソートとする。
【0059】
<連続オゾン処理の設定仕様>:
注入井:10本、3%(容量%)のオゾンを10SCFM(standard cubic feet per minute)で注入
全流量:100SCFM
オゾン必要量:オゾン濃度3%で約150ポンド/日
必要なオゾン発生器:50#/日のユニットを3基
<パルス添加オゾン処理の設定仕様>
注入井:10本、3%のオゾンを10SCFMで注入。2時間/日/注入井
全流量:3%オゾンで10SCFMおよび全空気流速で100SCFM
オゾン必要量:14ポンド/日
必要なオゾン発生器:25#/日のユニットを1基
これらの処理法の典型的な全コストを比較して次の表8に示す。
【0060】
【表8】
表8 連続オゾン処理法とパルス添加オゾン処理法のコスト比較(USドル)
Figure 0004380020
【0061】
本発明を要約すると、発明は次の段階を含む有機汚染物質含有汚染土壌の処理方法である。
a)汚染土壌中へ、注入時間として、一定時間オゾンを注入する。
b)汚染土壌中へのオゾンの注入を、休止時間として、一定時間中断する。
段階a)の1回以上の追加繰り返し
実際には段階a)と段階b)が、より大きいオゾン消費効率が得られるように、多数回順次繰り返されることが好ましい。好ましい休止時間は約2時間から約48時間であり、最も好ましい休止時間は約24時間から約36時間である。また、好ましい注入時間は約0.25時間から約8時間であり、最も好ましい注入時間は約0.25時間または約2時間から約3時間である。
【0062】
有機汚染物質を含有する汚染土壌中へのオゾンのパルス添加はオゾン消費効率を上げる。連続オゾン処理方式と比較すると、オゾン消費効率が数倍から1桁増加する。より少ないオゾンで、汚染物質を同じだけ低減させることができる。オゾンのパルス添加処理においては、注入時間と休止時間が二つの重要なパラメータである。また、添加する全オゾン量も重要ではあるが、これは汚染土壌中に存在する汚染物質の量によって変わってくる。オゾンの消費効率には休止時間が最も大きく影響する。注入時間もオゾンの消費効率に影響を与えるが、休止時間ほど重要ではない。
【0063】
オゾンは、市販されているオゾン発生器であれば、どんなオゾン発生器を使ってでも供給できる。これらのオゾン発生器は一般に約15%までのオゾンを供給するが、オゾンの適した使用濃度範囲は約3%から約7%である。オゾン発生器に供給する原料は通常空気か酸素である。原料ガスとして空気を使うと、通常2〜3%のオゾン流が作られ、酸素を原料ガスとして使うと、通常5〜7%のオゾンが作られる。原料としてどちらを使う場合でも、原料ガスのオゾン発生器内滞留時間を増加させると、オゾンの濃度を上げることができる。滞留時間を増加させるためには、オゾン発生器への原料ガス供給速度を下げればよい。オゾンの濃度を上げることにより反応速度も上がると予想されるが、一般的には高濃度のオゾンを発生させることによりコストも上昇する。
【0064】
全オゾン処理時間、すなわち注入時間の累計値はオゾン消費効率にそれほど大きな影響を与えない。パルス添加オゾン処理はオゾン処理プロセスの開始時に最も効率がよい。この効率は時間の経過につれて少しずつ低下してくる。これはおそらく、より影響されやすいおよび/または反応しやすい有機物が最初に酸化され、より強く吸着されている有機物はオゾンとの接触をより多く必要とするからであろう。連続オゾン処理と比較すると、パルス添加オゾン処理はオゾン消費効率の低下が著しく少ない。
【0065】
予想されるように、全オゾン処理時間は有機汚染物質の除去率に大きく影響する。全オゾン処理時間が約9から約12時間のときに、最良の除去率が示された。除去率は全オゾン処理時間が約4時間から約8時間になったとき著しく増大し、約9から12時間ではそれほど変化しなかった。一般に、より多くのオゾンで有機汚染物質を処理することにより、除去率もまた上昇する。このことは、連続オゾン処理で高除去率が得られたことより明かである。
【0066】
この分野で熟練した人であれば、低下し続けている標的汚染物質の濃度をモニタリングして、パルス添加オゾン処理プロセスでも連続オゾン処理プロセスでも、その終了時点を決定することが容易である。望まれる清浄化レベルは通常その場所の所有者と清浄化について権限を持っている規制機関との共同で決定される。本発明によるパルス添加オゾン処理法は、有機汚染物質の大半を除去できるまで続けるのが望ましい。
【0067】
休止期間、すなわち固体マトリックス中へのオゾン注入が中断されているときには、もし望むなら、空気または酸素を固体マトリックス中に注入してこの中での生分解を促進することができる。しかし、こうすることの利点は非常に大きくはないかもしれず、パルス添加オゾン処理の必要構成要素ではない。生物分解力を最大にするためには、注入時間を約半時間未満とし、休止時間は約36時間から約72時間にすべきである。
【0068】
パルス添加オゾン処理は、一般に、固体マトリックス中に含有されるどんな有機汚染物質にも適用できる。しかし、パルス添加オゾン処理が最も有益なのは、次の特性の一つないしこれ以上を有する難分解性有機化合物を含有する固体マトリックスの処理である。
非揮発性(揮発性の限界約1mmHg未満);
不溶性(溶解度の限界約1000ppb未満);
非生物分解性(BOD5約0.1mg / L酸素);
ただし、非揮発性かつ非生物分解性であれば、溶解度はもっと大きくてもよい。
【0069】
本発明を用いて処理できる具体的化合物名と化合物の分類名には、次記が含まれている。
[PAH類(多環芳香族炭化水素)]:
特に発ガン性のPAH類−ベンゾ(a)アンスラセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(b)フルオランセン、クリセン、ジベンゾ(a,h)アンスラセン、インデノ(1,2,3-c,d)ピレン;およびコールタール、クレオソート、燃焼残さ
[クロロフェノール類]:
たとえば、PCP(ペンタクロロフェノール)、デイノセブ(dinoseb)
[置換芳香族類]:
たとえば、クロロベンゼン、ジ−、トリ−、およびテトラ−クロロベンゼン
[分子内の炭素原子数が8より大きい炭化水素]:
たとえば、風雨に曝された燃料(ガス油、ジェット油、ジーゼル油);No.2、No.4およびNo.6燃料油;APIセパレーターのスラッジ;コールタール;油状廃棄物;原油;残さ油;レジッド(resid);バンカー(Bunker)C;切削油;潤滑油
[殺虫剤]:
DDT、DDX、2,4−Dのような塩素化アリルアルカノイックアシッド;またはアタジン、シマジンのようなs−トリアゼン類;またはモヌロン、クロロクスロンのような尿素系除草剤;またはアラクロール、プロパクロールのようなアミド系除草剤;ピレセリン、ロテノン、クロールデイン、へプタクロール、ジアジノン、パラチオン、マラチオン、カルボフラン、プロポクスル、アルジカーブ、パーマスリン、リンデイン、エピクロルヒドリン、トクサフェン、またはEPAメソッド8019に記載されているもの。
[フタレート類]:
たとえば、BEHP(ビス−2エチルヘキシルフタレート)、ジオクチルフタレート
[爆薬類]:
たとえば、RDX、TNT、ジニトロトルエン
[界面活性剤]:
たとえば、アルキルアリルスルホネート、リグノスルホネート
[木材関連廃棄物]:
例えば製紙廃棄物、フミン酸塩、リグニン、クラフトパルプ廃液、テルペン、ターペンタイン
【0070】
ここで用いている用語「固体マトリックス」は固体と、たとえば水で飽和されている土壌または飽和されていない土壌やスラッジのような、浸透性および半浸透性の成分を含むことを意図している。
本発明は汚染場所現地においても現地以外の場所においてもうまく適用できる。
【0071】
本発明を実施するには多数の処理形態が可能である。その中の一つの形態として、図7に示したように、不飽和層へオゾンを吹き込む方法がある。図7において、1は汚染土壌であって、地下水面2の上側が不飽和層3、下側が飽和層4になっている。不飽和層3には注入井5および抽出井6が設けられている。オゾン処理方法は、注入工程ではオゾン注入装置7から注入井5にオゾン含有ガスを送って、注入孔部8から不飽和層3に注入し、休止工程では酸素含有ガスとして空気を送って注入する。一方、抽出井6では真空ブロア9で吸引することにより、抽出孔部10からオゾン含有ガスまたは空気を吸引して抽出し、オゾン除去装置11でオゾンを除去して排気する。これにより不飽和層3にオゾンおよび空気がそれぞれ間欠的に注入され、オゾン処理およびバイオレメデイエーションが行われる。
図7および図8では、注入井一つと抽出井一つしか示されていないが、多数の注入井と多数の抽出井を現地のどこででも容易に使うことができることは理解できよう。パルス添加オゾン処理の、連続オゾン処理法と比較したときの、利点の一つはより少ないオゾン発生器で多数の注入点に役立たせることができることである。
【0072】
この発明を実施する別の処理形態として、図8に示したようなスパージポイントと抽出井を含む飽和ゾーン(地下水面下層部)システムがある。図8では注入井5は不飽和層3から飽和層4まで伸び、注入孔部8は飽和層4に開口している。このためオゾンおよび空気は注入孔部8から飽和層4を通って不飽和層3に入り、抽出孔部10から抽出され、飽和層4と不飽和層3の両方にオゾン処理およびバイオレメデイエーションが行われる。
その他にも掘削した土壌のスラリーを調整しオゾンを注入する方法、パイルを組んで土壌にオゾンを吹き込む方法および汚染土壌をコンテナに移しオゾンを注入する方法などが考えられる。
【0073】
図9と図10にパルス添加オゾン処理システムの異なる実施形態が描かれている。図9では複数の注入井5がバルブ12を介してオゾンのマニホールド13および空気/酸素のマニホールド14に連絡している。ここでは制御装置15によりバルブ12を切り換えて、オゾン発生器16からオゾンまたはブロア17から空気/酸素を送り、それぞれマニホールド13または14から注入井5に注入する。このように図9にはオゾンのマニホールド13と空気/酸素のマニホールド14が別々になっている平行システムが描かれており、この場合には注入井5にはオゾンまたは空気/酸素が流れる。オゾンまたは空気/酸素の添加はバルブ12で制御される。このバルブ12はソレノイドバルブまたは手動バルブである。図10にはオゾンの配管18が直接に空気/酸素配管19に接続されている共軸システムが描かれている。オゾンの添加量はバルブ12で制御され、この場合もバルブ12はソレノイドバルブまたは手動バルブである。
【0074】
操作上は、パルス添加オゾン処理は単独で、またはバイオレメデイエーション、汚染物質の回収、高温下で移動しやすくなった汚染物質の回収、真空抽出、エアスパージングのようなこれ以外の技術と組み合わせて用いることができる。
ここで開示された本発明の実施形態は、本発明の現在の実施態様を構成するものではあるが、これら以外にも多くの実施形態も可能である。しかし、存在し得るこれらと同等の、ないしはこれらから派生可能な実施形態の全てについて言及するのは、ここで意図するところでない。また、ここで使っている用語も単に説明するものであって、これに制限するものではない。本発明の精神ないしは目的から離れることなく、本発明を種々に変化させることが可能なことを理解されたい。
【0075】
【発明の効果】
有機汚染物質含有固体マトリックスをオゾンで処理して浄化するときに、オゾンの使用効率を改善して処理コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾン処理合計時間が短い場合の、TPH/PAHの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図2】オゾン処理合計時間が長い場合の、TPH/PAHの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図3】オゾン処理合計時間が短い場合の、PCPの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図4】オゾン処理合計時間が長い場合の、PCPの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図5】オゾン処理合計時間が短い場合の、HCBの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図6】オゾン処理合計時間が長い場合の、PCPの減少率(%)と注入時間および休止時間との関係を示したグラフである。
【図7】不飽和層処理システムの概要図である。
【図8】飽和層処理システムの概要図である。
【図9】オゾンパルス平行システムの概要図である。
【図10】オゾンパルス共軸システムの概要図である。
【符号の説明】
1 汚染土壌
2 地下水面
3 不飽和層
4 飽和層
5 注入井
6 抽出井
7 オゾン注入装置
8 注入孔部
9 真空ブロア
10 抽出孔部
11 オゾン除去装置
12 バルブ
13、14 マニホールド
15 制御装置

Claims (4)

  1. 汚染土壌中に所定時間オゾンを注入する注入工程と、オゾンの注入を所定時間停止する休止工程とを繰り返して行い、
    休止工程において土壌中に空気または酸素を注入する汚染土壌のオゾン処理方法。
  2. 注入工程は0.25〜8時間である請求項1記載の方法。
  3. 休止工程は12〜72時間である請求項1または2記載の方法。
  4. 汚染土壌が多環芳香族化合物、石油系炭化水素、非水相炭化水素類、炭素数が8より大きい炭化水素類、置換芳香族化合物類、塩素化炭化水素類、コールタール類、クレオソート類、殺虫剤類、フタレート類、爆薬類、界面活性剤類または木材関連廃棄物で汚染された土壌である請求項1ないしのいずれかに記載の方法。
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